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東海大菅生×早稲田実業 【全国高校野球選手権西東京大会】

7/30 全国高校野球選手権西東京大会決勝
東海大菅生×早稲田実業 @神宮球場

甲子園出場をかけた西東京大会の決勝です。清宮率いる第1シードの早稲田実業と、ライバル日大三に完封勝利をあげて勝ち上がってきた東海大菅生の対戦。両チームは2年前の決勝でも対戦していて、このときは8回まで東海大菅生が5点リードするも、8回に早実が8得点と大逆転で甲子園の切符を手に入れています。これも含めて東海大菅生は3年連続西東京準Vとあと1歩のところで甲子園に手が届かずにいます。

試合スコア
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
20170730東海大菅生×早稲田実業


菅生は初回にセカンドエラーと死球で1死1・2塁のチャンスを作ると、4番片山が強烈な打球で1・2塁間を抜くタイムリーを放ち先制。しかし早実は2回裏に野村のヒットからチャンスを作ると、7番福本が右中間にタイムリー3ベースを放ち同点に追いつく。

菅生は5回表に2死ランナーなしから、2番松井が内野安打で出塁。続く小玉のサードゴロをサード生沼が1塁でショーバン送球すると清宮がこれをはじき、その間に一気に1塁ランナーの松井が生還。これを機に片山が左中間に、奥村がセンター前に連続タイムリーを放ち菅生が3点を勝ち越す。

早実は6回裏に野村の3ベースからワイルドピッチで1点を返す。さらに前回の決勝では魔の回となった8回裏に先頭の清宮がヒットで出塁し一気に反撃ムードを高めるも野村がショートゴロ併殺。逆に9回表に1死1塁からファーストゴロ(記録は内野安打)で清宮と雪山の投内連携がうまくいかず、ボールが転々とする間に一気に1塁ランナーが生還。さらに片山にこの日3本目のタイムリーが飛び出し菅生が2点を追加。投げては松本が2失点完投勝利で、菅生が2年前のリベンジを果たす快勝で甲子園の切符を手にした。

20160730早稲田実業 野村
3安打の活躍をみせた野村

20160730東海大菅生 松井2
3安打3得点の活躍をみせた松井

20170730東海大菅生優勝
優勝を決めた東海大菅生


Topic
◆日大三・早実を破った右腕:松本
東海大菅生の先発は背番号11の松本。ケガなどの影響もあり結果を残せて田舎ttが、Max145㌔を誇り強力な東海大菅生投手陣の中心となる存在で、準々決勝では日大三を8回無失点に抑えて決勝進出の立役者となった右腕である。

この日の松本はMax142㌔のストレートにフォーク、SFF、スライダーなどの変化球を有効に使ったピッチングで、コントロールもよく与えた四球は1個と、終始安定したピッチングで連打を許すことはないピッチングであった。特にキーとなったのは早実の1・2番を完璧に抑え(1度の出塁も許さなかった)、清宮・野村の3・4番の前に1度もランナーを出さなかったことだ。結局清宮・野村には計4安打を打たれてしまったが、ランナーがいなかったために得点にはあまり結びつかなかった。

結局9回2失点完投という見事なピッチング。春の東京大会決勝で計33得点という大打撃線を繰り広げ、その後もあらゆる好投手を大打撃戦に巻き込んだ日大三・早実という強力打線の2校を破った右腕の名は全国は甲子園の登板を前に全国に響き渡ったことであろう。

20170730東海大菅生 松本
9回2失点完投で日大三に続き早実も撃破した松本


◆最後まで急造エースに託した夏
この夏早実の背番号1を背負ったのは、春の東京大会では正捕手として活躍していた雪山であった。中学時代は神戸中央シニアのエースとして活躍した雪山であったが、早実入学後は野手に転向し、1年秋からは正捕手、2年春の関東大会からは外野を務めると、その後ピッチャーへと再転向し、この夏はエースとなった。

この日の雪山はMax139㌔のストレートと変化球のコンビネーションで打ち取るテンポのよいピッチングを披露。初回に1点を失うも、その後は4回まで無失点の投球。しかし5回に2死からエラーで1点を失うとその後に連続タイムリーを浴びて3失点、同様に9回にも2死からエラーで1点を失うとその次の打者にタイムリーを浴びるなど、味方のエラーに対して踏ん張ることができなかった。

それでも投手陣が課題と言われた早実において、この夏2イニングを除いて全て1人で投げ切り、チームを決勝まで導いた。決勝も上記ように踏ん張り切れなかったが、成績だけでみれば自責点1の完投。バッテリーを組む野村とともにまだ2年生であり、本格的にピッチャーとして迎えるであろう秋は非常に楽しみである。

20160730早稲田実業 雪山
9回投げ抜いて自責点は1のみであった雪山


◆新記録の108号は幻に…
準決勝の八王子戦で高校通算最多タイとなる107号を放ち、この決勝では新記録更新が期待された清宮。しかしこの日は松本の前に第3打席までノーヒットに抑えられてしまう。迎えた第4打席では、初球のSFFをとらえると打球は弾丸ライナーでライトポール際へ向かうも、わずかにポールの外側でファール。直後の球をライト前に運んでこの日初ヒットを放ったが、これが早実:清宮としての最後の打席になってしまった。

2年前の春の関東一戦で放った高校通算1号から見てきたスラッガーの新記録(108号)は見たかった。それでも個人的にはこれまで見てきた中で高校野球界でNo1のスラッガーであり、この2年半高校野球界の話題の中心となり、常に球場を超満員にしてきた清宮の活躍は本当に素晴らしかった。

ただU18日本代表に選ばれることがほぼ確実な清宮。U18日本代表で放つホームランも高校通算に含めることができるのなら、まだまだ記録更新の可能性は十分にある。

20160730早稲田実業 清宮
高校通算ホームランの新記録はお預けとなってしまった清宮


Pickup Player
片山昂星 東海大菅生2年 ファースト
~見事にタイムリー3本の4番打者~
この試合で清宮よりも野村よりも打撃で目立ったのは東海大菅生の2年生の4打者の片山であった。片山は咋秋はベンチ外であったが、冬を越えて一気に才能が開花し、春以降で16ホーマーを放つ活躍をみせてこの夏は4番ファーストの座を射止めた選手である。

この日の片山はまず第1打席で強烈な打球で1・2塁間を破る先制のタイムリーヒット。5回の第3打席では左中間を破るタイムリー2ベース、さらに9回の第5打席では今度はライト線を破るタイムリー2ベースとタイムリー3本を放った。いずれのタイムリーも2アウトという場面であり、また後の2本は早実のエラーによって回ってきたチャンスをモノにしたということでとても有効であった。4打数3安打3打点1四球と4番らしい見事な活躍であった。

片山の最大の魅力は見ていて気持ちいいフルスイングとそれによる打球の速さである。この日はそこまで見れなかったが飛距離も十分で、まだ2年生ながら若林監督が「(U18日本代表の4番を務めた)勝俣よりも飛ばす」と評するほどである。フルスイングだがしっかりとボールを見てミートすることができていて、第3打席のヒットのように左中間に流すこともでき、また3回のチャンスを全てモノにした勝負強さも魅力であった。

清宮・安田が不在でスラッガーといわれる選手が不足気味の甲子園。まだ急速に成長しているまだ2年生のスラッガーがその代役となる可能性もある。

20170730東海大菅生 片山
3本のタイムリーを放つ活躍をみせた片山はこのフルスイングが魅力



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テーマ : 高校野球
ジャンル : スポーツ

二松学舎大付×東海大高輪台 【全国高校野球選手権東東京大会】

7/29 全国高校野球選手権東東京大会 決勝
二松学舎大付×東海大高輪台 @神宮球場

東東京大会の決勝。関東一ら強豪を破って決勝まで進み、2年ぶりの甲子園を目指す二松学舎に、東海大系列で唯一甲子園出場経験のない東海大高輪台が挑みます。

試合スコア
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
20170729二松学舎大付×東海大高輪台


二松学舎は2回表に内野安打とバント処理暴投で無死2・3塁のチャンスを作ると8番主将の松江がライト前に先制のタイムリー。さらにこの回鳥羽・平間・秋広にもタイムリーが飛び出して、この回打者一巡の猛攻で5点を先制する。続く3回表にも2四死球でチャンスを作ると平間のタイムリー、永井の左中間への2点タイムリー2ベースで3点を追加し試合の主導権を握る。

この展開に東海大高輪台は3回にして早くも、この大会リリーフとして活躍するプロ注目のエース宮路を投入。宮路は続くピンチを凌ぐとその後も粘りの投球を披露。5回表にエラーから畠山のタイムリーで1点を失うも、失点はこの1点のみで最後まで投げ切る。

