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大阪桐蔭×智弁和歌山【秋季近畿大会準々決勝】

10/28 秋季近畿大会準々決勝
大阪桐蔭×智弁和歌山@ほっともっとフィールド神戸

前チームでは秋の近畿大会決勝、センバツの決勝、春の近畿大会決勝と3度対戦した大阪桐蔭と智弁和歌山という関西の両雄が、この秋は早くも準々決勝で激突。勝った方がセンバツ出場確定という大一番です。


試合経過

20181028大阪桐蔭×智弁和歌山
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

前日の1回戦に続いての連戦となった両チームであるが、智弁和歌山が背番号11の1年生左腕の池田泰、大阪桐蔭が背番号1の右腕新井と両チームともに前日と同じ先発ピッチャーで試合が始まった。

先攻の大阪桐蔭はいきなり1番柳本がレフト線に特大の飛球。プロ野球だったら間違いなくリプレイ検証されていただろうという打球であったが、判定はファールとなった。しかし柳本はフルカウントからうまくライト前に弾き返して出塁すると、盗塁さらにはその送球が逸れる間に3塁に到達。3番西野のセカンドゴロの間に生還して大阪桐蔭が先制する。
20181028大阪桐蔭 柳本
大阪桐蔭の1番打者として先制点の起点となった柳本

智弁和歌山は2回裏、根来・佐藤が連打で出塁すると、ショートゴロの間にそれぞれ進塁して2死2・3塁のチャンスを作る。8番池田泰の当たりをショート榎木が好捕してチェンジかと思いきや、ファースト西野は打球が抜けると思ってしまったのかファーストベースに入るのが遅れ、ショートからの送球をキャッチするも1塁ベースを踏めずにセーフ(記録は内野安打)で同点。さらに前日の大阪偕星戦では逆転3ランを含む6打点の活躍をみせた9番綾原が好調そのままにセンター前に弾き返して智弁和歌山が逆転に成功する。
20181028智弁和歌山 綾原
逆転となるタイムリーをはなった好調の智弁和歌山の綾原

大阪桐蔭のエース新井はMax137㌔のストレートをコントロールよく投げ込む右腕。大阪大会では背番号9であったが、中田や仲三河の調子が悪いこともあり、6試合に先発し、山場となった準決勝の大阪偕星戦では1失点完投勝利。この近畿大会からは背番号1を背負い、前日に続いて先発のマウンドにあがった。この日は前日にフォークを武器に智弁和歌山を中盤まで見事に抑えた大阪偕星の福田を参考にしたのか、SFF多めの投球で智弁和歌山打線に挑んだ。ただ上記の守備のミスで同点→逆転とされてしまうとペースを乱し自慢のコントロールが乱れてしまい、綾原のタイムリーの後に細川に死球を与えて満塁としてしまうと、西川・黒川にはなんと連続押し出し四球を与えてしまい、智弁和歌山がこの回一挙4点を奪う。
20181028大阪桐蔭 新井
大阪桐蔭のエース新井であったが2回に4失点を失ってしまった

大阪桐蔭の乱れは止まらず、続く3回にも根来の打球をセカンド宮本が1塁へ暴投。これは見事なバックアップで2塁を狙った根来をアウトにしたが、続く佐藤のショートゴロも送球が逸れて1塁セーフ。このランナーを2塁へ送られると、8番ピッチャーの池田泰の打球は前進していたセンターの頭を越えるタイムリー2ベースとなる。
20181028智弁和歌山 池田泰2
追加点となるタイムリーを放つ智弁和歌山の池田泰

反撃に出たい大阪桐蔭であるが、池田泰のピッチングの前に4~7回までパーフェクトに抑えられてしまう。ただ5回からマウンドにあがった大阪桐蔭の2番手中田も5~7回と智弁和歌山打線を無得点に抑えて試合は硬直状態となる。

8回表、大阪桐蔭は好投の中田に代えてこの日はスタメンを外れていた主将の中野を代打に送る。中野は今日に応えて見事にライト前ヒットを放つも、続く西浦がセーフティを試みてバントを空振りすると、キャッチー東妻からの見事な送球で1塁牽制アウト。せっかくの反撃ムードが消沈してしまった。それでも2死から柳本がピッチャーゴロエラーが出現すると、3番西野がレフト前にタイムリーを放ち1点を返す。なおも1発が出れば同点というチャンスで4番船曳を迎えるも、セカンドゴロに倒れてしまった。

ただ自らの凡ミス(エラー)でピンチを招くなど池田泰は100球も越えて疲れてきたこともあり、8回裏の攻撃では代打を送られて降板。智弁和歌山の最終回のマウンドには背番号1をつけていて、センバツの決勝では先発して大阪桐蔭の前チームを5回2失点に抑えた池田陽がマウンドにあがる。しかし大阪桐蔭のようにストレートに振りまけない打線は、独特なフォームの左腕池田泰より、130㌔後半のストレートを操る池田陽の方がお得意様だったのか…1死から石井がヒットで出塁すると、続く山田は逆方向であるレフトの頭を越える2ベースを放ち1死2・3塁とする。センバツ出場を見据えると、敗れるにしてもここで少しでも点差を詰めておきたい大阪桐蔭は代打に伊東を送るも、池田陽のスライダーの前にバットが空を斬ってしまい2死。続く西浦もサードゴロに倒れてしまい、智弁和歌山が5-2で勝利した。

20181028大阪桐蔭×智弁和歌山 スコアボード


大阪桐蔭が重要な公式戦で敗けたのは2017夏の甲子園の仙台育英戦以来である(甲子園の直結しない明治神宮大会や秋季大阪大会の決勝では敗けているが…)。そしてくしくもこの時と同じようなミスが敗北に繋がってしまった。ご存知の通り仙台育英戦ではショートゴロでゲームセットと思いきやファースト中川がベースを踏み外して、その後に逆転サヨナラ打。この日も2回の裏の守備ではショートゴロでチェンジと思いきや、ベースに入るのが遅れたファースト西野がベースを踏めずにセーフ。そこから4失点を喫してこれが敗北の原因となった。1年生ながらスタメンに名を連ねた西野にとっては非常に辛い結果となってしまったことだろう。

西野は1年生ながら180㎝90㎏という体格のスラッガーで1年生ながら大阪桐蔭の3番を務める。足を大きく上げたフォームからパワフルなスイングを繰り出し、当てれば打球スピードはすでに高校生離れしている。ただタイミングが合わないと打てる気がしないという脆さもあるが、この試合の大阪桐蔭の2打点はいずれも西野のバットからだった。打力は非常に魅力な一方、守備・走塁に関してはまだまだ大阪桐蔭のレベルにはない。ただ西谷監督にしてみれば、それらは織り込み済で西野を使っているだろうし、大阪桐蔭全体にそれをカバーするものがなかったということだ。仙台育英戦で踏み外した中川は、その後新チームで主将を務め春夏甲子園連覇を果たした。西野にもこの経験を糧に大阪桐蔭を代表する選手に成長して欲しい。
20181028大阪桐蔭 西野
守備のミスは痛かったが、打っては2打点を叩き出した大阪桐蔭の西野

大阪桐蔭の課題は投手陣であろう。この試合は結果だけ見れば智弁和歌山を5点というのはそこまで悪いとは思わない。ただエース新井は味方の守備に足を引っ張られたこともあったが、連続押し出しを与えるなどして5失点。その後は2番手の中田、3番手の高野と智弁和歌山打線を無得点に抑えたが、3投手ともにMaxは130㌔後半。3投手とも"いい投手"ではあるのだが、凄い投手ではないのだ。やはり大阪桐蔭のエースとしては藤浪・徳山・柿木のように凄い投手が求められることだろう。新井・中田の両右腕に、藤江・高野といった左腕、さらには近畿大会ではベンチ外となってしまった1年生右腕の仲三河の中から冬場に成長して凄い投手が出てくることに期待したい。

また2点に抑えれた大阪桐蔭打線だが、ヒットは智弁和歌山を上回る9本をマーク。特に池田泰に疲れが見えてきた終盤は、十分に同点に追いつくチャンスはあった。それだけに8回に中野がキャッチャーからの牽制でアウトになってしまった場面は、その後にチャンスを作って得点に持っていっただけに痛かった。また9回は敗けるにしても1点でも2点でも詰めておけばセンバツに大きく近づく場面であり、智弁和歌山は前進守備を引いていなかったにもかかわらず1死2・3塁のチャンスで代打に送った伊東が内野ゴロも打てずに三振したのは痛かった。というように大阪桐蔭としては珍しく拙攻が目立ってしまった。大阪桐蔭の強さは選手個々の能力だけに限らず、試合巧者ぶりであったが、新チームでは経験者が少ない(前チームのレギュラー0で、甲子園でベンチ入りしていたのも宮本と中野のみ)こともあり、まだそのような力は備わっていないようであった。それでも近畿ベスト8ということでまだセンバツ出場の可能性はある。春夏連覇した藤浪世代も、秋は近畿ベスト8であったし、まだまだここからだ。

勝利した智弁和歌山が伏兵の活躍が目立った。打線でいえば前チームからのレギュラーである西川・黒川・東妻という打線の中核をなす3人はノーヒット。打で活躍したといえるのはタイムリー2本の8番池田泰(先発投手)、前日の6打点から好調さをキープした9番綾原といった下位打線であった。投手陣でも、春のセンバツ決勝で大阪桐蔭を5回2失点に抑えた実績のあるエースの池田陽が先発すると思われたが、フタを開けてみれば前日に続いて1年生左腕の池田泰。前日では大阪偕星にKOされてしまった左腕が大阪桐蔭相手に8回2失点のピッチングを見せるとは誰が思ったであろうか?

