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東邦×豊川【秋季愛知大会】

9/20 秋季愛知大会2回戦
東邦×豊川 @豊橋市民球場


試合経過

雨降りしきる中始まった強豪どうしの対戦は、両チームのエースが素晴らしい立ち上がりを見せる。

まず豊川の1年生エース白須は、しなやかな腕の振りから繰り出すストレートはMAX135㌔をマークし、さらにノビもあるので序盤は東邦打線が高めのストレートに手を出してしまう場面も目立った。スライダー・カーブ・チェンジアップといった変化球も操って、緩急もつけることのできる好右腕である。またバックも白須を盛り立て、特に目立ったのはショート小林。雨が降っていたにもかかわらず、土のギリギリという深い守備位置をとり、そこから左右のゴロに対してもうまい体勢で入り、正確に送球することができていた。白須は1巡目の東邦打線をパーフェクトに抑えるのだが、9個のアウトのうち4個がショートゴロであった。
20200920豊川 小林
深い守備位置を守れる豊川のショート小林

ただ東邦打線もこのまま大人しくしているはずもなく、2巡目になると白須を捉え出す。4回表、この回の先頭1番三浦は高めのボール球ともみえるストレートを捉えると打球はレフトフェンス直撃の2ベースとなり、チーム初出塁。さらに2番岡田はバスターで三遊間を破り無死1・3塁としたところで、3番金森が1・2塁間を破る先制タイムリー。なおも無死1・3番という場面であったが、ここは白須が踏ん張り、東邦のこの回の得点は1点のみとなる。
20200920東邦 金森
東邦の先制タイムリーを放った金森

東邦の先発は注目の左腕知崎。知崎はクロスファイヤー気味に角度のあるストレートに加えて、最大の武器であるチェンジアップを使った安定した投球を展開。2回には5番河合にレフト前ヒットを浴びるものの、5回まで打たれたヒットはこの1本のみという好投で無失点。試合は東邦が1ー0とリードして後半戦を迎える。

6回表、東邦は簡単に2死となってしまうも、ここで4番鈴木が低めのボールをうまくライト前に運び出塁。さらに5番梁瀬、6番知崎が連続で四球を選んで、2死から満塁のチャンスを作る。ここで迎えた7番の1年生捕手の落合の打球は、フラフラと上がってショートとレフトの間に落ちて2点タイムリーとなる。今大会ラッキーボーイ的な存在になりつつある落合のタイムリーで東邦が3ー0とリードを広げる。
20200920東邦 落合
満塁の場面で2点タイムリーを放つ東邦の落合

東邦は8回にも先頭の金森が死球で出塁して、この試合2個目の盗塁を決めると、5番柳瀬のレフト前ヒットで1死1・3塁。6番知崎は自らのバットで二遊間を破るタイムリーを放ち4点目。さらに盗塁を決めて2・3塁としてから、落合がライト前にポトリと落ちるヒットを放つものの、落ちてから遅れてスタートを切った3塁ランナーの柳瀬はまさかのホームタッチアウト。4回に続いて、大量点のチャンスを逃してしまう。
20200920東邦 知崎1
自らのバットで追加点をあげる東邦のエース知崎

ただそれでも4点という点数は今日の知崎には十分すぎた。知崎は試合の後半、ストレートこそやや抑え気味になったものの、相変わらず安定感抜群の投球を展開。結局9回を投げ切り、打たれたヒットはわずか2本、9個もの三振を奪って完封勝利。東邦が4ー0で豊川を破った。

20200920東邦×豊川
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


エース知崎の素晴らしい投球が目立った東邦であるが、それを支えた2人の1年生の活躍も心強かった。まず知崎をリードした落合は、チェンジアップを有効に使い、終始豊川打線を手玉にとるリードで完封をアシスト。中学時代にボーイズ日本代表にも名を連ねた逸材は、打っても6回には貴重な2点タイムリーを放つなど、3安打1打点の前の試合に続いて打撃でも活躍。前の試合に続いてそれほどいい当たりでなくてもヒットになっているあたりは、東邦のラッキーボーイ的存在になっている。ショートを守る三浦はとくかくスピード感のある守備が魅力。守備範囲もさることながら、その送球はなぜその低さでワンバンにならないというノビとスピードを兼ねそろた送球で肩の強さはピカイチ。個人的には是非マウンドにも立たせてみたいと感じた。打っても2回にはチーム初ヒットとなるレフトフェンス直撃の2ベースを放ち、先制点の起点となるなどリードオフマンとしての役割を果たした。
20200920東邦 三浦
スピード感あふれるショート守備が魅力の東邦の1年生三浦

敗れてしまった豊川であるが、上述の通りエース白須はフォームもきれいだし、球にノビもある。まだ1年生ということで線は細いが、冬場のトレーニングなどで力がついてくれば、愛知を代表する右腕になることだろう。それより課題であったのは、やはり打線の方でこの試合では知崎の前に、なすすべ無しという状態であった。今年の愛知私学4強は、中京大中京が151㌔右腕の畔柳、愛工大名電が1年時から経験のある田村・寺嶋・野嵜、東邦が本日完封の知崎、享栄も竹山・菊田・肥田と145㌔超えが3人とそれぞれ好投手が揃っており、豊川がこの4強を超えて上位に進出するためには、これらの投手を打ち崩す打力が必要となってくることだろう。
20200920豊川 白須
今後の成長にも期待したい豊川の1年生エース白須


Pickup Player
知崎滉平 東邦 投手
~2安打完封で愛知を代表する左腕に~
豊川打線相手に2安打完封と、この試合は本当に知崎素晴らしい投球をみせた。

知崎は地元のドラゴンズJr出身で名古屋ドジャースを経て東邦に入学すると、1年秋よりベンチ入りを果たし、主にリリーフとして登板。Max139㌔を誇る左腕はこの秋から東邦のエースとなると、1回戦では中部大一から6安打1失点完投勝利。この豊川戦でも、当然のことながら先発のマウンドに上がった。

この試合の知崎のストレートはMax137㌔であり、このボールが右バッターから見るとクロスファイア気味にインコースに決まっていた。最大の武器であるのがチェンジアップであり、握りがやや挟み気味であることもあり、大きく沈むいわゆるサークルチェンジアップというようなボールであり、カウントをとりながらも、三振を奪う決めた球としても有効であった。変化球でいうとこの他にスライダー・カーブも投げており、全体としてコントロールも非常に良かった。知崎は初回を3者凡退で終える好スタートを切ると、2回には河合に初ヒットを浴びるものの後続を抑えると、3回~7回は四球を2個出したものの、それ以外はパーフェクトに抑える好投。中盤以降は雨の影響もあってかストレートはやや抑え気味であったが、コントロールなどは相変わらず整っていて、豊川打線に付け入る隙を与えずに、わずか107球で2安打9奪三振完封勝利。打っても6番打者として、8回にはダメ押しとなるタイムリーを放つ活躍であった。

これで中部大一から1失点完封勝利に続いて、豊川を完封と、強豪相手に2試合連続で見事な投球をみせた知崎。今年の愛知の左腕としては田村(愛工大名電)が有名であるが、前日に2回で降板した姿を見ていたこともあり、現状では知崎の方がレベルが高いといえ、愛知No1左腕とも言っても過言でない。体格的にもスピードもまだまだ伸びる余地がありそうであり、そうばれば来年には十分にドラフト候補と呼ばれる投手となってくることだろう。

20200920東邦 知崎2
見事2安打完封勝利をあげた東邦のエース左腕知崎


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ジェイプロジェクト×日本製鉄東海REX【都市対抗東海予選】

9/18 都市対抗東海予選 第1代表2回戦
ジェイプロジェクト×日本製鉄東海REX @岡崎市民球場

試合経過

東海REXは1回裏、1死から2番倉内・3番加藤樹の連打、さらには4番加藤辰は四球を選んで満塁のチャンスを作る。ここでジェイプロジェクトのエース白崎は5番金子はセカンドフライに打ち取るものの、6番瀬崎にはフルカウントからのストレートが外れてしまい、押し出しの四球となり東海REXが先制する。

東海REXは2回にも、9番ルーキー捕手の阿保が左中間へ2ベースを放ちチャンスメイクすると、2死2塁から2番倉内がレフト前にタイムリーを放ち2点目。ここで東海REXはともに左打者の3・4番(加藤コンビ)を迎えることもあって、ジェイプロジェクトは早くも白崎→左腕の酒井にスイッチするも。さらに3番加藤樹のレフトへのライナーに対し、レフト今津が目測を誤って前進したものの頭を越されてしまい2点目(記録はタイムリー3ベース)。さらにワイルドピッチで加藤樹が生還し、東海REXが2回で4-0とリードを広げる。
20200918東海REX 加藤樹
タイムリー3ベースを放った東海REXの3番加藤樹

