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明治神宮大会(大学の部)のベストナインを選んでみた(2019)

慶応大が秋の大学日本一の座を手にした明治神宮大会(大学の部)。
そんな大会のベストナインを個人的に選んでみました。
※これまでの実績とか、プロ注とか関係なく、今大会の活躍のみで選んでいます


ピッチャー
高橋佑樹 慶応大4年

先発した東海大札幌戦では4回無失点、城西国際大戦でも1回無失点リリーフを見せると、決勝の関西大戦では7回までパーフェクトピッチを披露して完封勝利。慶応のエースとして大会通じて14回無失点という圧倒的な投球をみせた。
20191130慶応大 高橋佑

キャッチャー
郡司裕也 慶応大4年

東海大札幌戦では2安打3打点、決勝の関西大戦では先制の2ランホームランを含む4打点をあげるなど4番打者としての仕事を果たし、さらには大会通じて3試合1失点の投手陣をリード、また主将としてもチームをまとめあげ優勝に導いた。
20191130慶応大 郡司


ファースト
千野啓二郎 東海大4年

中央大戦では同点タイムリーを含む2安打、準決勝の関西大戦でも9回2死から同点タイムリーを放つなど東海大の1番打者として3試合全てでヒットを放ったものの、高校時代に続く日本一には届かなかった。
20191031東海大 千野
※写真は横浜市長杯のときのもの

セカンド
坂之下晴人 関西大2年

高いセカンド守備力に加え、打撃でも金沢学院大戦では先制のタイムリーを放ち2四球を選ぶ活躍、準決勝の東海大戦ではタイブレークに入った10回表に勝ち越しのタイムリーヒットを放ち、チームを決勝進出に導いた。
20191120関西大 坂之下

サード
下山悠介 慶応大1年

リーグ戦での好調そのままに、初戦の東海大札幌戦では猛打賞、決勝の関西大戦でも2安打を放ち、大会通じて.412のハイアベレージをマーク。慶応打線を繋がりがよかったのは、この2番打者のおかげともいえる。
20191130慶応大 下山

ショート
野口智哉 関西大2年

準決勝の東海大戦では先制のタイムリーを含む2安打2打点の活躍、決勝の慶応戦では8回に高橋佑のパーフェクトを止めるチーム初ヒットを放ち関西大打線に勢いを与えるなど、関西大の4番打者として毎試合ヒットを放ち打線を牽引した。
20191120関西大 野口

外野
中村健人 慶応大4年
東海大札幌戦ではバント以外は全打席で出塁、準決勝の城西国際大戦では先頭打者ホームランを放つなど1番打者として役割を十分に果たし、後輩(中村は中京大中京の出身)とのアベック優勝を果たした。
20191130慶応大 中村

浪川広之 城西国際大1年
1年生ながら城西国際大の4番に座ると、そのフルスイングで広島経済大戦ではタイムリーに犠牲フライにと2打点の活躍。準決勝の慶応戦では3三振と洗礼を受けながらもヒットも放ち、大会通じて打率.429の活躍。
20191117城西国際大 浪川

赤尾光祐 東海大札幌3年
大商大戦では大西から先制タイムリー、橋本からもタイムリーと、ドラフトで指名された2人の投手からタイムリーを放ち、チームの2-0での勝利に大きく貢献。準々決勝では高校時代に敗れた慶応にリベンジはならなかったが、その力は十分に見せつけた。
20191124東海大札幌 赤尾


以上です。異論は認めます。


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明治神宮大会(高校の部)のベストナインを選んでみた(2019)

中京大中京の優勝で幕を閉じた第50回明治神宮大会の高校の部。
そんな大会のベストナインを個人的に選んでみました。
※これまでの実績とか、プロ注とか関係なく、今大会の活躍のみで選んでいます

ピッチャー
高橋宏斗 中京大中京2年

Max148㌔のストレートを投げ込んだ今大会注目度No1投手は、初戦となった2回戦で明徳義塾を4安打10奪三振で完封(7回)すると、決勝戦では1点リードの6回からマウンドに上がると、打たせて取る投球で最後まで無安打投球を披露し、チームの優勝の立役者となった。
20191117中京大中京 高橋

キャッチャー
印出太一 中京大中京2年

明徳義塾戦ではあわやホームランというフェンス直撃打を放つなどなど、打ったヒット3本すべてがタイムリーという勝負強さを発揮した中京大中京の4番。守っても好リードとその強肩で高橋の好投を支え、さらには主将としてチームを優勝に導いた。
20191117中京大中京 印出

ファースト
河西陽路 天理2年

中京大中京戦では先発の松島からバックスクリーンとライトスタンドに1本ずつ、さらにエース高橋からは9回2死からライトスタンドに同点弾と、大会史上初の1試合3ホーマーを含む4打数4安打4打点という大活躍をみせた。
20191116天理 河西

セカンド
宮浦柚基 白樺学園2年

国士舘戦では7回に決勝打となる右中間への2点タイムリー3ベースを放つと、健大高崎戦では今大会素晴らしい投球をみせていたエース下からレフトスタンドにソロホームランを放つなど、2試合で7打数4安打3打点の好成績を収めた。
20191116白樺学園 宮浦

サード
山畑陸 健大高崎2年

初戦の倉敷商戦では2四球を選び盗塁もマークすると、続く明豊戦では2安打、準決勝の白樺学園戦では7回に決勝タイムリーを放つなど打順は9番ながら非常に貢献度の高い打撃をみせた。
20191117健大高崎 山畑

ショート
中山礼都 中京大中京2年

決勝では3回に決勝打となるタイムリー3ベースを右中間に放つなど2安打の活躍。ショート守備でもその強肩と正確な送球で、投手陣をバックアップし、内野の中心としてチームを優勝に導いた。
20191117中京大中京 中山

外野
瀨千晧 天理1年
天理戦では先制の2ランホームランに、7回には決勝打となる走者一掃のタイムリー3ベースを右中間に放った。3番に昇格した中京大中京戦でも高橋から2ランを打つなど、眼鏡の1年生スラッガーが全国に名をとどろかせる大活躍をみせた。
20191116天理 瀨

山本遼哉 健大高崎2年
初戦の倉敷商戦ではレフトフェンス直撃の先制タイムリーに加えて、タイブレークでは試合を決定づける満塁ホームラン。4番に昇格した明豊戦では8回に同点タイムリーを放つと、10回にはサヨナラ打となる犠牲フライを放った。
20191117健大高崎 山本

戸澤昂平 健大高崎2年
明豊戦では延長10回の満塁のピンチで前方のフライをダイビングキャッチしてチームのピンチを救うと、その裏には確実にバントを決めてチームの勝利を手繰り寄せた。明豊戦、白樺学園戦では2試合連続猛打賞で、大会通じて打率4割の活躍。
20191117健大高崎 戸澤


以上です。
これらの選手の来春のセンバツでの活躍にも期待しつつ、高校野球は冬眠シーズンとしたいと思います。



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慶応大×関西大【明治神宮大会(大学の部)】

11/20 明治神宮大会(大学の部)決勝
慶応大×関西大 @神宮球場

試合経過

秋の大学日本一を決める明治神宮大会(大学の部)の決勝は、東京六大学野球連盟代表の慶応大と関西5連盟第1代表の関西大という、ともにグレーのユニフォームの東西の両雄の対決となった、

慶応大は1回表、1死から2番下山がヒットで出塁し、2死1塁でこの秋三冠王を獲得した4番郡司を迎える。その郡司はリーグ戦からの好調、さらには中日にドラフト4位指名された勢いそのままに、カウント2B2Sからのストレートを捉えると、打球はレフトスタンドに飛び込む先制2ランとある。
20191120慶応大 郡司3
先制2ランを放った郡司

関西大の先発は、秋のリーグ戦終盤から先発1番手を務めている森翔。成績ではリーグ戦MVPを獲得した高野に劣るが、この神宮大会でも、初戦の金沢学院大戦で8回無失点の好投を見せると、準決勝でもタイブレークからリリーフ登板して勝利に貢献するなどリーグ戦同様に先発にリリーフに奮闘していて、この決勝でも先発のマウンドに上がっていた。森翔はMax145㌔のストレートと130㌔台のカットボールを中心に投球を組みたて、これにチェンジアップでタイミングをはずしていくとう投球。上述の通り郡司に1発こそ浴びたものの、2回以降は慶応打線を翻弄し、2~6回はノーヒットに抑える快投をみせる。
20191120関西大 森
2~6回は慶応打線をノーヒットに抑えた関大先発の森翔

ただそれ以上のピッチングを披露したのが、慶応のエース高橋佑。この寒さの中、半袖のアンダーシャツという気合十分な格好でマウンドにあがった左腕は、こちらも130㌔台のカットボールを中心に、武器の大きく曲がるスライダー、カットボール・チェンジアップなどを駆使した投球でコントロールも抜群。スカウト陣はどのような気持ちで見ているのだろうという快投ぶりで(高橋佑はこの秋のドラフト会議で指名漏れしている)で、なんと7回まで関大打線をパーフェクトに抑える。
20191130慶応大 高橋佑
7回までパーフェクトピッチングをみせた高橋佑

