NTT東日本×ヤマハ【社会人野球日本選手権】
6/29 社会人野球日本選手権1回戦
NTT東日本✕ヤマハ @ほっともっとフィールド神戸
試合経過
昨年はコロナの影響で中止となったために、2年ぶりの開催となった社会人野球日本選手権。開幕ゲームはNTT東日本✕ヤマハの試合となり、NTT東日本は新人の上出、ヤマハは2年目の清水とともに先発の中心として期待したい若手投手がマウンドに上がった。
1回表、NTT東日本は1番下川がプレイボール直後の初球を叩き、左中間への2ベースで出塁。2番火ノ浦は四球となると、3番桝澤の初球になんとダブルスチールとNTT東日本が積極的な攻めを見せて、いきなり無死2・3塁のチャンスを作る。3番桝澤のショートゴロの間にまず1点を先制すると、4番向山はカーブをうまくセンター前に運んで、NTT東日本がいきなり2点を先制する。

2ベースを放ち先制点の起点となったNTT東日本の1番下川
いきなり出鼻をくじかれてしまったヤマハの先発の清水であったが、大学時代から定評のある安定感に加えて、腕を思い切り振って力のあるストレートが投げられるようになっており、スライダー・カーブ・チェンジアップといった変化球も操り、2回以降はNTT東日本打線を抑えていき4回2失点。昨年の都市対抗のNTT東日本戦では大差をつけられた後に6番手として登板と、もはやゲームの展開的には何もすることができなかったが、この試合では先発としてしっかりとゲームメイクができたといえる。

4回を2失点とまとめたヤマハの先発清水
清水の投球に応えたいヤマハ打線は4回裏、2死から6番ベテラン矢幡がレフトオーバーの2ベースで出塁。すると続く7番笠松がセンター前に弾き返して、矢幡が生還して1点を返す。さらに死球とバッテリーミスで2死1・3塁と同点のチャンスを迎えるも、9番高坏の二遊間への打球はセカンド下川が好捕し2塁へトス。2塁はセーフとなるものの、ショート上川畑がそのまま1塁へ送球すると1塁はアウトとなり、NTT東日本が好守で同点を許さなかった。
ヤマハは5回から2番手としてベテラン左腕の九谷が登板。今年は先発にも挑戦しており、JABA東北大会準決勝ではNTT東日本を4回無失点に抑えている九谷は、この日も持ち前の投球術でNTT東日本打線を翻弄。味方の2つのエラーもあって、5~7回の3イニング全てで先頭打者の出塁を許すものの、後続を抑えていき、3回無安打無失点の好投をみせる。ただNTT東日本の上出も、相変わらずランナーは許すものの、粘りの投球でヤマハに同点を許さず、試合は2-1とNTT東日本がリードしたまま終盤に突入する。

さすがの投球術で3イニングを無失点に抑えたヤマハの2番手九谷
ヤマハは8回から3番手として左腕の佐藤が登板。ただNTT東日本は4番向山が、初球のストレートを捉えると打球は左中間スランドに飛び込むホームラン。これまでは1番・3番が多かったものの、3年目を迎える今年は4番として起用された向山が、まさらに4番らしい一振りで、NTT東日本に貴重な追加点をもたらせた。

貴重な追加点となるソロホームランを放ったNTT東日本の4番向山
結局上出は8回1失点と素晴らしい結果を残し、NTT東日本の9回のマウンドにはベテランの大竹が上がる。ただその大竹に対してヤマハは矢幡がこの試合3本目となるヒットで出塁すると、1死から8番川邉も続いて1・3塁のチャンスを作る。ヤマハはここで大に萩原を起用し、萩原の打球はセカンドゴロと思いきや、ややゲッツーを焦ったこともあったのか、この回から守備固めとしてセカンドに入っていた丸山がまさかの失策。ヤマハは2-3と1点差に迫り、なおも1死1・2塁というチャンスであったが、ここでは大竹が代打藤岡をセンターフライ、最後は秋利がショートゴロに打ち取ってゲームセット。NTT東日本が3-2と何とか逃げ切って、ヤマハに勝利した。