ジェイプロジェクトの反撃は3回表、まずは守備でのミスを取り返すべく2番今津がヒットで出塁すると、3番片岡も続き、4番田中の四球で1死満塁とチャンスを作る。5番伊藤大の強烈な打球はショートを強襲するヒットとなりまず1点をあげると、さらに6番松田のレフト前ヒットで2者が生還して1点差。東海REXはここで先発の浦本→近藤にスイッチし、後続を断った。
20200918ジェイプロジェクト 松田
1点差に迫る2点タイムリーを放つジェイプロジェクトの松田

ここから試合は両チームのリリーフ陣の好投により膠着状態を迎える。東海REXの近藤が4・5回と3人ずつで片づければ、3回から登板したジェイプロジェクトの古屋も3・4・5回と東海REXの攻撃を無失点に抑える。グランド整備明けの6回表に、近藤は突如乱れて連続四球を出して降板するも、この無死1・2塁のピンチで登板した山口は続く橋本にバントもさせずに連続三振を奪い、ピンチを脱する。対する古屋も6回裏に1死1・2塁のピンチを迎えたところで、サイド左腕の木村にスイッチすると、この木村が見事に役割を果たし、倉内・加藤樹と左バッターを打ち取りピンチを脱した。

試合が動いたのは7回表、ジェイプロジェクトは先頭の今井がヒットで出塁すると、送って1死2塁。続く3番片岡のショートゴロで、今井はサードを狙い、ショート倉内は3塁へ送球するも、判定はセーフ(タイミング的にはアウトに見えたが…)でフィルダースチョイスとなり1死1・3塁。4番田中がレフト前にきっちりとタイムリーを放ち、ジェイプロジェクがついに4点差を追いつく。
20200918ジェイプロジェクト 田中
同点タイムリーを放つジェイプロジェクトの4番田中

勢いに乗るジェイプロジェクは8回表にも先頭の橋本がヒットで出塁すると、続く林田は1塁線に絶妙なバント…東海REXのファースト金子は最初は見送ってファールにしようとしたが、切れそうにないので慌ててキャッチしベースカバーの1塁に送球すrもこれが暴投となり無死1・3塁のピンチを迎える。ただここでリリーフ経験の豊富な山口が本領を発揮し、9番前田を浅いセンターフライ、1番今井をピッチャーゴロ(3塁ランナー挟殺でタッチアウト)に仕留め、最後は143㌔のストレートで望月をサードフライに打ち取りこのピンチを脱する。
20200918東海REX 山口
東海REXのリリーフエース山口

東海REXは9回裏に、この回先頭の4番加藤辰・5番金子の連打、それを濱口が送って1死2・3塁とサヨナラのチャンスを迎える。さらに主砲の加藤辰に代えて代走に下村、バッターには代打で後藤田を送り、いっきに勝負をかける。しかし後藤田の打球はややライナー性のセカンドゴロとなり、下村は判断が遅れてスタートを切るもホームタッチアウト。8回からマウンドに上がっていたジェイプロジェクトの6番手の保坂に対して、8番小野のバットは空を切り、試合は4-4のまま延長戦に突入する。

11回表、ジェイプロジェクトは1死から1番今井がピッチャー強襲ヒットで出塁すると、2番望月もレフト前ヒットで続き、さらに3番片岡は、粘って11球を投げさせた末に四球を選らんで1死満塁とする。ここで4番の左バッター田中を迎えることもあり、東海REXはリリーフとして6イニング目にはいった山口から、つちに投手を交代し、サイド左腕の上野をマウンドに送る。しかし上野は田中に押し出し四球を与えてしまい、ジェイプロジェクトが勝ち越し上野は降板。代わったルーキーの続木も、ジェイプロジェクトの代打西銘にタイムリー、さらには松坂に犠飛を浴びてしまい、結局この回ジェイプロジェクトは3得点。その裏の東海REXの攻撃を、ジェイプロジェクトの7番手平岡が3人で締めてゲームセット。ジェイプロジェクトが激戦を7-4で制した。
20200918ジェイプロジェクト 平岡
最後を締めたジェイプロジェクトの7番手平岡

20200918ジェイプロジェクト×日本製鉄東海REX
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


選手のレベル的にも、これまで都市対抗出場は1回という実績からも、レベル的には東海REXなどの方が格上と思われていたジェイプロジェクト。さらに会社は飲食店経営とあって、コロナの影響は大きく、またオリックスでも監督を務めた大石監督は退任とまさに逆境中の逆境であった。ただ初戦では三菱自動車岡崎相手にサヨナラ勝ちを収めた勢いは、この試合にもまだ残っていたようだ。

正直2回までに4失点してエース白崎はKOされた時点ではコールド負けもあるかと思った。白崎は前の試合から連続で先発とあって、投手事情としては余裕のないところであったが、そこから古屋→木村→横山→保坂→平岡と5人の継投で9回を無失点。結果的には登録されている投手10人のうち7人を登板させるという総力戦であった。これで三菱自動車岡崎に続いて、東海REXと格上と思われる2チームを連続で撃破し、間違いなくこの都市対抗予選のダークホース的存在となった。ただ次は東海はおろか、現在の社会人野球界のトップに君臨しているトヨタ自動車が相手。この勢いで王者相手にどこまで戦えるかが注目である。

敗れてしまった東海REXであるが、その中でも活躍が目立ったのは2・3番コンビであった。2番倉内は初回には得点の起点となるチーム初ヒットを放ち、2回にはレフトへうまく流し打ってタイムリーヒット。その後3打席・6打席目にもヒットを放ち計4安打の活躍であった。3番の加藤樹も、この倉内に続く形でレフトオーバーのタイムリー3ベースを放つなど3打席目までいずれの打席でもヒットを放ち、倉内・加藤樹の2人はそろって3打席目で猛打賞を記録した。この2人の後を打つ、4番加藤辰に関しては、言わずもがなの東海REX打線の看板であり。1・2打席目はともに半ば勝負を避けられる形で四球、その後は2安打とこちらもしっかりと仕事を果たした。この試合でいえば課題は5番以降であり、この3人で計12出塁をしているにも関わらず、それを3回以降は返せなかったところが痛かった。
20200918東海REX 倉内
4安打を放ったジェイプロジェクトの2番倉内


Pickup Player
古屋悠翔 ジェイプロジェクト 投手
~チームに流れをもたらす好リリーフ~
7投手が登板したジェイプロジェクトにおいて、3番手で登板して、1番長いイニングを投げて流れを掴んだ古屋の投球の価値は大きかった。

静岡商から高卒で入社し、2年目を迎える古屋。静岡商では強肩を買われて1年夏に投手に転向すると、142㌔をマークする右腕に成長して、3年夏はエースを務める。初戦の富士宮東戦では15奪三振ノーヒットノーラン達成してその名をとどろかせると、続く浜松北戦でも完封勝利をあげ、4回戦では日大三島から3失点完投勝利。しかし準々決勝では、この夏の静岡を制する常葉菊川の前に3回途中でKOとなってしまい、ベスト8止まりとなった。高卒でジェイプロジェクトに入社すると、1年目から都市対抗予選では4試合に登板するなどリリーフとして頭角を現す。今年の都市対抗でも初戦では登板はなかったものの、この試合では1点差に迫った3回裏から3番手としてマウンドに上がった。

この試合の古屋はいきなり先頭の瀬崎から見逃し三振を奪うスタートを切ると、3回を3人で片づける。4回には2本のヒットを浴びるものの、徐々にストレートはスピードが上がってきて、この試合でのMaxとなる145㌔をマークし、2死1・2塁のピンチでは4番加藤辰からこのストレートで三振を奪ってピンチを脱した。ストレートの他には曲がりの大きなスライダーが有効に使えていて、これに時折カーブを混ぜるといった投球であった。5回も東海REX打線を3人で片づけるものの、6回には1死1・2塁のピンチを招いたところで、左打者の中軸を迎えることもあり、サイド左腕の木村に交代した。

木村がこのピンチを凌いでくれたこともあり、この試合の加藤は3回1/3を投げて無失点という内容。ジェイプロジェクト投手陣は2回まで4失点といきなり出鼻をくじかれていたため、3回から登板した古屋が落ち着きを取り戻させ、その後5投手による無失点継投の流れを作ったという意味でも大きな仕事であった。

古屋の最大の魅力は、177㎝82㎏という立派な体格から放たれる、力強いストレートである。この試合ではMaxは145㌔であったが、まだまだ出そうなポテンシャルはある。高卒2年目ということで、ストレートが150㌔をマークするようになり、このまま経験も積んでいけば来年はドラフト候補と呼ばれる投手になってくることだろう。

