神宮大会(高校の部)総括+ベストナイン

明治神宮大会も高校の部では決勝が行われ、明徳義塾が4-0で創成館を破って秋の高校日本一の座を手にした。

2017明治神宮大会結果


明徳義塾はエース市川が決勝戦での完封を含めて、3試合全てを1人で投げ抜いた。短い日程で行われるために他のチームがいろいろな投手を起用したのに対して、エースが全ての試合を投げ抜くことで守りの面で安定感が生まれ、崩れることがなかった。打線も真鍋・田中・菰渕・渡部という左の巧打者が並んでヒットを量産し、準決勝ではケガの影響もあり6番に下がっていた谷合が同点2ラン、決勝戦でも4番に復帰すると3安打の活躍をみせた。投打に軸が揃い、安定した戦いぶりでの優勝であった。

この大会を1番沸かせたといえるのが準優勝の創成館。投手陣はエース左腕の川原を中心のチームだと思ってたが、川原以外にも右のオーバーハンドの戸田、準決勝・決勝で先発した左腕の七俵、サイドハンドの伊藤も1・2回戦では完璧な投球を見せるなどバラエティーに富んだ投手陣であった。打線にも繋がりがあり、準決勝までは序盤に得点を奪って試合の流れを自分たちのものにして継投で乗り切るという勝ちパターンであった。試合を重ねるごとにどんどんチームとしてパワーアップしているように感じられ、準決勝では大阪桐蔭を倒したというインパクトは大きい。

その創成館に敗れてしまった大阪桐蔭は史上最強とも呼び声高いメンバーを擁しながらも、神宮では不完全燃焼に終わった。エース柿木が肩に張りがあり万全の状態ではなく、横川も球威がなかった。自慢の打線もホームランは1本のみと爆発することもなかった。ただそれでもセンバツの優勝候補No1という評判は変わることはなく、むしろこの敗戦でさらに強くなることも期待される。

今大会では高校生であるにも関わらずコールドは0試合と、それぞれのチームが地区の優勝校にふさわしいきっちりとした試合を行っていた。日大三や聖光学院は初戦で敗れてしまったもののその戦力は充実していて、センバツでは十分に優勝候補になりえる。静岡もエース春の安定したピッチングに、村松・黒岩・成瀬らを中心に打線のつながりがあった。日本航空石川は別の意味で話題となってしまったが、日大三を破った試合は見事であり、今大会リリーフであった大橋が本格的にエースとなれば面白い。



以下は個人的に選んだ大会のベストナインです。

投手
市川悠太 明徳義塾2年
サイドよりやや上のフォームから140㌔を超えるストレートを投げ込み、3試合全てを1人で投げ切って優勝の立役者となった。特に創成館を4安打完封した決勝戦でのピッチングは素晴らしかった。

20171111明徳義塾 市川


捕手
安田陸 明徳義塾1年
1年生ながら守っては強肩と好リードで市川を支え、打っても5番打者として中央学院戦と創成館戦ではそれぞれ先制タイムリーを放つなど攻守にわたって活躍をみせた。

20171111明徳義塾 安田


一塁手
松浪基 創成館2年
聖光学院では流れをチームにもってくる貴重な先制の2点タイムリー3ベースを含む2安打、大阪桐蔭戦でも2安打2打点の活躍で5番打者として準Vに大きく貢献した。

20171112創成館 松浪


二塁手
藤優璃 創成館2年
おかやま山陽戦では初回に1番打者が出塁すると、2番打者としていきなりのタイムリー3ベースを放つなど毎試合ヒットを重ね、チームトップの打率.417をマークした。

20171112創成館 藤


三塁手
田中闘 明徳義塾2年
中央学院戦では全て得点に絡む3安打をマークし、静岡戦でもとどめのタイムリー2ベースなど2安打を放ち、バントなども含んて2番打者としてバットでチームに大きく貢献した。

20171111明徳義塾 田中


遊撃手
村松開人 静岡2年
日本航空石川戦では1番打者としてタイムリーを含む4打数3安打1四球の活躍で静岡打線を勢いづけた。守備も軽快であり、エース春を盛り立てた。

20171112静岡 村松


外野
谷合悠斗 明徳義塾2年
負傷の影響もあり6番に下がっていたが、静岡戦では8回に同点2ラン。決勝では4番に復帰すると全て得点に絡む3安打を放ち大会首位打者となる打率.500をマーク。