慶応大が2-0とリードしたまま膠着状態となっていた試合が動いたのは8回、慶応大は下山・柳町の連打で無死1・2塁のチャンスを作ったところで、そこから右打者が3人続くこともあり関大は左腕の森翔→右腕の肥後にピッチャーをスイッチする。しかし肥後はワイルドピッチで2・3塁とピンチを広げてしまうと、4番郡司にはライト前に2点タイムリーを浴びてしまう。さらに四球とバントで2死2・3塁というピンチで迎えた慶応大の8番瀬戸西には、前進していたセンターの頭上を破られる2点タイムリー3ベースを浴びてしまい、この回計4失点を喫する。
20191120慶応大 瀬戸西
2点タイムリー3ベースを放った瀬戸西

ただ関西大は直後の8回裏、この回先頭の4番野口がレフト前にチーム初となるヒットを放つ。さらに代打の原も続いて無死1・2塁とチャンスを広げる。パーフェクトなどが途切れたところで一気に…というのはよくある展開ではあったが、続く6番久保田の打球はショートゴロ併殺となってしまい、続く代打松島も倒れて、関西はせっかくのチャンスをものにできない。
20191120関西大 野口
パーフェクトを阻むチーム初ヒットを放った野口

すると9回表、この回からマウンドにあがった関大の3番手高野は順調に2死を取るも、そこから柳町にヒットを浴びてしまうと、この日4打点の郡司は四球で歩かせて2死1・2塁。慶応大のバッターは代走から出場している渡部で、この渡部のセンター前の打球に対して関大のセンター安藤は前進するも、わずかに届かず、さらに後逸してしまい、2者が生還して慶応大がリードを8点に広げる。

高橋佑は9回裏のマウンドにも上がると、代打西川にヒットを浴びるものの、後続を抑えて3安打完封勝利。慶応大が完勝で秋の大学日本一の座を手にした。
20191120慶応大 優勝
優勝を決めた慶応ナイン

20191120慶応大×関西大2
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


慶応大がまさに集大成となる試合で、快勝して大学日本一の座を射止めた。集大成というのは、まず慶応大を率いていた大久保監督がこの試合を最後に退任することが発表されているからだ。14年春から監督に就任し、この秋を含む3度の優勝も去ることながら、ここ7季は連続して勝ち点4以上をあげるなど安定したチームを作りあげてきていて、この試合の勝利はまさに有終の美といえる結末であろう。また選手の方も、現在の4年生は1年時からレギュラーを張っていた柳町・郡司、2年時からエース格としての働きをみせていた高橋佑といった実力者たちが多い。実際に柳町(ソフトバンク5位)と郡司(中日4位)に加えて、津留崎(楽天3位)・植田(ロッテ育成2位)と4人がドラフト会議では指名を受けていて、そんな慶応としてはここ近年での集大成といえるべき世代であった。
20191120慶応大 大久保監督
日本一に輝き、有終の美を飾った大久保監督

敗れてしまった関大であるが、正直この決勝まで勝ち上がるとは思わなかった。慶応大とは対照的に、4年生がリーグ戦で結果を出せない中で、(未知数の中)抜擢した下級生の活躍でここまで勝ち上がってきた。実際のこの試合のスタメンでいえば、9人中6人が下級生であり、チームの中心といえる4番ショートの野口はまだ2年生。その前を打つ3番上神に限っては1年生であり、チームの扇の要となった久保田も2年生である。投手陣でも、リーグ戦でMVPを獲得した高野はまだ3年生であり、この決勝の舞台で悔しい経験をした選手たちが、来年もそのままレギュラーを務めることとなるのは心強く、来年のチームにも大いに期待したい。
20191120関西大 上神
1年生ながらこの決勝の舞台に3番打者として出場した上神


Pickup Player
郡司裕也 慶応大4年 捕手
~中日入団前に最高の置き土産を~
打っては4番としては4打点、正捕手としては高橋佑の完封をアシストして、郡司が大学最後の試合を最高の形で終えた。

仙台育英時代から強打の捕手として注目を集めていた郡司は、2年秋から正捕手となると、佐藤世こうしえん那とのバッテリーで明治神宮大会を制覇。3年春のセンバツでは初戦の神村学園戦で3安打をマークするも、2回戦では優勝した敦賀気比に1-2で敗れた。3年夏に再び甲子園に帰ってくると、決勝では東海大相模に惜敗するものの、見事に準優勝。大会後にはU18日本代表にも選出された。

慶応大では1年秋から正捕手の座をつかみ、捕手出身である大久保監督の英才教育も受けながら成長していくと、2年春・3年春・4年秋とベストナインを獲得。4年Zからはチームの主将も務め、この秋は打撃で打率・打点・本塁打ですべてトップとなり、三冠王を獲得した。大学代表では、今年の日米大学野球選手権では主に5番DHとして活躍していた。これらの活躍が評価され、ドラフト会議では中日から4位指名をうけていた。

この試合でも4番捕手でスタメン出場した郡司は、まずバットで魅せる。1回表に2死1塁で回ってきた第1打席ではカウント2B2Sからのストレートを捉えると、打球はレフトスタンドに飛距離十分で飛び込む先制2ランホームランとなる。その後試合は郡司のホームランによい2-0のまま膠着状態となっていたが、無死2・3塁という絶好のチャンスで迎えた第4打席では前進守備の1・2塁間を抜く2点タイムリーとなった。5打席目でも四球を選んで、ダメ押しの4得点にも絡んだ。結果として4打数2安打4打点であるが、先制の2点と均衡を破る2点という数字以上に貴重な4打点であり、またこの試合に慶応が得点をあげた全イニングに郡司が絡んでいることからも貢献度の大きさがうかがえる。

守備でも下級生のころからずっとバッテリーを組んでいる高橋佑を巧みにリードして、7回までパーフェクト、最終的にも3安打無四球完封を演出。好守に渡っての素晴らしい活躍で、まさらに大久保監督の愛弟子が、師匠に最高の結果をプレゼントした形になる。これだけの結果を残したのだから、入団する中日からは正捕手を固定できないというチーム事情からも期待は大きく、1年目から打てる捕手としてレギュラーを狙ってほしい。

20191130慶応大 郡司

20191120慶応大 郡司2
打っては4打点、守っては完封をアシストと素晴らしい活躍をみせた郡司



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健大高崎×中京大中京【明治神宮大会(高校の部)】

11/20 明治神宮大会(高校の部)決勝
健大高崎×中京大中京 @神宮球場

試合経過

関東王者の健大高崎と、東海王者の中京大中京の対戦となった秋の高校日本一を決める明治神宮大会決勝。健大高崎は橋本挙、中京大中京は松島とともに2番手ではあるものの、球に力のある両投手の先発で試合は始まった。
20191120中京大中京 松島
中京大中京の先発松島

中京大中京は1回裏、先頭の西村がセンター前に弾き返して出塁すると、2番中嶌は三振に倒れるもその間に西村が盗塁を決めて1死2塁。健大高崎の橋本は立ち上がりややバラツキがあり、変化球がワンバンになりワイルドピッチでランナーを3塁に進めてしまうと、さらにキャッチャー戸丸のパスボールもあって、中京大中京がほぼ西村1人で先制する。

ただ健大高崎は直後の2回表、2死から6番橋本がうまくレフト前に運んで出塁すると、バッテリーミスで2塁へ。7番戸丸のレフトへ上がった打球に対して、レフト南谷は前進してダイビングキャッチを試みるもわずかに届かず…これが2ベースとなって健大高崎が同点に追いつく。さらに先発の橋本挙もライトへタイムリーを放ち健大高崎が2-1と逆転に成功する。

中京大中京は3回裏、1死から村上・西村の連続ライト前ヒットで1・3塁のチャンスを作る。ここで初回に西村の足に翻弄された健大高崎は1塁へ牽制をするも、これをファースト木川がエラーしてしまい同点。さらに3番中山は右中間を破るタイムリー3ベース。4番印出もタイムリーで続いて、中京大中京が4-2と逆転する。

健大高崎は4回表、1死から木川がエラーの汚名返上とばかりに3塁線を破る2ベースで出塁。6番橋本がヒットで続いて1・3塁とすると、7番戸丸のセカンドゴロの間に1点を返し、3-4と1点差に迫る。このように序盤は目まぐるしく両チームが得点をあげた試合であったが、ここからはやや膠着状態に入る。
20191120健大高崎 橋本脩
2回・4回と得点に絡む活躍をみせた橋本脩


中京大中京は6回からマウンドにエース高橋を送る。高橋はスピードは144㌔止まりとそこまで出ていなかったが、これまでとは違って変化球を駆使してボールを低めに集めるピッチング。ショート中山の好プレーなどもあり、健大高崎打線を打ち取って、スコアボードに0を重ねていった。
20191120中京大中京 高橋
6回からリリーフとしてマウンドに上がり好投をみせた高橋

一方の健大高崎も橋本挙が4~6回は中京大中京打線を無得点に抑える。代打を出した関係で7回からは2番手として櫻井がマウンドに上がるも、この櫻井がエラーと四球で無死1・2塁のピンチを招いてしまうと、青柳監督は橋本挙と2番手を争うほどの実力者である長谷川をマウンドに送る。長谷川は西村をライトフライに打ち取ると、続く中嶌はセカンドゴロ併殺に打ち取りこのピンチをしのぐ。
20191120健大高崎 長谷川
7回のピンチの画面で3番手としてマウンドにあがり好投をみせた長谷川

