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健大高崎×前橋育英【秋季群馬大会】

9/28 秋季群馬大会準決勝
健大高崎×前橋育英@桐生球場

試合経過

20190928健大高崎×前橋育英
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


秋季群馬大会は準決勝の2試合目は、健大高崎×前橋育英という群馬のゴールデンカード。勝てば地元開催の関東大会への出場が決まるという大一番は、健大高崎が下、前橋育英が菊地樂という両エース左腕の先発で始まった。

試合が動いたのは3回裏、このからから打順2巡目となった前橋育英はまず1番飯野がセンター前ヒットで出塁。高橋が送って1死2塁のチャンスを作ると、3番諸田がレフトオーバーのタイムリー2ベースを放ち先制。続く4番須永も初球を捕られると、打球はライトの頭上を超えていき、前橋育英が3・4番の連続タイムリーでこの回2点をあげる。
20190928前橋育英 諸田
先制タイムリーを放った諸田

健大高崎の先発の下は、四球も多くその後も得点圏にランナーを背負うピッチング。それでもクロス気味のフォームからのストレートと、得意の小さく曲がるスライダーをうまくコントロールし、チェンジアップも交えながら勝負ところでは前橋育英打線を打ち取っていく。6回には先頭の永野川に左中間に3ベースを浴びて無死3塁というピンチを招くも、ここでも続く野村をショートゴロに仕留めて3塁ランナーをくぎ付けにする。さらに8番佐藤のセーフティスクイズも、下の守備範囲で3塁ランナーも戻り失敗かに思えたが、これを1塁へ暴投してしまい、前橋育英が貴重な追加点を奪う。
20190828健大高崎 下
粘りピッチングをみせていた健大高崎のエース左腕の下

前橋育英のエース1年生左腕の菊池樂は素晴らしいピッチングであった。ストレートのコントロールは抜群で、右バッターのインコースを突くことができていて、与えた四球は1個のみ。変化球はスライダーに加えて、右バッターのアウトコースに落ちるスクリュー系のボールを交えた投球で、健大高崎打線を6回まで2安打無失点に抑える。
20190928前橋育英 菊池樂
6回まで健大高崎打線を2安打無失点に抑えた菊池樂

しかし快調そのものであった菊池だが、下半身をつるというアクシデント。治療を経て、1度はマウンドに上がったものの、まともに投球することができずにそのまま降板となった。代わりに7回から緊急登板したのは2年生左腕の武藤は、ステップを大きめにとって全身を使ったフォームから繰り出すストレートの威力は十分で、スライダーとのコンビネーションで健大高崎打線を打ち取っていき、無失点を継続していった。
20190928前橋育英 武藤
7回から緊急登板も好投を見せた武藤

健大高崎は8回裏に3番手として橋本挙がマウンドへ。中学時代には木下(横浜)・田渕(履正社)とともにたけしのスポーツ大将にも出演していた注目の191㎝右腕は、長い腕を柔らかく使ったフォームから繰り出すストレートは威力抜群で、このストレート中心のピッチング。ただコントロールにはやや課題があるようで、先頭の井上に四球を与えてしまうと、永野川・野村に連打を浴びてしまい1失点。さらに2個のワイルドピッチが絡んで2点目も失ってしまう。
20190828健大高崎 橋本挙
健大高崎の3番手として8回のマウンドにあがった橋本挙

これで5点差とした前橋育英は、最終回のマウンドにも上がった武藤が、味方のエラーでピンチを招きながらも無失点で凌いで、完封リレー。前橋育英が群馬のゴールデンカードに快勝し、関東大会出場を決めた。



群馬のゴールデンカードであったが、終わってみれば前橋育英の快勝であった。秋らしく両チームの完成度の高さがそのまま出た試合でもあった。ただ前チームからの経験者という意味では健大高崎の方が多かった。

ここ数年機動破壊で甲子園に名を轟かせた健大高崎には、全国各地からより強力な選手が集まるようになってきて、各世代の代表歴のある逸材も多く、選手層は厚くなっている。ただ今年の新チームも、前チームも明確な軸となる選手がおらず、今大会もなかなかスタメンや打順を固定できないまま戦いが続いていた。昨秋はレギュラーであり、新チームの主力として期待された福岡や古滝がこの試合ではベンチスタートになっているあたりがその象徴だ。全国のチームから声のかかった191㎝右腕の橋本挙も最終学年になってもエースナンバーは獲得できず、この試合でも3番手で登板して1回2失点という内容であった。

