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東海大×上武大【横浜市長杯】

10/31 横浜市長杯準決勝
東海大×上武大 @横浜スタジアム

試合経過

20191031東海大×上武大
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

明治神宮大会の出場権をかけた横浜市長杯は3日目、勝った方が明治神宮大会出場が決まるという準決勝に突入。まず1試合目は東海大(首都大学野球連盟1位)と上武大(関甲新大学野球連盟2位)の対戦です。

中1日あった東海大はエース山崎を先発のマウンドに送ったのに対し、連戦となった上武大はこれまでは短いイニングでのリリーフ登板が多かったサイド左腕の金田が先発というサプライズ。ただ金田は毎回ヒットでランナーを出すものの、クロスステップから角度をつけたストレートとスライダーのコンビネーションで要所は締めるピッチングで、1・2・3回といずれも得点圏にランナーを抱えるも無得点に抑える。
20191031上武大 金田
3回無失点の好投をみせた上武大先発の金田

そして上武大は4回からは2番手永島にリレー。白岡高時代には浦和学院を撃破するという大番狂わせを起こした右腕は、重心を低くしたフォームからMax147㌔のストレートに加えて、130㌔前後のスライダーや110㌔前後のカーブを織り交ぜたピッチング。東海大は序盤に続き、この永島からもチャンスを作るものの、4回2死2塁から千野が放ったヒットで2塁から一気にホームを狙った高田はタッチアウトになるなどやはり得点は奪えない。
20191031上武大 永島
上武大の2番手永島

東海大のエース山崎は初回いきなり上武大の1番供利にヒットを浴びるも後続3人を内野ゴロに打ち取ると、2回からはエンジンがかかってきたようで、この日最速となる151㌔をマークするなどして3者三振。それ以降もこのストレートに加えて、得意のカットボールやスライダーも駆使して5回まで上武大打線を2安打無得点に抑える。ただ驚いたことに東海大の6回のマウンドには、原田が上がった。どうやら山崎は実はコンディション不良だったらしく5回までとなったようだ。原田はコントロールが不安定ながらも、何とか6回の上武大の攻撃を無失点に抑え、試合は6回終了しても0-0というスコアであった。
20191031東海大 山崎
コンディション不良ながらも5回を無失点に抑えた山崎

7回表、東海大は1死から1番千野がライト前ヒットを放つと、ライト宮川がこのボールを弾いてしまい、千野は一気に3塁へ。2番宮地が四球を選んで1死1・3塁となってから、3番杉崎が二遊間を破るタイムリー。東海大が4年前に甲子園を制覇した東海大相模の1・2・3番トリオ(当時と打順まで同じ)の活躍で先制する。さらに海野が四球を選んで満塁となってから、勝負強い5番藤井がライト線に2点タイムリーを放ち3点をあげ、上武大の3番手坂元をKOする。
20191031東海大 杉崎2
先制タイムリーを放つ杉崎

東海大は無失点だったものの6回に不安定なピッチングをみせた原田に代えて、7回のマウンドには高杉を送る。高杉の体重移動がうまくできていて、腕の振りがしなやかなフォームから繰り出させるストレートは非常に質が高く、さすがは2年生ながらこの秋から強力東海大投手陣の中で出番を得ているだけのことはあるという印象だった。しかし上武大は先頭の宮川がヒットで出塁すると、1死1塁からサードゴロを串畑が2塁へ暴投、さらには続く投手ゴロを高杉が2塁へ送球したあと併殺を狙った植村の送球は走者とややかぶったこともあって暴投となり、高杉にとっては守備に足を引っ張られた形で、上武大が初得点を奪う。

上武大は4番手としてエース本定がマウンドに上がっていて、8回も簡単に2死をとるものの、ここで迎えるは東海大の上位打線。遊学館時代に夏の甲子園で東海大相模と対戦して敗れている本定にとっては、東海大相模で構成される1・2・3番にリベンジを果たしたいところであったが、千野に四球を与えてしまうと、宮地にヒットで繋がれ、杉崎はセンターオーバーの2点タイムリー3ベースと返り討ちにあってしまう。上武大が5番手として1年生右腕の加藤をマウンドに送るも、藤井にタイムリーを浴びてしまい、この回も3失点を喫する。
20191031東海大 藤井
3安打3打点の活躍をみせた藤井

ただ加藤は投げるうちにどんどん球速をあげていき、9回表にはなんと150㌔をマーク。球場を沸かせて、東海大の攻撃を9回は3人で完璧に終わらせて、上武大が流れを取り戻した段階で9回裏を迎える。上武大の攻撃は2死となってしまうも、ここから谷口監督は敗ければ大学野球引退となる4年生代打陣を投入。高山がセンターオーバーの3ベースを放つと、前田もセンターオーバーの2ベースを放ちまず1点。久々宇もヒットで続くなど代打が土壇場から3連打でチャンスを作ると、上位に戻って1番供利は四球を選んで満塁。1発がでれば同点という場面であったが、最後は工藤に対して高杉が渾身の球で三振を奪い試合終了。東海大が6-2で勝利し、明治神宮大会出場を決めた。
20191031上武大 加藤
9回には150㌔をマークし会場をわかせた上武大の1年生右腕加藤


中盤までは投手戦となった試合だが、最終的には東海大が実力を発揮して勝利した。投手陣においてはエース山崎が5回で降板し、さらに6回から登板した原田も不安定と予想外が続いたものの、7回から登板した高杉が好投で終盤3イニングを締めてくれたのは大きかった。上武大打線は左打者が多いだけに、春の実績もある左腕の松山の登板が予想された場面であったが、高杉が起用されたあたりはまだ実戦での経験は少ないものの、その素晴らしいストレートの質が評価されているのだろう。
20191031東海大 高杉
東海大の最後3イニングを締めた高杉

打線でいえば、この試合は2015年の甲子園優勝の東海大相模と同じ打線である1番千野・2番宮地・3番杉崎の活躍が光った。7・8回の3得点はともにこの1番から始まったもので、千野・宮地でチャンスを作ると、3番杉崎がタイムリー。これに前年(2014年)の甲子園制覇のメンバーである5番藤井もタイムリーで続いて、結局杉崎と藤井はともに2本のタイムリーで3打点ずつを叩き出して甲子園優勝組の力を見せつけた。
20191031東海大 千野
東海大の1番千野

上武大は金田を先発からの継投という策が的中し、中盤までは0-0と狙い通りの展開であった。ただやはり継投というのは難しいもので、終盤は東海大打線につかまってしまった。4番手として本来はエースであるはずの本定を投入も、リリーフ登板は慣れていなかったのか、8回には東海大打線につかまってしまった。それでもスタンドからは大勢の控え部員が大声援を送る上武大スタイルが選手に届いたか、最終回にはこの試合で敗れれば大学野球が終わるという4年生たちが代打で登場すると意地の3連打。最後は東海大に及ばなかったが、上武大らしい素晴らしい戦いがみれたといえる。


Pickup Player
杉崎成輝 東海大4年 ショート
~均衡を破り3安打3打点の活躍~
0-0のまま進んだ試合の均衡をやぶったのは東海大3番杉崎のタイムリーであった。