20171111明徳義塾 谷合


眞鍋陸 明徳義塾2年
静岡戦では8回に決勝打となるタイムリー2ベースを放つなど明徳義塾の1番打者として巧みなバットコントロールで毎試合ヒットを放ち打率.462をマークした。

20171111明徳義塾 眞鍋


上田優弥 日本航空石川2年
打球スピードは群を抜いていて日大三戦では3安打2打点の活躍。ここで相手捕手を負傷させてしまったことで批判を浴びるも続く試合でも無事に4番で出場し、2安打を放った。

20171112日本航空石川 上田


以上です。
今年も神宮大会でいい選手・チームが見れたので来年の春のセンバツが楽しみです。


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駒大苫小牧×大阪桐蔭 【明治神宮野球大会(高校の部)2回戦】

11/11 明治神宮野球大会2回戦
駒大苫小牧(北海道代表)×大阪桐蔭(近畿代表)

試合スコア
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
20171111駒大苫小牧×大阪桐蔭

大阪桐蔭は3回裏、横川の2ベース、藤原のレフト前ヒットで1・3塁とすると2番宮崎の強烈なショートゴロをショート石川がダイビングキャッチ。3塁ランナーも動けなかったが、その一方1塁もセーフとなり満塁となる。続く中川はセカンドゴロを打つが、これをセカンド大槻が2塁に暴投してしまい2者生還。なおも1死1・3塁で根尾の打球は強烈なファーストゴロで、ファーストが1塁ベースを踏んで2塁もアウトというタイミングであったが2塁への送球が逸れてゲッツーとならず、その間に3塁ランナーの宮崎がホームイン。この回大阪桐蔭が3点を先制する。

駒大苫小牧の反撃は5回表、白田・横地・小林の3連打で1点を返し、さらに2死1・3から盗塁のセカンド送球の間に3塁ランナーの小林がホームを突き1点差に迫る。さらに同点を狙って2塁から大西がワイルドピッチで一気にホームを狙うもタッチアウト。すると大阪桐蔭はその裏に2番宮崎がレフトスタンドにホームランを放ち2点差にリードを広げる。

大阪桐蔭は6回からエースの柿木を投入すると、この柿木が安定した投球が最後まで無失点。打線は大西の前に追加点が奪えなかったが、何とか逃げ切ってベスト4入りを果たした。

20171111駒大苫小牧 小林
タイムリーヒットに加えて、好走塁で2点目を獲得した駒大苫小牧の小林

20171111大阪桐蔭 宮崎
5回裏にソロホームランを放った大阪桐蔭の宮崎

20171111大阪桐蔭 横川
5回2失点と何とか試合もまとめあげ勝ち投手となった大阪桐蔭の先発横川


Topic
◆コースをつけば抑えられると証明した大西
駒大苫小牧のエース大西はストレートは130㌔行くかいかなかというスピードであったが、これにスライダーを交えて、丁寧にコースをつくピッチング。基本アウトコースではあったが、要所でインコースもつくことができていていた。おそらく春のセンバツを制したメンバーが多く残り、黄金世代と言われる大阪桐蔭の強力打線も、この大西の前に凡打の山を築いた。

結局大西は完投して、9回被安打8の4失点というピッチング。ただこの4失点もエラー絡みのものが多く、まともに打たれたのは宮崎のソロホームランのみ。奪った三振は2個のみというのが物語るように決して凄い球を投げるような投手ではないが、それでも丁寧にコースを突けば高校最強と言われる打線も抑えることができるということを証明した。これは打倒大阪桐蔭に燃える全国のチームにとっても非常に参考になる投球であったことだろう。

20171111駒大苫小牧 大西
9回まで敢闘した駒大苫小牧のエース大西


◆残念であった守備の乱れ…
上記のように大西が素晴らしいピッチングをしていただけに、3回の3失点というのは駒大苫小牧にとっては非常に悔いの残るものであった。1死満塁とされたところで駒大苫小牧は前進守備を選択。しかしセカンドゴロでセカンド大槻は2塁で併殺をとれると踏んだか、2塁へ送球するも、ショートのベースカバーも遅れ、送球も逸れてしまい、ゲッツーどころか1個もアウトをとれずに2点を献上してしまった。送球が逸れたという技術的なところもさることながら、前進守備という戦術とプレーが一致しなかったのは非常に残念である。

