日体大×桜美林【首都大学野球連盟】
5/15 首都大学野球連盟 第5週1日目
日体大×桜美林 @等々力球場
試合経過
首都大学野球連盟は春季リーグもあと2節を残すところ。ここまで首位を走る桜美林大に、日体大が挑んだ。
日体大は1回表、先頭の松浦がライト前ヒットで出塁すると、2番本間の打席でエンドランを仕掛けてセカンドゴロの間に2塁へ進、さらに大塚のショートゴロの間に3塁へ進み、2死3塁という場面で、この試合ではDHを解除して4番ピッチャーでスタメン出場している二刀流の矢澤を迎える。矢澤は果敢に初球を打ちに行くも、打球はファーストゴロと思いきや、このボールがファースト七井の手につかず、俊足の矢澤がその間に1塁を駆け抜けてセーフとなり、日体大が先制する。さらに日体大は4回表にも、5番の主将猪原に1発が飛び出して2点目をあげる。

4回にホームランを放った日体大の主将猪原
桜美林大打線は、日体大の先発の矢澤の前に1~4回までいずれも1イニングに1個ずつの四球でランナーを出すものの、そのうち3回試みた盗塁は全て日体大のキャッチャー高橋建に刺されてしまい、3回にはセカンドゴロ併殺と、出たランナー4人が全てアウト。矢澤のストレートとスライダーのコンビネーションの前に、5回までノーヒット打者15人で完璧に抑えられてしまう。

3個の盗塁を刺して矢澤を援護した日体大のキャッチャー高橋建
桜美林大の先発は土生。横浜では3年夏はベンチ外だったものの、引退試合で144㌔を出した投手であり、速球派というイメージが強かったが、2回以降はスライダー・カーブ・フォークといった変化球をうまく使った投球を展開。5回まで日体大打線を上述の2点に抑える。6回にはギアアップし、ストレートのスピードも上がると、本間・大塚から連続三振を奪い、日体大の攻撃を3者凡退に抑える。

変化球を巧み使った投球が光った桜美林大の先発土生
ただ7回表、日体大は先頭の猪原がサードエラーで出塁すると、バントを挟んで、7番稲本もヒットも放って盗塁を決めて。2死2・3塁のチャンスを作ると、この場面で開幕戦では4番を打つなど本来は中軸として期待される堀口を代打に送る。堀口に対して土生は2球目にこの試合最速となる145㌔のストレートを投げ込むも、堀口が見事に右中間に弾き返して猪原・稲本が生還して、日体大がリードを3-0と広げる。土生は7回4失点も自責点は1という好投で、この回でマウンドを降りることとなる。

代打で2点タイムリーを放った日体大の堀口
日体大がリードを広げると、球場のファンがあと期待するのは矢澤の二刀流でのノーヒットノーラン。プロ野球でいえば大谷翔平がノーヒットノーランを達成するようなものであり、球場のボルテージも上がっていった。だがこのままでは終われない桜美林大は7回裏、先頭に代打として送った揚野が四球を選んで出塁。2番森田智はバントもできずに追い込まれてしまうものの、3球目のスライダーをレフト線に弾き返すと、レフト大塚のダイブもわずかに届かずに、チーム初ヒットとなるタイムリー3ベース。森田智は続く河原木の犠牲フライで生還して、桜美林大がノーヒットノーラン阻止から一気に2-3と1点差にまで迫る。

チーム初ヒットとなるタイムリー3ベースを放った桜美林大の森田智
桜美林大は8回から2番手としてルーキー左腕の武藤が登板。全身を目一杯つかって、腕の出どころが見づらいフォームからMax142㌔のストレートとスライダーを投げ込んだ武藤は、日体大の2・3・4番という上位打線を見事に3者三振に仕留めて、桜美林大に流れをもってくる。

8回を3者三振に仕留めた桜美林大のルーキー武藤
すると桜美林大は8回裏、先頭の代打中野が死球で出塁して、8番手塚がチーム2本目のヒットでチャンスを広げるものの、9番稲村・1番揚野は後続も倒れてしまい無得点。最終回も矢澤が、森田智からリベンジとなる三振を奪うと、最後も4番田島大から3球三振を奪ってゲームセット。二刀流矢澤の2安打2失点の完投で、日体大が4-2で勝利した。