しかし打線は3回裏に米澤のタイムリーで1点は返したものの、それ以外は二松学舎のエース市川の緩急をつけたピッチングの前に沈黙し、3安打のみに抑えてしまった。二松学舎が9-1で勝利し、3年ぶり2回目の夏の甲子園出場を決めた。

20170729東海大高輪台 米澤
東海大高輪台で唯一の得点となるタイムリーを放った米澤

20170729二松学舎大付 鳥羽
3安打2打点3盗塁の大活躍をみせた鳥羽

20170729二松学舎大付優勝
優勝の瞬間マウンドに集まる二松学舎大付ナイン


Topic
◆5回で先発全員安打の強力打線
二松学舎打線は2回表には6番秋広とでチャンスを作り先制すると、その流れのまま上位打線に繋げて3本のタイムリーで追加点。続く3回表にも9番永野からチャンスを作り、3番平間・4番永井のタイムリーで追加点。ともに下位打線でチャンスを作り出し、上位打線で返すという形で大量得点を生んだ。

そんな打線は4回の段階で5番畠山以外はヒットを放っているという状態。そして畠山も2死2塁で迎えた5回の第4打席でレフト前にタイムリーヒットを放ち、5回で先発全員安打を達成した。

6番にはこの夏2ホーマーの秋広が、7番にはピッチャーだが元は4番も打っていた市川が座るという強力打線はどこからでもヒットが出て、どこからでも得点がとれる強力打線。甲子園でのこの打線の爆発に期待したい。

20170729二松学舎大付 畠山
5回にタイムリーを放った畠山


◆プロ注目の宮路が粘りのピッチング
東海大高輪台の注目はドラフト候補にも名を連ねる147㌔右腕の宮路。背番号1を背負い、この夏はおもに試合終盤にリリーフエースとして登板している宮路はこの日もベンチからのスタート。しかし継投パターンである西原・鵜飼が序盤から二松学舎打線に捕まり、宮路が登板したのは3回で8点リードされた場面であった。

この日の宮路は持ち前のストレートで押すだけでなく、100㌔台のカーブなどの緩急も多用するピッチング。おそらくロングリリーフということもあり、いつもと投球の構成をやや変えたのであろう。それでもストレートは9回に144㌔をマークしたように勝負どころでは威力のある球がいっていた。毎回のようにランナーを背負う展開となってしまったが、それでも粘り強く投げ抜き、得点を与えたのはエラーによる5点の1点のみで、6回1/で自責点0という内容であった。

期待の右腕の夏は終わってしまったが、身体は高く、また二松学舎に完全に盗まれての盗塁がいくつか見られたようにクイックなどには課題も多い分伸びしろもある。即プロとはいなないかもしれないが、大学での成長を大いに期待したい。

20170729東海大高輪台 宮路
粘りのピッチングで6回を自責点0に抑えた宮路


◆悲願はならなかったものの素晴らしい戦いぶり
決勝で敗れてしまった東海大高輪台であるが、その戦いぶりは当初の予想を覆す見事なものであった。この大会の序盤は王子総合、大森学園といったチームに何とか勝利という状態…。宮路とともにダブルエースとして期待された増子はベンチ外で、宮路もエースとして先発完投できるほどの出来ではなかった。

それでも何とか勝ちあがると準々決勝では、第1シードの帝京から接戦の末にサヨナラ勝ちを納めると、準決勝では9回2死からの9得点で勢いに乗っていた東亜学園も撃破。このころから宮路をリリーフエースとした継投の流れも定まってきた。

東海大系列で唯一甲子園未出場というレッテルは残ってしまったが、4番の伊東、先発した左腕西原に、1年生ながら正捕手を務めた木下らチームの中心選手は来年も残るので次のチームに悲願の甲子園出場を期待したい。


Pickup Player
市川睦 二松学舎大付 ピッチャー
~緩急自在で優勝の最大の立役者に~

市川は1年成夏よりライトのレギュラーとして活躍した強打者であったが、2年春よりピッチャーも兼任し大江(現:巨人)と交互に先発をして東京準Vを達成。しかし2年夏は結局大江頼みになってしまい、重要な場面では登板がなく、4番ライトとして出場していた。2年秋よりエースを務めるも、どこかエースとして結果を残すことができずに3年春は日大三に16失点5回コールド負けとなってしまった。しかしここから市川の成長が見られ、ストレートは140㌔を超え、ピッチングの安定度も増してきた。

この日はMax140㌔のストレートに、スライダー・カーブを交えた安定したピッチング。特にカーブは100㌔以下にもなるスローカーブ、110㌔前後のカーブと2種類の緩いカーブを使っていて、これに東海大高輪台打線はあっておらず、有効にカウントを稼ぐことができていた。ちょうど2年前に全日本大学野球選手権を制した際に早稲田大の大竹が披露していたようなピッチングであった。打者を見ながら冷静な投球ができていて、ここが秋などから大きく成長していた部分だと感じた。

市川は3回裏に米澤のタイムリーで1点を失うも、4回以降は東海大高輪台に2塁を踏ませないピッチング。また奪った三振7個も全て4回以降ということで、まさに失点を機にギアをあげて東海大高輪台打線を完全に封じた形だ。これで市川は準々決勝以降3試合連続で1失点完投勝利。この大会では計35回4失点という抜群の内容で、甲子園出場の最大の立役者となった。

20170729二松学舎大付 市川
3安打1失点完投勝利をあげた市川


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テーマ : 高校野球
ジャンル : スポーツ

慶応×桐光学園 【全国高校野球選手権神奈川大会】 ~慶応が3度追いつく接戦も最後は桐光学園が逆転でベスト4進出~

7/25 全国高校野球選手権神奈川大会準々決勝
慶応×桐光学園 @横浜スタジアム


試合スコア
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
20170725慶応×桐光学園


桐光学園は1回裏に2番渡部からの3連打で満塁のチャンスを作ると、5番桂川のタイムリーに中継のミスも絡んで2点を先制。さらに小林一のタイムリー、逢坂のショートゴロ、渡邊宏のタイムリーなど打者一巡の猛攻で、慶応先発の生井をKOし、いきなり5点を先制する。リードを許した慶応だが、直後の2回表に正木のソロと寺山のタイムリーで2点を返すと、3回には桐光学園のエラーで、1点、4回には寺山のレフトフェンス直撃の2点タイムリーで早くも4回に同点に追いつく。

桐光学園は4回裏に4番小林将のタイムリー2ベースで勝ち越すも、5回表に慶応がスクイズの投球がワンバンしてキャッチャーがはじく間にランナーが生還し同点。5回裏に桐光学園は1死2・3塁から冨田のショートゴロの間に勝ち越すも、7回表に慶応は正木・綿引の連打から満塁のチャンスを作ると寺山が押し出しの四球を選んで三度同点とする。

これまで同点にしても逆転まではいかなかった慶応であるが、8回表に矢澤がサード強襲ヒットで出塁すると、4番正木がセンターフェンス直撃のタイムリー3ベースを放ちついに逆転に成功する。しかし桐光学園はその裏の先頭打者として代打にエース棒田を送ると、棒田のセンター前→斎藤のライト前→渡部のバントを森田が1塁へ暴投で満塁のチャンスを作ると、3番山田が右中間に走者一掃のタイムリー3ベースを放ち逆転。さらに桂川の犠飛で3点差とする。

その裏に代打で出場した棒田がマウンドに上がる。慶応は2死ランナーなしから代打長谷川が3ベースを放ち、その後2四死球でホームランが出れば逆転という満塁のチャンスを作るも、最後は下山がファーストゴロに倒れてゲームセット。桐光学園が勝利し、ベスト4進出を決めた。

20170725桐光学園 桂川
先制のタイムリーを放つ桂川

20170725慶応 寺山
4打点の活躍をみせた寺山

20170725桐光学園 山田
8回裏に逆転打となるタイムリー2ベースを放つ山田



Topic
◆高校通算50号で実力は見せつけたスラッガー
慶応の4番は注目の右のスラッガー正木。この日はいきなり5点を先制されて迎えた第1打席で右中間スタンドへの高校通算50号となるソロホームラン。第2打席ではタイムリーエラーにつながる打球を放つと、第3・第4打席でも単打を放ちチャンスを作った。そして同点で迎えた8回の第5打席ではあわや2発目というセンターフェンス直撃のタイムリー3ベース。この一打でこの試合初めて慶応にリードをもたらせた。試合は敗れてしまったものの5打数4安打1ホーマーという活躍でこの実力は十分に発揮した。

これだけの活躍をすると当然プロのスカウトも目を光らせるところであるが、慶応高ということで試合後に正木は進学(=慶応大)を表明。先輩の柳町に続いて、1年目から神宮で活躍する力をもってる打者であるので、来年は神宮でホームランを打つ姿に期待したい。

