富士大×慶応大【オープン戦】
11/17 オープン戦
富士大×慶応大@慶応大下田グランド
試合経過

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
神宮大会も終わって各チームともに新世代へ移行する大学野球界。この日はもう寒いということもあってか…富士大が関東へ遠征してきて慶応大との対戦です。
慶応の先発は2年生右腕の木澤。この日は高橋佑・高橋亮の左右のエースはベンチ入りしておらず、大久保監督もきっと木澤に大いに期待していたことだろう。しかし木澤はいきなり先頭の宮里に四球を与えてしまうも、その宮里は2番河内の初球に盗塁死。ただ河内にも四球と木澤は波に乗れない。この日の木澤はストライクとボールがはっきりしていて、甘く入ったところを3番嘉瀬に捉えられ3塁線を抜ける2ベース。続く4番吉田の打球はライト前へのライナーとなり、これをライト中村がスライディングキャッチを試みるも届かず、2ベースとなって富士大が2点を先制する。さらに6番岸上にもタイムリーが飛び出し、富士大が初回に3点をあげる。
長身から放たれる木澤の球は決まる球は角度のあるストレート、大きく曲がるスライダーともに素晴らしいのだが、これが続かずに2回以降も調子が上がらない。2回表は1・3塁のピンチから2番河内の打球がショートライナーとなり、何とか切り抜けるも、3回表には4番吉田にセンターバックスクリーンにソロホームランを浴びてしまい、結局3回4失点でマウンドを降りることとなる。

期待の慶応大の先発木澤であったが3回4失点で降板となってしまった
一方富士大の先発は神奈川への凱旋登板となった武相出身の1年生右腕宮下。こちらは対照的にコントロールがよく、スライダー・カットボール(?)なども交えた安定したピッチング。2回途中から4者連続三振を奪うなどして、慶応打線を3回まで寄せ付けないピッチングを見せる。

4者連続三振を奪うなど3回まで慶応大を無得点に抑えた富士大の先発宮下
しかし慶応打線も徐々にアジャストしてきた(特に変化球)ようで4回裏、1死から正木がヒットで出塁すると福井のヒットで1・2塁。ここで6番嶋田が体勢を崩されながらもうまくレフト前に運んで、慶応が初得点をあげる。続く5回裏にも先頭の代打角谷のヒットからチャンスを作ると、こちらも途中出場の若林がライト線へタイムリー2ベース。さらに正木にもこの試合3本目のヒットとなるタイムリーが飛び出して慶応が3-4と1点差に迫る。

慶応大の初得点となるタイムリーを放つ嶋田
富士大は7回に河内・嘉瀬の連打でチャンスを作ると山城にタイムリーが飛び出して5-3とリードを広げる。しかしその裏に慶応も同じく若林と橋本典のバントヒットで1・2塁のチャンスを作ると、途中出場の4番鶴岡の打球はセンターの前にポトリと落ちて、そこからスタートを切ったにもかかわらず、若林が好走塁でホームを陥れすかさず1点差に戻した。
そんなゲームに終止符を打ったといえるのが、8回裏から富士大の4番手として登板した宇賀神であった。作新学院時代には今井(西武)・入江(明治大)に次ぐ3番手であったものの2016年夏に甲子園優勝を経験した左腕は、この日はその甲子園決勝で相手チーム(北海)のマスクを被っていた佐藤大とのバッテリー。ちなみにこの時の北海のエース大西は慶応にいるわけだがこの日は残念ながらベンチ入りしていなかった。宇賀神は決して体が開かずに腕がいきなり出てくるようなフォームからのストレートに加えて、打者の手元で鋭く曲がるスライダーを武器に慶応打線から3者連続三振を奪い、追いすがる慶応の息の根を止める。

