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東邦ガス×楽天イーグルス【練習試合】

3/4 練習試合
東邦ガス×楽天イーグルス @お倉ヶ浜総合公園野球場

試合経過

プロ野球はキャンプが終わり、この試合の前日から、各チームの本拠地に戻ってのオープン戦が始まっている。一方本拠地の仙台がまだ寒い楽天の2軍は、まだ日向でキャンプを行なっており、この日は東邦ガスとの練習試合を行った。

楽天は1回裏、東邦ガスの先発のエース辻本に対して、武藤・石原の連打でチャンスを作ると入江の死球で満塁。6番の台湾の大学から逆輸入で入団したルーキー永田は、フルカウントから外のボールを見極め、押し出しで楽天が先制。楽天は3回裏にも武藤がエラーで出塁すると、4番正随がレフト線へタイムリー2ベース。さらに入江がヒットで続いて1・3塁とすると、永田がレフトに犠牲フライを放ち3ー0とリードを広げる。楽天の先発の塩見は、実績のある投手だけあって、さすがという投球で、ランナーを出しても動じることなくピンチを防ぎ、4回無失点の好投をみせた。
20230304楽天 塩見
4回無失点の好投を見せた楽天の先発塩見


楽天は5回から2番手で藤井が登板。2020年のドラフト会議で指名された後に開催された都市対抗では、ENEOSのリリーフ投手として東邦ガスを5回無失点に抑えており、東邦ガスとしては何としてもリベンジをしたい左腕だ。そんな藤井に対して、1死から大木がしぶとくライト前に落として出塁すると、四球などで2死1・2塁として迎えた3番宮下は、バットを折りながらも三遊間を破り、大木が生還して東邦ガスが初得点。今年からショートにも挑戦している、ほぼフルメンバーといえるこの試合では3番に起用された、期待の高卒2年目が結果で応えた。
20230304東邦ガス 宮下2
3番起用にこたえタイムリーを放った宮下

東邦ガスは7回表にも、向井・大木と下位打線の連打から1死1・3塁のチャンスを作ると、2番比嘉がライトへ犠牲フライ。さらにバッテリーミスと四球で2死1・3塁と一気に同点・逆転のチャンスを作ると、ここは藤井が踏ん張り、4番若林を3球三振に抑えてピンチを脱した。
20230304楽天 藤井
楽天の2番手として登板した藤井

この東邦ガスの反撃ムードを作ったといえるのが、関西学生野球連盟から加入した新人の2投手であろう。4回から登板した近畿大出身の左腕大石が2イニングを1安打無失点に抑えると、6回から登板した同志社大出身の高橋も同じく2イニングを1安打無失点に抑えた。さらに8回からは加藤が登板して、自慢の威力のあるストレートで楽天打線を圧倒。結局4回以降は楽天に追加点を与えなかった。
20230304東邦ガス 高橋
2回無失点の好投を見せた東邦ガスのルーキー高橋

東邦ガスは9回表、先頭の9番大木がこの試合3本目のヒットとなる右中間への2ベースを放ち、バッテリーミスで3塁へ進む。1死3塁で迎えた比嘉は前進守備のショート正面のゴロでランナー動けず。2死となったところで楽天は3番手として清宮をマウンドに送り、東邦ガスの3番宮下は強烈な打球を放つも、レフト正面でダイレクトキャッチ。東邦ガスは追いつくことはできず、練習試合の特別ルールで行われた9回裏にエラー絡みで1点を追加した楽天が4ー2で勝利した。


20230304東邦ガス×楽天
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


この試合で東邦ガスのスタメンには、比嘉・西脇・虎谷・向井と4人もの亜細亜大出身選手が名を連ね、途中からも代走で木村、リリーフで加藤が出場した。昨年は加藤ー向井のバッテリーが入社し、今年も西脇が入社するなど、ここ最近亜細亜大→東邦ガスというルートがさらに確立されてきている印象がある。対する楽天も、彼らの先輩(木村だけは後輩)であり、現役ドラフトで広島から移籍してきた正随が4番に座り、2打席目にはレフト線へタイムリー2ベースを放ち、先輩、そしてプロとしての威厳をみせるなど、まさに亜細亜大祭りであった。
20230304楽天 正随
楽天の4番としてタイムリーを放った亜細亜大出身の正随