ただ長谷川の好投もむなしく、健大高崎打線は高橋の前に三振こそ喫さなかったものの、ノーヒット状態が続き、そのままゲームセット。中京大中京が4-3で逃げ切り、秋の高校日本一に輝いた。
20191120中京大中京 高橋2
最後の打者を打ち取りガッツポーズの高橋

20191120健大高崎×中京大中京
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


中京大中京の強力センターラインがこの試合でも光った。前チームから主力を務める、キャッチャー印出・ショート中山・センター西村は打っても1・3・4番と中軸を担い、この試合あげた4得点はすべてこの3人に加えて2安打を放った9番村上の4人で奪ったものであった。守備でも印出は調子がよくなかった高橋を普段と異なる打たせて取る形で好リードし、ショート中山も好守を連発して高橋のピッチングを盛り立てた。高橋を加えて、もともとこの世代屈指と言われている4人がその前評判通りの力を発揮して、チームを秋の日本一に導いた形であった。

対する健大高崎は敗れはしたものの、群馬3位から全国準優勝まで非常にチームが成長した。今年は関東大会は群馬開催であったために3位でも関東大会に出場したが、例年であれば群馬大会準決勝でライバルの前橋育英に完敗した(観戦記)時点で秋の大会は終わっていた。そこからよくチームを立て直して、関東大会を制して、この神宮大会でも2度のタイブレークを制する勝負強さもあり、ここまで来たと思う。さらにこの決勝でも、その立役者であるエース左腕の下は登板していないということを踏まえると、このスコアは十分といえる。

さらに期待の191㎝右腕の橋本挙のピッチングは大きな収穫であった。そのポテンシャルは高く、以前から期待されていた右腕は、関東大会決勝では山梨学院を完封して、その片鱗を見せつけたものの、神宮大会では明豊戦で先発するも3回KO。この試合でも3回までに4点を失うも、そこから4・5・6回と見事に立て直して中京大中京打線を無得点に抑えた。さらにこの4失点も、守備の乱れがかかわったものであり、6回自責点2と考えられば上出来である。ただそれだけに得点に絡んでしまったエラーは、キャッチャー戸丸のパスボールと、ファースト木川の牽制球の捕球エラー。どちらも基礎的なところのエラーであり、健大高崎にとっては非常に悔しいところであっただろう。
20191120健大高崎 橋本挙
健大高崎の先発の橋本挙


Pickup Player
中山礼都 中京大中京2年 ショート
~決勝打に好守連発のショートストップ~
3回には勝ち越しのタイムリー3ベースを放ち、ショートでも好守を連敗するなど、この試合で存在感を発揮したのが中山であった。

強打に加えて走攻守揃った内野手である中山は、中京大中京では1年夏より背番号14でベンチ入り。1年秋からはサードのレギュラーを獲得し、愛知大会決勝の東邦戦では左中間スタンドにホームランを放ちなど活躍し、東海大会の静岡戦でも2本の2ベースを含む3打点の活躍をみせた。2年春から現在の定位置である3番ショートを務め、2年夏の愛知大会では打率.667本2打点9という大活躍であった。2年秋からの新チームからもプロ注目の3番ショートとして引き続き活躍し、愛知大会を制して迎えた東海大会では、3試合で打率.545打点10という活躍でチームを優勝に導いた。

この試合でも3番ショートでスタメン出場した中山の見せ場は第2打席。同点に追いついてなおも2死2塁という場面で、カウント1B2Sからのストレートを捉えると、打球は右中間を真っ二つに破り、勝ち越しのタイムリー3ベース。続く第3打席では低めの変化球をうまく拾ってセンター前に運ぶなどうまさも見せつけた。

守備での見せ場は7回裏で、まず代打安齋の詰まったハーフライナーを前進してショートバウンドでキャッチして1塁へ送球してアウトにすると、続く山畑のセンターに抜けようかという打球は難しいバウンドになるも華麗なグラブさばきでキャッチしてみせた。中山の守備のどんな体制からでも正確な送球でできる肩力に加えて、柔らかいグラブさばきという豪と柔を兼ねそろえているところにある。

中山は力強い打撃に、50㍍6.1秒という俊足も兼ねそろえていて、タイプ的には根尾(中日)に近い。このままいけば来年には高校生屈指のショートストップとしてドラフトに名を連ねることだろう。

20191117中京大中京 中山
20191120中京大中京 中山2
決勝打に好守備と存在感の際立った中山


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東北福祉大×東海大【明治神宮大会(大学の部)】

11/16  明治神宮大会(大学の部)1回戦
東北福祉大×東海大 @神宮球場

試合経過

東北福祉大と東海大という豊富な投手陣を誇る、1回戦屈指の強豪どうしたの戦いは思わぬ展開となった。まず意外であったのは東海大の先発が高杉であったこと。この秋は質のいいストレートを武器にリリーフとして活躍していた高杉だが、山崎・原田・松山といった選手に比べると実績は少なく、さらに先発となるとなおさらだ。そんな高杉は初回に里見・清水のヒットと四球で2死満塁のピンチを招くと、東北福祉大は6番主将の岩崎がセンター前にはじき返して先制点をあげる。。
20191116東北福祉大 岩崎
先制タイムリーを放った岩崎

波に乗り切れない高杉は2回表にも、先頭の大里にライト線へ2ベースを浴びると、続くピッチャー山野にもレフトオーバーのタイムリー2ベースを浴びてしまう。さらに山野は中継が乱れる間に3塁を陥れると、続く1番柿崎が犠牲フライを放ち3-0と東北福祉大がリードを広げ、高杉はこの回で降板となってしまう。
20191116東海大 高杉
先発のマウンドに上がるも2回3失点で降板となってしまった高杉

東北福祉大にしていれば、これはもう楽勝な展開かと思われたが、2回裏に安定感抜群のはずのエース山野が乱れる。先頭の長倉に四球を与えると、続く串畑のバントを2塁へ暴投、さらに高杉の代打亀田にも四球を与えてしまい無死満塁。東海大は9番竹内のセカンドゴロの間に1点を返し、さらに千野の打席で山野がワイルドピッチで2点目。2四死球で再び満塁とすると、4番海野はセンターに逆転タイムリーを放ち、東海大が4-3と試合をひっくり返す。
20191116東海大 海野
3回に逆転タイムリーを放った4番海野

東海大は3回表に、2番手としてサイド左腕の安里をマウンドにあげる。同じタイプの左腕であれば、実績もある松山がいたので、先発もさることながらこの継投にも驚いた。ただ安里は岩崎のヒットと2四球で満塁のピンチを迎えると、代打増田には押し出しの死球。さらに1番柿崎は2打席連続となる犠牲フライを放ち、東北福祉大が6-5と再逆転に成功する(まだ3回表)。

東北福祉大は3回から2番手として、東北の代表決定戦ではノーヒットノーランを達成した綱脇をマウンドに送る。綱脇は先頭の長倉に四球を与えてしまうと、代走の植村が盗塁を決めて、串畑が送って1死3塁。ここで東海大は安里に代えて代打小玉を送る。2017年の夏の甲子園準決勝の東海大菅生×花咲徳栄戦の再来となるこの2人の対決は、小玉がきっちりと犠牲フライを放って勝利し、東海大が6-6と同点に追いつく。
20191116東海大 小玉
同点に追いつく犠飛を放った代打小玉

さらに東海大は5回裏、1死から5番藤井が右中間に2ベースを放ち出塁すると、代走からの出場でこれが初打席となる植村は左中間に勝ち越しのタイムリー3ベース。さらに串畑がタイムリーを放つと、串畑は2盗→3盗と決めて、さらに3盗時のキャッチャーからの送球が逸れてホームインとまさにその快足で1人でホームインする活躍を見せ、東海大がこの回3点目。綱脇はゆったりしたフォームで打者のタイミングを外しながら投げていたが、ランナーを背負っているときのクイックが課題のようで、好き放題走られてしまい、それが得点に繋がり、この5回でマウンドを降りることになってしまった。
20191116東北福祉大 綱脇
2番手として登板するも3回4失点を起用に応えることのできなかった綱脇

東海大は4回から3番手としてマウンドに上がった宮路が、4~6回の東北福祉大の攻撃を無得点で凌ぎ、見事に試合を落ちつける働きを見せる。しかし7回に先頭打者に死球を与えてしまうと、1死から8番大里にこの試合2本目の2ベースを右中間に打たれてしまい初失点。さらに6回表を無失点に抑えた1年生左腕の坂根のところで、天理の先輩でもある4年生の冨木が代打で登場すると、この冨木が宮路の変化球をうまく救い上げて、レフトスタンドに同点の2ランホームラン。東北福祉大が8-8と試合を振り出しに戻す。
20191116東北福祉大 冨木
代打で出て同点2ランをはなった冨木

東北福祉大は7回裏から、ドラフト会議ではソフトバンクに3位指名を受けたリリーフエースの津森が登板。津森は7回には藤井・串畑から三振を奪い3人で攻撃を終わらせると、8回には宮路・千野・宮地と3者連三振を奪う圧倒的なピッチング。かたや宮路も同点2ランを浴びた後は立ち直り、8回表・9回表と東北福祉大打線の攻撃を無得点に抑える。
20191116東北福祉大 津森
7回・8回と圧巻のピッチングをみせた津森