杉崎は中学時代から湘南ボーイズで、東海大相模でもチームメイトになる小笠原・長倉らとともにジャイアンツカップを制覇し、U15日本代表も経験した走攻守揃った内野手。東海大相模に入学すると1年夏よりレギュラーを務め、2年夏には強打の2番ショートとして神奈川大会では打率.577、3ホーマー、9打点の活躍をみせて甲子園出場に貢献した。3番を務めた3年夏にも打率.433、2ホーマー、11打点の活躍、特に決勝の横浜戦では藤平から3ランを放つなど4安打5打点の活躍をみせ甲子園出場に貢献。甲子園でも準々決勝では花咲徳栄の高橋昂からサヨナラ打を放つなど、5試合で打率.571、放った二塁打6本は1大会個人最多タイ記録をマークする活躍で甲子園制覇。大会後にはU18日本代表にも選出された。

進学した東海大でも1年春よりショートのレギュラーを掴み、2年春には打率.372をマークする活躍をみせるなど順風満帆であったが、3年時はケガによりほぼ1年間を棒に振ることとなる。4年春に復帰すると3番ショートとしてチームを牽引し、初のベストナインを受賞。この秋も3番ショートとして、春に続いてチームを優勝に導き、この横浜市長杯の出場権を手にしていた。

この試合も序盤は上武大投手陣の前に抑えらえていた東海大打線の中でも、3番杉崎は当たっていた。まず1死1塁で迎えた初回の第1打席では1・2塁間を破るヒットで1・3塁という理想的な形を作り出す。第2打席もアウトになってはしまったが、永島のスライダーを捉えてのレフトライナーであった。そして0-0のまま迎えた7回1死1・3塁での第4打席、ここでもフルカウントから坂元の変化球に食らいつくとしぶとく二遊間を破る先制タイムリーを放った。さらに8回2死1・2塁で迎えた第5打席ではセンターオーバーの2点タイムリー3ベース。結局5打数3安打3打点という活躍でチームを勝利に導いた。持ち前の守備も安定していて、すべての打球をそつなくさばいていた。

卒業後には社会人野球の名門:JR東日本に入社することが決まっている杉崎。大卒でのプロ入りとはならなかったが、高校・大学とエリート街道を走ってきた杉崎が社会人野球でもどのような活躍をみせるのか楽しみである。ただその前に明治神宮大会では、高校に続く日本一の称号を獲得したいところだ。

20191031東海大 杉崎1
20191031東海大 杉崎3
先制タイムリーを含む3安打3打点の活躍をみせた杉崎


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津商業×中京大中京【秋季東海大会】

10/27 秋季東海大会準々決勝
津商業×中京大中京 @大垣北公園野球場

試合経過

20191027津商業×中京大中京
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

秋季東海大会は2日目に入り、この日からシードであった各県の1校が登場。大垣北球場の2試合目では、前日に静岡商の好左腕高田を攻略してコールド勝ちを収めた津商業(三重2位)が、今大会の本命といわれている中京大中京(愛知1位)に挑んだ。

1回裏、中京大中京の1番西村のセカンドゴロを川尻が前進して1塁へ送球するも、これをファーストがキャッチできずに出塁。1死2塁となってから、3番中山はカウント3B0Sから打ちに行くと、打球は1・2塁間を抜けるタイムリーとなり、中京大中京が先制する。
20191027中京大中京 中山
先制のタイムリーを放った中山

中京大中京は2回裏にも先頭の南谷が四球で出塁すると、バントとワイルドピッチで1死3塁のチャンスとしてから、8番高橋のセカンドゴロの間に追加点。この時点で2死ランナー無しとなるが、ここから村上・西村が連打で繋ぐと、中嶌は四球を選んで満塁。すると3番中山はセンターに2打席連続となるタイムリーを放ち、さらに続く4番印出の強烈なライナーは伸びてレフトの頭上を超える走者一掃のタイムリー2ベース。中京大中京が3・4番のバットで追加点をあげ、6-0とリードを広げる。
20191027中京大中京 印出
走者一掃のタイムリー2ベースを放った4番印出

ここで津商は1年生ながらここまで投手陣を支えてきた出口から、背番号1をつける大西に投手をスイッチ。大西は続くピンチで吉田を打ち取ると、3回表の打席ではチーム初ヒットとなるレフトオーバーの2ベースを放ちチームを勢いづける。大西はインステップに足を踏み出して、角度をつけて球を投じる左のサイドスローであり、そのフォームといい、スライダーとののコンビネーションで打ち取るまさに森福(巨人)のような投手。3回は四球を1個出したものの、この試合で初めて中京大中京の攻撃を無得点に抑える。
20191027津商業 大西
2番手でマウンドにあがり好投をみせた大西

大西の生命線は右バッターのインコースにクロスに入ってくるストレートであった。しかしさすがは逸材の揃う中京大中京打線、4回裏の先頭の1番西村はこのインコースのストレートを捉えると、打球はレフトの場外へ消えるソロホームランとなり、中京大中京が7点差とする。
20191027中京大中京 西村
4回に場外弾を放った西村

中京大中京のエース高橋は初回からストレートが威力満点で、津商業打線を寄せ付けないピッチング。気付けば大西のレフトオーバー以外はヒットはおろか、津商業はランナーを出せないという状況。序盤は慎重に入り、打たせて取る投球であったが、中盤からは力をいれて三振も奪うなど高橋のうまいピッチングが光った。

大西も西村にホームランをあびた後は中京大中京打線を無安打に抑える好投をみせるも、津商業打線は高橋の前に全く手が出ず…。試合は0-7のまま7回まで進み、最後も高橋に3人で抑えられてしまいゲームセット。高橋は出したランナーは大西のヒットのみという準完全試合(7回参考)の投球で、中京大中京が7-0(7回コールド)でセンバツ出場に王手をかけた。


もともと前評判の高かった中京大中京であるが、その前評判が偽りないことを証明した。エース高橋は評判通りのスピードに加えて、コントロールなどは評判以上に安定していて、正直これはなかなか打てないと思った。この高橋に加えて、高橋監督が「うちは左右二枚看板」という左腕の松島が控えるのだから、投手陣は強力そのもの。野手に関しても、やはり前評判の高かった1番西村・3番中山・4番印出は攻守において別格であった。西村はパンチ力のある1番打者でこの試合では3打席目に場外弾、2本のタイムリーを打った中山はショートの守備でも三遊間の深い位置からの正確で強い送球も目立ち、印出の打球のノビは凄まじくレフトライナーと思った打球があっという間に頭上を超えていき、正捕手としても高橋のバッテリーは息もぴったりであった。これからのノビ次第では4人でプロも夢ではない布陣であり、ちょっと気が早いかもしれないが来年のセンバツの優勝候補といえること間違いなしである。
20191027中京大中京 松島
高橋とともに2枚看板として期待される松島

敗れてしまった津商業であるが、正直なすすべがないかったという状況だ。ただ1点気になったのは2回の守りであり、1死3塁で8番高橋という場面で内野は前進守備をせずに高橋にセカンドゴロを打たれ、あっさりと2点目を献上してしまった。今日の高橋のピッチングを見れば、簡単には点はとれないと思われるし、前日には静岡商の注目の左腕高田を攻略したといえ、津商業の打線は強打というレベルではない。ロースコアに持ち込むのが津商業としての展開であり、その状況であの守備体形は疑問であった。ただチームを牽引した1年生右腕の出口はまだ細身であり、冬場を超えてスピードがついて投手としてレベルアップする余地もあり、十分に夏の甲子園を狙える力はある。
20191027津商業 出口
また1年生の出口にはさらなる成長の期待がかかる