完投勝利をあげてガッツポーズの日体大のエース矢澤

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
敗ければ優勝戦線から脱落し、また桜美林大を優位にしてしまうという意味でも、日体大にとっては重要な1戦であったためにこの1戦を獲れたのは大きかった。二刀流矢澤の活躍については後述するとして、コロナの影響などで調整不足から始まり、いきなりライバル東海大に連敗してしまったチームがやっと調子ついてきたというところであろうか?特にこの試合からは1番ショートとして松浦がスタメンに復帰。三野原が不調であり、固定できなかったショートに、昨秋は1年生ながらベストナインを獲得した松浦が復帰することで、いよいよメンバーもベストとなってきており、最後のラストスパートといったところであろう。

日体大のショートとしてスタメンに復帰した松浦
桜美林大としては、もう矢澤が凄かったで割り切るしかないであろう…。敗れたとはいえ、まだチームは首位を走っており、2016年に初のリーグ制覇を果たして以来の優勝が見てて来ている。当時はエース佐々木(ロッテ)という大黒柱がおり、その佐々木が卒業した翌年からはチームが低迷して2部降格も味わった。ただ今年のチームはいわゆる大黒柱という存在こそいないものの、2016年の優勝以降有望な選手がより集まるようになり、厚くなった選手層で戦い抜いているチームである。この試合で先発した土生など、多くの選手は3年生以下であり、今後桜美林大が常勝チームに成長していくためにも、今季は何としても優勝を果たしたいところである。
Pickup Player
矢澤宏太 日体大3年 投手兼外野手
~本格二刀流が見事な完投勝利~
DHを解除して4番ピッチャーでスタメン出場した矢澤は、エースとして見事な投球をみせチームを勝利に導いた。
藤嶺藤沢時代から二刀流として注目されていた矢澤は、1年秋からエースとなり、打っては3番で登板時以外はセンターを守っていた。身長は173㎝と大きくはないが、野球選手が抜群であり、投げては140㌔後半をマークする左腕、打っては高校通算32発に加えて、50㍍5.8秒という超俊足も兼ねそろえる。高校時代にもプロ志望届を提出したものの、ドラフトでは指名がなく、日体大に進学した。
高校時代は二刀流は多いものの、大学に入るとどちらかに絞るのが常であるが、日体大の古城監督は矢澤を投手・野手の二刀流として育成することとした。まずは1年春から外野手として出場機会を得て、1年秋にはリードオフマンとして、リーグ8位の打率.286、2ホーマをマーク。この1年秋に投手としても、2試合だけであるがリーグ戦デビューを果たしている。2年秋には投手としてリーグ戦初勝利をあげたものの、打率.368をマークしてベストナインを獲得した外野がメインであった。
しかし3年生となった今年は、本家大谷とまさしく同じタイミングでリアル二刀流が開始。エースとして1戦目の先発を託され、DHのある首都大学野球連盟にも関わらず、DHを解除してクリーンアップとして出場。2戦目はDHとして出場するという、二刀流フル回転な起用となっている。筑波大戦では佐藤隼に投げ勝って完封勝利をあげ、帝京大戦ではサヨナラホームランを放つなど、投打で文句なしの活躍をみせている。
この試合ではついに4番ピッチャーでスタメン出場を果たした矢澤。まず1回表に2死3塁で回ってきた1打席目では、俊足もあって、ファーストのエラーを誘い先制点を叩きだす。投げては序盤は四球が多くランナーは出したものの、キャッチャー高橋の3個の盗塁刺殺などもあり、Max146㌔のストレートと130㌔前後で打者の手元で鋭く曲がるスライダーのコンビネーションで桜美林大にヒットを許さない投球。二刀流ノーヒットの期待が高まってきたものの、7回には森田智に初ヒットとなるタイムリー3ベースを浴びてしまい、河原木の犠飛で1点差に迫られてしまう。それでも8回のピンチも凌ぐと、ギアをあげた最終回は森田智・田島大から三振を奪い3人で締めて逃げ切った。投げては9回2失点2安打10奪三振完投勝利であった。
打撃の方はこの試合では4打数ノーヒットと結果を出すことはできなかった。ただ桜美林大は、矢澤に対して1・2塁間が極端に狭い矢澤シフトを敷くなど、警戒度の高さはうかがえた。ちなみに2打席目・3打席目のセカンドゴロは、通常のシフトならば1・2塁間抜けていただろうという強烈な当たりであり、この矢澤シフトは大成功であったといえる。
今年3年生となる矢澤であるが、来年は間違いなくドラフト候補となるであろうし、この試合でもスカウトの姿は多く見られた。果たして投手、野手のどちらでプロに行くのか…、はたまた二刀流でのプロ入りか…。もし大谷の次の二刀流が誰?と言われたら、現状では間違いなく「矢澤!!」といえる選手であり、今後の活躍にも要注目である。


