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三菱重工広島×日本製鉄鹿島【都市対抗】

11/25 都市対抗野球大会1回戦
三菱重工広島×日本製鉄鹿島 @東京ドーム

試合経過

1回表、三菱重工広島は1番市原がショートへの内野安打で出塁すると、盗塁を決め、3番実政のセカンドゴロの間に進塁して、2死3塁で4番松永を迎える。すると松永は、日本製鉄鹿島の先発飯田のインコースのフォークをレフト線に持っていき、これがタイムリー2ベースとなり三菱重工広島が先制。さらに5番松原も同じように、レフト線にタイムリー2ベースを放ち2点目をあげる。

三菱重工広島は3回表にも、同じように先頭の市原が三遊間を破るヒットで出塁すると、2番田中が送って、3番実政のセカンドゴロの間に進塁と、初回のデジャヴのようなに2死3塁で4番松永を迎える。松永は今度はサード強襲のタイムリーを放ち、三菱重工広島が3-0とリードを広げ、日本製鉄鹿島の飯田は次の松原に死球を与えたところで降板となってしまう。
20201125三菱重工広島 市原
1回・3回ともに得点の起点となった三菱重工広島の1番市原

日本製鉄鹿島の反撃は3回裏、1死から1番池間が内野安打で出塁すると、この試合前に10年表彰を受けた2番堀越が右中間に2ベースを放ち2・3塁のチャンスを作る。4番高畠は初球を打ちにいくと、つまりながらもうまくライト前に運び、池間・堀越が生還して1点差に迫る。さらに4回裏には、この回先頭の7番生田目が左中間スタンドにソロホームランを放ち、日本製鉄鹿島が3-3の同点に追いつく。
20201125日本製鉄鹿島 生田目
同点ホームランを放った日本製鉄鹿島のルーキー生田目

日本製鉄鹿島は3回に飯田が降板した後を、東洋大の先輩である能間が登板していた。3回のピンチを凌ぎ、4回も無得点に抑えた能間であったが、5回表に三菱重工広島打線が奮起する。三菱重工広島はまず先頭の2番田中がセーフティバントを決めて出塁すると、3番実松のショート強襲ヒットで1・3塁とし、4番松永が3打席連続となるタイムリーを放ち勝ち越し。5番松原が送って2・3塁とすると。6番岡の打球は前進守備のセカンドの頭上を越えるタイムリー、7番櫻井は1塁線に絶妙なセーフティスクイズを決めると、8番青木の打球もサードの頭上を越えてレフト前に落ちて、この回計4点を奪って、今後は能間をマウンドから引きずり降ろす。

三菱重工広島の先発は、シティライトからの補強選手であり、ヤクルトにも所属していた左腕の児山。児山は腕の出どころがみづらく、また常時クイック気味の早いモーションで投げてくるためにタイミングが取りづらい。ストレートはMax141㌔であったが、スライダー・チェンジアップに加えて、91㌔という超スローカーブなどで緩急をつけたピッチングをみせた。2階以降はランナーを出しながらも、5回3失点と先発として最低限の役割を果たした。
20201125三菱重工広島 児山
三菱重工広島の先発を務めた児山

三菱重工広島は6回から2番手として、サイド右腕の長島が登板。ただ長島に対して、日本製鉄鹿島打線は7回裏、先頭の池間が3塁戦を破る2ベースを放つと、3番林の打球をファースト松永がエラーしてまいまず1点。さらに4番高畠は、高めのボールを左中間スタンドに運ぶ2ランを放ち、日本製鉄鹿島が6ー7と1点差に迫る。
20201125日本製鉄鹿島 高畠
1点差に迫る2ランホームランを放った日本製鉄鹿島の4番高畠

1点差に迫られた三菱重工広島は、8回からチームの象徴的存在である右腕の鮫島を投入。日本製鉄鹿島は先頭の坂口が詰まりながらもセンター前に運び、そこから2死3塁のチャンスを作るも、最後は鮫島が得意のフォークで堀越を三振に仕留め無得点。最終回も鮫島が3人で締めて、三菱重工広島が7ー6で勝利した。
20201125三菱重工広島バッテリー
勝利をおさめた鮫島ー佐々木の三菱重工広島バッテリー


20201125三菱重工広島×日本製鉄鹿島
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


三菱重工広島は来年からは三菱重工神戸高砂に合併される形となり、これが三菱重工広島として参加する大会は最後になり、敗ける=三菱重工広島としての活動が終わることになる。そんな中で奮起したのは、チームにより愛着があるだろうベテラン選手立ちであった。1番~5番の上位打線は、1番若いのが29歳の市原というさらに高齢な布陣であったが、4安打3打点の4番松永をはじめとして、チーム7得点のうち、打点は5、得点は6とこのベテラン勢がほぼ全ての得点をあげている。また投手でもコーチ兼任の鮫島の奮闘が光った。長年完投型のエースとしてチームを支えてきた右腕は、今年はクローザーを務めており、先発のときのクールに投げ続けるイメージと違って、気迫十分の投球で試合を締めた。三菱重工広島の選手たちは来年から引退するか、神戸高砂に合流するかの選択を迫られることになる。ただベテラン選手でいえば実力があっても、これを引退の機会とする選手も少なくないはずであり、チームとしてだけでなく個人としても最後の都市対抗として覚悟を決めている選手もいるのかもしれない。
20201125三菱重工広島 鮫島
今大会ではクローザーを務める三菱重工広島の鮫島

日本製鉄鹿島は昨年で投手陣の柱であった元阪神の玉置が勇退し、今年は飯田・能間・伊藤の3本柱として大会に臨んでいたが、この3人がともに結果を出せずに7失点してしまったのが痛かった。北関東予選ではSUBARUから2度も完投勝利をあげてチームを本戦出場に導いた飯田を先発として送り出したものの3回途中で降板。飯田の後を受け継いだのは、東洋大の先輩であり、東洋大ではエース兼主将を務めたもののドラフト指名漏れで日本製鉄鹿島に入社したという共通点の多い能間であったが、能間も同点に追いつけてもらったにもかかわらず、5回には4点の勝ち越しを許した。3番手の伊藤はMax149㌔をマークするなど全盛期のストレートに近いものは見えたものの、2回1/3で6安打を浴びてしまい、正直無失点であったのは運が良かったという内容。結局最後は昨年と同じく補強の角田に頼ることとなり、角田が2回ノーヒット無失点という素晴らしい投球をみせた。エースの確立というのは、日本製鉄鹿島の来年に向けての課題となる。
20201125日本製鉄鹿島 飯田
日本製鉄鹿島の先発飯田、来年はエースになることが期待される


Pickup Player
松永弘樹 三菱重工広島 ファースト
~3打席連続タイムリーの4番打者~
3打席連続タイムリーヒットを放った、三菱重工広島の4番松永の活躍は大きかった。

松永は広陵高時代から高い守備力をはじめとして走攻守揃った内野手として注目されており、中井監督も「上本を超える」とコメントしたほどの選手であった。同期のエース吉川(来年から西武に移籍)がおり、1個下には野村(広島)・小林(巨人)ら翌年に甲子園準優勝を果たす世代がいたチームでは、1番ショートとして活躍したものの、甲子園出場はならなかった。早稲田大に進学すると、2年春よりショートのレギュラーを掴み、3年秋にはベストナインを獲得。早稲田大の同期には、齋藤(日本ハム)・大石(西武コーチ)・福井(楽天)のドラ1トリオがおり、4年秋には明治神宮大会を制覇している。

三菱重工広島ではショートの他にもセカンドやサードなどもマルチにこなし、今回が都市対抗7度目の出場(補強選手としての出場も含む)。上述の通り1・2番ショートというタイプの選手であった松永だが、社会人も10年目を迎え、円熟味を増してきており、今年の松永のポジションは4番ファースト。中国予選では打率.095の不振に陥ったものの、元広島の町田監督はこの本戦でも松永を4番ファーストで起用した。

迎えた第1打席は初回の2死3塁というゲームの流れを左右する場面であり、松永はカウント1B2Sと追い込まれてしまうも、4球目のインコースのフォークをレフト線にもっていく先制タイムリーを放った。このヒットで、松永は(投手よりに)前に1歩出ながらスイングという、高い技術と見事な読みの成果ともいえる一打であった。同じく2死3塁で迎えた3回の第2打席では、今度はストレートを強振して、サードを強襲するタイムリーヒット。無死1・3塁の3打席目では、センター前にうまく運んで3打席連続でタイムリーヒットをマーク。ランナー無しで迎えた4打席目では、1塁線に絶妙なセーフティバントを決めるなど、まだまだ走力もあるところも見せつけた。結局この試合で松永は5打数4安打3打点という活躍で、4番打者として決してパワーのある選手ではないものの、その勝負強さでチームの勝利の立役者となった。

実は松永は、今季限りで引退を決めており、三菱重工広島というチームとともにこれが最後の都市対抗。この大会に懸ける思いは人一倍であるだろうし、そんな思いがこの試合の結果にも乗り移ったのだと思う。是非とも都市対抗で勝ち上がり、少しでも長くプレーする姿を見たいところである。

20201125三菱重工広島 松永
三菱重工広島の4番打者として4安打3打点の活躍をみせた松永



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セガサミー×トヨタ自動車【都市対抗】

11/22 都市対抗野球大会1回戦
セガサミー×トヨタ自動車 @東京ドーム

試合経過

セガサミーは1回表、1死から2番大内がセーフティバントで出塁すると、続く3番小野田は3塁線を破り、補強コンビの活躍で1・3塁のチャンスを作る。ただここで広島からドラフト1位指名を受けた、トヨタの先発栗林はギアをあげたのか、4番澤良木を低めの変化球で三振に仕留める。5番本間は2球目にあわやホームランという大ファールを放つも、3球目の149㌔の高めのストレートで空振り三振。栗林が本領を発揮し、初回のピンチを凌いだ。