Pickup Player
高橋宏斗 中京大中京2年 投手
~力をみせつけ準完全試合~
中京大中京のエース高橋は、7回1安打無失点で準完全試合を達成した。

高橋は中京大中京では本格派右腕として、1年夏から背番号19でベンチ入りすると、準々決勝の至学館戦で無死満塁のピンチで登板して無失点に凌ぐというデビューを飾る。1年秋には背番号10を背負い、東海大会では3試合に登板して、146㌔をマークしてその名を全国にとどろかせると、2年春からチームのエースとなった。2年夏には、前年に甲子園に出場していて注目スラッガー上田を擁する愛産大三河から完封勝利をあげるも、その後に誉戦では7回途中5失点と打ち込まれ敗れてしまった。この2年秋も引き続きエースを務め、148㌔を誇る184㎝の大型右腕としてプロからの注目も集まるなか、愛知大会では東邦から3安打完封勝利、準決勝では豊橋中央を完封、さらに決勝ではでは愛工大名電も完封して、この東海大会にコマを進めていた。

この初戦のマウンドに上がった高橋は序盤は丁寧なピッチングで、1・2回と打者6人から内野ゴロ5個を含むパーフェクトに抑える。本人曰く調子が良くなかったとのことだが、それでもストレートの威力は十分であった。3回には初ヒットを浴びてしまうが、4回からはエンジンもかかってきたようで、鋭く曲がるスライダーも混じえて2三振。高橋のスライダーはそれほど大きく曲がるものではないが、ストレートの球速差も少ない高速スライダーで打者から空振りを奪うことができていて、このほかにはSFFのような球も投げていた。4・5回と奪三振ショーをみせたあとは、点差もついたこともあってか、6・7回はまた打ち取るピッチングで6人で仕留めてみせた。7回でコールド勝ちとなってしまったのだが、終わってみてば出したランナーは3回の大西のヒットのみという準完全試合であった。ただその大西の打球も、小柄な左バッターということでレフトが若干油断していたのか、ちゃんとすぐにバックしていれば頭を越されずに捕れていた打球ではあった。

高橋の唸るようなストレートは本当に力があり、球速表示のない大垣北球場でなく、スピード表示のある長良川球場で投げて欲しかった(準決勝は長良川球場なので楽しみである)。ただスピードだけでなく、この試合は無四球であったようにコントロールもよく、全体的にレベルの高い投手であった。この試合では中日が観戦に来ていたようであるが、このまま高橋が順調に成長を続ければ、中日が3年連続で地元の高校生を1位指名するという展開も大いにあり得る。

20191027中京大中京 高橋
7回1安打完封勝利(準完全試合)をあげた高橋

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愛工大名電×三重【秋季東海大会】

10/26 秋季東海大会
愛工大名電×三重 @長良川球場

試合経過

20191026愛工大名電×三重
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

この日から岐阜で開幕した秋季東海大会。いきなり愛工大名電(愛知2位)と三重(三重3位)という、甲子園でも実績のある名門校どうしが激突した。

2回表、名電打線が三重のエース松山に襲い掛かる。まずはこの回先頭の藤本が右中間に2ベースを放ち口火を切ると、佐藤のポテンヒットで無死1・3塁としてから、7番小野が3塁線を破る先制タイムリー。一気に3塁を狙った佐藤はタッチアウトとなるも、8番小島が三遊間を破るタイムリーで2点目。9番松本のライト線への2ベースで1死2・3塁としてから、1番青山もセンタ―前タイムリー。2塁ランナーはホームタッチアウトとなるも、トドメは2番主将大石のライトオーバーのタイムリー2ベース。この回先頭打者から7者連続ヒットで4点を奪い、松山をKOした(ランナーのタッチアウトがなければどうなっていたことか…)。
20191026愛工大名電 藤本
7連打の口火をきる2ベースを放った藤本

3回表にも、またもや藤本がヒットで出塁すると、2死から小野の打球は風も味方してレフトの頭上を超えるタイムリー2ベースとなり、名電がリードを5点に広げる。
20191026愛工大名電 小野
2回に続いて2本目のタイムリーを放った小野

名電の先発は夏に続いて、1年生ながら背番号1を背負うエース左腕の田村。この試合ではストレートはMax138㌔であったが、球持ちがよく、またクロス気味のフォームから入ってくるので、スピード以上の威力が感じられた。これに加えてスライダー・カーブ・フォークといった変化球も操っていて、また1年生とは思えない堂々としたマウンドさばきも見られ、3回まで三重打線を1安打無失点と完璧に封じていて、試合は完全なる愛工大名電ペースであった。
20191026愛工大名電 田村1
3回まで三重打線を完璧に抑えた田村

田村は4回も簡単に2死をとるものの、そこから三重の佐脇・原田に連打を浴びて2死1・2塁のピンチを招く。明らかに足を気にするしぐさをみせる田村に対し、6番坂口が左中間を破る2点タイムリー2ベースを放ち。田村はどうやらふくらはぎが痙攣していたようで、続く服部に3球を投げたところで降板し、ファーストに回る。代わりにマウンドにあがった寺嶋は、服部に四球を与えたものの、続く代打湯場を三振に仕留める。
20191026三重 坂口
左中間に2点タイムリー2ベースを放った坂口

ここから試合は両チームの2番手投手の好投により、膠着状態に入る。三重のサイドスロー山下は、ストレートは130㌔に満たないもののきっちりと両コーナーに投げ分け、スライダーとのコンビネーションが武器の投手。回の先頭打者の出塁を1回も許さなかったために、ピンチを招いてもすでに2死という場面も多く、4回以降は名電打線を無得点に抑えていった。一方、名電の寺嶋もピンチらしいピンチは6回のみで、その他は淡々と三重打線を抑えていった、試合は5-2と名電リードのまま最終回を迎える。
20191026三重 山下
4回以降名電打線を無得点に抑えていった山下

名電は9回表、1死から3番田村が初球をとらえると打球は右中間スタンドに飛び込むホームランとなり、待望の追加点をあげる。三重もその裏に菊池・西原と代打勢がヒットを放ち、四球も絡めて満塁のチャンスを作るものの、最後は寺嶋が粘って寶田をショートゴロに打ち取りゲームセット。名電が6-2で三重を下し、県立岐阜商の待つ準々決勝にコマを進めた。
20191026愛工大名電 田村2
最終回にとどめのホームランを放った田村



名電の新チームは間違いなく、田村を中心としたチームである。明徳義塾中時代から関戸(大阪桐蔭)とともに注目されていて、わざわざ内部進学を蹴って、愛工大名電に進学した逸材は、176㎝85㎏というがっちりとした体格で、エースとしてだけでなく、打撃でもチームの中心である。この試合でもマウンドを降りた後にも、ファーストに残り、最後は自らのバットでトドメをさしたあたりは本当にさすがの一言である。

そんな田村のアクシデントだけに、チームにとっては衝撃が大きかったと思うが、緊急リリーフで最後まで寺嶋が無失点で投げ抜いてくれたことは大きかった。田村・寺嶋に加えて、野嵜・平口もいて、名電の1年生には好投手が揃っていて、他チームから見れば羨ましい限りであろう。打線も中盤以降、山下にはてこずったものの、7連打で三重のエース松山をKOしたあたりはさすがの一言。翌日には鍛治舎監督が就任して逸材の揃う県立岐阜商(しかも地元)という強敵が相手だが、名電の戦力もそれに引けは取らないだろう。ただやはり強敵に戦う上では、田村が本調子で投げられるのかは気になるところだ。

三重としては奪った2得点もアクシデント後の田村からのみであり、2-6というスコア以上の完敗であった。その中でも山下の好投は、この試合では光明であった。他にも左腕の尾崎、181㎝の1年生右腕の近藤とタイプの異なる投手が控えている。この試合ではエース松山が2回に捕まってしまったことが痛かったが、投手の数は揃っているので、早い段階で継投していけるチームを目指したいところだ。
20191026三重 松山
三重としてはエース松山が2回に捕まってしまったことが痛かった