さらに続く根尾の打球も早くゲッツーをとれるものであったが、ベースを踏んだファーストの2塁への送球が逸れてしまい、ゲッツーが完成せずにもう1点。この回の3失点は全てエラーが絡んだものとなった。大阪桐蔭相手に大健闘をみせた駒大苫小牧であったが、それだけにこのエラー絡みで失った3失点は余計に悔いが残る。



◆不完全燃焼な大阪桐蔭打線
大西の見事なピッチングもあったが、大阪桐蔭打線としては自力でとった得点は宮崎のホームランによる1点のみというのは。受け入れがたい結果であろう。また神宮球場の内野スタンドを満員にしたファンにとっても期待外れであったことだろう。

この日の大阪桐蔭はクリーンアップの3人でヒットは中川の1本のみ。それでも中川・根尾は出塁を2度ずつしていたが、4打席全てがランナーのいる場面で回ってきた山田健が2三振を含む4タコと完全に当たりがなかった。その後を打つ6番井阪も4タコで、この2人により上位と下位が完全に分断されてしまい、打「線」とならなかったことが上記の要因といえる。

近畿大会決勝でもエース平田が投げなかった智弁和歌山から根尾のホームランの1点のみと元気のなかった大阪桐蔭打線。この神宮の地で是非とも復活して欲しいところだ。

20171111大阪桐蔭 山田健
残念ながらこの日は打線のブレーキとなってしまった大阪桐蔭の5番山田健


Pickup Player
柿木蓮 大阪桐蔭2年 ピッチャー
~出てきてたエースとしての貫禄~
上記のように点のとれいない試合でも、大阪桐蔭が負ける気はしなかった。その最大の要因は6回から登板したエース柿木のピッチンングであろう。

柿木は大阪桐蔭では2年春のセンバツで、直前に負傷した岩本に代わってベンチ入り。岩本の代わりであったので投手ながら背番号2をつけて、初戦の宇部鴻城戦に登板すると、143㌔をマークするなどして周囲の度肝を抜いた。そのまま2年春の大会ではエース徳山を温存したまま、横川との左右2枚看板で勝ち上がり、近畿大会Vを達成。2年夏は背番号11を背負ってエース徳山に次ぐ2番手として活躍。甲子園3回戦の仙台育英戦では先発を任され、9回2死まで無失点の好投を見せた。

新チームでは背番号1をつけた柿木であったが、この日は背番号10の横川が先発のマウンドに上がり、柿木は6回からマウンドに上がった。柿木はいきなり先頭打者に四球を与えてしまうも、そこからなんと9回2死までパーフェクトピッチングを展開。柿木といえばMax147㌔の力強いストレートが武器であるが、この日の最速は140㌔止まり.。噂によると肩にやや張りがあって状態は万全ではなかったそうだ。それでも打者の様子を冷静に見ながら、コースにきっちりと投げることができていて、ちょうど前エースの徳山に似てききて、エースとしての貫禄も感じられた。

結局4イニングを投げて被安打1四死球1の無失点と完璧なリリーフを見せた柿木。これで近畿大会から続く無失点を継続された。この大事な初戦の先発が横川であったことから、エース争いもまた混沌としているのかと思ったが、今日のピッチングを見る限りではエースは柿木といって問題なさそうだ。

20171111大阪桐蔭 柿木
6回から最後まで無失点リリーフをみせた大阪桐蔭のエース柿木


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秋季東京大会総括+ベストナイン

秋季東京大会も終わり、日大三が見事昨秋の雪辱を果たして優勝した。

2017秋季東京大会

日大三は結果から見れば全試合6点差以上で、1回戦と決勝以外は全てコールド勝ちという圧倒的な内容。特に日大三伝統の強力打線は健在で、日置・大塚・中村・飯村から構成されるクリーンアップは強力そのもの。日置は返すだけでなくチャンスメイクにも優れ、大塚はここぞという場面でタイムリーを量産し、中村は準決勝で逆転タイムリー3ベースを放つなど高アベレージを残し、飯村は昭和戦で2打席連続ホームランを放った。例年よりはややホームランは少ないが、それでも東京No1の打線であった。投手陣は中村・林・井上と3人の右腕で回した。3人ともそこそこの投球をみせた一方、投手陣の柱をいえる存在がおらず、今日の明治神宮大会初戦でも日本航空石川に打ち込まれてしまった。中でも出場が確実なセンバツでエースとして期待したいのは、U18日本代表の井上大成の弟でもある井上広輝で、躍動感のあるフォームからMax145㌔をマークする1年生は一冬を超えれば非常に楽しみな存在だ。

