fc2ブログ

神戸国際大付×明石商【秋季兵庫大会】

9/25 秋季兵庫大会準々決勝
神戸国際大付×明石商 @明石トーカロ球場


試合経過

秋季兵庫大会は準々決勝で、春夏甲子園に出場のメンバーが多く残り今大会の大本命とされている神戸国際大付と、明石商という強豪対決。翌日に準決勝を控える日程であるが、神戸国際大付は楠本、明石商は常深と両エース左腕が先発マウンドに上がった。

神戸国際大付は3回表、1番柴田が三遊間を破るヒットを放つと、ワイルドピッチと内野ゴロの間に進塁し、2死3塁のチャンスを作る。ここで好打者の3番山里は敬遠気味に歩かされた後、4番松尾はやや引っ掛気味のバッティングになったものの、うまくレフト線に運ぶタイムリー2ベースで神戸国際大付が先制。なおも2死2・3塁のチャンスであったが、明石商はここで2塁牽制で松尾を刺す好プレーをみせて、この回を最少失点で切り抜ける。
20210925神戸国際大付 松尾
先制タイムリーを放った神戸国際大付の松尾

明石商は4回裏、先頭の4番野口が死球で出塁すると、5番神野が送り、6番稲岡もセンター前ヒットで続いて1死1・3塁のチャンスを作る。すると7番中島は、明石商お得意のスクイズを見事に決めて、明石商が1-1の同点に追いつき、試合は1-1で前半戦を終了する。
20210925明石商 中島
同点スクイズを決めた明石商の中島

6回裏、明石商は4番野口が3打席連続となる死球で出塁すると、4回と同じように5番神野が送ってチャンスを広げる。2死となってから7番中島はセーフティバントを試みるも、これはピッチャー楠本の守備範囲でアウトと思いきや、楠本がファーストに暴投してしまい、野口が生還して勝ち越し。さらに2死2塁から8番上田(じょうだ)は前進守備のレフトの頭上を超えるタイムリー3ベースを放ち、ここで楠本をKOする。
20210925明石商 上田
レフトオーバーのタイムリー3ベースを放った明石商の上田

反撃したい神戸国際大付打線だが、中盤以降は明石商のエース常深の投球にうまくかわされてしまい無得点。一方の明石商打線は7回・8回も神戸国際大付の2番手高松からチャンスを作るものの、8回にはピンチの場面でセンターからリリーフした中辻が1番島田を三振に仕留めるなどして追加点を許さず、試合は3ー1と明石商がリードしたまま最終回に突入する。
20210925神戸国際大付 中辻
神戸国際大付の3番手として登板し8回のピンチを防いだ中辻

ただ9回表に神戸国際大付が底力を見せつける。1死から6番中辻がレフト前に弾き返すと、7番田村は初球を打って1•2塁間を破り、8番太田も追い込まれながらもセンター前に運び、3下位打線の3連打で満塁のチャンスを作る。そしてここで代打に日置を送るものの、日置はセカンドゴロ。これを明石商のセカンド稲岡が、目の前の1塁走者にタッチしてからファーストへ送球し、ゲッツーでゲームセット。エース常深の1失点完投で、明石商が神戸国際大付を下して、4強入りを果たした。


20210925神戸国際大付×明石商
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

明石商のお得意のバント攻撃が光った試合であった。近年の明石商は、水上(楽天)・来田(オリックス)・福本(今年のドラフト候補)といいた強打者が目立っていたが、公立校であるゆえに私立のようにスラッガータイプの選手ばかりを集めることも難しく、本来はバント攻撃を十八番とした堅実なチームである。この試合でも、神戸国際大付のエース楠本から大量得点は見込めないと踏んだのか、無死1塁or1死1塁という場面が5度ほどあったが、その全てでバントを決めており、3番金岡や4番野口といった中軸で1死1塁という場面でも例外なく送りバントのサインが出た。そして奪った得点も1点目はスクイズであり、2点目もセーフティバントがエラーを誘ったものであり、このバント攻撃で見事に強敵神戸国際大付を攻略したといえる。
20210925明石商 金岡
3番打者でも1死1塁からバントを決める明石商の金岡

来年のドラフト候補とも評されるのが、186㎝の大型左腕である神戸国際大付のエース左腕楠本。春夏の甲子園でも好投をみせた楠本は、新チームでは本格的にエースとなり、この試合でも先発のマウンドに上がった。力を抜いたフォームから威力のあるストレートと、スライダーのコンビネーションを武器としており、さらには右バッターのインコースを積極的に攻めるなど、投球術にも磨きがかかっていた。ただこの右バッターのインコース攻めが死球に繋がってしまい、明石商の4番野口に対しては3打席連続死球。野口はこれで2度もホームに生還しているので、この死球は結果として痛かったし、決勝点の場面は2死2塁からのセーフティバントと意表を突かれたものの、普通に処理すればアウトのバントであったが、これを1塁へ暴投してしまった。6回途中まで打たれたヒットは4本のみであったが、死球と自らの暴投とまさに自滅による失点で6回途中降板。そのままチームが逆転することはなく、楠本の3季連続での甲子園出場は絶望的となってしまった。
20210925神戸国際大付 楠本
投球内容は悪くなかったものの自滅が失点に繋がってしまった神戸国際大付のエース楠本


Pickup Player
常深颯太 明石商2年 投手
~強打の神戸国際大付打線から1失点完投勝利~
明石商のエース左腕の常深が、強打の神戸国際大付打線から1失点完投勝利をあげた。

常深は2年春に左足を骨折したこともあり、これまでベンチ入りもなかったが、この2年秋には明石商のエースナンバーを背負うと、西宮東戦では公式戦初完封を飾り、3回戦の西脇工戦でも1年生横山の後を受け継いで無失点リリーフをみせると、この準々決勝、最大の山場となる神戸国際大付戦でも先発のマウンドに上がった。

常深はそれほどスピードあるというタイプではないが、右手のグラブを閉じながらうまく壁を作り、打者から見ると出どころの見えないフォームから、コントロールよく丁寧にボールを投げこむ左腕である。変化球はスライダーとチェンジアップを投じており、うまく緩急をつけることもできていた。強打の神戸国際大付打線に対して、初回は3者凡退というスタートを切ったものの、2回以降はランナーを背負うことになったものの、失点は3回の松尾のタイムリーのみで粘り強く投げ抜いていった。最終回には1死満塁と最大のピンチを背負うものの、最後は代打日置をセカンドゴロ併殺に打ち取ってゲームセット。9回を投げて被安打9奪三振5という内容で1失点完投勝利をあげた。

攻撃に関してもそうだが、今年の明石商にはいわゆる中森や来田のようなスターと呼べる選手はいない。エース常深にしても、速い球があるわけではないが、持ち味の丁寧な投球が光り、今大会兵庫No1と評される打線を見事1失点完投と、まさに今年の明石商を象徴するような活躍ぶりであった。

20210925明石商 常深
見事1失点完投勝利をあげた明石商のエース左腕常深


ランキングに参加しています
よろしければクリックをお願いします↓
にほんブログ村 野球ブログ 高校野球へ
にほんブログ村


スポンサーサイト



テーマ : 高校野球
ジャンル : スポーツ

京都産業大✕大阪商業大【関西六大学野球連盟】

9/24 関西六大学野球連盟 第3節2日目
京都産業大✕大阪商業大 @わかさスタジアム京都

試合経過

大商大が前日の1戦目で京産大に勝利して、リーグ戦20連勝を飾って迎えた2戦目。京産大は先日プロ志望届を提出したドラフト候補の北山が、大商大も春はエースを務めていた伊原がこの秋初先発のマウンド。ともにリーグを代表する投手ながら、この秋はここまで思うように結果を出せていない2人の先発で試合が始まった。

大商大は1回裏に、この試合で1番に抜擢された福島大の打球はショートゴロとなるも、ショートの送球がショーバンになってしまい出塁。さらに序盤ピりっとしない北山は2番家田にストレートの四球を与えてしまい、3番福元は変化球をうまく拾って、大商大がいきなり無死満塁のチャンスを作る。すると1死から5番渡部のライト前ヒットで1点を先制すると、6番梅本の打球はレフトの頭上を越える走者一掃のタイムリー2ベースとなり、大商大が北山から初回に4点を先制する。
20210924大商大 梅本
初回に走者一掃のタイムリー2ベースを放った大商大の梅本

出鼻をくじかれてしまった北山は2回以降はモデルチェンジ。初回に149㌔をマークしていたストレートは、140㌔前半に抑え、スライダー・カットボール・SFF・チェンジアップといった変化球も増やして巧みな投球をみせると、大商大打線は初回のように繋がりがなく、ヒットが出ても散発であり、追加点をあげることができない。
20210924京産大 北山2
2回以降はピッチングをモデルチェンジして相手打線を抑えた京産大の北山