Pickup Player
寺嶋大希 愛工大名電1年 投手
~エースのアクシデントを救う好リリーフ~
エース田村がアクシデントで降板したものの、その後を受け継いだ寺嶋が最後まで無失点で投げ抜いたことが愛工大名電にとっては大きかった。

安曇野穂高リトルシニア時代から注目されていた右腕は愛工大名電に進学すると、1年夏から控え投手としてベンチ入りを果たす。この秋の東海大会では背番号13をつけて、引き続き控え投手としてベンチ入りを果たしていた。この試合でも序盤からブルペンには入っていたものの、同学年のエース田村のピッチングは快調そのもので、出番がありそうな雰囲気はなかった。しかし4回に田村にアクシデントが発生したこともあり、寺嶋が急遽マウンドに上がることとなった。

投球練習は少しはしていたものの、気持ちの上で本当に準備ができていたかというと厳しい状況。カウント2B1Sからスタートした最初の打者は四球で歩かせてしまうなど、チームに暗雲が立ち込める。ただ続く代打湯場はスライダー2球で簡単に追い込むと、粘られるが最後はまたもやスライダーで見逃しの三振に仕留めピンチを脱する。すると5回以降はテンポのいいピッチングで、5・7・8回と三重の攻撃を3人で片づける。寺嶋は横回転の力を使ってややスリークウォーター気味のフォームから投じるストレートは130㌔後半で8回までは138㌔であったが、最終回には力を入れたのかMaxを更新する141㌔をマークしていた。変化球は2種類のスライダー(?)をやつっていて、奪った三振はほぼ全てこのスライダーによるものだった。ピンチの場面でも動じることなる淡々と投げることができていて、最終回の2死満塁のピンチも最後は寶田をショートゴロに打ち取りました。結局4回途中から最後まで、5回1/3を5奪三振無失点に抑えるナイスリリーフであった。

1年生投手としては田村ばかりが注目されている愛工大名電であるが、この寺嶋も名門の戦力として十分な1年生右腕。他にも野嵜・平口と好投手がそろっていて、チーム内の競争は激しいが、やや細身に見える178㎝70㎏という体が冬場を通してできてきて、さらにスピードが増すようなことがあるとスカウトも注目する投手となることだろう。

20191026愛工大名電 寺嶋
4回途中から最後まで無失点でなげきった寺嶋


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東海大相模×習志野【秋季関東大会】

5/21 秋季関東大会準々決勝
東海大相模×習志野@高崎城南球場

試合経過

20191021東海大相模×習志野
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


勝てばベスト4入りで、事実上センバツ出場が確定となる秋季関東大会の準々決勝。東海大相模と習志野という関東の人気校どうしの対戦とあって、平日にも関わらず高崎城南球場の内野席はあっという間に満員となった。

相模は1回表、鵜沼・加藤と連続でセンターフライに倒れるも、そこから山村が右中間にうまく落として、さらに好走塁で2塁を陥れる。すると4番西川は2球目の甘く入った変化球をとらえると、打球は飛距離十分でレフトスタンドへ飛び込む高校通算51号の2ランホームランとなる。
20191021東海大相模 西川2
先制の2ランを放った西川

いきなりリードを奪われた習志野だが、1番和田が初球をレフト前に運ぶと、小澤が送って2球で1死2塁のチャンスを作る。東海大相模の先発諸隈に対して、佐倉シニア時代のチームメイトである角田は粘った末に四球を選ぶも、櫻井はセンターフライ。2死1・2塁というチャンスで、5番高橋という再び佐倉シニア対決を迎える。高橋の捉えた打球はセンターやや後方のフライとなり、ここは諸隈に軍配が上がる形で初回のピンチを防ぐ。

しかし諸隈は2回に突如乱れ始め、山内・飴谷に連続四球。さらに宮下のサードゴロを吉沢が2塁へ悪送球してしまい、2塁ランナーの山内がホームイン。諸隈はさらにストライクがとれずに小林・和田に連続四球を与え、押し出しで同点となったところで、門馬監督はマウンドに2番手として金城を送る。金城は無死満塁という場面から、小澤・角田を打ち取り2死とするも、4番櫻井はフルカウントから外の変化球をうまく三遊間に運び、これで2者が生還して習志野が4-2と逆転に成功する。
20191021東海大相模 諸隈
2回に4四球を出し降板となってしまった諸隈

2~4回は山内の前に抑えられていた相模打線だが5回表、1死から大塚がライト前ヒットで出塁すると、盗塁を決めて2死2塁とチャンスを作り、1番鵜沼を迎える。するとここで相模自慢の上位打線が本領を発揮し、鵜沼が左中間にタイムリー2ベース、さらには加藤がセンター前タイムリーで同点。3番山村が右中間にタイムリー3ベースを放って逆転に成功すると、習志野は2番手としてサイド右腕の上杉をマウンドに送る。ただ西川がうまくライト前に運ぶタイムリーを放つと、トドメは5番吉沢が左中間スタンドにライナーで放り込む2ランで、相模がこの回一挙6点を奪って8-4と試合をひっくり返す。
20191021東海大相模 山村
逆転打となるタイムリー3ベースを放つ山村

さらに相模は7回にも先頭の鵜沼がレフト線への2ベースで出塁すると、2死1・2塁となってから、5番吉沢が左中間に2点タイムリー2ベース。吉沢のこの試合4打点目となる活躍で、相模が10-6とリードを広げる。
20191021東海大相模 吉沢
これで4打点の活躍となった吉沢

この相模の逆転劇を生んだのは間違いなく、2番手金城の好投であった。巨人の金城龍彦コーチの次男である1年生右腕は、俊足巧打の父や兄(昨年の相模のサード金城飛龍)と違って、がっちりした体格の右腕。Max140㌔のストレートに加えてスライダーやナックルカーブを習志野打線相手に投げ込んでいき、3回以降は習志野のスコアボードに0を刻んでいった。ちなみに相模のキャッチャーは神里(DeNAの神里和毅の弟)なので、思わず横浜バッテリーと言いたくなってしまった。
20191021東海大相模 金城
2回途中から登板しチームの逆転を呼び込む好投をみせた金城

ただそんな金城に対して、習志野打線で唯一タイミングが合っていたのは4番櫻井。登板直後には2点タイムリーを放つと、続く第3打席でもライト前を放ち、迎えた第4打席は7回裏の1死1塁という場面であった。櫻井は初球のストレートをとらえると、打球はバックスクリーンやや右に飛び込む2ランホームランとなり、習志野が反撃を開始する。
20191021習志野 櫻井
2ランを含むこの試合4打点をあげた習志野の4番櫻井

それでも容赦ない相模は8回表、2死から鵜沼・加藤が連打でチャンスを作ると、3番山村がレフト前にタイムリー。さらにレフト高橋が滑ったこともあり、ボールをはじいてしまうと、1塁ランナーの加藤も一気にホームインし、習志野が詰めた2点をあっという間に相模が戻す形となる。

習志野は9回にはエース山内をセンターからマウンドに戻すと、この山内が無得点に抑え最終回の攻撃に繋がる。すると9回裏の習志野は、3番角田が内野安打で出塁して、当たっている4番櫻井を迎える。ここで門馬監督は相性の問題もあってか、好投の金城から左腕の石田にピッチャーをスイッチ。するとこの石田が見事起用に応え、櫻井をセカンドゴロ併殺に打ち取り、続く高橋から三振を奪ってゲームセット。東海大相模が12-6で勝利して、センバツ出場を確実なものとした。
20191021習志野 山内
最終回はマウンドに戻った習志野のエース山内