8回から富士大の4番手として登板して3者三振で慶応打線の勢いをとめた宇賀神
すると9回表、慶応は5番手として日置がマウンドにあがるも先頭打者に四球を与えると降板。6番手として古市がマウンドにあがるも、河内のバントをサードが捕ったところで、古市が3塁ベースカバーに入らず、ランナーに3塁まで進まれてしまうと、日置に続いて古市も打者1人で交代。大久保監督が2人続けてピッチャーを懲罰交代にした形だ。慶応のマウンドには7番手として、1年生ながら秋のリーグ戦では2試合に先発した森田があがる(本来は絶対に予定なかったんだろうな…)。しかし森田は嘉瀬に犠牲フライを浴びてしまい、慶応からしてみれば流れ的にも非常に嫌な1点が追加される。
宇賀神は8回に続いて素晴らしいピッチングで、橋本典・正木から連続三振を奪ってゲームセット。結局宇賀神は打者6人に対してパーフェクト5奪三振という圧倒的なピッチングであった。富士大が6-4で逃げ切って勝利した。

まず勝利した富士大は打線に関しては佐藤龍(→西武7位)、楠(→大阪ガス)という柱は抜けたものの比較的に経験者が多い。その中でも核として期待された3番嘉瀬、4番吉田は揃って猛打賞の活躍で打つべき人がしっかりと打ったという感じだ。他の選手もスタメンでは9番の小林以外はヒットを放っていて好調といえる状態であった。守備に関しても佐藤龍の弟であり1年生ながらこの秋に正捕手の座を獲得した佐藤大、山城・河内の二遊間、センターの嘉瀬とセンターラインは経験者で守備も安定していた。

吉田とともに3安打の活躍で打線を牽引した富士大の3番嘉瀬
対照的に投手陣は前チームでは鈴木(→楽天8位)、佐々木(→NTT東日本)、村上、上島と強力な4年生カルテッドが存在していたために経験者は少なく、0からのスタートに近い状態。そんな中リーグ戦でもベンチ入りを果たし、新人戦でも先発を務めるなど期待されていた先発の宮下は5回3失点と試合は作れた。特に上述の通り1~3回までは慶応打線を完璧に抑えてたあたりは、5回3失点という結果以上に評価できる内容であった。その後には岩井、中西、宇賀神と左のリリーフ候補が登場。こちらも上述した通りに宇賀神のピッチングは素晴らしいを超えた内容であり、首脳陣は大きなアピールになったころだろう。
岩手県からはるばる神奈川まで遠征してきた富士大だが、そんなことを感じさせないほど神奈川の高校出身者が多かった。前チームでのファーストからレフトにコンバートされた加藤は東海大相模出身で、昨年の東海大相模の主将の喜友名もベンチいた。途中からサードに入った渡邊翔は2年夏に横浜でショートのレギュラーを張っていた選手であり、神奈川の両雄が揃い踏みであった。先発の宮下も武相出身で、宮下とバッテリーを組んでいた山本はキャッチャー登録ながらこの日はファーストで途中出場。3番手で登板した中西は藤沢翔陵、この日の出場はなかったが新主将の下地は日大藤沢と7人も神奈川の高校球児がいた。他にも遠征メンバーではなかったが、三浦学苑の石井兄弟らが富士大には在籍している。対する地元の慶応も、スタメンの木澤・正木・瀬戸西をはじめとして慶応高校の出身者がこの日は9人ベンチ入り。古市・杉原・鶴岡と3人の桐蔭学園出身者も途中出場を果たし、まさに神奈川のオールスターのような試合であった。