20200918ジェイプロジェクト 古屋
3回1/3を無失点に押させる好リリーフをみせたジェイプロジェクトの3番手古屋



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愛工大名電×愛産大三河【秋季愛知大会】

9/19 秋季愛知大会2回戦
愛工大名電×愛産大三河 @刈谷球場

試合経過

愛産大三河は1回裏、1番杉山がフルカウントからレフト前に運んで出塁すると、バッテリーミスとセカンドゴロの間に3塁まで進むみ、3番石原は肩付近に死球を受けて、1死1・3塁で4番渡邊を迎える。すると渡邊は4番ながら2球目にうまくスクイズを決めて、さらにファースト宮崎がエラー。引き続き1死1・3塁という場面で、5番山田のファーストゴロに対して3塁ランナーの山村(石原の臨時代走)はホームを狙い、タイミング的にはアウトかと思ってたが、ファースト宮崎の送球が逸れて(記録はフィルダースチョイスだが)しまいホームイン。愛産大三河が初回に、名電の守備の乱れにも漬け込んで2点を先制する。

愛産大三河は2回裏にも、1死から8番松原が田村のスライダーを捉えてライトフェンス直撃の2ベースで出塁。松原はボークで3塁に進塁すると、続く9番白瀬はフォークをライト前に弾き返して3点目をあげる。名電の倉野監督はここで調子の上がらない田村を早くも諦めて、2番手として野嵜をマウンドに送る。
20200919愛産大三河 白瀬
2回にタイムリーを放った愛産大三河の白瀬

名電打線は愛産大三河の左腕石原に対して毎回ヒットを放ちチャンスを作っていた。特に3回は四球、宮崎のレフト前ヒット、ショートエラーで満塁のチャンスを作り、6番三村はカウント3B1Sからの甘く入った球を強打するも、センター後方の打球を山田がナイスキャッチでピンチを凌ぐ。このように名電は4回までで3度先頭打者が出塁し、毎回得点圏にランナーを進めるも、石原の粘りの投球の前に無得点が続いていた。

ただ5回表、1死から3番田村がエラーで出塁すると、4番宮崎の打球はセンターに抜けて1死1・3塁のチャンスを作る。ここで迎えた5番有馬はこちらもカウント3B1Sからのボールを捉えるも、打球はライト正面のライトライナー。これが犠牲フライとなり、名電は初得点をあげるものの、どこかツキにも見放されて、この回も1点止まりとなってしまう。
20200919愛工大名電 有馬
愛工大名電の初得点となる犠飛を放った5番有馬

2回途中から登板した名電の野嵜は素晴らしい投球をみせていた。まるで巨人じゃなくてロッテの沢村を彷彿とさせるようなフォームから力のあるストレート、さらにはキレのあるスライダーやチェンジアップといった変化球を投げ込み、2回途中から6回まで打たれたヒットは1本のみの無失点投球。特に6回には死球とエラーでピンチを招くものの、ここで守備側タイムを経てギアをあげてたのか、最速となる143㌔をマークするなど投げ込むストレートはほぼ140㌔以上でこのピンチを凌いだ。
20200919愛工大名電 野嵜
2回途中から登板して好リリーフをみせた愛工大名電の野嵜

そんな素晴らしい投球をみせていた野嵜であるが、やはり打線がランナーを出しながらも点が取れないというチームの悪い流れに影響を受けてしまったのか…愛産大三河は7回裏に先頭の1番杉山が俊足でセンター前ヒットを2ベースにすると、2死3塁となってから4番渡邊がレフト線にタイムリー2ベースを放ち、貴重な追加点をあげる。さらに5番山田もセンター前タイムリーで続いて、名電はここで野嵜に代えて、3番手として寺嶋をマウンドに上げることとなる。
20200919愛産大三河 山田
愛産大三河の5点目となるタイムリーを放った山田

名電は最終回、1死から2番房野・3番田村が連打で1死1・2塁のチャンスを作る。ここで今日2安打の他にもいい当たりを放っていた4番宮崎に期待したいところであったが、宮崎はライトフライ。ただ5番有馬は死球で2死満塁として、ホームランが出れば同点というチャンスを作る。ただ愛産大三河のエース石原は最後まで落ち着いていて、6番三村をショートゴロに打ち取りゲームセット。石原は11安打を浴びながらも1失点完投勝利で、愛産大三河が5-1で愛工大名電を下した。


20200919愛工大名電×愛産大三河
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


この世代の愛工大名電は投手王国と言われている。1年夏からエースを務める左腕の田村を中心に、同じく1年夏から登板を重ねる寺嶋の2人を中心に、野嵜・平口といった投手が揃う。この試合では相手がシードの愛産大三河ということもあって、エース田村を先発のマウンドに送ったものの、田村は高めに浮く球も多く、また守備の乱れもあってどこか調子が上がらない状態であった。そんな田村に早くも2回で倉野監督は見切りをつけたわけだが、それができるのも他にいい投手がいるからであり、実際に野嵜はその後に素晴らしい投球をみせた。この日名電で登板した投手の最速でいうと、田村は139㌔、野嵜は143㌔、寺嶋は140㌔をマークしており、3人とも変化球もレベルが高く、ここでもう見られなくなってしまうのは残念すぎる限りである。
20200919愛工大名電 田村
先発するものの本来の投球ができなかった愛工大名電のエース田村

名電の敗因はやはり打線であったと思う。この試合では8回以外では毎回ヒットをマークしており、ヒット数は勝った愛産大三河を上回る11本。ただしあと1本が出ずに、残塁はなんと14、1得点のみという結果になってしまった。また勝負どころでいい打球が正面をついてしまったケースが多く、3回満塁での三村のセンターフライ、5回の有馬の犠牲フライ、7回の宮崎の併殺打あたりは、このうち1本でも少し打球は横にずれていれば、この試合の結果は変わっていただろう。そういう意味でも、この一言で済ませてしまうのはやや申し訳ないが、今日は名電にとってはツキがなかった試合ともいえる。

対照的に愛産大三河はヒットを効果的に得点に結びつけることができていて、放ったヒット8本のうち7本が得点に絡むヒットであった。特に事実上試合を決めることとなった8回の追加点の場面では、それまで野嵜の前に全くヒットが出ていなかった状態であるにもかからわず、久しぶりのチャンスで渡邊・山田・木林と見事に3連打をマークと、ここ1番での勝負強さが光った。ただそれと同時にこのチャンスを作った1番杉山の活躍も見事であり、巧みなバットコントロールで初回には田村の難しい球を流し打ってレフト前ヒットで、7回には右中間にヒットを放って俊足で2ベースとしていずれもチームの2得点の起点となtっていた。
20200919愛産大三河 杉山
愛産大三河の攻撃の起点となっていたリードオフマンの杉山


Pickup Player
石原和馬 愛産大三河 投手
~粘り強くピンチを凌いで強豪から1失点完投勝利~
愛産大三河のこの試合の勝利の立役者は、粘り強い投球で愛工大名電から1失点完投勝利をあげたエース左腕の石原であろう。

石原は愛産大三河に入学すると、1年夏からセンターのレギュラーを掴み、3年生の兄である石原剣太と右中間を組み、敗れたものの準々決勝では中京大中京の高橋相手に4安打の活躍をみせている。1年秋は3番センターを務める一方、1年生大会では本職である投手としても登板を果たしていた。2年秋の新チームではエースの座を獲得して、この愛工大名電との重要な1戦でも3番ピッチャーとして出場した。

石原は小柄な左腕でこの試合でもストレートの最速は128㌔であったものの、ゆったりとしたテイクバックとは裏腹に、リリースの瞬間には全身の力をボールに込めて投げてくるために投げっぷりの良さが際立った。変化球はスライダー、チェンジアップを操っており、全体としてコントロールも安定していた。そしてこの試合の石原の投球は何と言っても粘り強く、名電打線に11安打を浴びて、9イニング中8イニングで得点圏にランナーを背負ったものの、失ったのは1点のみ。初回にバッターとして死球を受けて倒れこむ場面などもあったものの、投球数が130球を超えた最終回でもストレートの威力が落ちることもなく(127㌔をマークしていた)、どんな場面でも自分の投球を続けられるのが1番の強みだと感じた。

結果として石原は9回を投げて、11本ものヒットを打たれたものの、失点は1点(それも自責点でない)のみであり、強豪の愛工大名電から見事に完投勝利をあげた。この試合では153球を投じたにも関わらず、翌日には今度は中京大中京との試合を控えるという過酷な状況であるが、今日の試合を見ていれば、明日も問題なく投げてくれそう…そんな予感すら感じさせる内容であった。