するとトヨタは1回裏、先頭の徳本が初球を綺麗にセンターに弾き返して出塁すると、自慢の俊足を生かして2番北村の2球目に盗塁を決める。器用さに関しては社会人野球トップクラスの2番北村であるが、この場面では3バント失敗となってしまう。3番多木はセカンドゴロで徳本は3塁へ進み、4番沓掛は歩かされ、2死1・3塁となる。ここで迎えるのは、西濃運輸からの補強である5番谷であり、谷は初球を捉えるも、打球はあと1歩足らず、レフトフェンス際で本間がキャッチしてこちらも初回のチャンスを生かせない。
20201122トヨタ自動車 徳本
1打席目からヒット放ちチャンスを作ったトヨタの1番徳本

セガサミーは2回表、1死から7番ルーキー中川がショート内野安打で出塁。8番北阪は初球の、高めの143㌔のストレートを振り抜くと打球はライトスタンドの上段まで飛ぶ2ランホームラン。予選では3番を打っていたものの、この試合では打順が8番に降格になっていた北阪が、その悔しさを晴らす素晴らしい2ランを放ち、セガサミーが2点を先制する。
20201122セガサミー 北阪
先制2ランを放ったセガサミーの北阪

打たれた栗林であったが、まさにこの1球が…というところで、以降は素晴らしい投球をみせる。ストレートはMax150㌔をマークし、140㌔前後のカットボール、パワーカーブ、フォークボールといった変化球を操っていた。特にこの試合ではフォークを決めた球として使えており、これで三振を量産していた。特にセガサミーの中軸である、4番澤良木・5番本間からはそれぞれ3打席連続三振を奪っており、7回まで13奪三振をマークした。
20201122トヨタ自動車 栗林
7回2失点13奪三振の好投をみせたトヨタの先発栗林

トヨタ打線は、セガサミーの先発の草海の前に、2~5回はいずれも打者3人で抑えられてしまっていた、ただ6回裏には1死から1番徳本が粘った末にヒットで出塁すると、続く北村の打球は大飛球となるも、これもあと1歩及ばずにレフト本間がフェンス際でキャッチ。この当たりと、次が左バッターの多木ということもあってか、セガサミーの西田監督はここで好投の草海に代えて、明治安田生命からの補強選手である左腕の三宮をマウンドに送ると、三宮は多木をショートゴロに打ち取ってみせる。
20201122セガサミー 三宮
セガサミーの2番手として好リリーフをみせた三宮

トヨタも8回から2番手として嘉陽がマウンドに上がる。嘉陽は投じた23球のうち、20球ほどがストレートという、187㎝の長身から繰り出すMax152㌔のストレートで押すピッチング。これで打者6人をノーヒット、4奪三振に抑え、東京ドームに詰めかけたファンに強烈なインパクトを与える。亜細亜大でも下級生のころまでは速球派であったものの、その後は変化球を駆使した投球にモデルチェンジしていたが、ここに来て速球派として見事に復活を遂げた形であった。
20201122トヨタ自動車 嘉陽
打者6人をノーヒット4奪三振と圧倒的な投球をみせたトヨタの2番手嘉陽

セガサミー8回からは、ベテランの陶久がマウンドに上がる。陶久はストレートはMax147㌔をマークしたものの、得意のフォークを軸とした投球で、8回を3人で抑えて、引き続き2点リードのまま最終回もマウンドに上がる。最終回のトヨタの攻撃はこの試合唯一当たっていた1番徳本からであったが、9回表の守備のときに後ろに倒れこむようにフライをキャッチした影響か…治療タイムの後にも徳本は現れずに代打西潟が打席に立ち、自慢のフルスイングを見せるも三振。続く代打河原の打球は三遊間のいいところに転がるも、セガサミーのショート中川が自慢の強肩を見せつけ2アウトとなる。3番多木はセカンドへの内野安打で出塁して、ホームランがでれば同点という場面で、昨年の社会人野球本塁打王の4番沓掛を迎えたものの、最後は陶久がセカンドゴロに打ち取りゲームセット。セガサミーが完封リレーで2-0と勝利した。
20201122セガサミー 陶久
最後の打者を打ち取りガッツポーズのセガサミーの抑え陶久


20201122セガサミー×トヨタ自動車
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

大会前の監督アンケートでも優勝予想チームとしてトップの票を集めるなど優勝候補の本命とされていたトヨタ自動車がまさかの初戦敗退。トヨタといえばミスター社会人といわれる佐竹、経験豊富な川尻、さらには王子から近藤を補強して、いわゆる社会人のレジェンドともいえる投手を3人も擁していたものの、この3投手を登板させることなく敗れてしまった。ただ先発の栗林は2点を失ったものの、まさに1球に泣いた形でそれ以外は得点を与えなかった。8回に嘉陽が登板した際には。「なんで佐竹温存している場合じゃないだろ!?」と思ったが、嘉陽はそんな外野の野次を黙らせる素晴らしい投球をみせた。この試合では計17奪三振を奪うなど投手陣としては問題はなかった。ただ打線は水物という言葉を体現するかのように、この試合では打てなかった。ある意味強豪チームが敗ける、典型的なパターンの試合となってしまった。

してやったりなのはセガサミーの西田監督だ。選手としては広島で活躍し、その後は広島のコーチ、さらには香川オリーブガイナーズで13年間監督をつとめ、今年からセガサミーの監督に就任していた。先発が予想された森井でなく、予選で好投をみせた草海を先発のマウンドに送ると、この草海が素晴らしいピッチングをみせる。その草海を6回途中に交代を告げた際には、草海が不満そうな顔をするのも分かる状態であったが、結果的にはこの継投が功を奏して三宮→陶久とつないで完封リレーを達成。試合後のインタビューでは、インタビューをそっちのけで、ハイテンションに喋っていたあたり、この試合に懸けていた思いと、してやったり感が伝わった。また来年から広島に入団する栗林に対しも、広島のOBとして勝負の世界を見せつけた形となった。


Pickup Player
草海光貴 セガサミー 投手
~投手再転向から1年でやってのけた大仕事~
昨年投手に再転向したセガサミーの草海が、この大一番でトヨタ相手に素晴らしいピッチングをみせた。

草海は上田西に入学すると、持ち前の野球センスで1年夏からサードとして活躍。2年春からはチームのエースとなりと、2年夏には長野大会決勝では、元山(ヤクルトドラフト4位)率いる佐久長聖から10回1失点完投勝利をあげるなどして甲子園出場を果たす。甲子園では初戦で、宮崎日大の杉尾(日立製作所)と投げ合い完封勝利をおさめるも、2回戦では作新学院に打ちこまれて敗れた。3年夏は3番エース兼レフトとして出場するも、東京都市大塩尻に敗れ、2年連続での甲子園出場はならなかった。

168㎝と小柄な選手であったことと、持ち前の野球センスを評価され、卒業後はセガサミーに野手として入社。しかし3年目を迎えら昨年の夏に志願して、投手に再転向していた。再転向2年目となった今年は、都市対抗東京予選の第3代表決定戦に先発して7回無失点の好投をみせ、第3代表での都市対抗出場に大きく貢献。この重要な都市対抗初戦ではエース森井の先発が予想されていたが、西田監督は予選での実績もあってかこの試合の先発に草海を指名した。

草海は168㎝と小柄ながら体にバネがあり、ストレートはMax145㌔をマーク。ストレートには球速差のあまりない2チームも混じっており、変化球はスライダーに加えて、非常にブレーキの利いたチェンジアップを投じていた。初回に徳本のヒットからいきなり無死2塁のピンチを背負うも、後続を落ち着いて打ち取ると、2~5回はトヨタの攻撃を3人ずつで抑えるピッチング。度胸もあり、自分のピッチングをしっかりと貫くことができるのは草海の強みである。6回には久しぶりにランナーを出し、北村に大飛球(レフトフライ)を打たれたところで降板。5回2/3を3安打無失点4奪三振という素晴らしい内容で、交代がやや不満そうに見えたのも納得の内容であった。

投手再転向で早くも社会人No1というチームを撃破してしまった草海。そのセンスには素晴らしいものがある。168㎝と小柄なことはプロ入りという面から見ればネックになるかもしれないが、まだ高卒4年目と若いこともあり、実績を積んでいけば、プロも見えてくる投手であろう。

20201122セガサミー 草海
6回途中無失点の見事なピッチングをみせたセガサミーの先発草海



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JFE東日本×三菱自動車倉敷オーシャンズ【都市対抗】

11/22 都市対抗野球大会1回戦
JFE東日本×三菱自動車倉敷オーシャンズ @東京ドーム

試合経過

2020年都市対抗の開幕戦は、前年度王者のJFE東日本に、16年ぶりの出場となった三菱自動車倉敷オーシャンズの対戦となった。

JFE東日本の先発は、昨年の大会でも先発を務め、防御率1.69と結果を出した本田。そんな本田に対して倉敷オーシャンズは、1番竹井が初球を打ち返してセンター前ヒットで出塁すると、3番大倉の四球もあって、2死2・3塁で5番田村を迎える。田村は2球目の厳しいインコースのストレートをうまくレフト線に運ぶ2ベースを放ち、倉敷オーシャンズが2点を先制する。
20201114三菱自動車倉敷オーシャンズ 田村
先制の2点タイムリーを放つ倉敷オーシャンズの田村

倉敷オーシャンズは2回裏にも1死から、9番沖が左中間への2ベースで出塁すると、2死2塁となってから2番平山の打球は逆方向に伸びて、前目に守っていたレフト今川の頭上を越えるタイムリー2ベース。倉敷オーシャンズが3-0とリードを広げた。
20201114三菱自動車倉敷オーシャンズ 平山
レフトオーバーのタイムリー2ベースを放った倉敷オーシャンズの平山

倉敷オーシャンズの先発の廣畑のMax154㌔の力のあるストレートの前に、完全に沈黙していたJFE東日本打線であるが、4回表に2死から6番西村がうまくライト前に運ぶと、7番内藤はバットを折られながらも内野安打として青山学院大コンビの活躍で2死1・2塁。ここで迎えたのは土屋の勇退による正捕手争いを制して、この都市対抗のスタメンマスクの座を手にした猪田。打撃が持ち味の捕手である猪田は初球を捉えると1・2塁間を破りJFE東日本が初得点をあげる。
20201122JFE東日本 猪田
ライトへタイムリーを放つJFE東日本の猪田