神奈川に凱旋して途中からサードで出場した横浜高出身の富士大の渡邊翔
敗れた慶応であったが外野のレギュラー争いが激化してきたのは大久保監督にとってはうれしい悩みの種であろう。そもそも秋の慶応の外野の布陣はレフト栁町、センター渡部、ライト中村となっていてレギュラーがそのまま残っている状態。その中でこの試合にスタメン出場したのは秋のリーグ戦で5ホーマーと大ブレイクを果たしベストナインを受賞した中村のみであったが、この中村が2打席凡退すると大久保監督はライトをあっさりと若林に代えた。その若林は途中出場ながらタイムリーを含む2安打の活躍をみせた。2番センターでスタメン出場した橋本も、7回には無死1塁からファーストへセーフティバントを決めるなど持ち味を発揮して2安打。この日はベンチ入りしていなかったポジション・打順・キャラとまる被りの渡部に挑戦状をたたきつける活躍であった。そして3番に入った正木もタイムリーを含む3安打の活躍と、レギュラーを目指す1年生外野手の3人がそれぞれアピールに成功した形だ。柳町はこの試合はなぜか代走のみでの出場となったが、これで夏には1度断念した柳町の内野への再コンバート論もまた浮上してきそうだ。

慶応大の3番に入り3安打1打点の活躍をみせた正木
春にはリーグ制覇、秋にもリーグ制覇まであと1勝のところまでいった慶応は上記の外野手に限らず、新主将を務める4番キャッチャーの郡司、小原・瀬戸西の二遊間にファーストの嶋田と前チームのレギュラーがほぼそのまま残る。そして快進撃の立役者となった投手陣も、秋に6勝をあげた高橋佑やリリーフもこなせる右のエース高橋亮をはじめとして強力投手陣もほぼそのまま残る。大久保監督にとっては来年はまさに勝負の年である。そんなチームの門出としては喜べる試合ではなかったが、上記の外野陣の活躍などは非常に期待の持てるものであった。

勝負の年となる慶応の新チームの主将は郡司
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吉田開 富士大3年 外野手
~新4番がチームを引っ張る3安打3打点の活躍~
序盤の4得点が富士大にとっては大きかったこの試合だが、そのうち3点は新4番の吉田のバットから生まれた。
吉田は専大北上では入学早々レギュラーを獲得して話題となった選手。秋季大会で打率5割を超える成績を残すと東北大会デビューも果たした。5番を務めた1年夏も2試合連続でホームランを放った。1年秋以降も3番or4番打者として打線を牽引。3年夏には杉山(創価大)擁する盛岡大付を破るも、その次の試合では加藤(筑波大)擁する花巻東に敗れるなど、現在は大学野球界を代表する投手となった2人とも激戦を繰り広げた。
高校通算54ホーマーの強打者としてプロからも注目されたが富士大へ進学すると2年春よりDHとしてスタメンに名を連ねるようになる。2年春には全日本大学野球選手権にも出場を果たすも、期待とは裏腹に3年春までの3シーズンは打率.200が最高と結果を残すことはできていなかった。しかしこの秋は勝てば優勝に王手という青森大戦で逆転満塁ホームランを放つなど、リーグ戦で11打点を叩き出して、ベストナイン(DH)と打点王を獲得。そして当初の期待通りに新チームでは4番を務めることとなった。
まず初回1死2・3塁という絶好のチャンスで回ってきた第1打席では木澤のスライダーをうまく捉えてライトへのライナー性の打球を放ち、これをライト中村がスライディングキャッチを試みるも届かず…先制の2点タイムリー2ベースとなった。そして1番の見せ場は3回表の先頭打者として迎えた第2打席で、初球のストレートを捉えると打球はまさに弾丸ライナーでそのままバックスクリーンにあたるホームランとなった。弟5打席にも森田のインコースのストレートに詰まったようであったが、それで右中間を抜いて2ベース。慶応の投手陣に対して決して振りまけることなく鋭いスイングができていて、1ホーマーを含む3安打3打点の活躍で見事4番としての活躍を果たした。
野手には経験者が多く残る富士大であるが、佐藤龍・楠という打線の2トップは卒業であり、この吉田には彼らのような活躍も期待される。それができてリーグを11連覇、12連覇することができれば、吉田自身のプロ入りというものも見えてくることだろう。