20200919愛産大三河 石原
粘りの投球で1失点完投勝利をあげた愛産大三河のエース石原



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東京情報大×国際武道大【千葉学生野球連盟】

9/13 千葉学生野球連盟第1節1日目
東京情報大×国際武道大 @長生の森野球場

試合経過

雨で1日遅れてこの日に秋季リーグの開幕を迎えた千葉学生野球連盟。開幕戦は東京情報大×国際武道大の試合となった。

国際武道大の開幕投手は、U18日本代表にも選ばれている横浜のエースであった板川。2年生となった今年は、先輩の伊藤(JR東日本)と同様に国際武道大のエースとして期待される左腕であったが、序盤はコントロールにバラツキがあり、いきなり先頭の山崎をストレートの四球で歩かせてしまう。山崎は盗塁を決め、さらに2番吉野のセカンドゴロの間に3塁へ進塁する。ここで迎えた3番岡は初球のカーブを捉えると、左中間を深々と破るタイムリー2ベースとなり、東京情報大が先制する。
20200913東京情報大 岡
先制打を放った東京情報大の岡

板川は2回になっても、先頭の松山にヒットを浴びると、続く加藤には四球を与えてしまい、バントで1死2・3塁とピンチを招いてしまう。ただここから本領を発揮し、9番高城をインコースのストレートで見逃し三振、1番山崎もインコースのストレートで空振り三振と、ともに右バッターの懐に勢いよくストレートを投げ込みピンチを脱するなど、本来の投球を取り戻したかに見えた。
20200913国際武道大 板川
2回には本領を発揮しピンチを凌いだ国際武道大の先発板川

すると国際武道大は2回裏、4番吉田のボテボテのサードゴロが内野安打となると、5番鮎ケ瀬もセンター前ヒットで続き1・2塁。1死となってから7番塚越はセーフティバントを試みると、これを処理したピッチャー斎藤の送球は逸れ、ファーストが捕球できずに2塁ランナーの吉田が生還。さらに続く8番の1年生籾山のサードゴロは併殺崩れとなり、その間に3塁ランナーの鮎ケ瀬が生還し、国際武道大が2-1と逆転に成功する。
20200913国際武道大 塚越
国際武道大は塚越のセーフティバントがエラーを誘い同点→逆転へとつなげた

2回に本来の姿を取り戻したかに見えた板川であったが、序盤に安定感を欠いたところはあり、岩井監督は何と3回のマウンドには2番手として青木を送った。アンダーハンドの青木は持ち前のテンポのよい投球で、情報大打線を次々に打ち取っていき、スコアボードに0を重ねていく。一方の東京情報大のエース斎藤も、持ち前の肩の柔らかさを生かしたフォームからのストレートがどんどん良くなり、これに2シーム・スライダー・フォークといったボールも交えて、3・4・5回と3イニング連続で武道大打線を3人ずつで抑え、試合は2-1のまま後半戦に突入する。
20200913東京情報大 齊藤
3~5回は打者9人で片づけた東京情報大の先発齊藤

武道大は6回裏、先頭の梅田が死球で出塁すると、2番加瀬がセンター前ヒットで続き、3番柄澤が送って1死2・3塁とチャンスを作る。ここで1塁が空いていたこともあり、4番吉田に対してカウント3B0Sとなるものの、このカウントから甘く入ったストレートを吉田はレフト線に運び、武道大が2点を追加する。
20200913国際武道大 吉田将
6回に2点タイムリー2ベースを放った国際武道大の新4番吉田

青木の投球は後半戦に入っても快調そのもの。ほぼ四球などを出すことはなく、情報大打線がヒットを放っても散発となってしまい、なかなか得点に結びつかない。青木が登板した際には、原田・山本といった投手がすでにブルペンで投球練習をしており、「板川も早めに降板したので、今日の武道大は繋いでいくのか~」と思いきや、気づけば青木が9回のマウンドにあがる。最終回の青木は1死から星山にヒットを許すものの、最後は加藤をレフトフライ打ち取りゲームセット。国際武道大が4-1で勝利し、見事開幕戦を飾った。


20200913東京情報大×国際武道大
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


国際武道大の多彩な投手陣にまたニューフェイスが誕生した。エースとして期待される板川、同じ左腕でもサイドスローの原田、右のサイドスローの山本と昨年から登板経験のある多彩な顔ぶれに、新たにアンダースロー青木が加わり、バリエーションに飛んでいる。昨年は先発として活躍した吉田・尾身、高校時代には名を馳せた菊地・北村といった本来はエースとして期待したい4年生本格派右腕が揃ってベンチ外となる中でも、国際武道大の投手層の厚さを感じた。

打線に関していえば、4年間レギュラーとして打線を牽引し、2度もチームを全日本大学野球選手権準Vに導いた豊田(日立製作所)・磯網(日本通運)・勝俣(オリックス)・三河(TDK)のカルテッドが卒業。今年の打線は、昨年に比べて小粒感が否めないが、その中でも2人の若きスラッガーがその片鱗を見せつけた。まず4番に座った2年生の吉田は6回にカウント3B0Sから果敢に打ちに行って2点タイムリー2ベースを放つなど、いずれも得点に絡む2安打を放つ上々の4番デビュー。本職は捕手であるものの、1年生ながら背番号「3」を背負い、8番DHでスタメン出場した籾山は、デビュー戦とは思えないくらい、どっしりした構えで雰囲気があった。この試合ではヒットは出なかったものの、翌日の試合ではホームランを放っている。上述のカルテッドの後継者として、これからが楽しみである。
20200913国際武道大 籾山
1年生ながら背番号3を背負い、スタメン出場を果たした国際武道大の籾山

3回以降は完全に沈黙していまった東京情報大の中で光ったのは、1年生ながらスタメンマスクを被った島上であった。昨年は盛岡大付の正捕手としてチームをセンバツ出場に導いた島上は、前半戦はエース斎藤を見事にリード。6回に吉田に3B0Sから打たれてしまったあたりは中途半端であったが、守備面でも上々のデビューを飾ったと思う。それより目立ったのが打撃であり、初打席では見事にバントを決めると、その後はチームが大苦戦した青木相手に1人気を吐く2安打。さらには盗塁も決めるなど躍動しており、伊藤(かずさマジック)の卒業によりキャッチャーが課題となっていた東京情報大にとっては大きな収穫であろう。
20200913東京情報大 島上
打っても2安打の活躍をみせた東京情報大の1年生捕手島上


Pickup Player
青木快人 国際武道大4年 投手
~遅れてやってきた4年生アンダーハンドがチームを救う好リリーフ~
何といってもこの試合で国際武道大を勝利に導いたのは、3回からリリーフ登板して最後まで無失点で投げ抜いたアンダースローの4年生右腕の青木であろう。

アンダースローの青木は桐生第一では2年秋にエース内池(東洋大)に次ぐ2番手として活躍し、関東大会では準決勝の常総学院戦に2番手として登板し、4イニングを投げている。3年春のセンバツでも、初戦の滋賀学園戦で4回途中からリリーフ登板して、7回まで投げ抜いている。当時から貴重なアンダースローとして注目されていたものの、残念ながら国際武道大に進学してからはその活躍を耳にすることはなく、少なくとも直近の3年秋のリーグ戦では登板はなかった。

この試合では先発の板川が不安定だったこともあり、初回からブルペンに入っていた青木。チームが逆転した直後の3回から2番手としてマウンドに上がった。青木の下手から繰り出すストレートのスピードは120㌔行くか行かないかというレベルであったが、コントロールはよく低めに決まっており、ここにスライダーやカーブといった球でさらに緩急をつけていた。また特徴的だったのがそのテンポの速さで、時には審判から注意されるほどのスピードで球を投げ込んでいき、今日の試合は完全に青木のペースとなった。青木はこのテンポで次々に情報大打線を打ち取っていき、また四球を与えることもなく、ヒットも散発であったために、ランナーを2人以上出すことはなかった。正直青木は短いイニングのつなぎかと思っていたが、気づけば3回から最後までわずか、85球で7イニングを投げ切り、7回3安打無失点の好投で勝利投手となった。

国際武道大の多彩な投手陣に、右のアンダースローというまた新たなタイプの投手が加わった。4年秋ということで大学では遅咲きといえるタイミングだが、右のアンダースローは社会人野球でも需要のあるところだと思うので、まずはこのリーグ戦で今日のようなピッチングを続け、来年以降も活躍が見れることに期待したい。

