花咲徳栄×明石商【全国高校野球選手権2回戦】
8/11 全国高校野球選手権2回戦
花咲徳栄×明石商 @阪神甲子園球場
試合経過

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
明石商の先発は、早くも来年度のドラフト候補との呼び声が高い2年生エース中森。中森は兵庫大会ではやや調子を落としていたとも聞いたが、この甲子園という舞台に合わせて再調整してきたのか、序盤は素晴らしいピッチングをみせる。ストレートはMax147㌔をマークして、これにスライダー・フォーク・チェンジアップといった変化球を交えて的を絞らせず、3回までは外野に打球を飛ばさせないパーフェクトピッチングをみせた。
しかし中盤にさしかかり、やや勢いのなくなってきた中森に対して、強打の花咲徳栄打線が牙をむく。4回表、花咲徳栄は1死から2番橋本吏がチーム初ヒットで出塁すると、韮澤と井上も連打と、咋夏の甲子園を経験したメンバーで満塁チャンスを作る。すると6番中井は押し出しの四球を選び花咲徳栄が先制する。

この試合2打点の活躍をみせた花咲徳栄の中井
ただ直後の4回裏、明石商はセンバツでは先頭打者弾にサヨナラ弾と観客を沸かせた1番来田が、今大会初ヒットで出塁。2番水上はカウント2B1Sからのストレートを塗り抜くと、打球は甲子園のバックスクリーンに吸い込まれる同点2ラン。花咲徳栄の先発の中津原は、左サイドから丁寧にボールを投げ込んで、毎回ランナーを出しながらも粘り強く得点を与えていなかったが、水上の一振りにやられてしまった。

バックスクリーンに逆転2ランを放った明石商の水上
ここから試合は追いつき、勝ち越しの接戦となる。花咲徳栄は6回表に橋本吏のヒットから2四死球で満塁とすると、6番中井の高いバウンドのサードゴロの間に橋本吏がホームインし同点。ただ明石商は6回裏にすぐさま、福井のヒットと韮澤のエラー(疑惑の判定)で1・3塁のチャンスを作ると河野のタイムリーで3ー2と勝ち越しに成功。それでも花咲徳栄は7回表、9番の菅原が「デッドボールじゃありませ自己申告」の後、レフトスタンドにソロホームランを放ち、3ー3と再び同点に追いつく。

7回表に同点ホームランを放った花咲徳栄の菅原
花咲徳栄は7回裏から2番手の高森が登板するが、明石商は1番来田がいきなり左中間に2ベース。高森はまだ落ち着くことができなかったのか、続く水上のバント処理で1塁への送球が浮いてしまいオールセーフで無死1・3塁。ここで迎えるのは3番の主将重宮。明石商は兵庫大会の決勝ではこの3番重宮のスクイズで最終回に追いついて、甲子園にコマを進めていて、狭間監督は同様にスクイズのサインを出すも結果はファール。ただ打ち直しとなった重宮はスライダーを見事ライト前に運んで、明石商が4ー3とこの試合3度目のリードを奪う。ただなおも無死1・2塁のピンチは高森が岡田を併殺に打ち取るなどして切り抜け、明石商のリードは1点止まりとなる。

7回裏に勝ち越しタイムリーを放った明石商の重宮
花咲徳栄は最終回、先頭の中井がヒットで出塁して、田村が送って1死2塁と1打同点のチャンスを迎える。代打の南はセンターフライに倒れるも、迎えるは前の打席でホームランを放っている菅原。菅原の放った打球はライト前にフラフラと上がるも、これをライト安藤が猛ダッシュでギリギリキャッチ。中森が粘りの投球で3失点完投。明石商が4ー3のまま逃げ切って、初戦突破を決めた。