一方の前橋育英は甲子園に出場したために新チームのスタートは遅く、甲子園でベンチ入りしていたのも須永と武藤の2人のみ。しかし前チームから4番捕手の扇の要であ須永の存在に加えて、1年生左腕の菊池樂をエースに抜擢したことも功を奏して、持ち前の守備力の高いチームを形成。健大高崎としては正反対に、メンバーも固定することができていて、安定した戦いぶりであった。

ただ幸いにも今年は関東大会が群馬開催であるために、出場枠は3つ目があるので健大高崎にもまだチャンスはある。上述の通り中学時代に本当に実績のある選手が集まっているので、チームとしての歯車さえ噛み合えば、それだけで前橋育英にとっても脅威に成り得るだろう。


Pickup Player
須永武志 前橋育英2年 捕手
~機動破壊を封じた強肩捕手~
前橋育英の扇の要である須永は、いきなり健大高崎の機動力を封じるなど、攻守に存在感を見せつけた。

須永は1年夏から控え捕手として甲子園でもベンチ入りを果たすと、1年秋の新チームからは正捕手。持ち前の強肩に加えて、コントロール抜群のエース梶塚とバッテリーを組むことでリード面でも成長を遂げ、秋の群馬を制した。冬場には勝負強い打撃にも磨きがかかり、秋は8・9番であった打順は春は4番までに昇格。2年夏も4番捕手としてチームを4年連続の夏の甲子園出場に導いた。

新チームでも引き続き4番捕手を務める須永は、この試合でまずその強肩で魅せる。回の始めのセカンド送球で、健大高崎スタンドからも思わず「お~」という声があがるほどの送球を見せつけると、1回表にヒットで出塁した2番渡邉の盗塁を完璧な送球で阻止。結果的に軌道破壊で知られる健大高崎がこの試合に試みた盗塁はこの1個のみであり、健大高崎の足を完全に封じたといえる。リード面でも1学年下の菊池樂を引っ張って、6回2安打無失点。緊急登板となった武藤も引っ張り、完封リレーを完成させた。これで須永が正捕手となってからVS健大高崎は3連勝であり、もはや健大高崎にとってはトラウマレベルであろう。

打撃面では3回裏に迎えた第2打席、その前を打つ3番諸田のタイムリーで先制した直後の初球をすかさず叩くと、ライナー性の打球は伸びてライトの頭上を超えるタイムリー2ベース。7回のチャンスでは併殺に倒れてしまうなど、この日の当たりは2打席目の1本のみであったが、先制直後にすかさず健大高崎にたたみ掛けたという意味では捕手らしい勝負どころをしっかりと掴んだ1打であった。

上述の通り、前橋育英で前チームからのベンチ入りは2人のみで、レギュラーだったのは須永のみ。貴重な経験者という意味でもよりチームを引っ張ることが期待されるが、この試合では攻守に渡ってその期待に見事に応えてみせた須永であった。

20190928前橋育英 須永
強肩で機動破壊を完全に封じた前橋育英のキャッチャー須永


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東洋大×立正大【東都学生野球連盟】

9/10 東都学生野球連盟第1週1日目
東洋大×立正大@神宮球場

試合経過

20190910東洋大×立正大
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

台風の影響により1日遅れた秋の東都学生野球連盟の開幕戦は、連覇を狙う春の王者:東洋大と、昨年の秋を制してそのまま一気に明治神宮大会も制した立正大の対決となった。

東洋大は1回表、先頭の松本がレフトにうまく運んで出塁すると、2番小峰が送ってチャンスメイク。2死2塁から、新4番山崎が内野安打でつなぐと、今度は打順を5番に下げた佐藤がセンター前にタイムリーを放ち東洋大が先制点をあげる。
20190410東洋大 佐藤都
先制タイムリーを放った佐藤都

東洋大の先発は春のリーグ戦のタイトルを総なめにしたエース村上。村上は1・2回を3人ずつで片づける順調な滑り出しを見せるも、3回に立正大打線が牙をむく。1死から8番風岡がレフト前ヒットで出塁すると、続く9番奈良間もセンター前にはじき返して、ともにこの秋からレギュラーを獲得し、新三遊間を組む2人の活躍で1・2塁のチャンスを作る。しかし上位打線を迎えたところで村上もギアをあげて、1番神保・2番根本から連続三振に仕留めてピンチを脱する。
20190410立正大 風岡
3回にヒットを放ちチャンスを作った風岡