20200913国際武道大 青木
3回から最後まで7回無失点リリーフをみせた国際武道大の青木




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作新学院大×上武大【関甲新学生野球連盟】

4/11 関甲新学生野球連盟 第2節2回戦
作新学院大×上武大 @宇都宮清原球場

試合経過

作新学院大の先発は2年生左腕の嶋田であったが、いきなりコントロールに苦しむこととなり、先頭の長友にストレートの四球を与えてしまうと、続くバントの構えをしていた2番藤原にも四球。上武大は3番山脇が送って1死2・3塁としたところで、4番のプロ注目の古川を迎える。嶋田は1塁が空いていたこともあり、古川はやや敬遠気味に歩かせる。続く5番大橋の打球はライトの頭上を越える3ベースとなり、3人の走者が生還。嶋田はさらに6番島村にも四球を与えてしまい、作新学院大は早くも2番手として山田をマウンドに送る。上武大は7番三口がライトに犠牲フライを放ち、初回に4点を先制する。
20200911作新学院大 嶋田
作新学院大の先発嶋田であったが、まさかの1回持たずに降板となってしまった

上武大は2回裏にも反撃の手を緩めず、9番工藤・1番長友の連打で1・3塁のチャンスを作る。3番山脇はインコースのスライダーにやや詰まらされたかと思いきや、打球は伸びてセンターの頭上を越える2点タイムリー3ベース。さらに4番古川も初球のアウトコースのストレートを左中間にもっていくタイムリー2ベースを放ち、この回3点を追加。3回裏にも1死から小林亮が四球で出塁すると、9番田口がセンターオーバーのタイムリー3ベースを放ち、3回までに8-0と大量リードを奪う。
20200911上武大 山脇
2回に2点タイムリー3ベースを放った上武大の山脇

一方の作新学院大は初回に先頭の田口のヒットを起点に、2死1・3塁のチャンスを作るも、5番小松はセンターフライで無得点。2回には1死2塁から8番細野がライト線に2ベースを放つも、フライ性の打球でハーフウェイからスタートが遅れた2塁ランナーの関口は、島村→長友→古川という上武大の中継プレーの前にホームタッチアウト。2塁に残った細野も牽制で刺されてしまい、チャンスは作るものの得点ができない。
20200911作新学院大 田口
初回はヒットを放ちチャンスを作った作新学院大の田口

上武大の先発は、昨秋には横浜市長杯で150㌔をマークし話題にもなった2年生右腕の加藤。清原球場はスピードガンが辛いことでも有名で、この試合ではMaxは144㌔止まりであったものの、非常に力のあるストレートを投げ込んでいた。上述のように初回、2回とピンチを凌ぐと、3回以降は安定したピッチングを展開。三振こそ1個のみと物足りなかったが、上述のストレートを中心に、スライダー・カーブも交えて作新学院打線を打ち取っていく。5回まで打たれたヒットは散発の4安打無失点という内容で、チームが大量リードを奪っていたこともあり、ここでマウンドを降りる。先週の開幕戦では、6回途中で5失点という内容で、前日には1戦目の先発をはく奪された加藤であったが、この試合では見事に結果を出したといえる。
20200911上武大 加藤
5回無失点の好投を見せた上武大の先発加藤

上武大は5回裏、2死から9番工藤がファーストエラーで出塁すると、盗塁を決めてチャンスを作る。1番長友はカウント2B1Sからのストレートをたたくと、打球は打った瞬間にそれと分かるライトスタンドへの2ランホームラン。長友の2試合連続弾で、上武大がリードを10点に広げる。
20200911上武大 長友2
2ランホームランを放った上武大の長友

点差をつけた上武大は6回からピッチャー水口、キャッチャー進藤とバッテリーを交代。水口は眼鏡がトレードマークのサイド右腕であり、130㌔中盤のストレートとスライダーを低めに決めることができており、作新打線を2イニング無失点に抑え、10点差をキープ。これにより連盟の規定で、上武大が10-0で7回コールド勝ちとなった。


20200411作新学院大×上武大
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


上武大の注目といえば、やはり大学生No1捕手との呼び声の高い古川である。この日もスタンドには多くのスカウトが詰めかけていたが、そのお目当ては古川でほぼ間違いない。バッティングではやはり警戒されていたこともあり、この試合でも2四球で、2打数1安打1打点。その1安打は左バッターのアウトコースのストレートを左中間に持っていくというお手本のようなバッティングであった。守備は試合ではそれほど見せ場はなかったものの、シートノックでは素早く力強い送球を披露していた。また6回からはファーストに回り、前日のショートに続いてスカウトの前で持ち前の万能性も披露。タイプとしては昨年ロッテに2位指名された佐藤によく似ている。
20200911上武大 古川
ファーストゴロを処理する上武大の古川

この古川の内野には、来年以降のことを見据えて1年捕手の進藤に経験を積ませるという意図もあるだろう。昨年は筑陽学園を春夏ともに甲子園出場に導いた、セカンド送球1.8秒の強肩捕手は、古川の卒業する来年以降はチームの扇の要として大きく期待されているようである。ただこんな来年のことを見据えるほど、今日の上武大は余裕の展開であった。今日だけに限らず、リーグ戦でもこれで開幕から4試合連続で2桁得点をあげての勝利と強さを見せつけており、上武大にとっての本当の勝負は白鴎大と対戦するリーグチャンピオンシップラウンドさらには神宮大会の出場権をかけて戦う横浜市長杯といったところであろうか?
20200911上武大 進藤
来年の正捕手としての期待が高い上武大の1年生進藤

作新学院大に関しては、今日は投手陣が全てであった。先発の嶋田はストレートに角度があり、これが決まれば凡打の山をきずけそうであるが、四球連発でまさかの初回KO。2番手の山田も捉えられていたにも関わらず、5回まで引っ張らなければいけなかったあたりや、これで3試合連続での2桁失点という結果からも、投手事情の苦しさがうかがえた。これで開幕から4連敗でリーグチャンピオンシップラウンド進出(=優勝)の可能性も消えてしまったが、是非とも来年にも向けて投手陣の奮起に期待したい。


Pickup Player
長友晃輝 上武大4年 ファースト/外野
~絶好調の1番打者がとどめの2ランホームラン~

宮崎日大では2年夏に甲子園にエース杉尾(日立製作所)らを擁して甲子園に出場し、長友も初戦ではファーストで途中出場をはしている。3年夏は5番ショートを務めており、184㎝の大型ショートとして期待値も高かった。上武大では主に外野を務めるようになり、2年秋あたりから外野やDHでスタメンに名を連ねる機会も出てきたものの、選手層の厚い上武大の中ではなかなかレギュラーとして出続ける状態には持っていけなかった。

しかし今年は自粛明けのオープン戦や巨人との練習試合では1番ファーストに定着しており、この秋のリーグ戦でもこの試合で4試合連続でスタメン出場とレギュラーの座を手にした。第1節では2試合ともマルチ安打をマークし、前日に行われた第2節1日目では6番打者として出場すると3ランを含む4打点の活躍。この試合では再び打順を1番に戻し出場していた。

まず1打席目には嶋田がストライクが入らなかったこともありストレートの四球で出塁すると、2番打者の場面では盗塁を決めてみせ、先制のホームを踏んだ。第2打席では今度は低めのストレートにうまく合わせて、ライナー性の打球でセンター前に運んで見せた。そして5回2死1塁という場面で迎えた第4打席では、カウント2B1Sからのストレートを捉えると、打球は放物線を描いてライトスタンドに飛び込む2ランホームランとなった。結局この試合では3打数2安打2打点2得点という活躍で、開幕からマルチヒットを4試合連続とした。

長友は185㎝83㎏という体格で、スイングが強烈でパンチ力のある打撃に加えて、走力もあり身体能力が高いため、まだまだ伸びしろもありそう。また守備もこの試合ではファーストでスタメンもライトに回り、高校時代もショートだったことを考えると内外野マルチにこなせる。是非とも社会人野球に進めば非常に楽しみな選手であることは間違いない。

20200911上武大 長友
2試合連続弾となる2ランを放った上武大の1番長友


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JFE東日本×JR東日本【オープン戦】

9/3 オープン戦
JFE東日本×JR東日本 @JR東日本柏グランド

試合経過

JR東日本の先発の伊藤、JFE東日本の上島の両先発の投手戦となった試合。まずは伊藤であるが初回を3者連続三振という素晴らしいスタートを切ると、2回には4番平山快に初ヒットを浴びるものの、続く峯本をショートゴロ併殺に打ち取ると、4回まで打者12人で片づける投球。ただ伊藤は高校時代からのライバルである平山(ともに同学年で横浜のエースが伊藤、東海大相模の4番が平山であった)だけは意識していたのか、5回には先頭の平山に四球を与え2打席連続で出塁を許してしまう。ただこれもまた2打席連続で5番峯本をショートゴロ併殺に仕留め、このまま伊藤の快投が続くのかと思いきや…ここで浜岡監督は伊藤→永谷に投手を交代し、永谷が6番岡田をセンターフライに打ち取り5回まで無失点。
20200903JR東日本 伊藤
5回途中まで1安打無失点の好投を見せたJR東日本の先発伊藤

