日立製作所×日本製鉄鹿島【都市対抗北関東予選】
10/3 都市対抗北関東予選 第1代表決定戦
日立製作所×日本製鉄鹿島 @太田市運動公園野球場
試合経過
都市対抗北関東予選の第1代表決定戦は、ともに茨城をホームとし、昨年の都市対抗にも北関東(2枠)の代表として出場した日立製作所と日本製鉄鹿島の試合となった。
試合は2回表、日立は田中・濱元の連打で1死1・2塁のチャンスを作ると、伊藤拓が河野に死球を与えてしまい満塁。このチャンスに8番吉田は綺麗にセンター前に弾き返し日立が先制。そこから9番中園は三振で2死満塁となるものの、1番野中が変化球をうまく流し打って三遊間を破って2点目、ただ2塁からホームを狙った河野は、鹿島のレフト堀越の好返球の前にホームタッチアウトとなり、この回は2点止まりとなる。

先制タイムリーを放った日立製作所の吉田
日立は4回表にも、先頭の濱元が2打席連続となるレフト前ヒットを放ち出塁すると、続く河野のバントを伊藤拓が1塁に暴投してしまい無死1・3塁。鹿島はここで早くも、この暴投も含めてどこか本調子でない伊藤拓に代えて、同じく帝京高の後輩でもある左腕菊地をマウンドに送る。菊地は9番中園にタイムリーを浴びてしまうも、続くピンチでは2番豊田からインコースのストレートで見逃し三振を奪ってピンチを脱した。菊地は、成瀬を彷彿とさせるテイクバックの小さなフォームから繰り出す140㌔前後のストレートと、130㌔前後のツーシーム(?)、さらにはスライダー・カーブといった変化球で、5回・6回ともに日立打線を無得点に抑えていく。

日本製鉄鹿島の2番手の菊地
日立の先発の青野は3回まで素晴らしい投球をみせていた。Max145㌔のストレートに加えて、スライダー・カットボール・フォーク・カーブと変化球が多彩で、コントロールも安定しており、3回までは全く危なげのないピッチングであった。ただ4回になるといきなり制球が乱れはじめ、先頭の堀越にこの試合初めての四球を与えてしまう。続く4番高畠の打球はセカンドゴロ併殺となり2死となったものの、またそこから2個の四球を与えてしまい、内野安打も絡んで2死満塁のピンチを招いてしまう。ただ8番土居に対してはやっとストライクが先行するようになり、最後はフォークで三振に仕留めてピンチを脱すると、5回も1番藤本をセカンドゴロ併殺に打ち取るなどして3人で抑えて、5回4安打6奪三振無失点というまずまずの内容でマウンドを降りることとなる。

5回無失点と結果を残した日立製作所の先発青野
日立が3-0とリードしたまま膠着状態になりつつあった試合だが、その状態を打破したものは、日立の主将の一振りであった。7回表1死の場面で打席に立つと、初球の菊池のカーブを捉え、打球は日立ファンのいるレフトスタンドに飛び込むソロホームランとなる。菊地にしれみれば、本当にこの1球だけが悔やまれるボールであったことだろう。

7回に貴重な追加点となるソロを放った日立製作所の大塚
6回から2番手として、昨年の都市対抗で若獅子賞に輝いた左腕の岡をマウンドに送った日立。コントロール抜群の岡は素晴らしい投球をみせて、6・7回と鹿島打線を3者凡退に抑える。これで流れをモノにした日立は8回・9回とチャンスを作るものの、鹿島も菊池→山井→能間と必死の継投で、さらにライト山田の好返球で代走の俊足諸積を刺すなどして追加点を与えない。ただそんな追加点なんて話は今日の岡には関係なかったようで、8回・9回も鹿島打線を3者凡退に抑え、計4イニングをパーフェクトリリーフ。青野→岡と2年目コンビで完封リレーを完成させた日立製作所が4-0で日本製鉄鹿島を破り、都市対抗の北関東第1代表の座を手にした。