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
NTT東日本とヤマハの対戦は、昨年の都市対抗準々決勝はNTT東日本が11-1で勝利、今年のJABA東北大会準決勝ではヤマハが12-4で勝利とともにコールドゲームの大味な試合となっていた。ただこの試合先発はその2試合でほぼ登板のなかった、上出と清水という若い2人の投手であり、上出は8回1失点、清水が4回2失点としっかと試合を作ったことでロースコアな展開となった。先発の中心として期待したい2人が、日本選手権という大舞台でしっかりと結果を残したことは両監督にとっても嬉しいことだろう。
NTT東日本の勝因は少ないチャンスをしっかりとモノにできたことである。初回のダブルスチールなどの積極的な先制攻撃も素晴らしかったが、今大会から4番に座った向山が初回のタイムリー、8回には貴重な追加点となるソロホームランと勝負どころできっちりと結果を出したのも大きかった。どちらかというと足もある選手で、敢闘賞を獲得した昨年の都市対抗でも打っていた1番などに適正のある選手かと思っていたが、4番としても結果を出せることを証明して、3年目を迎える今年こそいよいよプロ入りを果たしたいとことだ。

NTT東日本の新4番向山
一方のヤマハは、NTT東日本を上回る10本ものヒットを放ちながら、あと1本が出ずに2点に抑えられてしまったのが厳しかった。ヤマハの打線は、昨年の都市対抗では補強選手であった秋利が移籍で加入しており、これまで主に3番としてチームを支え続けてきた矢幡を6番に置けるようになり、こちらも経験豊富な3番青柳、主将4番で油の乗り切っている前野、元DeNAの5番網谷とクリーンアップも含めた上位打線は充実していた。この試合では前野が上出にあっておらずに4打数ノーヒット、網谷はいい打球を連発するも野手の正面でありノーヒットと結果が出ず、上出の粘りの投球の前に屈してしまう形となった。

この試合ではノーヒットに終わってしまったヤマハの4番前野
Pickup Player
上出拓真 NTT東日本 投手
~開幕ゲームを託された新人が起用に応える好投~
この開幕戦にNTT東日本の先発に抜擢された上出が、8回1失点と見事な投球をみせた。
上出は札幌第一では2年秋からエース兼主将を務め、北海道大会の準決勝では駒大苫小牧を完封、2-1で北海道栄に勝利した決勝では投げては1失点完投、打っては2点を全て自らのバットで叩き出す活躍をみせ、チームを優勝に導いた。4番エースとして臨んだ3年春のセンバツでは、初戦で早川(楽天)がエースの木更津総合に2-5で敗れた。3年夏の南北海道大会では準決勝で、札幌日大に敗れて甲子園出場はならなかった。国学院大に進学すると、球速もアップして140㌔後半をマークするまでになり、2年春にリーグ戦デビューを果たし、3年春にはリリーフとして8試合に登板した。3年秋には右肘の手術を経験して、4年秋にはエースとして復帰し、東洋大から完封勝利をあげるなど2勝、防御率2.23(リーグ4位)という活躍をみせた。
今年NTT東日本に入社すると、春先から先発投手として登板を重ねており、日本選手権の代表決定戦となった日本製鉄鹿島戦では9回1失点の好投をみせ、9回裏に2点を奪って逆転サヨナラ勝ちを収めたチームは日本選手権にコマを進めた。そんな日本選手権出場の立役者である上出は、この重要な初戦での先発のマウンドに上がった。
上出の特徴は、テイクバックで大きく右腕を後ろに引くフォームであり、そこから繰り出すストレートは140㌔前後だが(この試合ではMax146㌔らしい)。変化球は120㌔台のスライダーを中心に、チェンジアップやSFFといったボールも織り交ぜて、打者を打ち取っていく。とりわけ凄いボールがあるというタイプではないが、丁寧にボールを投げこんでおり、とにかくコントロールがいいので、連打を食らうことがない投手である。実際にこの試合でも、5回までは毎回ヒットを浴びたものの、得点を許した4回の2安打を除けば、全てが散発のヒット。ピンチの場面でもペースを乱すことなく、丁寧にボールを投げこみ、粘り強さも目立った。結果的に8回を投げて1失点と、先発起用に見事に応える活躍を見せた。
NTT東日本には、昨年の都市対抗準Vに貢献した経験豊富な大竹・堀・沼田といった投手陣がいるが、上出の投球もルーキーとは思えないほどの成熟度があり、途中ピッチャーを交代してもおかしくない場面は何度かあったが、飯塚監督は上出に託し続けた。今回のように順調に結果を出し続け、NTT東日本のエースと呼べる存在となれば、来年には自ずとドラフト指名に繋がってくることだろう。