対するJFE東日本の先発は上島。名前とは裏腹に昨年の途中から腕の位置をさげた186㎝大型右腕は、そこから繰り出す140㌔前後のストレートと、コントロール抜群のスライダーを中心とした投球。特にスライダーに関しては左打者のアウトコースからストライクに入るボールが有効で、あまり他の投手は使わないこともあり、JR東日本の打者も戸惑ったのか…この日2番に入った強打者の丸子は2三振であった。上島が打たれたヒットは3回の1本のみであり、こちらも伊藤と同様に快投をみせ、ラストとなった5回には3者連続三振をマークするなど、5回1安打無失点7奪三振という投球内容であった。
20200903JR東日本 上島
5回7奪三振無失点の好投をみせたJFE東日本の先発上島

0-0のまま進んだ試合は7回裏、JFE東日本はこの回から3番手として本田がマウンドに上がるが、線乙の丸子に四球を与えてしまうと、JR東日本は3番佐藤が送って1死2塁とチャンスを作る。ここで迎えた4番菅田は初球のインコースのボールをうまく振りぬくと打球はライト前へのタイムリーヒットとなり、JR東日本がついに均衡を破る。さらに本田は5番渡辺にも四球を与えてしまって降板すると、JR東日本は代わった本定からも代打の大城→7番金子と連打を放ち2点目をあげる。糸野は三振で2死となるも、9番吉澤の4球目にJFE東日本にバッテリーミスが飛びだし、JR東日本がこの回3点目をあげる。
20200903JR東日本 菅田1
先制タイムリーを放つJR東日本の4番菅田

JFE東日本は直後の8回表、この回先頭の峯本がヒットで出塁すると、2死から8番鳥巣が四球を選らんで2死1・2塁のチャンス。JFE東日本ここで代打に左の柿崎を送ると、JR東日本も投手を左腕の山田に交代する。柿崎は代わりっぱなの初球をたたくと、打球は1塁線を抜けていく2点タイムリー3ベース。一気に同点といきたいJFE東日本は1番中澤が四球を選ぶと、JR東日本はマウンドに6番手として河浦を送る。ここで迎えた2番中嶋の打球は三遊間寄りに飛ぶも、これをショート糸野がダイビングキャッチしてショートゴロでピンチを凌ぐ。
20200903JR東日本 柿崎
タイムリー3ベースを放つJFE東日本の代打柿崎

するとJR東日本は8回裏、1死から途中出場の服部が死球で出塁。3番佐藤は本定の初球の変化球を捉えると打球はライトフェンスを越える2ランホームランとなり、JR東日本が5-2とリードを広げる。
20200903JR東日本 佐藤
ダメ押しの2ラン放ったJR東日本の佐藤

最終回のJFE東日本は1死から4番平山がこの試合3回目の出塁となるライト前ヒットを放つと、続く峯本の打球はファーストベースにあたりコースが変わってライト線へ抜けるというラッキーな2ベースヒット。ただここで河浦は6番岡田をカットボールでサードゴロに打ち取ると、最後は7番内藤から空振りの三振を奪いゲームセット、中盤までの投手戦から、終盤一気に動いた試合は、JR東日本が5-3でJFE東日本を破った。

20200903JFE東日本×JR東日本
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


都市対抗予選を控えるJR東日本は、この試合でも1安打ピッチングをしていた伊藤を5回途中で代えるなど、本番を想定した継投を披露。その後も投手を回の途中でもどんどん代えていった。ただこの日はリリーフエースの西田と、同じく左のリリーフの山口裕はベンチ入りしておらず、投手を早めに繋いでいったせいで、最後は山田→河浦という高卒2年目の若い投手を投入せざるを得なかった。特に山田に関してはタイムリー3ベースを打たれ、さらにその後は四球で降板するなどまだ重要な場面でのリリーフとしては早いかな?という感じであった。それでも都市対抗予選を総力戦で戦うという浜岡監督の意気込みは見えた試合であった。
20200903JR東日本 河浦
JR東日本の継投の最後を締めた河浦

逆に昨年都市対抗を制覇したために、今年は予選免除のJFE東日本だが、こちらはこちらで大変だ。今年はコロナの影響で、
都市対抗予選が唯一の本気で戦える公式戦になるので、その予選がないJFE東日本は11月の都市対抗が今年最初の公式戦となる。今日のオープン戦でも選手起用は本番さながらであり、オープン戦からモチベーションを保とうとしていたが、やはり本気勝負の実戦とオープン戦では差があることだろうし難しいところだ。

そんなJFE東日本の連覇への命運を握っているのは2年目のクリーンアップトリオであろう。3番今川、4番平山快、5番峯本、6番岡田は昨年はルーキーながら都市対抗制覇に貢献した選手たち。この試合ではチーム全体が沈黙する中、今川が2ベース、平山快と峯本は2安打ずつと結果は残した。2年目となった今季は相手からのマークも厳しくなる中、また補強選手も使えないなか、チームの軸であるこの3人が結果が残せるかがチームを大きく左右することであろう。またこの3人はセカンド・ショート・センターと守備でもセンターラインを構成し、チームの中心となっている。もともとセカンドの峯本はともかく、サードだった平山快をショートに、レフトだった今川をセンターにコンバートとしている。特に東海大相模→東海大とずっとファーストorサードであった平山快のショートには驚いた。今年が2年目ということでドラフトイヤーともなる3人…平山快と今川のコンバートもドラフトを見据えてというところもあるだろう。3人にとっては最後となるかもしれない都市対抗で大暴れして、JFE東日本を連覇に導いて欲しいところだ。
20200903JFE東日本 平山快
今年からJFE東日本のショートを守る平山快


Pickup Player
菅田大介 JR東日本 外野手
~均衡を破ったのは一気に4番に登り詰めたルーキー~
6回まで0-0であった試合において、JR東日本の4番菅田が放った先制タイムリーは貴重なものであった。

菅田は京都共栄時代から高校通算20発の大型外野手として注目されており、京都学園大に進学すると、1年春からライトのレギュラーを獲得。1年春からいきなりちーぐ3位の打率.379をマークし、先輩の宮本(ヤクルト)・鈴木(パナソニック)・村上(巨人)らとともに全日本大学野球選手権で4強入り。その後もリーグ戦ではベストナイン4度、4年春には首位打者と輝かしい実績を残した。さらに2年秋からは186㎝左腕としてマウンドにも上がるようになり、ストレートは最速146㌔、4年春にはリーグ3位の防御率1.87をマーク。打者としての実績を評価する一方、まだ経験の少ない投手としてのポテンシャルも高く評価され、投打の両方でプロ注目の選手となった。

今年からJR東日本に入社した菅田であるが、14という背番号が物語っているように、当初は投手として期待されていた。ただ春先から外野手としての出場すると、打撃で結果を残し、レギュラー格に定着すると、丸子らの不調もあり、気づけば入社から半年も経たないうちに名門の4番に座るようになっていた。菅田の魅力はその長い腕を生かした長打力はもちろんのこと、柔らかさも兼ねそろえていて、この試合で7回に放った先制タイムリーも、腕をうまくたたんでインコースのボールをライト前に運んだものであった。4番打者として0-0のまま進んだ試合の均衡を破る一打であり、JR東日本打線はこれをきっかけに活気をとり戻し計5得点をあげたともいえる。そういう意味でも菅田のタイムリーは非常に貴重な一打であった。

守ってもこの試合ではレフトでスタメン出場し、途中からはファーストに回った。最近では外野の中心であるセンターとしての出場も多く、146㌔を投げる強肩に加えて、50㍍5.8秒という俊足も兼ねそろえていて、打撃以外にも能力が高い。打撃に関してもまだまだ伸びしろもありそうであり、走攻守揃った大型外野手として来年にはドラフト候補となることであろう。ただ今年も捕手であった柴田紘を投手にするなど積極的なコンバートでも知られるJR東日本なので、まだまだ投手の可能性、社会人野球での二刀流の可能性なども否定できない楽しみな選手である。
20200903JR東日本 菅田2
投手からJR東日本の4番に登り詰めた菅田



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茨城トヨペット×日立製作所【都市対抗茨城予選】

9/6 都市対抗茨城予選準決勝
茨城トヨペット×日立製作所 @日立市民球場

試合経過

都市対抗茨城予選の準決勝はこれが今年初の公式戦となる日立製作所に、ゴールデンゴールズ(欽ちゃん球団)と日本ウェルネススポーツ大学を破ってB代表の座を手にした茨城トヨペットが挑んだ。