都市対抗本戦出場を決めてマウンドに集まる日立製作所ナイン

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
この試合の両先発投手の起用は対照的であった。鹿島は伊藤が満を持して、この北関東予選初登板初先発。対する日立は中1日で青野が、準決勝に続いて、先発のマウンドに上がった。本来ならば伊藤の方が青野より万全なはずだが、そこが難しいところで、青野が5回無失点と結果を出したのに対して、伊藤はまさかの4回途中3失点で降板し、結果的にこの差がそのまま試合の試合の勝敗に繋がった。
伊藤は帝京高の1年夏に甲子園で147㌔をマークしたときのような豪速球はないものの、そこからDeNA→群馬ダイヤモンドペガサスでプレーして培った経験が生きており、140㌔前後のストレートにスライダーやSFFを駆使した投球を披露。ただ2回に2点を失うと、3回にも自らのバント処理エラーでピンチを招くなど、本来の投球でできておらずに降板。今年は勇退した玉置(元阪神)に代わる投手陣の大黒柱として期待されていただけに、鹿島から見れば、まさか…という結果であろう。ただそこまで悲観する必要はなく、翌日の第2代表決定戦に勝利すれば都市対抗出場が決まる。相手のSUBARUには準決勝で勝利しており、その時に1失点完投勝利をあげた飯田も今日は登板がなく翌日に備えている。

日本製鉄鹿島の先発伊藤拓
Pickup Player
岡直人 日立製作所 投手
~見事すぎる4イニングパーフェクトリリーフ~
6回からリリーフとしてマウンドに上がり、4イニングをパーフェクトに抑え、鹿島の息の根を完全に止めた岡の投球は見事であった。
徳山商工→徳山大と地元でプレーをしていた岡が一躍有名になったのは4年春。エース兼主将として臨んだリーグ戦では13試合中9試合に先発して7勝をあげるというタフネスぶりでMVPを受賞して、チームを優勝に導いた。全日本大学野球選手権では準々決勝で、太田(楽天)率いる大商大と対戦して、タイブレークを含む延長11回1失点完投勝利をあげて、チームをベスト8に導いた。日立製作所に入社すると1年目の都市対抗では、4試合にリリーフ登板して、いずれも無失点で若獅子賞を受賞し、今季2年目を迎えていた。
岡は173㎝とどちらかというと小柄な投手であり、ストレートも140㌔ちょっとであるが、何といっても捕手の要求通りにきっちりと投げられるのが最大の武器。この試合でも、そんな最大の武器がいかんなく発揮された。6回から2番手としてマウンドに上がると、鹿島の攻撃はいきなり3番からの好打順であったが、3番堀越をアウトコースのストレートで見逃しの三振に仕留めると、4番高畠・5番林も打ち取り無失点。これで投げれに乗ると、持ち前のテンポの良さで次々に鹿島打線を打ち取っていく。ストレートはMax143㌔であったが、投球で最も多かったのは130㌔前半のカットボール、さらにフォークのような変化球も投げていた。コントロールは抜群であり、特に左腕らしく左バッターのアウトコース、右バッターのインコースには絶妙なところに決まっていた。岡は最後まで4イニングを鹿島打線に1人のランナーも許すことなく投げ切り、都市対抗出場が決まった瞬間はマウンド上で両手を掲げた。
大卒で今年2年目を迎えるために、岡にとっては今年はドラフト解禁の年となる。成績だけ見れば十分に指名はありえる選手だが、球自体が群を抜いているタイプではないために、プロがどう評価するかは分からないところもある。こういう実戦派の投手にとっては、やはり2大大会で成績を出すことが1番であるが、1年目は都市対抗で活躍したものの、日本選手権は予選は敗退、今年もコロナの影響で日本選手権は中止となり、出場を決めた都市対抗の開幕はドラフト会議の後である。そういう状況もあるが、リリーフの補強が急務な球団は即戦力として指名もあると思わせるほど、この試合での投球は素晴らしいものであった。