97年の智弁和歌山センバツ優勝の主将捕手であり、阪神→楽天→巨人にも在籍した中谷仁がこの秋から監督を務めるが。早くも采配が的中して、公式戦6連敗中で、前高嶋監督が打倒に執念を燃やしていた大阪桐蔭を早くも撃破。2年生世代は入学時から大阪桐蔭に苦杯をなめていて、主将の黒川は1年春から大阪桐蔭戦5試合にスタメン出場を果たして全て敗れている。勝った瞬間の智弁和歌山ナインはまるで優勝したかのような喜び方であり、サードゴロに打ち取った瞬間の池田陽のガッツポーズも印象的であった。
20181028智弁和歌山 池田陽
最終回を締めた智弁和歌山の背番号1池田陽
Pickup Player



池田泰騎 智弁和歌山1年 ピッチャー
~前日とは打って変わっての横綱撃破~
前日の内容を踏まえても智弁和歌山の1年生左腕の池田泰が大阪桐蔭を撃破するのは誰が予想したであろうか?

池田泰は1年夏から控え投手として甲子園でもベンチ入りを果たした左腕であるが、甲子園では登板無し。この秋は背番号11を背負い、前日の近畿大会1回戦の大阪偕星戦でも先発を果たしていた。しかし3回3失点という内容で相手にリードを許した状態で降板と結果を残せずに、この試合の先発はエース池田陽だと思われいた。

しかしそんな予想に反して、前日に続いて先発のマウンドにあがった池田泰。体をやや前に倒した独特なスリークウォーターのフォームから繰り出されるストレートはMax133㌔であったが、右バッターにクロス気味に入ってきて角度がある。変化球はスライダーが多く、カーブも交えるというオーソドックスなタイプである。初回に先制を許してしまったが、味方が逆転した後は完全にペースを掴み、4~7回は大阪桐蔭を3人ずつで抑える好投。前日と違ってコントロールがよく、ボールをコーナーに低めに集めることができていた。8回にはスタミナが切れてきたこともあり、自らのエラーから2点目を失ってしまい、最終回は池田陽にマウンドを譲る形となったが、天下の大阪桐蔭打線相手に8回2失点の好投であった。

池田泰は打撃面でも大きく貢献。2回には同点タイムリーとなるショート内野安打(西野がベース踏めなかったやつであるが、打球が強烈であり記録は内野安打)。3回には前進守備のセンターの頭を越えるタイムリー2ベースを放つなど打ってもタイムリー2本で大阪桐蔭撃破に大きく貢献した。まだ1年生ながら大仕事を果たしてしまった池田泰。これは大きな地震にもなったことだろうし、今後の活躍にも期待したい。

20181028智弁和歌山 池田泰1
大阪桐蔭相手に8回2失点の好投をみせた智弁和歌山の池田泰


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市立和歌山×龍谷大平安【秋季近畿大会準々決勝】

10/27 秋季近畿大会準々決勝
市立和歌山×龍谷大平安@ほっともっとフィールド神戸

試合経過

20181027市立和歌山×龍谷大平安
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

勝てばセンバツ出場が事実上確定する近畿大会の準々決勝の第1試合は1回戦で天理を破った龍谷大平安と、1回戦で近江兄弟社を破った市立和歌山の対戦。センバツをかけた大一番とあって両チームともエース左腕の豊田と岩本が1回戦に続いてマウンドにあがった。

1回裏、平安は2番北村が粘って四球で出塁すると、2盗→3盗と決めてチャンスメイク。4番水谷はフルカウントからの変化球をうまく右中間に運び、平安が夏からのレギュラー2人の活躍で先制する。
20181027龍谷大平安 水谷2
先制のタイムリーを放った龍谷大平安の4番水谷

1・2回と豊田の前に抑えられていた市立和歌山は3回表、瀧谷のヒット→バント→山野のヒットで1死1・3塁のチャンスを作ると2番下井田が三遊間を破り同点。3番緒方も全く同じような打球のタイムリーで続くと、4番柏山は右打者ながらライト方向にうまくおっつけるバッティングでライト線へタイムリー2ベース。この3連続タイムリーはいずれも豊田の得意球であるカーブを捉えたもので、全てそのバッターのカーブ初球。天理戦でカーブを有効に使って好投した豊田をしっかりと研究して狙いを定めていたようであった。
20181029市立和歌山 緒方
3回に勝ち越しのタイムリーを放った市立和歌山の3番緒方

完全にリズムを崩した豊田は続く上原に四球を与えて満塁としたところで降板。原田監督は豊田とエースを争ってきた同じ2年生左腕の野澤をマウンドに送る。市立和歌山はその野澤の代わった初球にスクイズという意表をつく攻撃をしかけるが、バントはピッチャー正面となってしまい、これを野澤が冷静にグラブトスで処理してホームアウト。野澤は続く片上も見逃し三振に斬ってとり、見事な火消し役を果たす。

野澤の好投でリズムを掴んだ平安は4回裏、先頭の奥村のヒットから2死3塁とチャンスを作り、迎えた8番羽切はカウント3B1Sから甘く入ったストレートをレフトスタンドに運ぶ2ランで平安が同点に追いつく。その後は平安の野澤がパーフェクトピッチングを見せる一方、市立和歌山の岩本は6回・7回とピンチを迎えるも粘りのピッチングで両チームともに勝ち越しを許さない。
20181027龍谷大平安 羽切
同点の2ランを放った龍谷大平安の8番羽切

試合が動いたのは8回表、市立和歌山の先頭下井田の打球はセカンド前のボテボテの内野安打となり出塁。これで3回途中の登板から続いていた野澤のパーフェクトピッチングも途切れることとなった。緒方が送って1死2塁とすると、4番柏山はまたもやうまくライト方向に運ぶタイムリーヒットで市立和歌山が勝ち越しに成功する。この日の柏山は右バッターながら4打席ともライトへ打球であり、ボールを引き付けてうまく逆方向に運ぶ技術のあるバッターだということを証明した。しかしその裏、平安は先頭の4番水谷がこちらもカーブをうまくライト方向に運び、これがライトの頭上を越えて3ベース。続く奥山もライトに犠牲フライを放ちすかさず同点に追いつく。
20181029市立和歌山 柏山
8回表に勝ち越しのタイムリーを放つ市立和歌山の4番柏山

野澤はタイムリーこそ打たれたものの9回は市立和歌山の攻撃をまた3人で抑えてサヨナラを待つ。すると平安は9回裏に先頭の1番中島がレフト前へのポテンヒットで出塁。このランナーを北村が確実に送って1死2塁とサヨナラのチャンスを作る。ここで迎えたのはこの試合のノーヒットの3番多田であったが、岩本はなぜかストライクが入らずにストレートの四球。1死1・2塁と逃げられない場面で、ホームランが出ればサイクルヒットと当たっている4番水谷を迎えてしまう。ただ水谷は初球のボール気味の球を打ってしまいセンターフライで2死1・3塁。市立和歌山バッテリーとしては1番の山場は越えたところだが、続く5番奥村は岩本の150球目を捉えると、打球はレフトの頭上を超えるサヨナラ打。龍谷大平安がサヨナラ勝ちでセンバツ出場をほぼ確実なものとした。
20181027龍谷大平安 奥村
サヨナラ打を放ってガッツポーズの龍谷大平安の奥村

20181027市立和歌山×龍谷大平安スコアボード



勝利した平安はこれで事実上のセンバツ出場が確定した。これで夏に続いて2期連続での甲子園となるわけだが、この試合の平安勝利の立役者はちょうど夏の甲子園でもベンチ入りしていた4人であった。

まず夏の甲子園でもレギュラーであった北村と水谷。北村は166㎝58㎏と小柄な選手だが、その特徴をいかすように四死球を3個選んで出塁し、3盗塁をマーク。特に先制点の場面は粘った北村が四球を選んで2盗→3盗と1人でチャンスを作って生まれたものであった。最終回のサヨナラの場面でもきっちりと初球でバントを決めるなどノーヒットながら非常に貢献度の高い打撃をみせた。夏は1番であった水谷は新チームでは4番。この試合では先制のタイムリー2ベースを右中間に放ち、8回には先頭打者として3ベースを放った。特に8回の場面はチームが勝ち越された直後の先頭打者での3ベースであり、チームの重苦しい空気をすぐに振り払う貴重な1打であった。このヒットで2ベース→シングルヒット→3ベースとマークしていたので、9回の第5打席では実はホームランが出ればサイクルヒットという活躍ぶりであった。また水谷は主将も務めていた、ライトからマウンドに対して大きな声で投手陣を励ましていた。
20181027龍谷大平安 北村
ノーヒットながら3回出塁して3盗塁と攻撃面で存在感をしめした北村

1年生で唯一甲子園でベンチ入りしていた奥村は3打数3安打2打点という活躍。サヨナラ打は4番の水谷が打ち取られて2アウトとなった場面だけに、そこで5番の奥村が決めたというのは非常に価値のあることだ。甲子園では夏にベスト4に輝いた兄の奥村(現ヤクルト)を越える活躍を見せたいところだ。同じく投手陣で2年生で唯一ベンチ入りしていた野澤も素晴らしいピッチングであった(詳細はPickUpPlayerで)。

敗れてしまった市立和歌山も落胆する必要はない。近畿のセンバツ出場枠は6であり、準々決勝敗退のチームからも2チームが選ばれる。そう考えるとこのサヨナラという僅差での敗北は、センバツ選考にとっては好材料である。ただ市立和歌山は3年前に準々決勝でコールド負けをしたのにセンバツ出場、代わりに準々決勝で延長戦の末に敗北した報徳学園が落選という事例もあるのでまだまだ安心できないところはある。