JFE東日本は5回表、先頭の1番中澤がライト線に2ベースを放ち出塁。廣畑に苦しんだJFE打線において、中澤は1打席目はセカンドライナー、2打席目は右中間に3ベースと唯一当たっていた。JFE東日本は昨年の今川に続き、今年も岡田という2番に強打者を起用していたが、ここは勝負どころとみたのか、バントのために代打鳥巣を起用。ただ鳥巣のバントは、廣畑の好フィールディングもあり中澤が3塁タッチアウトとなり、JFE東日本の攻撃はなかなか波に乗れない。
20201122JFE東日本 中澤
長打2本とJFE東日本打線で唯一廣畑にあっていた中澤

JFE東日本は2回で早くも本田を諦め、2番手としてルーキーの本定をマウンドに送る。本定は得意のフォークを軸にして三振を量産。3・4回の2イニングをなげて、アウト6個のうち5個を三振で取って2回無失点という素晴らしい都市対抗デビューを飾る。本定の後も、5回は高木、6回は林と都市対抗初登板の投手が無失点リリーフみせる。さらに7回からは、昨年の橋戸賞を獲得した、リリーフエースの元DeNAの須田を投入。須田はランナーこそ出したものの、コントロール抜群のストレートとキレのあるスライダーで2イニングで4三振を奪って、味方の反撃を待つ。
20201122JFE東日本 須田
7回から2イニングを無失点に抑えたJFE東日本の須田

廣畑は試合が後半になるについて、なかなか150㌔をマークする球も少なくなり、序盤ほどの勢いはなくなってきたものの、それでも四球は出さないなど安定した投球をみせ、JFE東日本は6回以降2塁も踏めない展開が続くこととなる。最終回もあえなく、3者凡退に終わってしまい、廣畑は9回1失点完投勝利。三菱自動車倉敷オーシャンズが3-1で勝利し、前回王者がいきなり敗れるという都市対抗は波乱の幕開けとなった。
20201114三菱自動車倉敷オーシャンズ 廣畑1
完投勝利をあげてガッツポーズの倉敷オーシャンズの廣畑


20201122JFE東日本×三菱自動車倉敷オーシャンズ
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


昨年の優勝チームと、16年ぶりの出場で昨年はまさかの1次予選敗退の三菱自動車倉敷オーシャンズの対戦とあって、下馬評でいえば、JFE東日本が圧倒的に有利と思われていた開幕戦。ただ三菱自動車倉敷オーシャンズは昨年はいなかった選手たちが、チームに強さをもたらせた。まずはこの試合の勝利の最大の立役者であるのが、ルーキーの廣畑。予選では3完投勝利をあげるなど、いきなりエースとなった右腕は、強打のJFE東日本打線から1失点完投勝利。攻撃面ではJR西日本から補強した大倉と田村という、都市対抗の経験者が3番と5番に入り、初回の2得点の立役者となっていた。
20201114三菱自動車倉敷オーシャンズ 大倉
3番に座ったJR西日本から補強選手の大倉

一方のJFE東日本は、昨年の覇者ということで、今年は予選免除で、補強選手もなし。特にコロナの影響で、都市対抗予選が、数少ない公式戦となった今年においては、この予選を戦えていないマイナスが大きかった。オープン戦はしっかりとこなして調整はしてきただろうが、やはり公式戦には公式戦の空気がある。それを経験できずに、この都市対抗開幕戦が、今年初の公式戦というのは難しいものがあっただろう。結果的にJFE東日本にとって、この試合が今年最初で最後の公式戦になってしまったことは残念な限りである。

そんなJFE東日本にとって光明の光となったのは、投手陣であろう。JFE東日本は昨年の優勝時もそうであったが、打撃を売りにしているチームであり、リリースエースの須田を除けば、軸といえるような投手がいない。若いエースの台頭が望まれるチームにおいて、この試合ではルーキーの本定、2年目の高木・林という投手が東京ドームのマウンドを経験し、またそこで無失点と結果を出せたことは来年に向けての大きな収穫となったことであろう。2回戦があれば先発が予想された上島、廣澤と中村の高卒ルーキーコンビもオープン戦では登板しており、来年は是非とも須田に依存しない投手陣を構成して欲しいものだ。
20201122JFE東日本 本定
上々の都市対抗デビューを飾ったJFE東日本のルーキー本定


Pickup Player
廣畑敦也 三菱自動車倉敷オーシャンズ 投手
~150㌔連発で前回王者から1失点完投勝利~
大番狂わせの最大の立役者は、なんといっっても1失点完投勝利をあげたルーキー廣畑であろう。

廣畑は玉野光南では3年夏にエースとして臨み、先発した5試合全てを1人で投げ切り、準決勝では甲子園に出場した岡山学芸館に敗れたものの岡山4強入りをはたす。帝京大に進学すると、1年春より先発のマウンドにもあがり、4年間で31試合に登板(うち先発は17試合)し、4年秋には防御率2.08の好成績をおさめた。4年時には150㌔をマークしたものの、どちらかというと丁寧に投げて試合を作るタイプの投手であった。帝京大を卒業した今年は、出身地でもある倉敷市の三菱自動車倉敷オーシャンズに加入。都市対抗予選ではルーキーながらJR西日本から完封勝利をあげるなど、32回5失点という活躍をみせて、チームを本戦出場に導いていた。

この都市対抗初戦でも先発のマウンドにあがった廣畑であるが、上体を傾けてから大きくステップして腕を思いっきり振るフォームとなっており、帝京大時代に比べるとフォームの綺麗さがなくなっていたが、球の勢いは増し、なおかつコントロールも損ねてはいなかった。初回から自己最速を更新する152㌔をマークすると、圧巻だったのが3回で中澤に3ベースを許して1死3塁のピンチを招くとギアをあげて、2番岡田には最後154㌔のストレートを投じて三振を奪った。変化球も140㌔前後の2シーム、130㌔後半のフォーク、スライダーに加えて、本人がこの試合良かったというカーブがいいアクセントとなっていた。4回には3連打で1点を失うものの、その直後のピンチではまたギアをあげて154㌔をマーク。このようにピンチの場面でギアをあげて、抑えることができるのも廣畑の強みであった。

前半はとにかく力で押せていた廣畑であるが、試合の後半になると、やや疲れも見えてきたのか、150㌔を超える球は少なくなってくる。ただコントロールは終始安定しており、この試合で廣畑が与えた四球は初回の1個のみ。5回には見事なフェーシングで、3塁でバントを刺すなど、球速以外の部分でもレベルが高い投手ということを印象づけた。6回以降はギアをあげる前に、ピンチすら招かない見事な投球をみせて、9回をなげて、被安打7、三振7個、1失点という内容で、前年度の王者、それも打線が売りの王者相手に、見事に完投勝利をあげた。

高校・大学を含めても、実はこれが初の全国大会であった廣畑。スカウトをはじめとして、多くの野球関係者が見守る前で与えたインパクトは絶大であり、この1試合で間違いなく来年のドラフト戦線の上の方に名を連ねることとなっただろう。

20201114三菱自動車倉敷オーシャンズ 廣畑2
Max154㌔のストレートを武器に、1失点完投勝利をあげた三菱自動車倉敷オーシャンズの廣畑


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都市対抗で見れる来年からのプロ野球選手たち

本日から都市対抗が開幕する。

オリンピックの影響もあって、今年は夏でなく、この11月に開幕するということで、すでにドラフト会議で指名された選手も参加する。今年でいえば社会人野球からは10人の選手が指名されたが、そのうち9人はこの大会に出場する。というわけで、そんな都市対抗で見れる来年のプロ野球選手を紹介していきます。


まず開幕戦に登場するJFE東日本には、日本ハムからドラフト6位指名された今川が所属。昨年の都市対抗では強打の2番打者として若獅子賞を獲得した逸材は、今年は3番センターとして出場予定。今年はコロナの影響で社会人野球の大会は軒並み中止で、本格的に行われた公式戦は都市対抗予選くらい。昨年優勝して予選免除となっているJFE東日本にとっては、11月末の都市対抗が今年最初で最後の試合となり、今川の独特のバッティングフォームと豪快なスイングを大舞台で見ることができるのも、これが今年最初で、そして社会人野球としての最後である。
20190726JFE東日本 今川


開幕日の2試合目にはトヨタ自動車が登場。ドラフト会議では社会人の中でも最上位の広島1位で指名された栗林の先発が予想される。ただもともと選手層の厚いトヨタ自動車は、王子の近藤を補強し、佐竹・川尻・近藤と社会人のレジェンドレベルの投手が3人もいる布陣。昨年も都市対抗決勝で先発をしており、2年目にかけてさらに力をつけて、(プロのスカウトから見れば)社会人No1投手と言われている栗林であっても、調子が悪かったりするとすぐに代えられてしまう可能性もある。チームも優勝候補筆頭といわれ、さらにドラ1位という看板を背負い、とてもプレッシャーのかかる中、栗林がどのようなピッチングを見せるのか注目である。
20190726トヨタ 栗林
栗林(トヨタ自動車)

2日目の第1試合には、オリックスから6位指名を受けた28歳のオールドルーキーの阿部が登場。日本生命は藤井・高橋拓とこの阿部の3本柱であり、3人とも先発もリリーフもこなせることから、どこで投げるのかは分かりづらいが、社会人6年間の集大成を是非とも見せて欲しいところだ。
20190723日本生命 阿部
阿部(日本生命)


2日目の第3試合には、都市対抗で最多11度の優勝を誇るENEOSが、実に5年ぶりに出場。エースは楽天から3位指名を受けた左腕の藤井であり、初戦では先発が濃厚。さらに三菱パワーから、巨人4位の伊藤を補強しており、この伊藤がリリーフとして登板する可能性も高い。ちなみに補強選手を含めても、今大会でドラフト指名選手が複数いるのは、ENEOSのみである。
20191208ENEOS 藤井


