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履正社×京都国際【秋季近畿大会】

10/23 秋季近畿大会1回戦
履正社×京都国際 @皇子山球場

試合経過

秋季近畿大会では、初戦から履正社(大阪3位)と京都国際(京都1位)が激突。履正社は背番号10ながら大阪大会では投手陣の中心として活躍している今仲が、京都国際は夏の甲子園でも大活躍を見せたエース左腕の森下が先発のマウンドに上がった。

京都国際3回裏、この回先頭の8番三浦がライト前ヒットで出塁すると、9番小林が送って1死2塁とチャンスを作って、2巡目に入った。すると1番武田は、今仲のストレートをセンターに弾き返して、三浦が生還して京都国際が先制。さらに2番上野(京都国際→日本ハムに入団した上野響平の弟)がバントを決めると、3番平野も初球をセンター前に弾き返して、京都国際が2点目をあげる。
20211023京都国際  武田
先制タイムリーを放つ京都国際の1番武田

履正社の今仲は柔らかい肩関節を生かした背中から腕が出てくるようなスリークウォーターのフォームが特徴的で、ストレートは威力抜群。今年の夏は健大高崎のエースとして活躍した兄と比べると、フォームこそ違うものの、右の本格派右腕というところでは同じだ。変化球はスライダーとフォークを投げており、京都国際打線を打ち取っていった。3盗での三振ゲッツーや走塁死など京都国際の拙攻もあったものの、5回まで2失点とまずますの投球をみせる。
20211023履正社 今仲
履正社の先発マウンドを託された1年生右腕の今仲

ただ履正社打線は、2回には4番冨安がチーム初ヒットを放ち、バントで送って1死2塁のチャンスを作るも無得点。4回には先頭の2番森澤がライトオーバーの2ベースを放ち無死2塁というチャンスでクリーンアップを迎えたものの、夏の甲子園で2桁奪三振を2回もマークした京都国際のエース森下が本領を発揮して、そこから3者連続三振。ランナーは出しても、勝負どころではギアをあげた森下の前に手も足も出ずに、無得点が続いてしまう。
20211023履正社 森澤
ライトオーバーの2ベースと放つ履正社の2番森澤

すると京都国際は6回裏、3番平野がレフトオーバーの2ベースを放つと、4番辻井も三遊間を破り、5番森は四球を選んでクリーンアップで満塁のチャンスを作る。この試合では6番であるが、前チームでは4番も打っていた左の強打者森下を迎えたところで、履正社は2番手として速球派左腕の福田をマウンドに送るも、森下にセンター前に強烈な打球を弾き返されてしまい、3点目を失う。
20211023京都国際  平野
追加点の起点となるレフトオーバーの2ベースを放った京都国際の平野

履正社は森下対策として終盤には右バッターの代打を4人も起用し、坂根・森田の両1年生は見事にヒットを放ちチャンスを作ったものの、相変わらず勝負所では森下に抑えられてしまいジーエンド。森下が9回6安打11奪三振完封と履正社打線を完璧に抑えて、京都国際が3-0で勝利した。


20211023履正社×京都国際
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


スコア的には3点差だが、京都国際が履正社に圧勝したといえる試合内容であった。まず守備面では森下が見事に完封したが、ピンチの場面での森下から履正社はヒットを打てる気がせずに、得点は非常に難しかった。攻撃面ではスタメン全員安打となる12安打を放っており、5回もの走塁死とミスがあったこともあり3得点に終わったが、もっと得点が入っていてもおかしくない内容であった。

前チームでは春夏で甲子園に出場を果たした京都国際だが、そこからキャッチャー中川(阪神ドラフト6位)は抜けたものの、森下・平野の左右のダブルエース、ショートの武田、前チームではサードであったが新チームでは主将に正捕手も務める辻井と主力が多く残っている。まだまだ新興チームと思われがちだが、履正社という高校野球界を代表する名門にも完勝する力をもっており、今年は本気で甲子園優勝を狙えるチームだと感じた。
20211023京都国際  辻井
京都国際の新チームでは主将正捕手を務める辻井

近畿大会で初戦敗退となってしまった履正社は、大阪では3位であり、大阪桐蔭・金光大阪と大阪2チームが近畿大会ベスト8に残っていることか、センバツ出場の可能性は消滅したといえる。これにより来年の3月での退任が決定的な岡田監督にとっては、これが履正社では最後の公式戦となってしまった。大阪大会で大阪桐蔭と準決勝で当たっていなければ…という思いもあるものの、これが秋季大会であろう。

ただ個々の選手にスポットを当ててみると非常に楽しみな逸材は多い。野手でいえば、1・2番コンビを形成する二遊間の2人が目立った。1番ショートの光弘に関しては、そのスローイングは本当に素晴らしく、強肩でボールがファーストミットに吸い込まれるようなコントロールで、ショートの深い位置のゴロもいとも簡単にアウトにしてみせていた。夏には1年生ながら代打ホームランを放つなど活躍した森澤は、この試合では2番セカンドで出場し、チームで唯一長打とマルチヒットを放つなど、森下に1人だけ一矢報う活躍をみせた。ベンチ入り5人中4人が1年生という投手陣は、しっかりと試合を作った先発の今仲、コントロールにバラツキがあるものの威力のあるストレートを投じた左腕の福田、足を高く上がる左ライアンの増田といった投手陣は、ボールは素晴らしいだけに冬場に体を作って安定してくれば楽しみな選手であった。多田新監督で新たにスタートを切る履正社からも目は離せないだろう。
20211023履正社 光弘
ショートからのスローイングは本当に素晴らしかった履正社の光弘