そんな市立和歌山で目だったのはやはり完投した1年生エース左腕の岩本。ストレートはMax135㌔だが球速以上の力を感じ、ツーシームも有効に使えていた。180㎝ながら61㎏とまだまだ細身であるために冬場に体重を増やしていけば、センバツでは140㌔も期待できるであろう。変化球は得意のカーブに加えて、あまり数は多くなかったがスライダーも縦になかなかの曲がりをしていた。この日は本調子でなかったという話でそれを物語るように四死球を9個も出してしまったが、逆に言えば悪い中で毎回のようにランナーを出しながらも粘りのピッチングで平安打線を5点に抑えられたことは収穫であったことだろう。
20181029市立和歌山 岩本
最後まで投げ切った市立和歌山の1年生エース岩本。


Pickup Player
野澤秀伍 龍谷大平安2年 投手
~エースの座を奪い返すべく好リリーフ~
3回途中のピンチから登板した野澤は7回までのパーフェクトピッチングを見せるなどして流れを龍谷大平安に取り戻した。

野澤は龍谷大平安では2年夏にベンチ入りを果たすと、京都大会の初戦に先発して5回1失点の好投。ベンチには同じ2年生左腕でこの試合で先発した豊田も入っていたが、甲子園では野澤がそのままベンチに残った一方、豊田はベンチ外となった。ただエース小寺が君臨していて、左腕では3年生の北村智がいたこともあり、野澤も甲子園では登板がなく終える。新チームの京都大会では野澤は背番号1をつけるも、ピッチングはさえずチームは京都3位で何とか近畿大会に出場。この近畿大会からは背番号1は豊田で、野澤は背番号11に降格となっていた。1回戦の天理戦では豊田が先発すると8回まで1失点の好投も9回に1点差に迫られたところで、野澤がマウンドに上がって最後を締めていた。

この試合も同様に豊田が先発するも3回に市立和歌山打線に捕まり、逆転を許してなおも1死満塁というピンチで野澤はマウンドに上がった。するとその野澤に対して市立和歌山は初球スクイズを決行するも、野澤は冷静にグラブトスでホームアウト。続く片上を見逃し三振に仕留め、ピンチを脱した。するとここから野澤の快進撃が始まり7回まで計打者14人をパーフェクトに抑える。野澤は174㎝68㎏と細身の投手であるが、ストレートはMax137㌔をマークしクロスファイアー気味に角度もついていた。変化球は120㌔手前のスライダーがほとんどで、ストレートとのコンビネーションで三振を奪っていた。

野澤のパーフェクトピッチは8回の先頭の下井田のボテボテのセカンドゴロが内野安打となったことで途絶えてしまい、さらにバントで送られると4番柏山にタイムリーを浴びてしまい勝ち越しを許してしまう。それでも味方がその裏にすかさず追いついてくれると9回は3人で抑えて、計6回2/3を2安打1失点6奪三振という好リリーフをみせた。

3回には市立和歌山の猛攻を終わらせ、その後は完璧なピッチングで平安に流れを呼び込み同点→サヨナラに繋げたという意味でも野澤のピッチングは本当に価値のあるものだった。準決勝では先発に復帰することも大いにあり得るので期待したい。

20181027龍谷大平安 野澤
3回途中からマウンドにあがり計6回2/3で1失点の好投みせた龍谷大平安の2番手の野澤


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2018年の主なドラフト漏れ選手たち

ドラフト会議で104人もの選手が指名された一方、惜しくも指名漏れしてしまった選手がいる。とりあえず主な指名漏れ選手は以下の通り↓
2018ドラフト指名漏れ


明秀日立のエース細川拓哉は秋には関東準Vでセンバツ出場した馬力のある右腕。その実績・ポテンシャルに加えてDeNAの細川成也の弟という話題性もあって指名が濃厚だと思われていた。チームメイトの増田が2位と予想以上の指名を受けただけに悔しいところだろう。米倉はこの世代の中でも1番美しいフォームともいえる146㌔右腕。埼玉栄では若生監督の就任とともに鳴り物入りで入学し、1年夏よりドラフト候補として注目されていたが、スピードは思うように伸びず、埼玉栄も好成績を残せなかったことが要因だろうか。矢沢は実績は少ないものの148㌔を誇る左腕であり、身体能力が高く野手としても評価されていたので、育成あたりはあると思っていた。鶴田は下関国際の4番エースとしてチームを夏の甲子園ベスト8に導いた。147㌔のストレートに加えてツーシームも操るなど体格の通り外国人投手のようなピッチングができる面白い投手であったので残念だ。
20171024明秀日立 細川
明秀日立:細川

大学生で言えば1番の驚きは明治大の逢澤。関西のときから俊足が際立った1番打者であり、明治大ではパンチ力もついてクリーンアップを打つまでに成長。大学日本代表の常連でもあったために、指名漏れは予想外で上位縛りでもあったのかと思う。同じく日大の長沢も走攻守揃っていて、足は超がつくほどの俊足と武器を持っているので指名濃厚だと思っていた。中央大の吉田とともに、高校時代の同級生の田嶋に次ぐプロ入りはならなかった。法政大はなんと3人が指名漏れ…U18日本代表ではエースで東京六大学では1年春の開幕戦で勝利をあげていた森田だが、やはりその後のケガでほとんど投げていないのは厳しかった…森田の代わりに4年春までエースを務めていた菅野、主将で大学日本代表にも選ばれた向山も指名漏れにあってしまった。国際武道大の伊藤も2年時から大学日本代表、3年春にはエースとして全日本大学野球選手権準Vを果たしたが、今年はケガで好成績を残せなかったことが響いた。横浜の同級生である高濱・浅間、さらには楽天に6位で指名された渡辺佳に続きたかったところだ。
20181006明治大 逢澤
明治大:逢澤

関西学生野球連盟は辰巳がドラフト1位で指名されたが、関西大の山本、立命館大の山上、近畿大の小寺と3大エースが指名漏れとなってしまったのはリーグとして痛いことだろう。同じく関西では奈良学園大の米満が俊足にどこでも守れるユーティリティープレイヤーとして使い勝手がよかったので指名濃厚であったが残念な結果になってしまった。名城大の栗林は上位指名縛りがあったとの噂なので、致し方ないかもしれない。

社会人ともなると志望届を出しているわけでもないし、複雑な事情も絡んでくるので意外な指名漏れはよくある話だが、それにしても今年はその意外が多かった。まず社会人日本大のエース岡野(東芝)、4番笹川(東京ガス)という投打の軸が今年ドラフト解禁を迎えたのに指名がなかったという驚き。さらに日本代表では堀、臼井、高橋の3投手も今年解禁を迎えたのに指名がなかった。この5人に関しては上位縛り、または今年はプロに行かないという決断をしたと考えるのが自然であろう。
20180819日本代表 岡野
東芝:岡野(社会人日本代表)

社会人の中では高卒3年目は若くして解禁ということもあり人気銘柄だが、高卒2年目から社会人日本代表にも選ばれていて、特徴のあるサイド右腕である鈴木は1番人気かと思ったが指名漏れ。柘植は強打好守のキャッチャーとしてどのチームも欲しい存在であったはずだが、こちらも指名はなかった。Honda鈴鹿では柘植の他に、藤浪・澤田に次ぐ大阪桐蔭の同世代投手で3人目のプロ入りが濃厚であった平尾も指名はなく、社会人日本代表にも選ばれた安打製造機の松本も指名がないなど、チームにとってはありがたいかもしれないが主力3人が残留という形になってしまった。
20170715Honda鈴鹿 平尾
Honda鈴鹿:平尾

他には独立リーグになるが、慶応大学時代にまさかの指名漏れを経験し、今年社会人の名門JX-ENEOSを退社して徳島インディコソックスに入団してまでプロにこだわった谷田も指名はなく、引退を示唆している。個人的には今年はシーズン途中からの参戦であってバタバタしていたし、もう1年やってみて欲しいところだ。
20180630徳島インディゴソックス 谷田
徳島インディコソックス:谷田


彼らにとっては残念な結果であったが、来年のアマチュア野球を引っ張っていく存在になることは間違いない選手たち。来年もアマチュア野球界でも活躍を大いに期待して、数年後にはプロ入りを果たして欲しいものです。


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2018年ドラフト上位24人を大予想

ってことで今年も明日のドラフト会議を前に、ドラフト1位・2位で指名される上位24人を予想してみました↓
ドラフト24人予想_2018

なんといっても今年の注目は高校生野手のビック3である根尾・藤原・小園の3人。この3人については巨人・ヤクルト・中日が根尾を、ロッテが藤原を、ソフトバンク・オリックスが小園を1位で指名することを公言している。正直これだけの球団が1位指名を会議前に公言しているドラフトも珍しい。個人的には最初に公言したチーム以外は公言することにメリットあるのかと思うが…。ただこれ以外にも高校生を育てる傾向の広島、藤原がお気に入りの阪神、野手をとると石井GMが名言している楽天あたりもこの3人を指名する可能性が高いと思われる。

20180326大阪桐蔭 根尾
巨人・ヤクルト・中日が1位指名を公言している大阪桐蔭の根尾

20180812報徳学園 小園
ソフトバンク・オリックスが1位指名を公言している報徳学園の小園


逆に高校生投手は今年は上位候補はやや少ないか…。話題性では1番の吉田も、現実的には外れ1位といったところであろうか?個人的には吉田よりも渡辺の方が190㎝という身長もあり、将来性は高いので指名したいところ。柿木は逆に完成度が高いだけに、これを各球団がどう評価するかというところだ。根尾・藤原の交渉権を獲得した球団が2位で指名してくれば、個人的には面白い。
20180814金足農 吉田
注目の吉田(金足農)だがどこかのチームから1位指名はあるか?