8-8のまま迎えた9回裏、1死から東海大の杉崎の放った高く上がった打球をサード大里が落球し出塁。打席には4番海野が入り、津森とのソフトバンクドラフト2位VS3位の対決が実現すると、津森が海野をサードゴロに打ち取るも、サード大里の送球が逸れてしまい1死1・2塁。それでも5番藤井はセカンドゴロに打ち取り併殺と思いきや、この打球がセカンド永濱の手につかず3連続エラーで東海大が満塁のチャンスを作る。さらに6番植村のファールフライを、キャッチャーとサードが見合って落球という事態もあり、完全にバックに足を引っ張られた津森であったが、気迫の投球で植村を3球三振に仕留め2死。続く串畑もボテボテのピッチャーゴロに打ち取るも、わずかに逸れた津森の送球に対して、ファースト岩崎の足はベースから離れたと判定されてセーフ。東海大は最終回に、結局ノーヒットながら4個のエラーで1点を奪いサヨナラ勝ちをおさめた。
20191116東海大
サヨナラ勝ちに喜ぶ東海大ナイン

20191116東北福祉大×東海大
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


津森の大学ラストゲームはまさに悲劇となってしまった。1年時から大学日本代表候補合宿に参加するなど活躍していたサイド右腕は、3年春には全日本大学野球選手権で優勝し、最優秀投手賞を受賞。そのまま大学日本代表にも選ばれ、今日対戦して、来年からはチームメイトとなる海野ともバッテリーを組んだ。しかしケガの影響などもあり、今年は大学日本代表からも漏れる(選考合宿までは参加)など本来の姿とは言い難い投球が続いていて、ドラフトの指名順位も3位まで落ちてしまった。それでも大学最後となるこの大会に登板した津森は、サイドスローから繰り出すストレートはMax146㌔でこれが見事にバッターの膝の高さに決まっていて、スライダー・シンカーもさえていて、東海大打線でも打てる気配がないというほど素晴らしい投球であった。最終回の1死2塁(=1塁が空いている場面)でも、東海大の4番海野に勝負を挑んで打ち取るなど気迫も十分で、結果的に最後まで東海大打線にヒットも四死球を許すことはなかったものの、味方の3連続エラーで満塁とされると、最後は自らのエラー(記録上は)でサヨナラ負けというまさに悲劇の主人公となってしまった。
20191116東北福祉大 津森2
サヨナラ負けを喫してマウンドでしゃがみ込み津森

このエラーには東北福祉大からしてみれば慣れない神宮、それもナイターという環境要因もあったと思う。ただそれより影響として大きかったと思われるのが、その前の守備のシフト変更であった。東北福祉大は津森登板時にはキャッチャーは笹谷が務めることとなっていて、この試合でも7回から笹谷がマスクをかぶった。リーグ戦では岩崎の代わりにそのまま笹谷が入るケースが多かったが、この試合では岩崎が先制タイムリーを放つなど打撃好調だったこともあり、岩崎がファースト、ファーストだった大里は2ベース2本と当たっていたのでサードに回り、この試合打撃がさっぱりであった楠本がベンチに下げた。だが結果的に最終回のエラーのうち、2個は大里のエラーであり、また(送球がやや逸れて)ファースト岩崎の足がわずかにベースから離れてしまったものも2個あったために、この守備シフトの変更がもろに影響してしまった。

勝利した東海大だが投手陣が気がかりだ。結果的に山崎・原田・松山の3本柱は登板せずに、3回からリリーフした宮路が最後まで投げ切った。山崎は肘に不安を抱えているとのことで登板なしで納得だが、原田と松山もコンディションに問題を抱えているかもしれないが、ブルペンには入っていたので不可解であった。高杉や宮路もボールは素晴らしいが、今後のことを考えるとやはり経験不足感は否めず、上記の3人が投げれないとなるとこの先の勝ち上がりは不安である。

そんな状況なので今日のように投手陣のカバーが必須となる、東海大の打線で注目なのはやはり、2015年の夏の甲子園を制した東海大相模勢である。東海大の主将を務める長倉は、東海大相模では2年時から正捕手を務めた逸材であったが、東海大では同期に海野という大学No1捕手がいた。長倉の主戦場はDHor代打であったが、DHのない今大会ではファーストに挑戦し、見事にスタメンの座を射止めた。これで2015年の夏の甲子園決勝の東海大相模のスタメンと同じ1番千野・2番宮地・3番杉崎・6番長倉という構成がこの試合でも見られた。見事に初戦を突破し、東海大相模勢の高校に次ぐ大学での全国制覇への挑戦は続く。
20191116東海大 長倉
この試合では打力を生かしてファーストでスタメン出場を果たした長倉


Pickup Player
宮路悠良 東海大2年 投手
~投手陣崩壊を食い止める好投~
3本柱が投げれず、高杉・安里までも撃ち込まれた東海大投手陣を救ったのは、3番手で登板した宮路であった。

宮路は東海大高輪台時代から本格派右腕として注目されていて、1年秋には背番号8ながら控え投手として東京4強入り。2年秋からはエースとなり、1次予選から日大豊山、拓大一という強豪と対戦する不運なブロックに入るも、その両チームに勝利して本大会出場。3回戦では早大学院に敗れるも、その試合ではライトスタンドにホームランを放つなど打力も魅力であった。3年夏には主に抑えとして活躍し、帝京・東亜学園といった強豪を撃破し、東海大系列で唯一甲子園未出場のチームを、東東京決勝に導いた。決勝では市川(日大)、永井(広島)ら率いる二松学舎大付に完敗していまうも、147㌔右腕としての評判は高く、秋にはプロ志望届を提出するも、指名はなく東海大へ進学した。

東海大では最速を151㌔までに伸ばし、この秋にリーグ戦デビューしリリーフで3試合し、計2回2/3を投げた。警官からいえば、また少ないと言わざるを得ない右腕であるが、この神宮大会の初戦では、5-5で迎えた4回表に3番手としてマウンドに上がることとなった。マウンドにあがった宮路は、第4試合ということもありナイターで寒い中にも関わらず、いきなり148㌔をマーク。ただストレートの力はある一方、コントロールにバラツキがあり、いきなり2四死球でピンチを招くも、最後は楠本をストレートで三振に切って取る。5回以降は勝負どころ以外ではストレートの力をやや抑え、コントロールを安定させたことで、四死球は1個のみ。縦のスライダーやカーブといった変化球もうまく使いながら、東北福祉大打線を抑えていった。3回までで5失点であった東海大にとって、4~6回を宮路が無得点に凌いでくれたのは、試合を落ち着かせる意味でも非常に大きかった。

7回には冨木に同点2ランを浴びるなど3失点してしまうが、安藤監督のこの日の宮路に対する信頼は厚く、その後も続投。8回・9回も東北福祉大打線を無得点に抑え、最後の味方のサヨナラ勝ちにつなげた。その能力は高く、まだまだ粗さの残る右腕であるが、その中でも十分な働きをみせ、見事に公式戦初勝利をあげた。
20191116東海大 宮路
3回からマウンドにあがり、最後まで投げ切った宮路



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天理×仙台育英【明治神宮大会(高校の部)】

11/16 明治神宮大会(高校の部)2回戦
天理×仙台育英 @神宮球場

試合経過

天理と仙台育英という名門どうしの対決は、序盤は変化球を駆使した完成度の高いピッチングを展開する両先発の好投から始まった。まず仙台育英の先発は、東北大会の準決勝では盛岡大付から2失点13奪三振完投勝利をあげてチームにセンバツ当確ランプを灯し、この大会から背番号1を背負うことになった2年生左腕の向坂。ストレートは130㌔中盤だが、どちらかというと変化球が多めで、中でもコースをつけるスライダーが多く、得意のSFFもさえわたっていて、時よりカーブも投げていた。3回には田中輝・庭野から連続三振を奪うなどして3回まで天理打線を寄せ付けず無失点で切り抜ける。
20191116仙台育英 向坂
仙台育英の先発向坂

しかし4回表、1死からサードゴロを主将の田中が暴投してしまいランナーを出すと、4番山地は三振に仕留めるも、5番瀨は2球目の甘く入ったSFFを捉えると打球はレフトスタンドに飛び込む2ラン。瀨の近畿大会決勝の大阪桐蔭戦に次ぐホームランで天理が2点を先制する。
20191116天理 瀨2
先制2ランを放った瀨

天理の先発の庭野も、ストレートは130㌔前後ながら得意のフォークをはじめとして、スライダー・カーブ・チェンジアップと多彩な変化球を駆使して仙台育英打線を翻弄していく。四球は出すものの、うまく仙台育英打線を打ち取り、三振はなかったものの4回までノーヒットに抑えて、試合は天理ペースかと思われた。
20191116天理 庭野
4回まで仙台育英をノーヒットに抑えた庭野

しかし5回裏、仙台育英は夏の甲子園では145㌔をマークした左腕ながら、この試合では5番ファーストで出場していた笹倉がライト線にチーム初ヒットなる2ベースを放ち出塁。すると続く6番吉野は3球目のチェンジアップを捉え、同点2ランホームラン。沈黙していた仙台育英打線があっという間に試合を振り出しに戻した。
20191116仙台育英 吉野
同点2ランを放った吉野