東海大相模が強すぎたという試合であった。相模から見れば、諸隈が2回で降板という大誤算はあったものの、それでもこのスコアである。特に前チームからの経験者が揃う上位打線は強力そのもので、1~5番まで全員がマルチヒットで、うち4人が猛打賞。さらには12点の全てがこの5人のバットから叩き出されているというのだから脅威だ。猛者が集う関東大会においても、その実力は抜きんでていて、このままいけば優勝はかなり固いだろう。

春のセンバツ準Vのメンバーが多く残る習志野であったが、それでも6-12で完敗…奪った得点も相手投手の乱調と4番櫻井のバットからのみであり、櫻井を除けば相模投手陣に2安打に抑えられてしまった。初戦では前橋育英に快勝するなど、その実力は十分ながらもここで東海大相模とぶつかり、センバツが絶望的になってしまったことにはくじ運が悪かったとしか言いようがない。夏に向けての課題を上げるとすれば、山内に次ぐ投手の存在であろうか?山内自身は非常にいい投手であるが、ストレートはせいぜい130㌔ほどであり、1人で完封するという投手ではない。前チームではこれを飯塚がリリーフする形で補っていたので、飯塚の後継者が欲しいところだ。この試合3番手で登板した堀井は182㎝の長身から繰り出すストレートが140㌔をマークしていたし、今後は山内を補佐する存在として期待したい。
20191021習志野 堀井
山内に次ぐ投手として期待のかかる堀井

この試合のもう1つの注目は佐倉シニア勢による対決であった。2017年にジャイアンツカップを制した佐倉シニアのメンバーでは、当時エースだった諸隈と主将も務めた主砲の西川が東海大相模の、サード高橋・ショート角田をはじめとして、小澤・小林(学年では1個下)が習志野のスタメンに名を連ねた。他にも習志野のベンチには、当時正捕手であった京極をはじめとして、堀井・岩舘らも控えたいて、まさに佐倉シニアの同窓会ともいえる対決であった。軍配は諸隈・西川の東海大相模に上がったわけだが、初回の諸隈VS角田・高橋に始まり、習志野の3番手で登板した堀井が、この試合では初めて西川を抑えたあたりなどは非常に感慨深いものもあった。


Pickup Player
西川僚祐 東海大相模2年 外野手
~うまさも身についてきた最強スラッガー~
先制2ランだけにとどまらず、その後の2本のヒットからうまさも光ったのが東海大相模の4番西川である。

西川は上述の佐倉シニアでは主将、5番レフトとしてジャイアンツカップを制覇。その決勝戦では中学生ながら、逆方向である東京ドームのライトスタンドにホームランを放つなど当時から規格外のパワーを見せつけていた。東海大相模では1年夏の初打席(代打)ではいきなり敬遠されると、4番に座った大和南戦では保土ヶ谷球場の場外へ3ランホームラン。186cm92kgという体格といい、スイングといい清原を彷彿とさせるスラッガーで、1年秋からはチームの中軸を担う。2年春から肘のケガもあり、やや不調に陥り、2年夏は4番を外れるも、最終的には神奈川大会で打率.429、2ホーマー12打点の活躍。ただ甲子園では2試合で8打数ノーヒットと不発に終わるなど、まだ波のある選手でもあった。2年秋の新チームでは4番に復帰し、神奈川大会では桐蔭学園戦でホームランを放つなどして神奈川3連覇に貢献。高校通算は50号までに伸ばし、この関東大会を迎えていた。

そんな西川はいきなり2死2塁で迎えた初回の第1打席、2球目の甘く入った変化球を捉えると、打球は飛距離十分のレフトスタンドに飛び込む先制の2ランホームラン。第2打席では強烈なピッチャー返しで強襲ヒットとするなど、習志野エース山内に完全にあっていた。そんな背景もあってか、2死3塁で迎えた第3打席では西川を迎えたところで、習志野はマウンドに右サイドの上杉を送るが、この上杉の変化球にもうまく合わせて低いライナーで1・2塁間を抜くタイムリーヒット。結局この試合では4打数3安打3打点という活躍で強力相模打線を牽引した。

西川は当たれば飛ぶが、やや変化球攻めなどにはやや脆いところもあった。それでもこの試合では習志野の技巧派投手たちからこの成績。ホームランを打つだけでなく、状況に合わせて、うまいバッティングもできるようになってきた。このようなバッティングができると自ずと好不調の波も少なくなってくることだろう。守備でも左中間のフライをスライディングキャッチで好捕し、盗塁も決めるなど打撃以外の面でも成長が見られた。こうなってくると右のスラッガーとして来年のドラフトでも上位候補になってくることは間違いないだろう。
20191021東海大相模 西川1
先制2ランを含む3安打3打点の活躍をみせた西川



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花咲徳栄×拓大紅陵【秋季関東大会】

10/20 秋季関東大会1回戦
花咲徳栄×拓大紅陵@高崎城南球場

試合経過

20191020花咲徳栄×拓大紅陵
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

センバツ出場をかけた関東大会は、初戦で花咲徳栄(埼玉1位)と拓大紅陵(千葉2位)が対戦することとなった。試合は序盤から徳栄の強力打線が火を噴く。まず初回に1番南がライト前ヒットで出塁すると、2番浜岡も送らずにライト前で続き、今度は3番田村が送って1死2・3塁のチャンスを作る。1塁が空いていた場面だが、4番井上は甘く入った初球の変化球をとらえると、打球はセンターの頭上を越える2点タイムリー3ベース。さらに5番中井がタイムリーで続き、渡壁のヒットで1・3塁になってからは重盗をしかけて、1塁ランナーが挟まれる間に3塁ランナーの中井がホームを駆け抜け、徳栄が初回から4点を奪う。徳栄は2回表にも高森・南のヒットで1死1・2塁のチャンスを作ると、2番浜岡が右中間に2点タイムリー3ベース。田村もすかさず初球をライト前に運んで、徳栄が2回までに7-0と大量リードを奪う。
20191020花咲徳栄 井上
先制の2点タイムリー3ベースを放った井上

拓大紅陵のエース竹内は1・2回こそ徳栄打線に捕まったが、元ロッテの投手でもある和田監督が「竹内のチーム」と評するだけあって、すぐにマウンドを降りることはなかった。すると千葉大会では専大松戸を完封した実力を発揮し、Max136㌔のストレートにスライダー・SFFを交えた投球で3・4回は徳栄打線を無得点に抑える。
20191020拓大紅陵 竹内
3・4回と徳栄打線を無得点に抑えた竹内

ただそんな拓大紅陵に絶望感を与えたのは徳栄エース高森のピッチング。ストレートはMax133㌔であったが、キレ・コントロールともに抜群で、これにスライダーそして得意のチェンジアップを交えて拓大紅陵打線を打ち取っていく。安定したピッチングでこの投手から大量点は望めないと思わせるどころか、気づけば拓大紅陵打線は5回まで高森にパーフェクトに抑えられてしまう。
20191020花咲徳栄 高森
5回までパーフェクトピチングをみせた徳栄のエース高森