投手でいえば大学生には上位候補の投手が揃っている。特に東洋大の上茶谷・甲斐野・梅津のトリオはここ1・2年で出てきたこともあり、まだまだ伸びしろもあって、1チームの投手で同時に3人の1位指名もあり得る。完成度でいえば日体大の松本、早稲田大の小島ら大学日本代表にも選ばれた2人がやや上か。特に松本に関してはMax155㌔に多彩な変化球を操っていて、伸びしろと実績を兼ねそろえていて、1位で指名されることはほぼ確実であろう。その他は栗林や島内らの地方組にも注目だ。
20180908日体大 松本
大学投手ではNo1との予び声が高い日体大の松本

社会人では2年前に上位指名縛りがあったこともあるが、指名漏れを経験した2人が筆頭。Hondaの齋藤と日本通運の生田目はともに大学最後はケガなどもあったが、社会人では自慢の剛球を発揮して見事に復活して、それぞれ名門のエース格へと成長した。今回は例え上位縛りがあっても指名は確実だろう。社会人野手では都市対抗で橋戸賞を獲得した近本は走攻守揃った野手であり、高校生ビック3人を外したチームが1位で指名する可能性もある。
20180714Honda 齋藤
社会人投手の中では1番人気と呼び声も高いHonda齋藤


さて何人当たるでしょうか?
ちなみに去年は18/24だったようですね→ドラフト上位候補24人を大予想

明日のドラフト会議が楽しみです。


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作新学院×前橋育英【秋季関東大会1回戦】

9/20 秋季関東大会1回戦
作新学院×前橋育英@山日YBS球場

試合経過

20181020作新学院×前橋育英
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

2年前の夏の甲子園優勝校である作新学院と、5年前の甲子園優勝校である前橋育英という北関東屈指の強豪校対決となった関東大会の開幕戦は、予想通りの投手戦となった。

作新学院のエース林。夏の栃木大会では1番イニングを投げるなど経験豊富な投手で、夏の甲子園では大阪桐蔭相手にリリーフ登板も果たしていた。やや2段モーション気味のフォームから繰り出すストレートはMax137㌔であったがスピンが効いていて、まさに本格派といえる投手。初回は3ボールから先頭の丸山の頭部に死球を与えてしまうなど制球に苦しんだが、4番森脇を高めのストレートで三振に斬ってピンチを脱すると、2回以降はコントロールも安定してきて、またそれによりブレーキの効いたスライダーをはじめとしてスローカーブ・チェンジアップ(?)なども有効に使うことができてきて、前橋育英打線を無得点に抑えていく。
20181020作新学院 林
作新学院のエース林

一方、前橋育英の先発の梶塚はそれ以上のピッチング。ストレートはMax135㌔で群馬大会で見たとき(観戦記)ほど球は走っていなかったが、スライダー・カーブ・SFF(?)などもまじえたピッチングで作新学院打線に的を絞らせず、5回までで打たれたヒットは横山のポテンヒットのみの無失点であった。

そんな投手戦だが攻勢であったのは前橋育英で4回裏には森脇・梶塚の連打で、5回裏には岡部・須永のヒットから1死1・3塁のチャンスを作るも、あと1本が出ずに無得点となっていた。ただ6回裏にこの回先頭の剣持がカウント3B2Sからのストレートを捉えると打球はライトスタンドに飛び込むホームランを放ち先制する。
20181020前橋育英 剣持1
先制ホームランを放った前橋育英の剣持

順調に見えた前橋育英に7回表にアクシデントが襲う。先頭の石井の強烈な打球が梶塚を直撃、梶塚はボールをすかさず拾って1塁に送球してアウトにするが、そのまま倒れこむと担架で運ばれてしまう。しかし長い中断を経て、梶塚はマウンドに戻るとその後も好投を続ける。

しかし終盤はやはり疲れが見えてきたか、8回表に作新学院に最大のチャンスが訪れる。先頭の代打岸が四球で出塁すると、立石がヒットで続き1死1・3塁。ここで打席にはここまでセカンドで好守を連発して、前の打席でも2ベースを放つなどこの試合乗っていた松尾を迎える。松尾はピッチャーの横を抜ける鋭い当たりを放つも、これをショート中村が体を入れて好捕すると、2塁ベース付近の早いゴロということで6-4-3のダブルプレー。前進守備も想定された場面であったが、前橋育英自慢の攻撃的守備でゲッツーをとりピンチを凌いだ。
20181020作新学院 松尾
この試合作新学院の野手で1番存在感を発揮していた松尾であったが1番のチャンスでは併殺となってしまった

20181020前橋育英 中村
最大のピンチを好守で併殺にした前橋育英のショート中村

追加点を奪いたい前橋育英は7・8回に共に1・3塁のチャンスを作るも、林の粘りのピッチングの前にあと1本が出ない。しかしそんな林の好投に打線が応えることができず、梶塚の前に完封負けとなってしまった。
20181020作新学院×前橋育英 スコアボード


スコア的には1-0という試合であったが前橋育英が作新学院が力では圧倒していた試合であり、ヒットの数は前橋育英が11本なのに対して作新学院は6本。前橋育英がチャンスであと1本がでないのに対し、作新学院はチャンスを作るのがやっとという感じであった。

前橋育英の勝利の立役者はなんといっても、完封勝利をあげたエース梶塚であろう。7回には1度担架で運ばれてもマウンドに戻ってきたあたりは、夏の甲子園で9回に足をつってもマウンドに戻った前エースの恩田を彷彿とさせた。梶塚はこの時、2番手投手としてずっと投球練習をしていたが、マウンドに呼ばれることがなかったので色々感じたものはあるのだろう。そんな前エースの魂を受け継いだ見事な完封劇であった。
20181020前橋育英 梶塚
見事完封勝利をあげた前橋育英のエース梶塚

作新学院としてはエース林は粘りのピッチングで1失点に抑えたことは非常に評価できる。ただ打線に関してはちょっと物足りなさがあった。注目の3番主将の石井(日本ハムの石井一成の弟)は最初2打席連続のピッチャーゴロ併殺と数少ないランナーを消してしまった。2打席目のピッチャーゴロと、3打席目の梶塚直撃のピッチャーゴロはともに当たりとして悪いものではなかったが、結果としてはピッチャーゴロ3個のノーヒットであった。もう1人の注目が甲子園の大阪桐蔭戦で2安打をはなった1年生の横山。栃木大会のベンチ外から、甲子園では1番打者として活躍したシンデレラボーイは新チームでは主軸として期待され、栃木大会では4番を打っていたこともあるが、この試合では打順は6番。スイングに鋭さは見られたが、結果としてはポテンヒット1本という内容であった。4番の坂主もほぼ懲罰気味に交代させれるなどとにかく打線が振るわなかった作新学院。ただ昨年の秋も関東大会では完封負け(しかもコールド)からの夏は甲子園に出場して、連覇の大阪桐蔭相手に善戦という結果だっただけに、新チームも冬場に成長することを期待したい。
20181020作新学院 石井
作新学院注目の石井弟はピッチャーゴロ3個を含むノーヒットであった


Pickup Player
剣持京右 前橋育英2年 セカンド
~この試合唯一の得点となる一振り~
この試合の唯一の得点をたたき出したのは前橋育英の3番剣持の一振りであった。

剣持は2年夏の群馬大会で背番号14ながらサードのレギュラーを掴むと打率.444の活躍。甲子園の近大附戦でも7番サードでスタメン出場すると、好左腕の大石から先制のタイムリー2ベースヒットを放つなど活躍した。打撃には積極性があって広角に打ち分けることができ、守ってはしっかりとボールを止めることのできるサードで送球もスピード正確性ともにはハイレベルであった。

2年秋の新チームからは主に3番セカンドを務めている。この試合でも初回にエラーをしてしまうなど、サードとは動きの異なるセカンドではまだまだなところもある。しかし打撃の方では群馬大会でも舘林戦で3ランを放つなど、中軸としてチームを検診していた。

この試合の剣持は最初はファーストゴロ、サードフライと完全に抑えられてしまうが、6回裏の先頭打者として迎えた第3打席。フルカウントからのインコースのストレートをうまく捉えると、打球は高く上がってそのままライトスタンドへと飛び込んでいった。前橋育英としてはチャンスを作りながらもあと1本が出ないという状況だったので、一振りで先制点をたたき出したこの1発は非常に価値のあるものだった。弟4打席では今度は逆方向のレフト線にうまく打球を持っていき2ベース。無死2塁のチャンスを作り出すも後続が続かずに無得点で、結局剣持のホームラン1点のみで前橋育英は勝利した形になった。

夏に続く甲子園の出場に王手をかけた前橋育英にとっては、主将の丸山とともに夏の甲子園の経験者である剣持の活躍が欠かせないことであろう。

20181020前橋育英 剣持2
6回にこの試合唯一の得点となるホームランを放つ前橋育英の剣持


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岩倉×八王子【秋季東京大会2回戦】

10/14 秋季東京大会2回戦
岩倉×八王子@ダイワハウススタジアム八王子

ちょうど1年前の10/14も秋季東京大会2回戦は岩倉×八王子だった。

試合経過

20181014岩倉×八王子
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

岩倉は2回表、先頭の4番荻野が変化球をうまくすくい上げ右中間への2ベースで出塁。続く5番岡根は追い込まれてからインコースのストレートをうまくレフト線に運ぶタイムリーで岩倉が先制する。さらに四球で1死1・2塁となってから迎えるは岩倉8番の安部。安部の打球は2球連続でライト線への大飛球となるが、どちらも惜しくもファール…。そのあと安部は変化球を捉えるも強烈な打球はセカンドの正面でゲッツーとなってしまう。