するとグランド整備を挟んでから、試合はめまぐるしく動くこととなる。まず6回表、天理は2死から山地が四球で出塁すると、続く瀨の打球はサードゴロ。ただこれをサード田中がやや待って捕ってしまうと、目の前の2塁ランナーにタッチすればよかったものの、これを1塁へ送球してセーフ(記録は内野安打)。さらに河西の四球で満塁とした天理は、7番田中輝が左中間に走者一掃のタイムリー2ベースを放ち、3点を勝ち越す。
20191116天理 田中輝
6回に走者一掃のタイムリー2ベースを放った田中輝

ただ仙台育英は直後の6回裏に、先頭の渡邉がレフト前ヒットで出塁すると、3番宮本がレフト戦にうまく流し打って2ベースとして、1死2・3塁とチャンスを作る。ここで迎えた注目の主砲4番入江は打った瞬間に、それとわかる1発をレフトスタンドに叩き込む。仙台育英が入江の3ランでまたもや試合を振り出しに戻す。
20191116仙台育英 入江
6回に同点3ランを放つ入江

それでも7回表、天理は杉下・下林の連打でチャンスを作ると、仙台育英は向坂からサイド右腕の粕谷にスイッチ。ただ3番河村がセンター前にはじき返して満塁とすると、4番山地は三振に倒れるものの、この日は完全にラッキーボーイとなった5番瀨が右中間後方に走者一掃のタイムリー3ベース。瀨のこの試合5打点目で、天理が8-5と三度勝ち越す。
20191116天理 杉下
7回の勝ち越しは杉下のヒットから始まった

三度追いつきたい仙台育英は、庭野に対して合ってきてはいたものの、各打者の打球が正面をついてしまったこともあり、7・8回は無得点。9回には途中からマスクをかぶっていた小野寺がバックスクリーンに1発を放つも、反撃はそこまで…。天理が8-6でシーソーゲームを制した。

20191116天理×仙台育英
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


天理は奈良大会では準決勝でライバル智弁学園にコールド負けを喫し、さらに3位決定戦では進学校の奈良に2-1でサヨナラと何とか勝利と近畿大会出場は決めたものの、その内容は最悪に近かった。そんな事情と戦力的にみても優勝候補とは到底言えなかった近畿大会であったが、初戦で報徳学園に快勝すると、準々決勝では奈良大付に14-0で圧勝、そして準決勝では履正社に逆転サヨナラ勝ちをおさめると、決勝では大阪桐蔭を圧倒。近畿大会が終わってから、この明治神宮大会初戦まで時間が空いたために、その勢いが1度は止まってしまうと思われたが、元近鉄の中村良二監督も「近畿大会で魔法は解けたと思ったけど、まだ解けていなかった」と発言したように、その勢いを持続してこの試合でも勝利をおさめた。エース庭野は6失点したものの、打線が見事にかみ合って、10安打中7安打が得点に絡むという効率の良さ。4番山地がこの日は3三振とさっぱりであったが、その後の5番瀨がそれを補う5打点の活躍。この勢いがどこまで続くかという話よりも、中村監督は謙遜しているが、もうここまで来たら十分に実力と言えるのではないだろうか?

敗れた仙台育英だが、点をとられた3イニングに全て守備の絡んでいた。4回であればサード田中の悪送球のあとに2ラン、6回も田中がサードゴロを内野安打にしてしまって満塁となった後に走者一掃、7回の瀨の3ベースも絶好調の瀨に対してライトの守備位置には少し疑問が残る打球であった。

投手陣に関しては、夏の甲子園で活躍した笹倉、伊藤の左右の1年生2枚看板に登板がなかった。2人とも東北大会での成績が思わしくなかったこともあるだろうが、この起用にはあえて2人を使わずに2年生投手陣の奮起を促すという須江監督の意図もあったように思えた。実際に向坂をこの大会から背番号1にし(それまでは笹倉が背番号1であった)、2番手以降も粕谷→阿部→尾形と直前の登録変更でベンチ入りを果たした2年生投手を登板させた。笹倉はずっとファーストとして活躍し、伊藤に関しては今大会はベンチ外であった。他にも東北大会で登板した菅原・杉山といった実力者も控えていて、仙台育英の投手陣の層の厚さは羨ましい限りである。もちろんミスで敗れたのは好ましいことではないが、センバツ出場を確実にした後のこの大会は須江監督にとっては戦力の見極めの場に過ぎなかったのかもしれない。
20191116仙台育英 尾形
直前の登録変更でベンチ入りを果たし、4番手として2回を無失点に抑えた尾形


Pickup Player
瀬千皓 天理1年 外野手
~天理の勢いを象徴する打者が5打点の活躍~
先制の2ランに、決勝点となる3点タイムリー3ベースと5番に起用された瀨は素晴らしい活躍をみせた。

瀨は芯のしっかりとしたスイングでボールを飛ばすことができ、また積極的もある打撃が魅力で、近畿大会では背番号20でベンチ入りを果たすと、4試合中3試合でレフトでスタメン出場。近畿大会の決勝では7回に同世代ではその名をとどろかせていた大阪桐蔭の関戸からレフトスタンドにホームランを放つと、その珍しい苗字とトレードマークの眼鏡もあってその名を全国にとどろかせた。

この明治神宮大会では登録メンバーが20人→18人に減ることもあり、背番号17をつけて5番レフトでスタメンに名を連ねる。すると両チームとも無得点で迎えた4回表2死1塁で回ってきた第2打席では、2球目の甘く入ったSFFを捉えると先制の2ランホームランを放ち、試合の均衡を破る。第3打席では打球はサードゴロであったが、これをサードが待って捕ったこともあり、内野安打になり、田中輝の走者一掃のタイムリー2ベースでホームを踏んだ。このあたりから瀨にはツキもあり、完全にこの試合のラッキーボーイ的存在になっていた。5-5の同点、2死満塁で無明田7回の第4打席では右中間への走者一掃のタイムリー3ベース。若干ライトの守備位置にも問題があったが、打球自体は素晴らしいもので、右サイドの粕谷のスライダーをうまく右方向にもっていくお手本のようなバッティングであった。2ベースが出ればサイクル安打であったが、第5打席目はあと1人というところでまわって来ず…。それでも先制2ランに決勝打を含む4打数3安打5打点という大活躍で勝利の立役者となった。

まさに天理の勢いを象徴するような瀨の打撃。ただまだ背番号は17であり、今回の好調をキープして、春のセンバツでは背番号が1桁、さらにはまだ打順が流動的な天理打線だけに3・4番を打つような姿も見たいものだ。
20191116天理 瀨
先制2ランに決勝打を含む3安打5打点と大活躍であった瀨



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明徳義塾×星稜【明治神宮野球大会(高校の部)】

11/15 明治神宮野球大会(高校の部)1回戦
明徳義塾×星稜 @神宮球場

試合経過

明徳義塾と星稜といえば、松井の5連続敬遠が伝説となっているが、なんとこの両チームが公式戦で対戦するのは、それ以来27年ぶり。当時は星稜の2番ショートとして出場していた林監督が、当時から明徳義塾を率いている馬淵監督に挑む形となった。

星稜は3回裏、この回先頭の9番出村がライト前ヒットで出塁。続く花牟禮のバントはキャッチャー目の前となってしまうが、キャッチャー鈴木のセカンド送球は逸れてしまいオールセーフ。ここから街道・知田と打ちとって、2死1・3塁という場面で星稜の4番内山を迎える。1年夏から星稜の3番を打ち、2年夏には4番打者として甲子園準Vに貢献するなど、今世代を代表する強打者の内山とあって、敬遠も予想される場面であったが、明徳義塾は27年前とは違い勝負を選択。しかしこれを内山が見事にレフト前にはじき返して、星稜が先制する。
20191115星稜 内山2
先制タイムリーを放った内山

星稜の先発のエース萩原は序盤からエンジン全開で、持ち前のツーシーム、スライダー、SFFといった球種をコントロールよく投げて、2回まで打者6人、3奪三振で片づける完璧な立ち上がりをみせていたが、直後の4回表…先頭の2番合田にピッチャー強襲ヒットを浴びると、鈴木がライト前ヒットで続き、さらに4番元屋敷に死球を与えてしまい無死満塁のピンチを迎える。明徳義塾はここで5番新澤のタイムリーでまず同点とすると、6番今釘のライトへの犠牲フライで逆転。なおも2・3塁という場面から星稜に2つのバッテリーミスが出て、さらに2人が生還して4-1と試合をひっくり返す。
20191115明徳義塾 新澤
同点タイムリーを放った新澤

勢いに乗った明徳義塾は5回表にも、エース新地が自らのバットでライトオーバーの2ベースを放ちチャンスメイクをすると、1死1・3塁で迎えた3番鈴木は、初球の甘く入った変化球を捉えると打球はレフトスタンドに飛び込む3ランホームラン。鈴木が先制点に繋がったエラーの汚名返上を最高の形で成し遂げ、明徳義塾が7-1とリードを広げる。
20191115明徳義塾 鈴木2
5回に貴重な3ランを放った鈴木