3失点完投勝利をあげた明石商の中森
センバツベスト4の明石商と、一昨年のこの大会の王者である花咲徳栄という東西の強豪対決は、互いに譲らない見事な接戦であった。試合は花咲徳栄が勝っていてもおかしくないくらい拮抗していて、途中の疑惑の判定がなかったら〜、最後の菅原の打球がもう少し弱ければ〜と少しでも何かがズレていれば花咲徳栄が勝利していた可能性も大いにある。
ただ花咲徳栄として誤算だったのは、自慢の打線が中森を捉えきれなかったことだろう。今日の中森は立ち上がりは素晴らしかったが、当初は147㌔をマークしていたストレートも中盤以降はほとんどが140㌔前後となり、変化球主体のかわすピッチングとなっていた。実際にチャンスはそれなりに作っていたが、4回・6回ともに満塁から1得点のみと、各回で打線が爆発して複数得点といかなかった。夏に向けて投手陣もだいぶ整備されてきた花咲徳栄で当たったが、全国レベルではまだまだ。その中でも明石商打線を4点に抑えたのは合格点を与えてもいいが、自慢の打線が3点に止まってしまったことが敗因であろう。
勝利したは明石商は中森・来田の2年生の投打の主軸コンビが健在。中森は中盤以降は本来の投球ができてはいなかったが、粘りの投球で3失点完投。来田も2安打を放ち、この2安打がいずれも得点の起点となっており、1番打者らしい活躍を見せた。1年前の夏の甲子園の初戦では、八戸学院光星相手に延長戦で、中森がレフト前ヒットを打たれ、その打球をレフト来田がファンブルして決勝点を許すという苦い思いをした2人が、とりあえずはリベンジ成功。ただチームとしては、春と同じくこの2人に依存しているところが多いのは課題。特に投手陣の中森依存は気になるところで、この日も135球を投じて完投。どうしてもタイプ的に球数が多くはなるので、勝ち上がっていくにつれ連投となると辛いところはある。兵庫大会では中森以上のイニングを投げた左腕の杉戸が、次戦では先発して試合を作ってくれると心強い限りだ。

1番打者として2度も得点の起点となった明石商の来田
Pickup Player
水上桂 明石商3年 捕手
~バックスクリーンへの価値のある1発~
バックスクリーンへの逆転2ランを放つなど、明石商の扇の要である水上の攻守に渡る活躍が光った。
水上は本職は捕手であるが、明石商では1年秋からその打力を買われて内野手としても出場。1年秋の近畿大会では9番サード、2年春の近畿大会では6番捕手として出場していて、この時は春夏連覇を達成した大阪桐蔭相手に6-7と大健闘し、自らも根尾・柿木から2安打を放っている。2年夏は背番号13ながら2番ファーストとして西兵庫大会では打率.304の活躍をみせ。甲子園にも出場した。
2年秋からはチームの副主将もつとめ、本格的に正捕手となると、セカンド送球1.8秒の強肩と好リードで中森・宮口を支え近畿大会準V。打撃では引き続き2番を務め、1番来田とクリーンアップの橋渡し役を担い打率.355の活躍。3年春のセンバツでは準々決勝までの3試合は11打数5安打と当たっていたが、準決勝の東邦戦では石川の前に4打数ノーヒットでチームも敗れた。そんな水上が兵庫大会では打率.471をマークする活躍で、この夏も2番捕手として、3度目の甲子園の舞台に帰ってきた。
この試合での水上の見せ場は0-1と先制されて迎えた5回の第3打席。2死から来田がヒットで出塁して回ってきたところで、カウント2B1Sから甘く入ったストレートを捉えると打球はバックスクリーンに飛び込む逆転2ランとなった。3-3の同点の場面で迎えた第4打席ではきっちりと送りバントを決め、これに高森のエラーが重なり出塁。続く重宮の決勝タイムリーに繋げた。打撃では四球とバントもあったので、2打数1安打2打点という結果であった。
捕手としては中森の球が走っていた序盤は中森の力を生かしたリードをしていたが、中盤以降にストレートが走らなくなると変化球を多めにして、うまく凌いで3失点完投に繋げた。8回には同点のランナーであった井上の盗塁を、見事な送球で阻止して花咲徳栄のチャンスを摘んだのも大きかった。
捕手としても打者としても、また副主将としてもチームを支える存在である水上の活躍は、明石商がセンバツ以上の成績を残すためには必須である。