八王子の先発は初戦で完封した背番号11の左腕北澤であった。北澤は球速こそそこまでないものの、ストレートに加えて小さなスライダー・カーブ・チェンジアップなどを低めに丁寧に集めるピッチング。しかし上述の2回だけはボールがやや高くなり、正直1点で凌げて良かったという内容であった。ただその他は1・3・4回とボールが低めに集められていて、岩倉の攻撃を3人ずつで抑えていた。
20181014八王子 北澤
八王子先発の北澤はボールを丁寧に低めに集めるピッチングを展開

しかし5回表、前の打席で惜しいファールを連発した8番安部が今後は正真正銘のライトスタンドへ飛び込むホームラン。安部は8番こそ打っているものの、夏の大会では2年生ながら5番を務めたほどの実力者。しっかりと踏み込んでから鋭いスイングをしていて、前の打席のファールがまぐれでないことを証明した形となった。
20181014岩倉 安部
5回にソロホームランを放つ岩倉8番の安部

岩倉の先発はエース宮里は181㎝76㎏という立派な体格から140㌔は出るといわれているストレートに、打者の手元で少し曲がるカットボール(?)、スライダーに加えて縦の変化球(フォーク?)を操る投手。特にこの縦の変化球が打者の手元で鋭く曲がっていて三振をとっていた。5回までは八王子打線を3安打無失点と完璧に抑え、試合は完全に岩倉ペースで進んでいった。
20181014岩倉 宮里
5回まで八王子打線を無得点に抑えた岩倉エースの宮里


八王子は5回裏に北澤に代打を送った関係で、6回からは背番号1をつけた武内がマウンドにあがる。武内は柔らかい肩を生かしたスリークウォーターの右腕で、球がまるで背中から出てくるような感じだ。基本ストレートとスライダーであるが、北澤と違ってストレートに威力があり、まさにリリーフ向きの投手である。その武内は1番から始まる岩倉の攻撃を連続三振にキャッチャーフライと完璧に抑え、完全に岩倉ペースであった流れを止める。
20181014八王子 武内
6回からリリーフして八王子に流れを呼び込んだ武内

するとその裏、八王子打線がついに目覚める。山崎・高橋の連続レフト前ヒットで無死1・2塁とすると、4番宇田川もレフト前に運んでまず1点。武内が送って1死2・3塁とすると、6番坂口の打球は前進守備のショートの頭を越えるヒット。バントを挟んで4連続レフト前ヒットで八王子があっという間に同点に追いつく。ここで岩倉ベンチは宮里に代えて、背番号10の左腕坂本をマウンドに送る。逆転したい八王子は7番和田がセーフティスクイズも、打球はピッチャー正面で3塁ランナーが動けず…続く8番黒田もセンターフライに倒れ逆転とはならなかった。

八王子の武内は7・8回も3人ずつで抑え、一方の岩倉も坂本、そして8回途中からは同じく左腕の櫛田が抑えて、試合は2-2の同点のまま9回を迎える。

9回表、岩倉は先頭の島崎が武内からは初となるヒットで出塁。バントで送ると、3番仲俣もしぶとく三遊間を破って1死1・3塁のチャンスで4番荻野という最大のチャンスを迎える。岩倉打線の中でも荻野の力は1つ抜けていて、敬遠という選択肢もある場面であった(もし自分が監督なら敬遠させていた)。しかし八王子ベンチはタイムもとらずにそのまま荻野と対峙すると、荻野は初球のアウトコースのボールをライナー性の打球でレフトに運んだ。ライナー性であったために距離的には十分とは言えなかったが、3塁ランナーの島崎はタッチアップ…中継に入ったサード→ホームへの送球が高めに浮いたこともあり、間一髪で島崎がホームインを果たした。
20181014岩倉 島崎
武内から初となるヒットを放ち9回の勝ち越しにつなげた岩倉1番の島崎

再びリードを奪われた八王子は9回裏も上枝・松野と途中出場の2人が倒れてしまい2死。しかしここから山崎がサードエラーで出塁すると、続く高橋は三遊間を破り2死1・2塁と同点、長打が出ればサヨナラというチャンスで4番宇田川を迎える。宇田川はカウント2B1Sからのストレートを捉えるとセンターへのライナー性の打球となるが、これをセンター島崎が前方へダイビングキャッチ。岩倉が最後はセンター島崎のスーパープレーで勝利を掴んだ。



2016年夏には西東京を制して甲子園に出場し、この夏も早稲田実業を破るなど躍進を果たしている八王子にとっては秋は2年連続の悪夢となってしまった。打っては岩倉の5本を上回る9本のヒットを放ち、北澤→武内の投手リレーはそれぞれの特性が生かせていた。「勝負は時の運」という言葉がある通り巡り合わせが悪かったこともあるが、6回逆転のチャンスでセーフティスクイズで3塁ランナーが動けないなど流れを掴み切ることができなかった。また采配も気になるところで、序盤から上枝・松野と代打を使ったがこの2人が終盤んはチャンスを作ることができなかった。上枝を入れた関係で5番を打っていた小林をベンチに下げてしまったが、これも八王子打線で1番力がありそうな小林を下げてしまって、すぐに打順が回ってくるところにピッチャーを入れたのはやや疑問が残った。そして最後に荻野と勝負した場面も個人的には間違いだと思うし、勝負するという選択をするにしてもタイム→伝令という流れはあってもいいところであった。

八王子では個人としては高橋が目立っていた。1年夏から1番センターのレギュラーとして活躍している高橋はミート力が高い俊足の外野手。2年夏には4番を打っていたが、この秋は3番を務めた。この試合でもうまくレフト方向に流して2安打を放っていて、バッティングの技術は両チームの中でも抜けていた。ただやはり本来は1番タイプの選手であり、この高橋が1番を打てるくらいに中軸が充実してくれば八王子にとっては心強いだろう。
20181014八王子 高橋
レフト方向にうまく流して2安打を放った八王子の高橋

一方の岩倉は見事な2年連続での八王子撃破であった。そして今年の勝利は昨年ほどミラクル感はなかったといえる。というのも攻撃陣では仲俣・荻野・岡根・安部は前チームからの主軸でありスイングに力がある。投手も前チームでエースとして期待された宮里、その宮里がケガで調子を崩したために先発を務めていた坂本とコマも揃っていて荻野も含めてバッテリーがしっかりしているのはストロングポイントだ。例年以上に戦力が充実していて岩倉にとってはまさに勝負の年となる新チームの今後も躍進が大いに期待できる。

Pickup Player
荻野魁也 岩倉2年 キャッチャー
~力強い打撃が魅力の大型捕手~
打っては2回の先制点に決勝の犠牲フライと4番キャッチャーの荻野が攻守でチームを牽引した。

荻野は176㎝80㎏という立派な体格の大型キャッチャー。岩倉では1年夏から4番捕手を務めた。当初は持ち前の打撃を評価されての起用であったが、キャッチャーとしての英才教育を受けて、チームの扇の要としても成長。この試合でも引き続き4番キャッチャーとしてスタメンに名を連ねた。

2回表の先頭打者として迎えた第1打席では、八王子の先発北澤も荻野を警戒してか、低めの変化球から入る。そして3球続けたスライダーがやや甘めに入ると、それをうまくすくい上げ、打球は右中間後方まで飛ぶ2ベース。次の岡根のタイムリーで生還したために、先制点の起点となる重要な2ベースであった。第2打席も外角のスライダーにうまく反応するもピッチャーゴロ。そして山場となるのが同点の1死1・3塁という場面で迎えた第4打席…岩倉打線の中では荻野の力は1つ抜けていたので敬遠という選択肢もあった場面であったが、八王子バッテリーが勝負を選択すると、初球のアウトコースのストレートを逆らわずにレフトにライナーで弾き返して決勝点となる犠牲フライをたたき出した。荻野は下半身が非常にがっちりしていて、厳しいボールでも簡単に崩されることなく、しっかりとスイングできていた。その結果この試合では3打数1安打1打点という成績であったが、先制点と決勝点に大きく絡む活躍でチームの勝利に貢献した。

守ってはまず回の合間のセカンド送球でその強肩を見せつけた。これが功を奏したのか、この試合で八王子は盗塁を試みることはなかった。リード面でもエース宮里をうまくリードして、八王子打線に的を絞らせずに5回までは無失点。その後も坂本、櫛田というタイプのことなる2人の左腕をリードして、八王子打線に得点を許さなかった。攻守に非常に高い能力を示していて、荻野は東京でも屈指のキャッチャーといえる選手で、冬にキューバ遠征に出向く東京代表に選ばれる可能性も大いにあると感じた。

20181014岩倉 荻野2 20181014岩倉 荻野1
4番キャッチャーとして攻守で岩倉を牽引する荻野



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東農大三×春日部共栄【秋季埼玉大会決勝】

10/8 秋季埼玉大会決勝
東農大三×春日部共栄@県営大宮球場

浦和学院・花咲徳栄という2強が早々に敗退し、埼玉栄・山村学園・聖望学園といった強豪も敗れて波乱に満ちた秋季埼玉大会の決勝は15年ぶりの優勝を目指す春日部共栄と、20年ぶりの優勝を狙う東農大三の対決となった。

試合経過

20181008東農大三×春日部共栄
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

通常秋季大会の決勝といえば、両チームともにセンバツの参考となる関東大会の出場を決めているので、エースが投げないことが多い。しかしこの日は春日部共栄はエース村田、東農大三も準決勝でも先発を務めた背番号5の井口と両チームともにピッチャーは温存することなくこの試合に臨んだ。準決勝から中1日ということもあるが、前日までに関東大会の他県の1・2位は出そろっていて、関東大会の初戦で各県で優勝した横浜・常総学院・前橋育英といったチームとの対戦を回避する意味でも1位が欲しいところだったのであろう。