東邦はルーキー投手陣が好投を見せたのは上述の通り。ただ野手に関しても、浦口、西脇の2人がスタメン出場。浦口は1番打者として持ち前の俊足で内野安打を放ち、盗塁も決め、そして1番目だったのは打席での粘りである。追い込まれてからも、狙ったかのようにファールで粘る打撃を、塩見・藤井といったNPBでも1軍クラスの投手相手にできたのは、大きなアピールポイントだった。5番とクリーンアップの一角を務めた西脇は、1打席目で強烈なレフト前ヒットを放つと、バンドも決めたりと器用な部分も見せた。守備もスタメンのセカンドからサード→ファーストとマルチにこなした。この2人な加えて、3番ショートで出場した宮下は高卒2年目。打ってはタイムリーを放ち、今年から挑戦しているショートではフライのエラーこそあったものの、三遊間の難しい打球を2つ捌き、見せ場を作った。今年の東邦ガスは、若返りの予感がしており楽しみだ。
20230304東邦ガス 宮下
今年から東邦ガスのショートを務める宮下


Pickup Player
加藤竜馬 東邦ガス 投手
~ドラフト解禁年にポテンシャル枠から脱却なるか~
東邦ガスの4番手として8回からマウンドにあがった加藤は、プロ相手に強烈なインパクトを残した。

加藤は大阪偕星では本格的に投手を始めたのは2年夏からであるが、2年秋はチームの主将兼エースとして、翌春のセンバツを制する大阪桐蔭相手に2-3と善戦(加藤は3失点完投)。そのあとは腰痛もあり、3年夏は4番ライトとして出場した。亜細亜大に進学すると、またもや腰痛に苦しみ、リーグ戦デビューは3年秋と遅かったものの、4年春のリーグ戦では神宮で151㌔をマークした。ただ1個上には平内(巨人)・内間(楽天)、同期に岡留(阪神)、1個下に青山(西武)とハイレベルな亜細亜大投手陣において、投球の安定感に課題がある加藤は、結果的に大学通算9試合11イニングしいう登板機会に終わってしまった。それでもスピードに加えて、185㎝96㎏(当時)という体格の良さ、身体能力の高さなどからポテンシャルを評価されており、ドラフト候補として名があがるほどの投手であった。昨年東邦ガスに加入し、JABA長野大会やJABA四国大会では登板も成績は残せておらず、2大大会での登板もなく、ドラフト解禁年となる2年目を迎えた。

この試合では8回から4番手としてマウンドに上がると、代打堀内に対してストレートで押してファールでカウントを稼ぐと、最後もストレートで空振りの三振。永田・江川もストレートで押して打ち取り、わずか8球で三者凡退とした。特別ルールで行われた9回裏も引き続きマウンドに上がると、エラーでランナーを出して、村林のヒット→ワイルドピッチで1点を献上してしまい、2回1安打2奪三振1失点(自責点0)という内容であった。ただその結果以上に目を引いたのはやはりそのストレートで縦に角度があり、この試合では球速表示はなかったもののスピードも出ており、さらにそのストレートをやや力を抜いたようなフォームから繰り出していることも厄介であり、楽天の各打者は完全に振り遅れていた。変化球も大きく曲がるスライダーとフォークを持っており、三振を奪える球であった。

この試合でのインパクトは大きく、正直この試合の内容だけをみれば、ドラフトの上位候補である。あとはこのピッチングが安定してできるかが鍵となってくる。安定さえしてくれば、ずっとポテンシャル枠でのドラフト候補であった加藤が、いよいよ即戦力のドラフト候補に浮上してくることだろう。
20230304東邦ガス 加藤


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2023年の社会人野球選手ドラフト候補を勝手にランク付け

ドラフト候補の一覧+ランク付けは、ラスト社会人野球編です。

Sランク:ドラフト1位筆頭
Aランク:ドラフト上位候補
Bランク:志望届出せば指名確実
Cランク:ドラフト境界線

※は今年ドラフト解禁の選手

~Sランク~

~Aランク~
度隆輝(ENEOS)外※
松本健吾(トヨタ自動車)投※
竹田祐(三菱重工West)投※

~Bランク~
権田琉成(TDK)投※
峯村貴希(Honda)内※
古田島成龍(日本通運)投※
川船龍星(日本通運)投※
山内慧(JR東日本)外※
片山楽生(NTT東日本)投※
関根智輝(ENEOS)投
久保田拓真(パナソニック)捕※