この日の村上は序盤は130㌔台のストレートも多くみられるなど、春には150㌔もマークしていたことを考慮すると、決して球が走っていなかったといえる。それでもストレートは回転が非常にいいので、上記の連続三振もともにストレートで奪うなど、空振りのとれるストレートであった。これに加えて120㌔前後のスライダー、130㌔ちょっとのフォークを中心に、110㌔ちょっとのカーブなども交えて、持ち前のコントロールで立正大打線を封じ込めていった。
20190410東洋大 村上
球は走っていなくても好投を続ける村上

対する立正大の先発の倉田も、初回に先制パンチこそ浴びたものの以降は素晴らしいピッチング。右サイドから繰り出すストレートはMax141㌔で、最大の武器は2種類のスライダー。120㌔台で小さく曲がるスライダーは、左バッターのアウトコースに絶妙に決まるなど素晴らしくコントロールされていて、もう1つ110㌔台の大きく曲がるスライダーも操っていた。これに加えて中盤以降は130㌔前後のシンカー(?)も交えて東洋大打線を抑えていた。初回の3安打の後、2回には津田にもヒットを浴びたものの、3回以降はなんと東洋大をノーヒット、4回以降はパーフェクトと立正大の開幕投手にふさわしい投球をみせた。
20190410立正大 倉田
3回以降東洋大打線をパーフェクトに抑えた倉田

ただ春もリーグ3位の防御率(1.64)をマークしながら未勝利に終わるなど、打線の援護を受けることができなかった倉田。この日も同じように打線の援護を受けることができずに、1失点完投も敗戦投手。東洋大が初回にあげた1点を、村上が5安打12奪三振完封で守り切り、開幕戦に勝利した。



東都の開幕戦は両投手の素晴らしい投手戦となった。だが終わってみれば東洋大のエース村上が完封で、春に続いてその実力が東都No1の投手であるということを証明した。上述もした通りこの日の村上の球は決して走っていはいなかった。それでもキャッチャー佐藤都の好リードもあり、立正大のスコアカードに0を重ねていき、5~8回は倉田に負けじとこちらもパーフェクトピッチング。調子がそこまでよくない中でこのようなピッチングをさせると、相手としてはたまったものではないだろう。

立正大の倉田も本当に素晴らしいピッチングで、開幕投手としての起用に見事に応えた。ただ春もリーグ3位の防御率1.64をマークしながら未勝利に終わるなど、打線からの無援護状態はこの秋も継続しているようで、リーグ戦初勝利はお預けとなった。春は5位に沈んでしまった立正大は、この秋には多くの選手を新たに抜擢している。咋秋の神宮大会制覇の立役者である糸川でなく、倉田を開幕投手にしたのもその1つであるし、奈良間・風岡に三遊間を組ませ、ショートだった主将根本は桐光学園時代と同じセカンドへ。4番には1年生の小林俊を起用した。小林俊はまるで阿部慎之助のように、しっかりとして下半身と軸を持っている強打者で、2打席目には村上を強襲する強烈なヒットを放った。ただ最終回に2死2塁と同点のチャンスで迎えた4打席目にはセカンドフライに倒れてしまい、今後4番としては勝負強さを手に入れたいところだ。
20190410立正大 小林俊
1年生ながら立正大の4番を務めた小林俊


Pickup Player
佐藤都志也 東洋大4年 捕手
~キャッチャーとしてのプロ入りに向けて好発進~
東洋大の扇の要である佐藤都が、攻守にわたり存在感を示し、この秋のドラフト指名に向けて、リーグ戦で好発進した。

佐藤都は聖光学院では打力のある捕手として活躍。エース船迫(西濃運輸)、攻守の要に八百板(楽天)というチームで1年秋には正捕手を獲得するも、2年夏の甲子園では準々決勝の日本文理戦で代打で出場してマスクを被るのみの出場となった。2年秋の新チームでは4番捕手とチームの中心となり、3年夏の甲子園には強打の1番捕手として出場するも、初戦で優勝した東海大相模に敗退。秋にはプロ志望届を提出するも、指名漏れで東洋大に進学することとなる。