20170725慶応 正木
2回表に高校通算50号を放つ正木


◆3年連続で期待の3年生が…
慶応のエースは、2年春から背番号1を背負い、咋秋は神奈川Vの最大の立役者となった森田である。しかし桐光学園というこの大一番の先発は森田でなく、背番号10の2年生左腕の生井であった。その生井が1回で早々にKOされてしまうと、森田は3番手として4回から登板。ただピッチングにどこか勢いがなく、浮いた球も目立ち5イニングを投げて9安打6失点という内容。本来のピッチングができていないのは明らかであった。

ここのところ慶応には嫌なジンクスがある。咋夏は当時2年生の森田が背番号1を背負ってエースとして活躍したが、本来エースとして期待されていのは3年生の木澤。木澤はその1年前の2年夏にはエース格として活躍した投手であり、そのときの3年生の津留崎もまた1年時から登板を重ねてエースとして期待されていた投手であった。つまりここのところ3年連続で、前の年に2年生エースとして活躍した投手が、最後の夏は思うように力を発揮できずに、1個下の2年生がエース格として投げている状態なのだ。

来年はこの日先発した生井がエースとして期待される。このよくないジンクスを解消して、是非とも3年生エースとして今日の先輩たちのリベンジを果たしてほしいものだ。

20170725慶応 森田
最後の夏に力を発揮するこのできなかった森田


◆1年生に託した準々決勝
桐光学園もまたこの大一番に先発投手として背番号10をつけた1年生の谷村を送り込んだ。谷村は独特のスリークウォーターから追いついたピッチングで1回を3者凡退という最高のスタートを切るが、2回以降に徐々に捕まり失点を重ねる。正直1年生ということですぐに代えるのかと思いきや。野呂監督は4回途中まで谷村を引っ張り、結果として5点あったリードを失ってしまった。

そしてそこで谷村に代わって登板したのは背番号1をつけたエース棒田ではなく、同じく1年生の左腕冨田であった。冨田は先発の松井裕樹を彷彿とさせるフォームからキレのいいスライダーを投げ込んでいたが、やはり慶応相手となると抑えるのは簡単でなく、5回・7回とそれぞれ得点を奪われ追いつかれると、8回には慶応に勝ち越しを許してしまう。この間に代打を含めて冨田を代えるタイミングはいくらでもあったが野呂監督は冨田を続投させた。

秋は投手不足に悩み、春は棒田がエースとして安定したピッチングを見せる一方、谷村・冨田といった超がつくほど有望な1年生が入学してきた桐光学園の投手陣。どうやら野呂監督はこの夏は「1年生ピッチャーに託す」という方針のようだ。結局1年生2人は苦しい投球となってしまったが、それでも打力で何とか準々決勝を突破した桐光学園。今後も登板があるだろう2人には是非ともこの経験を生かして頑張ってほしい。

20170725桐光学園 冨田
4回途中から8回まで力投を見せた冨田


Pickup Player
棒田雄大 桐光学園 ピッチャー
~まさかの形で登場し勝利に貢献した背番号1~
8回裏の大逆転で試合を決めた桐光学園。その大逆転のきっかけとなったのは意外な形で出場した背番号1の棒田であった。

世田谷西シニアから桐光学園へ入学した棒田は、1年秋からサードのレギュラーを争っていた選手である。しかし中川が抜けて投手不足なった2年秋からは投手も兼任するようになり、2年秋は背番号5ながらも、先発投手がすぐに崩れて序盤のうちから棒田がサードからマウンドに向かうという姿が目立った。春季大会は背番号1が空番という状態で迎えたが、春にさらに進化して得意のカットボールなどを武器にリリーフで安定したピッチングを見せていた棒田が大会途中から背番号1を背負い、エースとなっていた。

この夏も背番号1を背負う棒田は先発にリリーフにフル稼働。この試合も先発が棒田でないことはある程度予想はできたが、いざとなればすぐに棒田が出てくるような展開を予想していた。しかし上記の通り野呂監督は谷村・冨田の両1年生を引っ張り、結果として逆転されて8回裏の攻撃を迎えた。

この重要な8回裏の攻撃で、野呂監督は棒田を先頭打者として(つまりは代打として)送り込んだ。その棒田はもともとはサードであった打棒を生かして、2球目を見事にセンター前にはじき返すヒット。桐光学園はこのヒットを皮切りに満塁のチャンスを作り山田の逆転打につなげた。そういう意味で先頭の棒田のヒットは非常に価値のあるものであった。

代打で出場した棒田は、冨田への代打だったこともあり、そのまま9回表のマウンドへ。簡単に2死をとるも、そこから代打長谷川に3ベースを浴びると、さらに連続四死球でホームランが出れば逆転というピンチで慶応のクリーンアップを迎えてしまった。それでも最後は何とか下山を打ち取り逃げ切りに成功したのはさすが背番号1だという一方、持ち前のコントロールがいいとは言えず。そのピッチング内容は背番号1らしいものではなかった。

代打という意外な形で登場し、勝利に大きく貢献した背番号1(棒田)であるが、打撃は見事であった一方、本職のピッチングはやや不安な内容であった。

20170725桐光学園 棒田
9回を何とか無失点で凌いだエース棒田


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テーマ : 高校野球
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東海大市原望洋×専大松戸 【全国高校野球選手権千葉大会】 ~金久保KOも望洋があと1球から追いつき逆転勝利~

7/22 全国高校野球選手権千葉大会 準々決勝
東海大市原望洋×専大松戸 @ZOZOマリンスタジアム

千葉の秋の王者:東海大市原望洋は春に早々と敗れてしまったためにこの夏はCシード。よってベスト4をかけた戦いで、早くも春の王者であるAシードの専大松戸と戦うこととなった。そんな事実上の決勝戦ともいえるような1戦をお送りします。

試合スコア
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
20170722東海大市原望洋×専大松戸

望洋は1回表に鯨井の内野安打からセカンドエラーで1・3塁のチャンスを作ると、4番荒川の打球はセカンドの前に落ちる内野安打となり先制。続く大野のところでスクイズを見破られるも、挟まれたサードランナーが生還し2点目をあげる。

望洋のエース金久保は制球がイマイチでランナーを出しながらなんとかしのぐというピッチングを続けていたが、5回裏に尾川の3ベースから浅尾のタイムリーで1点を返される。さらに6回裏には2死1・2塁から昆野にライトオーバーの3ベースを浴びてしまいが逆転を許すと、さらに7回裏にも平岩に2点タイムリーを浴びてしまい、金久保はマウンドを降りる。

大黒柱の降板で万事休すかと思われた望洋であったが、8回表に荒川のソロで1点を返し、2点差で最終回を迎える。9回表に先頭の代打相内のヒットと四球でチャンスを作ると、1番宍倉のタイムリーで1点差。さらに2死2・3塁と1打逆転のチャンスを迎えるも、3番藤本は追い込まれあと1球という状態…が、ここで専大松戸にバッテリーミスが飛び出して土壇場で同点となる。望洋は9回裏から金久保をマウンドに戻してしのぎ、試合は延長戦へ突入する。

延長10回表に望洋は大野が死球で出塁すると、続く6番金久保の打球はライトスタンドに飛び込む2ラン。これで勝ち越した望洋はその裏を金久保が締めて、大逆転でベスト4進出を決めた。

20170723専大松戸 川上
Max146㌔のストレートを武器に10回途中まで力投をみせた川上

20170722東海大市原望洋 荒川
8回に反撃のソロホームランを放つ荒川

20170722東海大市原望洋 金久保2
10回に決勝の2ランホームランを放つ金久保



Topic
◆まさかの金久保KO
望洋の注目はプロ注目のエース金久保である。しかしこの日の金久保は前日の千葉明徳戦に続く連投ということもあり、本来の投球ではなかった。ストレートはMax146㌔を計測するものの、このストレートで思うようにストライクがとれずに、スライダー頼みのピッチング。それでも4回までは何とか無失点でしのいでいたが、はやり9四死球というのは致命的で6回に逆転打を浴びてしまった。

さらに7回には振り逃げから2死2・3塁のピンチで、平岩を内野フライに打ち取ったと思ったがマリンの風により落球→ファールとなり打ち直し→タイムリーと運も味方しなかった金久保は、このタイムリーを浴びて降板し、ライトに回ることとなってしまった。公式戦においては金久保がKOされるというのはおそらく初であり、この時点で正直「望洋はもう終わった」と思った。


◆もはや漫画と言いたくなる金久保劇場
秋は金久保が4番ピッチャーでほぼ全てを1人で投げぬいて関東準Vの望洋。「金久保のチーム」と言われることもあった。ところがそんな評判を覆すがごとく、金久保が降板しても意地で同点に追いついた打線。ただ最後は金久保が打って、金久保が抑えてというまさに金久保劇場であった。