~Cランク~
鈴木大貴(TDK)投
齋田海斗(TDK)外
大西蓮(JR東日本東北)内※
安里海(日立製作所)投※
林明良(エイジェック)投
小玉佳吾(SUBARU)内※
長谷川稜佑(JFE東日本)投※
片山皓心(Honda)投
米倉貫太(Honda)投
清水力斗(日本通運)投※
木村翔大(日本通運)内※
小谷野楽夕(JR東日本)投
北野樹(JR東日本)内
多田裕作(NTT東日本)投
井上大成(NTT東日本)外※
皆川喬涼(東京ガス)投※
北川智也(セガサミー)内
黒貴章(セガサミー)内※
加藤三範(ENEOS)投
丸山壮史(ENEOS)内※
森圭名(三菱重工East)投※
津田啓史(三菱重工East)内※
藤村哲之(東芝)投
粂直輝(東芝)投※
澤柳亮太郎(ロキテクノ富山)投※
相羽寛太(ヤマハ)内※
佐藤勇基(トヨタ自動車)内
城野達哉(西濃運輸)捕※
若林将平(日本新薬)外※
井奥勘太(パナソニック)投※
藤本舜(日本生命)外※
泉口友汰(NTT西日本)内※
石黒佑弥(JR西日本)投
藤井拓海(四国銀行)内※
高橋聖人(Honda熊本)投※


20220729ENEOS 度会
昨年は高卒2年年目ながら橋戸賞も受賞し、満を持して今年解禁をむかえる度会(ENEOS)

20220626トヨタ自動車 松本
日本選手権では1安打完封勝利をあげ、一躍ドラフトの目玉に浮上した松本(トヨタ自動車)


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TDK×富士大【東北地区社会人・大学野球対抗戦】

東北地区社会人・大学野球対抗戦
TDK ✕ 富士大 @仙台市民球場

試合経過

大学野球のシーズン開幕前に、各地では社会人チームVS大学野球チームの対抗戦が開催されている。東北の地でも、3リーグの上位2チームと、東北を代表する社会人企業チームを招いて対抗戦が行われており、その中でも2日目に行われたTDK×富士大の試合は、TDKが高卒4年目の左腕の佐藤開、富士大が昨秋チーム最多の3勝をあげた吉山の先発で試合が始まった。

先攻のTDKは1回表、先頭の1番北畠がライト前ヒットで出塁し、牽制暴投で2塁へ、バントで3塁へ進んでいきなり1死3塁のチャンスを作る。ここで迎えた富士大を卒業してTDKに入社したばかりのルーキー山田の打球は、不規則な回転でライト前にポトリと落ちるヒットとなりTDKが先制する。さらに2回にも1死2・3塁のチャンスを作ると、9番伊藤がタイムリーを放ち2点目をあげる。
20220403RDK 山田
古巣相手に先制タイムリーを放った山田

TDKは3回表にも、三河・山形の連打から2死2・3塁のチャンスを作ると、7番の高卒ルーキー高橋がセンター前にタイムリー。続く4回にも、先頭打者の8番奥村がこの対抗戦4試合目にして初となるホームランをレフトスタンドに叩きこみ、TDKは1~4回までそれぞれ1点ずつをあがる。
20220403RDK 奥村
レフトスタンドにホームランを放つ奥村

ただ逆にいえば、富士大の先発吉山は、決していい投球ではなかったものの、スライダーやチェンジアップなどの駆使した丁寧な投球で、得点を許した後のピンチを切り抜け、それぞれ最少失点に抑える粘りの投球をみせたといえる。ただ一方の富士大打線はというと、TDKの先発の佐藤開の前に4回までノーヒットと完全に抑えられてしまう。
20220403富士大 吉山
粘りの投球で各回を最少失点で切り抜けた富士大の先発吉山

しかし5回裏、富士大は先頭の馬場がチーム初ヒットとなるピッチャー強襲安打を放つと、7番山澤もショート内野安打で続き、8番鈴木貴がレフトオーバーの2点タイムリーといきなりの3連打で初得点。なおも無死2・3塁という絶好のチャンスであったが、ここでギアをあげたのは佐藤開の前に3者凡退。富士大は6回にも無死1・2塁のチャンスを作るも、またピンチの場面でギアを入れ換えた佐藤開の前にそこから3者凡退となってしまう。
20220403富士大 鈴木貴
富士大の初得点となるタイムリー2ベースを放った鈴木貴