東洋大では1年春から代打などでリーグ戦出場を果たすと、2年春にはファーストのレギュラーを獲得。5番打者として打率.438をマークし、首位打者・ベストナインを受賞して、チームの優勝に大きく貢献。2年秋にもリーグ3位となる打率.345の活躍で引き続きベストナインを獲得すると、3年春から本職である正捕手となり、上茶谷(DeNA)・甲斐野(ソフトバンク)・梅津(中日)の3本柱をリードして、東都1部3連覇を達成。3年夏には大学日本代表に選出されると、その走力を含めた野球センスを買われライトとして活躍。最終学年となりチームの主将も務めると、4年春には4番キャッチャーとしてチームを優勝に導き、捕手としては初のベストナイン獲得。大学日本代表では6番ファーストとして活躍した。

ドラフト会議に向けて最後のアピールとなるこの秋の開幕戦では5番キャッチャーとしてスタメンに名を連ねた佐藤都。初回の2死1・3塁で迎えた第1打席では、春にもホームランを放っているお得意様の倉田から先制のセンター前タイムリーヒット。その後は3打席ノーヒットに終わってしまったが、結果的に初回のこのタイムリーが決勝打となった。捕手としては調子のよくない村上をうまくリードして序盤を凌ぐと、中盤以降は調子を取り戻させて、見事に完封をアシスト。杉本監督も成長を認める見事なリードで攻守にわたり勝利の立役者となった。

この試合の3日後にプロ志望届を提出した佐藤都。ドラフトでの指名は確実な状態だが、問題は捕手としてどれだけ評価されているかである。上述の通り大学日本代表ではファーストやライトを務め、強肩強打に加えて、走力もあるなど万能な選手である佐藤都。その一方、本職である捕手では大学日本代表の正捕手になれなかったのも事実である。チームによっては外野として佐藤都を指名する可能性もあるが、やはり本職の捕手でプロ入りを目指したいところ。そのためにはこの試合でのリーグは大きなプラスになったはずである。

20190410東洋大 佐藤都2
村上を好リードして、ドラフトに向けて捕手としてもアピールに成功した佐藤都


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桐光学園×横浜隼人【秋季神奈川大会2回戦】

9/8 秋季神奈川大会2回戦
桐光学園×横浜隼人 @サーティ―フォー保土ヶ谷球場

試合経過

20190908桐光学園×横浜隼人
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

秋季神奈川大会では、桐光学園と横浜隼人という屈指の強豪同士が対戦した。1回表、桐光学園は1番直井が左中間への2ベースで出塁。横浜隼人の先発梅田は2番馬込・3番安達という桐光打線の中でも屈指の強打者2人を打ち取って2死とするも、4番仲亀に死球を与えてしまうと、5番小沢輝に1・2塁間を破られ、桐光学園が先制。続く6番森田の左中間への大飛球は2点タイムリー2ベースとなり、桐光学園が初回に3点を先制する。
20190908桐光学園 森田
初回に2点タイムリー2ベースを放った森田

いきなりの重要な1戦とあって、桐光学園も初戦からエース安達がマウンドに上がると、3回までを9人で片づける素晴らしい立ち上げ離。一方の横浜隼人の梅田も2回以降は立ち直り、試合は桐光学園が3-0とリードのまま進んでいく。
20190908横浜隼人 梅田
2回以降は立ち直り桐光打線を無得点に抑えた梅田

5回表、桐光学園は先頭の9番内囿が死球で出塁し、直井が送って1死2塁のチャンスを作る。するとここで横浜隼人の水谷監督は、2番手として加藤をマウンドに送る。加藤は力のあるストレートで、2番馬込を押してレフトファールフライに打ち取ると、3番安達は敬遠気味に歩かせるも、4番仲亀を見事インコースのストレートで三振に仕留めて、このピンチを脱する。加藤はコントロールはまだまだで四球などでランナーを出すものの、勝負どころでは力のあるストレートで攻めてピンチを切り抜け、桐光学園のスコアに0を積み重ねていった。

横浜隼人の反撃は6回表、先頭の山下が四球で出塁すると、1死から4番笹沼の打球はライトの前へ。これをライト仲亀が前進するも、わずかに届かずに後逸…これが記録3ベースとなり、横浜隼人が1点を返す。さらに死球で1死1・3塁と一気に同点のチャンスを迎えるも、6番伊東のライトフライで、笹沼はタッチアップしてホームを狙うも、桐光学園はライト仲亀からの中継プレーでホームタッチアウトでピンチを凌いだ。
20190908横浜隼人 笹沼
反撃のタイムリーヒットを放つ4番笹沼