20171105日大三 井上
日大三の投手陣で1番の期待株である井上


その日大三を決勝まであと1イニングというところまで追い詰めた佼成学園。日大三とは対照的にコール勝ちは1試合のみで、堀越・明大中野八王子・国士館といった強豪を僅差で破った。その立役者はこの秋背番号1を背負った青木。ヤクルト秋吉のような独特のスリークウォーターから小さく曲がる変化球で打たせるピッチングで準決勝までは全て2失点以内。夏のエース中村も、ケガで出遅れていて背番号18も準決勝・決勝では先発するなど復帰を果たした。独特なバッティングフォームから高いミート力で国士館では決勝の3点タイムリー3ベースを放った1番笹渕、守備でも大活躍の岸川、東海大高輪台から満塁ホームランを放った4番松下、堀越戦では逆転2ランの平澤ら強打者が揃い、いいところでは打ったが、全体的にはまだ迫力にかける。残念ながら最後は日大三に差をつけられてしまい、センバツ出場は厳しい状況だが、この秋の東京大会を1番盛り上げたチームといえる。

20171104佼成学園 笹渕
準決勝で逆転タイムリー3ベースを放った佼成学園の笹渕


国士舘も準々決勝までは計2失点と投手力が光った。エースのサイド左腕石井は早実を完封し、1-0で撃破。準決勝までは無失点であっただけに、佼成学園の笹渕に浴びてしまった一打(この3点タイムリーで2-3で敗北)だけが本当に痛かった。同じく4強の日大豊山は二松学舎大付を破るなどして躍進した。名倉・高原の本格派右腕2枚に、平林・西村の三遊間は強力であった。特に西村は持ち前のバッティングもさることながら、日大三から2回連続で初球スチールを決めるなど走力も光った。

20171104国士舘 石井
早実から完封勝利をあげた国士舘のエース石井


その他、早稲田実業・二松学舎大付はともに強力打線を有しながらも、これが1発勝負の怖さというべきか、それぞれ国士館・日大豊山相手にその打線が振るわずロースコアで敗れた。関東一・帝京も投打に実力があったが、それぞれ早実・日大三という強豪とぶつかってしまった。ただこの4チームは本来はベスト4にいるべきレベルにあり、さらに1次予選で敗れてしまった東海大菅生も合わせて、春以降は日大三に次ぐ第2グループとなることだろう。


最後に個人的に勝手に選んだ今大会のベストナイン
【投  手】石井峻太(国士館2)
【捕  手】村高尭(日大豊山2)
【一塁手】飯村昇大(日大三2)
【二塁手】内藤真(国士館2)
【三塁手】西村達貴(日大豊山2)
【遊撃手】日置航(日大三2)
【外野手】大塚晃平(日大三2)
      笹渕勇武(佼成学園2)
岸川智哉(佼成学園2)

そしてあえてMVPをあげるとしたら、決勝戦での決勝打などいいところでコンスタントにタイムリーを放ち日大三打線を4番として牽引した大塚ですかね?

20171104日大三 大塚
今大会のMVPともいうべき活躍の日大三の4番大塚


以上です。


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近大附属×大阪桐蔭 【秋季近畿大会準々決勝】

11/3 秋季近畿大会準々決勝
近大附属×大阪桐蔭@大阪信用シティ信用金庫スタジアム

勝った方が近畿ベスト4となりセンバツ出場が確定する近畿大会の準々決勝大阪大会では準決勝で対戦(大阪桐蔭が勝利)した2チームが、同じ大阪信用シティ信用金庫スタジアムで再び相まみれます。


試合スコア
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
20171103近大附属×大阪桐蔭

大阪桐蔭は1回裏、先頭の藤原がライト線への2ベースで出塁すると、連続四球で無死満塁。根尾は三振に倒れるも、5番山田健が右中間にタイムリー2ベースを放ち2点を先制する。

3回裏には先頭の宮崎が四球で出塁すると、2盗→3盗を決めて、さらにこのときの3塁送球が暴投となり宮崎が1人でホームイン。さらに根尾が四球で出塁すると、サードゴロの2塁悪送球で3塁まで進む、6番井阪の犠牲フライで生還。この回大阪桐蔭がノーヒットで2点を追加する。