大商大の先発の伊原は、ストレートはMax142㌔であるがコントロールが抜群であり、持ち味のカットボールに近いスライダー、さらにはチェンジアップを駆使した伊原らしい投球を披露。春は絶対的なエースだったものの、この秋の登板はこれまでリリーフのみだったので心配していたが、今日の投球内容は、春の井原と遜色ないといえるものであったころだろう。京産大打線にヒットは許すものの、連打などはなく全て散発であり、また四球もないために、京産大はなかなか得点をあげることができずに、試合は大商大が4-0とリードしたまま終盤に入っていく。

ただ終盤になるとさすがに京産大打線もあってきたのは、7回表には4番川岸がヒットを放ち、この試合で始めて回の先頭打者が出塁。6番久木﨑もレフト前ヒットで続き、京都成章コンビの活躍で1死1・3塁のチャンスを作る。このチャンスで京産大は1年生の代打西崎を送るも、伊原が貫録の全てストレートで三振に仕留め、さらに小林もレフトフライに打ち取る。京産大は8回にも山本貴・遠藤の連打でチャンスを作り、大商大のブルペンは慌ただしくなったものの、伊原が意地をみせて最後はリーグ戦の首位打者の材木をサードゴロ併殺に仕留めてピンチを凌ぐ。
20210924京産大 山本貴
京産大打線で唯一のマルチ安打を放った山本貴

対照的に大商大は7回裏に先頭の大谷がヒットで出塁すると、バッテリーミスとバントで3塁まで進み、1番福島大の犠牲フライで待望の追加点。8回にも4番犬飼のところで代打で出場した1年生の山本が三遊間を破るヒットを放つど、同じく代走の1年生吉岡がパスボールで一気に3塁を陥れ、5番渡部のこの試合2本目のタイムリーで生還と1年生3人の活躍で5点目をあげる。
20210924大商大 渡部
この試合2本目のタイムリーを放った大商大の渡部

7・8回のピンチを切り抜けた伊原は、最終回は京産大の攻撃を3人で抑えて。見事に8安打10奪三振完封勝利。大商大が5-0で京産大を下し、リーグ戦の連勝記録を21に伸ばした。
20210924大商大 井原
完封勝利をあげた大商大の伊原


20210924京産大✕大商大
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


結局プロ注目の京産大のエース北山は完投したものの、8回6失点という内容。北山はこれで0勝4敗となってしまい、ドラフト前のリーグ戦として、またチームの主将としても非常に厳しいシーズンを送っている。ストレートはMax149㌔をマークし、変化球も個々のボールは素晴らしいものがあったし、2回から投球モデルをチェンジして大商大打線を抑えるなどいい点もあったので、指名漏れといこはなさそうだが、上位候補というランクからは落ちてしまいそうだ。
20210924京産大 北山1
ドラフト目前で苦しい戦いが続く京産大の北山

大商大の主将の福元もプロ志望届を提出している。この試合では初回に北山の変化球をうまく拾って、初回の4得点につながる貴重なヒットを放った。3年秋・4年春と2季連続でMVPを受賞している強打者であり、同じプロ志望届を提出した選手として、北山も意識していたようで、2回以降抑えていた球速も福元の打席では146㌔をマークするなど復活していた。凡打の打席も内容は悪くなかったが、DHで出場している打撃を売りとする選手としては、4打数1安打という結果は物足りなく、もっとアピールが欲しかったというのが本音であろう。
20210924大商大 福元
こちらもプロ志望届を提出した大商大の主砲福元

にしても大商大はこれでリーグ戦21連勝と強すぎる。この秋はエースとして活躍する上田がここまで24イニングで1失点と圧倒的な投球をみせており、ここに春までのエース井原が完封勝利をあげるなど復活したのは大きい。この秋は6試合を消化しているが、失点は2のみとディフェンス面は盤石であり、リーグ6連覇に向けてはまさに視角がないといった状態である。


Pickup Player
福島大輝 大阪商業大1年 外野手
~好調を維持して1番抜擢に応える活躍~
この試合で1番に抜擢された福島大は、2安打を放ちしっかりとその起用に応えた。

福島は倉敷商業の出身で、1年秋からセンターのレギュラーを獲得。2年秋からはパンチ力のある打撃を武器に4番打者を務め。チームを中国大会優勝に導いた。出場が決まっていた3年春のセンバツは中止になったものの、夏に行われた甲子園交流試合でも2安打を放つ活躍をみせて。仙台育英に勝利した。

大商大に進学すると、1年春の新人戦では龍谷大戦で3ランホームランを放つと、この1年秋にはリーグ戦でベンチ入りを果たす。第1節の神戸学院大戦で途中から外野の守備に就きリーグ戦デビューを果たすと、第2節の大阪学院大では2試合とも途中出場ながらヒットを放ち、この第3節の1試合目では7番レフトでスタメンでデビュー。そしてこの2試合目では、1番を打っていた修行に当たりがないこともあり、福島大が1番に抜擢された。

1打席目は2球目のストレートを打ちショートゴロに倒れたと思いきや、これがショートの悪送球に繋がり出塁すると、渡部のタイムリーで先制のホームを踏む。2打席目にはスライダーを打って1塁線を抜く2ベースを放つ。3打席目には今度は対照的に引っ張っると、3塁線の強烈な打球にサード小林がダイビングキャッチを試みるも止めるのがやっとで内野安打。1死3塁と初めてチャンスで迎えた7回の第4打席では、ライトに犠牲フライを放ち、初回以降得点のなかったチームにおいて貴重な追加点をもたらせた。結果的には3打数2安打1打点1得点という活躍で、1番抜擢の起用に応えた。何より選手交代の多い大商大において、フル出場を果たしてることが、この福島大の活躍を當山監督が評価している証だろう。

福島の魅力は何といってもその打撃で、背丈はそれほどあるわけではないが、パンチ力がありボールを強くたたくことができる。この試合では見せ場はなかったものの、倉敷商の2年秋には6盗塁を決めるなど走力もあり、強打タイプでありながら足も使えるというのは1番に向いている。大商大のレギュラー争いは激しいので、まず今季はこの1番打者の座を確固たるものにしたい。

20210924大商大 福元
1番抜擢の起用に応える活躍をみせた大商大の福島大


ランキングに参加しています。
よろしければクリックをお願いします↓
にほんブログ村 野球ブログ 大学野球へ
にほんブログ村


テーマ : 高校野球
ジャンル : スポーツ

東洋大姫路✕報徳学園【秋季兵庫大会】

9/23 秋季兵庫大会3回戦
東洋大姫路✕報徳学園 @姫路ウインク球場


試合経過

秋季兵庫大会は3回戦で、今大会は神戸国際大付に次ぐ2番手と目されている報徳学園と、前チームからバッテリーが残る強豪の東洋大姫路が対決することとなった。東洋大姫路は予想通りエースの森が、報徳学園はエース左腕の榊原でなく背番号3で4番も打つ正重が先発のマウンドに上がった。

最初にチャンスを作ったのは報徳学園であった。3回裏に、この回先頭の9番堀がレフト前ヒットで出塁すると、1番岡田の送りバントをサード松上が2塁へ送球するも、これがセーフとなり無死1・2塁。ただ続けて送りバントを試みた報徳学園に対して、森は自らの好フィールディングで3塁をアウトにすると、投打でチームの中心である報徳の3番榊原・4番正重の2人もそれぞれレフトフライ→ファーストフライに打ち取りピンチを凌ぐ。

報徳学園の先発の正重は、背番号は3であるが中学時代には4番エースとして夙川ボーイズを全国準Vに導いている選手。柳(中日)を彷彿とさせるようなフォームから力のあるストレートに加え、スライダーでうまく相手打線のタイミングを外す投球が際立ち、追い込んでからのアウトコースのボールなどコントロールもよく、4回まで東洋大姫路打線をノーヒットに抑えるピッチングをみせる。
20210923報徳学園 正重
4回まで東洋大姫路打線をノーヒットに抑えた報徳学園先発の正重

東洋大姫路は5回表、この回先頭の5番山根が四球で出塁すると、松上が送って初めてランナーを得点圏に進める。ここで藤田監督は過去には4番経験もある内田を代打で送るなど早くも勝負に出るものの内田は三振。ただ8番小松がチーム初ヒットを放ち、2死1・3塁と先制のチャンスを迎える。ここで東洋大姫路は打順が9番ということもあり、1塁ランナーの小松が盗塁のスタートを切るものの、途中で止まってあえて挟まれるという作戦をとる。ただキャッチャーからの送球をカットした報徳のセカンド木村がすぐに3塁へ送球すると、ホームへのスタートを切るタイミングを計っていた3塁ランナーが戻れずにタッチアウト。報徳学園が鍛えられた素晴らしい守備で初めて迎えたピンチを凌ぎ、試合は0-0で前半戦を終了する。
20210923報徳学園 木村
好送球で3塁ランナーを刺した報徳学園のセカンド木村