1回表、東農大三は先頭の主将加納がヒットで出塁すると送って1死2塁のチャンス。すると3番松本春はライト前に弾き返す。当たりが良すぎたこともあり、ランナーの加納は3塁を回ったところでストップするも、ライトからセカンドへの送球が逸れてボールが転々とするのを見ると再スタートを切りホームイン。どちらかというと格上の共栄相手に先制とあって、名物の大根踊りも出るなど全校応援の東農大三スタンドは大盛り上がり。しかし続く4番井口は三振を喫すると、スタートを切ったランナーも盗塁死と三振ゲッツーとなってしまう。
20181008東農大三 松本春
先制点はこの東農大三の3番松本春のバットから生まれた

東農大三の先発井口はサイドからのノビのあるストレートにスライダー・シンカー(?)を交えたピッチング。左打者が多い共栄打線に対しても、左バッターのアウトコースギリギリにボールを出し入れしていて、3回まで共栄打線を1安打無失点に抑える素晴らしい立ち上げりであった。一方共栄の村田も2回以降は復調して。東農大三打線をノーヒットに抑えていく。東農大三が1-0とリードしたまま試合は序盤を終える。
20181008東農大三 井口
序盤共栄打線を封じこめた東農大三の先発井口

試合が動いたのは4回裏、共栄は先頭の木村が粘った末に四球で出塁すると、平尾のセンター前ヒットと、4番村田は死球で無死
満塁のチャンスを作る。ここで迎えるのは5番で主将の石崎は初球からバットを出すもこれが6-4-3のダブルプレー。その間に3塁ランナーであった木村はホームインするも、共栄としては非常に残念な形での同点であるが、続く6番平岡にもタイムリーが飛び出して、この回共栄が一気に逆転に成功する。
20181008春日部共栄 平尾
センター前ヒットでチャンスをつないだ春日部共栄3番の平尾はこの試合猛打賞の活躍であった

共栄がやっと実力を発揮した形であったが、東農大三も5・6回は井口が再び共栄打線を無得点に抑えて、1点ビハインドをキープした反撃を待つ。すると7回表、この回先頭の4番井口が今度はバットで魅せてレフト線への2ベースで出塁。続く飯島もライト前ヒットを放ち、無死1・3塁と一気に逆転のチャンスを迎える。しかしこのチャンスで1塁ランナーの飯島は盗塁を試みるもタッチアウト…同点への執念を見せて小島には2ストライクからスクイズを決行するも、強いピッチャー正面のバントとなって村田の好フィールディングもありホームタッチアウト。東農大三は絶好のチャンスで逆転はおろか、同点にすらできなかった。

こうなると流れは共栄に7回裏に先頭の丸田のボテボテの打球はセカンド内野安打となり、2個のショートゴロの間に3塁へ。すると2死3塁で迎えた黒川への初球はワイルドピッチとなってしまい待望の追加点をあげる。さらに8回裏には平尾のフラフラと上がった打球に対してレフトが前進してダイビングキャッチを試みるもわずかに届かず2ベース。ここで東農大三はエースナンバーの飯島をマウンドにあげるが、村田のヒットで1・3塁とされてしまうと平岡の犠飛で共栄が4点目をあげる。どちらも東農大三にとっては不運な当たりからの失点であり、まさに野球の神様が7回表の攻撃で東農大三を見捨てたかのような展開であった。

3点のリードを奪った共栄はエース村田が最後までなげきり1失点完投。4-1で勝利した春日部共栄が秋季埼玉大会を制した

20181008春日部共栄 優勝
優勝を決めてマウンドに集まる春日部共栄ナイン


敗れたとはいえ準Vを果たした東農大三はまさに快進撃といえる戦いぶりで久しぶりに関東大会の切符を手にした。決して戦力的には大物といえるような選手がいるわけではないが、打撃面では加納・松本春・井口・飯島といったあたりで的確にヒットを放ち繋ぐ打線で、準々決勝では山村学園の好左腕の和田を攻略した。投手陣では準決勝に続いてみせた井口→飯島という継投は、サイドスローでコーナーをつく井口が試合を作り、終盤は真上から投げる正真正銘のオーバースローの飯島が威力のある球を投げ込むという絵に描いたような継投であり、この日はタイミングなども含めてうまくいっていなかったが、効果的であると感じた。
20181008東農大三 加納
東農大三の主将で1番の加納はこの試合でも2安打を放つ活躍

春日部共栄は何といっても4番でエース村田が今大会まさに大車輪の活躍。Max145㌔のストレートとスライダーで抑えていく本格派右腕であるが、2日前に浦和実業相手に12回完封した疲れもまだあったのか、この日は三振は4個のみでもテンポよく打たせてとるピッチングでこの日の東農大三打線はなんと内野ゴロが16個。初回に先制を許すも、2回以降は東農大三打線を抑え込んで1失点完投。スピードもさることながら、決して大崩れしそうにない安定したピッチングは評価できるものであり、春日部共栄が今大会相次ぐ波乱に巻き込まれなったのも、安定したピッチングを続ける村田が全試合投げ抜いたことが1番の要因であろう。前チームでは期待されながらもケガで思うように投げられないことも多かっただけにその成長ぶりにも目を見張るものがあった。
20181008春日部共栄 村田
9回1失点完投勝利をあげた春日部共栄のエース村田

また共栄はこの村田を盛り上げたバックも素晴らしかった。主将でキャッチャーの石崎は好リードに加えて、東農大三が試みた盗塁を2個とも阻止。初回の場面ではアウトコースのボール球となるスライダーで三振をとり、かなり体勢の悪いところからクロスステップ気味に踏み込んで見事な送球。7回の無死1・3塁の場面では3塁ランナーも気にしながら、見事な送球で逆転のランナーの芽を摘んだ。内野ゴロが16個もあったのにノーエラーであった内野も見事であり、中でもサード片平はバウンドが合わない打球でも巧みにさばくことができていて、5回表の守備では3連続でやや難しい打球を裁き、続く6回にもセーフティバントを阻止してみせるなど、実に1人で7個もの打球をさばいてみせてた。関東大会でも是非とも村田を支えてセンバツの切符を勝ち取って欲しいものだ。
20181008春日部共栄 片平
再三にわたる攻守で村田を盛り上げた春日部共栄サードの片平


Pickup Player
平岡大典 春日部共栄2年 セカンド
~値千金であった4回の勝ち越しタイムリー~
この試合を左右する意味でも、4回裏に平岡が放った勝ち越しのタイムリーは非常に大きかった。

平岡は1年秋に背番号14でベンチ入りを果たすと1番セカンドとして活躍。しかし2年夏はベンチ外となってしまい、チームは昌平相手にまさかの初戦敗退となってしまった。迎えた新チームでは平岡は6番セカンドとしてレギュラーに復帰した。

この日は第1打席ではしぶとくセンター前に弾き返してチーム初安打をマーク。そして迎えた第2打席は無死満塁から前の打者の石崎が併殺となってしまい、同点に追いついたものの逆転の大チャンスが2死3塁と縮小してしまった場面であった。平岡はここで3球目のストレートをライト前に運ぶ勝ち越しのタイムリー。ここで打ち取られていたら流れが一気に東農大三に戻るという場面だったので、ここで平岡の1打で勝ち越せたことは共栄にとっては非常に大きな価値のあることだった。

平岡は8回裏の第4打席でもライトにライナー性の犠牲フライを放って2打点目。結局この試合では3打数2安打2打点という活躍。平岡は小柄ではあるが下半身がしっかりして、コンパクトにスイングができているので的確にボールを捉えることができていた。また例え会心の当たりでなくてもしぶとくヒットにする技術の高さも目立った。打つのに加えて盗塁も決めるなど走力もあり。守備も1・2塁間の深いゴロをさばく好プレーを見せるなど安定していて、走攻守に渡ってチームの埼玉制覇に大きく貢献。このような活躍を関東大会でも是非期待したい。

20181008春日部共栄 平岡
4回の貴重な勝ち越しのタイムリーを含む2安打2打点の活躍の春日部共栄の平岡



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雪谷×帝京【秋季東京大会1回戦】

10/6 秋季東京大会1回戦
雪谷×帝京@神宮第二球場

この日に開幕した秋季東京大会では1回戦からいきなり都立の雄である雪谷と、名門帝京が1回戦で激突した。

試合経過

20181006雪谷×帝京
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

雪谷は1回表、先頭の永江がいきなりライト線へのベースで出塁してチャンスメイク。1死3塁となってから3番日沼を打ち取ったと思われたが、フラフラと上がった当たりに対して帝京のライトの加田は慌てて前進するも打球はライトの前に落ちて先制。記録はタイムリー2ベースであったが、この時は風が吹いていたわけではないので加田の動きは見ている側からすると…というところであった。また永江の当たりもできればシングルヒットで止めたかった当たり。打力のある加田は背番号3ながらライトを守っていたが、この不慣れな部分が出てしまった形となる。いきなり悪い流れの帝京であったが、続く1死2塁のピンチは先発の1年生左腕の田代が松下・穂積を連続三振に斬って取り、初回を最小失点で凌ぐ。
20181006帝京 田代
初回のピンチを連続三振で切り抜けた帝京の先発田代

するとその裏の帝京は先頭の大内がライト前ヒットで出塁。2死2塁となって迎えた4番松浪はインコースの球にうまく反応すると打球はレフトスタンドに飛び込む逆転の2ランとなった。雪谷のエース穂積はコンパクトなスリークウォーターのフォームからシュートなどで右バッターのインコースをしきりに突こうとしていたので、この1打は穂積の投球を狂わす意味でも大きかった。