このままではコールドも近づいてきて尻に火のついた星稜打線は5回裏、1死から街道のセンター前ヒット、知田のライト線への2ベースで1死2・3塁のチャンスを作る。4番内山の強烈な打球はちょうどベース付近にいたサードのグラブに収まる不運な結果となってしまうが、5番中田はライト線に2ベースを放ち、星稜が2点を返して3-7とする。
20191115星稜 中田
ライト線に2点タイムリー2ベースを放った中田

それでも明徳義塾は6回表にも、1死から米崎がヒットで出塁すると、この米崎を刺そうとしたキャッチャー内山の送球がバッターに当たってしまい、その間に米崎は2塁へ。8番寺崎のセカンドゴロで2死3塁とすると、9番新地のセカンド内野安打で明徳義塾が8点目をあげる。

反撃に出なければいけない星稜は、エース萩原に代打林(林監督の息子)を送るなどするも、6回・7回と無得点。8回にはこの試合スタメンに抜擢された背番号13の倉知がソロホームランを放ち、1点を返すも4-8と4点ビハインドのまま最終回を迎えることとなる。
20191115星稜 倉知
8回にソロホームランを放つ倉知

それでも徐々に新地にあってきていた星稜打線は9回裏、先頭の花牟禮がヒットで出塁すると、2番街道は左中間にタイムリー2ベースを放ちまず1点。さらにクリーンアップを迎えるというとことであったが、ここから知田は左中間へのセンターフライ、内山は強烈な打球もショートゴロ、中田の打球もセンターライナーといずれも捉えた当たりであったが、ここら辺はツキがなくゲームセット。明徳義塾のエース新地は、ストレートは130㌔には及ばなかったものの、スライダー・チェンジアップも混じえて抜群のコントロールを武器に安定した投球で5失点完投勝利。明徳義塾が8-5で勝利し、27年前のリベンジに挑む星稜を返り討ちにした。
20191115明徳義塾 新地
完投勝利をあげた明徳義塾のエース新地

20191203明徳義塾×星稜
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


明徳義塾、星稜といえば両チームともに付属の中学も軟式野球の超強豪として有名。実際に今の世代も2017年の全日本少年春季軟式野球大会準決勝で対戦している。この時は星稜のスタメンには、荻原・内山・知田が主力を担い、笠井・林・松本・高木・出村(2年)などこのときのメンバー8人がこの神宮大会ではベンチ入りを果たしている。一方の明徳義塾は奥野が1番セカンドとして出場していたのみで、神宮大会でのベンチ入りは3人のみ。特にこの時の2年生ながらチームの中核をなしていた関戸(→大阪桐蔭)、田村(→愛工大名電)の2人が他の高校に進学するなど、そのまま明徳義塾高校に進学しないメンバーも多かった。
20191115明徳義塾 奥野
明徳義塾中出身者で唯一スタメンに名を連ねた奥野

実際の今年の明徳義塾のメンバーには、いわゆるドラフト候補というような選手はおらず、どちらかというと小粒な印象だ。それでも、高知大会では準決勝で高知中央に敗れて3位だったもののの、そこから試合巧者ぶりを発揮して、四国大会ではその高知中央にコールド勝ちでリベンジを果たし、四国を制覇したあたりはさすがであった。対する星稜はその星稜中の主力を中心に、昨年の夏の甲子園準Vを経験して、この秋も圧倒的な力で北信越大会を制した。馬淵監督が星稜との対戦前に「弱いので胸を借りる。勝つ可能性は低い」と言っていたのも、決して謙遜でないと思っていた。ところが試合が始まってみれば、前評判を完全に覆すこの結果…小粒と思われていた明徳義塾は、強打で星稜のエース萩原を攻略して、8-5と快勝。「このたぬきじじぃめ…」と馬淵監督に言いたくなってしまうほどの、見事な戦いぶりであった。
20191115明徳義塾 馬淵監督
前評判を見事なまでに覆しチームを勝利に導いた馬淵監督

星稜にしてみればやはり誤算だったのがエース荻原の8失点だ。夏の甲子園でも2試合に先発して計13回1失点と好投して、エース奥川を休ませる見事な働きで準優勝に貢献する右腕は、安定感は抜群だと思われていた。3回まではその評判通りの見事な投球であったが、指にできたマメの影響もあり4~6回は明徳打線に完全につかまってしまった。荻原と2枚看板ともいわれる寺西を最後まで出さなかったのは、林監督の戦略なのか、はたまた本人にコンディションの問題なのかは疑問であったが、結果的に荻原が8失点してしまったことがこの試合のすべてであった。
20191115星稜 荻原
星稜にしてみればエース荻原の8失点が誤算であった

星稜の注目はなんといってもキャッチャー内山であった。内山は前述の星稜中では15アジア選手権日本代表に選ばれたほどのキャッチャーであったが、星稜高では1個上に山瀬(巨人)がいたこともあり、1年春からショートを務めていた。このままいけばショートとしてのプロ入りも十分に狙える逸材であり、新世代となったこの秋の起用法が注目されたが、林監督は内山をキャッチャーに戻した。内山はフットワークもあり、肩力も申し分なく、その実力はキャッチャーでもトップクラスで2回から盗塁を刺すなど活躍をしていた。ただ4点を奪われた4回には、2・3塁から荻原の低めの変化球を2個ほど止められずに2点を献上。6回には1塁ランナーを刺そうとした送球を打者に当ててしまい、2塁への進塁を許してしまった。能力的には高いだけに、冬場に中学時代からの荻原とのバッテリーで成長して、春には先輩たちが成し遂げられなかった甲子園制覇に挑んでほしい。
20191115星稜 内山1
この秋からは正捕手も務める内山


Pickup Player
鈴木大照 明徳義塾2年 捕手
~試合の行方を決定づける3ラン~
4回に明徳義塾の鈴木が放った3ランは、試合の行方を決める上でも非常に大きいものだった。

鈴木は中学時代は河南シニアで捕手として活躍していたが、明徳義塾では1年秋からその打力を生かしてファーストや外野として活躍。1年秋の四国大会では6番ライトでレギュラーを掴むと、2年春の四国大会では5番捕手を務め、4本の3ベースを放つ活躍をみせ優勝に貢献。2年夏は背番号3ながら3番レフトとして出場し、高知大会では打率.500をマークし、甲子園出場に貢献。甲子園でも2回戦の智弁和歌山戦では先制タイムリーを放つ活躍をみせていた。新チームではやはり正捕手となり、主将も務めた鈴木は、3番打者として四国大会では.583と結果を残し、この神宮大会出場の立役者となった。

この試合では1打席目には荻原の前に三振を喫してしまった鈴木であったが、4回無死1塁でむかえた第2打席ではセカンドの頭上をライナーで抜くライト前ヒット。右方向にも打てるのは鈴木の1つの武器であり、これで無死1・2塁とした明徳義塾は4点を奪って逆転する。そして1番の見せ場は、5回1死1・3塁で迎えた第3打席、初球の荻原の甘く入ったスライダーを見逃さずにとらえると打球はレフトスタンドに飛び込む3ランホームラン。これでスコアを7-1とし、事実上の試合を決めた1発といっても過言でなかった。鈴木は171㎝と決して大柄ではないが、スタンス広めにどっしりと構えてから適格にボールにミートするこのできるために、長打も量産することのできる強打者であった。

捕手としては3回にバント処理の送球が逸れてしまうというミスもあったものの、全体としてはエース新地を粘り強くリードしてチームを勝利に導いた。肩力もあり、また走力もある選手なので、2年時もそうであったように将来的にはキャッチャーだけでなく外野などの起用も大いにあり得そうな選手であった。
20191115明徳義塾 鈴木1
3番捕手主将とまさにチームの中核を担う鈴木


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神宮枠はどこに?

明日から明治神宮大会が開幕する。高校の部ではどこのチームが優勝するかはもちろんのこと、優勝チームが神宮枠としてセンバツ出場確定するために、実質上その地区のセンバツ出場枠が+1される。それにより本来は落選と思われたチームが繰り上がりでセンバツ出場することができる。よってどこが優勝するか=どこが+1でセンバツ出場するかという見方もできる。

今回の明治神宮大会の出場チームと、そのチームの優勝によりセンバツに繰り上がりで出場すると思われるチームは以下の通り。
2019神宮枠 候補チーム


さてではどこが優勝するかという話に移りたいと思う。
まず明治神宮大会の組み合わせは以下の通り。
2019明治神宮大会組み合わせ(高校の部)

個人的に明治神宮大会で優勝するには、総合力の高さに加えて、しっかりと計算できる投手がいることが大きいと思っている。開幕から決勝までが6日間で、その間に多いと4試合をこなさなければいけないという日程。11月という寒さのある中、また上述の通り優勝しても当該チームにはメリットのない大会なので、どのチームもエースを連投させるということは少ない(おそらく明徳義塾を除いて…)。そうなってくるとエース以外の投手がどれだけ、試合を作れるかが大きなポイントとなってくる。