ただ守備が鍛えられていたのは東洋大姫路も同じで、終盤になるとショート小松が風で流れる中で後方のフライをスーパーキャッチしたり、セカンドの岡部が球際の強さを発揮して再三の好守をみせるなどして、エース森を盛り立てる。両チームともにこの試合はノーエラーであり、バックの助けもあって、報徳学園の正重、東洋大姫路の森がスコアボードに0を重ねていき、そのまま試合は最終回を迎える。
20210923東洋大姫路 岡部
再三の好守でエース森を盛り立てた東洋大姫路のセカンド岡部

9回表、東洋大姫路は先頭の千代が四球で出塁して、森が送って1死2塁とチャンスを迎えるも、4番岡部がうまく低めの球に反応した打球はあとちょっとであったがセンターを越えることがなく、5番山根もライトフライに倒れて無得点。対する報徳学園も2死ランナー無しから、木村の内野安打→代走の大森の盗塁でサヨナラのチャンスを作るも、この試合で2安打と当たっていた8番菅はレフトフライに倒れ、試合は0-0のまま延長戦へ突入する。

10回表、東洋大姫路はこの回も先頭打者の高橋が四球で出塁。報徳学園はここで背番号1をつけたエース左腕の榊原をセンターからマウンドに送る。東洋大姫路は奥村がバントで送るも、8番小松がファールフライに倒れて2死2塁。ただ9番村崎は榊原のストレートを振り抜くと打球は左中間に落ちて、2塁ランナーの高橋が生還。ここまで森を好リードし続けたキャッチャー村崎のタイムリーで、東洋大姫路がついに均衡を破り、先制する。
20210923東洋大姫路 村崎
均衡を破る先制タイムリーを放った東洋大姫路の村崎

10回裏のマウンドにも引き続き上がった森は、9番堀から始まる報徳学園の攻撃を3人で抑えて、10回完封勝利。東洋大姫路が緊迫した投手戦を制して、準々決勝進出を決めた。
20210923東洋大姫路バッテリー
見事に報徳学園を完封した東洋大姫路バッテリー


20210923東洋大姫路✕報徳学園
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


報徳学園としては継投のタイミングが非常に難しかったところだろう。この試合では先発に背番号3の正重を送り、エース左腕の榊原はセンターからのスタートとなったが、その正重が9回まで2安打無失点という素晴らしい投球をみせた。ただ終盤の正重は、序盤ほどの勢いはなく、疲れが見えていた。榊原は中盤以降はブルペンに足を運んでいたし、8回裏の攻撃が3番榊原で終わったこともあり、9回裏の攻撃の間には本格的に時間をとって準備ができていた。延長戦へ入る際にはグランド整備などもあり1つの区切りでもあるので、10回から榊原が投げるのかとも思ったが、大角監督は正重を続投させると、先頭打者に四球を与えてしまい、ここで榊原へ交代となった。結果論ではあるが、ここで代えるくらいなら、回の頭から榊原にしておけばという展開であった。榊原はストレートに力とノビがあり、スライダーもキレる評判通りの好左腕であったが、いきなりのピンチでの登板は厳しかったか、打たれた初ヒットで決勝タイムリーとなってしまった。
20210923報徳学園 榊原
10回途中からマウンドに上がった報徳学園のエース榊原

正直なところ総合力でいえば報徳学園に分があるが、東洋大姫路は前チームからバッテリーが残るなどディフェンス面がストロングポイントであったために、ロースコアの展開に持ち込みたかったところだろう。そういう意味では展開としてはおそらく、東洋大姫路の狙い通りであったことだろう。報徳学園はディフェンスでも東洋大姫路に劣るわけではなかったが、そういう意味でどこか流れを掴めなかったといえる。

そしてそれを反映しているのがバントであった。決勝点の場面もそうであったように、東洋大姫路はノーアウトで出たランナーをしっかりとバントで送ることができており、3回中3回成功。対する報徳学園は、送りバントを3回試みたものの成功したのは1回のみ。失敗した2回はいずれもランナーが2塁にいた場面であり、このバントが決まっていれば、得点が入っていた確率はかなり高く、9回までで試合を決められていたことだろう。

Pickup Player
森健人 東洋大姫路2年 投手
~報徳学園相手に見事10回完封勝利~
やはり東洋大姫路の勝利は、エース森の10回完封に尽きるだろう。

森は東洋大姫路では前チームからエース格として活躍している投手で、2年夏はリリーフが多かったものの、投球イニングはチーム最多であった。他にも高橋ら前チームで投げていた選手が残る中、この2年秋から背番号1を背負っており、初戦となった夢野台戦ではリリーフ登板であったが、山場となるこの試合では満を持して先発のマウンドに上がった。

森は身長は169㎝と決して大きくはないがストレートは140㌔を越えており、ゆったりと足をあげてからスピードアップして勢いよく腕を振り抜くフォームはタイミングが取りづらい上に、再現性が高いのでコントロールも安定しており、特にこの試合ではインコースにきっちりとストレートが投げられのが印象的であった。変化球はスライダーを中心に、カーブも投げていた。序盤は5回まで毎回ランナーを背負うという展開であったが、ランナーが出てもペースを乱さずに、テンポよく淡々と投げていた。それは終盤になっても変わりがなく、10回を6安打4奪三振無失点という内容で投げ切った。

バント処理などを見ていてもフィールディングもよく、非常に完成度の高い右腕であり、まだ各チームの完成度が低い秋にこのような投手がいることが非常に心強い。今年の兵庫の本命とされる神戸国際大付とは決勝まで当たらない組み合わせであるため、報徳学園という最大の敵を破ったことで、近畿大会出場が一気に近づいた東洋大姫路。前回甲子園に出場したのは、エース原樹里(ヤクルト)がチームを牽引した世代であり、森にもそのような活躍を期待したい。

20210923東洋大姫路 森
10回6安打完封勝利をあげた東洋大姫路のエース森


ランキングに参加しています
よろしければクリックをお願いします↓
にほんブログ村 野球ブログ 高校野球へ
にほんブログ村


テーマ : 高校野球
ジャンル : スポーツ

各球団にお勧めのドラフト1位を勝手に挙げてみる【パリーグ編】

ドラフト会議まで1ヶ月を切ったので、各チームにお勧めのドラフト1位選手を勝手に挙げていきます。
あくまで個人的なおすすめになりますので、そこは悪しからずご覧ください。

今回はパリーグ編です。

【ソフトバンク】 中川智裕(セガサミー) 内野手
今年はショート今宮が大きなケガなく完走しているものの、打率は2割ちょっとと低迷しており、そろそろ本気で後継者が欲しいところ。ただソフトバンクの二遊間の選手は、三森・周東・明石・高田・川瀬と左の巧打者ばかりであり、右打ちの大型ショートである中川はうってつけである。強肩を誇り安定した守備が魅力で、打撃でも189㎝という体格からパワフルな打撃をみせ、課題である確実性も向上しつつあり、今年はセガサミーでも3番を打っている。高校生の指名が多いソフトバンクが、大卒の社会人選手をドラフト1位で指名するのかは怪しいが、まだまだ伸びしろもあり、球界を代表するショートストップになれる逸材である。
20201122セガサミー 中川


【ロッテ】 山下輝(法政大) 投手
昨年はドラフト1位で鈴木を指名したものの、ロッテの左腕不足、とりわけ中継ぎもできる左腕が不足している。そこで目をつけたいのが、法政大の鈴木の後輩である山下だ。188㎝95㎏という体格から投げ下ろすストレートはMax151㌔をマークし、そのスケールは規格外。法政大では1年目にトミージョン手術を受けるなどしており、大学での実績は少ないものの、昨年はリリーフとしてチームを支え、今年は三浦に次ぐ先発2番手を務めている。千葉の木更津出身で、木更津総合ではU18日本代表にも名を連ねており、地元の逸材という意味でもロッテとしては逃せないところである。
20200816法政大 山下輝


【西武】 隅田知一郎(西日本工業大) 投手
昨年は渡部というサプライズ指名をみせた西武であるが、今年はやはり課題の投手陣を1位で指名したいところ。高橋・今井・渡邊といった高卒で獲得した若手右腕が着実に成長してローテに入っている一方、左の先発投手が見当たらない状況だ。そこでおすすめしたいのは、ストレートは150㌔をマークし、変化球が多彩で、コントロールもいい、総合力の高い左腕である西日本工業大の隅田だ。全日本大学野球選手権では初戦で敗退したものの、上武大相手に1失点完投しており、今年の左腕の中では1位2位を争うレベルの投手である。


【楽天】  佐藤隼輔(筑波大) 投手
楽天も昨年は早川を獲得したものの、ローテにいる左腕はこの早川だけであり、先発投手の高齢化も目立つ中で、若い左腕の投手が欲しいところ。筑波大の佐藤は、バランスのいいホームから放たれるストレートはキレがありMax152㌔をマークし、1年夏のリーグ戦では3勝で防御率0.00の活躍をみせ、2年夏から大学日本代表に名を連ねており、早い段階からこの世代のNo1左腕と言われてきた投手だ。筑波大のエースとして臨んでいる今年は、期待通りの活躍はできていないものの、その能力の高さは疑う余地はない。高校は仙台高校ということで、楽天からしれみれば地元中の地元であり、放っておけない逸材だ。
20210411筑波大 佐藤隼