7回表の1死で、試合は降雨により中断。グランド整備を経て40分ほどして再開となった。中断となるとピッチャーにとっては調整が難しいところだが、加藤は1死からの再開で3番安達・4番仲亀を打ち取り、この回を3人で終える。しかし中断で加藤以上に投球がよくなったのが安達で、7・8回とそれぞれ2個ずつの三振を奪い、横浜隼人をノーヒットに抑えて反撃を許さない。
20190908桐光学園 安達2
7回以降さらにピッチングが冴えわたった安達

すると桐光学園は9回表、1死2塁から1番直井がライトオーバーのタイムリー3ベースを放ち、初回以来の得点となる待望の追加点。さらに3番安達の強烈な打球をショート渡邉が捕れずに(記録はエラー)2点目を献上すると、四球で満塁とされてから5番小沢輝がまるで1打席目のデジャヴのような1・2塁間を抜くタイムリー。桐光打線がついに加藤をとらえて3点を追加し、加藤をマウンドから引きずり下ろした。安達は9回裏も完璧に3人で抑えて、見事1失点完投勝利。桐光学園が初戦屈指の好カードを6-1で制して3回戦にコマを進めた。
20190908桐光学園 直井
貴重な追加点となるタイムリー3ベースを放った直井

20190908桐光学園 小澤
2本のタイムリーを含む3安打の活躍であった小澤輝



敗れた横浜隼人は打線は安達の前に完璧に抑えられてしまい、来年の春に向けて、選手層の厚い横浜隼人ならではの多くの入れ替えもありそうだ。その一方で投手陣は6失点を喫したものの、2番手加藤の好投は春に向けての好材料であった。2年夏にはほぼ全球ストレートで大磯を完封したことでも名をあげた加藤は、この日も自慢のストレートは威力抜群で桐光打線も押されているところは多くみられた。それに加えて投球練習では変化球を多めに投げるなどしていて、課題の改善にも取り組んでいるようで、その成果か8回には森田・浅見からともにスライダーで連続三振を奪っていた。制球面などほかにも課題は多く、だからエースとして期待されながらも、この秋は背番号11だったのだろうが、桐光打線を5~8回まで無得点に抑えたことは自信になったはずである。ぜひとも来年には横浜隼人の背番号1を背負うところが見たいものだ。
20190908横浜隼人 加藤
桐光打線を5~8回まで無得点に抑えた加藤

桐光学園は前チームからのレギュラーであり、新チームの打線の軸である2番馬込・3番安達・4番仲亀がノーヒットに抑えられたこともあり、やや苦戦した。特に前チームで鈴木を2番に置いたように、新チームでも前チームでは3番を打っていた馬込を強打の2番に置いていて、初回の無死2塁の場面でもバントはしなかったが結果は三振。新オーダーが力を発揮するのは次戦以降になりそうだ。それでも最終回には3点を追加し、終わってみれば快勝であった。前チームから強力投手陣の中でエース番号を背負った安達の存在は心強い限りであり、この秋も神奈川の中心となりそうだ。ただ唯一不安なのは、この秋の組み合わせである。初戦でいきなりの横浜隼人との決戦に勝利したものの、次の相手は春ベスト4の鎌倉学園、そこからはあくまで順当にいけばであるが、4回戦には慶応、準々決勝には横浜と名だたる強豪との対戦が待っている。初戦から息つく間もない対戦カードで、関東大会に出場するためにはこれらの強敵を全て撃破しなければいけないのは、くじ運の綾もあるが酷な話である。
20190908桐光学園 馬込
新チームでは強打の2番として期待のかかる馬込

にしてもここ最近横浜隼人はとにかく桐光学園に相性が悪いようで、桐光学園と横浜隼人は2015年秋から公式戦では全て準々決勝で4回対戦しているが、桐光学園が4連勝でうち3試合はコールド勝ち。桐光学園が近年は本当に力をつけてきているが、それにしてもというスコアである。そんな中でこの秋は初戦での対戦となったが、横浜隼人からしてみればその相性の悪さを払拭することができずに、5連敗となってしまった。


Pickup Player
安達壮汰 桐光学園2年 投手
~秋の戦いには心強い絶対的エース君臨~
横浜隼人を1失点完投した安達のピッチングは、その試合の結果以上に、この秋の桐光学園にとって心強い存在であった。