4日目の第3試合では、JR東日本×三菱自動車岡崎と、ともにドラフト指名選手を抱える2チームが登場。JR東日本の先発は、都市対抗予選であわやノーヒットノーランという素晴らしい投球をみせて、阪神から2位指名を勝ち取ったエース左腕伊藤が予想される。対する三菱自動車岡崎のショート中野は、阪神から6位指名を受けており、伊藤VS中野という来年からは阪神でチームメイトとなる2人の対決が見られる。
20200831JR東日本 伊藤
伊藤(JR東日本)
20190715三菱自動車岡崎 中野
中野(三菱自動車岡崎)


1回戦としては最終日の6日目には、2人の左腕が登場。ヤマハの池谷は高卒3年目の今年急成長をみせて、チームのエース格に成長して、ドラフト会議では左腕王国のDeNAから5位指名を受けている。昨年の都市対抗では打者1人と対戦したのみであり、事実上今回が最初で最後の都市対抗になる。NTT東日本の佐々木は、出身大学(=富士大)のお得意様の西武から2位指名を受けている。ただ佐々木に関してはどちらかというと素材を評価されており、チームには大竹・末永・沼田といった経験豊富な投手がいるので、佐々木が実際にどこで起用されるのかは注視していく必要がある。
20190603NTT東日本 佐々木
佐々木(NTT東日本)


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2020年秋季東京大会のベストナインを選んでみた

秋季東京大会のベストナインを勝手に選んでみました。
※秋季大会の活躍のみを基準として選んでいます


ピッチャー:本田峻也(東海大菅生2年)
東海大菅生のエースとして、6試合中5試合に先発して、全試合で3失点以内という安定した投球を披露。特に決勝の日大三戦では7回1安打1失点の好投で、チームを優勝に導いた。
20201114東海大菅生 本田


捕手:福原聖矢(東海大菅生1年)
正捕手として巧みにリードで6試合で10失点という菅生投手陣を牽引し、攻撃でも何でもできる2番打者として打率.368、7盗塁の活躍で打線に流れを生んだ。
20191114東海大菅生 福原


一塁:関遼輔(二松学舎付2年)
二松学舎付の4番主将としてチームを牽引して、準々決勝の早稲田実業戦では決勝タイムリー。打率.308に加えて、四死球も多く貢献度の高い打撃をみせた。
20201007二松学舎大付 関


二塁:永見恵多(二松学舎付2年)
リードオフマンとして佼成学園戦では3回で早くも猛打賞を達成する3安打、準々決勝の早稲田実業戦では4安打を放って逆転勝ちに貢献するなど、見事な固め打ちで打率.474をマーク。
20201007二松学舎大付 氷見


三塁:小池祐吏(東海大菅生2年)
5番打者として勝負強さを発揮し、目黒日大戦では先制の満塁ホームラン、準決勝の関東一戦では決勝タイムリー、決勝でもダメ押しのタイムリーとチームトップの9打点をあげた。
20201115東海大菅生 小池


遊撃:鎌田慎也(日大三2年)
準々決勝の日大豊山戦では満塁のチャンスで逆転の走者一掃のタイムリー3ベース。ショートとしても決勝では大ファインプレーを見せるなど、守備の日大三を中心選手として支えた。
20201107日大三 鎌田2


外野①:小山凌暉(東海大菅生1年)
当初は7番打者であったが、準々決勝の日大二戦では貴重な2点タイムリーを放つなど活躍すると、準決勝からは3番打者に昇格し、チームトップの打率.476をマークした。
20191115東海大菅生 小山


外野②:千田光一郎(東海大菅生2年)
リードオフマンとしてチーム2位の打率.417をマークして、トップタイの7得点をマーク。準決勝・決勝では9回のマウンドにも上がり、試合を締める働きもみせた。
20201114東海大菅生 千田2

外野③:三浦麟(関東一1年)
重要な場面で犠打を決めるなどしっかりと仕事を果たすと、準々決勝からスタメンに起用され八王子戦ではタイムリーを含む2安打を放ち、出塁率は.556をマークした。
20201114関東一 三浦




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日大三×東海大菅生【秋季東京大会】

11/15 秋季東京大会決勝
日大三×東海大菅生 @神宮球場

試合経過

勝てばセンバツ出場が確定する秋季東京大会の決勝は、日大三×東海大菅生という西東京の強豪同士の戦いとなった。菅生は前日に続いてエース本田が先発したのに対し、日大三は前日に最終回のピンチを凌ぐ好リリーフをみせた背番号1の岡村が今大会初の先発マウンドに上がった。

ただ岡村に関していえば、先発とリリーフの違いもあるのだろうが、前日に比べるとストレートの勢いはない。そんな岡村に対して、菅生は1回裏に先頭の千田がレフト前ヒットで出塁すると、2番福原が送って、2死3塁で迎えた4番堀町が、カウント2B0Sから高めに甘く入ったストレートをレフト前に運んで先制する。2回裏にも先頭の山田が死球で出塁して、盗塁でチャンスを広げると、9番のエース本田の打球は前進守備のレフト頭上を越えていくタイムリー。日大三はここで早くも岡村を諦め、準決勝までの5試合中4試合に先発していた左腕の宇山をマウンドに送る。
20201115東海大菅生 堀町
先制タイムリーを放った東海大菅生の4番堀町

対する菅生のエース本田は、クロスステップからの角度のあるストレートに、カットボール・スライダー・チェンジアップを交えた投球で日大三打線を翻弄。前日の試合でも二松学舎付の秋山の前に8回までヒットが出なかった日大三打線は、この試合でも4回までノーヒットであった。ただ5回表には、先頭の井坪が四球で出塁すると、鎌田が送って作ったチャンスで、8番安田がレフト線へチーム初ヒットとなるタイムリー2ベースを放ち1点を返す。ただ結果として日大三が本田から放ったヒットはこの1本のみであった。
20201115日大三 安田
日大三の初ヒットとなるタイムリーを放った安田

ただ日大三の宇山も、前日に146球を投じているにも関わらず、大きく曲がるスライダーやチェンジアップを駆使した投球で、ランナーは出すものの3~6回の4イニングは菅生打線に追加点を許さず、試合は菅生が2-1とリードしたまま終盤に突入する。
20201115日大三 宇山
今日はリリーフとしてマウンドに上がった日大三の宇山

7回裏、菅生は先頭の岩田がライト前ヒットで出塁すると、ここでエース本田のところで、準決勝までファーストのスタメンで出ていた岩井を代打に送る。岩井は死球で、さらに2番福原がライト前ヒットを放ち1死満塁のチャンスを作ると、3番小山の2球目が日大三バッテリーがワイルドピッチとなり、岩田がホームイン。3番小山の打球はファーストゴロとなり、ホームは完全にアウトのタイミングであったが、なぜかファーストの林は最初ホームでなく1塁ベースを踏もうとし、そこからまわりの指示で慌ててホームに送球しようとするもボールは完全に引っ掛かり1塁ファールグランドへの大暴騰となり2者が生還。さらに5番小池もレフトにタイムリーを放ち、菅生が6-1とリードを広げる。
20201115東海大菅生 小池
6点目となるタイムリーを放つ東海大菅生の5番小池

菅生の8回のマウンドには1年生の185㎝右腕の鈴木が上がる。前日の準決勝では、押し出しを含む4四死球と制球に苦しんだ鈴木であったが、この試合では本来の投球を取り戻し130㌔後半のストレートと得意のスライダーのコンビネーションで8回を無失点に抑える。9回には前日同様にセンターから千田がマウンドに上がり、前日同様にサード小池がエラーしてヒヤっとする場面もあったが、こちらも日大三の攻撃を無得点に抑えてゲームセット。東海大菅生が6-1で勝利し、秋の東京を制した。
20201115東海大菅生 優勝
優勝を決めた東海大菅生ナイン


20201115日大三×東海大菅生
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


夏には東西の決戦も制した東海大菅生が、この秋季大会も制して、夏秋続けて東京の頂点に立った。夏の大会は3年生のみで臨むチームもあった一方、若林監督は学年に関係なくフルメンバーで臨んでいた。この試合でいえば、千田・福原・堀町・山田・本田の5人は夏の大会からのレギュラーであり、他のチームに比べて経験値が高かったことは、この秋を制することができた大きな要因であるといえる。これに2年前にチームを牽引した小山翔暉の弟である小山凌暉、DeNAの小池コーチを父に持つ小池祐吏、185㎝右腕の鈴木といった有望な1年生も台頭して、本当に戦力の整ったチームとなっていた。

これには菅生には近年、中学生球界でもトップクラスの逸材が入学してきていることもある。エース本田はWBSC U-15ワールドカップ日本代表であり、小松加賀リトルシニアから菅生に入学。また福原は2年生のときに、すでにこのU15日本代表に選出された逸材で、このときにバッテリーを組んでいた1個上の本田の誘いを受けて、沖縄の安仁屋ヤングスピリッツから入学している。もともと地元東京や神奈川に加えて、愛知からの有力選手が多い菅生であったが、石川や沖縄といったところからも有力選手が集まるようになっている。
20201115東海大菅生 福原
U15日本代表からのバッテリーである本田と福原

ちなみにこの時のU15日本代表には、日大三の齋藤も名を連ねていて、この試合では2018年のU15バッテリーと、ショートのレギュラーであった齋藤の対決も実現。2打席目には本田が見事に齋藤を見逃しの三振に仕留めるも、菅生バッテリーが過剰に意識したのか、それ以外の打席は全て四死球。菅生がこの試合で与えた四死球が4個のうち3個が齋藤という結果であった。
20201115日大三 齋藤
U15日本代表では菅生バッテリーとチームメイトであった日大三の齋藤