反撃に出たい近大附は5回表、先頭の大澤がエラーで出塁すると、3番山中がレフト線にタイムリー2ベースを放ち1点を返す。しかしその裏、ここまで2安打に抑えられていた大阪桐蔭が火を噴き、藤原の内野安打から宮崎のレフトフェンス直撃のタイムリー2ベース、中川の犠牲フライ、ワイルドピッチ、井阪のタイムリーと一挙4点をあげて突き放す。6回裏にも1死2・3塁から3番中川が2点タイムリーを放ち9点差。

投げては横川がランナーは出すものの要所を締めて、7回1失点の好投。大阪桐蔭が7回コールド勝ちで近大附属を破り、連覇を目指すセンバツの出場を確定させた。

20171103大阪桐蔭 山田健
先制の2点タイムリー2ベースを放った大阪桐蔭の山田健

20171103大阪桐蔭 中川
3打点をあげる活躍をみせた大阪桐蔭の新主将中川

20171103近大附属 山中
タイムリーを含む2安打を放った近大附の3番山中


Topic
◆調子はイマイチでも起用に応えた横川
大阪桐蔭の先発はエース柿木でなくて、背番号10の190㎝左腕の横川。おそらく決め手となったのは、大阪大会の準決勝では横川が近大附打線を抑えたこと、そして近大附の主力に左バッターが多いことであろう。

しかしこの日の横川はコントロールにバラつきがあり、球威もあるとは言えず、決して調子がいいとは言えない状態。初回に満塁のピンチを招くと、2回・3回も得点圏にランナーを背負う苦しいピッチングとなるも、要所を締めて4回まで無失点。5回には根尾のエラーからタイムリー2ベースを浴びて1点を失ってしまうも、その後は打線が大量リードを奪ってくれたこともあり、6回・7回は近大附打線を3人ずつで抑えた。

結局7回1失点(自責点0)の好投で三振も8個奪った。調子がよくない中でもこれだけの結果を残せたというのは非常に評価できる点であり、柿木・根尾との大阪桐蔭エース争いはさらにハイレベルなものとなりそうだ。

20171103大阪桐蔭 横川
調子は良くなかったが7回1失点とまとめあげた大阪桐蔭の先発横川


◆慎重すぎた大石
近大附属の注目は何といってもエース左腕の大石。U15日本代表にも選ばれ、近大附属では1年夏からエースとして活躍してきた左腕もついに最終学年を迎える。

1回戦では高田商から1失点完投勝利をあげたエースは、もちろんこの試合も先発のマウンドに上がる。しかしこの日の大石はいかんせん四球が多かった。大石は決してコントロールの悪い投手ではなく、またボール球も抜けているのではなく低めにはずれているものが多かった。よって調子が悪いのではなく、大阪桐蔭に対して慎重に厳しいところに投げていった結果が四球が多くなってしまった形だ。それでも1回・3回とヒットは2本のみであるが計4点をとられてしまったのはこの四球が影響していて、また低めのワンバン付近のボールも多かったので盗塁もされやすく、5回には2個のワイルドピッチも記録してしまった。

このピッチングは大阪大会で大阪桐蔭に打ち込まれてコールド負けしてしまった際の反省を踏まえたものであろうが、やや慎重になりすぎてしまった感はあり、リベンジに燃えていただろうが大阪桐蔭に返り討ちに遭ってしまった。とはいえ力を抜いたフォームからキレのある球を投げ込むピッチングは一級品であり、春以降の大阪桐蔭へのリベンジに期待したい。

20171103近大附属 大石
大阪桐蔭にリベンジを果たせなかった近大附属のエース大石


◆近大附属にもセンバツに出て欲しいが…
この試合で近畿大会もベスト4が出そろい、智弁学園・乙訓・近江・大阪桐蔭の4校がセンバツ確定。残りの2枠を準々決勝で敗れた法隆寺国際・智弁学園・彦根東・近大附属で争うこととなる。となる結果だけ見ると準々決勝でコールド負けしてしまった法隆寺国際と近大附属の敗退は濃厚になってしまう。