富士大新チームの4番として見事3安打3打点の活躍をみせた吉田
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富士大×慶応大@慶応大下田グランド
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※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
神宮大会も終わって各チームともに新世代へ移行する大学野球界。この日はもう寒いということもあってか…富士大が関東へ遠征してきて慶応大との対戦です。
慶応の先発は2年生右腕の木澤。この日は高橋佑・高橋亮の左右のエースはベンチ入りしておらず、大久保監督もきっと木澤に大いに期待していたことだろう。しかし木澤はいきなり先頭の宮里に四球を与えてしまうも、その宮里は2番河内の初球に盗塁死。ただ河内にも四球と木澤は波に乗れない。この日の木澤はストライクとボールがはっきりしていて、甘く入ったところを3番嘉瀬に捉えられ3塁線を抜ける2ベース。続く4番吉田の打球はライト前へのライナーとなり、これをライト中村がスライディングキャッチを試みるも届かず、2ベースとなって富士大が2点を先制する。さらに6番岸上にもタイムリーが飛び出し、富士大が初回に3点をあげる。
長身から放たれる木澤の球は決まる球は角度のあるストレート、大きく曲がるスライダーともに素晴らしいのだが、これが続かずに2回以降も調子が上がらない。2回表は1・3塁のピンチから2番河内の打球がショートライナーとなり、何とか切り抜けるも、3回表には4番吉田にセンターバックスクリーンにソロホームランを浴びてしまい、結局3回4失点でマウンドを降りることとなる。

期待の慶応大の先発木澤であったが3回4失点で降板となってしまった
一方富士大の先発は神奈川への凱旋登板となった武相出身の1年生右腕宮下。こちらは対照的にコントロールがよく、スライダー・カットボール(?)なども交えた安定したピッチング。2回途中から4者連続三振を奪うなどして、慶応打線を3回まで寄せ付けないピッチングを見せる。

4者連続三振を奪うなど3回まで慶応大を無得点に抑えた富士大の先発宮下
しかし慶応打線も徐々にアジャストしてきた(特に変化球)ようで4回裏、1死から正木がヒットで出塁すると福井のヒットで1・2塁。ここで6番嶋田が体勢を崩されながらもうまくレフト前に運んで、慶応が初得点をあげる。続く5回裏にも先頭の代打角谷のヒットからチャンスを作ると、こちらも途中出場の若林がライト線へタイムリー2ベース。さらに正木にもこの試合3本目のヒットとなるタイムリーが飛び出して慶応が3-4と1点差に迫る。

慶応大の初得点となるタイムリーを放つ嶋田
富士大は7回に河内・嘉瀬の連打でチャンスを作ると山城にタイムリーが飛び出して5-3とリードを広げる。しかしその裏に慶応も同じく若林と橋本典のバントヒットで1・2塁のチャンスを作ると、途中出場の4番鶴岡の打球はセンターの前にポトリと落ちて、そこからスタートを切ったにもかかわらず、若林が好走塁でホームを陥れすかさず1点差に戻した。
そんなゲームに終止符を打ったといえるのが、8回裏から富士大の4番手として登板した宇賀神であった。作新学院時代には今井(西武)・入江(明治大)に次ぐ3番手であったものの2016年夏に甲子園優勝を経験した左腕は、この日はその甲子園決勝で相手チーム(北海)のマスクを被っていた佐藤大とのバッテリー。ちなみにこの時の北海のエース大西は慶応にいるわけだがこの日は残念ながらベンチ入りしていなかった。宇賀神は決して体が開かずに腕がいきなり出てくるようなフォームからのストレートに加えて、打者の手元で鋭く曲がるスライダーを武器に慶応打線から3者連続三振を奪い、追いすがる慶応の息の根を止める。