日大三にしてみればセンバツが遠のく痛い敗北である。東京2位の日大三は、関東5枠目の(おそらく)東海大相模と比較されることになるが、打っては2安打のみ、最終的には5点差をつけられたという結果はかなりのマイナス材料だ。後者でいえば、やはり痛かったのが7回の4失点。点の取られ方もバッテリーミスに、ファーストの林が判断ミスの上に焦って暴投ととても残念であった。日大三はこの秋は打てなくても、守備には非常に定評があり、この試合でもショート鎌田がレフト線のフライを後方に走りながらダイビングキャッチ、センター星が左中間に抜けようかという大飛球をダイビングキャッチ、セカンド齋藤が1・2塁間抜けようというゴロをダイビングキャッチでアウトにするなど、超高校級といえるファインプレーもあった。それだけに要所で出てしまったエラーは本当に残念であり、素晴らしい守備力があっても、(ちゃんと見ていない)高野連はこれで日大三は守備が悪いと判断してしまう可能性もある。


Pickup Player
本田峻也 東海大菅生2年 投手
~連投も苦にせず見事1安打ピッチング~
準決勝に続いての連投となった菅生のエース本田がであるが、そんなことは苦にせずに7回1安打1失点という見事なピッチングをみせた。

本田といえば、打者から見れば背中が見えるほど体をひねってから、クロスステップという特徴的なフォームの左腕であり、小松加賀シニア時代からジャイアンツカップに出場し、BSC U-15ワールドカップ日本代表にも名を連ねた。東海大菅生では1年秋からベンチ入りを果たすと、2年夏の独自大会では背番号14ながら、3試合で先発を果たすなど投手陣の中心的存在として、日東京を制すると、帝京との東西対抗戦も制して東京No1に輝いた。

第1シードとして迎えたこの秋季大会では背番号1を背負い、本格的にエースとして臨んだ本田は、2回戦で5回コールドながら目黒日大を完封すると、3回戦では桜美林相手に7回2失点、準々決勝では日大二相手に8回途中1失点、準決勝では関東一相手に6回3失点と全試合で安定した投球をみせており、連投となるこの決勝戦でも先発のマウンドに上がった。

本田はこの試合でもクロスステップからの角度のあるストレートを、内外に投げ分けていた。スピードは143㌔が出たと報道されているが、これはファールであったために微妙であり、またこれを除けば今日の本田のストレートは130㌔中盤が多くMaxは139㌔となる。準々決勝では142㌔もマークしていたが、今回の143㌔は個人的には対象外とするべきだと考えている。変化球は120㌔後半のカットボールが最大の武器であり、これに120㌔前後のスライダー、さらには120㌔後半をマークする高速チェンジアップも魅力であり、これらも器用に操っている。どうもフォームとクロスファイヤーが注目されがちだが、コントロール・変化球・テンポの良さを含めて総合力の高さが売りの投手である。

本田に対して日大三打線は淡々と打ち取られていき、なかなかヒットが出ず、スライダーやカットボールを決め球として三振も多く奪えていた。5回には四球で出したランナーを2塁に背負うと、安田に初ヒットとなるタイムリーを浴びてしまうも、結果的に本田が日大三打線に浴びたヒットはこれだけ。7回を投げ切ったところで代打を送られてリリーフ陣にマウンドを託すことになったものの
、7回を投げて1安打1失点7奪三振という素晴らしい内容であった。個人的な意見としては、準決勝でリリーフ陣が制球を乱していることもあり、何でここで本田を代えたのかが不思議でしょうがなかった。

素晴らしい投手ではあるが、東海大菅生の進学方針もあるし、高卒というよりは大学経由でプロという選手かとは思う。ただこれほどのクロスファイヤーはプロでもなかなかおらず、プロでも対左としてはかなり早い時期から使える選手かもしれない。冬場に球速が上がり、事実上の出場が決まったセンバツで評価をあげることができ、上位指名候補に入ってくる可能性もあるだろう。

20201115東海大菅生 本田
7回1安打1失点と素晴らしい投球をみせた東海大菅生の本田


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二松学舎大付×日大三【秋季東京大会】

11/14 秋季東京大会準決勝
二松学舎大付×日大三 @神宮球場

試合経過

二松学舎は3回表、2死から2番栗島がセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く3番瀬谷の打球はレフト線への長打となる。レフト山岡が処理にややもたついたこともあり、二松学舎はやや強引に栗島をホームに突入させるものの、さらに日大三の中継ミスもあってホームインし、二松学舎が先制する。
20201114二松学舎付 瀬谷
先制タイムリーを放った二松学舎付の3番瀬谷

日大三は4回裏、先頭の2番齋藤が死球で出塁すると、3番井坪が送って、さらにパスボールで1死3塁というチャンスを作る。ここで不調の山岡に代わって、この試合から4番に昇格した林は、きっちりとライトに犠牲フライを放ち、日大三がノーヒットで1-1の同点に追いつく。
20201114日大三 林
この試合4番に昇格し、同点犠飛を放った日大三の林

二松学舎のエース秋山は、1点こそ失ったものの、その後も日大三打線にヒットを許さない素晴らしいピッチング。スライダー・チェンジアップといった変化球もあるものの、投球の大半はストレートという投球。このMax140㌔の力強いストレートを、インコース・アウトコースに投げ分け、まさに日大三打線に付け入る隙を与えない投球をみせていた。
20201114二松学舎付 秋山
日大三にヒットを許さない見事な投球をみせた二松学舎付のエース秋山

日大三の宇山は、ストレートは130㌔前後であるが、右バッターのインコースに決めることができていて、スライダー・チェンジアップといった変化球も落差が大きい好左腕である。しかしこの試合では四死球が多く、秋山とは対照的にランナーを背負うことが多く、二松学舎のブルペンでは誰も練習していないのに対し、日大三のブルペンは慌ただしく岡村や矢後が練習をしていた。特に6回表には、宇山はなんと3連続四球を与えてしまい、無死満塁のピンチを招く。しかしここで吹っ切れたのか、7番鎌田を三振に仕留めると、8番秋山にはこの試合最速となる135㌔をマークして追い込むと、最後は外の変化球に秋山がなんとかバットを出して当てるも、これがピッチャーゴロ併殺という、二松学舎にとっては最悪な結果となってしまう。このように宇山も粘りのピッチングで得点を与えず、試合は1-1のまま終盤に入っていく。
20201114日大三 宇山
ランナーを出しながらも粘りの投球をみせた日大三の宇山

秋山の勢いは衰えることなく、7回には日大三から3者連続三振を奪って、ノーヒットピッチングを継続。球場ではノーヒット1ランという言葉も囁かれるようになってきていた。しかしそんな状況を打破したのは、バッター宇山であり、8回1死からチーム初ヒットなるセンター前を放つ。星のセカンドゴロで2死2塁となると、2番齋藤はインコースの140㌔のストレートを見事にレフト前に運ぶタイムリーを放ち日大三が勝ち越し。これで秋山もやや緊張の糸が切れたのか、日大三は3番井坪、4番林と連打を放ち、さらにもう1点を追加して3-1とリードを広げる。
20201114日大三 齋藤
勝ち越しタイムリーを放ち、さらには3点目のホームを踏んでガッツポーズの日大三の齋藤

後がなくなった二松学舎だが9回表、先頭の7番鎌田のライト線の打球は、ライト井坪が処理を誤ったこともあり、3ベースとなる。8番秋山は四球を選んで無死1・3塁と1発が出れば逆転サヨナラという場面で、市原監督は今大会の初戦で実際に逆転サヨナラ3ランを放っている柴田を代打に送る。ただ柴田の2球目は、ワイルドピッチとなり鎌田が生還。1点を追い無死2塁となったところで、今後は柴田に代えて、バントの代打として成澤を打席に送る。ただこの成澤がバントに失敗して三振してしまい、これで流れは日大三に戻ったかと思いきや、1番永見に対して、宇山はワイルドピッチにストレートの四球と再び制球を乱してしまう。今大会ここまでほぼ宇山で勝ってきた日大三であるが、この状況には小倉監督もさすがに見ていられず、1死1・3塁という場面で今大会初登板となる背番号1の岡村をマウンドに送る。岡村は勢いよく2番栗島を2球で追い込むと、前の試合ではバントを3個決めている栗島に対して市原監督はカウント1B2Sからスクイズのサインを出すも、球威に抑えるような形でキャッチャーファールフライとなってしまう。岡村は3番瀬谷も2球で追い込むと、最後はカーブでセカンドフライに打ち取ってゲームセット。日大三が3-2で逃げ切り、決勝進出を決めた。


20201114二松学舎大付×日大三
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


前の試合の観戦記にも書いたが、日大三の新チームは打てない。今大会でいえば、相手のレベルが上がった3回戦以降は、小山台戦は1得点、準々決勝では6得点をあげたものの7安打のみ。この試合も8回1死まで、二松学舎のエース左腕秋山にノーヒットに抑えられるなど、以前の強打の日大三とはほど遠いのが現状だ。それでも8回に初ヒットを放つと、そこから8回だけで4安打を放って試合を決めるという勝負強さを発揮したあたりは、さすがの日大三というところ。ディフェンス面ではこの試合でもノーエラーであり、ここまで投手陣を支えてきた宇山に加えて、背番号1の岡村がこの試合では復帰して見事なリリーフ。「守備の日大三」が秋の東京No1、さらにはセンバツ出場をかけて、翌日の決勝に臨む。

二松学舎付は、打線が追加点をあげられずに、素晴らしい投球をみせていたエース秋山を援護することができなかった。相手の宇山は7四死球と決して調子がよくはなく、日大三に比べればチャンスというチャンスはかなり多かったものの、あと1本を出すことができなかった。また今大会では2度も9回で逆転しているチームだけに、最終回は期待ができたが、送りバントのために代打の代打で成澤を起用したのに送れず…前の試合ではバントを3個決めた栗島はスクイズ失敗と最終回ではバントができなかったのが痛く、完全に流れを逸してしまった。


Pickup Player
岡村海琉 日大三2年 投手
~遅れてきた背番号1が見事な火消し~
1点ビハインドの最終回、1死1・3塁という場面で今大会初登板を果たした岡村が、見事な火消しでチームを勝利に導いた。