日立の初戦の先発はルーキーの原田。これが公式戦初登板となる右腕は緊張もあったのか、いきなり1番中根に対して3球連ボールとなるものの、ここから3球連続でストライクを投げ込み、最後はこの試合最速となる146㌔のストレートで空振り三振。続く2番山田に対しても3ボールとなるも、ここからまたもやストレート3球で見逃し三振。原田は3番本間も三振に仕留め、原田は初回ストライクが全部ストレートで3者連続三振のスタートを切る。
20200905日立製作所 原田
初回を3者三振に仕留めた日立製作所の先発原田

日立打線は初回、先頭の野中が粘って9球目で四球を選んで出塁。続く強打の2番豊田はバントの構えもみせずに強硬策に出るも四球、さらに3番大塚も四球で無死満塁となる。トヨペットのエース武藤公は決してコントロールが悪いというわけではないが、コースを狙ったボールがわずかに外れてしまっていて、いきなり大ピンチを迎える。日立は5番の19回目の都市対抗予選を迎えるベテラン田中がライト前にタイムリーを放ち2点を先制。さらに死球で再び満塁とすると、7番河野が振りぬいた打球はレフトスタンドに飛び込む満塁ホームランとなる。
20200905日立製作所 田中
先制タイムリーを放った日立製作所の19年目田中

日立はなおも吉田のヒット、野中が今度は10球投げさせた末に四球を選んで2死1・2塁のチャンスを作ると、2番豊田は初球のカーブを捉えて左中間スタンドに飛び込む3ランホームラン。東海大相模では4番打者として夏の甲子園制覇、国際武道大でも1年から4番を務め、全日本大学野球選手権準優勝2回を誇る強打者が、社会人の舞台で初となるホームランを放った。日立は結局初回に9点をあげる形となる。
20200905日立製作所 豊田
社会人デビュー戦で3ランを放った日立製作所の豊田

トヨペットは2回からマウンドに上がった片倉が、ナチュラルに動くストレートを武器に、2・3回と日立打線を無得点に抑えるナイスピッチング。試合は落ち着きを取り戻したように見えたが、4回にトヨペットは投手を村中に交代させてしまったことで、また試合は日立ペースとなっていく。
20200905茨城トヨペット 片倉
日立打線を2回無失点に抑えた茨城トヨペットの片倉

4回裏、日立は先頭の森下のヒットと四球で1死1・2塁のチャンスを作ると、7番河野が今度はセンター前に弾き返すタイムリーヒット。さらに8番吉田は1塁線を破り、9番川本もセンター前に絶妙に落とす当たりを放ち、日立が7・8・9番と下位打線の3連続タイムリーで3点を追加する。さらにここで登場した代打のルーキー江藤は、社会人公式戦初打席でライトスタンドに2ランホームランでこの回5得点。5回裏にも1死2塁からこちらもルーキー八幡がタイムリーを放ち、日立がリードを14-0と広げる。
20200905日立製作所 江藤
社会人初打席で2ランを放った日立製作所のルーキー江藤

初回はボール先行が目立ったものの、2回以降は安定してきた原田は安定した投球でトヨペット打線を打ち取っていき、5回までわずか58球でパーフェクトピッチング。デビュー戦で完全試合を期待したいところであったが、日立は都市対抗予選の経験を積ませるべく6回からは同じくルーキー杉尾にスイッチ。杉尾はヒットを2本浴びたものの、Max143㌔のストレートに加えて、大きく鋭く曲がるスライダーで3つのアウトを全て三振で獲り6回を無失点。7回はまたもやルーキー西山が登板して、2個の三振を奪って3人でトヨペットを抑えた。これで大会規定により日立製作所が14-0でコールド勝ちとなり、都市対抗北関東予選の第1代表決定戦進出を決めた。

20200905茨城トヨペット×日立製作所
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


日立製作所にとってはいい形で今年の公式戦初戦を飾れた。特に8人中7人が出場した新人の大活躍は喜ばしいことであろう。投げては先発の原田が5回をパーフェクト、6回を杉尾、7回を西山と3投手での完封リレー。ここまでの起用をみていると原田は先発、杉尾と西山はリリーフという役割のよう。杉尾と西山に関しては2人ともに地方大学の大エースとして活躍していたということもあり、先発向きかと思っていたが、リリーフでもそれなりに投げれることを証明できているようだ。野手でいえば豊田と八幡が、層の厚い外野手の中でもスタメン出場をはたし、豊田は初回に3ランホームラン、八幡は6回にタイムリーを放つなど結果を残した。代打で出場した江藤も初打席では2ランを放ち、渡邉は6回からマスクを被り杉尾・西山をリードした。
20200905日立製作所 杉尾
2番手として登板した日立製作所のルーキー杉尾

若い力の1発攻勢で大勝したこの試合で、重要な役割を果たしたのは7年目の1番野中であろう。初回の第1打席では3球ファールを打つなどして粘って9球も投げさせて四球で出塁。ここから相手の武藤公は連続四球を与えてしまうわけだが、この野中の四球がなければ、展開は大きく変わっていたと思う。打者一巡して初回に回ってきた第2打席でも10球を投げさせて四球を選んで出塁。次打者の豊田が初球を捉えて3ランだったのも、この野中の10球が効いていたことだろう。結局初回に1人で相手投手に19球投げされているってのは凄い話です。新人の活躍も目立ったが、それをささえた1番野中、主将の大塚、先制タイムリーの大ベテラン田中らの働きも重要であった。
20200905日立製作所 野中
初回に計19球を投げさせて2四球を選んだ日立製作所の1番野中


Pickup Player
河野祐斗 日立製作所 セカンド
~初回の満塁弾を含む5打点の活躍~
初回に事実上試合を決定づける満塁ホームランを放ったのは、7番セカンドでスタメン出場した河野であった。

河野は走攻守揃った1番ショートとして2年春から4季連続で甲子園に出場。2年春の初戦の洲本戦ではサヨナラ安打を放ち、8強入りに貢献。3年春のセンバツでは鳴門の主将として選手宣誓も務め、3年夏にはエース板東(ソフトバンク)を擁して8強入りを果たした。明治大では同期に竹村(JR東海)がいたこともあり、セカンドに転向すると3年春からリーグ戦に出場。4年秋には立教戦で決勝弾を放つなど2ホーマーを放ち、リーグ11位の打率.313をマーク。規定打席に達したのはこの1度だけだが、リーグ戦の通算打率は.299とハイアベレージを誇る。2018年に日立製作所に入社して、今年は3年目を迎える。

このような経歴をもつ河野だけに、8/6のパリーグの勝利投手3人は、
日本ハム河野 →弟
ソフトバンク板東→鳴門の同級生
オリックス山崎 →明治大の先輩
と全員が河野祐斗の関係者という珍事も起きていた。

この試合では7番セカンドで出場した河野。初回に2点を先制した後に1死満塁のチャンスで回ってきた第1打席ではカウント2B1Sからのストレートを見事にとらえると打球はレフトスタンドに飛び込むグランドスラム。173㎝でありながらそのパンチ力は健在であることを見せつけた。これで日立は初回の得点を6とし、見ている側からすればこれでもう試合が決まったなと思った。1死1・2塁で回ってきた4回の第3打席でも、綺麗にセンター前に弾き返えすタイムリーヒット。結局この試合で4打数2安打5打点という活躍で、チームの勝利に大きく貢献した。

日立製作所ではこれまでケガもあり、なかなか活躍できていなかったものの3年目となる今年、これまでセカンドのレギュラーであった元オリックスの岩崎はスーパーサブ的な位置になりつつあり、セカンドのレギュラーを掴みつつある河野。この調子で北関東予選でも活躍し、セカンドのレギュラーとして東京ドームで躍動する姿を見たいところだ。

20200905日立製作所 河野
初回の満塁弾を含む5打点をあげた日立製作所の河野



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日本製鉄鹿島×JR東日本【オープン戦】

8/31 オープン戦
日本製鉄鹿島×JR東日本 @JR東日本柏グランド

試合経過

JR東日本はブルペンデーともいうべきか、あるいは鹿島打線に左打者が多い(この日のスタメンは7人が左打者)こともあってか、意外なことにこれまで貴重な左のリリーフとして活躍していた西居が先発のマウンドに上がる。西居は130㌔中盤のストレートを内外に投げ分け、打者の手元でスッと曲がるスライダー、さらには2シームも織り交ぜ、初回は左打者3人の鹿島打線を3者三振という最高のスタートを切る。
20200831JR東日本 西居
初回3者三振と絶好のスタートをきったJR東日本の先発西居