【日本ハム】 小園健太(市和歌山) 投手
その年のNo1選手をドラフト1位指名するという方針の日本ハムにお勧めなのは、やはり市和歌山の小園であろう。Max152㌔をマークするストレートに加えて、カットボール・スライダー・フォーク・チェンジアップなど多彩な変化球をそろえ、また高校生離れした投球術も合わせもつ。夏の甲子園を制した智弁和歌山とはライバルであり、最後の夏は敗れてしまったものの、昨年は3連勝しており、センバツでも県岐阜商を完封するなど活躍。高校生右腕であれば、風間・森木との比較になるが、完成度でいえば小園が1番であり、新球場が完成する2023年にはローテーションに入っている姿が十分に想像できる。
20210323市和歌山 小園


【オリックス】 前川右京(智弁学園) 外野手
今年は宮城がブレイクするなど、以前の即戦力指名から、高校生のドラフト1位指名への切り替えが功を奏しつつあるオリックス。近年は投手の指名が多く、また吉田正尚を除くと左のスラッガーがいないというチーム事情も考慮して、夏の甲子園No1打者といえる活躍をみせた前川を推したい。1年夏から名門智弁学園の4番を務めた前川は、スラッガーでありながら柔らかさも兼そろえており、センバツは当たりが出ずに評価を下げることもあったが、この夏の甲子園では打率.455に2ホーマーという活躍でその評価を取り戻した。打撃以外の面に物足りなさはあるものの、スラッガーとしては今年の高校生でNo1といえる存在であり、スラッガーどうしても欲しいチームは早めに指名しておいた方がいいだろう。
20210529智弁学園 前川



ランキングに参加しています
よろしければクリックをお願いします↓
にほんブログ村 野球ブログ 高校野球へ
にほんブログ村


テーマ : プロ野球
ジャンル : スポーツ

各球団にお勧めのドラフト1位を勝手に挙げてみる【セリーグ編】

ドラフト会議まで1ヶ月を切ったので、各チームにお勧めのドラフト1位選手を勝手に挙げていきます。
あくまで個人的なおすすめになりますので、そこは悪しからずご覧ください。

今回はセリーグ編です。

【巨人】 廣畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ) 投手
今年のオフには菅野が再度メジャーに挑戦する可能性のある巨人は、菅野の穴を埋めるべく即戦力となる右腕が欲しいところ。そうなると社会人球界でドラフトNo1といわれている、廣畑が適していると思う。廣畑は昨年社会人1年目で一気に覚醒し、Max154㌔のストレートに、カットボール・パワーカーブ・フォークなどの多彩な変化球を操る右腕であり、昨年の都市対抗では東京ドームのマウンドで躍動。先発だけでなく、今年のスポニチ大会では抑えも務めるなど、抑えが外国人投手に依存している巨人にとっては和製ストッパー誕生の可能性も秘めている。
20201114三菱自動車倉敷オーシャンズ 廣畑2


【阪神】 黒原拓未(関西学院大) 投手
昨年はドラフト2位で伊藤を獲得し、今年はローテーションの一角として活躍しているものの、ローテーションにいる左腕はこの伊藤のみという阪神。今年も即戦力で先発を務められる左腕がターゲットとなる(高校生右腕をドラフト1位で指名しづらくなったという状況も踏まえて)。黒原はMax151㌔のストレートを誇り、スライダーなどの変化球も冴えており、完成度の高い投球ができる。他にも左腕の候補はいるものの、即戦力として期待は高く持てることと、関西学生野球連盟で春は5勝0敗でMVPなどのタイトルを総なめにするなど、地元関西の星ということで黒原を推してみたい。
20210608関西学院大 黒原


【中日】 畔柳亨丞(中京大中京) 投手
ここ数年は根尾→石川→高橋と地元の高校生をドラフト1位で指名している中日。この流れを是非とも継続して欲しいという意味も込めて、中京大中京の畔柳を推したい。畔柳は馬力のある右腕で、Max152㌔をマークするストレートは、まるで則本のように浮きあがるのが特徴。春のセンバツでは3試合連続勝利を達成した後に、準決勝ではケガの影響で先発を回避して、そのまましばらくは登板がなかったものの、夏には準決勝の愛工大名電戦で完投するなど復調。昨年の高橋に次いでの、地元:中京大中京のドラ1右腕誕生に期待したい。


【DeNA】 古賀悠斗(中央大) 捕手 
正捕手が固定できないというのはDeNAの悩みである。若手捕手の山本や益子も頑張ってはいるものの、若手捕手はこの2人のみと不足しており、即戦力の捕手が欲しいところだ。となると今年のドラフト候補の中でNo1捕手と呼び声が高いのは中央大の古賀。福岡大大濠時代にはU18日本代表で大会途中から中村奨成に代わり正捕手を務め、中央大でも1年秋から正捕手となるなど経験は豊富。中央大の主将も務める今年は3番打者としても3ホーマーを放つなど打てる捕手となってきている。ドラフト1位は競合を回避するDeNAの方針にも合いそうであり、正捕手固定への最短ルートであると思われる。
20201007中央大 古賀


【広島】 正木智也(慶応大) 外野手
4番鈴木にメジャー挑戦の噂がある広島は、鈴木以外にはいわゆる右のスラッガーといえる選手が本当に見当たらない。右のスラッガーの中で今年No1といえるのが慶応大の正木であり、慶応高では高校通算50発、慶応大でも1年春からスタメンの座を勝ち取り、リーグ戦通算10ホーマー43打点は現役の中でもトップ。今年は全日本大学野球選手権でも4番打者としてMVPを獲得して、チームを日本一に導き、一段と泊のついた選手になってきた。春はファーストを守っていたが、本来は外野手であり、鈴木の後継者としてはうってつけの選手である。
20210516慶応大 正木


【ヤクルト】 椋木蓮(東北福祉大) 投手
今年は戦力がかみ合って、好位置につけているヤクルトであるが、やはり投手陣の不安はまだぬぐえない。特にリリーフ陣に関しては、外国人のマクガフを除けば、数年に渡って活躍している投手は少ない。そこで推したいのは、東北福祉大の椋木でサイド気味のフォームからMax154㌔のストレートを投げ込む右腕は、短いイニングであれば圧倒的な投球をみせており、リリーフとしての適正の適正も抜群だ。ちょうどヤクルトで活躍した林昌烈のような投手になれる可能性を秘めており、また昨年は山野・元山と東北福祉大の先輩2人が加入しているというチーム事情からも、また共演が見たいところだ。
20201031東北福祉大 椋木1


ランキングに参加しています
よろしければクリックをお願いします↓
にほんブログ村 野球ブログ 高校野球へ
にほんブログ村


テーマ : プロ野球
ジャンル : スポーツ

国学院大×日本大【東都大学野球連盟】

9/13 東都大学野球連盟 第1節1回戦
国学院大×日本大 @神宮球場

試合経過

東都大学野球連盟の秋季リーグ戦の開幕ゲーム。春の優勝チームである国学院大に、4年ぶりに1部に復帰した日本大が挑んだ試合は、国学院大の池内、日本大の赤星の両エースの先発で始まった。

3回裏、この回から2巡目に入った日大打線は先頭の1番中尾が死球で出塁すると、2番野村の3球目に盗塁を決める。野村は直後の4球目でライトフライに倒れるも、中尾がタッチアップを決めて1死3塁というチャンスで、最も頼りになる3番峯村を迎える。峯村に対して池内は2球で追い込み、最後は変化球をひっかける形でファーストゴロに打ち取るも、3塁ランナーの中尾が好スタートでホームを陥れ、日大がこの回ノーヒットで先制点をあげる。

池内は春季リーグ戦では最優秀投手賞に輝いたものの、コントロールを持ち味に打ち取るタイプの投手であり、春は50回を投げて三振は27個であった。ただこの試合では初回からエンジン全開で、Max146㌔のストレートに、スライダー・カーブ・フォークといった変化球も駆使して三振を量産。その分四死球も多かったものの、4回まで8奪三振を奪う投球をみせる。逆に日大のエースのMax152㌔右腕の赤星は、打たせてとる投球をみせて、こちらは5回までで無失点ながらも奪三振は2個のみと、両エースが本来のイメージと逆の投球をみせた。
20210913国学院 池内
4回までに8奪三振という投球をみせた国学院大のエース池内

日大は5回裏、池内は9番菅原に対してストレートが2球連続でボールとなり、ストライクを取りに行った3球目を菅原が強打すると打球はライトスタンドに飛び込むソロホームラン。これで池内はペースを乱したか、1番中尾に四球を与えてしまい、さらに盗塁を決められ、2番野村に対してもボールが続いたところで、鳥山監督はピッチャーを楠茂に交代。春のリーグ戦でも中盤からリリーフして数々の好投をみせていた楠茂は、この1死2塁というピンチで野村をセカンドゴロに打ち取ると、3番峯村からは三振を奪うという好リリーフをみせた。
20210913日本大 菅原
ホームランを放った日大の9番菅原