もともと自力があり、それに加えて複数の投手を擁しているとなると優勝候補は星稜、中京大中京、天理、仙台育英の4チームとなる。星稜でいえば夏の甲子園でも2試合に先発して好投をみせて準優勝に貢献した荻原に加えて、186㎝の長身から144㌔のストレートを投げ込む右腕の寺西が北信越大会では活躍。中京大中京はプロ注目の148㌔右腕エース高橋に加えて、147㌔左腕の松島がおり、高橋監督も2枚看板と豪語している。天理はエース庭野に加えて、近畿大会決勝では192㎝の1年生右腕の達というニューヒーローが現れ見事に大阪桐蔭を抑えた。仙台育英は夏の甲子園を経験した笹倉と伊藤の1年生コンビに加えて、2年生左腕の向坂も台頭したうえに、もともと複数を継投でつなぐスタイルなので何の問題もない。

ただ上記の組み合わせをみてもわかるとおり、この4チームはすべて同じブロックで決勝までに互いに潰しあう。そうなると反対側の山のチームにもチャンスがあり、その筆頭が明豊である。センバツでも活躍したエース若林はこの秋は不調であったが、それでも九州大会を制した強力打線は心強く、また2回戦から登場というのも有利だ。

ただ個人的な最終予想としては、最初の4チームの中で、高橋・松島の両投手に加えて、キャッチャー印出・ショート中山・センター西村とプロも注目する選手がセンターラインに揃い、また2回戦からの登場という面もあり、中京大中京を優勝予想としたい。
20191027中京大中京 高橋2
優勝候補とされる中京大中京のエース高橋


明日からは神宮球場で生観戦の予定で、今年最後の野球の祭典を楽しみたいと思います。


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駒澤大×拓殖大【東都1部2部入替戦】

11/10 東都大学野球連盟1部2部入替戦
駒澤大×拓殖大 @神宮球場

試合経過

東都の1部2部入替戦の2日目。前日に行われた初戦では、1部6位の駒澤大が、2部優勝の拓殖大に3-1で勝利し、駒澤大が1部残に王手をかけている。拓殖大はリーグ戦では専修大から完封勝利をあげるなど先発2番手を務めていた川船が順当に先発したのに対し、駒澤大はリーグ戦ではリリーフとして活躍していて、これが東都1部初先発となる上野をマウンドに送った。

だが勝てばこれが大学野球で最後のマウンドとなる上野は気合十分で、初回は1死から田崎を四球で出塁させてピンチを招くも、2死2塁という場面で4番北川を見逃しの三振。カットボールなどの動く球が中心のピッチングをしていたが、ここ1番というところでアウトコースのギリギリに渾身のストレートを投げ込んだ形であった。すると2~4回も拓大打線を3人ずつで片づけるなど、東都1部初先発とは思えない素晴らしいピッチングをみせる。

拓大の先発の2年生右腕川船は、Max146㌔のストレートに加えて、130㌔を超えるフォークを有効に使っていて、その他スライダーやカーブという変化球も一通り使えていた。四球は出すものの3回までは駒大打線を無得点に抑える素晴らしい立ち上がりをみせていた。
20191110拓殖大 川船
素晴らしい立ち上がりをみせた拓大の先発の川船

しかし4回裏、駒大は先頭の4番平野がチーム初ヒットとなる左中間への2ベースを放って出塁。続く5番菅のバントで、川船は足を滑らせてしまい、無死1・3塁となると、続く新田のセカンドゴロ併殺崩れの間に駒大が先制。さらに5回裏にも1番緒方が粘った末に四球で出塁すると、2番林がヒットで続いて1・2塁のチャンスを作る。すると4番平野は今度は川船の変化球をうまく三遊間に運んで、緒方が生還し2点目。1部では最下位ながらベストナイン(三塁)に選ばれた平野の活躍で駒大が2-0とリードを広げる。
20191110駒澤大 平野
2得点に絡む活躍をみせた駒大の4番平野

ただ川船がヒットを浴びたのはこの2イニングだけで、6回には駒大打線を3人で打ち取ると、7回も与倉・谷本と2人を打ち取って2死とする。しかしここで1番緒方にこの試合3個目の四球を与えたところで、内田監督はマウンドにエース多田を送る。2部で最優秀投手賞を獲得して、前日にも試合でも完投をした多田は林をサードフライに打ち取ってこの回を凌ぐと、続く8回も平野・菅から三振を奪い、チームの逆転を信じて好投をみせる。
20191110拓殖大 多田
前日の完投に続いてリリーフとしてマウンドにあがって好投を見せた多田

ただ拓大打線は上野の前に完全沈黙。ヒットは5回に渡邊晶が放ったレフト前ヒット1本のみであり、6回以降に出したランナーは死球の北川のみ。上野が気迫の投球で1安打完封勝利をおさめ、駒大が1部残留を決めた。
20191110駒澤大 上野2
完封勝利をあげてガッツポーズの上野

20191110駒澤大×拓殖大
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


まずこの試合はなんといっても上野に尽きる。高校時代はU18日本代表で小笠原・佐藤世とともに3本柱を形成していた逸材は、入学直後から大いに期待されたがケガなどもあって、なかなか結果を残せずに初勝利はこの4年秋であった。誰もが予想にしなかった中での先発であるが、東都1部初先発での1安打完封勝利という快挙。最後にして最高の仕事で駒大を1部残留に導いた。素晴らしい投球であった反面、上野がこの投球を早い時期から見せていれば、駒大がそもそも入替戦に臨むこともなかったであろうと思った。

上野に加えて、打線では4番平野が2得点に絡む活躍をみせ4年生の活躍が光った駒大。しかし野手でいえばスタメンの7/9は下級生であり、投手陣も秋のリーグ戦では1年生の福山と、3年生の竹本が先発を務めていた。来年の戦力はそろっているために、この試合で見た4年生の雄姿を受け継いで、来年は優勝争いをするチームとなってほしい。

一方の拓殖大であるが、リーグ戦では青山学院大が優勝に王手をかけた状態であったが、そこから粘り強く戦い日本大から勝ち点をあげての逆転優勝。ただこの試合では川船→多田と投手陣は見事な投球をみせたものの、打線がその粘り強さを発揮できずに上野の前に完封負けとなってしまった。拓殖大を強豪校に育てあげた内田監督が今季で退任し、後任には馬淵コーチ(明徳義塾の馬淵監督の息子)が就任するということで、来年には新制拓殖大として是非まだ1部昇格にチャレンジしてほしい。


Pickup Player
上野翔太郎 駒澤大4年 投手
~最初で最後の先発で大仕事~
駒大の1部残留の立役者は、なんといっても1安打完封勝利をあげた先発の上野である。

上野が一躍脚光を浴びたのは中京大中京の3年夏であった。中京大中京では1年夏からベンチ入りはしていたものの甲子園出場はなかったが、2年秋からエースとなると、3年夏には豊橋中央から15奪三振2失点完投勝利、東邦からも3失点完投勝利をあげて決勝に進出。愛工大名電との決勝では2年生左腕の長谷部(慶応大)が先発をするも、初回に西脇(龍谷大4年)に3ランを浴びると、2回途中からすかさず上野が登板。上野は最後まで無失点で投げ切り、チームの逆転を呼び込んで甲子園出場を果たした。

甲子園では初戦で岐阜城北を完封すると、2回戦では鹿児島実業から2失点完投勝利。続く関東一戦では中学時代にバッテリーを組んでいた鈴木(現在の駒大の主将)との対決も話題となり、素晴らしい投球をみせたが、9回裏にサヨナラ弾を浴びて0-1で試合に敗れた。ただ甲子園での活躍が評価されると、U18日本代表にも選出。U18日本代表では上野の回転のいいストレートは逆に海外の打者に効果抜群。小笠原(中日)、佐藤世(オリックス→横浜金港クラブ)とともに3本柱を形成し、3試合に登板して計18イニングを投げて無失点であった。

鳴り物入りで駒澤大に進学すると、1年春から東都2部のマウンドに立つものの、成績は残せず、また肩を痛めて1年間以上公式戦のマウントから遠ざかるなど期待の大きさとは裏腹に結果を残せない時期が続いた。3年秋にはやっと東都1部デビューを果たも、3年秋・4年春とともに3試合のみの登板。しかし大学生活ラストシーズンとなったこの秋は、開幕週の国学院大戦で4回無失点の好リリーフをみせて初勝利をマーク。結局この秋には13試合中11試合に登板を果たすなど、リリーフとして大倉監督の信頼をつかみ取った。しかしそれもすべてリリーフでの登板であり、この試合は上野にとって、東都1部では初めての先発のマウンドとなった。

高校時代は回転のいいストレートで攻める投球が持ち味の上野であったが、大学ではカットボールを覚えたことが復調のきっかけとなったように、ツーシームなど動くボールを中心にした投球。ただ純粋なストレートの割合は低かったものの、初回の2死2塁のピンチでは4番北川をアウトコースいっぱいのストレートで見逃しの三振にとるなど、勝負どころではストレートも健在と思わせるシーンもあった。他にもスライダーやフォークなども交えて、拓大打線を翻弄していき、2~4回はパーフェクトピッチング。5回には2死から渡邊晶に初ヒットを浴びてしまうも、その後も勢いは衰えることない。試合の終盤でも出したランナーは死球の北川のみという快投で、結局1安打8奪三振完封という最高のピッチングをみせてチームを1部残留に導いた。

大学ではずっと思うような成績を残せずに苦しんだ右腕が、最初で最後の先発の舞台で1安打完封勝利。卒業後は社会人野球に進むことも決まっていて、復活を果たした上野翔太郎の次のステージでの活躍にも期待したい。