岡村は日大三では1年秋から、背番号10の控え左腕としてベンチ入り。背番号11でベンチ入りした同じ左腕の宇山と、新チームでのエース争いを制して、この2年秋には背番号1を手にしていた。ただケガなどもあって出遅れている間に、宇山が実質上のエースとしてチームを牽引。岡村は3回戦あたりからは投げられる状態だったというが、3回戦・準々決勝と宇山が2試合連続で完投勝利をあげていた。

この準決勝も先発は背番号10の宇山であり、岡村はブルペンスタートとなった。ただこの試合での宇山は調子がいいとはいえず、岡村はブルペンで練習を繰り返しており、宇山が6回には3連続四球で無死満塁のピンチを招いた際には、ブウペンでの支度を終えて、ベンチ脇ですぐにいけるようにキャッチボールをしている状態であった。ただ小倉監督としては、この接戦で、背番号1とはいえ、ケガ明けで今大会初登板となる岡村をマウンドに上げるという決断はなかなかできなかったようで、また宇山もピンチは招くものの何とか切り抜けるという投球を続けていた。

ただし9回には3ベースを打たれた後に、ワイルドピッチに2四球とまたもや宇山が乱れたことで、小倉監督はやむを得ず、1点ビハインドの最終回、1死1・3塁という荷が重すぎるだろう場面で、岡村を今大会初のマウンドに送った。ところが岡村はまるで水を得た魚のように、ストレートを投げ込み、スピードはMax135㌔をマーク。岡村は能見(阪神)のように、腕の振りが体に吸い付くように近いところを通るフォームで、打者から見ると腕の軌道が非常に見づらいので打者は球速以上の球威を感じたことだろう。2番栗島はストレート2球で簡単に追い込まれてしまうと、1球ボールを挟んでから、最後はスクイズを決行するも、球威に押される形でキャッチャーフライとなる。続く3番瀬谷も2球で追い込むと、最後はカーブで泳がせてセカンドフライに打ち取りゲームを締めた。

宇山が降板した時点で日大三にとっては、リードはしていたものの絶体絶命といっても過言でないほどのピンチであった。ただ背番号1を背負いながらも、ここまで登板できなかった鬱憤を晴らすような見事な投球で、火消し役を果たした。これで日大三の左腕2枚看板が揃い、決勝ではこれまで通りで宇山が連投するのか、あるいは今日の内容を踏まえて岡村が今大会初先発のマウンドに上がるのか…楽しみである。

20201114日大三 岡村
最終回のピンチで今大会初登板を果たし、見事な火消しをみせた日大三の背番号1岡村



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東海大菅生×関東一【秋季東京大会】

11/14 秋季東京大会準決勝
東海大菅生×関東一 @神宮球場

試合経過

関東一は1回裏、1死から三浦が四球で出塁すると、2死2塁というチャンスで、今大会初めて4番に起用されたエース市川を迎える。市川は追い込まれてからのカットボールを捉打つと、打球はショートの横を抜けるセンター前へのタイムリーとなり関東一が先制する。

菅生は2回表、岩井・橋本の連打でチャンスを作ると、8番岩田の打球はライナーでセカンドの頭上を越えるセンター前のタイムリー。さらに9番本田もチェンジアップをうまくライト前に運び、2者が生還して菅生が3ー1と逆転に成功。菅生はさらに千田・小山もヒットを放つものの、ホームを狙った本田はレフト津原の好返球でアウトとなり追加点は奪えなかった。

関東一は3回裏、1死から立花が死球で出塁し、バントで送って2死2塁で3番初谷を迎える。初谷は変化球をうまくすくい上げると、高く上がってライトフェンスに直撃。ライト方向からの逆風さえなければ入っていたという、タイムリー3ベースとなると、続く4番市川が2打席連続のタイムリーを放ち、関東一が3ー3の同点に追いつく。
20201114関東一 市川1
2打席連続タイムリーを放った関東一の4番市川

関東一のエース市川は2回に6安打を浴びたものの、それ以降はあの6安打は何だったのか?というピッチング。ストレートは138㌔止まりであったが、スライダーが右バッターのアウトローのいいところに決まるなどコントロール抜群。チェンジアップも落差があり、時折100㌔台のカーブも交える変幻自斎な投球な投球で3回以降は菅生打線を封じていく。菅生は市川の前にランナーを出すこともできず、何と3~7回はパーフェクトに抑えられてしまう。
20201114関東一 市川2
3回から立ち直った関東一の市川は7回まで菅生打線をパーフェクトに抑える

ただ菅生のエース本田も同点に追いつかれた後は、粘りの投球をみせる。こちらはクロスステップからの角度のあるMax139㌔のストレートに加えて、変化球はカットボールを中心に、スライダー・カーブ、120㌔中盤で手元で鋭く落ちるチェンジアップ(?)と変化球も器用に操っていた。4回・5回はともに先頭打者に出塁を許すも、要所を締めて無失点で凌ぎ、関東一に逆転を許さない。試合は3-3の同点のまま終盤に突入する。
20201114東海大菅生 本田
同点に追いつかれた後勝ち越しは許さなかった東海大菅生のエース本田

菅生は8回表、1死から2番福原が四球を選んで、2回以来のランナーを出す。2死1塁から4番堀町がヒットで繋ぐと、DeNAの小池正晃コーチを父にもつ5番の1年生小池祐吏が、三遊間を破る値千金の勝ち越しタイムリー。さらにここで登場したのは、夏にはセカンドのレギュラーとして東京制覇に貢献し、この秋も背番号4を背負うものの、ここのところスタメンを外れていた山田。代打山田はカウント2B2Sからのストレートを捉えると、打球は前進していたレフトの頭上を越えるレフトオーバーの2点タイムリー2ベースを放ち、菅生が6-3とリードを奪う。
20201114東海大菅生 小池
勝ち越しのタイムリーを放つ東海大菅生の小池

菅生は7回から2番手として185㎝の1年生右腕鈴木が登板。準々決勝でもリリーフ登板して勝利投手となっていた鈴木は7回は関東一の攻撃を3者凡退で抑えていたものの、8回になると突如乱れ始める。1死から市川・鎌倉に連続四球を与えてしまうとピンチを招くと、関東一はここで今大会4番を打っていたものの、不調でこの試合ではスタメンを外れた井坪を代打に送る。井坪は決していい当たりではなかったものの、初球のスライダーをライト前に運ぶタイムリーを放つ。鈴木はさらに8番楠原にも四球を与えてしまい満塁となると、9番五十嵐には押し出しの死球を与えてしまい、関東地位が5-6と1点差に迫る。
20201114関東一 井坪
代打で出場して初球をライト前に運ぶ関東一の井坪

菅生は9回表に、先頭の岩田が四球で出塁すると、完璧なスタートで2盗を決めてチャンスメイク。鈴木のところで登場した代打藤井のライトフライでタッチアップして3塁へ進むと、1番千田のセンターへの犠牲フライでホームインして、菅生が貴重な追加点をあげる。

9回裏に菅生は、センターを守っていた千田が公式戦では初というマウンドにあがる。千田はストレートはMax138㌔をマークし、ランナーがいなくてもクイック気味のモーションで投げてくるために、タイミングが取りづらい。ただ先頭の三浦にはストレートの四球を与えてしまい、やや暗雲は立ち込めてしまったものの、2点差にも関わらず、3番初谷の打席で三浦が盗塁死してしまい助けられる。スライダーでストライクが取れるようになった千田は、このスライダーで好打者初谷から三振を奪う。あと1人となったが、4番市川の打球をサード小池が弾いてしまい(記録はヒット)、さらに続く鎌倉の打球も小池がエラー。関東一は1発が出れば逆転サヨナラという展開を作って、さきほどタイムリーを放っている、元4番井坪を迎える。井坪の打球はまたサードに飛び、菅生側はヒヤっとしただろうが、今度は小池がキャッチして、そのままサードベースを踏んでゲームセット。7-5で勝利した東海大菅生が、2年ぶりに決勝にコマを進めた。
20201114東海大菅生 千田
公式戦初登板ながら最終回を抑えた東海大菅生の千田


20201114関東一×東海大菅生
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


この試合で際立ったのは、東海大菅生の得点効率の良さだ。菅生打線がヒットを放ったのは2回と8回のみで、それ以外のイニングではノーヒット。ただ野球は流れのスポーツであるという言葉を体現するかのように、2回には5連打、8回には3連打をメークしてそれぞれ3得点。9回にもノーヒットで追加点をあげた。菅生打線は前チームの杉崎のように、いわゆる大物打者がいるわけではないが、このようにつながり点の取れる打線となっており、この試合でもマルチ安打を放った選手はいない一方、2番福原以外は先発が全員ヒットを放っている。相手チームからしてみれば、警戒のしどころが分からず、一気にやられてしまう…嫌な打線であろう。

東海大菅生が全員野球であったのに対し、逆に関東一は市川依存の戦いとなってしまった。エース市川はこの試合でも7失点をしながら完投したように、今大会では5試合全てで完投。打っても打率.471、打点8はチームトップであり、この試合では他の4番候補が軒並み不調なこともあり、ついに4番打者も任された。4番市川はタイムリー2本を含む3安打と見事に結果を残したものの、孤軍奮闘となってしまった。米澤監督はこの試合では、他にもスタメンを大幅に入れ替えており、準々決勝と同じだったのは3番ショート初谷のみ。この背景には、鎌倉・井坪・石見といったチームの中心として期待されていた打者が軒並み結果を出せておらず、メンバーを変えざるを得ないという事情もあった。ただ上記の3人を中心に選手個々の能力は高いチームなので、今回の敗戦を糧に是非とも春には市川に依存しないチームを作って欲しい。


Pickup Player
岩田一真 東海大菅生2年 ショート
~走攻守に渡り貢献度の高い活躍をみせた田中2世(?)~
打ってはタイムリーヒット、走っては2盗塁、守備でも好プレーをみせたショート岩田の活躍は派手さこそないものの見事であった。