4番ピッチャーとして出場し、2安打2失点完投勝利をあげた日体大の矢澤
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日体大×桜美林 @等々力球場
試合経過
首都大学野球連盟は春季リーグもあと2節を残すところ。ここまで首位を走る桜美林大に、日体大が挑んだ。
日体大は1回表、先頭の松浦がライト前ヒットで出塁すると、2番本間の打席でエンドランを仕掛けてセカンドゴロの間に2塁へ進、さらに大塚のショートゴロの間に3塁へ進み、2死3塁という場面で、この試合ではDHを解除して4番ピッチャーでスタメン出場している二刀流の矢澤を迎える。矢澤は果敢に初球を打ちに行くも、打球はファーストゴロと思いきや、このボールがファースト七井の手につかず、俊足の矢澤がその間に1塁を駆け抜けてセーフとなり、日体大が先制する。さらに日体大は4回表にも、5番の主将猪原に1発が飛び出して2点目をあげる。

4回にホームランを放った日体大の主将猪原
桜美林大打線は、日体大の先発の矢澤の前に1~4回までいずれも1イニングに1個ずつの四球でランナーを出すものの、そのうち3回試みた盗塁は全て日体大のキャッチャー高橋建に刺されてしまい、3回にはセカンドゴロ併殺と、出たランナー4人が全てアウト。矢澤のストレートとスライダーのコンビネーションの前に、5回までノーヒット打者15人で完璧に抑えられてしまう。

3個の盗塁を刺して矢澤を援護した日体大のキャッチャー高橋建
桜美林大の先発は土生。横浜では3年夏はベンチ外だったものの、引退試合で144㌔を出した投手であり、速球派というイメージが強かったが、2回以降はスライダー・カーブ・フォークといった変化球をうまく使った投球を展開。5回まで日体大打線を上述の2点に抑える。6回にはギアアップし、ストレートのスピードも上がると、本間・大塚から連続三振を奪い、日体大の攻撃を3者凡退に抑える。

変化球を巧み使った投球が光った桜美林大の先発土生
ただ7回表、日体大は先頭の猪原がサードエラーで出塁すると、バントを挟んで、7番稲本もヒットも放って盗塁を決めて。2死2・3塁のチャンスを作ると、この場面で開幕戦では4番を打つなど本来は中軸として期待される堀口を代打に送る。堀口に対して土生は2球目にこの試合最速となる145㌔のストレートを投げ込むも、堀口が見事に右中間に弾き返して猪原・稲本が生還して、日体大がリードを3-0と広げる。土生は7回4失点も自責点は1という好投で、この回でマウンドを降りることとなる。

代打で2点タイムリーを放った日体大の堀口
日体大がリードを広げると、球場のファンがあと期待するのは矢澤の二刀流でのノーヒットノーラン。プロ野球でいえば大谷翔平がノーヒットノーランを達成するようなものであり、球場のボルテージも上がっていった。だがこのままでは終われない桜美林大は7回裏、先頭に代打として送った揚野が四球を選んで出塁。2番森田智はバントもできずに追い込まれてしまうものの、3球目のスライダーをレフト線に弾き返すと、レフト大塚のダイブもわずかに届かずに、チーム初ヒットとなるタイムリー3ベース。森田智は続く河原木の犠牲フライで生還して、桜美林大がノーヒットノーラン阻止から一気に2-3と1点差にまで迫る。

チーム初ヒットとなるタイムリー3ベースを放った桜美林大の森田智
桜美林大は8回から2番手としてルーキー左腕の武藤が登板。全身を目一杯つかって、腕の出どころが見づらいフォームからMax142㌔のストレートとスライダーを投げ込んだ武藤は、日体大の2・3・4番という上位打線を見事に3者三振に仕留めて、桜美林大に流れをもってくる。

8回を3者三振に仕留めた桜美林大のルーキー武藤
すると桜美林大は8回裏、先頭の代打中野が死球で出塁して、8番手塚がチーム2本目のヒットでチャンスを広げるものの、9番稲村・1番揚野は後続も倒れてしまい無得点。最終回も矢澤が、森田智からリベンジとなる三振を奪うと、最後も4番田島大から3球三振を奪ってゲームセット。二刀流矢澤の2安打2失点の完投で、日体大が4-2で勝利した。

完投勝利をあげてガッツポーズの日体大のエース矢澤

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
敗ければ優勝戦線から脱落し、また桜美林大を優位にしてしまうという意味でも、日体大にとっては重要な1戦であったためにこの1戦を獲れたのは大きかった。二刀流矢澤の活躍については後述するとして、コロナの影響などで調整不足から始まり、いきなりライバル東海大に連敗してしまったチームがやっと調子ついてきたというところであろうか?特にこの試合からは1番ショートとして松浦がスタメンに復帰。三野原が不調であり、固定できなかったショートに、昨秋は1年生ながらベストナインを獲得した松浦が復帰することで、いよいよメンバーもベストとなってきており、最後のラストスパートといったところであろう。