20191110駒澤大 上野1
東都1部初先発で1安打完封勝利をあげた上野


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帝京×国士館【秋季東京大会】

11/10 秋季東京大会決勝
帝京×国士館 @神宮球場

試合経過

20191110帝京×国士館
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


勝てば事実上のセンバツ出場が確定する秋季東京大会の決勝は、関東一・日大三などを破り激戦ブロックを勝ち上がってきた帝京と、2連覇を狙う国士館の戦いとなった。国士館の中西、帝京の田代はともに前日の準決勝に続いての先発マウンド。ただ前日は中西が完封したのに対して、田代は4回途中で降板と、その投球数と投球内容は対照的であった。

ただ帝京の田代は前日と違ってコントロールが安定していて、特に左バッターのアウトコースへのスライダーがきっちりと決まっていた。ストレートは130㌔前半であり、188㎝90㎏という体格もあるので、まるで軽く投げているようにも見える。それでもタイミングを外して国士舘打線を打ち取っていく姿はまるで下柳を見ているようであった。
20191110帝京 田代
帝京の先発田代

しかし3回裏、国士舘は9番中泉の高く跳ねたピッチャーゴロを太陽が被ったか田代が見失って内野安打となると、2番伊藤の四球で2死1・2塁のチャンスを作る。すると3番清水が初球のスライダーを捉え、左中間への2点タイムリー2ベース。帝京は早くもここで田代から、リリーフエース柳沼へ投手をスイッチする。しかし国士館は柳沼から四球とエラーで満塁とすると、6番吉田はしぶとくセカンドの横を抜き2者が生還して、国士館がこの回4点を先制する。
20191110国士舘 清水


柳沼は前日に5回を投げた影響やこの試合でも序盤からブルペンで投げていてこともあり、疲れがあったのか、準々決勝・準決勝と素晴らしい投球をみせていた柳沼とは少し違った。国士館は4回裏には先頭の中西にヒットで出塁すると、中泉が送って、1番林は左中間にタイムリーを放ち5点目をあげる。
20191110国士舘 林
5点目となるタイムリーを放った林


国士館のエース中西もやはり疲れがあったのかストレートのスピードは前日より明らかに遅い。それでもサイド気味のスリークウォーターからスライダーやシンカーも繰り出して、帝京打線を淡々と打ち取っていく。前日の城東戦の圧倒的な内容とはほど遠いが、それでも5回まで2安打無失点と前日と同じレベルの素晴らしい成績であった。

国士館は6回裏、またもや先頭の中西が自らのバットでヒットを放ち出塁すると、中泉が送るという4回と同じ展開。1番林の内野安打で1死1・3塁とすると、2番伊藤はセーフティスクイズ。これはホーム近辺のキャッチャーがそのまま捕球するバントとなってしまい、3塁ランナーの中西はホームへの突入はできなかったが、1塁へ送球された瞬間に中西がスタート。ファースト武者からの送球がワンバンになってしまったこともあり、ホームのベースカバー柳沼はキャッチできずに、中西の積極的な走塁で国士館が6点目をあげる。
20191110国士舘 伊藤
6点目のきっかけとなるバントをする伊藤

後半も中西の前に沈黙してしまった帝京打線は、ランナーを出すのは死球のみ。夏から鍛え上げられた打線で、この秋は関東一に打ち勝って、この決勝の舞台までコマを進めたものの、中西の前には完全沈黙で見せ場すらなかった。後半戦は中西の前になんとノーヒットに終わってしまい、まさかの2安打完封負け。6-0と勝利した国士館が秋の東京大会を制し、明治神宮大会出場を決めた。
20191110国士舘優勝
優勝を決めた国士舘ナイン


見事2連覇を達成した国士館であるが、実は前評判はそれほど高くはなく、個人的にもこの試合は帝京が有利とみていた。この秋の東京大会は日大三・東海大菅生・関東一・帝京と優勝候補四天王が同じブロックでベスト4までに潰しあうという組み合わせ。帝京は前チームからの経験者が多く残り黄金世代と言われていて、関東一→日大三→創価とそうそうたる強豪との激闘を制しての決勝進出。一方反対のブロックに入った国士館は組み合わせ的には恵まれていて、最大のライバルといわれた二松学舎大付が初戦で敗れると、国士舘の決勝進出を大きく妨げるような対戦相手はいなかった。国士舘はセンバツに出場したときの主力である黒澤や鎌田と野手は残っているものの、4投手全員が3年生であった投手陣に関しては未知数。そんな中で中西がエースとして降臨したが、ストレートは130㌔ほどの投手であるために、勝ちはしたものの明大中野八王子は6失点完投、修徳戦は4失点完投という内容であった。そんな中西が準決勝・決勝と連続完封、特に帝京相手の完封劇は永田監督も驚きの結果だった。やはり秋は選手の成長も含めて、何があるかわからないと思わせる試合であった。

ただ具体的に試合の勝敗を分けたと思われるのは、連投となった両投手のピッチングであろう。秋季大会は連戦は少なく、両チームともに投手が連投するのは初めてのこと。前日の疲れが残っているのは当たり前だが、その中でスピードを落としながらも今日も自分のピッチングができたのが中西。一方帝京のリリーフエース柳沼はそれができなかったために、追加点を許してしまい、差がついたことで帝京打線にも焦りが生まれて、さらに中西の術中にはまるという展開を呼んでしまったように思える。
20191110帝京 柳沼
前日に続く快投とはならなかった柳沼


国士舘は昨年も決勝では、実力的には圧倒的有利と思われていた東海大菅生を破っての優勝。ただ神宮大会では札幌大谷にコールド負け、センバツでも初戦で明石商に敗れた。まずは1週間後の神宮大会、相手はくしくも同じ北海道代表の白樺学園(今日の試合を観戦しに来ていた)だけに、昨年の借りを返して、センバツに向けていいスタートを切りたいところだ。

敗れた帝京にしてみれば、これは痛すぎる敗戦であった。2011年以来甲子園から遠ざかっている帝京にとっては、1年夏から8人がベンチ入りを果たしたメンバーが最終学年となり今年は勝負の年。前評判は上と言われながらも、試合をしてみれば6点差、さらには2安打完封負けという結果。関東の最後のセンバツ枠は、帝京と関東5チーム目(おそらく花咲徳栄)との比較になるが、1番の判断材料となる決勝戦のスコアがこれだと、センバツ出場はかなり厳しい。百戦錬磨の前田監督が試合後に今後について聞かれたときの「チームの中でピークは来ていたのに、こういう敗戦。今現在では、どうすべきか思い当たらない」と答えたことが、その厳しさを物語ってる。


Pickup Player
中西健登 国士舘2年 投手
~2連続の完封劇でチームを優勝に~
国士舘の優勝は、このエース中西のおかげといっても過言でないほどの2日連続での完封劇であった。

中西は投手を始めたのは国士館入学後であったが、1年夏に腕の位置をさげて、サイド気味のフォームとなると、1年秋よりベンチ入り。ただ2年春のセンバツではケガもあり登板なく終えると、2年夏には背番号17でベンチ入りを果たすも、投手陣は実質上白須・山崎・山田・石橋の3年生4人で回っていて、登板機会はなかった。ただ2年秋の新チームではエースとなると、初戦では世田谷学園を完封、3回戦の明大中野八王子戦では6失点完投勝利、準々決勝の共栄学園戦では4失点完投と、2回戦の富士森戦以外はすべて1人で投げ切っていた。そして圧巻だったのが準決勝の城東戦で、無四球2安打完封でこの日の決勝にコマを進めていた。

連戦となったこの日の決勝戦でも先発のマウンドに上がった中西。やはり疲れはあるのだろうかストレートは130㌔に満たないものがほとんど。それでも186㎝の長い腕をうまく使って、サイド気味のスリークウォーターから放たれる球にはノビがあり、コントロールもよい。120㌔前後のスライダーはストレートの球速差が少なく、またこの日はシンカーを多く使っていて、これが帝京打線にとっては予想外であっただろう。初回にいきなり1番武者にヒットを打たれてピンチを招くも、3番の強打者加田を三振に仕留めると、続く4番新垣もセンターフライに打ち取った。結果的にはこれがこの試合で1番のピンチであり、そのあとは2・3回を3人ずつで片づけるなど淡々と帝京打線を打ち取っていく。4回に加田に2本目のヒットを打たれるも、試合の後半戦は死球こそ3個と多かったものの、ヒットを浴びることはなく、結果3塁を踏ませることなく2安打完封。永田監督も驚きの完封劇で、優勝投手となった。

まだ中西は打撃面でも活躍。4回・6回と追加点をあげた攻撃はいずれも中西のヒットから始まった攻撃。特に6回の場面では3塁まで進むと、バントを処理した捕手が1塁へ送球した間にホームに突入するなど投手とは思えないアグレッシブな走塁も見せて、チームを牽引した。

中西に関してはいい投手ではあったが、これまでの勝ち上がりではいわゆる強力打線といえるチームとの対戦はなく、またスピード自体がある投手でないので、どこまで通用するのかは不安もあった。ただふたを開けてみれば帝京の強力打線を2安打完封。この調子で神宮大会、さらにはセンバツでの活躍に期待したい。

20191110国士舘 中西
見事2安打完封でチームを優勝に導いた中西


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