富士大は6回から2番手で登板した中岡が3回無失点、最終回に登板した東條が1回無失点とTDK打線に追加点を与えなかった。ただ打線は7回からTDKの2番手として登板した阿部の前に抑えられてしまい、反撃ならず…TDKが4-2で勝利し、社会人チームの面目を保った。
20220403RDK  阿部
終盤3イニングを無失点に抑えた阿部


20220403TDK×富士大
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


TDKは飯野を除けば、全員が3年目以内という若いメンバーのスタメンであったが、出場していない他のメンバーは深江・青木くらいであり、若手が多いもののかなりベストに近いという布陣であった。そんな若いチームの中でも、1番若いのが大学1年生と同じ年の高卒ルーキーの高橋である。秋田商ではエースを務め、背番号11というのが物語るように登録は投手であるが、前日の青森大戦に続いてセカンドとしてフル出場。打ってはいずれも得点に絡む2安打を放ち、守備でも軽快な動きをみせており、TDKのセカンドとしても遜色はなかった。若手が多いながらも、現在2年連続で都市対抗に出場しているチームに、さらに若い力が加わって楽しみな限りである。
20220403RDK 高橋
セカンドとして出場し2安打を放ったTDKの高卒ルーキー高橋

富士大は、エース金村・主将の山城というプロ注目の2人はいないという、飛車角落ち状態ではあったものの、社会人チーム相手に見せ場は5回裏の攻撃のみで完敗。そんな中で1人目立ったのは、TDKが企画した4回のうち3回の盗塁を刺した捕手の坂本だ。体格的には小柄な部類に入る坂本だが、その分動きは素早く、送球の動作も速い。高校時代は投手として140㌔もマークした強肩で、高橋・北畠・齋田とTDKの俊足3人を見事に刺してみせた。昨年までは佐藤(鷺宮製作所)が正捕手として君臨していたが、佐藤の卒業した現在はチームに経験のある捕手はおらず、まさに横一線のスタートとなったがいいアピールにはなったはずだ。ただ打ってはノーヒットで最終回に坂本の代打として登場したのは、博多工では佐藤の1個下で正捕手の座を受け継いだ1年生の成田景。最後は三振を喫したものの力強いスイングは魅力であり、坂本としては後輩の存在にも気を抜けないところだ。
20220403富士大 坂本
盗塁を3個刺して正捕手の座獲得に向けて大きくアピールした坂本


Pickup Player
佐藤開陸 TDK
~小木田の穴を埋める先発候補に名乗り~
TDKの先発の佐藤開は、6回1失点の好投をみせ、小木田が抜けた先発の座に名乗りをあげた。

佐藤開は身長165㎝と小柄な左腕であるが、能代松陽では2年秋にエースとして秋田大会を制すると、東北大会では初戦で八戸学院光星から1失点完投勝利をあげると、続く準々決勝では黒沢尻工から完封勝利(8回コールド)をあげる活躍をみせ一躍その名を轟かせる。ただ準決勝では聖光学院にコールド敗けしセンバツ出場とはならなかった。ちなみにこの試合の相手である富士大の4番須田は、この時の聖光学院の5番打者である。3年夏の秋田大会も準決勝で、エース曽根(白鴎大)、4番山口(ロッテ)の明桜に敗れ、甲子園出場はならなかった。高卒でTDKに入社すると、2年目にはリリーフで都市対抗のマウンドにあがり、145㌔をマーク。昨年は都市対抗での登板はなかったものの、JABA大会では先発も務めるなどして登板機会を増やし、今年は社会人4年目を迎えていた。

この試合で先発のマウンドに上がった佐藤開は、序盤から快心の投球をみせる。左腕らしく時よりシュートするようなストレートは威力があり、これとスライダー・チェンジアップを軸にした投球をみせ、3回には麦谷、4回には川村と富士大の主力から3球三振を奪うなどして、4回まで出したランナーは四球の2人のみとノーヒットピッチングをみせる。5回にはいきなり3連打を浴びてしまい1点を失うも、なおも無死2・3塁というピンチではギアをあげると、そこから3人を打ち取ってランナーを釘付けにして追加点を許さなかった。続く6回にも無死1・2塁のピンチを招くも、自らのフィールディングでバントを3塁で刺すと、最後は代打の山岡から三振を奪ってピンチを脱出。結局6回をなげて4安打6奪三振1失点という好投をみせ、マウンドを降りた。