国学院大打線は2~4回と赤星の前にチャンスを作りながらも得点が奪えずにいると、5~7回は完全に赤星の打たせてとる投球にはまってしまい、3イニング連続で3者凡退と反撃の糸口を見いだせずにいた。ただ8回表、1死からこの試合でスタメンに抜擢された9番吉川が2安打目となるヒットで出塁すると、そこから2死2塁と久しぶりにチャンスを作る。ここで迎えた春の首位打者の川村は四球、さらに春の本塁打・打点の二冠王の山本ダンテのショート内野安打で2死満塁と一気に逆転のチャンスを作る。ここで迎えるのは、瀬戸に代わって4番に座る主将の福永であったが、赤星は得意のカットボールでサードゴロに打ち取り、最大のピンチを凌いだ。
20210913国学院大 吉川
スタメン抜擢に応える2安打目を放った国学院大の吉川

国学院大の楠茂は2回2/3を無失点という好投をみせ、8回裏には3番手として坂本が登板。トミージョン手術から復帰してリーグ戦初登板を果たした期待の右腕は、ストレートはMax143㌔をマークするも、いきなり4番花崎に変化球をうまくレフト前に運ばれると、バントを挟んで連続四球で満塁のピンチを背負ってしまい降板。8番の左打者の友田に対して、左腕の北山をマウンドに送るも、片岡監督はその初球にスクイズを決行。これを友田がうまく決めて3塁ランナーが生還し、2ランスクイズを狙った2人目のランナーはホームでアウトになったものの、日大が貴重な追加点をあげる。
20210913日本大 友田
貴重な追加点となるスクイズを決めた日大の友田

赤星は最終回も国学院大の攻撃を3人で締めて、見事に3安打完封勝利。日本大が3-0で勝利し、1部に復帰したばかりのチームが、春の優勝チームを破るという、戦国東都らしい番狂わせで秋季リーグは開幕したのであった。
20210913日本大 赤星1
完封勝利をあげて日大バッテリー


20210913国学院大×日本大
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


国学院大の春の優勝の原動力となったのが、川村・ダンテ・瀬戸・福永という打線の中核をなした4年生カルテッド。春には川村が首位打者、ダンテが本塁打王・打点王・MVPを獲得しており、この試合の翌日には、川村・瀬戸・福永がプロ志望届を提出しているほどの実力者たちだ。ただ春に4番を打っていた瀬戸は、ケガなのか、この試合では代打での1打席の登場のみでセカンドゴロ。川村・ダンテ・福永の3人も、赤星の前に完全に抑えられてしまい、この3人で放ったヒットはダンテの内野安打のみという有様であり、中軸を封じられてしまったことが国学院大の1番の敗因だったといえる。
20210913国学院大 山本ダンテ
内野安打を放つ国学院大の山本ダンテ

日大は機動力を生かした攻撃が際立った。特に1番中尾は4打席中3打席で出塁し、2番野村の打席で2盗塁を決めており、3回の先制点はまさに中尾の足で奪ったといえる得点であった。3点目もスクイズで得点をあげており、プロ志望届を提出した注目の3番峯村はノーヒットに抑えらるなどチームとしての安打数は国学院大と同じ4にとどまったが、機動力を生かして効率的に得点をあげられたことが、そのまま試合のスコアに反映されたといえる。もともと選手の質・数でいえば十分なほどに東都1部レベルのチームなので、昇格即優勝という話もなくはないと思わせる開幕戦であった。
20210913日本大 中尾
機動力で先制点を演出した日大の1番中尾


Pickup Player
赤星優志 日本大4年 投手
~12球団のスカウトの前で見事な1部デビュー~
プロ志望届を提出した日本大のエース赤星が、プロ12球団のスカウトが集まった、この東都1部の開幕戦で見事に完封勝利をあげて、アピールに成功した。

赤星は日大鶴ケ丘時代から勢いのあるストレートが武器の右腕として活躍し、2年夏には甲子園ベスト4入りした東海大菅生相手に7回まで1失点の好投をみせるも、8回に2点を奪われて逆転負け。2年秋以降はエースとなり、1学年したの勝又(DeNA)とともに投手陣を支えた。3年秋にはプロ志望届を提出したものの、指名はなくそのまま日大に進学した。

日大では1年秋にリーグ戦デビューを飾ると、1年冬に行われた(高校生の)東京都選抜との試合で、150㌔をマークするなど持ち前のストレートの力がさらにアップ。2年秋にはリーグ戦初勝利をあげると、先発に定着した3年秋には青山学院大戦で152㌔をマークし、このシーズンで3勝をマーク。本格的にエースとなった4年春には、3勝をあげ、防御率0.78という活躍でチームを東都2部の優勝へ導き、MVPを受賞。入替戦でも東洋大から1失点完投勝利をあげると、続く立正大戦でも抑えとして試合を締めて、チームを4年ぶりの1部昇格に導いた。

この試合の3日前にはプロ志望届を提出した赤星は、1部デビューとなるこの開幕戦でもエースとして先発のマウンドに上がった。赤星のストレートはこの試合ではMax147㌔をマークし、カットボール・2シームといったストレート系の変化球を中心に、スライダー・カーブ・フォーク・チェンジアップと多彩な球で国学院大打線を翻弄。2回には味方のエラーもあり1死2・3塁のピンチを招くも、そこから連続ショートゴロに打たせてとると、3回も2死2るうのピンチで強打者のダンテからカットボールで空振り三振を奪う。5~7回は3イニング連続で3者凡退に抑え、8回の2死満塁のピンチではまたもやカットボールで4番福永をサードゴロに打ち取ると、最終回も3人で切り抜け、見事完封勝利をあげた。

赤星といえばMax152㌔のストレートのイメージが強いが、この試合では奪った三振は3個のみであり、どちらかというと打たせてとるピッチングが光った。スカウトの中でもゲームメイクのうまさや、投球術を評価するコメントが多く、初の東都1部のマウンドでのアピールに成功したといえる。この投球を続いていてけば、即戦力の投手が欲しいチームは、1ヶ月後のドラフト会議で赤星の名前がドラフトの早い段階で呼ばれることもあり得るかもしれない。
20210913日本大 赤星2
見事4安打完封勝利をあげた日大のエース赤星


ランキングに参加しています。
よろしければクリックをお願いします↓
にほんブログ村 野球ブログ 大学野球へ
にほんブログ村



テーマ : 大学野球
ジャンル : スポーツ

2022年の高校生ドラフト候補を早くもランク付け

夏の甲子園も終わり、高校野球界は早くも新世代に突入。
今回はそんな新世代、つまりは来年のドラフト候補たちを紹介して、勝手にランク付けしてみました。

Sランク:ドラフト1位筆頭
Aランク:ドラフト上位候補
Bランク:志望届出せば指名確実
Cランク:ドラフト境界線


~Sランク~

~Aランク~
田中晴也(日本文理)投
山田陽翔(近江)投外

~Bランク~
門別啓人(東海大札幌)投
三塚琉生(桐生第一)外
鈴木泰成(東海大菅生)投
内藤鵬(日本航空石川)内
森下瑠大(京都国際)投
川原嗣貴(大阪桐蔭)投
楠本晴紀(神戸国際大付)投
浅野翔吾(高松商)外

~Cランク~
唐川侑大(東海大札幌)捕
齋藤響介(盛岡中央)投
田村朋輝(酒田南)投
古川翼(仙台育英)投
岡田啓吾(前橋育英)内
北村流音(桐生第一)投
宮城誇南(浦和学院)投
越井颯一郎(木更津総合)投
佐藤大空(修徳)外
小池祐吏(東海大菅生)内
星野翔太(八王子)投
求航太郎(東海大相模)投外
針谷隼和(桐光学園)投
山口凱矢(桐蔭学園)投
前嶋藍(横浜隼人)捕
猪ノ口絢太(東海大甲府)外
岩田悠聖(山梨学院)外
栗原英豊(松商学園)投
マーガード真偉輝(星稜)投
上加世田頼希(敦賀気比)投内
吉田優飛(静岡)投
三浦心空(東邦)投内
小西彩翔(県岐阜商)投
平野順大(京都国際)投
別所孝亮(大阪桐蔭)投
松尾汐恩(大阪桐蔭)捕
海老根優大(大阪桐蔭)外
塩路柊季(智弁和歌山)投
武元一輝(智弁和歌山)投
渡部海(智弁和歌山)捕
岡西佑弥(智弁和歌山)内
米田天翼(市和歌山)投
森山暁生(阿南南)投
山下恭吾(福岡大大濠)内
江口飛翔(大分)捕
村上廉太(九州学院)内
長友稜太(宮崎商業)投
大野稼頭央(大島)投