とはいえ近大附属が敗れたのは大阪大会・近畿大会いずれも大阪桐蔭。センバツを制した前チームのレギュラーが多く残り、ドラフト1位候補目白押しと言われている今年の大阪桐蔭は全国No1との呼び声も高く、このチームと当たってしまったのは不運の一言に尽きた。近大附属はエース大石を中心として非常にレベルの高いチームであり、大阪桐蔭と決勝まで当たらない組合であれば…というところであった。

ただ上記のような「相手が大阪桐蔭であったから」というのはセンバツ選考では考慮してもらえる可能性は低く、最初にも書いたが今のままでは選出はかなり厳しい状態だ。現実のところ1番期待すべきところは、2回敗れた大阪桐蔭が神宮大会で優勝して「神宮枠」で近畿に持ち帰ることであろう。


Pickup Player
宮崎仁斗 大阪桐蔭2年 外野手
~打たなくても点の取れた最大の立役者~
大阪桐蔭は4回までは2安打ながら4得点と機動力を使った攻めを見せたが、その象徴といえる存在が2番の宮崎であった。

宮崎は中学時代はボーイズ日本代表の主将も務めたキャッチャーであったが、大阪桐蔭では外野手に転向。野球センス抜群で身長170㎝ながら俊足・強肩に加えてスタンドに放り込むパワーもあり1年秋には背番号12ながらレフトのレギュラーに定着。ただ陽春のセンバツでは4試合にスタメン出場するも結果を残せなかった。すると2年夏は根尾や岩本の復帰に伴いレギュラーの座を失い、夏の甲子園では出場無しに終わる。

新チームになってレギュラー復帰を果たすと、この日も2番レフトでスタメン出場した。そしてこの日宮崎が魅せたのは第2打席、3回裏の先頭打者として2球で追い込まれるもそこから粘りを見せて四球で出塁すると、3番中川の打席で2盗を決め、4番根尾の打席では3盗、さらにこのときにキャッチャーの3塁送球暴投を誘い、四球から1人でホームまで返ってきた形だ。打順が3・4番というところでアウトになるたダメージが大きい場面であるが、いずれも素晴らしいスタートを切って、余裕でセーフのタイミングであった。

続く無死1塁で迎えた第3打席では大石のストレートを捉えると打球はレフトフェンス直撃のタイムリー2ベース。この試合の大阪桐蔭打線の中で1番ともいえるあたりで、足の次はパワーを見せつけて、あっという間に1塁ランナーの藤原をホームに迎い入れた。無死1・2塁で迎えた第4打席では今後は2番らしくきっちりとバントを決めて、次の中川の2点タイムリーに繋げた。

結果成績だけ見ると1打数1安打1打点であるが、四球→四球→左越二①→送りバントとすべての打席でしっかり得点に絡む仕事を果たしていた。バントもできるし強打でもいけるという2番で、塁に出れば俊足で盗塁もできるというまさに最高の2番打者であった。藤原・根尾・中川・柿木・横川という大型のドラフト候補ばかりが目立つが、この宮崎の活躍からも決して目は離せない。

20171103大阪桐蔭 宮崎
全ての打席で得点に絡む仕事を果たした大阪桐蔭の2番宮崎


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日大三×佼成学園 【秋季東京大会決勝】

11/5 秋季東京大会決勝
日大三×佼成学園 @神宮球場

勝てばセンバツ出場が確定する秋の東京大会決勝。これまでほとんどの試合をコールド勝ちと圧倒的な強さで勝ち上がってきた日大三と、コールド勝ちは1試合のみで後は接戦をモノにしてきた佼成学園というちょっとした因縁もある2チームの対戦です。

試合スコア
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
20171105日大三×佼成学園

1回表に日大三は1死満塁のチャンスを作るも5番飯村はピッチャーゴロホームゲッツーで無得点。対する佼成学園は1番笹渕がヒットで出塁すると、続く幸田のバントを日大三のサード金子がファンブル。岸川が送って1死2・3塁のチャンスとすると、ここで日大三は前進守備を引かなかったため、4番松下のファーストゴロで佼成学園が1点を先制。2回裏にも平澤・江原の連打とバントで1死2・3塁とすると、9番岡田のショートゴロを日置が好捕するも、3塁ランナー平澤のスタートがよくホーム間に合わずに佼成学園が2点目をあげる。