以下金久保劇場のまとめ↓
①4回まで無失点の好投
②5~7回につかまりまさかのKO
③味方が9回2死から同点に追いつく
④9回裏にマウンドに再び戻り抑える
⑤延長戦で自ら決勝のホームラン

正直金久保を主人公にした漫画だったの?というような試合であった。

20170722東海大市原望洋 金久保1
再登板合わせて187球の熱投をみせた金久保


◆エラー挽回の逆転打
専大松戸にしれみてば、実は1回の2失点が痛かった。その2点は内野安打と守備の乱れからであり、外野にとんだ打球は1球もなかったからだ。その主犯となってしまったのがセカンドを守る2年生の昆野。1死1塁という場面で、目の前のランナーが若干邪魔ではあったが、セカンドゴロをトンネルしていしまい、1死1・3塁とチャンスを広げられてしまった。

そんな昆野の第4打席は1点ビハインドの6回裏2死1・2塁という場面。金久保のボールに必死に喰らいて粘ったのちの変化球をとらえると打球はライトの頭上を越える逆転のタイムリー3ベース。見事エラーの汚名返上を果たし、この試合のヒーローとなるはずであった。

しかしそんな活躍も霞んでしまった望洋の大逆転劇。まだ2年生の昆野、秋・春と敗れてしまった望洋にリベンジを果たすべく、新チームでは中心選手として頑張ってほしい。

20170723専大松戸 昆野
6回に逆転タイムリー3ベースを放った昆野


Pickup Player
鯨井祥敬 東海大市原望洋3年 サード
~バッティングも向上し、いざ日本代表へ~

鯨井は中学時代は佐倉シニアに所属し、高校でもチームメイトとなるエース金久保らを擁してシニア選手権とジャイアンツカップのダブル優勝を果たすも、鯨井自身はレギュラーではなかった。東海大市原望洋では1年秋は金久保がセカンドを務めていたが、2年春から投手に専念する都合もありセカンドのレギュラーを獲得。派手さはないものの、球際に強い守備が魅力で、佐倉シニア時代からのチームメイトの藤本との二遊間はまさに鉄壁であった。プロでいうと菊地(広島)より藤田(楽天)といったタイプの選手である。ただ打順は下位が主で、粘り強さや勝負強さのあるいいバッターではあるが、打撃が魅力という選手ではないが、U18日本代表候補にも選ばれた。

そんな鯨井であったが春を終えて、サードにコンバート。打順も下位ではなく2番を打つようになった。この日の鯨井は第1打席で先制点のきっかけとなる内野安打を放つと、第3打席でもチャンスでレフト前ヒットを放つ(しかしランナーはホームでタッチアウト)。9回表には宍倉のタイムリーで1点差に迫り、なおも1死1・2塁という場面で打席に立つ。鯨井はライト線にいい当たりを放つが、わずかにファール…あとちょっとフェアゾーン寄りであれば逆転サヨナラ打という打球であった。その後も川上の球に喰らいつき、1塁線のファーストゴロ。アウトカウントは増やしてしまったが、ランナーを進めて2・3塁という最低限の仕事を果たしたために、この後もワイルドピッチ→同点につながった。

こうして派手さはないものの打撃でも2番打者としていい仕事を果たせるようになった鯨井。もともと持ち味の守備に加えて。まさにU18日本代表の小針監督好みのいい選手に仕上がってきた。守備位置がセカンドでなくなってしまったのは少しマイナスだが、このまま活躍を続ければ、1次候補の中で1番意外な選出だった(個人的に)男の代表入りもあるかもしれない。

20170723東海大市原望洋 鯨井
2安打に貴重な進塁打とバットでも大きく勝利に貢献した鯨井


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三菱重工名古屋×JR東日本【都市対抗野球大会】 ~JR東日本が田嶋の2試合連続完封でベスト8進出~

7/20 都市対抗野球大会2回戦
三菱重工名古屋×JR東日本 @東京ドーム

都市対抗も2回戦。1回戦では田嶋の1安打完封で2年ぶりに初戦突破を果たしたJR東日本と、初戦で前回準Vの日立製作所を破るという番狂わせを演じた三菱重工名古屋の対戦です。

試合スコア
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
20170720三菱重工名古屋×JR東日本

20170720三菱重工名古屋 安田
打っては2安打、守備も巧みなリードで主将としてもチームを支えた安田

20170720JR東日本 丸子
先制タイムリーを放った丸子

20170720JR東日本 松本
8回に貴重な2点タイムリー2ベースを放った松本


三菱重工名古屋は2回表に中田の死球→盗塁などで2死1・2塁のチャンスを作ると、8番主将の安田がセンター前ヒット。中田は一気にホームを狙うがセンター拜崎の好返球でホームタッチアウトとなり先制ならず。JR東日本は3回裏に先頭の嘉数がヒットで出塁→バントで1死2塁とすると、ここで2番東條がサード前に絶妙なセーフティを決めて1・3塁。続く3番丸子がセンター前にはじき返して先制する。

三菱重工名古屋は直後の4回表に吉田承のヒットと2個の死球で無死満塁のチャンス。しかしここで6番小栁は三振、続く伊藤隆は4-6-3のゲッツーとなり、粘りのピッチングをみせる田嶋の前に得点が奪えない。

試合は0-1のまま終盤を迎えて8回裏、JR東日本は小室のヒットなどから1死1・2塁のチャンスを作ると、4番松本が左中間を破る2点タイムリーを放ち、貴重な追加点をあげる。投げては田嶋が最後まで無失点で投げ切り、2試合連続完封でJR東日本がベスト8進出です。


Topic
◆スタイル変えて2試合連続完封
JR東日本のエース田嶋はMax152㌔を誇る左腕であるが、この日のストレートのほとんどが130㌔後半。勝負どころで力を入れて投げるストレートは140㌔中盤をマークしていたが、ファンからすると球速的には物足りなさを感じた。その分冷静に打者を見ながら、カットボールやスライダーなどの変化球を有効に使って打ち取るという大人なピッチングであった。

この日の最大の見せ場は4回表、ヒットと連続死球で無死満塁のピンチを迎えるも、ここで6番小栁をスライダーで三振、続く伊藤隆もスライダーを打たせてセカンドゴロゲッツーでピンチを凌いだ。そのまま9回を投げ抜いて、4安打8奪三振の完封勝利。ストレートで押すのは違った新たなスタイルで2試合連続となる完封をあげた。

20170720JR東日本 田嶋
2試合連続となる完封勝利をかざった田嶋


◆田嶋連続先発の是非
田嶋は1回戦に続いて2試合連続の先発。正直これは意外であった。都市対抗の場合は優勝まで5勝が必要であり、これを1人先発投手で達成するのは不可能であるため、少なくとも先発が2枚必要となる。そうなるとエースは1回戦・3回戦(準々決勝)・決勝と先発をしたりするのが定石である。ピッチャーの枚数が少ないチームであればしょうがないが、JR東日本のような戦力層が厚く、常に優勝を狙っているようなチームであれば、複数投手の起用は当たり前だ。

この日の対戦相手は昨年準Vの日立製作所が有力であった。その日立製作所を破った三菱重工名古屋も下記のように補強選手も加えて強力な打線であるが、都市対抗のレベルからいえば上の方とはいかない。これは初戦の伏木海陸運送に関しても同じである。

つまりJR東日本としては他のピッチャーの使いところでエース田嶋を連投させてしまったのだ。予選も5試合中4試合が田嶋であったように他の投手陣の課題もあるが、同じくドラフト候補にあげられる板東もいるし、補強で古田・三宮・加藤という経験も実績もある3投手も加わっている。という状況なので、この試合の田嶋先発は意外であった。

まぁ結果的には田嶋が完封したのでこの起用はよかったのかもしれないが、本当の是非が問われるのはこれからの試合ではないか?