20210718桐生第一 三塚
パワフルな打撃に走攻守揃った桐生第一の三塚

20210417東海大菅生 鈴木泰
140㌔中盤のストレートに変化球もいい東海大菅生の186㎝右腕の鈴木泰

20210529大阪桐蔭 川原
大阪桐蔭の新エースとして期待のかかる188㎝右腕の川原

20210319神戸国際大付 楠本
春夏ともに甲子園で好投をみせた神戸国際大付の185㎝の大型左腕楠本


ランキングに参加しています
よろしければクリックをお願いします↓
にほんブログ村 野球ブログ 高校野球へ
にほんブログ村

テーマ : 高校野球
ジャンル : スポーツ

神奈川大✕松蔭大【神奈川大学野球連盟】

9/4 神奈川大学野球連盟 秋季リーグ戦1週1試合目
神奈川大✕松蔭大 @横浜スタジアム

試合経過

神奈川大学野球連盟の秋季リーグ戦の開幕日の2試合目は、神奈川大と松蔭大の対戦となった。

神大は1回表、2死から3番梶原がインコースのボールをうまくライト前に運んで出塁。4番土井の打席の初球で見事に2盗を決めると、土井は三遊間を破るタイムリーを放ち、神大が3・4番のあざやかな攻撃で1点を先制する。対する松蔭大は3回裏、この回先頭の9番内山が初球を捉えると、打球は逆方向のライトポール際に飛び込むソロホームランとなり、松蔭大が1-1の同点に追いつく。
20210904松蔭大 内山
同点ホームランを放った松蔭大の内山

神大の先発の前田は、この内山に1発こそ浴びたものの、それ以外は持ち前の安定した投球を披露。雨の中の試合ということもあり、ストレートはMax141㌔止まりであったが、ノビがありコントロールも非常によく、スライダー・フォークといった変化球も同じようなフォームで投げこむためにバッターとしても非常に見分けがつきにくかったことだろう。3者凡退というイニングこそなかったものの、5回を投げて1失点としっかりと先発の役割を果たした。
20210904神奈川大 前田
5回1失点の好投をみせた神奈川大のエース前田

2回以降は松蔭大のエース小林の前にランナーは出すものの得点が奪えていなかった神大打線だが、6回表に1死から4番土井がレフト線に2ベースを放ち出塁すると、5番小林将が変化球をうまく捉えて三遊間を破り、土井がホームインして2-1と勝ち越しに成功する。
20210904神奈川大 小林将
勝ち越しタイムリーを放った神奈川大の小林将

神大は7回表にも2死ランナー無しから、1番庄子が内野安打で出塁して盗塁を決めてチャンスを作ると、2番三浦が三遊間を破るヒットで庄子がホームイン。3番梶原は左中間を破るタイムリー3ベースを放つと、4番土井も猛打賞となるタイムリーヒットを放ち、神大が2・3・4番の3連続タイムリーで3点を追加して、リードを5-1と広げる。
20210904神奈川大 土井
この試合3安打目となるタイムリーを放つ神奈川大の4番土井

神大は6回から2番手として、春のリーグ戦では4勝をあげた神野が登板。神野はなんとMax144㌔をマークしたストレートのみで、6・7回と松蔭大打線の攻撃を3者凡退に抑えてみせる。ただ松蔭大は8回裏には9番内山が四球で出塁して盗塁を決めてチャンスメイク。神野はピンチになってやっとスライダーも使いだすものの、1番大坪がヒットで繋ぐと、2番北原の犠牲フライで松蔭大が2点目をあげる。
20210904神奈川大 神野
神奈川大の2番手として登板した神野

5-2とリードした神大は最終回には1年生右腕の石井が登板。石井はMax142㌔のストレートに加えて、120㌔中盤で鋭く曲がるスライダーを武器にした右腕。先頭の4番弘中には粘られるも9球目のストレートで見逃しの三振に仕留めると、5番小野・6番鈴木もスライダーで連続三振に仕留め、3者三振という見事な投球で試合を締めくくった。神奈川大が5-2で勝利し、秋季リーグ戦を白星で発信した。


20210904神奈川大✕松蔭大
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


神奈川大のそつのない攻撃が際立った試合であった。この試合神大があげた5得点全てはヒットで出塁→次のバッターのタイムリーで生還というパターンであり、まさに速攻であった。こういう得点パターンなので、2死からでもあっという間にチャンス→得点につなげることができ、実に5得点中4得点で2死ランナー無しからの奪った得点であった。勝負強い打力もさることながら、シングルヒットでも盗塁を絡めてチャンスにできたり、2塁から警戒されている中でも1ヒットでホームインを果たしたりと走塁も素晴らしいものがあった。相手投手からしれみれば、そんなにヒットを打たれなくても、あっという間に得点を奪われてしまい、本当に嫌な打線であったことだろう。

神奈川大の投手といえば、左腕の濱口(DeNA)が思い出されるところであるが、近年はいい右腕投手を多く擁している印象だ。今年もエース前田、春に4勝をあげた3年生の神野、先発2番手の河合と右腕3本柱を擁している。この3人の印象はそれぞれいい質のストレートを持っており、この試合では雨が降りしきる中でスピードこそ出ていなかったものの、前田はノビとコントロールが抜群の球を投げていたし、神野に関してはいえばほぼストレートだけという投球で相手打線を抑えていた。そしてここに本田・石井という、1年生右腕2人が加わったこの2人は相洋の2枚看板として、昨年の神奈川独自大会では準優勝を果たした相洋の2枚看板は、珍しく2人揃って同じ神奈川大に進学して、1年春よりベンチ入り。この試合では最終回に石井が登板し、3者三振で試合を締めた。右腕王国の神奈川大が今年も健在であり、そしてしばらくは続きそうな予感である。
20210904神奈川大 石井
最終回を3者三振で締めた神奈川大の1年生右腕の石井


Pickup Player
梶原昂希 神奈川大4年 外野手
~ドラフトに向けて4安打の好発進~
約1か月後にドラフト会議を控える中、プロ注目の神奈川大の梶原が4安打の活躍をみせた。

梶原は大型の走攻守揃った外野手として、大分雄城台では1年夏より1番センターとして出場。2年秋からは4番を務める高校通算15発の強打者としてプロも注目していたが、神奈川大に進学。神奈川大では1年春よりセンターのレギュラーを獲得すると、1年秋には打率.400の活躍で首位打者を獲得。1年冬、2年夏と大学日本代表合宿にも参加し、この4年秋のリーグ戦が始まる前まででリーグ戦通算11発、86安打をマークしていた。

梶原の特徴は何といっても、188㎝の高身長なのでやや細身に見えるものの柳田を彷彿とさせるフルスイングができ、かつアベレージも高い。1年春からセンターを務めるなど守備力も高く、遠投は110㍍、走っては50㍍5.8秒という俊足で、実績・身体能力ともに高く、プロからも注目されている外野手だ。

この開幕戦でも3番センターとしてスタメン出場した梶原は、第1打席では小林の難しいインコースのボールをうまくライト前に運んで出塁。続く土井の打席の初球で余裕で2盗を決めてみせると、土井のヒットで一気に生還した。第2打席はサード前のボテボテの打球であったが、これも持ち前の俊足で内野安打。第3打席こそ三振に倒れてしまったものの、2死1塁で迎えた第4打席では左中間への大飛球を放ち、これがタイムリー3ベースとなり猛打賞を達成。第5打席では2番手黒瀬の前に2球で追い込まれてしまうも、3球目をうまく逆方向へ持っていくと、打球はレフトフェンスに直撃する2ベース。結局5打数4安打1打点で、チームの得点のほとんどに絡む活躍をみせた。

これでリーグ戦の通算安打は90本となり、100安打まであと10本と達成も濃厚となってきた。欲を言えばホームランが見たかったところでもあるが、1ヶ月後のドラフト会議に向けても4安打とスカウト陣へのアピールにも成功。昨年は同じく神奈川大学野球連盟の渡部(桐蔭横浜大→西武)が、最後の秋季リーグ戦で8ホーマーと大爆発してドラフト1位の座を勝ち取ったこともあり、梶原もラストスパートをかけて、ドラフト上位に食い込みたいところである。

20210904神奈川大 梶原
1ヶ月後のドラフト会議に向けて4安打と順調なスタートをきった神奈川大の梶原


ランキングに参加しています。
よろしければクリックをお願いします↓
にほんブログ村 野球ブログ 大学野球へ
にほんブログ村


テーマ : 大学野球
ジャンル : スポーツ

桐蔭横浜大×横浜商科大【神奈川大学野球連盟】

9/4 神奈川大学野球連盟 秋季リーグ戦 第1週1戦目
桐蔭横浜大×横浜商科大 @横浜スタジアム

試合経過

神奈川大学野球連盟の秋季リーグ戦の開幕試合。春に続いて連覇を目指す桐蔭横浜大と、プロ注目の154㌔右腕のエース飯田を擁する横浜商科大の対戦です。

この試合の飯田はストレートはMax149㌔をマークし、変化球もカットボールをはじめとして、スライダー・カーブ・SFF(?)と非常にいい球が見られた。ただ制球はいいとはいえずに、この試合では6回まで6四球で、甘い球も見られた。このような状態であったので球数が多く、毎回ランナーを背負う苦しいピッチングとなったが、それでも粘りの投球で4回まで得点を許さなかったあたりは、投手としての成長が見られた。
2021094横浜商科大 飯田1
横浜商科大の先発のエース飯田