岩田は愛知木曽川シニア→東海大菅生という、小山兄弟をはじめとする、もはやお決まりルートで東海大菅生に進学すると、1年秋から内野の控えとしてベンチ入りを果たし、2年夏の独自大会では中大杉並戦では1番ショートとしてスタメン出場を果たしている東京制覇を経験。今大会も岩田の背番号は16であったものの、初戦からずっと8番ショートとしてスタメン出場を果たしていた。

この試合でも8番ショートとして出場すると、まず守備でみせる。1回裏に先制を許し、なおも2死2塁というピンチで三遊間後方にあがったハーフライナーを、ジャンピングキャッチし倒れながら好捕。岩田は非常に俊敏な動きのできるショートであり、タイプとしては先輩の田中幹也を想像させるものはある(まだそこまでのレベルには達していないが)。打席では右手と左手を離してバットを持ってからバスター気味に打ちにいくのが特徴的であり、2回1死1・2塁で迎えた第1打席では、カウント0B2Sとされるものの、そこからストレートを力強く振り抜くと、打球はライナーでセカンドの頭上を抜ける同点タイムリーとなった。出塁した岩田は、次打者の初球に2盗を決めると、続く本田のライト前ヒットで生還してみせた。2・3打席目は倒れるものの、9回表の先頭打者として迎えた第4打席では四球で出塁。すると次打者の初球では完璧なスタートを切って、2盗を決めると、藤井のライトフライでタッチアップして3塁に進み、続く千田の犠牲フライでホームインし、菅生に貴重な追加点をもたらせた。この試合の岩田は3打数1安打1打点2盗塁という活躍であったが、数字以上に走攻守でチーム貢献度が大きかったといえる。

今大会では8番を打っている岩田であるが、なんでもできそうなバッティングをしており、今大会6盗塁をマークする走力もあるので、将来的には是非とも1・2番を打たせたい選手である。169㎝64㎏という小柄な内野手ではあるものの、菅生には田中幹也(亜大)という素晴らしいお手本がいる。上述した通りまだ田中のレベルには達していないものの、タイプとしては非常に似ていて、同じような素晴らしいプレーも要所では見せているので、本格的に「田中2世」となるべく頑張って欲しい。

20201114東海大菅生 岩田1

20201114東海大菅生 岩田2
走攻守での活躍をみせた東海大菅生のショート岩田



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二松学舎大付×早稲田実業【秋季東京大会】

11/7 秋季東京大会準々決勝
二松学舎大付×早稲田実業 @ダイワハウススタジアム八王子

試合経過

1回表、二松学舎は先頭の永見がライト前ヒットで出塁すると、2番栗島が送って1死2塁のチャンス。ここで迎えた3番瀬谷が初球をレフト前に運び、永見がホームインして、二松学舎があっさりと先制する。ただ早実も1回裏、國光がヒットで出塁して、2死1塁で注目の4番清宮を迎えるも四球で2死1・2塁。5番辻村は詰まりながらもショート頭上を越えるタイムリーを放ち、すぐに1-1に追いつく。

2回以降は早実の田和、二松学舎の秋山という名門で前チームからエース格の働きをみせており、東京を代表する2人の投手の投げ合いとなる。まず早実の田和は、腕が遅れてくるようなスリークウォーターのフォームから繰り出すストレートはMax141㌔をマークし、2シーム、得意のスライダー、さらにはチェンジアップを交えた投球。3回・5回などはピンチを迎えつつも、冷静に二松学舎打線を打ち取っていき、初回以降得点を与えない。
20201007早稲田実業 田和
早稲田実業のエース田和

二松学舎付の秋山は、170㎝とどちらかというと小柄な左腕であるが、ストレートは力強くMax141㌔をマーク。先輩の大江(巨人で現在はサイドスローだが、二松学舎では左の本格派だった)を彷彿させる投手で、変化球はスライダーとチェンジアップを投げていた。ただこの試合の秋山は2回以降も毎回のようにランナーを背負う苦しい投球となってしまう。
20201007二松学舎大付 秋山1
二松学舎大付のエース秋山

すると早実は5回裏、1死から國光・壽田が連続四球を選んでチャンスを作ると、2死から5番辻村が初回のデジャヴのようにレフト前ヒット。三遊間を抜けた打球に対して、3塁コーチャーは腕を回したものの、正面の打球だったのでかなりタイミングは怪しかったが、レフト大石は送球に入るところボールをファンブルしてしまい、國光がホームインして、早実が勝ち越しに成功する。
20201007早稲田実業 辻村
この試合2本目のタイムリーを放った早稲田実業の5番辻村

田和・秋山の好投で、このまま早実が2-1でリードしたまま進み、次の1点がどちらに入るかが重要な展開かと思われたが、ここから怒涛の終盤をみせることとなる。二松学舎は8回表、先頭の瀬谷が内野安打で出塁すると、4番関にバントをさせてまで、1死2塁とチャンスを作ると、5番浅野がセンター前にタイムリーを放ち同点。さらに盗塁と櫻井のヒットで1死2・3塁とすると、7番途中出場の栗本のセーフティスクイズは、ホーム付近でランナーが動けなかったものの、1塁はセーフになるというレアな展開で1死満塁となる。すると8番鎌田がセンター前に弾き返して二松学舎が3-2と逆転に成功するも、2人の走者を早実のセンター石郷岡が刺して追加点は与えない。
20201007二松学舎大付 鎌田
8回に逆転となるタイムリーを放った二松学舎大付の鎌田

すると早実は8回裏、1死から太田が四球で出塁すると、続く8番横山の初球でエンドランを決行。センターの右中間よりのヒットとなると、この打球をセンター瀬谷が後逸していまい、太田が一気にホームインし同点。さらに続く9番田和は初球に見事セーフティスクイズを決めて、早実が4-3と再逆転に成功する。
20201007早稲田実業 横山
見事にエンドランを決めた早稲田実業の横山

最終回を迎えて後がなくなった二松学舎であるが、1番永見がこの試合4本目となるヒットで出塁すると、さきほどの早実に対抗するかのごとく市原監督が仕掛ける。この試合バントを3個決めている2番栗島だったので、ここも当然バントかと思いきや、初球からなんとバスターを仕掛けると、これが的中して逆を突かれたセカンドの横を抜けるヒット。3番は瀬谷は今度こそとばかりにバントを決めると、これを処理した田和の送球が2バンとなってしまい、ベースカバーに入った國光がこれを弾く間に永見が一気にホームインして同点。この時点で無死2・3塁となったので、4番関は敬遠する手もあったが、この試合では関が当たっていなかったこともあり、早実バッテリーは勝負にいくも、関が見事に前進守備の1・2塁間を破るタイムリーを放ち、二松学舎が再々逆転。早実はここで田和に代えて、左腕の佐藤をマウンド送るも、二松学舎は1死から6番櫻井が犠牲フライを放ちリードを6-4と広げる。
20201007二松学舎大付 関
9回に逆転となるタイムリーを放った二松学舎大付の4番で主将の関

それでも早実は9回裏、1死から3番壽田がエラーで出塁すると、迎えるのは4番清宮ということで当然のことながら長打を警戒して外野を下げた二松学舎だが、清宮の打球はライトの前に落ちるポテンヒット。さらに秋山は5番辻村の初球をぶつけてしまい、早実は1死満塁、長打が出れば一気にサヨナラという場面を迎える。ただ球数が160球を超えても、ストレートの威力は衰えなかった秋山は6番中村を浅いレフトフライに打ち取ると、最後は太田をファーストフライに打ち取りゲームセット。二松学舎の秋山は172球を投げて完投勝利で、二松学舎付が6-4で大激戦を制して、4強進出を決めた。


20201107二松学舎大付×早稲田実業
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


7回までは早実の田和、二松学舎大付の秋山による好投でロースコアとなった試合。7回までは早実が2-1とリードしており、また投球内容も田和の方が上であったが、最終的にはスタミナの差が出たようであった。田和は終盤は疲れたこともあってか、8・9回で9安打を打たれてしまい計5失点。対する秋山も8回は得点を奪われたものの、これはエラー絡みであり、8・9回で打たれたヒットは1本ずつのみ。最終回にもストレートは137㌔をマークするなど、勢いは衰えておらず、最終的には田和を大きく上回る172球を投げての完投勝利。秋山のスタミナがチームに勝利をもたらせたともいえる結果であった。

また二松学舎大付といえば強打のイメージが強いが、この試合ではスモールベースボールもうまく機能していた。この試合で決めた盗塁3個は全て得点に絡んでおり、3本ものバントヒットを放っている。特に2番栗島は1・2打席目は送りバントを決めて、3打席目にもバントヒットと見事にバントを決めていたにも関わらず、1点ビハインドの最終回無死1塁で今度はバスターでヒットを放ち、逆転において重要な役割を果たした。最終的に逆転した場面も、瀬谷のバントヒットに、相手の暴投が絡んだものであり、スモールベースボールが機能したことも大きな勝因であった。
20201007二松学舎大付 栗島
3個のバントにバスターと二松学舎大付のスモールベースボールを牽引した栗島

早実はやはり兄(清宮幸太郎)と同じく、4番ファースト主将を務めた清宮福太郎に注目が集まっていた。右左こそ違えど、兄と同じく181㎝97㎏という立派な体格のスラッガーは構えにも雰囲気があり、この試合でも2四球と二松学舎バッテリーにも警戒されていた。ただ打撃ではボールを追ってしまったり、またタイミングの取り方などもまだまだで、兄ほどの柔らかさはない。それでも第3打席ではタイミングが合わずにほぼ当てただけで、強烈なセンターライナーを放っており、そのパワーは凄まじいものがある。素質からいっても十分に来年のドラフトで指名される選手であるが、現段階では上位指名とまではいきそうになるので、早稲田大進学が既定路線になるだろうか…。ただ来年の夏に確実性が増して、甲子園に出れるようなことがあれば、兄と同じくドラフト1位でプロ入りという可能性も秘めているバッターである。
20201007早稲田実業 清宮
早稲田実業の4番で主将の清宮