◆補強で強力打線も沈黙
三菱重工名古屋はヤマハから佐藤、JR東海から中田と2人の元プロスラッガーを補強。初戦ではそれぞれタイムリーを放つなど、日立製作所撃破に大きく貢献した2人はこの日も4番佐藤、5番中田で出場した。

中田に関しては昨年は王子の補強選手として、初戦でJR東日本とも対戦している。昨年は田嶋に見事に抑えられてしまった中田であるが、田嶋も中田を警戒していたのかこの日は3四死球。それでも中田は相変わらず体格に見合わない走力で盗塁を決めるなどチームに貢献した。ただその一方佐藤・中田に対してヒットは許さず、また後続をきっちりとしとめて三菱重工名古屋打線を封じた。佐藤・中田という都市対抗ならではの豪華な共演であったが、見られたのは2回戦までとは残念だ。

20170720三菱重工名古屋 中田
3四死球と打棒を発揮できなかった中田


Pickup Player
東條航 JR東日本 ショート
3個のバントで勝利に貢献したまさに2番な活躍
この日

桐光学園でも2番ショートのレギュラーとして活躍。当時の同期には、JR東日本でもチームメイトであった東條大(現:ロッテ)、松本(JX-ENEOS)らもいたものの神奈川ベスト4が最高成績であった。早稲田大では2年春よりベンチ入りを果たし、3年春からショートのレギュラーとして活躍。打順は1・2番または下位であった。打率は高くなかったものの、その守備力をはじめとしてチームへの貢献度は高く、4年時には主将も務め、春・秋それぞれ1本ずつホームランも放っている。

JR東日本ではちょうど田中広輔(広島)がプロ入りした年に入団したこともあり、1年目からショートのレギュラーを獲得。9番打者ながら都市対抗でホームランを打つ活躍をみせ、以降社会人名門のショートして君臨。今季も2番ショートの座を確固たるものとしていた。

この日の東條の1番の見せ場は第2打席。1死2塁で迎えたところで、サード前に絶妙に転がして内野安打として、1死1・3塁のチャンスを作りだし、丸子の先制タイムリーに繋げた。8回の第4打席でもきっりち送りバントを決め、松本の2点タイムリーに繋げている。この日のJR東日本の3得点はいずれも東條のバントが絡んだものであった。第1打席でもきっちりと送りバントを決めていて、この日はバント3個を成功させた。うち送りバントの2個はきっちりとストライク1球目で決めているところも素晴らしい。持ち前の守備だけでなく、打撃面でも2番打者としてきっちりと仕事を果たした。

田嶋ばかりが注目されているJR東日本ですが、きっちりと仕事を果たしている2番打者にも注目してみてはいかがでしょうか?

20170720JR東日本 東條
見事3個のバントを決めて勝利に貢献した東條


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関東一×堀越【全国高校野球選手権東東京大会】 ~関東一が猛打で堀越を返り討ち~

7/17 全国高校野球選手権東東京大会4回戦
関東一×堀越 @神宮球場

試合スコア
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
20170717関東一×堀越

関東一は1回表、先頭の齋藤は左中間よりのヒットで一気に2塁を狙うもタッチアウト。しかしここから斎藤・増田の連打で1・3塁のチャンスを作ると4番石𣘺のサード内野安打で先制。さらにセカンドエラーで1点を加えると、6番高橋は右中間を破る2点タイムリー3ベースを放ち、初回に4点を先制する。

対する堀越は2回裏。こちらも無死2塁のチャンスを作るも2塁ランナーがキャッチャーからの牽制死。チャンスが消えたかのように思ったが、四球と2個のエラーで満塁とすると、1番野口の打球は二遊間へ…セカンドがキャッチし2塁へトスをするも、ショートも打球を追っていたためにセカンドには誰もおらずに暴投となる。さらに続く内田がレフト前にタイムリーを放ち2点を返す。

ただ関東一は4回表に柿澤のヒットからチャンスを作ると、斎藤・小林・増田の1・2・3番が3連続タイムリーヒット、さらに石𣘺のセカンドゴロの間にも1点を加え、関東一が点差を6に広げる。

堀越は6回裏に4番神保のソロ、7回裏に野口のライト線への2ベースで食らいつこうとするも、8回表に関東一打線が三度火を噴くこととなる。エラー→四球→ヒットで満塁とすると、堀越は3番手の原島をマウンドに送る。しかし原島は増田に押し出し死球を与えてしまうと。4番石𣘺にはレフトスタンドに飛び込む満塁ホームランを浴びてします。これで点差は9となり、8回裏を無得点に抑えた関東一が堀越を8回コールドで破った。

20170717堀越 神保
6回に反撃となるソロホームランを放った神保

20170717関東一 小林
4安打の活躍をみせた小林

20170717関東一 石𣘺2
満塁ホームランを放ってベースを回る石𣘺


Topic
◆復活の4番石𣘺
この試合で関東一の4番に座ったのは石𣘺。石𣘺は本職はキャッチャーながら持ち前の打撃で1年夏(昨夏)は5番ファーストを務めていた。1年秋の新チームからはキャッチャーに戻るも、2年春はケガでベンチ外となってしまった。その間に現在正捕手を務めている横山が成長したこともあり、夏に帰ってきた石𣘺に与えられた背番号は13であった。

それでも4番ファーストで出場した石𣘺は、第1打席では強くたたいた打球が跳ね上がり先制のサードタイムリー内野安打を放つと、第3打席でも1死3塁の場面で強烈なセカンドゴロを放ち、3塁ランナーを迎いいれている。そして極め付けが8回の第5打席、代わったばかりの原島の2球目をたたくとレフトスタンドに飛び込むグランドスラムとなった。

結局2安打6打点と見事に4番として結果を出した石𣘺。春の負傷から復活した4番石𣘺にこの後も期待です。

20170717関東一 石𣘺1
6打点の活躍をみせた4番石𣘺


◆元4番でも出られない厳しいレギュラー争い
関東一は戦力層が厚く、各ポジションで激しいレギュラー争いが起きている状況。それを象徴するかのように、この日は秋・春でそれぞれ4番を経験した選手の名がスタメンになかった。1人目が秋に4番を経験した立崎で、背番号3を背負いながら、石𣘺が復帰したこともあり、この日はスタメン外となった。もう1人が春にショートorサードで4番を打っていた背番号5の溝淵。溝淵は途中からサードの守備に入り、唯一回ってきた打席では結果を出そうと焦ったか、ボール気味の球を打ってセカンドファールフライであった。

この日もビックイニングを3回作って、猛打をふるって快勝した関東一。その根底には選手層の厚さと、それによる激しいレギュラー争いがありそうだ。


◆昨夏のリベンジは…
関東一×堀越というカードはちょうど1年前の7月3連休でも対戦していて、昨年は関東一が9回裏に米田のサヨナラ2ランで勝利していた。よって堀越にとっては昨年のリベンジに燃える試合となった。その中でも数少ない昨年の試合の経験者として、昨年の試合では9回から登板してサヨナラ弾を浴びた原島がいる。

原島は秋は背番号1であったが、この夏は背番号10であり、この日は8回の満塁のピンチに3番手としてマウンドに上がった。これまではどちらかというとスリークウォーター気味であった原島だが、この夏はもう完全なサイドになっていた。そんなリベンジに燃える原島であったが、増田に押し出し死球を与えてしまうと、続く石𣘺には満塁弾を浴びてしまい、完全に試合を決められてしまった。

リベンジどころか完全に返り討ちに遭ってしまった堀越。新チームではこの紫対決に勝利すべく頑張ってほしい。

20170717堀越 原島
昨年に続き3番手として登板した原島であったが、関東一に返り討ちに遭ってしまった


Pickup Player
高橋晴 関東一 ピッチャー
打って投げて主将に大活躍

関東一のエースで主将をつとめるのが高橋である。

高橋はMax147㌔を誇る186㎝の大型右腕としてプロからも注目されている。2年夏まではベンチ入りして期待されていたものの、公式戦での登板機会は少ない状態が続いたが、2年秋の新チームからは背番号1を背負い、チームの主将も務める。

この日の高橋はまず打で魅せた。前の試合の4番からこの日は6番に打順を下げたが、第1打席では外角の変化球にうまく合わせて右中間を抜く2点タイムリー3ベース。第2打席では対照的に、ストレートを引っ張ってレフト線への2ベース。第4打席ではセンター前に運ぶなど見事な打ち分けを見せた。これでホームランが出ればサイクル安打という状態であったが、第5打席では打ちに行く気が溢れすぎていて、ファーストファールフライに倒れてサイクル安打はお預けとなった。

投げてはこの日はやや抑え気味なのかと思うストレートに、スライダー・緩いカーブを交えた打たせてとるピッチング。ちょっと思っていたのと印象が違ったが、それでも時より力を入れて投げるストレートには素晴らしいものがあった。関東一には小川というダブルエースとも呼べるピッチャーがいるが、この日は高橋が4点(自責点は2)を奪われながらも8回完投。

エースとして、バッターとして、主将としてチームを牽引する高橋。関東一の東東京3連覇はこの男にかかっていると言っても過言でない。

20170717関東一 高橋1 20170717関東一 高橋2
投げては8回完投、打っては3安打3打点の高橋


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八王子実践×明大中野八王子【全国高校野球選手権西東京大会】 ~明大中野八王子が八王子ダービーを制する~

7/16 全国高校野球選手権西東京大会3回戦
八王子実践×明大中野八王子 @ダイワハウススタジアム八王子

ダイワハウススタジアム八王子の3試合目は八王子実践と明大中野八王子というともに地元八王子の強豪校どうしの対決となった。


試合スコア
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
20170716八王子実践×明大中野八王子