すると徳栄は5回表、先頭の井上が死球で出塁し、中井がヒットで無死1・3塁のチャンスを作ると、6番渡壁の併殺崩れの間に追加点。結局竹内はこの回でマウンドを降りることとなり、6回からは1年生右腕の加藤がマウンドに上がるも、徳栄は南のヒット→送りバント→田村のタイムリーと理想的ともいえる1・2・3番の攻撃でさらに追加点を奪う。
20191020花咲徳栄 田村
タイムリーを放つ徳栄の3番田村

こうなると高森の完全試合への期待も高まっていったのだが、拓大紅陵は6回裏に1死から8番主将の篠田が四球を選んでチーム初出塁。2死2塁となってから、1番柏木がチーム初ヒットとなるタイムリーを放って、拓大紅陵が初得点をあげる。
20191020拓大紅陵 柏木
拓大紅陵の初安打となるタイムリーを放つ柏木

ただそんな喜びも束の間の7回表。徳栄は死球と高森のヒットで1死1・2塁のチャンスを作ると、9番小林がセンター前にタイムリーヒット。さらに2番浜岡もこの日4本目のヒットなるセンター前へのタイムリーを放ち2点を追加。その裏を2番手としてマウンドにあがった鈴木が締めて、徳栄が11-1(7回コールド)で拓大紅陵を破った。


徳栄の強さが際立った試合であった。まずは強力打線だが、この試合では南・浜岡の1・2番コンビが計7安打5得点とその役割を十分に果たして、打線を牽引。夏の甲子園でもスタメンに名を連ねた田村・井上・中井の3人で構成されるクリーンアップも、それぞれタイムリーヒットを放つなどしっかりと仕事を果たした。下位打線は上位に比べると力は落ちるものの、この試合では栗島以外の先発全員がヒットを放つ活躍をみせた。投げては高森が6回1安打1失点の好投。高森に次ぐ投手の台頭はチームとしての課題であるが、センバツが決まるまではとりあえず高森1本で何とかなりそうである。台風でグランドが水没した影響も感じされない、見事な快勝ぶりであった。
20191020花咲徳栄 南
1番打者として3安打でチームを牽引した南

千葉大会と違って2年生をスタメンに多く起用する布陣で臨んだものの、エース竹内が1・2回と捕まってしまい、投手が抑えてロースコアという展開には持ち込めなかった。やはり痛かったのが、初回1死2・3塁という1塁が空いている場面で、高校通算43発を誇る4番井上に対して、初球が甘く入ってしまったのが悔やまれる。自慢のブラバンが応援に駆け付けた試合であったが、打線も高森の前になすすべがなく、完敗という一言に尽きる。


Pickup Player
浜岡陸 花咲徳栄1年 サード
~7年連続を託したくなる選手~
1年生で唯一スタメンに名を連ねた浜岡が、4打数4安打3打点の大活躍をみせた。

小学校時代からU12日本代表に名を連ね、神戸須磨クラブでは3年時に主将としてチームをジャイアンツカップに導くなど注目されていた浜岡は、花咲徳栄に進学すると、この1年秋からサードのレギュラーを獲得した。走攻守揃った2番サードとして、埼玉大会の決勝では3打数3安打3打点の活躍をみせるなどして、埼玉制覇に貢献した。

この試合でも埼玉大会と同じく2番サードとして、1年生では唯一スタメンに名を連ねた浜岡は初回の第1打席からいきなり見せる。1番南がヒットで出塁すると、1度はバントの構えをみせるも「やるそぶりはなく…2球目をたたくと打球は1・2塁間を抜けるヒットとなる。ここで簡単にバントをさせないあたり、岩井監督は浜岡の打撃を評価しているのだろう。そして1死1・2塁で迎えた2打席目には今度は初球の変化球をとらえると、打球は右中間を抜ける2点タイムリー3ベース。3打席目にもライト前ヒットを放つと、2死1塁という警戒度Maxな場面で、初球からスチールを敢行し、その俊足で余裕でセーフにしてみせた。第4打席には今度は2番打者らいくサード前にきれいにバントを決めると、第5打席ではこの試合2本目のタイムリーをセンターに放った。結局4打数4安打3打点という素晴らしい成績を収めた。

守備でも4回には小野寺の3塁線の打球を好捕し、中学時代は134㌔をマークしていたという肩力で、1塁をアウトにしてみせた。高森がパーフェクト継続中であったのが、少しヒヤッとするあたりであったが、サード浜岡の見事な処理でパーフェクトを続行された。現在はサードであるが、来年にはショートをやっているに違いない守備力であった。

花咲徳栄は2015年の愛斗(西武)から、今年の韮澤(広島4位指名)まで5年連続で高卒でプロ入りを果たしている。現在の4番の井上は高校通算43発を誇りこのままいけば、プロ志望届さえ出せば指名はほぼ確実であり、6年連続も堅い。そして、この次の7年連続として期待がかかるのがこの浜岡である。バットコントロールがよく、走力もあり、肩力もある守備力も魅力的でまさに3拍子揃った選手であり、ちょうど2年前の韮澤を彷彿とさせるものがある。冬場のトレーニングを経て、もう少しパワーがついてくれば、もうドラフト候補として雑誌に名を連ねてもおかしくない存在であろう。ちょっと話が早いかもしれないが、これから再来年のドラフトに向けて要注目の選手である。

20191020花咲徳栄 浜岡2
20191020花咲徳栄 浜岡1
早くも徳栄の連続プロ入り記録更新の期待がかかる1年生の浜岡


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日大鶴ケ丘×関東一【秋季東京大会】

10/19 秋季東京大会1回戦
日大鶴ケ丘×関東一 @神宮第二球場

試合経過

20191019日大鶴ケ丘×関東一
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

日大鶴ケ丘×関東一という甲子園経験も豊富な両校がいきなり激突した1回戦屈指の好カードは、台風の影響で初戦が1週間遅延して、雨が上がったばかりの神宮第二球場でプレイボール。関東一は先発のマウンドに背番号10のサイドスロー星を送る。星は初回1・2番を打ちとって、簡単に2アウトを取るも、日鶴は3番西岡がライトフェンス直撃の2ベース。死球を挟んで、5番保坂の打球はライトの前にポトリと落ちて日鶴が先制点を奪う。
20191019日大鶴ケ丘 西岡
先制点のきっかけとなるフェンス直撃の2ベースを放った西岡

しかし関東一もすかさず反撃を開始。まずは1年生ながら夏の甲子園でもスタメンで出場していた1番初谷がその巧みなバットコントロールでライト線に運んで2ベースで出塁。さらに続く小野寺のバントの送球が逸れてオールセーフとなり関東一が無死1・3塁のチャンスを迎える。3番重政の打球は強烈なショートゴロであり、日鶴は6-4-3の併殺を狙うも二遊間の息が合わずにアウトは2塁のみ。これが日鶴にとっては痛く、残った重政が盗塁を決めると、5番渡邊がセンター前にタイムリーを放ち、関東一が2-1と逆転に成功する。

ただ日鶴は2回表、先頭の7番木村颯がヒットで出塁して2死2塁のチャンスを迎えると、1番寺田が同点タイムリー。星はサイドのからシュート気味のストレートが特徴であった。この球は右バッターのインコースにいけば効果的であるが、やや内側に入ってきたボールを寺田が逃さずにセンターに弾き返した1打であった。
20191019日大鶴ケ丘 寺田
2回表に同点タイムリーを放った寺田

追いつかれた関東一であったが、2回裏にも先頭の藤田が右中間への2ベースで出塁。五十嵐が送って1死3塁とすると、9番星が自らのバットで犠牲フライを放ち勝ち越し。そして関東一が3-2とリードしたところで、関東一の星、日鶴の中條がピッチングにやや落ち着きを取り戻し、試合は膠着状態に入る。
20191019関東一 藤田
勝ち越し点のきっかけとなる2ベースを放った藤田