8回から富士大の4番手として登板して3者三振で慶応打線の勢いをとめた宇賀神
すると9回表、慶応は5番手として日置がマウンドにあがるも先頭打者に四球を与えると降板。6番手として古市がマウンドにあがるも、河内のバントをサードが捕ったところで、古市が3塁ベースカバーに入らず、ランナーに3塁まで進まれてしまうと、日置に続いて古市も打者1人で交代。大久保監督が2人続けてピッチャーを懲罰交代にした形だ。慶応のマウンドには7番手として、1年生ながら秋のリーグ戦では2試合に先発した森田があがる(本来は絶対に予定なかったんだろうな…)。しかし森田は嘉瀬に犠牲フライを浴びてしまい、慶応からしてみれば流れ的にも非常に嫌な1点が追加される。
宇賀神は8回に続いて素晴らしいピッチングで、橋本典・正木から連続三振を奪ってゲームセット。結局宇賀神は打者6人に対してパーフェクト5奪三振という圧倒的なピッチングであった。富士大が6-4で逃げ切って勝利した。

まず勝利した富士大は打線に関しては佐藤龍(→西武7位)、楠(→大阪ガス)という柱は抜けたものの比較的に経験者が多い。その中でも核として期待された3番嘉瀬、4番吉田は揃って猛打賞の活躍で打つべき人がしっかりと打ったという感じだ。他の選手もスタメンでは9番の小林以外はヒットを放っていて好調といえる状態であった。守備に関しても佐藤龍の弟であり1年生ながらこの秋に正捕手の座を獲得した佐藤大、山城・河内の二遊間、センターの嘉瀬とセンターラインは経験者で守備も安定していた。

吉田とともに3安打の活躍で打線を牽引した富士大の3番嘉瀬
対照的に投手陣は前チームでは鈴木(→楽天8位)、佐々木(→NTT東日本)、村上、上島と強力な4年生カルテッドが存在していたために経験者は少なく、0からのスタートに近い状態。そんな中リーグ戦でもベンチ入りを果たし、新人戦でも先発を務めるなど期待されていた先発の宮下は5回3失点と試合は作れた。特に上述の通り1~3回までは慶応打線を完璧に抑えてたあたりは、5回3失点という結果以上に評価できる内容であった。その後には岩井、中西、宇賀神と左のリリーフ候補が登場。こちらも上述した通りに宇賀神のピッチングは素晴らしいを超えた内容であり、首脳陣は大きなアピールになったころだろう。
岩手県からはるばる神奈川まで遠征してきた富士大だが、そんなことを感じさせないほど神奈川の高校出身者が多かった。前チームでのファーストからレフトにコンバートされた加藤は東海大相模出身で、昨年の東海大相模の主将の喜友名もベンチいた。途中からサードに入った渡邊翔は2年夏に横浜でショートのレギュラーを張っていた選手であり、神奈川の両雄が揃い踏みであった。先発の宮下も武相出身で、宮下とバッテリーを組んでいた山本はキャッチャー登録ながらこの日はファーストで途中出場。3番手で登板した中西は藤沢翔陵、この日の出場はなかったが新主将の下地は日大藤沢と7人も神奈川の高校球児がいた。他にも遠征メンバーではなかったが、三浦学苑の石井兄弟らが富士大には在籍している。対する地元の慶応も、スタメンの木澤・正木・瀬戸西をはじめとして慶応高校の出身者がこの日は9人ベンチ入り。古市・杉原・鶴岡と3人の桐蔭学園出身者も途中出場を果たし、まさに神奈川のオールスターのような試合であった。