日大三の強力打線が目を覚ましたのは4回表、日置の2ベースから4番大塚のタイムリーであっさりと1点を返すと、バント→中村のヒットで1死1・3塁としてから7番柳澤のタイムリーで同点。さらに満塁とすると1番金子もタイムリーを放ち、日大三がこの回5安打で3得点をあげて逆転に成功する。

これで試合の流れは一気に日大三に傾くも続く5回にチャンスを作りながらも追加点を奪えずにいると、グランド整備を挟んで流れは再び佼成学園に傾く。6回裏に5番斉藤がインコールのボールをレフトスタンドに運び同点。7回裏にはこの回から登板した日大三2番手の井上から1死2塁のチャンスを作ると3番岸川がライト前にタイムリーヒットを放ち逆転に成功する。

佼成学園は5回からリリースした青木が何とか日大三打線を無得点に抑え、1点リードのまま初の甲子園に向けてあと1イニングという9回を迎える。しかし9回表に先頭の金子に四球を与えてしまうと、続く木代のバントを青木がフィルダースチョイスで無死1・3塁とされてしまい、3番日置のタイムリーで同点。日大三は4番大塚のタイムリーで逆転に成功すると、飯村・中村・井上もタイムリーで続き、この回ノーアウトのまま打者一巡するなど計8得点を奪って大逆転に成功。日大三が土壇場で底力を見せて、秋の東京を制し、センバツ出場を確実なものとした。

20171105佼成学園 岸川
2本のタイムリーを放った佼成学園3番岸川

20171105日大三 大塚
9回表に決勝打となる右中間へのタイムリー2ベースを放つ日大三の大塚

20171105日大三 優勝
優勝決定の瞬間にマウンドに集まる日大三ナイン

20171105日大三 優勝2
優勝旗を受け取る日大三の日置主将


Topic
◆背番号8のエース
日大三の先発は背番号8の中村であったが、中村はもともと前チーム時からベンチ入りをしていた選手で、修徳戦や帝京戦にも先発するなど実質上のエースともいえる存在である。

この日の中村はステップを大きく踏み出してた重心の低いフォームからストレートはMax139㌔をマークし、その他にもス120㌔中盤のスライダーが切れていて、100㌔台カーブにSFF(?)といった球も混ぜたピッチング。1・2回に1点ずつを失うも、3・4回は3人ずつで終えるなど徐々に調子をあげていったが、6回にSFFが落ち切らずにその球をレフトスタンドに運ばれて1点差に迫られると、マウンドを2番手の井上に譲った。6回3失点(自責点2)という結果であったが、結果以上に内容のあるピッチングで日大三のエースとしての仕事は果たせていたと思う。

マウンドを降りた後センターの守備についた中村。打撃も魅力で、前日の準決勝での逆転タイムリー3ベースに続いて、この日も2安打1打点の活躍をみせた。ちょうど1年前の秋も桜井(DeNA5位)は背番号8ながらエースとしてチームを牽引した。今年は中村が背番号8でエースとしてチームを牽引し、昨秋の準Vを超える優勝を見事に果たした。

20171105日大三 中村
背番号8ながら日大三のエースを務める中村


◆またもやあと1歩のところで佼成学園の前に立ちはだかった日大三
9回を1点リードで迎えて、初の甲子園出場まであと1イニングと迫った佼成学園。しかし日大三打線を5回~8回まで無得点に抑えるなど安定したピッチングをしていた青木が、先頭打者にいきなり四球を与えてしまうと、続く打者の初球でワイルドピッチ、さらにはバントをサードに投げるもこれがフィルダースチョイスになるなど、完全に自滅の形で無死1・3塁というピンチを招いてしまった。これが甲子園に対するプレッシャーであったのか、はたまた神宮の魔物が現れたのか分からないが佼成学園にとってはあと1歩ということで"またもや"甲子園への切符を掴むことはできなかった。

またもやということで思い出すのが2012年の西東京大会の決勝。このときも日大三×佼成学園というカードで、吉田(現:明治安田生命)ら率いる佼成学園が9回2死までリードしていたものの、そこから金子(現;Honda鈴鹿)に逆転のタイムリー2ベースを浴びてしまい甲子園出場を逃したのであった。昨年の夏も9回表まで3点リードしていたものの、その裏に日大三に4点をとられてサヨナラ負け…。また佼成学園が秋の決勝に進んだのは50年ぶりなのだが、その50年前も日大三に敗れている…。佼成学園にとって日大三はもはや因縁というべき、立ちはだかる壁なのである。