Pickup Player
永見恵多 二松学舎大付2年 セカンド
~攻撃の起点となった4安打のヒットメーカー~
二松学舎大付は1番永見が4安打を放ち、攻撃の起点となれていたことが大きかった。

永見は二松学舎大付では1年秋より1番セカンドとして活躍し、夏の独自大会でも2番セカンドを務めた。この秋も初戦の成立学園戦では2番セカンドで出場しノーヒットであったが、2回戦から1番を打つようになると、岩倉戦では2安打、佼成学園戦では3回には猛打賞をマークするなど3安打とヒットを量産していた。

この試合でも1番セカンドとして出場した永見は、いきなり第1打席でライト前ヒットを放ち、瀬谷のタイムリーで先制のホームを踏んだ。これで1番になってから3試合連続で、1打席目にヒットを放つという、素晴らしい核弾頭ぶりをみせている。2打席目にはセカンド内野安打、3打席目にはセンター前に弾き返して、この試合でも5回で猛打賞を達成。4打席目こそレフトフライに倒れるものの、逆転された直後の9回表の先頭打者として打席に立つと、センター前ヒットを放った。チームとしてはこれで再逆転への機運は高まったといえ、9回の逆転の起点として重要なヒットであった。結局この試合の永見は、5打数4安打2得点という活躍であった。

永見の特徴は右方向にうまくヒットが打てるところであり、この試合も4安打全てがセンターから右方向。167㎝と小柄な打者であるが、テクニックで流し打ちというようりは、しっかりとボールをひきつけて叩くことができてるので、右方向にも力のある打球が飛んでいる。これで今大会15打数9安打と絶好調のリードオフマンは、二松学舎大付が準決勝以降を勝ち進むのにも必須の存在であろう。

20201007二松学舎大付 氷見
二松学舎大付のリードオフマンとして4安打の活躍をみせた永見


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日大三×日大豊山【秋季東京大会】

11/7 秋季東京大会準々決勝
日大三×日大豊山 @ダイワハウススタジアム八王子

試合経過

秋季東京大会の準々決勝の1試合目は、日大三×日大豊山という日大対決。日大三は宇山、日大豊山は玉井とともに背番号10ながら、ここまでチームの主力投手として先発を務めてきた2人の左腕の先発で始まった。

豊山の先発の玉井は、183㎝85㎏というがっちりとした体格のスリークウォーター左腕であり、ストレートはMax137㌔をマーク。これにスライダーを中心に、カーブや2シームなども混じえながら、強気な投球で日大三打線に挑んでいき、3回まで無得点に抑える素晴らしい立ち上がりをみせる。
20201107日大豊山 玉井
素晴らしい立ち上がりをみせた日大豊山の先発玉井

日大三の先発の宇山は、ストレートはMax133㌔であるが、コントロールがよく、また投げっぷりの良さが際立つ左腕。その投げっぷりがいいだけに、チェンジアップがより効果的であり、また宇山のチェンジアップは結構落ちるために、序盤は豊山打線が低めのワンバンになるようなチェンジアップを空振りする場面も目立ち、2回までに4奪三振パーフェクトとこちらも完璧な立ち上がりをみせる。

しかし3回裏、豊山は8番玉井がチーム初ヒットとなるセカンドへの内野安打を放つと、続く狩野のバントも内野安打となり無死1・2塁。これまでが快調すぎただけに宇山にも乱れが生じたのか、続く1番高橋啓には3B0Sとなってしまい、そこからストライクを取りに行くもライト前に運ばれて満塁。2番小川は低めのチェンジアップをしっかりと見送ることができていて、フルカウントに持ち込むと最後はストレートをレフト線に運ぶタイムリーを放ち、豊山が2点を先制する。
20201107日大豊山 小川
先制の2点タイムリーを放つ日大豊山の小川

ただこれに奮起したのが日大三打線で直後の4回表、玉井の制球がやや乱れ始めたこともあり、林のヒットと2四球で満塁のチャンスを作ると、7番鎌田が右中間に走者一掃のタイムリー3ベースを放って逆転。玉井はさらに続く安田にもストレートの四球を与えたところで降板し、2番手として荒木をマウンドに送る。ただ荒木も準備不足があってか、ピッチャーの宇山にも四球を与えてしまい、再び満塁となると、日大三は1番星がライト前に2点タイムリーを放ち、リードを5-1と広げる。
20201107日大三 星
追加点となる2点タイムリーを放つ日大三の星

日大三は5回表にも、1死川島がこの試合3個目の四球を選んで出塁すると、鎌田の死球とワイルドピッチで1死2・3塁のチャンスを作る。8番安田のショートゴロに対して。2・3塁ということもあって3塁ランナーの川島が勢いよくスタートを切ると、ショートからホームへ送球するもホームはセーフで(記録はフィルダースチョイス)、日大三がノーヒットで1点を追加する。

3回に2点をとられた後に宇山の投球は復調。中盤以降は三振のペースこそ落ちたものの、スライダーを多めに使い、豊山打線を打ち取っていき、4~7回をノーヒットに抑える。豊山は8回裏、豊山の中で唯一といっていいほど宇山にあっていた小川がまたもやレフト線に運んで2ベースで出塁し、飯島も四球を選んで1死1・2塁のチャンスを作るも、5番岸本は見逃し三振、6番井原もショートゴロに打ち取られ無得点。

豊山投手陣も6回以降は荒木も本来の投球を見せはじめ、Max139㌔のストレートに大きく曲がるスライダーを武器にした投球で6・7回と日大三打線を0封。代打が出た関係で8回からは背番号1のサイド右腕足立が登板して、2イニングを抑えて、日大三打線に追加点を与えない。ただ最終回の攻撃も宇山の前に、3者凡退に倒れてしまい、宇山は10奪三振2失点完投承知。日大三が6-2で日大対決を制して、ベスト4進出を決めた。
20201107日大三 宇山
10奪三振2失点完投勝利をあげた日大三の宇山


20201107日大三×日大豊山
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


ここまで玉井→荒木→森と継投で勝ち上がってきた日大豊山だが、この試合ではその継投のタイミングが難しかった。先発の玉井は前回の創価戦よりはるかにいい投球であったが、4回に突如乱れ始めた。このとき豊山のブルペンで練習していたのは、森・足立というサイド気味の2人の右腕であった。その後に1番頼りになるリリーフである荒木が慌てて準備をはじめ、結局2番手でマウンドに上がったのも、前から練習していた森・足立でなく、荒木であった。ただ荒木は準備不足が響いたのか、日大三打線の流れを止められず、四球→連打でさらに2点を失ってしまった。そもそもピッチャーを代えるタイミングももう少し早ければ…というところもあった。荒木が早めに準備していれば、逆転される前に代えられただろうし、また万全の準備でマウンドに行ければ追加点を与えずに済んだ可能性はある。結果論といえば結果論であるが、継投ベースのチームだけに交代、さらには投球練習を開始するタイミングの難しさを感じた試合であった。
20201107日大豊山 荒木
日大豊山の投手陣で1番頼りになる荒木

日大三といえば、はやり強打のイメージであるが、前の小山台戦でも1得点のみであり、この試合でも得点を奪った4回を除けば、ほぼ無得点であるといえ、打線はまだ元気がない。それを象徴するかのように、4番でスタメン出場していた主将の山岡は、2打席目には3球三振を喫するなど当たりがなく、なんと5回の守備から交代。まだ秋ということもあるが、強打の日大三にはほど遠い状態である。宇山を中心に投手陣はしっかりしており、この試合でもノーエラーであったようにショート鎌田を中心に守備もしっかりしているので、この秋は守りを中心としたチームとして戦っていくことになりそうだ。
20201107日大三 山岡
次戦での活躍に期待したい日大三の4番山岡


Pickup Player
鎌田慎也 日大三2年 ショート
~逆転タイムリーに好守のショート~
打っては4回に走者一掃の逆転タイムリー、守ってもハイレベルな守備をみせた、ショート鎌田の活躍は大きかった。

志村ボーイズでは主将ショートとして活躍し、ボーイズ関東選抜にも選ばれた逸材は、日大三では1年秋から控えの内野手としてベンチ入り。2年秋からショートのレギュラーを獲得し、この試合でも7番ショートとしてスタメン出場を果たした。

まずバッティングでは0-2とビハインドの4回表、2死満塁で迎えた第2打席で、カウント2B2Sからのストレートを捉えると、打球は右中間を抜けて走者一掃の逆転タイムリー3ベース。7回の第4打席でもライト前ヒットを放つと2安打目をマークすると、第5打席でも1・2塁間を抜けようかという当たりを放つも、ファーストのファインプレーに阻まれた。1打席目のライトフライも含めて、この試合の鎌田の打球は全て右方向。非常にボールをおっつけて、逆方向にもっていくのがうまいバッターであった。結局この試合の鎌田は4打数2安打3打点という打撃成績であった。

守備での1番の見せ場は、8回無死2塁の場面で、豊山の代打三澤の放った打球は勢いのないライナー性の当たりで三遊間へ飛んだ。非常に嫌な打球であったが、これを難なく処理すると、ショートの深い位置であったが、そこからファーストへノビのあるストライク送球。正直際どいタイミングかと思ったが、持ち前の強肩で余裕でアウトにしてみせたのは驚いた。その一方、シートノックを見えていても目をひくように、鎌田のグラブ裁きには柔らかさがあり、まさに柔かさと力強さを兼ねそろえたハイレベルなショートである。

守備ではすでにチームの中心となっており、東京でも1位2位を争うレベルのショートではないかと思う。打撃に関してもこの試合では右方向へのうまい打撃が目立ったが、179㎝と身長はあるだけにまだまだ力強さが増す余地はあると思われ、今後の成長に期待したい。

20201107日大三 鎌田1

20201107日大三 鎌田2
逆転タイムリーを放つなど、攻守に素晴らしいプレーをみせた日大三のショート鎌田



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