8回1失点の好投をみせたNTT東日本の先発上出
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NTT東日本✕ヤマハ @ほっともっとフィールド神戸
試合経過
昨年はコロナの影響で中止となったために、2年ぶりの開催となった社会人野球日本選手権。開幕ゲームはNTT東日本✕ヤマハの試合となり、NTT東日本は新人の上出、ヤマハは2年目の清水とともに先発の中心として期待したい若手投手がマウンドに上がった。
1回表、NTT東日本は1番下川がプレイボール直後の初球を叩き、左中間への2ベースで出塁。2番火ノ浦は四球となると、3番桝澤の初球になんとダブルスチールとNTT東日本が積極的な攻めを見せて、いきなり無死2・3塁のチャンスを作る。3番桝澤のショートゴロの間にまず1点を先制すると、4番向山はカーブをうまくセンター前に運んで、NTT東日本がいきなり2点を先制する。

2ベースを放ち先制点の起点となったNTT東日本の1番下川
いきなり出鼻をくじかれてしまったヤマハの先発の清水であったが、大学時代から定評のある安定感に加えて、腕を思い切り振って力のあるストレートが投げられるようになっており、スライダー・カーブ・チェンジアップといった変化球も操り、2回以降はNTT東日本打線を抑えていき4回2失点。昨年の都市対抗のNTT東日本戦では大差をつけられた後に6番手として登板と、もはやゲームの展開的には何もすることができなかったが、この試合では先発としてしっかりとゲームメイクができたといえる。

4回を2失点とまとめたヤマハの先発清水
清水の投球に応えたいヤマハ打線は4回裏、2死から6番ベテラン矢幡がレフトオーバーの2ベースで出塁。すると続く7番笠松がセンター前に弾き返して、矢幡が生還して1点を返す。さらに死球とバッテリーミスで2死1・3塁と同点のチャンスを迎えるも、9番高坏の二遊間への打球はセカンド下川が好捕し2塁へトス。2塁はセーフとなるものの、ショート上川畑がそのまま1塁へ送球すると1塁はアウトとなり、NTT東日本が好守で同点を許さなかった。
ヤマハは5回から2番手としてベテラン左腕の九谷が登板。今年は先発にも挑戦しており、JABA東北大会準決勝ではNTT東日本を4回無失点に抑えている九谷は、この日も持ち前の投球術でNTT東日本打線を翻弄。味方の2つのエラーもあって、5~7回の3イニング全てで先頭打者の出塁を許すものの、後続を抑えていき、3回無安打無失点の好投をみせる。ただNTT東日本の上出も、相変わらずランナーは許すものの、粘りの投球でヤマハに同点を許さず、試合は2-1とNTT東日本がリードしたまま終盤に突入する。

さすがの投球術で3イニングを無失点に抑えたヤマハの2番手九谷
ヤマハは8回から3番手として左腕の佐藤が登板。ただNTT東日本は4番向山が、初球のストレートを捉えると打球は左中間スランドに飛び込むホームラン。これまでは1番・3番が多かったものの、3年目を迎える今年は4番として起用された向山が、まさらに4番らしい一振りで、NTT東日本に貴重な追加点をもたらせた。

貴重な追加点となるソロホームランを放ったNTT東日本の4番向山
結局上出は8回1失点と素晴らしい結果を残し、NTT東日本の9回のマウンドにはベテランの大竹が上がる。ただその大竹に対してヤマハは矢幡がこの試合3本目となるヒットで出塁すると、1死から8番川邉も続いて1・3塁のチャンスを作る。ヤマハはここで大に萩原を起用し、萩原の打球はセカンドゴロと思いきや、ややゲッツーを焦ったこともあったのか、この回から守備固めとしてセカンドに入っていた丸山がまさかの失策。ヤマハは2-3と1点差に迫り、なおも1死1・2塁というチャンスであったが、ここでは大竹が代打藤岡をセンターフライ、最後は秋利がショートゴロに打ち取ってゲームセット。NTT東日本が3-2と何とか逃げ切って、ヤマハに勝利した。