20171105佼成学園 青木
5~8回は好投も最終回には自滅してしまった佼成学園のエース青木


◆佼成学園のセンバツの可能性は
上記のように敗れてしまった佼成学園であるが、東京2位ということで関東大会5番目のチームとの比較次第ではセンバツ出場の可能性がないわけではない。ただ昨年は東京2位が選ばれているので、もともと今年は可能性が少ない(近年は東京2位と関東5番目は隔年で選出)。またこの試合で最終的に6点差がついてしまったことは非常に痛かった。

9回表に逆転をされ、さらに飯村にタイムリーを浴びて2点差とされたところで藤田監督はピッチャーを青木→左腕の鈴木に代えた。しかし鈴木は1死もとれずに降板してしまい、代わった石元もタイムリーを2本浴びてしまい、結果的に点差が開くこととなった。鈴木も石元もともに1年生であり、今大会も登板がほとんどなかったことを考えるとこの場面は少々厳しかったかもしれない。青木も明らかにそれまでとは違うピッチングであり、代え時であったのは確かだが、もっと慎重になっていれば点差が開かず、「日大三相手に大接戦を演じたチーム」として高野連の評価も高くなっていたかもしれない。残念ながら現状ではセンバツ出場の可能性はかなり低いと言える。

佼成学園へ残された道は、日大三が明治神宮大会で優勝して、日大三→神宮枠、佼成学園→東京の最上位となってセンバツに出場すること。以前関東大会で応援部員のほとんどいない日大三に対して、その次の試合の佼成学園が(同じ東京代表として)日大三の応援を手伝うと藤田監督がイキな計らいを見せたことがった。ひょっとしたら神宮大会でもそんな光景がまたみられるかもしれないし、日大三としては明治神宮大会優勝という結果であの時の借りを返す機会が訪れたともいえる。


Pickup Player
日置航 日大三2年 ショート
~窮地に陥ったチームを攻守で救ったのはやはり主将~
優勝を果たした日大三において、攻守というプレーの面でも、そして主将という立場としても際立っていたのが日置であった。

日置は1年秋から日大三のショートのレギュラーを掴み、センバツでは6番ショートで出場も代打を送られるなど結果を残せなかった。しかしその後の2年春の東京大会ではホームラン5本を放つなどのその能力を一気に開花させていた。2年夏は5番ショートを務めるも東海大菅生の前にはノーヒットに抑えられてチームも敗北。新チームでは主将にも就任し、3番ショートとしてプレーでも攻守にわたってチームを牽引している。

まず打撃であるが、日置はスクエアスタンスのフォームからどんなボールにでもスムーズにバットが出せる打者で、パワーもあるが本来は中距離ヒッタータイプの打者。この試合では1打席目に変化球をライト前へ、2打席目にはストレートを左中間へ、第5打席ではストレートをレフト前へ、第6打席では低めの変化球をセンター返しと、様々な球をそれぞれうまく打ち返していた。結局この日は5打数4安打2打点。中でも4回に日大三が目覚めるきっかけとなった左中間への2ベースと、9回の同点タイムリーは非常に勝ちのあるものであった。

守備でもショートとして、2回には前進守備ながら三遊間の難しい打球をナイスキャッチし(ただホームに投げるもフィルダースチョイス)、続く3回には松下のセンターに抜けようかというあたりをとって、1回転してファーストへ送球してアウトにするなど、右に左に広い守備範囲を見せた。また日置の守備の1番の魅力は送球であり、肩がいいのももちろんのこと、体制に関わらず綺麗にストライク送球を投げることができていた。また守備の際には何回もマウンドにかけよってピッチャーに1対1で声をかける姿も見られた。

そして負ければセンバツ絶望(去年東京2位でセンバツに選ばれた日大三が今年も東京2位で選ばれることはまずない)という最終回に底力をみせて大逆転をしてみせたチームとしての強さもやはり主将の日置の力が大きいだろう。秋に関しては昨年の決勝で早実の野村にサヨナラ2ランを浴びたこともあり、その時1年生(現2年生)で唯一レギュラーであった日置の経験も生きたのかもしれない。

攻守に秀でたショートとしても、また強豪をひきいる主将としても、今後も日置の活躍に期待したいです。

20171105日大三 日置1 20171105日大三 日置2
攻守においても主将としても日大三の優勝に導いた日置


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