志村ボーイズ時代にはジャイアンツカップでベスト8に輝き、U15日本代表にも選出された安達は桐光学園に入学すると、まず持ち前の強打を武器に1年春から4番打者を務めた。1年夏には投手としても3試合に登板して、計12イニング投げて無失点であった。桐光学園の投手陣といえば、1学年上に1年夏からダブルエースを務める谷村・冨田がいたが、2年春にはこの2人を押しのけて背番号1を獲得すると、準決勝の横浜戦では投げては3失点完投勝利。打っても登板時以外は4番ファーストを務めるなど、打率.412の打点16という活躍ぶりで神奈川準Vに大きく貢献し、関東大会でも東農大三から完投勝利をあげた。2年夏もチームの中心として活躍するも、準決勝で日大藤沢に敗れてベスト4止まり。谷村・富田が抜けた新チームでは、より一層エースとしての責務も大きくなっていた。

この試合では初戦ながら、相手が横浜隼人ということで先発のマウンドに立った安達は初回から安定したピッチングを披露。ロッテ小島似のフォームは、右手でしっかりと壁をつくって、開くことなくシャープに腕を振り抜くことができていて、個人的には2020年世代でもNo1といえるフォームの美しさである。そこから繰り出すストレートは右打者のインコースにクロスファイア気味に決まり、変化球はスライダーを中心に、カーブ・チェンジアップをしっかりと操っていた。最初の3回を9人で締めた後、4~6回の中盤は毎回ヒットを許したが、ピンチの場面ではギアをあげた投球をみせ、失ったのは実質上の外野のエラーが絡んだ1点のみ。途中雨での中断があったにも関わらず、終盤の7回以降はさらに素晴らしいピッチングをみせ、5奪三振ノーヒットという内容で横浜隼人打線に反撃隙を与えなかった。終わってみれば、5安打9奪三振1失点完投勝利で初戦突破の立役者となった。

もう1つの魅力である打撃では、この秋は3番を務めるが、この試合では残念なことにノーヒット。ただ3打席目には敬遠気味に歩かせるなどその実力は相手チームも認めるところであり、また5打席目にはショートに強烈な打球を放っていて、記録をエラーにされたのはショート渡邉にとっては若干酷なほどの打球であった。

夏と違って、秋は土日にしか基本試合はないので、強力なエースが1人いれば勝てる。桐光学園は総合的な戦力では、横浜・東海大相模にはやや劣ると思われるが、エース安達の実力は神奈川の投手の中でもNo1ともいえるもので、秋にこういう投手がいることは非常に心強い。上述した通り桐光学園の組み合わせ的には大変ではあるが、安達の活躍次第では十分に秋の神奈川を制することもできるであろう。

20190908桐光学園 安達1
1失点完投勝利をあげた安達


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高校日本代表×大学日本代表【U18日本代表壮行試合】

8/26 高校U18日本代表壮行試合
高校日本代表×大学日本代表 @神宮球場

試合経過

20190826高校日本代表×大学日本代表
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

今年も行われたU18日本代表の壮行試合は、U18W杯に出場する前の高校日本代表を、日米大学野球選手権を戦った大学日本代表が迎え撃つ形で行われた。甲子園を沸かせた球児たちに163㌔右腕の佐々木も登場とあって、神宮球場は超満員となった。

大学日本代表はスタメンは日米大学野球選手権とほぼ同じにで、先発にはエース森下とガチメンバー。その森下はストレートはMax151㌔をマークし、カットボールも140㌔を超えるなど、おおよそ高校生では見たことのないボールを投げ込み、初回を3人で斬って取る。しかし2回表、先頭の4番石川の打球は完全に打ち取ったものの、風の影響やセンター丸山の判断ミスもあり、センター前に落ちるポテンヒットとなり、石川は一気に2塁へ。ただ続く5番遠藤の打席で2塁ランナー石川を刺そうとキャッチャー海野が2塁へ送球するも、その間に石川は3塁へ…海野の送球はカバーに入ったセンター丸山が捕球しようとするもこれをファンブルすると、石川は一気に3塁を回ってホームイン。大学日本代表が先輩らしからぬミス連発で、高校日本代表に先制点を与えてしまう。
20190826大学日本代表 森下
大学日本代表の先発はエース森下暢

高校日本代表は4回表にも、大学日本代表3番手の村上から石川・遠藤の連打で1・2塁のチャンスを作ると、7番熊田が低めの変化球を巧みなバットコントロールでレフト前に運ぶタイムリーで2点目。内野手7人中6人が本職ショートという熾烈な争いの中で、スタメンショートの座を射止めた熊田が見事にバットでもその起用に応えた形となった。
20190826高校日本代表 熊田
大激戦のショートの座を射止めタイムリーという結果を残した高校日本代表の熊田