TDKは昨年のエース小木田がオリックスに入団し、ダブルエースであった鈴木に次ぐ先発投手が空席の状態。前日の試合で好投したルーキー権田に加え、この佐藤開がそこに名乗りをあげた形となる。佐藤開がその座を射止めることができれば、まだ高卒4年目の左腕ということで、ドラフトへの道も開けてくることだろう。

20220403RDK 佐藤開
6回1失点の好投をみせたTDKの先発佐藤開


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東芝×JR九州【JABA東京スポニチ大会】

3/9 JABA東京スポニチ大会決勝
東芝×JR九州 @神宮球場

試合経過

今年社会人野球最初の公式戦であるJABA東京スポニチ大会の決勝は、午前の準決勝第1試合でENEOSとの神奈川対決を延長戦の末に制した東芝と、直前に行われた準決勝第2試合で日立製作所に快勝したJR九州の対戦となった。東芝は準決勝で最後に少しだけリリーフしたエース吉村が引き続き、JR九州は今大会初登板となる左のサイドスローの鈴木が先発のマウンドに上がった。

東芝は1回表、準決勝では延長線では決勝タイムリーを放って勢いにのる1番長沢がレフト前ヒットで出塁すると、すかさず2番太田の初球で盗塁を決めて、太田が送って3塁へ進むと、JR九州にバッテリーミスが発生して、東芝があっという間に先制する。東芝は2回表にも、1死から諸橋・中村と下位打線の連打でチャンスを作ると、1番長沢が今度はライト線にタイムリー2ベースを放ち、早くもJR九州の鈴木をKO。JR九州は2番手として吉田をマウンドに送るも、2番太田の打球がサードのフィルダースチョイスとなり1点を追加されると、さらに東芝は3番田中・4番吉田に連続タイムリー2ベースが飛び出して、2回までに6-0とリードを奪う。
20220309東芝 長沢
初回の起点となり、2回にはタイムリー2ベースも放った東芝のリードオフマン長沢

登板したイニングには失点を重ねてしまった吉田であるが、3回・4回は東芝打線を無得点に抑えると、5回からは左腕井上が登板。前日のJFE東日本の試合では初回からリリーフ登板して8回まで1失点の好投をみせた頼りになるベテラン左腕は、ストレートはMax135㌔であったがテイクバックの小さなフォームから繰り出す球には力があり、スライダー・フォークといった変化球も含めて強気に攻める投球で東芝打線を圧倒。5回~8回までの4イニングで、東芝打線にヒットを許さない素晴らしい投球をみせた。
20200309JR九州 井上
4回ノーヒットピッチングをみせたJR九州の井上

JR九州打線は、1番に今大会初スタメンとなるルーキーの山脇を起用すると、初回にいきなり山脇がレフト前にうまく運ぶヒットを放ち、準決勝では2ホーマーを放つなど大当たりであった3番山田もヒットで続くものの、4番岩切が三振に仕留められ無得点。3回には2番牛島が2ベースを放つものの、3番山田・4番岩切が連続三振で無失点。このように東芝のエース吉村は淡々と投げるものの、勝負どころではしっかりと三振を奪うことができており、JR九州打線を寄せ付けなかった。
20200309JR九州 山脇
1番打者として大会初スタメンのJR九州の山脇

東芝は上述のように、JR九州の井上、さらに最終回に登板した足立には3者連続三振を喫するなど追加点を奪えなかったものの、エース吉村が最終回まで無失点で投げ切って完封。6-0で勝利した東芝が、JABA東京スポニチ大会を制して、日本選手権出場を1番乗りで決めた。
20220309東芝 優勝
優勝を果たした東芝ナイン


20220309東芝×JR九州
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

敗れはしたもののJR九州の躍進は見事なものだった。予選リーグの初戦でNTT東日本に逆転勝ちを収めて勢いに乗ると、そこからJFE東日本、日立製作所と関東の強豪から3連勝で、この決勝にコマを進めた。ただこの試合では序盤に大量失点してしまい、なすすべなくということで、課題は3人目の投手であろうか?昨年の日本選手権でも登板した井上、鷲崎の左腕2人がこの大会でも中心となって投げていた一方、JFE東日本戦で先発した川島、この試合で先発した鈴木は序盤で交代となってしまっている。そもそも投手が8人しかいないというチーム事情もあるだろうが、今大会はニチダイの辞退により1試合少なかったこともあり、JABA大会を勝ち抜くにはやはりもう1人先発が欲しい。川島、鈴木以外にもリリーフで好投した足立を先発させることなども含めて、先発投手の台頭に期待したい。
20200309JR九州 足立
今大会好リリーフをみせた足立も先発として期待したい