明八は1回裏に2番の主将大池が内野安打で出塁する。俊足の大池を警戒して、八実の先発加藤は何球も牽制をいれるが、それが暴投になってしまい、大池は一気に3塁へ。さらにカバーに入ったセカンドはボールを持ったまままだ内野後方にいたため、大池が一気にホームを狙うと、セカンドからの送球はそれて、明八が先制する。明八は3回裏にも2四死球とバントで1死2・3塁とすると、セカンドエラーで追加点。さらに5番丸山がライト前に2点タイムリーを放ちこの回3点を追加する。

八実の反撃は4回表で、恩田のヒットからチャンスを作ると7番永井がライト前にタイムリー。さらに続く森のライトオーバー2ベースで2・3塁とすると、9番井上の犠飛で2点目をあげる。しかし明八打線は5回裏に3番後山から6番島村までの4連打で2点を奪い、再び4点差に(ちなみにこの5裏の明八の攻撃はアウトが全て走塁死という珍しいものだった)。

それでも八実は食らいつき、6回表に1死2・3塁から井上の高く跳ねた打球がサードの頭を越える2点タイムリーとなり、さらに7表にも恩田の犠飛でついに1点差に迫る。

9回表にも荒川・西庄の連打で同点、さらには逆転のチャンスを作るも、4番樋川のライトへのいい当たりをライトが何とかダイレクトキャッチすると、1塁ランナーが戻れずにゲームセット。明八が何とか逃げ切って八王子ダービーを制した。

20170716明大中野八王子 大池
1点目を1人で奪うなど攻守にわたって主将としてもチームを牽引した大池

20170716明大中野八王子 丸山
3安打3打点の活躍をみせた丸山

20170716八王子実践 永井
打ってはタイムリーを含む2安打、リリーフとしては2回パーフェクトの永井


Topic
◆やはり痛すぎた6失策
八王子実践は明大中野八王子よりも多い11安打を放ち、中盤以降は猛追を見せたが最後は及ばなかった。攻撃力はある程度評価できる内容で、はやり敗因となってしまったのは序盤の守備の乱れから来た失点であった。

まず1点目が牽制暴投+セカンドがもたもたで内野安打1本のみで取られてしまう始まりで、3回にも1死1・2塁からセカンドベース付近のセカンドゴロをセカンドが後ろに逸らしてしまい(とっていればゲッツーだったかも)、センター前ヒットにしてしまい、先発の加藤は3回まで自責点は0なのに4失点となってしまっていた。加藤にしては不運と言いたいところだが、加藤自身も上述の牽制暴投を含めて2エラーであった。

実際八王子実践の守備力がないわけでないのだろうが、これまでの練習の成果を見せることができずに6失策…これでは強豪相手に勝つのは難しかっただろう。


◆東村山中央ボーイズの同期対決
八王子実践のエース加藤と、明大中野八王子のエース後山はともに東村山中央ボーイズの出身でともに3年生。つまりこの試合はボーイズの同期対決となった。ボーイズ時代の詳しいことはわからないが、以下の動画(相手投手早実の橘内じゃん)だと決勝戦で加藤が先発しているので加藤がエースだったのかな?ちなみにこの世代には聖望学園の左腕:高橋海もいるみたい。
https://www.youtube.com/watch?v=h9jXhV450NI

そんな対決であったが、上記のとおり加藤の投球は悪くないものの、守備に足を引っ張られたこともあって失点を重ねる、一方の後山も中盤以降は失点を重ねてしまう。残念ながら投手対決という展開ではなかったが、それでも最後の夏にこうして中学時代の同期と戦えるってのはいいことなんだろうな…。

と熱闘甲子園が好きそうなネタを書いてみました。

20170716八王子実践 加藤
八王子実践のエース加藤は決して悪いピッチングではなかったが…


◆目指す八王子ダービーはその先
今回の八王子ダービーを制した明大中野八王子であるが、明大中野八王子が見据えるのはもう1つの八王子ダービーであろう。八王子といえば、やはり昨夏の西東京を制して初の甲子園出場を決めた八王子高校。明大中野八王子は咋年の春・夏と八王子に連続でコールド負けを喫している。さらに秋も八王子と当たると途中までリードしていたにも関わらず、その試合は降雨中止…翌日の仕切り直しで敗れるという因縁までついている。

これで3回戦突破を決めた明大中野八王子はあと2回勝てば、準々決勝で八王子と当たる可能性がある。その2回には春東京ベスト8のシード校駒大高も含まれるが、八王子とやるまでには負けるわけにはいかない。


Pickup Player
後山宗一郎 明大中野八王子 ピッチャー
マウンドを譲らないまさにエースの完投劇

明大中野八王子のエース後山は、バッターから見えると球の出処が見づらそうなスリークウォーターから、右バッターのインコースに角度のあるストレートを投げ込む左腕らしい投手。変化球はスライダーが主で基本はストレートとのコンビネーションであり、コントロールもまずまずのものがある。

1年秋からエースとなった後山は打撃も魅力で当時から3番を務め、投げないときはファーストの守備についていた。昨夏に八王子に負けて、咋秋からは最終学年の大黒柱として期待されたが、リベンジをかけて臨んだ咋秋の八王子戦では小林知が先発したようにどこかピリッとしないところがあった。

この日も8回以外は全てのイニングでランナーを背負い、決して会心の投球というわけではなかった。それでも奪った三振は全て先頭打者かピンチの場面であったように、序盤は要所はしっかりと締めて無失点で切り抜けた。しかし中盤以降は八王子実践打線にやや捕まり始めて5失点。ブルペンで天野らも練習していて、正直8回あたりからは継投かと思ったが、これがエースの意地というものかそのまま続投。8回はピッチャーに向かってくる打球2個を素晴らしい反射神経でアウトにとってみせるなどして、迎えた9回も連打でピンチを招くも、最後も粘りのピッチングで何とかリードを守り切った。結果的には5失点完投であるが、どこか最後の夏にかける重いやマウンドは譲らないというエースとしての責任感が現れた素晴らしいピッチングであった。

20170716明大中野八王子 後山
9回まで投げ抜いて完投勝利をおさめた後山


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九州三菱自動車×トヨタ自動車【都市対抗】 ~トヨタがタイブレークの末藤岡のサヨナラ満塁弾で開幕戦を制する~

7/14 都市対抗野球(開幕戦)
九州三菱自動車×トヨタ自動車 @東京ドーム

都市対抗の開幕戦に行ってきました。昨年の覇者トヨタ自動車に、九州第3代表の九州三菱自動車が挑みます。

試合スコア
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
20170714九州三菱自動車×トヨタ自動車

トヨタは1回裏に四球とバントのフィルダースチョイスで無死1・2塁のチャンス。続く3番河原もバントをキャッチャー林がサードへ暴投し、万事休すかと思ったが、一気にホームを狙ったセカンドランナーの藤岡はカバーに入ったレフトからの好返球で憤死。そして九州三菱自動車の先発谷川が樺澤・河合を連続三振に斬ってとる。すると直後の2回表に6番八坂がソロホームランを放ち、九州三菱自動車が先制する。

早く追いつきたいトヨタであるが、谷川の前に4回までノーヒットに抑えられてしまう。しかし5回裏先頭の西潟がライトスタンドギリギリにホームランを放ち同点。試合はその後、川尻・谷川の力投で1-1のまま9回を迎える。

9回表、九州三菱自動車は先頭の隈本がヒットで出塁→バントで1死2塁と勝ち越しのチャンスを作る。トヨタはここで川尻→藤田にスイッチ。藤田が代打安藤を三振に仕留めると、続く4番松尾のところでは竹内を投入し、竹内が期待に応えて松尾を三振に仕留めてピンチを脱する。

延長10回に入るとトヨタはエース佐竹を投入、一方谷川も力投を続け試合は1-1のまま11回を終えて、12回からはタイブレーク(1死満塁からスタート)となる。先攻の九州三菱自動車は1番隈本からの攻撃を選択するも、隈本・矢野が連続三振で無得点。対するトヨタも1番藤岡からの攻撃を選択すると、藤岡がライトスタンドにサヨナラ満塁ホームランを放って勝負を決めた。

20170714九州三菱自動車 八坂
先制ホームランを放つ八坂

20170714トヨタ自動車 西潟
同点ホームランを放った西潟

20170714トヨタ自動車 川尻
9回途中まで1失点の好投をみせた川尻


Topic
◆佐竹は使わずに…
トヨタの初戦の先発はエース兼主将で、昨年橋戸賞も獲得した佐竹ではなく川尻であった。都市対抗も勝ち進んでいけば、連戦となるのでピッチャーは佐竹ばかりとはいかなくなるが、この試合の次は中5日空いているために、戦力だけで見れば佐竹を先発させない理由はないという状況であった。