4回パーフェクトリリーフで日立製作所を都市対抗出場に導いた岡
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日立製作所×日本製鉄鹿島 @太田市運動公園野球場
試合経過
都市対抗北関東予選の第1代表決定戦は、ともに茨城をホームとし、昨年の都市対抗にも北関東(2枠)の代表として出場した日立製作所と日本製鉄鹿島の試合となった。
試合は2回表、日立は田中・濱元の連打で1死1・2塁のチャンスを作ると、伊藤拓が河野に死球を与えてしまい満塁。このチャンスに8番吉田は綺麗にセンター前に弾き返し日立が先制。そこから9番中園は三振で2死満塁となるものの、1番野中が変化球をうまく流し打って三遊間を破って2点目、ただ2塁からホームを狙った河野は、鹿島のレフト堀越の好返球の前にホームタッチアウトとなり、この回は2点止まりとなる。

先制タイムリーを放った日立製作所の吉田
日立は4回表にも、先頭の濱元が2打席連続となるレフト前ヒットを放ち出塁すると、続く河野のバントを伊藤拓が1塁に暴投してしまい無死1・3塁。鹿島はここで早くも、この暴投も含めてどこか本調子でない伊藤拓に代えて、同じく帝京高の後輩でもある左腕菊地をマウンドに送る。菊地は9番中園にタイムリーを浴びてしまうも、続くピンチでは2番豊田からインコースのストレートで見逃し三振を奪ってピンチを脱した。菊地は、成瀬を彷彿とさせるテイクバックの小さなフォームから繰り出す140㌔前後のストレートと、130㌔前後のツーシーム(?)、さらにはスライダー・カーブといった変化球で、5回・6回ともに日立打線を無得点に抑えていく。

日本製鉄鹿島の2番手の菊地
日立の先発の青野は3回まで素晴らしい投球をみせていた。Max145㌔のストレートに加えて、スライダー・カットボール・フォーク・カーブと変化球が多彩で、コントロールも安定しており、3回までは全く危なげのないピッチングであった。ただ4回になるといきなり制球が乱れはじめ、先頭の堀越にこの試合初めての四球を与えてしまう。続く4番高畠の打球はセカンドゴロ併殺となり2死となったものの、またそこから2個の四球を与えてしまい、内野安打も絡んで2死満塁のピンチを招いてしまう。ただ8番土居に対してはやっとストライクが先行するようになり、最後はフォークで三振に仕留めてピンチを脱すると、5回も1番藤本をセカンドゴロ併殺に打ち取るなどして3人で抑えて、5回4安打6奪三振無失点というまずまずの内容でマウンドを降りることとなる。

5回無失点と結果を残した日立製作所の先発青野
日立が3-0とリードしたまま膠着状態になりつつあった試合だが、その状態を打破したものは、日立の主将の一振りであった。7回表1死の場面で打席に立つと、初球の菊池のカーブを捉え、打球は日立ファンのいるレフトスタンドに飛び込むソロホームランとなる。菊地にしれみれば、本当にこの1球だけが悔やまれるボールであったことだろう。

7回に貴重な追加点となるソロを放った日立製作所の大塚
6回から2番手として、昨年の都市対抗で若獅子賞に輝いた左腕の岡をマウンドに送った日立。コントロール抜群の岡は素晴らしい投球をみせて、6・7回と鹿島打線を3者凡退に抑える。これで流れをモノにした日立は8回・9回とチャンスを作るものの、鹿島も菊池→山井→能間と必死の継投で、さらにライト山田の好返球で代走の俊足諸積を刺すなどして追加点を与えない。ただそんな追加点なんて話は今日の岡には関係なかったようで、8回・9回も鹿島打線を3者凡退に抑え、計4イニングをパーフェクトリリーフ。青野→岡と2年目コンビで完封リレーを完成させた日立製作所が4-0で日本製鉄鹿島を破り、都市対抗の北関東第1代表の座を手にした。