神奈川に凱旋して途中からサードで出場した横浜高出身の富士大の渡邊翔
敗れた慶応であったが外野のレギュラー争いが激化してきたのは大久保監督にとってはうれしい悩みの種であろう。そもそも秋の慶応の外野の布陣はレフト栁町、センター渡部、ライト中村となっていてレギュラーがそのまま残っている状態。その中でこの試合にスタメン出場したのは秋のリーグ戦で5ホーマーと大ブレイクを果たしベストナインを受賞した中村のみであったが、この中村が2打席凡退すると大久保監督はライトをあっさりと若林に代えた。その若林は途中出場ながらタイムリーを含む2安打の活躍をみせた。2番センターでスタメン出場した橋本も、7回には無死1塁からファーストへセーフティバントを決めるなど持ち味を発揮して2安打。この日はベンチ入りしていなかったポジション・打順・キャラとまる被りの渡部に挑戦状をたたきつける活躍であった。そして3番に入った正木もタイムリーを含む3安打の活躍と、レギュラーを目指す1年生外野手の3人がそれぞれアピールに成功した形だ。柳町はこの試合はなぜか代走のみでの出場となったが、これで夏には1度断念した柳町の内野への再コンバート論もまた浮上してきそうだ。

慶応大の3番に入り3安打1打点の活躍をみせた正木
春にはリーグ制覇、秋にもリーグ制覇まであと1勝のところまでいった慶応は上記の外野手に限らず、新主将を務める4番キャッチャーの郡司、小原・瀬戸西の二遊間にファーストの嶋田と前チームのレギュラーがほぼそのまま残る。そして快進撃の立役者となった投手陣も、秋に6勝をあげた高橋佑やリリーフもこなせる右のエース高橋亮をはじめとして強力投手陣もほぼそのまま残る。大久保監督にとっては来年はまさに勝負の年である。そんなチームの門出としては喜べる試合ではなかったが、上記の外野陣の活躍などは非常に期待の持てるものであった。

勝負の年となる慶応の新チームの主将は郡司
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吉田開 富士大3年 外野手
~新4番がチームを引っ張る3安打3打点の活躍~
序盤の4得点が富士大にとっては大きかったこの試合だが、そのうち3点は新4番の吉田のバットから生まれた。
吉田は専大北上では入学早々レギュラーを獲得して話題となった選手。秋季大会で打率5割を超える成績を残すと東北大会デビューも果たした。5番を務めた1年夏も2試合連続でホームランを放った。1年秋以降も3番or4番打者として打線を牽引。3年夏には杉山(創価大)擁する盛岡大付を破るも、その次の試合では加藤(筑波大)擁する花巻東に敗れるなど、現在は大学野球界を代表する投手となった2人とも激戦を繰り広げた。
高校通算54ホーマーの強打者としてプロからも注目されたが富士大へ進学すると2年春よりDHとしてスタメンに名を連ねるようになる。2年春には全日本大学野球選手権にも出場を果たすも、期待とは裏腹に3年春までの3シーズンは打率.200が最高と結果を残すことはできていなかった。しかしこの秋は勝てば優勝に王手という青森大戦で逆転満塁ホームランを放つなど、リーグ戦で11打点を叩き出して、ベストナイン(DH)と打点王を獲得。そして当初の期待通りに新チームでは4番を務めることとなった。
まず初回1死2・3塁という絶好のチャンスで回ってきた第1打席では木澤のスライダーをうまく捉えてライトへのライナー性の打球を放ち、これをライト中村がスライディングキャッチを試みるも届かず…先制の2点タイムリー2ベースとなった。そして1番の見せ場は3回表の先頭打者として迎えた第2打席で、初球のストレートを捉えると打球はまさに弾丸ライナーでそのままバックスクリーンにあたるホームランとなった。弟5打席にも森田のインコースのストレートに詰まったようであったが、それで右中間を抜いて2ベース。慶応の投手陣に対して決して振りまけることなく鋭いスイングができていて、1ホーマーを含む3安打3打点の活躍で見事4番としての活躍を果たした。
野手には経験者が多く残る富士大であるが、佐藤龍・楠という打線の2トップは卒業であり、この吉田には彼らのような活躍も期待される。それができてリーグを11連覇、12連覇することができれば、吉田自身のプロ入りというものも見えてくることだろう。

富士大新チームの4番として見事3安打3打点の活躍をみせた吉田
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