ここで先に仕掛けたのはリードしている関東一であった。4回に2死1・2塁のチャンスを作ると、調子をあげてきた星に代えて代打に町田を送るという勝負に出るも、町田はセカンドフライに倒れて得点をあげられなかった。その関係で関東一は5回から2番手として領家がマウンド上がる。領家は毎回先頭打者を出してしまうも、フォームが安定していて、ピンチの場面でも動じずに日鶴打線を抑えていく。
20191019関東一 領家
2番手としてマウンドにあがり3回無失点と結果を残した領家

日鶴も5回に1死2塁のピンチを迎えたところで、中條→背番号1の近藤にスイッチすると、近藤がこの起用に応えてこのピンチは関東一の3・4番を抑えて凌ぐ。しかし6回裏、近藤にとっては不運なことに、関東一の5番渡邊の放った打球はファースト後方にポトリと落ち、変な回転のかかった打球をライト保坂がうまく処理できずに3ベースとしてしまう。続く岡澤はセンターにきっちりと犠牲フライを放ち、関東一が待望の追加点をあげる。
20191019日大鶴ケ丘 近藤
5回のピンチからマウンドにあがった近藤

リードを2点に広げた関東一は、8回から背番号1をつけた今村が登板。今村は左腕らしい出処見づらいフォームが特徴の投手で、8回はエラーで先頭打者の出塁を許すも、冷静にバントを2封すると、3・4番を抑えて無得点。最終回も四球と近藤の意地のヒットで長打が出れば同点というピンチを迎えるも、最後は9番田中の打球はショートライナーとなりゲームセット。関東一が4-2で勝利した、激戦ブロックの2回戦にコマを進めた。
20191019関東一 今村
8・9回と無失点に抑えた関東一の3番手今村



まず敗れた日大鶴ケ丘だが、非常に勿体ない試合であった。守備面ではミスが得点に絡む結果となり、初回にバント処理のミス+併殺がとれる打球でとれなかったことで2失点、6回にもポテンヒットを3ベースにしてしまったことが貴重な追加点に繋がった。先発の中條、2番手の近藤ともに球の力はまだまだであるが、それでもコーナーを狙って丁寧に投げて、粘りの投球をしていただけに残念だ。攻撃でも関東一を上回るヒットを放ちながらも、とくにかくランナーが進められない。この試合ではバントは失敗が3に成功が0、盗塁も失敗が3に成功が0という散々な数字であった。関東一がバント3個を全て成功させ、盗塁も2個とも決めたのは対照的でここがスコアの差にそのまま繋がったともいえる。

ただ勝利した関東一も完成度としてはまだまだ。夏の甲子園に出場し、先週は茨城国体で優勝したが、その分新チームの準備は遅れていたようだ。大会直前にもコンバートがあり、国体ではサードだった初谷がセカンド、1次予選ではセカンドだった渡邊を高校では初という捕手に抜擢するなどしていて、守備位置と背番号が一致していたのはレフト藤田、センター重政のみという布陣。4番には背番号13の東を抜擢したが、3番重政とともにノーヒットで合っていた1番初谷と5番渡邊・6番藤田を見事に分断してしまった。
20191019関東一 初谷
新チームではセカンドを守る初谷

投手陣は右サイドの星→オーソドックスな右腕の領家→左腕の今村とタイプの違う3投手による見事なリレー。ただ本来であれば1年生ながら夏の甲子園のマウンドも経験した市川がエースとして期待されていたが、どういう事情か知らないが、この秋は背番号18でこの試合でもブルペンで投球するのみにとどまった。ただこの後は3回戦で帝京、4回戦には日大三or東海大菅生とさらなる強豪との対戦が控えているために、この市川の復活にも期待したいところだ。
20191019関東一 市川
エースとして期待されたが、この秋は背番号18の市川


Pickup Player
渡邊貴斗 関東一2年 キャプチャー
~主将が急増捕手としてチームを牽引~
この試合3度の盗塁を阻止した関東一の捕手は、なんと2週間前から捕手を始めたばかりの主将であった。

渡邊は新チームの主将を務めるが、ベンチ入りを果たしたのはこの秋から。1次予選では2番セカンドで出場していたが、本大会での背番号は3.そしてこの試合では何と2週間くらい前から練習を始めたという捕手でスタメン出場(もちろん公式戦では初)を果たし、打っても5番を務めた。

渡邊の捕手としてのいいところは、送球が非常に安定しているところだ。決してキャノンといえるほどのスピードはないものの、確実に2塁にストライク送球ができる。その送球を武器に、4回・5回・6回と3イニング連続で日鶴の2盗を阻止して、2番手領家の3回無失点の好投を支えた。そしてリード面でのタイプの違う3投手で2失点だったので初マスクとしては合格点であろう。本当に2週間前から始めたなかりなのか?というほどの上出来であったと思う。

5番を務める打撃でも、初回に2死2塁から逆転となるセンターへのタイムリーヒット。渡邊の打撃は派手さがあるわけではないが、コンパクトなレベルスイングで確実にボールを捉えるバッターである。6回には渡邊の放ったポテンヒットが3ベースになり、貴重な追加点に繋げるなど、この日はラッキーボーイぶりも光った。まだまだ完成度の低いチームを攻守の両面で救った新主将の活躍にこれからも期待です。

20191019関東一 渡邊1
20191019関東一 渡邊2
攻守において活躍をみせた関東一の主将渡邊


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花咲徳栄×浦和学院【秋季埼玉大会】

10/5 秋季埼玉大会準決勝
花咲徳栄×浦和学院@県営大宮球場

試合経過
20191005花咲徳栄×浦和学院
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

昨年の世代では1度も実現しなかった花咲徳栄×浦和学院という埼玉大会のゴールデンカードが秋季大会の準決勝で実現。勝てば関東大会出場決定、敗ければセンバツ絶望という大一番です。

花咲徳栄はエース高森が先発したのに対して、浦和学院は背番号10の美又が先発した試合は、緊迫した投手戦となり0-0のまま中盤まで進む。迎えた5回裏、浦和学院は先頭の8番樋口がレフト前ヒットで出塁するも、続く9番美又はバント失敗で、さらに1番吉田匠もファーストフライとランナーを進めることができずに、2死1塁で2番里を迎えてしまう。スタメンに1年生が多く経験者の少ない浦和学院にとって、前チームで1番を打っていた里はまさに主軸。去年から2番に中前を置くなど、チームNo1ともいえる打者を2番に置く森監督の起用に応えた里はライト線にヒットを放つ。花咲徳栄のライト井上は1塁をオーバーランしていた里をさすべく強肩で1塁へ送球、かなり怪しいタイミングであったが、何とかヘッドバックで戻った里の判定はセーフ。ただこれには花咲徳栄のファースト中井は納得いかなかったようでジャッジした2塁審にアピール。しかし隙をついて3塁ランナーの樋口はホームインし、浦和学院が先制する。
20191005浦和学院 里
20191005浦和学院 樋口
ライト線にヒットを放った里と隙を突く好走塁をみせた樋口

何としても追いつきたい花咲徳栄は終盤に自慢の強力打線が目を覚ます。7回には1死から4番井上のヒット、さらには続くファーストゴロが悪送球となり、1死1・2塁のチャンスを迎えるが、6番渡壁は粘った末にセカンドゴロ併殺。8回には2死からこの日美又に対して1番当たっていた9番小林がヒットで出塁し、1番南がレフトフェンス直撃の2ベースを放ち2死2・3塁のチャンスを作るも、2番浜岡はセカンドゴロとチャンスを作るもののあと1本ができない。