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
NTT東日本とヤマハの対戦は、昨年の都市対抗準々決勝はNTT東日本が11-1で勝利、今年のJABA東北大会準決勝ではヤマハが12-4で勝利とともにコールドゲームの大味な試合となっていた。ただこの試合先発はその2試合でほぼ登板のなかった、上出と清水という若い2人の投手であり、上出は8回1失点、清水が4回2失点としっかと試合を作ったことでロースコアな展開となった。先発の中心として期待したい2人が、日本選手権という大舞台でしっかりと結果を残したことは両監督にとっても嬉しいことだろう。
NTT東日本の勝因は少ないチャンスをしっかりとモノにできたことである。初回のダブルスチールなどの積極的な先制攻撃も素晴らしかったが、今大会から4番に座った向山が初回のタイムリー、8回には貴重な追加点となるソロホームランと勝負どころできっちりと結果を出したのも大きかった。どちらかというと足もある選手で、敢闘賞を獲得した昨年の都市対抗でも打っていた1番などに適正のある選手かと思っていたが、4番としても結果を出せることを証明して、3年目を迎える今年こそいよいよプロ入りを果たしたいとことだ。

NTT東日本の新4番向山
一方のヤマハは、NTT東日本を上回る10本ものヒットを放ちながら、あと1本が出ずに2点に抑えられてしまったのが厳しかった。ヤマハの打線は、昨年の都市対抗では補強選手であった秋利が移籍で加入しており、これまで主に3番としてチームを支え続けてきた矢幡を6番に置けるようになり、こちらも経験豊富な3番青柳、主将4番で油の乗り切っている前野、元DeNAの5番網谷とクリーンアップも含めた上位打線は充実していた。この試合では前野が上出にあっておらずに4打数ノーヒット、網谷はいい打球を連発するも野手の正面でありノーヒットと結果が出ず、上出の粘りの投球の前に屈してしまう形となった。

この試合ではノーヒットに終わってしまったヤマハの4番前野
Pickup Player
上出拓真 NTT東日本 投手
~開幕ゲームを託された新人が起用に応える好投~
この開幕戦にNTT東日本の先発に抜擢された上出が、8回1失点と見事な投球をみせた。
上出は札幌第一では2年秋からエース兼主将を務め、北海道大会の準決勝では駒大苫小牧を完封、2-1で北海道栄に勝利した決勝では投げては1失点完投、打っては2点を全て自らのバットで叩き出す活躍をみせ、チームを優勝に導いた。4番エースとして臨んだ3年春のセンバツでは、初戦で早川(楽天)がエースの木更津総合に2-5で敗れた。3年夏の南北海道大会では準決勝で、札幌日大に敗れて甲子園出場はならなかった。国学院大に進学すると、球速もアップして140㌔後半をマークするまでになり、2年春にリーグ戦デビューを果たし、3年春にはリリーフとして8試合に登板した。3年秋には右肘の手術を経験して、4年秋にはエースとして復帰し、東洋大から完封勝利をあげるなど2勝、防御率2.23(リーグ4位)という活躍をみせた。
今年NTT東日本に入社すると、春先から先発投手として登板を重ねており、日本選手権の代表決定戦となった日本製鉄鹿島戦では9回1失点の好投をみせ、9回裏に2点を奪って逆転サヨナラ勝ちを収めたチームは日本選手権にコマを進めた。そんな日本選手権出場の立役者である上出は、この重要な初戦での先発のマウンドに上がった。
上出の特徴は、テイクバックで大きく右腕を後ろに引くフォームであり、そこから繰り出すストレートは140㌔前後だが(この試合ではMax146㌔らしい)。変化球は120㌔台のスライダーを中心に、チェンジアップやSFFといったボールも織り交ぜて、打者を打ち取っていく。とりわけ凄いボールがあるというタイプではないが、丁寧にボールを投げこんでおり、とにかくコントロールがいいので、連打を食らうことがない投手である。実際にこの試合でも、5回までは毎回ヒットを浴びたものの、得点を許した4回の2安打を除けば、全てが散発のヒット。ピンチの場面でもペースを乱すことなく、丁寧にボールを投げこみ、粘り強さも目立った。結果的に8回を投げて1失点と、先発起用に見事に応える活躍を見せた。
NTT東日本には、昨年の都市対抗準Vに貢献した経験豊富な大竹・堀・沼田といった投手陣がいるが、上出の投球もルーキーとは思えないほどの成熟度があり、途中ピッチャーを交代してもおかしくない場面は何度かあったが、飯塚監督は上出に託し続けた。今回のように順調に結果を出し続け、NTT東日本のエースと呼べる存在となれば、来年には自ずとドラフト指名に繋がってくることだろう。

8回1失点の好投をみせたNTT東日本の先発上出
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