東芝は2019年に当時2枚看板であった岡野(中日)・宮川(西武)がプロ入りしてしまい、そこからしばらくはエースという存在はおらず、昨年は12年ぶりに都市対抗出場を逃した。ただ都市対抗予選でENEOSから完封勝利をあげた吉村が、補強選手として参加した都市対抗でも素晴らしい投球をみせて実績を積むと、今大会では初戦で好投をみせ、準決勝でまたもやENEOS相手に最後はリリーフ登板して、同日のこの決勝では完封勝利と完全に東芝のエースといえる投手となった。他にも藤村や善の2人も投手陣の中心となり、これまでチームを支えてきた福本・岡村の2人の負担は大幅に減った。さらに今年は金井・西村といった高卒の新人投手も加入し、西村に関しては早くも今大会でベンチ入りして、予選リーグの鷺宮製作所では5回無失点の好投をみせた。東芝の投手王国復活の日は近いといえるだろう。
20220309東芝 西村
東芝投手陣の次世代を担う高卒ルーキーの西村


Pickup Player
吉村貢司郎 東芝 投手
~今大会MVPの東芝のエース~
東芝のエース吉村が完封勝利をあげて、チームを優勝に導き、大会MVPを受賞した。

吉村は日大豊山では1年秋からエースを務め、Max144㌔をマークする本格派右腕として活躍。3年夏の東東京大会では決勝戦まで進むも、オコエ(楽天)らを擁して、甲子園で4強まで進む関東一に敗れた。国学院大では2年春からリーグ戦のマウンドに上がり、2年秋には神宮で150㌔越えをマーク。4年春には先発投手として3勝をあげ、防御率0.93という活躍をみせるものの、4年秋にはケガの影響で1試合の登板に留まり、プロ志望届を提出したものの、指名漏れを経験した。

東芝に入社すると、1年目からリリーフで都市対抗のマウンドに上がり、152㌔をマークするも、3四死球と課題を残した。ただ2年目となった昨年は、日本選手権の東海理化戦で先発を務めると、都市対抗予選の第1代表決定のトーナメントではENEOS戦では153㌔をマークし、10奪三振完封勝利。ただ再びENEOSと対戦した第2代表決定戦では9回に山崎錬にサヨナラ3ランを浴びてしまい、チームは都市対抗出場を逃した。それでもENEOSの補強選手として都市対抗に出場すると、2回戦の日本通運戦では7回1失点の好投をみせた。年が明けて初の公式戦となったこのJABA東京スポニチ大会では、予選リーグ初戦のヤマハ戦では8回途中2失点の好投。この試合の午前中に行われた準決勝のENEOS戦では、1点を勝ち越した後の10回裏1死2塁というピンチでリリーフ登板すると、見事に試合を締めてチームを決勝進出に導いていた。

準決勝の終了から約4時間後に始まったこの決勝では先発のマウンドに上がった吉村。左足を振り子のように使うフォームから繰り出すストレートはMax148㌔をマークし、140㌔台前半~中盤の球が多かった。昨年の都市対抗のほぼ140㌔後半という吉村の投球に比べれば物足りないが、春先のまだ寒い中では十分なスピードともいえる。変化球はなんといっても130㌔後半をマークするSFFは最大の武器であり、130㌔前後のスライダー、110㌔台のカーブを投じていた。この試合の吉村は淡々と打者を打ちとっていくが、ピンチの場面になるとギヤが上がり、初回1死1・2塁の場面では4番岩切を空振り三振。3回1死2塁の場面では3番山田・4番岩切を連続三振と、ピンチさらにはJR九州のキーとなる打者という場面では三振を奪えていたのは素晴らしかった。試合の中盤以降はピンチらしいピンチもなく、そのまま最後まで投げ切り、6安打10奪三振で完封勝利。チームは優勝し、吉村自身は大会のMVPに選出された。