都市対抗本戦出場を決めてマウンドに集まる日立製作所ナイン

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
この試合の両先発投手の起用は対照的であった。鹿島は伊藤が満を持して、この北関東予選初登板初先発。対する日立は中1日で青野が、準決勝に続いて、先発のマウンドに上がった。本来ならば伊藤の方が青野より万全なはずだが、そこが難しいところで、青野が5回無失点と結果を出したのに対して、伊藤はまさかの4回途中3失点で降板し、結果的にこの差がそのまま試合の試合の勝敗に繋がった。
伊藤は帝京高の1年夏に甲子園で147㌔をマークしたときのような豪速球はないものの、そこからDeNA→群馬ダイヤモンドペガサスでプレーして培った経験が生きており、140㌔前後のストレートにスライダーやSFFを駆使した投球を披露。ただ2回に2点を失うと、3回にも自らのバント処理エラーでピンチを招くなど、本来の投球でできておらずに降板。今年は勇退した玉置(元阪神)に代わる投手陣の大黒柱として期待されていただけに、鹿島から見れば、まさか…という結果であろう。ただそこまで悲観する必要はなく、翌日の第2代表決定戦に勝利すれば都市対抗出場が決まる。相手のSUBARUには準決勝で勝利しており、その時に1失点完投勝利をあげた飯田も今日は登板がなく翌日に備えている。

日本製鉄鹿島の先発伊藤拓
Pickup Player
岡直人 日立製作所 投手
~見事すぎる4イニングパーフェクトリリーフ~
6回からリリーフとしてマウンドに上がり、4イニングをパーフェクトに抑え、鹿島の息の根を完全に止めた岡の投球は見事であった。
徳山商工→徳山大と地元でプレーをしていた岡が一躍有名になったのは4年春。エース兼主将として臨んだリーグ戦では13試合中9試合に先発して7勝をあげるというタフネスぶりでMVPを受賞して、チームを優勝に導いた。全日本大学野球選手権では準々決勝で、太田(楽天)率いる大商大と対戦して、タイブレークを含む延長11回1失点完投勝利をあげて、チームをベスト8に導いた。日立製作所に入社すると1年目の都市対抗では、4試合にリリーフ登板して、いずれも無失点で若獅子賞を受賞し、今季2年目を迎えていた。
岡は173㎝とどちらかというと小柄な投手であり、ストレートも140㌔ちょっとであるが、何といっても捕手の要求通りにきっちりと投げられるのが最大の武器。この試合でも、そんな最大の武器がいかんなく発揮された。6回から2番手としてマウンドに上がると、鹿島の攻撃はいきなり3番からの好打順であったが、3番堀越をアウトコースのストレートで見逃しの三振に仕留めると、4番高畠・5番林も打ち取り無失点。これで投げれに乗ると、持ち前のテンポの良さで次々に鹿島打線を打ち取っていく。ストレートはMax143㌔であったが、投球で最も多かったのは130㌔前半のカットボール、さらにフォークのような変化球も投げていた。コントロールは抜群であり、特に左腕らしく左バッターのアウトコース、右バッターのインコースには絶妙なところに決まっていた。岡は最後まで4イニングを鹿島打線に1人のランナーも許すことなく投げ切り、都市対抗出場が決まった瞬間はマウンド上で両手を掲げた。
大卒で今年2年目を迎えるために、岡にとっては今年はドラフト解禁の年となる。成績だけ見れば十分に指名はありえる選手だが、球自体が群を抜いているタイプではないために、プロがどう評価するかは分からないところもある。こういう実戦派の投手にとっては、やはり2大大会で成績を出すことが1番であるが、1年目は都市対抗で活躍したものの、日本選手権は予選は敗退、今年もコロナの影響で日本選手権は中止となり、出場を決めた都市対抗の開幕はドラフト会議の後である。そういう状況もあるが、リリーフの補強が急務な球団は即戦力として指名もあると思わせるほど、この試合での投球は素晴らしいものであった。


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