日体大のショートとしてスタメンに復帰した松浦
桜美林大としては、もう矢澤が凄かったで割り切るしかないであろう…。敗れたとはいえ、まだチームは首位を走っており、2016年に初のリーグ制覇を果たして以来の優勝が見てて来ている。当時はエース佐々木(ロッテ)という大黒柱がおり、その佐々木が卒業した翌年からはチームが低迷して2部降格も味わった。ただ今年のチームはいわゆる大黒柱という存在こそいないものの、2016年の優勝以降有望な選手がより集まるようになり、厚くなった選手層で戦い抜いているチームである。この試合で先発した土生など、多くの選手は3年生以下であり、今後桜美林大が常勝チームに成長していくためにも、今季は何としても優勝を果たしたいところである。
Pickup Player
矢澤宏太 日体大3年 投手兼外野手
~本格二刀流が見事な完投勝利~
DHを解除して4番ピッチャーでスタメン出場した矢澤は、エースとして見事な投球をみせチームを勝利に導いた。
藤嶺藤沢時代から二刀流として注目されていた矢澤は、1年秋からエースとなり、打っては3番で登板時以外はセンターを守っていた。身長は173㎝と大きくはないが、野球選手が抜群であり、投げては140㌔後半をマークする左腕、打っては高校通算32発に加えて、50㍍5.8秒という超俊足も兼ねそろえる。高校時代にもプロ志望届を提出したものの、ドラフトでは指名がなく、日体大に進学した。
高校時代は二刀流は多いものの、大学に入るとどちらかに絞るのが常であるが、日体大の古城監督は矢澤を投手・野手の二刀流として育成することとした。まずは1年春から外野手として出場機会を得て、1年秋にはリードオフマンとして、リーグ8位の打率.286、2ホーマをマーク。この1年秋に投手としても、2試合だけであるがリーグ戦デビューを果たしている。2年秋には投手としてリーグ戦初勝利をあげたものの、打率.368をマークしてベストナインを獲得した外野がメインであった。
しかし3年生となった今年は、本家大谷とまさしく同じタイミングでリアル二刀流が開始。エースとして1戦目の先発を託され、DHのある首都大学野球連盟にも関わらず、DHを解除してクリーンアップとして出場。2戦目はDHとして出場するという、二刀流フル回転な起用となっている。筑波大戦では佐藤隼に投げ勝って完封勝利をあげ、帝京大戦ではサヨナラホームランを放つなど、投打で文句なしの活躍をみせている。
この試合ではついに4番ピッチャーでスタメン出場を果たした矢澤。まず1回表に2死3塁で回ってきた1打席目では、俊足もあって、ファーストのエラーを誘い先制点を叩きだす。投げては序盤は四球が多くランナーは出したものの、キャッチャー高橋の3個の盗塁刺殺などもあり、Max146㌔のストレートと130㌔前後で打者の手元で鋭く曲がるスライダーのコンビネーションで桜美林大にヒットを許さない投球。二刀流ノーヒットの期待が高まってきたものの、7回には森田智に初ヒットとなるタイムリー3ベースを浴びてしまい、河原木の犠飛で1点差に迫られてしまう。それでも8回のピンチも凌ぐと、ギアをあげた最終回は森田智・田島大から三振を奪い3人で締めて逃げ切った。投げては9回2失点2安打10奪三振完投勝利であった。
打撃の方はこの試合では4打数ノーヒットと結果を出すことはできなかった。ただ桜美林大は、矢澤に対して1・2塁間が極端に狭い矢澤シフトを敷くなど、警戒度の高さはうかがえた。ちなみに2打席目・3打席目のセカンドゴロは、通常のシフトならば1・2塁間抜けていただろうという強烈な当たりであり、この矢澤シフトは大成功であったといえる。
今年3年生となる矢澤であるが、来年は間違いなくドラフト候補となるであろうし、この試合でもスカウトの姿は多く見られた。果たして投手、野手のどちらでプロに行くのか…、はたまた二刀流でのプロ入りか…。もし大谷の次の二刀流が誰?と言われたら、現状では間違いなく「矢澤!!」といえる選手であり、今後の活躍にも要注目である。


4番ピッチャーとして出場し、2安打2失点完投勝利をあげた日体大の矢澤
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