まぁトヨタとしは常勝軍団を目指すべく、ある程度リスクを負っても他の投手を育てるということなのだろう。それが顕著に表れたのは9回表、1死2塁というピンチで桒原監督はピッチャー交代を告げる。このとき佐竹もベンチ前でキャッチボールをしていたが、マウンドに上がったのは藤田(まぁ藤田もベンチ前でキャッチボールはしていた)であった。この藤田が代打安藤を三振に仕留めると、桑原監督はまた交代を告げた。今度こそ佐竹かと思ったが、マウンドへはベンチから出てきた左腕竹内が向かった。あえての藤田・竹内に試練を与えた采配といってもよかったであろう。

ただこの日登板した3投手は
・川尻 8回1/3 1失点
・藤田 打者1人のみだが三振に仕留める
・竹内 打者1人のみだが三振に仕留める
ということでこの3人は最高の仕事をしたといっても過言でない素晴らしい内容で、桑原監督の期待に応えた。

20170714トヨタ自動車 竹内
9回のピンチで相手4番を三振に仕留めた竹内


◆それでも最後は佐竹様
ただこうして9回のピンチを佐竹を使わずに凌いだトヨタであったが、延長10回になると佐竹をマウンドにあげた。正直この日の佐竹は高めに浮く球が見られ、いつものストライク先行のピッチングができておらず、調子はよくないのかな?と思った。

ただボール先行になってもなんとか持ち直して打者を打ち取っていき。10回・11回を3人ずつで抑える。そしてタイブレークの12回は圧巻の連続三振。最後は藤岡であったが、もうこれで試合が決まったと思える場面であった。結局佐竹はタイブレークも含めて、2回2/3を無安打無失点4奪三振という内容。最後は佐竹様降臨でトヨタが勝利をもぎ取ったといえる。

20170714トヨタ自動車 佐竹
タイブレークを2者連続三振で勝利を呼び込んだ佐竹


◆王者相手に立派すぎるピッチング
5年ぶりであり、九州の最後の枠である第3代表、チームは15人が1年目or2年目という若返りの途中である九州三菱自動車。さらに豪雨で東京に来る前は思うように試合もできなかったという状態…。誰が王者相手にタイブレークの死闘を見せると思ったであろうか?

その立役者は間違いなくエースの谷川である。谷川は重心を低くしたフォームから、この日はMax143㌔のストレートに130㌔台のカットボールが中心のピッチングで、特に追い込んでからはこのカットボールが低めに決まっていて三振の山を築いた。またスタミナも十分で。延長11回にもこの日最速タイとなる143㌔をマークするなどしていて、まるでこの展開知っていましたと言わんばかりの終始安定したピッチングであった。

ただ延長12回は藤岡相手にカウント3B1Sと悪くしてしまい(押し出しだとサヨナラ負けという場面)、ストライクを取りに行った甘いボールをライトスタンドに運ばれてしまったのは後悔するところかもしれない。それでも王者相手に11回13奪三振1失点というナイスの一言では済まないほどのピッチングであり、156球投げ抜いたエースを責める者はいないはずだ。

20170714九州三菱自動車 谷川
トヨタ相手に11回13奪三振1失点のピッチングをみせた谷川


Pickup Player
藤岡裕大 トヨタ自動車 ショート
~最後はド派手に決めてみた~
延長12回にわたる死闘を最後に決めたのは、今年のドラフト候補にもあがるトヨタの1番打者:藤岡であった。

藤岡は岡山理大付で1年秋からサードのレギュラー。その一方投手も兼任し、Max149㌔をマークした。パンチ力のある打撃、俊足、強肩も兼ねそろえた安定したサード守備は一級品で、投手としても打者としてもスカウトから注目された。最後の夏は関西の堅田(ツネイシ)からホームランを放つなど活躍するも、わずかに及ばず1-2で敗北。岡山準Vが最高で甲子園出場はならなかった。

亜細亜大では1年春から1番サードとして活躍し、いきなりベストナインと新人賞を獲得。以降たまに不振で打順を下げることもあったが基本的には1番サードとして活躍し、ベストナイン3度、首位打者1回を獲得。8期中6期東都を制し、明治神宮大会も2度優勝。通算記録では東都歴代9位タイとなる104安打を放った。しかし2年前のドラフトではまさかの指名漏れで、トヨタ自動車に入社した。

トヨタでは内野手が飽和していたこともあって、昨年は1番ライトとして活躍し、都市対抗では打率.381をマークして優勝に貢献、自身も若獅子賞を受賞した。2年目の今季は源田(西武)が抜けたことによりショートに挑戦し、1番ショートとして活躍。社会人の日本代表候補にも選ばれている。このままいけば社会人野手の中でもドラフトの目玉となる逸材である。

この日の藤岡は1打席目に四球で出塁すると、2塁からバントのキャッチャー悪送球で一気にホームを狙うもタッチアウト。今思うとこのアウトが接戦の口火を切ってしまった形になる。2・3打席はどこかあてにいくような感じのショートゴロ。4打席目に1・2塁間を破るヒットを放って少しらしさが出てきたというところであったが、11回の先頭打者ではレフトファールフライであった。

しかし桑原監督は重要なタイブレークの先頭打者に藤岡を指名した。佐竹が表を無失点で切り抜けたので、1死満塁で1点入れればサヨナラという場面の第6打席。カウントが3B1Sとなり、もう1個ボールでもサヨナラという場面であったが、藤岡は次の球を振り抜くと打球はトヨタファンが赤く染めたライトスタンドに飛び込む、サヨナラ満塁ホームランとなった。俊足の1番でありながら、しっかりとバットを振り抜くバッティングが魅力の藤岡らしいホームランであった。

昨年は都市対抗で若獅子賞を受賞した藤岡、今年はもう橋戸賞を狙うしかない。

20170714トヨタ自動車 藤岡
サヨナラ満塁ホームランとなる打球の行方を見守る藤岡


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Honda鈴鹿×きらやか銀行【都市対抗】 ~Honda鈴鹿が若きバッテリーの活躍で逆転勝利~

7/15 都市対抗野球大会1回戦
Honda鈴鹿×きらやか銀行 @東京ドーム

試合スコア
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
20170715Honda鈴鹿×きらやか銀行


きらやか銀行は1回裏、2死から3番小野寺がヒットで出塁して登録を決めると、4番日山がライトオーバーのタイムリー2ベースを放ち先制。きらやか銀行は3回裏にも1番藤田が内野安打で出塁して盗塁を決めると、3番小野寺がレフト前タイムリーを放って、リードを2点に広げる。

4回まできらやか銀行のエース小島の前に無得点に抑えられていたHonda鈴鹿は5回表、先頭の庄司が死球で出塁してバントで送ると、9番澤田がセンター前にはじき返し1点を返す。さらにグランド整備開けの6回表に途中出場の安慶名の2ベースから、3番松本のタイムリーで同点。さらにバントで松本を2塁に進めると、6番柘植がレフト戦に2ベースを放ち勝ち越した。

投げては3回からリリーフした平尾が8回までノーヒットピッチング。最終回はベテランのリリーフエース鹿沼が抑えて、Honda鈴鹿が初戦を突破した。

20170715きらやか銀行 小野寺
いずれも得点に絡む2安打を放った小野寺

20170715Honda鈴鹿 平尾
5イニング無安打リリーフをみせた平尾

T20170715Honda鈴鹿 柘植2
決勝打を放っち塁上でガッツポーズの柘植


Topic
◆補強選手を使わず若きバッテリーで
Honda鈴鹿はエース:平井(西武)と正捕手:飯田(オリックス)がプロ入りして迎えた今シーズン。都市対抗の予選では新人の瀧中・平尾の好投、キャッチャーに高卒2年目の柘植を添えて出場権を獲得。しかし補強選手はピッチャーの秋葉(JR東海)・立野(東海理化)、キャッチャーの山根(東海理化)と3人ともバッテリーでやはりバッテリーが弱点なのかなと思った。

この初戦は先発に新人の瀧中、キャッチャー柘植で臨んだ。瀧中は球に力はあったものの2点を失って3回降板。もうこれ以上点をやれないという場面で秋葉あたりが出てくるかと思ったが、2番手でマウンドに上がったのは同じく新人の平尾。この平尾が素晴らしいピッチングを見せると、柘植が決勝のタイムリー。最終回はリリーフエースの鹿沼が抑えた。

結局補強の3選手は使わずに、自前の若いバッテリーで勝利したHonda鈴鹿。これで勝てたということは単なる1勝という以上にチームに大きな価値をもたらせたことだろう。