逆転2ランに好リードと攻守での活躍が光った明石商の水上
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花咲徳栄×明石商 @阪神甲子園球場
試合経過

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
明石商の先発は、早くも来年度のドラフト候補との呼び声が高い2年生エース中森。中森は兵庫大会ではやや調子を落としていたとも聞いたが、この甲子園という舞台に合わせて再調整してきたのか、序盤は素晴らしいピッチングをみせる。ストレートはMax147㌔をマークして、これにスライダー・フォーク・チェンジアップといった変化球を交えて的を絞らせず、3回までは外野に打球を飛ばさせないパーフェクトピッチングをみせた。
しかし中盤にさしかかり、やや勢いのなくなってきた中森に対して、強打の花咲徳栄打線が牙をむく。4回表、花咲徳栄は1死から2番橋本吏がチーム初ヒットで出塁すると、韮澤と井上も連打と、咋夏の甲子園を経験したメンバーで満塁チャンスを作る。すると6番中井は押し出しの四球を選び花咲徳栄が先制する。

この試合2打点の活躍をみせた花咲徳栄の中井
ただ直後の4回裏、明石商はセンバツでは先頭打者弾にサヨナラ弾と観客を沸かせた1番来田が、今大会初ヒットで出塁。2番水上はカウント2B1Sからのストレートを塗り抜くと、打球は甲子園のバックスクリーンに吸い込まれる同点2ラン。花咲徳栄の先発の中津原は、左サイドから丁寧にボールを投げ込んで、毎回ランナーを出しながらも粘り強く得点を与えていなかったが、水上の一振りにやられてしまった。

バックスクリーンに逆転2ランを放った明石商の水上
ここから試合は追いつき、勝ち越しの接戦となる。花咲徳栄は6回表に橋本吏のヒットから2四死球で満塁とすると、6番中井の高いバウンドのサードゴロの間に橋本吏がホームインし同点。ただ明石商は6回裏にすぐさま、福井のヒットと韮澤のエラー(疑惑の判定)で1・3塁のチャンスを作ると河野のタイムリーで3ー2と勝ち越しに成功。それでも花咲徳栄は7回表、9番の菅原が「デッドボールじゃありませ自己申告」の後、レフトスタンドにソロホームランを放ち、3ー3と再び同点に追いつく。

7回表に同点ホームランを放った花咲徳栄の菅原
花咲徳栄は7回裏から2番手の高森が登板するが、明石商は1番来田がいきなり左中間に2ベース。高森はまだ落ち着くことができなかったのか、続く水上のバント処理で1塁への送球が浮いてしまいオールセーフで無死1・3塁。ここで迎えるのは3番の主将重宮。明石商は兵庫大会の決勝ではこの3番重宮のスクイズで最終回に追いついて、甲子園にコマを進めていて、狭間監督は同様にスクイズのサインを出すも結果はファール。ただ打ち直しとなった重宮はスライダーを見事ライト前に運んで、明石商が4ー3とこの試合3度目のリードを奪う。ただなおも無死1・2塁のピンチは高森が岡田を併殺に打ち取るなどして切り抜け、明石商のリードは1点止まりとなる。

7回裏に勝ち越しタイムリーを放った明石商の重宮
花咲徳栄は最終回、先頭の中井がヒットで出塁して、田村が送って1死2塁と1打同点のチャンスを迎える。代打の南はセンターフライに倒れるも、迎えるは前の打席でホームランを放っている菅原。菅原の放った打球はライト前にフラフラと上がるも、これをライト安藤が猛ダッシュでギリギリキャッチ。中森が粘りの投球で3失点完投。明石商が4ー3のまま逃げ切って、初戦突破を決めた。