ただ2回表、鹿島は1人目の右打者の4番のルーキー生田目が西居の足元を抜くセンター前ヒットで出塁すると、死球とバントで1死2・3塁のチャンスを作る。ここで迎えた7番佐藤竜はスライダーをやや引っ掛けるような形になったものの、うまくライト前に持っていき鹿島が先制。さらに続く2人目の右打者である土居は初球をセンターに持っていき、これが犠牲フライとなって鹿島が2点目をあげる。
20200831日本製鉄鹿島 佐藤竜
日本製鉄鹿島の先制タイムリーを放った佐藤竜

鹿島は3回にも2番藤本のレフトオーバーの2ベースを皮切りに、四球と生田目の2打席連続となるヒットで1死満塁のチャンスを作る。ここでJR東日本の浜岡監督は。鹿島打線にまだ左打者が続くこともあって西居→山口裕という左のサイドスローから左のサイドスローという継投に打って出る。すると山口裕はその期待に応えて、5番堀越を浅いレフトフライに、6番原田をセカンドフライに打ち取り、見事に起用に応えてみせる。
20200831日本製鉄鹿島 若山・土居バッテリー
4回途中までJR東日本打線を無得点に抑えた鹿島バッテリー

JR東日本は4回からエース左腕の伊藤をマウンドに送るが、この伊藤もパッとしない投球。先頭の佐藤竜に四球を与えてしまうと、バントと9番山田のヒットで1死1・3塁とされてしまう。伊藤はここで1番池間は見事に見逃しの三振に仕留めるも、2番藤本を歩かせてしまうと、3番林に対しても痛恨の押し出し四球を与えてしまう。伊藤らしくない、まさかの押し出しで鹿島がリードを3-0と広げた。
20200831JR東日本 伊藤
4回からマウンドに上がったJR東日本打のエース伊藤だが、本来の調子ではなかった

鹿島の先発はアンダースローの若山。こちらは初回からJR東日本打線を順調に打ち取っていき、4回まで1安打無失点という快投。ただ5回には先頭の丸子にヒットを浴びてしまい、さらに続く崇徳の1個上先輩である近森を打ち取ったところで両ベンチが動く。まずJR東日本は左の代打の大城を送ると、これで左打者が4人続くことになるので、ピッチャーを左腕の菊池に、さらにキャッチャーを昨年の社会人野球ベストナインである正捕手の片葺とバッテリーごと交換した。これを見たJR東日本の浜岡監督はさらに代打の代打として右の服部を送るなど、両チームともに実戦さながらの采配をみせる。結局この場面は菊地が服部を三振に仕留めるなどして、見事鹿島がピンチを凌ぎ、試合は3-0と鹿島がリードしたまま前半を終える。

6・7回はJR東日本の伊藤→永谷、鹿島の飯田とリリーフ陣の好投で両チームともに無得点に終わり、試合が動いたのは8回。JR東日本はこの回からリリーフエースの西田を投入するものの、鹿島は2死1塁からこの試合4三振と当たっていなかった池間がついにライト前にヒットを放ち1・2塁とすると、2番藤本は右中間を深々と破る2点タイムリー2ベースを放ち、リードを5点に広げる。
20200831日本製鉄鹿島 藤本
とどめとなる2点タイムリー2ベースを放った日本製鉄鹿島の藤本

鹿島は8回裏から元DeNAの伊藤をマウンドに送るものの、いきなり金子・杉崎に連続四球を与えてしまう。JR東日本の2番佐藤のあたりは、悪くはなかったもののショートの2塁ベースよりという絶好の併殺コースとなってしまい2死。ただ3番長谷川がライト前にタイムリーを放ちJR東日本が初得点、さらにこの試合4番に座った菅田もヒットで続いたところで、鹿島は伊藤を諦め、山井をマウンドに送る。スリークォーターの山井に対して、JR東日本は左の代打として山口雄を送るも、山井はアウトコースを中心に追い込んだあと、最後は膝元のカットボールで三振に仕留めJR東日本の反撃を断ち切る。最終回は能間が登板してJR東日本を3人で抑え、日本製鉄鹿島が5-1で勝利した。


20200831日本製鉄鹿島×JR東日本
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


都市対抗に向けて日本製鉄鹿島はこの週末から茨城予選が始まり、JR東日本の参加する東京2次予選も今月末には始まり、この試合の選手起用も本番モードになりつつあると感じた。まず鹿島であるが、この試合では1失点ながら投手を6人も起用。先発の若山は4回2/3を2安打無失点と素晴らしい投球をみせていたものの、そろそろと思ったのか回の途中で交代。8回に登板した元DeNAの伊藤も今日はマズいと思うと、1イニングを待たずに交代…元プロとしてはプライド的にもかなり厳しいものであろう。打者もDHのところを除けば、交代は守備固めのみであった。

JR東日本はなんといっても西居が先発というサプライズであったが、これは2年前の先発大澤を思い出させる。2年前も先発の柱となる投手がいなかったために、リリーフを主戦場としていたサイド左腕の大澤を先発にして、小刻みに投手をつないで都市対抗予選を戦い抜いた。エースとして期待される伊藤は、最近の試合ではリリーフ登板が増えていて、この試合でも4回からマウンドに上がった。リリーフエースの西田にも先発転向の噂もあったものの、この試合では定位置の8回から登板した。この試合では西居をショートスターターとする戦法はうまくいなかったが、本番でもない話ではないのかもしれない。

またこの試合では両チームともにルーキーが4番を務めた。鹿島の4番は星槎道都大から入社した生田目忍(日本ハムの生田目翼の弟)であり、172㎝とそれほど背丈はないものの、そのフルスイングは4番らしさを感じさせるものがあり、先制点の起点となるチーム初ヒットを放つなどこの試合では2安打の活躍であった。JR東日本の4番に座った菅田は、奈良学園大時代から二刀流として注目されており、JR東日本にも「14」という投手らしい背番号が示す通り、当初は投手登録で入社している。ただ持ち前の打力で外野手として出場機会を増やすと、1番も打つようになるなど徐々に打順をあげていき、ついには4番打者になった。ただJR東日本でいえば、本来は4番は丸子や渡辺が座るべきところで、全体的に打線に活気がなく、いわゆるカンフル剤的な意味もあるだろう。このままルーキー2人が4番で都市対抗に入っていくのかも注目していきたい。
20200831日本製鉄鹿島 生田目
日本製鉄鹿島の4番のルーキー生田目
20200831JR東日本 菅田
JR東日本の4番のルーキー菅田


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若山蒼人 日本製鉄鹿島 投手
~4回途中無失点の好投をみせたアンダースロー~
日本製鉄鹿島の先発の若山は4回途中まで、JR東日本打線を無得点に抑える素晴らしい投球をみせた。

若山は崇徳高時代は控え投手であり、3年夏も如水館戦に4番手として登板したくらいしか記録がない。ちなみ崇徳で若山の1個上のエースが、この試合でJR東日本の7番レフトとして出場した近森であった。若山に転機が訪れたのは中部学院大の2年夏であり、ここで原克隆の勧めもあってアンダースローに転向。すると2年秋にはリーグ戦デビューを果たし6試合に登板。4年春にはエースとして3勝、防御率1.42の活躍で最優秀投手を受賞し、チームを全日本大学野球選手権出場に導いた。日本製鉄鹿島に入社すると1年目はJABA日立大会や北海道大会では登板を果たしたものの、二大大会では登板がなく、今年2年目を迎えていた。

若山は189cm90kgという立派な体格のアンダースローであるが、タイプとしては高橋礼(ソフトバンク)のように力のある球を投げるわけでなく、どちらかというと山中(ヤクルト)のようなタイプの投手である。この試合でもストレートは120㌔台で、浮き上がるようなものもあれば、ツーシームのようなものも含まれており、スライダーも投げていたものの、このストレートの軌道で打ち取る投手のようだ。実際にJR東日本は1巡目は三振は1個もなかったものの、杉崎のヒットを除けば他は全員打ち取られてしまった。4回まで被安打1四死球1の無失点であった若山は、5回の先頭打者の丸子にヒットを浴びる。続く崇徳の先輩の近森は2打席連続となるサードフライに打ち取ったものの、JR東日本が左の代打を起用してきたいこともあり、ここでキャッチャー土居とともに降板となってしまった。

それでも投球内容としては4回1/3を2安打3奪三振無失点というものであり、十分に先発としての仕事をこなしたと言える。この内容で降板となったことに関しては、まだ首脳陣からの信頼も完全なものではない気もするが、都市対抗予選に向けていいアピールにはなっただろう。今年はもうドラフトまでアピールの機会が少ないので厳しいかもしれないが、都市対抗でいいピッチングをすればアンダースローという希少種だけに、来年のドラフトでは十分に指名もあり得る投手だろう。

20200831日本製鉄鹿島 若山
5回途中までJR東日本打線を2安打無得点に抑えた鹿島



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