20170715Honda鈴鹿 瀧中
先発した瀧中は3回で降板となってしまった


◆主将離脱の後輩代役が活躍
Honda鈴鹿の主将の大城戸は、ライトの守備でフェンス際の打球に対応した際に負傷。そのままプレーを続けたが、第2打席で内野安打を放ち、1塁へ全力で走った+ヘッドスライディングをしたところで交代となってしまった。

代わりに代走に入ったは安慶名。法政大では大城戸の1年後輩で、主将を務めた選手だ。代走からそのままライトに入った安慶名は6回表の先頭打者として迎えた初打席で見事に左中間を破る2ベース。続く松本のライト前ヒットで瞬足をいかして一気にホームを駆け抜けた。この回で逆転をしたHonda鈴鹿にとって、この安慶名の2ベースは非常に大きなものであった。

主将の離脱という大きな痛手を負ったHonda鈴鹿であるが、その代役の大学の後輩にも注目です。


◆昨年の再現はならず…
昨年の都市対抗で1番の番狂わせといったら初出場のきらやか銀行が、50回目の出場となるパナソニックを破ったことであった。そしてその勝利の立役者こそが9回には追い付かれたものの、8回までパナソニック打線を無得点に抑えた小島であった。小島はこの日ももちろんのこと先発のマウンドに上がると、抜群の制球力を武器にHonda鈴鹿打線を抑えていく。特に圧巻だったのは4回で無死1・2塁のピンチを迎えるも、得意のチェンジアップを武器にそこから石井・畔上・柘植を三者連続に斬って取った。

しかし5回・6回になると鈴鹿打線も小島の球にあってきたようで、6回に逆転打を浴びたところで降板となってしまった。残念ながら昨年の再現とはいかなかった小島だが、昨年よりも研究されてマークが厳しくなる中、その実力の高さは見せられたと思う。社会人3年目の右腕でプロ入りも十分に視野に入っていることだろう。

20170715きらやか銀行 小島
4回までは無失点であった小島だが5・6回に捕まった


Pickup Player
柘植世那 Honda鈴鹿 キャッチャー
~決勝打は高卒2年目の正捕手~
上記のように飯田が抜けたHonda鈴鹿の正捕手の座を獲得したのは、高卒2年目の柘植であった。

健大高崎では1年夏からベンチ入りを果たした柘植は、1年秋から正捕手となると、2年夏に甲子園出場を果たし、18打数8安打8打点の活躍でベスト4に貢献。2年秋からは主将にも就任し、3番キャッチャーとして3年春のセンバツはベスト16、3年夏の選手権大会はベスト8まで進むも持ち前の打撃は振るわなかった。高校通算32発、セカンド送球1.8秒の強肩強打の捕手としてプロからも注目されたが、ドラフトでは指名漏れでHonda鈴鹿に入社した。

1年目の昨年はほとんど出場機会はなかったが、大黒屋の飯田が抜けた今期は立教大卒の新人上野との争いを制して、高卒2年目ながら正捕手の座を獲得した。

この試合では補強のベテラン山根の起用もあり得たが、柘植が先発マスクをかぶる。1回・3回といい場面で盗塁を許してしまい(まぁこれは瀧中のモーションの問題も大きいが…)それがいずれも得点につなが手つぃまった。しかし4回からは平尾をうまくリードして、以降無失点の投手陣を支えた。

打撃面では1・2打席と三振を喫するが、同点の2死2塁で迎えた第3打席では追い込まれてから小島のストレートをレフト戦にライナーではじき返して値千金の決勝タイムリーを放った。高卒2年目ながら、7番庄司・8番中村といった東都の実力者を抑えて6番に座っているだけあるというバッティングであった。

正捕手としての真価が問われるのはまだまだであるが、とりあえず初戦では結果を出した。このまま結果を出し続ければ、来年には間違いなくドラフト候補として名前が挙がることであろう。

20170715Honda鈴鹿 柘植
高卒2年目ながら正捕手の座を獲得した柘植



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この夏に是非とも見たい2強の対決

夏の甲子園を目指して各地で予選が始まっています。
今日はそんな予選の中でも、どっちが甲子園に行ってもおかしくないというレベルの見ごたえのあるライバル対決ベスト5を勝手に紹介します。

⑤報徳学園×神戸国際大付
どちらもセンバツに出場した兵庫の2強。咋秋は神戸国際大付が決勝で報徳学園を破り、そのまま近畿大会では大阪桐蔭を破るなどして準V。一方報徳学園は近畿ベスト8で何とかセンバツに滑り込んだという状況。しかしセンバツ以降は流れが逆転し、神戸国際大付がまさかの1回戦敗退なのに対し、冬の間に力をつけた報徳学園は準優勝の履正社に薄氷の差のベスト4。監督が大角監督に代わっても、報徳学園がその勢いのまま春の兵庫大会も制した。

とまぁ流れでは報徳学園だが、神戸国際大付のエース左腕の黒田はセンバツでは2失点完投(最後は連続エラーで敗ける)、秋・春の敗けた試合では登板なしなので、まともに敗れたことがない。よってこの夏もどちらが勝つか全く読めない。

20170506報徳学園 西垣 20160923神戸国際大付 黒田
報徳学園のエース西垣(左)と神戸国際大付のエース黒田(右)


④浦和学院×花咲徳栄
秋・春の埼玉大会の決勝は2年連続で浦和学院×花咲徳栄となった。そしてこの4回の対決は全て浦和学院が勝利している一方、夏に限って言えば浦和学院は2年連続で花咲徳栄に当たるまえに敗退していて、花咲徳栄が2年連続で甲子園に出場している。今年は例年以上に埼玉ではこの2チームが抜けた存在であり、順当にいけば決勝で当たることはほぼない。相性で言えば浦和学院であるが、夏という意味では花咲徳栄。両チームともに好投手を複数擁し、打線も強力。こちらもどちらが勝つか読めない状態だ。

20161008浦和学院 佐野 花咲徳栄 西川
浦和学院のエース佐野(左)とプロ注目の花咲徳栄の強打者西川(右)


③前橋育英×健大高崎
センバツにともに出場した前橋育英と健大高崎という群馬の2強。群馬大会の決勝は現在4季連続でこの2チームの対戦となっている。そしてその4試合は全て前橋育英が勝利しているが、そのうち1点差が3試合、もう1試合は延長戦と非常に拮抗した試合となっている。延長戦となったのは昨夏で、その延長戦で投げ合った吉沢・伊藤がともに最高学年となってエースを務める両チーム。

前橋育英は140㌔カルテッドを擁し、健大高崎は今年も機動破壊をはじめとした攻撃力が持ち味。ともにハイレベルな陣容であり、こちらもどちらが勝つか検討もつかない。

20170320前橋育英 丸山 20161023健大高崎 湯浅
1番打者でピッチャーも務める丸山(左)と機動破壊の申し子の健大高崎1番で主将の湯浅


②日大三×早稲田実業
秋・春ともに大激戦の末に早実がサヨナラ勝ちを納めたカード。この夏は両チームが対戦するだろう決勝は、予選としては初めて前売券が発売されるなど注目度は高く、某メディアが開会式で西東京の全チームの主将にどっちが強いかとアンケートをとったほどである。この両チームが夏の決勝で対戦したのは、早実:斎藤祐樹の代と、日大三:高山・横尾・吉永の代。つまり近年ではその決勝で勝ったチームが甲子園も制している。

ただ秋・春はともに早実が勝ったが、夏は日大三が有利という見方が多い。その要因は春は秋に清宮から5三振を奪った日大三のエース桜井は投げずにあのスコアだったからである。上記のアンケートでも日大三が上という意見が多かった。

20170319日大三 桜井3 20170427早稲田実業 清宮
日大三のエース桜井(左)と高校通算ホームラン数の更新にも期待がかかる早実のスラッガー清宮(右)


①大阪桐蔭×履正社
センバツの決勝を戦った2チームでも、同じ県であれば夏の甲子園に出られるのはこの2チームのどちらかというのが残酷な高校野球のルールだ。秋は履正社が大阪桐蔭を破ったが、センバツの決勝では大阪桐蔭が勝利した。そして大阪桐蔭はその勢いのままに春は近畿制覇、一方履正社は東海大仰星に足元をすくわれてしまった。

2年生中心の大阪桐蔭のほうが秋からの伸びしろが大きく、夏も有利という見方が多いが、履正社もプロ注目のスラッガー安田を中心に強者揃いで、チームの完成度も高い。いずれにせよ甲子園の決勝に匹敵するほどのハイレベルな試合になることだろう。

20160923大阪桐蔭 徳山3 20161030履正社 安田2
センバツ優勝投手のエース徳山(左)とプロ注目のスラッガー安田(右)



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