もともと出力は素晴らしいものはあるものの、どこか荒さがあるという印象だった吉村の投球だが、昨年の秋頃から改善されてきており、今年はそれにさらに磨きがかかっていた。この試合も四死球は2個のみであり、全体をみてもボールも低めに集まっており、非常に安定した完成度の大会投球であったといえる。ドラフト解禁であった昨年は指名がなかったものの、都市対抗の投球を見て、指名しなかったことを後悔したスカウトは多いはずであり、さらに完成度の高くなった今年はドラフトの目玉選手といえるだろう。

20220309東芝 吉村
見事完封をあげ大会MVPにも選ばれた東芝のエース吉村


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創価大✕日本通運【オープン戦】

3/1 オープン戦
創価大✕日本通運 @日通ボールパーク

試合経過

創価大✕日本通運のオープン戦。相手が大学生ということで、 日通は新人野手2人をスタメンに起用するなど比較的に若いメンバーで臨んだものの、先発には昨年はリリーフエースとして活躍するなど、主力投手といえる釘宮を送った。しかし創価大はその釘宮への先制攻撃として、1番篠田がいきなりレフトオーバーの3ベースを放つと、2番の木代のタイムリー。さらに四球と4番田中のヒットで無死満塁というチャンスを作る。ただここで釘宮がそうやくエンジンがかかったのか、その後の失点はサードゴロ併殺崩れの間の1点のみに凌ぐ。
20220301創価大 木代
先制タイムリーを放った木代

先制された日通打線は1回裏、1番稲垣がセンター前に弾き返して盗塁を決めると、この試合では2番に入った北川が三遊間を拔くヒット。一気にホームを狙った稲垣はタッチアウトになるものの、3番楠本も技ありのレフト前ヒットを放つと、4番毛利がセンターバックスクリーンに3ランを放ち、日通があっという間に逆転に成功する。さらに勢いの止まらない日通打線は、木下・木村の連打で2・3塁のチャンスを作ると、7番諸見里が1番打者から7人連続ヒットとなる2点タイムリーを放ち、初回に5得点をあげる。
20220301日本通運 毛利
4番に座り逆転3ランを放った毛利

初回から大荒れとなった試合だが、日通はエンジンのかかった釘宮が2・3回と創価大打線をノーヒットに抑える。創価大も2回から早くもリリーフ登板した菊地が、タメを作った独特のテイクバックからMax146㌔の力のあるストレートに、カットボール・スライダー・フォークといった変化球を駆使して日通打線を3イニングノーヒットに抑える。高校時代から大型右腕として期待されていたものの、昨年の秋季リーグでは悔しい思いをしていた右腕だけに、この好投は創価大にとってはこの試合1番の収穫であっただろう。試合は両チームとも2回以降無得点で、5-2と日通がリードしたまま前半戦を終える。
20220301創価大 菊地
3回無失点の好リリーフで試合を立て直した菊地

反撃に出たい創価大は6回表、日通の3番手西村(今年からサイドスローに転向)から簡単に2死を取られるも、そこから宮原がエラーで出塁してバッテリーミスで2塁へ進むと、8番石﨑のセンター前タイムリーで初回以来の得点。さらに7回表には、4番手庄司から1番篠田がヒットで出塁すると、1死2塁で迎えたプロ注目の3番門脇はスライダーを完璧に捉えて、ライトへの同点2ランホームランを放ち、創価大が5-5の同点に追いつく。
20220301創価大 門脇2
同点2ランを放った門脇

創価大は3番手の左腕内田が、5~7回はランナーを出しながらも、何とかピンチを凌ぎ無失点に抑える好投。ただ8回裏から登板した松下はやや制球が安定せず、2四死球と木村のヒットでいきなり無死満塁のピンチを迎えてしまう。ここで堀内監督がマウンドに行くと、松下は得意のフォーク中心の投球に切り替えて、4球連続フォークで8番大友を空振り三振。しかし9番高橋にはライトに犠牲フライを浴びてしまい、日通が6-5と勝ち越し。このリードを8回からリリーフしたアンダーハンドの和田が守り切り、日本通運が6-5で勝利した。
20220301日本通運 和田
8・9回と無失点リリーフをみせた和田