先発の佐々木が圧巻の3者凡退で1イニング目を終えた高校日本代表は、2回から宮城がマウンドに。宮城はMax148㌔のストレートとスライダーのコンビネーションで2・3回と大学日本代表を無得点に抑えるも、4回裏に捕まる。まずこの回先頭の3番柳町がうまくレフト線に流し打って2ベースで主将としてチームを出塁すると、4番牧のレフト前タイムリーヒット。牧はレフト遠藤のエラーも絡む間に2塁へ進むと、6番佐藤都がライト線にタイムリーを放ち同点。一気に2塁を狙った佐藤都はタッチアウトとなるものの、続く7番海野がレフトスタンドにホームランを放ち、大学日本代表が3-2と逆転に成功する。
20190826大学日本代表 海野
勝ち越しのホームランを放つ大学日本代表の海野

それでも高校日本代表は5回表、大学日本代表の4番手の内間から9番横山がヒットを放ち、坂下が四球を選んで2死ながら1・2塁のチャンスを作って4番石川を迎える。ここまでポテンヒットの2安打であった4番石川は、今度は内間のストレートを完璧に捉えると、打球はレフトフェンス直撃の逆転2点タイムリー2ベース。夏の甲子園制覇の立役者である履正社の4番井上が選出されないなど、俊足巧打の選手ばかりの高校日本代表の中で、唯一スラッガーとしてその力を認められて選出されたセンバツ優勝の立役者がその評判通りの打棒を見せつけた。
20190826高校日本代表 石川
逆転タイムリー2ベースを放つ高校日本代表の4番石川

ただ高校日本代表の4番が打てば、大学日本代表の4番も黙っていない。6回裏の先頭打者として打席にたった4番牧は、前の回からマウンドにあがった西のスライダーを捉えると、打球は打った瞬間にそれと分かるレフトスタンドへのホームラン。同点に追いついた大学日本代表は、7回は山崎・8回は吉田とともに日米大学野球選手権で活躍したセットアッパー勢が高校日本代表を3人ずつで片づけて、試合は4-4のまま最終回を迎える。
20190826大学日本代表 牧
同点ホームランを放った大学日本代表の4番牧

大学野球日本代表は9回表のマウンドにストッパーの伊藤を送るが、高校日本代表は先頭の代打武岡がライト線へ弾き返す2ベースでチャンスを作ると、熊田が送って1死3塁と勝ち越しのチャンスを向ける。ここで迎える途中からマスクを被っている山瀬に対し、永田監督は3球目にスクイズを仕掛けるも結果はファール。ただカウント2B2Sからの5球目に再びスクイズを仕掛けると、山瀬が150㌔のストレートをうまく転がして、武岡がホームに滑り込み高校日本代表が勝ち越しに成功する。
20190826高校日本代表 山瀬
20190826高校日本代表 武岡
9回に勝ち越しのスクイズを決める山瀬とホームインをはたす武岡

高校日本代表は8回から、3塁側スタンドから母校(習志野)の応援を受けて飯塚が登板していた。8回を3人で片づけた飯塚は、9回も先頭の佐藤都を三振。ただこのまま敗れるわけにいかない大学日本代表は続く古川が振り逃げで出塁すると、ワイルドピッチで2塁に進んで1打同点のチャンスを迎える。主将の篠原がセンター前に弾き返して同点。さらに篠原は3盗を決めて、サヨナラのチャンスを作りだす。ここで迎えたのは1番宇草であったが、壮行試合とはいえ勝負に徹した高校日本代表の永田監督はここで宇草を申告敬遠…。ただこの作戦が見事に的中して、飯塚が続く2番児玉を三振に仕留めて、試合は引き分けとなった。



お祭り色の強い壮行試合であるが、この試合はともに真剣そのものであった。特に例年はチームの解散式の意味合いも強かった大学日本代表はスタメンはベストメンバー。全員が試合には出たものの、投手陣の継投の順番も全日本大学野球選手権さながらで、野手も主力はフル出場し、結果の出せていない選手から代えられていった。逆転タイムリーを浴びた内間はイニングの途中にも関わらず、チームでの監督でもある生田監督にマウンドから降ろされ、実質上2個のエラーを犯し、1打席目にはチャンスで三振に倒れると2打席目には代打を送られるなど実戦さながらの交代劇であった。高校日本代表も最終回に2ストライクからのスクイズを含むバント3個、その裏には申告敬遠と勝ちにこだわった采配をみせた。