ただ5回表、桐蔭横浜大は1死から1番青木がこの試合3安打目となるヒットで出塁。続く2番平野は初球を叩くと、強烈な打球はファーストのグラブを弾き(記録は厳しいことにエラー)、桐蔭横浜大が中央学院コンビの活躍で1死1・3塁のチャンスを作る。3番山根はセカンドゴロに倒れるも、併殺崩れの間に桐蔭横浜大が先制。さらに山根の盗塁を挟んで、4番吉田賢は四球を選んで2死1・2塁と再びチャンスを作ると、5番山田翔は初球を捉えてライト線への2点タイムリー2ベースを放ち、桐蔭横浜大がこの回3点をあげる。
20210904桐蔭横浜大 山田翔
2点タイムリー2ベースを放つ桐蔭横浜大の山田翔

桐蔭横浜大の開幕投手は、予想に反して4年生右腕の木田。木田も序盤は飯田と同じようにランナーを背負うものの、粘りのピッチングで無失点。ストレートはMax144㌔をマークし、スライダー・フォークといった変化球もキレがあり、4回は横浜商大打線から3者三振を奪うなど調子をあげていき、結局5回まで投げて3安打5奪三振無失点と開幕投手としての役割を十分に果たした。
20210904桐蔭横浜大 木田
5回無失点の好投をみせた桐蔭横浜大の木田

グランド整備明けの6回表、桐蔭横浜大は先頭の宮谷が四球で出塁すると、9番上田の三振が振り逃げとなり、3安打の1番青木は半ば敬遠気味に歩かされ、ノーヒットで1死満塁というチャンスを作る。ここで2番平野はもう少しでホームランというライトフェンス直撃の当たりを放ち、3塁ランナーの宮谷が生還するも、2塁ランナー上田はタッチアップ体制でスタートが遅れてホームインならず…さらに1塁ランナーの青木は3塁近くまで到達しており、押し出される形で2塁まで到達していた平野が1塁へ戻るもタッチアウト。結局この回1点止まりとなってしまうも、飯田をこの回でマウンドから降ろすことに成功する。
20210904桐蔭横浜大 平野
ライトフェンス直撃のタイムリーを放った桐蔭横浜大の2番平野

桐蔭横浜大は6回から2番手として、2年生左腕の伊禮が登板。桐蔭学園時代には森(DeNA)らとともに秋の関東大会を制してセンバツに出場した左腕は、当時より球威がアップしておりストレートはMax141㌔をマーク。フォームもゆったりと足をあげてから、壁を作り、そこからコンパクトなテイクバックで早く投げてくるので、打者からするといきなりボールが来るような感じとなっていることだろう。スライダー・チェンジアップ・スローカーブも交えながら、商大打線に付け入る隙を与えずに、3イニングをなげて5奪三振ぱパーフェクトという素晴らしいリリーフをみせた。
20210904桐蔭横浜大 伊禮
3回5奪三振パーフェクトリリーフをみせた伊禮

飯田が6回で降板した商大もリリーフ陣が素晴らしい投球をみせた。6回は中島が2奪三振パーフェクトに抑えると、7回は遠藤和が黒木に2ベースを浴びてピンチを招くも無失点で凌ぐと、9回は鷲尾が体をひねったスリークウォーターから威力のある球で無失点に抑え、桐蔭横浜大打線に追加点を与えない。ただ打線は上述の通り、伊禮に完璧に抑えられてしまうと、最終回も菊地の前に5球で片づけらえてしまい、結果的に4回以降はノーヒットで完封敗け。4-0で勝利した桐蔭横浜大が、春秋連覇に迎えて順調なスタートを切った。
2021094横浜商科大 中島航
6回に登板し1イニング2奪三振パーフェクトに抑えた横浜商科大の2番手中島航


20210904桐蔭横浜大×横浜商科大
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


1番バッターが出塁した後の、2番バッターの結果がこの試合の勝敗には大きく影響したといえる。桐蔭横浜大でいえばこの試合は1番青木が4出塁しており、2番平野は1度セカンドライナーゲッツーこそあったものの、初回には見事に送りバントを決め。5回の得点シーンで強打でファースト強襲の当たりを放ってチャンスを広げ、6回にはタイムリーヒットも放つなど2番として素晴らしい働きをみせた。一方商大も1番鷲田は1・2打席目には、持ち前のバットコントロールでうまくレフト前に運んで出塁しているものの、2番千葉は1打席目にはバントで併殺、バスターにした2打席目にはセカンドゴロ併殺と最悪の結果になってしまった。結果論ではあるものの、ここでランナーを進めることができ、商大が先制していれば、試合はまた違う展開となったことだろう。
2021094横浜商科大 鷲田
横浜商科大のリードオフマンとしてレフトに2安打を放った鷲田

この試合の注目は何といっても、Max154㌔右腕はプロからも注目されている商大のエース兼主将の飯田であった。4回までは無失点に抑えるなど、悪いながらもなんとか試合を作れるようになったことは評価できるが、全体としての完成度はまだまだであろう。それでも187cm96kgという体格から放たれるボールは威力が十分で、いい球は本当によく、この球の確率がどれだけ高くなるかというところである。ドラフトまであと1ヶ月なので即戦力としての上位指名は厳しいものの、志望届を出せば、そのポテンシャルを評価した球団が下位で指名する可能性は大いにある。
2021094横浜商科大 飯田2
ドラフトでの指名が期待される横浜商科大の飯田

もう1人ドラフト候補として注目されているのが、佐渡島出身の初のプロ野球選手としての期待のかかる桐蔭横浜大の菊地である。この試合では最終回にマウンドに上がると、ストレートはMax148㌔をマークし、130㌔前半で曲がるスライダーもなかなかの代物であった。正直今日の伊禮であれば代える必要もなく、飯田目当てでスカウトが詰めかけている+横浜スタジアム(の試合はこの日のみ)ということでアピールの機会を与えた形であろう。わずか5球の3者凡退で終わってしまったのは少し残念であったが、
桐蔭横浜大ではクラスターが発生して、調整不足の中でもこれだけの球が投げられたというのは好印象であったことだろう。
20210904桐蔭横浜大 菊地
佐渡島初のプロ野球選手としての期待がかかる桐蔭横浜大の菊地


Pickup Player
青木優吾 桐蔭横浜大1年 外野手
~プロ注目の右腕から3安打のリードオフマン
桐蔭横浜大の1年生のリードオフマンの青木が、3安打を放ち打線の起点となっていた。

青木は中央学院では1年夏からレギュラーを掴むと、山場といわれた西千葉大会準決勝の習志野戦では古谷(現:ロッテ)からサヨナラホームラン。甲子園では初戦の済美戦に3番ファーストで出場し、ヒットも放っている。その後も高校通算20発を越えた打撃と、50㍍6.0秒という俊足を武器に中央学院の主力として活躍し、2年秋からはチームの主将も務め、千葉県で屈指の野手として名を轟かせていた。

桐蔭横浜大に進学すると、1年春からベンチ入りし、途中出場の機会も多かったが、この秋のリーグ戦では開幕戦で1番センターとしてスタメン出場を果たした。するとまず1打席目に飯田のカットボールを見事なピッチャー返しでセンター前ヒットとすると、2打席目には今度は1・2塁間に強烈な打球を放ち、ファースト八幡がダイビングしてなんとかボールに触るも1塁はセーフで内野安打。そして3打席目には変化球が2球外れた後の、ストレートを狙い打ってレフト前への強烈なヒットで猛打賞をマーク。この青木のヒットを起点に、この回桐蔭横浜大は3点を先制しており、貴重な1打であった。ここまで当たっていると1死1・3塁で迎えた第4打席では敬遠気味に歩かされてしまい、2死2塁で迎えた第5打席でもセンターの後方を襲うライナー性の当たりを放つも、センター鷲田に好捕されてしまった。それでも結果的には4打数3安打4出塁という活躍で、見事に1番起用に応えてみせた。

まだ1年生でありながら、選手層の厚い桐蔭横浜大でレギュラーとなれば、おそらく渡部(現:西武)以来の話であり、順調に成長していけば十分にプロも狙える選手である。

20210904桐蔭横浜大 青木
3安打の活躍で桐蔭横浜大の打線を牽引したリードオフマンの青木


ランキングに参加しています。
よろしければクリックをお願いします↓
にほんブログ村 野球ブログ 大学野球へ
にほんブログ村

テーマ : 大学野球
ジャンル : スポーツ

JR東日本東北×日立製作所【オープン戦】

8/31 オープン戦
JR東日本東北×日立製作所 @日立製作所野球場

試合経過

社会人野球もいよいよ都市対抗に向けた戦いが始まってきた。JR東日本東北でいえば、宮城予選を突破し、東北予選に向かうというタイミングであるし、日立製作所は茨城予選前の最後のオープン戦となるのがこの試合。JR東日本東北は川村、日立製作所は青野とともにエース格の投手が先発し、メンバーもフルに近い実践的なものとなった。