3失点完投勝利をあげた明石商の中森
センバツベスト4の明石商と、一昨年のこの大会の王者である花咲徳栄という東西の強豪対決は、互いに譲らない見事な接戦であった。試合は花咲徳栄が勝っていてもおかしくないくらい拮抗していて、途中の疑惑の判定がなかったら〜、最後の菅原の打球がもう少し弱ければ〜と少しでも何かがズレていれば花咲徳栄が勝利していた可能性も大いにある。
ただ花咲徳栄として誤算だったのは、自慢の打線が中森を捉えきれなかったことだろう。今日の中森は立ち上がりは素晴らしかったが、当初は147㌔をマークしていたストレートも中盤以降はほとんどが140㌔前後となり、変化球主体のかわすピッチングとなっていた。実際にチャンスはそれなりに作っていたが、4回・6回ともに満塁から1得点のみと、各回で打線が爆発して複数得点といかなかった。夏に向けて投手陣もだいぶ整備されてきた花咲徳栄で当たったが、全国レベルではまだまだ。その中でも明石商打線を4点に抑えたのは合格点を与えてもいいが、自慢の打線が3点に止まってしまったことが敗因であろう。
勝利したは明石商は中森・来田の2年生の投打の主軸コンビが健在。中森は中盤以降は本来の投球ができてはいなかったが、粘りの投球で3失点完投。来田も2安打を放ち、この2安打がいずれも得点の起点となっており、1番打者らしい活躍を見せた。1年前の夏の甲子園の初戦では、八戸学院光星相手に延長戦で、中森がレフト前ヒットを打たれ、その打球をレフト来田がファンブルして決勝点を許すという苦い思いをした2人が、とりあえずはリベンジ成功。ただチームとしては、春と同じくこの2人に依存しているところが多いのは課題。特に投手陣の中森依存は気になるところで、この日も135球を投じて完投。どうしてもタイプ的に球数が多くはなるので、勝ち上がっていくにつれ連投となると辛いところはある。兵庫大会では中森以上のイニングを投げた左腕の杉戸が、次戦では先発して試合を作ってくれると心強い限りだ。

1番打者として2度も得点の起点となった明石商の来田
Pickup Player
水上桂 明石商3年 捕手
~バックスクリーンへの価値のある1発~
バックスクリーンへの逆転2ランを放つなど、明石商の扇の要である水上の攻守に渡る活躍が光った。
水上は本職は捕手であるが、明石商では1年秋からその打力を買われて内野手としても出場。1年秋の近畿大会では9番サード、2年春の近畿大会では6番捕手として出場していて、この時は春夏連覇を達成した大阪桐蔭相手に6-7と大健闘し、自らも根尾・柿木から2安打を放っている。2年夏は背番号13ながら2番ファーストとして西兵庫大会では打率.304の活躍をみせ。甲子園にも出場した。
2年秋からはチームの副主将もつとめ、本格的に正捕手となると、セカンド送球1.8秒の強肩と好リードで中森・宮口を支え近畿大会準V。打撃では引き続き2番を務め、1番来田とクリーンアップの橋渡し役を担い打率.355の活躍。3年春のセンバツでは準々決勝までの3試合は11打数5安打と当たっていたが、準決勝の東邦戦では石川の前に4打数ノーヒットでチームも敗れた。そんな水上が兵庫大会では打率.471をマークする活躍で、この夏も2番捕手として、3度目の甲子園の舞台に帰ってきた。
この試合での水上の見せ場は0-1と先制されて迎えた5回の第3打席。2死から来田がヒットで出塁して回ってきたところで、カウント2B1Sから甘く入ったストレートを捉えると打球はバックスクリーンに飛び込む逆転2ランとなった。3-3の同点の場面で迎えた第4打席ではきっちりと送りバントを決め、これに高森のエラーが重なり出塁。続く重宮の決勝タイムリーに繋げた。打撃では四球とバントもあったので、2打数1安打2打点という結果であった。
捕手としては中森の球が走っていた序盤は中森の力を生かしたリードをしていたが、中盤以降にストレートが走らなくなると変化球を多めにして、うまく凌いで3失点完投に繋げた。8回には同点のランナーであった井上の盗塁を、見事な送球で阻止して花咲徳栄のチャンスを摘んだのも大きかった。
捕手としても打者としても、また副主将としてもチームを支える存在である水上の活躍は、明石商がセンバツ以上の成績を残すためには必須である。


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