20220301創価大✕日本通運
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


大学生相手ということで、木南・森松・添田・浦部・大谷・手銭といったレギュラー陣がスタメンから外れる中で、北川は相手が母校ということもあってかスタメン出場。そして本来は4番を打つ北川の打順は、何と2番であった。強打の2番らしく、初回に無死1塁で回ってきた第1打席ではバントの構えすら見せずに、三遊間を破るヒット。無死1塁で迎えた第3打席、無死1・2塁で迎えた第4打席でもバントの構えを見せなかった。最近では2番に最強打者を置くチームも出てきているので、日本通運もそれに向けてのテストであったのだろうか?
20220301日本通運 北川
この試合は2番打者として出場した北川

またスタメンに起用された若い選手たちもアピールを繰り広げた。中でも6番ショートでスタメン出場を果たした木村は、1打席目に右中間に2ベースを放つと、その後もショート強襲ヒット、三遊間を強烈な打球で破るヒットと3安打をマーク。プロも注目していた強打の大型内野手が結果を残し、稲垣・添田・諸見里・浦部に、この試合で3番を打った楠本ら、日本通運の内野(ファースト以外)の争いがさらに激化してきそうだ。
20220301日本通運 木村
猛打賞の活躍をみせたルーキー木村

敗れた創価大で光ったのは、やはりプロも注目で、今年はチームの主将も務める3番ショートの門脇だ。その打撃技術の高さが光ったのが第3打席で、140㌔後半のストレート中心で攻めていた日通の清水が投じた98㌔という、約50㌔差のスピードがあるボールをほぼ片手でセンター前に持っていき、この試合初安打をマーク。続く第4打席では、左キラーである庄司のスライダーを完璧に捉えて同点2ランを放ち、もともとの巧さに加えてパワーもついてきていることを証明した。この試合で魅せ場はなかったものの、守備・走塁についてもハイレベルな選手であり、ドラフトに向けての活躍が楽しみだ。
20220301創価大 門脇
片手でセンター前ヒットを放つ門脇


Pickup Player
清水力斗 日本通運 投手
~「柴田2世」がオープン戦で早くも好投~
日通の2番手としてマウンドに上がったルーキーの清水が、2回無失点の好投をみせた。

清水は星稜高校時代から本格派右腕として注目されており、1年秋には背番号1を背負うも、2年春には肘をケガしてしまい、2年夏に出場した甲子園でも背番号11で、リリーフで1イニングのみの登板に終わってしまった(ただストレートは甲子園で146㌔をマーク)。2年秋からは再びエースナンバーを背おい、3年春には149㌔をマークするも、本来の実力は発揮できずに、3年夏も準決勝で日本航空石川に敗れ甲子園出場はならなかった。

亜細亜大に進学すると、1年春にはリリーフとして2試合に登板。その後もオープン戦などでは力のある球を投げ込む姿は見られた、ケガなどもあったのか1年秋以降は公式戦での登板はなく、公式戦通算0勝で大学野球を終えた。実績からいえば、名門の社会人企業チーム入りは難しいところであったが、そのポテンシャルを見込まれてか、今年から日本通運に入社した。

この試合では4回に2番手としてマウンドに上がると、ストレートはいきなり140㌔後半をマークし、2人目の打者の石崎の打席では
(おそらく)自己最速を更新する150㌔をマーク。コントロールにかなりのバラツキがあり、石崎には四球を与えてしまったものの、後続をライトライナーゲッツーに仕留めた。変化球はスライダーと実にストレートと球速差が50㌔もある100㌔に満たないスローカーブを投げていたが、ストレートが中心の投球で、数としてはかなり少なかった。5回には2死からその数少ないカーブを門脇に打たれるも、4番田中を最後は147㌔のストレートでショートゴロに仕留めて、2回無失点リリーフでマウンドを降りた。

この試合の清水の投球は、まさに昨年のドラフト会議でヤクルトから3位指名を受けた柴田に重なるものがあった。柴田も日体大ではトミージョン手術などを経験して公式戦での登板のない投手であったが、そのポテンシャルを見込まれて日本通運に入社すると、その実力を開花させ、2年でヤクルト3位指名を勝ち取った。この試合の清水のストレートには目を見張るものがあるものの、バラツキがあるという投球も、柴田そっくりで、まさに「柴田2世」といえる。ただ唯一異なる点は、柴田はこんなに早い時期にオープン戦でも登板できていなかったということだ。コントロールに加えて、変化球などまだまだ課題はあるものの、そのポテンシャルはピカイチであり、このままケガなく成長を続ければ、来年のドラフトで名前が呼ばれる投手になれるだろう。
20220301日本通運 清水
早くも「柴田2世」との呼び声高い清水


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