浦和学院の美又は、体を沈み込ませてからの独特なスリーウォーターから力のあるストレートを投げ込む右腕で、ストレートはこの日最速140㌔。ただこれは激辛の県営大宮球場の数字としては十分で、Max146㌔という本来の実力に匹敵するスピードであろう。そして課題であったコントロールがこの日はよく、この日はなんと8回まで無四球。変化球はスライダーやカットボールなどを操り、特に中盤以降はこのスライダーを多めにしたピッチングが効いていた。ピンチでの粘り強い投球をみせ、さすがは本来は背番号1を背負うべうき逸材というピッチングであった。

ただ花咲徳栄の高森も5回に1点を取られた後も、淡々と自分のペースで投げ続け、6回以降は浦和学院打線をノーヒットに抑える好投で、試合は浦和学院が1-0とリードしたまま最終回を迎える。

9回表、花咲徳栄は1死で迎える4番井上。チャンスを作ってもなかなか得点の入らない展開だけに、この世代屈指のスラッガーの1発に期待したいところであったが、井上は変化球にやや泳がされてしまう。それでも打球のスピードはあり、この三遊間の打球をショート樋口が何とか抑えるも、井上が気迫のヘッドスライディングでセーフとして内野安打で出塁。すると美又にもさすがに疲れが見えたのか、5番中井にはストレートの四球を与えてしまう。ここで浦和学院はレフトを守っていた背番号1の三奈木が1度はマウンドに行きかけるも、美又続投という選択をするも、6番渡壁に死球を与えてしまい満塁。ただここで美又は開き直ってストレート連発で7番栗島を追い込むも、高めのつり球をバットに当てられてしまうと、打球はセンターへの犠牲フライとなり、花咲徳栄が土壇場で1-1の同点。なおも花咲徳栄は逆転のチャンスという場面であり、続く高森の初球がボールとなったところで、今度こそ三奈木がレフトからマウンドに上がると、高森をライトフライに抑えて、逆転を許さない。
20191005花咲徳栄 栗島
同点打となる犠飛を放つ栗島

1-1のまま延長戦に入った試合は10回表、花咲徳栄は1死から1番南がこの試合2本目のレフトフェンス直撃の2ベースで出塁すると、浜岡もセンター前ヒットで続いて1死1・3塁のチャンス。ここで三奈木は3番田村を歩かせてしまい、1死満塁で井上という絶対絶命のピンチを迎える。すると井上はカウント1B1Sからの3球目を逆らわずにうまくライト線に運び、これが犠牲フライとなり花咲徳栄が勝ち越し。
20191005花咲徳栄 南
2本目のレフトフェンス直撃の2ベースでチャンスを作った南

ただ浦和学院は10回裏、先頭の8番樋口がチームとしては5回以来となるヒットで出塁。続いて途中からレフトに入っている松村が打席に迎かうと、バントの構えもあったものの、最終的に森監督は強行策に打って出る。しかし松村の打球はサード正面でサードゴロ併殺。続く代打茂原が三振に倒れてジーエンド。花咲徳栄のエース高森は10回1失点完投で、花咲徳栄が2-1で勝利して関東大会出場を決めた。
20191005花咲徳栄 高森2
完投勝利をあげてガッツポーズの高森


埼玉屈指の強豪対決であったが、ここまでの戦いぶりは対照的であった。夏の甲子園ではリリーフ登板も果たした高森がエースとなり、田村・井上・中井と甲子園でもスタメンだった3人がクリーンアップを打線と経験は十分で、ここまでは準々決勝で強豪の聖望学園から10-0のコールド勝ちを納めるなど圧倒的な戦いぶり。一方の浦和学院はスタメンに1年生が多く経験の少ないチームであり、初戦で川越工に3-1といきなり接戦で、準々決勝も埼玉栄に終盤での逆転勝利と接戦が続いていた。よってこの試合は花咲徳栄が有利と思われていた。

そんな中で意地を見せたのが、浦和学院の2年生であった。当初はスタメンに7人もの1年生が名を連ねることもあったが、この試合では5人と半分以上が2年生。特に先発を任された美又はまさに、その意地をみせた素晴らしいピッチング。1年夏から甲子園で登板を果たすなど、この世代ではエースになること間違いなしと思われていた右腕だが、この秋は1年生の三奈木に背番号1を譲り、美又は背番号10。ここまではリリーフ登板が多かったが、この大一番では先発に抜擢されると、8回まで徳栄打線を無失点に抑え、前評判を見事に覆してみせた。最後はスタミナが切れてしまったようだが、この美又の好投は森監督にとっては嬉しいことであっただろう。
20191005浦和学院 美又
2年生の意地をみせ8回まで徳栄打線を無得点に抑えた美又

花咲徳栄はなかなか得点こそ上げられなかったものの、終盤の底力はさすがであった。浦和学院と違ってスタメンが固定されて、しっかりとした戦いができているチームは関東大会でも上位進出が大いに期待される。中でもやはり注目は、1年春から花咲徳栄のスタメンを掴み、前の試合で高校通算41号を放った、この世代屈指のスラッガーである井上。この試合では1発こそなかったものの、7回そして同点に追いついた9回とヒットを放ちチャンスメイク。10回には決勝打となる犠牲フライを放った。やはりこの男がいると徳栄打線は今年も強力そのものである。
20191005花咲徳栄 井上
ホームランはなくても2安打に決勝打と徳栄打線を牽引した井上


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高森陽生 花咲徳栄2年 投手
~去年とはここが違う花咲徳栄の絶対的エース~
花咲徳栄の絶対的なエース高森が10回1失点完投でチームを関東大会出場に導いた。

秋田出身の左腕は、小柄ながらキレのあるボールとコントロールを武器に1年秋からベンチ入り。背番号18で臨んだ2年夏の埼玉大会では4試合に登板して全試合で無失点の好投。特に準決勝では秋春と埼玉を制していた春日部共栄相手に、1点勝ち越した直後の8回から登板し、2回パーフェクトピッチングを披露。これで岩井監督の信頼を得ると、甲子園では背番号10を背負い、明石商戦では7回からリリーフするも決勝打を浴びて敗戦投手となった。

新チームではエースとなった高森は準々決勝では聖望学園を完封するなど、ここまで全試合で2失点以内の投手陣を牽引。この大一番でも当然マウンドに立った高森はその持ち味を発揮。ストレートは県営大宮のスピード表示とはいえ120㌔中盤であるが、その決して開くことのないフォームはボールの出処が見づらく、またコントロールも抜群できっちりとコースにコントロールされていた。変化球はスライダー・カーブに加えて、得意のチェンジアップが効果的であり、ミスのない投球で浦学打線を淡々と抑えていく。ちょっとした不運もあって5回には1点を失うも、その後は浦学打線を無安打に抑えていった。延長戦に入ってもスタミナも十分で、左投手が苦手な浦学打線に抜群の効果を発揮して、結局10回1失点で完投勝利。

昨年は強力打線を擁しながらも、なかなかエースが定まらずに苦戦した花咲徳栄。しかし今度の新チームでは、高森という前チームでも実績のある投手がいる。もはや花咲徳栄の絶対的エースといえる存在であり、この安定したピッチングは波乱の多い秋季大会では力強く、関東大会でもその投球に期待したい。

20191005花咲徳栄 高森
10回1失点完投勝利をあげた花咲徳栄の絶対的エース高森


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