帝京は続く2回裏にも、先頭の浜崎が高めに浮いたスライダーを捉えてレフトスタンドへソロホームラン。さらに続く川田が四球で出塁したところで、雪谷は2番手として大澤をマウンドに送る。しかし大澤も流れを止めることができず、1死2塁から1番大内にタイムリーを浴びてしまい。さらに四球とワイルドピッチなどで得点圏にランナーを進められしまうと、4番松波に三遊間を破られてしまい、この回で合計3点を失う。
20181006帝京 大内
タイムリーを放った帝京1番の大内はこの試合4安打の活躍であった

しかし次のイニングに入った大澤は落ち着いたのか、持ち前の縦のスライダーやカーブといった変化球を中心に攻めることで帝京打線に的を絞らせないピッチング。変化球が多いため、最後に来るストレートに帝京はなかなか合わず、3回裏は3者連続三振を喫すると、4回も打者3人で片づけられてしまう。
20181006雪谷 大澤
3回は帝京打線を3者連続三振に仕留めるピッチングをみせた雪谷2番手の大澤

雪谷打線は3回表に2番横尾の3ベースからワイルドピッチで1点を返す。しかし5回から帝京のマウンドに2番手の柳沼が上がると打線は完全に沈黙していまい、大澤が好投で作った流れを掴み切ることができなかった。すると5回裏、2死から5番新垣の放った打球はレフトスタンドの後方のネットに直撃するソロホームラン。沖縄出身の期待の1年生の1発に帝京応援席は、ハイサイおじさんで大盛り上がりをみせた。
20181006帝京 新垣

さらに帝京に流れがいってしまったのが6回裏。帝京は四球と柳沼のヒットで1死1・3塁のチャンスを作るも、1番大内のあたりはレフトとショートの間のフライ。しかし太陽が目に入ったかレフトがボールを見失ってしまい、これが2ベースとなり帝京が1点を追加。確かに序盤は曇っていたところに、中盤以降はいきなり太陽が照りだすという状況ではあったが、帝京のレフトは前の回の途中にタイムをとってサングラスをし始めた。雪谷もこれは見ていたので、雪谷のレフト日沼はサングラスをせずに上記のプレーだったので非常に悔いが残り、流れも悪くしてしまうプレーであった。

帝京は8回には松波がこの試合2本目となるホームランを放ち6点差。何とかコールドを避けたい雪谷は8回表、これまえ完璧なまでに抑えられていた柳沼から先頭の横尾の左中間への2ベースで出塁すると、4番松下の犠牲フライで1点を返す。しかし反撃もそこまででこの8-3というスコアのまま帝京が逃げ切って初戦突破を決めた。
20181006雪谷 横尾
それぞれ得点に絡む2本の長打を放った雪谷の2番横尾



帝京の新チームは有望株の多い1年生が中心となると言われていた。中でもチームの中心として期待されていたのが、夏に1年生ながら二遊間のレギュラーを掴んだ小松・澤石のコンビであったが、この試合のスタメンにこの2人の名前はなかった。どうやら2人ともケガをしてしまったらしい…。ただ代わりに起用された伊藤や新垣は見事な活躍をみせた。伊藤はレフトでもショートでも見事な守備を見せていて、攻撃面でも2盗塁をマーク。新垣は3・4回と打線が沈黙していたところでの貴重な1発であった。伊藤の他にも、4安打の1番大内や4番で2ホーマーを含む3安打4打点の藤波ら2年生がプレーでチームで引っ張っていたのも印象的であった。
20181006帝京 伊藤
スタメンに抜擢されて攻守に好プレーをみせた帝京の伊藤

この秋に帝京のエースナンバーを背負うのは188㎝92㎏と超がつくほどの大型左腕の田代で、力を抜いたようなフォームからさストレートに加えてスライダー・チェンジアップなどの変化球を操っていた。体格からしたら球威はまだまだであり、抜けるボールが多くてコントロールもまだまだであったが、それでも無四球にまとめあげたのは評価できる。打席に立ってから次の回に交代をしたあたりは打撃も期待されているようだ。そしてこの試合で1番の収穫であったのは2番手としてマウンドに上がった柳沼。柳沼昨年駿台学園中のエースとして山田(二松学舎大附で1年夏から正捕手)とのバッテリーで東京の中学No1に輝きいた投手。サイド気味のフォームからノビのあるストレートにスライダー・シュート(?)などをコントロールよく投げ込んでいき、雪谷打線をテンポよく打ち取っていた。5回から最後まで5イニングをわずか55球で投げ抜いていた。この2人の他に吉田(元ロッテの吉田篤史の息子)や武者もいて、この秋の帝京投手陣はこのタイプのことなる1年生4投手で構成することになりそうだ。
20181006帝京 柳沼
5回1失点の好リリーフをみせた帝京2番手の柳沼


Pickup Player
藤波怜央 帝京2年 サード
~2年生の意地をみせた帝京の新4番~
4ホーマーを放った帝京打線を牽引したのは、2ホーマーを含む4打点の新4番藤波であった。

1年秋に背番号3をつけてベンチ入りを果たした藤波は、主にレフトのレギュラーとして活躍し、創価戦では3安打を放つ活躍をみせたが、2年春・2年夏はベンチ外となってしまった。この秋は背番号5で復帰した藤波は1次予選では5番を打っていたが、4番を打っていた小松が負傷離脱したこともあって、この試合では4番サードでスタメン出場を果たした。

第1打席は1点を先制された後、2死1塁という場面で回ってきた。すると2球目のインコースのストレートをうまく捉えてレフトスタンドに運ぶ逆転の2ラン。続く第2打席でも三遊間を破るタイムリーヒットを放つ。極め付けが8回の第4打席で初球のまたもやインコースのストレートを腕をたたんでうまく捉えると打球はまたもやレフトスタンドに消えていった。藤波はスタンスはやや狭く力を抜いた構え(田中悠に似ていてる)からコンパクトにバットを出すために対応力もあり、体近くのインコースにもうまく手を出すことができいた。結局4打数3安打4打点の大活躍であった。

1年生が中心と言われた新チームであるが、その1年生の主軸である小松・澤石が離脱。代わりに4番を務めた2年生の松波が上記のような活躍。特に1年生のミスもあって先制を許した後に、すかさず逆転弾を放ったあたりもさすがであった。帝京が久しぶりの甲子園出場を目指すうえではやはり最高学年となった2年生の活躍が必須のようだ。

20181006帝京 藤波
2ホーマーを含む3安打4打点の活躍をみせた帝京の藤波



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秋季東京大会の展望(2018)

明日から秋季東京大会も始めるので、その個人的な展望を描いてみます。

2018秋季東京大会 組み合わせ
※東京都の高野連のHPより

本命は秋3連覇を狙う日大三。U18日本代表候補にも選ばれた井上は夏の甲子園で150㌔をマークし、189㎝右腕の廣澤も甲子園では2試合に先発してMax148㌔をマーク。187㎝92㎏右腕という体格から146㌔をマーク平野は打撃も注目で、150㌔トリオ誕生に期待がかかる。キャッチャーの佐藤も夏には全試合でマスクを被っていてバッテリーは強力そのものだ。打線は器用なバッティングを見せる前田(中日や巨人で活躍した前田幸長の息子)は前チームではレギュラー争いに絡んだいたが、この前田と佐藤以外は未知数。ただそこは逸材の揃う日大三であり、前チームでも日置しか経験者がおらず不安視されていたが、フタを開けてみれば強力打線で秋を制覇したので大いに期待できることだろう。またこの後に挙げるような他の強豪校とも準決勝まで当たらないという組み合わせも有利である。
20180519日大三 廣澤
井上・平野とのエース争いも注目される日大三の廣澤


これに次ぐのは日大三のライバルである早稲田実業と、もはやお馴染みの東東京の3強である。

早稲田実業は1年春からマウンドに立っている143㌔右腕のエース伊藤が大黒柱。夏には野村をサードに戻し、正捕手の座を掴んだ長谷川が残っているのも心強い。打線では1年夏からレギュラーの生沼がファーストにコンバートされより打撃に集中できる環境で4番を務め、宇野はセンス抜群で俊足にパンチ力もある1番打者である。昨年世田谷西シニアの主将としてシニア日本選手権を制した梅村もレフトに入る予定で注目だ。
20180416早稲田実業 生沼
夏に続いて新チームでも早実の4番をつとめる生沼

二松学舎大附も夏の甲子園のレギュラーが多く残り心強い。投手陣では実績十分の海老原・大庭という左右の2枚看板に加えて、183㎝86㎏という見事な体格の1年生右腕の香山も控える。夏に1年生ながら市原監督の信頼が抜群の正捕手山田も健在でバッテリーは安定しているといえる。打線では東東京大会で驚異の打率.777をマークした野村、決勝では内野安打のみで猛打賞をマークした俊足の有馬でチャンスで作り、中軸には夏の1番であった右田、兄も二松学舎大附で活躍した1年生の秋広らが座る予定である。
20180812二松学舎大附 右田
前チームでは1番を務めたいた右田も新チームでは中軸を打つことになるだろう

関東一のエース谷は馬力のある右腕であり新チームでは日野を1失点完投するなどエースとして活躍している。野手は大久保・野口・平川らは経験があるが、基本は1からのチーム作りになるが。そこは例年新チームの完成度が高く、秋には好成績を残している関東一なので大いに期待できる。
20171007関東一 谷
馬力のある投球が持ち味の関東一の新エース谷