それでも胸を貸した形となった大学日本代表から、高校日本代表に伝えられたものもあると思う。特に9回裏に意地の同点タイムリーを放った篠原は、4年前の高校日本代表の主将。ちょうど篠原が高校日本代表の主将を務めた年から、この壮行試合が始まっている。試合後には今年のU18日本代表の主将である坂下と色々と話し込む姿も見られ、4年前に先輩たちから教わったことを今度は自分が伝える形となったのだろう。他にもエース森下、1番宇草、5番郡司の4人は4年前には壮行試合にU18日本代表として出場した選手であり、受け継がれていくものも感じた。そういった面で大学生→高校生に何か伝えていってくれれば、それは当人たちにとっても非常に価値のあるものになるだろう。
20190826大学日本代表 篠原
4年前は高校日本代表の主将、この日は大学日本代表の主将を務めた篠原

大学日本代表相手に引き分けと善戦した高校日本代表だが、本番に向けての課題も露呈した。1つは2本柱の状態で、甲子園の決勝まで戦って疲労の溜まっている奥川はこの試合では登板なし…先発した佐々木もマメができて予定を早めて1イニングで降板
とともに万全の状態で本番に臨めるとは言い難い状態。そうなるとこの試合でともに3イニングを投げて元気な姿をみせた宮城・西といった非甲子園組の活躍が序盤はキーになってきそうだ。
20190826高校日本代表 宮城
高校日本代表の2番手として3イニングを投げた宮城

もう1つは外野の守備である。この試合の高校日本代表はレフト遠藤、センター森、ライト横山という布陣で本職の外野手は横山のみ。チームではショートで外野をほとんどやっていなかった遠藤・森の左中間はこの試合でともにエラーを記録。また森は9回にバックホームのスローをしたときに足を痛めてベンチに下がる場面もあったので、不慣れなポジションをいきなりやらせることにより、ケガなども心配である。そもそもメンバー選考の段階から、鵜沼も含めて外野本職が2人のみだったので、分かっていた話ではあったが、その不安視されていた部分がこの試合では露呈してしまった。本番でも、この影響が出ないことを願うばかりである。
20190826高校日本代表 森
本職はショートだが大学日本代表ではセンターを務める森


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佐々木朗希 大船渡3年 投手
~令和の怪物が大舞台デビュー~
1イニングのみであったが、高校日本代表の先発の佐々木は神宮の舞台で大きなインパクトを残した。

佐々木は大船渡では1年夏から147㌔をマークし、注目されていた。190㎝という身長に対してやや細身であったが、トレーニングにより体重を増やして、2年夏には154㌔をマークし、また俊足強打の外野手としても活躍。2年秋より背番号1を背負うと、3年春にはU18日本代表の1次合宿に参加。ここで高校生史上最速となる163㌔をマークして「令和の怪物」と呼ばれるまでになった。この夏の岩手大会では2回戦で6回参考ながらノーヒットノーランを達成、4回戦の盛岡四戦では投げては160㌔をマークして12回2失点完投、打っては12回に決勝の2ランという投打に渡る活躍をみせ、準決勝でも一関商工を完封した。しかし連投となる決勝の花巻東戦では国保監督の方針のもと、佐々木の出場はなく…それが社会問題になるほどであった。

それでもその実力は誰もが認めるところであり、佐々木はU18日本代表に選出。この壮行試合では先発を任された。夏の岩手大会でも佐々木の登板する試合は満員になったようだが、大船渡では甲子園はおろか東北大会出場すらなかった佐々木にとっては、これが初の全国の舞台となった。

先発のマウンドにたった佐々木はいきなり152㌔のストレートで1番宇草をレフトフライに打ち取ると、2番小川の打席ではこの日最速となる156㌔をマークし、最後はスライダーで三振。3番柳町も152㌔のストレートで三振に仕留めて、初回を3者凡退で終わらせた。ただ本来は2イニング投げる予定であったが、右手中指にマメができたこともあり、この回で降板。それでも足を高く上げて、長い腕を使ったフォームから繰り出した球の威力は十分でコントロールも安定していて、圧巻の投球であったといえる。

この全国の舞台でも大学生を圧倒して、その実力は疑いの余地のないものだと証明した佐々木。U18日本代表でも主力となりえることは間違いない。あとは降板理由となったマメの状態が心配であり、また国保監督が甲子園を捨てる覚悟で大事に使ってきた逸材だけに、その起用法は難しいところである。

20190826高校日本代表 佐々木
初回を2奪三振パーフェクトに抑えた高校日本代表の先発佐々木


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