JR東日本東北は1回表、1死から2番森が出塁すると、3番大保がセンター前ヒットで続くと、青野は4番鈴木聖に対しては1球もストライクが入らずに四球で満塁。続く5番薗部のサードゴロ併殺崩れの間に、JR東日本東北が1点を先制する。青野はなおも2死1・3塁というピンチであったが安西を変化球で見逃しの三振に仕留めて切り抜けだが、続く2回の先頭打者をファーストゴロに打ちとったところで、治療のために一旦ベンチへ下がるとそのまま降板。球を見ている限りはスピードが落ちているなどということはなかったが、エース候補がアクシデントで降板と、日立製作所にとっては都市対抗前に不安な展開となってしまった。
20210831JR東日本東北 薗部
JR東日本東北は5番薗部のサードゴロの間に先制点をあげた

急遽リリーフのマウンドに上がったのは原田であったが、初回からブルペンで投げていたこともあり、力のあるストレートとフォークを武器に気合いの入った投球を見せ、2回・3回と無失点。4回からは、一昨年の都市対抗で若獅子賞を獲得したリリーフエースの左腕岡が登板するなど、小刻みに投手を繋いでいった。

JR東日本東北は5回表、日立製作所の岡に対して、1死から1番菅野がセカンド内野安打で出塁すると、2番森のレフト線への当たりで菅野が一気にホームインして2点目。さらに大保もセカンドへの内野安打で1死1・3塁とチャンスを広げたものの、岡がここで本領を発揮して4番鈴木聖を3球三振に仕留め、5番薗部もライトフライに打ち取って最少失点で留める。
20210831JR東日本東北 森
レフト線へタイムリー2ベースを放ったJR東日本東北の森

JR東日本東北の先発のルーキー川村は、日立製作所の攻撃を1巡目はノーヒットに抑えて、4回には森下に初ヒットを浴びるものの、4回1安打無失点という素晴らしい投球内容。5回からは2番手として、左腕の櫻糀がマウンドに上がると、日立製作所は7番八幡が右中間フェンス直撃の2ベースを放ち、初めて得点圏にランナーを進めるなど、川村の降板後に打線がやや息を吹き返す。すると7回には八幡が今度は櫻糀のストレートを捉えると、打球はレフトフェンスを越えるホームランとなり初得点をあげて1-2と1点差に迫る。
20210831日立製作所 八幡
日立製作所の初得点となるホームランを放った八幡

1点差に迫られたJR東日本東北は8回から3番手として、こちらもルーキーの竹本が登板。ただ竹本に対して日立製作所打線は、先頭の1番濱元がライト前ヒットで出塁。強打の2番豊田は、バントの構えを見せたものの、最終的には追い込まれたこともありヒッティングに切り替えると、左中間を破る2ベースを放ち、1塁ランナーの代走諸積がホームインして同点。さらに3番江藤がセンター前ヒットで続いて無死1・3塁とすると、4番森下のショートゴロで3塁ランナーが三本間で挟まれたものの、これがセーフとなり無死満塁と竹本は絶体絶命のピンチを迎える。
20210831日立製作所 豊田
同点タイムリーを放った日立製作所の強打の2番豊田

ただそれでも西村監督は竹本にマウンドを託すと、竹本は本領を発揮して、スライダーやフォークといった低めの変化球で日立製作所打線から空振りを取り、ここから吉田・河野・八幡と3者連続三振に仕留めて、勝ち越しを許さなかった。竹本は9回も最後は駒澤大の先輩で共にプレーした諸積をセンターフライに打ち取り無失点。対する日立製作所のリリーフ陣も6・7回を樋口、8・9回を知念とリリーフ陣がランナーは出すものの、無得点に抑えて、試合は2-2のまま引き分けとなった。


20210831JR東日本東北×日立製作所
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


JR東日本東北は期待のルーキー2人の快投が明るい材料だ。先発のマウンドに上がった川村は4回1安打無失点、8回から3番手としてマウンドに上がった竹本はいきなり同点に追いつかれ、さらに無死満塁という絶体絶命のピンチを背負うもそこから3者連続三振の快投をみせた。2人とも大学時代にはプロ注目の選手であり、社会人チームでも即戦力として期待されている右腕2人がしっかりと結果を残したことで、JR東日本東北としては投手陣に厚さが増し、やっとベテランのエース西村に依存から脱却できそうな展開である。
20210831JR東日本東北 竹本
無死満塁のピンチから3者三振の快投をみせたJR東日本東北のルーキー竹本

日立製作所の新戦力は、立教大の二遊間である。この試合ではルーキーの宮がショート、2年目の江藤がセカンドに入った。江藤は1年目はショートの控えであったが、今年は3番日本選手権の予選ではリードオフマンを務め、この試合でも3番を打つなどしており、セカンドのレギュラーに定着した感じだ。この2人は江藤が1個先輩という間柄で、立教大でも二遊間を組んでいることもあった。この日はショートのレギュラーである野中がお休みのようであったが、日立製作所はここ最近レギュラーメンバーが固定化されてしまっていて、新戦力の台頭も少ないので、是非ともそこに風穴を開けるような活躍に期待したい。
20210831日立製作所 宮
ショートとしてスタメン出場した日立製作所のルーキー宮

ただやはり心配なのは、現状日立製作所のエースといえる青野の緊急降板である。大事をとってということであればよいが、都市対抗予選前にこの事態は不安な限りである。ただですら日立製作所は投手陣が課題であり、昨年も都市対抗では補強選手3人とも投手であったが、初戦ではヤマハに5回までで9点を奪われて敗れている。昨年で猿川が勇退し、7年目の樋口、4年目の西澤以外は全員が3年目以内という若い投手陣。2年目の原田・杉尾・西山、さらには今年ヤクルトから加入した田川らの奮起にも期待したいところだ。
20210831日立製作所 青野
日立製作所としてはエース青野の降板が心配なところ


Pickup Player
川村駿平 JR東日本東北
~4回1安打無失点という素晴らしい投球をみせたルーキー~
JR東日本東北の先発のルーキー川村は、4回1安打無失点という素晴らしい投球をみせた。

川村は神奈川の向上出身で、現在もチームメイトの菅野の2個後輩にあたる。2年時からエースとして活躍しており、本格派右腕として注目されていた。3年夏には、逗子開成・戸塚から2試合連続完封をあげ、山手学院からも1失点完投勝利をあげ、5回戦では横浜と対戦。その時の横浜は藤平(楽天)と石川(DeNA)の2枚看板に、増田(ソフトバンク)・公家(大阪ガス)・村田(Honda)・万波(日本ハム)といった選手がスタメンに名を連ねた最強チームであったが、その横浜相手に敗れたものの2失点で完投して、その名を轟かせた。

横浜商科大に進むと、1年春のデビュー戦でいきなり神奈川工科大相手に完封勝利。ただその後は好不調の波が激しく、藤村(東芝)・飯田(現横浜商科大のエースで主将)の陰に隠れる形で、先発の機会も減ることとなった。それでもその能力の高さからドラフト候補にも上がっていたが、今年からJR東日本東北に入社した。JR東日本東北では、JABA日立市長杯でスクールパートナーから完封勝利をあげ、東北大会やベーブルース杯でもリリーフ登板を果たすなど、1年目から着実に登板機会を得ていた。

この試合では先発のマウンドに上がった川村は、初回からストレートの威力が抜群で、いきなり1番濱元・2番豊田の2人をストレートで空振り三振にとる最高のスタート。変化球もスライダーをはじめとして、カーブやチェンジアップなどもさえわたり、日立製作所打線に1巡目はヒットを許さなかった。4回にも2番豊田・3番江藤から連続三振を奪うも、4番森下には初ヒットを浴びてしまうも、5番田中はセンターフライ。結局4回を投げて1安打5奪三振無失点という素晴らしい内容でマウンドを降りた。

この都市対抗の1次予選と2次予選の間の重要なオープン戦で先発を任されるということは、西村監督からもそれなりに戦力として計算されているということだろうし、今日のピッチングができれば十分に通用する。大学時代は期待されながらも、力を発揮できなかったところはあるが、JR東日本東北に入社してその力を発揮しつつあり、来年のドラフトが楽しみな選手になりつつある。

20210831JR東日本東北 川村
4回1安打無失点と素晴らしいピッチングをみせたJR東日本東北の川村



ランキングに参加しています。
よろしければクリックをお願いします↓
にほんブログ村 野球ブログ 社会人野球へ
にほんブログ村



テーマ : 社会人野球
ジャンル : スポーツ

最新記事
ランキング
カレンダー
08 | 2021/09 | 10
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
カテゴリ
プロフィール

ぶるーたす

Author:ぶるーたす
高校野球~社会人野球までアマチュア野球なら何でも好きです

アクセスカウンター
検索フォーム
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

月別アーカイブ
注目ブログ