帝京は1年生に好素材が揃い、夏も一時はスタメンの半分ほどが1年生になるのでは?と言われたほど。最終的にはセカンド小松、ショート澤石の二遊間2人がレギュラーとなったが、この2人は1年生らいからぬ安定した守備でセンターラインを支えた。その他にも菊地・朝倉の1年生外野手2人は脚力があり、加田は予選では3番を打つなどバッティングに力があり、小松とともに中軸として期待される。投手陣も夏にベンチ入りを果たした武者・柳沼(駿台学園中では二松学舎大の山田とのバッテリーで東京V)に加えて、吉田(元ロッテの吉田篤史の息子)にも注目だ。ただ組み合わせ的にはいきなり雪谷で、それから創価×佼成学園という1回戦屈指の好カードの勝者との対戦となるなど激戦ブロックに入ってしまった。
20180721帝京 小松
1年夏からセカンドとして活躍している小松は新チームではCっ風軸も…


その他には創価東海大菅生国士舘あたりも戦力があるので、上記の5チームに続く存在となるであろう。

明日からは観戦に行く予定なので、秋の東京大会も満喫していきたいと思います。


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慶応大×法政大【東京六大学野球連盟】

10/2 東京六大学野球連盟 第4週2日目
慶応大×法政大@神宮球場

試合経過

20181002慶応大×法政大
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

リーグ3連覇を狙う慶応大。一方最近は低迷が続いていたが、この秋は早稲田・明治から勝ち点をあげるなど好調の法政大。ともにこれまで勝ち点を落としていない首位決戦は、慶応大が先勝して迎えた2戦目です。

慶応は初回に先頭の中村がヒットで出塁。法政の先発高田は立ち上がりのコントロールが悪く、柳町・郡司に四球を与えてしまい満塁。すると5番内田への4球目の変化球は高めにすっぽ抜けてキャッチーが取れず…この回2個目のワイルドピッチとなり、慶応が先制する。しかしこれで目が覚めたか高田は内田・嶋田と後続を連続三振に斬ってとり、初回の乱調を最少失点で凌ぐ。

慶応の先発は東大戦以来2回目の先発となる1年生の森田。森田はカットボールやSFF(?)などの打者の手元で少し曲がるストレート系の変化球を低めの絶妙なコースに決めて1番宇草を追い込んだ時は、これはなかなか打てないぞと思った。しかし追い込んでからのスライダーが甘く入ると、宇草はそれを逃さずにライトスタンドへ。3年春まで出場が最高1シーズン3試合であった宇草であるが、この秋は早稲田戦では決勝ホームランを放つなど打撃が好調で、打率.361(この試合の終了時)をマークしていて1番打者に定着している。この試合でも見事な先頭打者ホームランで、すぐさま試合を振り出しに戻した。法政はさらにここから小林のヒットに、2個の四球と1回表の慶応と同じように満塁のチャンスを作る。しかし迎えた7番福田は森田の低めの変化球に簡単に三振を喫してしまい逆転ならず。青木監督は早くも2回表の守備から福田に代えて、この秋にスーパーサブとして活躍している吉岡をサードに起用する。
20181002法政大 宇草
1回裏に先頭打者ホームランを放った法政の1番宇草

次に試合が動いたのは3回裏、先頭の小林がヒットで出塁すると、向山が送って1死2塁。ここで4番中山はセンター右方向に弾き返してタイムリーで法政が勝ち越し。さらに春の首位打者の5番中村がインコースの変化球をうまくさばくと、打球はレフトポール際に飛び込む2ランホームラン。ここで慶応は森田→木澤にピッチャーを交代するも、木澤も吉岡にホームランを浴びてしまい、法政がこの回4点を勝ち越し。上述した青木監督の早めの交代が見事に功を奏した形となった。
20181002法政大 中村
2ランホームランを放つ法政の5番中村浩

反撃に出たい慶応は4回大手に先頭の小原が2打席連続となるヒットで出塁も、続く瀬戸西が2打席連続でバント失敗。だが初回からコントロールの安定していなかった高田はピッチャーの木澤にも四球を与えてしまい1・2塁。2番渡部がライト前にタイムリーを放って慶応が1点を返す。
20181002慶応大 渡部
タイムリーを含む2安打の活躍をみせた慶応の1年生渡部

ランナーを出しながらも何とか4回まで2失点(慶応は4回までに8残塁)で凌いできた高田であったが、 やはり内容が…ということで、4回裏の先頭打者として高田の代打で毛利が登場。毛利は見事にライト前ヒットを放つと、宇草も四球を選んで1・2塁。ここから3番向山のサード強襲ヒット、4番中山の三遊間を抜くヒットと法政が3・4番の連続タイムリーで2点を追加する。
20181002法政大 中山
この試合2本目となるタイムリーを放った法政の4番中山

高田に代打が出たので、5回から法政のマウンドには菅野が上がる。菅野は威力のあるストレートに変化球を低めに集めて慶応打線を完璧に抑えていき、5~8回まで慶応打線はノーヒット。菅野は打っても7回裏に2死1・3塁からサードにタイムリー内野安打を放ちバットでも貢献。慶応は最終回にやっと大平が菅野から初ヒットを放つも後続は続かず…法政が8-2で勝利して、1勝1敗として天王山は翌日の第3戦へと続くこととなった。



森田(去年の慶応高校のエース)→木澤(一昨年の慶応高校のエース)→津留崎(2年前の慶応高校のエース)と後輩→先輩へ3世代に渡る慶応高校のエースリレーであったが、3人とも失点してしまい合計8失点で、自慢の投手陣がやられてしまった形だ。層の厚い慶応投手陣であるが、関根・佐藤の2年生コンビに続いて、菊地もこの秋はベンチ外。さらに今秋から石井もベンチ外となるなど負傷者続出で、ダブル高橋(高橋佑と高橋亮)頼みとなっている。そういう意味でも今日の慶応3人衆には大久保監督も非常に期待していたところだが残念ながらという結果になってしまった。
20181002慶応大 森田
慶応の先発の森田であった3回途中で降板し、マウンドを慶応高の先輩たちに託した

そんな中、唯一の収穫であったのが4番手として登板した前田。、8回裏の1死1・2塁という場面でマウンドに上がると、決してスピードがあるわけではないが独特な左のサイドスローのフォームから丁寧にコーナーにボールを投げて川口・吉岡と2人の左打者を打ち取りピンチを脱出。4年生ながら最後の秋にリーグ戦初登板を果たした前田の好投にベンチは大いに盛り上がった。この試合もスタメンで4年生は内田のみと、主力の多くが3年生以下の慶応にあって、このように4年生が活躍してチームを盛り上げていければ、また1つ違ったシナジーが得られることだろう。
20181002慶応大 前田
8回のピンチを凌ぐ見事なリーグ戦初登板を果たした慶応の前田

法政は前日に完璧に抑えられてしまった3番向山・4番中山のプロ志望届コンビがともにタイムリーを含む2安打と躍動。まず向山は2打数2安打1打点であり、バント2個に四球1個とヒットを打っている打席以外でもチームへの貢献度が高かった。またレフトフライで2塁からタッチアップをするなど走塁でも魅せていて、様々な面でチームに貢献できることをスカウトにアピールできたと思う。中山は3回・4回とタイムリー2本の活躍。昔の中山はパワー折り紙付きで当たりだすと止まらないが、その分脆いという印象であった。ただこの日の2本のタイムリーはともにタイミングを外されながらもうまく変化球を運んだバッティングであった。決して中山らしい目の覚めるような打球ではなかったが、悪いなりにもこのようにヒットにできるとアベレージもついてくるころだろう。
20181002法政大 向山
2安打以外にもバントに四球にと貢献度の高い打撃をみせた法政の向山

その他には宇草・吉岡という今シーズンの法政を象徴するような好調の2人がともにホームランを放つ活躍。投手陣も先発を外れはずれていた春のエース菅野が好投をみせるなど役者も揃ってきた。2012年秋から優勝がないと、六大学の中では東大以外で1番優勝から遠ざかってしまっている法政だが、これで明日慶応を破れば単独首位に立ち、優勝の可能性がかなり高くなる。


Pickup Player
菅野秀哉 法政大4年 ピッチャー
~エースが復活の兆し~
5回から最後まで無失点リリーフを見せたのは、春までのエース菅野であった。

菅野は小高工業時代から143㌔右腕としてプロにも注目されていたが、法政大に進学すると1年春からベンチ入り。1年秋からは慶応戦で初勝利をあげるなど先発2番手の座を掴むと、2年秋からはエースとなる。3年春には3勝0敗の活躍で最優秀防御率(1.39)も獲得。3年秋には11試合に登板して70イニング近くを投げるなどフル回転して5勝をあげるなど、名実ともに法政のエースであった。

しかしこの秋は菅野の状態が上がらないこと、1年生の三浦が台頭してきたこともあり、法政の先発は三浦・高田で菅野はリリーフに回るという状態となっていた。この日は先発の高田がイマイチだったこともあり、5回からマウンドに上がった菅野。初球にいきなり149㌔をマークすると、その後も140㌔を超えるストレートを中心にスライダーやチェンジアップといった変化球を低めに集めるピッチングで慶応打線をテンポよく打ち取っていく。菅野という基本ストレートで押していくイメージであったが、この日はいい感じに力も抜けていて、変化球もうまく使えていた。4回までは8残塁と再三ランナーを出していた慶応であったが菅野に代わってからほとんどランナーを出すことができずに完全沈黙。結局菅野は5回から最後まで投げ切り、5回1安打無失点5奪三振という見事な内容であった。打っても7回裏にタイムリーヒットを放つなど2打数2安打の活躍であった。

今日のピッチングで週末には高田に代わって先発に復帰することも十分想定できる。好調なところにエースが復活の兆しを見せてきて、法政としては心強い限りである。

20181002法政大 菅野
5回1安打無失点リリーフをみせた法政大の菅野


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