Pickup Player
森下瑠大 京都国際2年 投手
~履正社を圧倒する11奪三振完封~
強豪履正社相手に、夏の甲子園4強のエース森下が、さすがというピッチングをみせた。

森下は京都国際では1年秋にエース背番号1を背負い、平野とのダブルエースとして、京都大会3位から近畿大会に出場すると、和歌山東・神戸国際付との接戦を制して4強入り。2年春のセンバツには4番投手として出場し、柴田戦では5回2失点、東海大菅生戦では完投も勝利まであと1死というところで逆転サヨナラ打を浴びてしまった。2年春には京都大会を制して、近畿4強。2年夏の京都大会では、京都翔英・塔南から完封勝利をあげ、決勝の京都外大西戦では2回途中から最後まで無失点リリーフをみせて、チームは春夏連続での甲子園に出場導いた。

2年夏の甲子園では、初戦で前橋育英から10奪三振完封勝利、2回戦では二松学舎大付戦では10回4失点完投で、打っても秋山(ロッテ4位)から逆方向のレフトスタンドにホームラン、さらには延長戦で決勝打の活躍をみせた。準決勝の智弁学園戦ではリリーフ登板して、強力打線を5回無失点に抑えるも、チームは敗れて4強止まりとなった。この秋は京都大会では苦しみながらも、何とか接戦をモノにして優勝をはたし、3季連続での近畿大会出場を果たすと、履正社相手という、この重要な初戦にも6番ピッチャーとしてスタメン出場を果たした。

この試合の森下の投球はどちらかというと変化球が多めであった。特にカットボールは多く、ストレートは140㌔出ているかというレベルであったが、このカットボールを中心にスライダー・カーブ・チェンジアップといった変化球も使って履正社打線を打ち取っていくという、経験も感じさせる投球を披露した。3回に無死2塁というピンチを迎えると、変化球でカウントを稼ぐと、3番西・4番冨安はともに最後はストレートで見逃し三振。5番橘高も三振と、クリーンアップを3者連続三振に仕留めるなど、ピンチの場面ではまたギアを1段とあげた投球をみせた。終盤の7・8回にもピンチを招くもこれを凌ぐと、9回には先頭打者にヒットを許すも、そこから3者連続三振で試合を締めて、結局9回7安打11奪三振完封勝利をあげた。

打撃でも第1打席にセンター前ヒットを放つと、1死満塁で迎えた6回の第3打席では貴重な追加点となるセンター前へのタイムリーヒット。2本のヒットともに打球のスピードは、京都国際打線の中では群を抜いており、投手でなければ4番を打てる存在であるということを改めて証明した。

ドラフト候補という視点から見ると、もう少しストレートにスピードが出てくれば文句なしという左腕であるが、それでも投球術もついてきており、夏の甲子園でもそうであったように、これだけ三振の奪える投手というのはなかなかおらず、十分に候補となってくることだろう。そして投手森下の方がプロには近いものの、打者森下も今日見た打球スピード、さらには甲子園では逆方向のレフトスタンドに放り込んだパワーと技術からしても、十分に候補になれる存在であろう。投打において京都国際、さらには来年の高校野球を牽引する選手といえ、今後も活躍が楽しみである。

20211023京都国際  森下1

20211023京都国際  森下2
投げては11奪三振完封、打ってもタイムリーを含む2安打の京都国際のエース森下


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日本文理✕星稜【秋季北信越大会】

10/17 秋季北信越大会準々決勝
日本文理✕星稜 @しんきん諏訪湖スタジアム

試合経過

北信越大会の準々決勝では、来年のドラフト上位候補であえる148㌔右腕の田中を擁する日本文理と、ここ5年で春夏合わせて北信越大会を6度も制している星稜というビックマッチが実現。前日の1回戦ではともにリリーフ登板のみであった、日本文理の田中、星稜のマーガードという両エースが、この大一番で満を持して先発のマウンドに上がり、雨の影響で開始が2時間遅れ、さらに気温が10℃前半という極寒の中で試合が始まった。

日本文理のエース田中は、185㎝82㎏というがっちりとした体格から放たれるストレートには力があり、球速表示はなかったものの、140㌔中盤はマークしていたとの話だった。ストレートに威力があるためか、相手が右バッターの際にはセンターが右中間寄りに、左バッターの際には左中間寄りに守るというシフトを敷いていた。ただこの試合の田中はストレートだけでなく、カットボールをはじめとしてスライダー・カーブ・チェンジアップといった変化球も巧みに使う投球をみせ、4回まで星稜打線を1安打無得点に抑える。
20211017日本文理 田中1
日本文理の先発エースの田中

星稜のエースのマーガードも、184㎝93㎏という立派な体格の右腕であり、期待に反してストレートは140㌔にも及ばなかったものの、カットボールやスライダーといった変化球を多く使い、三振こそないものの日本文理打線を巧みに打ち取っていった。こちらも4回まで日本文理打線をセーフティバントによる内野安打1本に抑え、序盤は田中とマーガードの投手戦となった。
20211017星稜 マーガード
星稜の先発エースのマーガード

試合が動いたのは5回裏、星稜はこの回先頭の4番若狭がセンター前ヒットで出塁すると、死球も絡んで1死1・2塁とこの試合初めてのチャンスを作る。ここで迎えた左バッターの7番津澤は、詰められていた左中間にうまくもっていく、先制のタイムリー2ベース。さらにマーガードが四球を選んで1死満塁とすると、9番佐々木はなんとフルカウントからスクイズを決めて、星稜が2点目をあげる。
20211017星稜 津澤
先制タイムリーを放った星稜の津澤

ただ日本文理も6回表、1死から1番五十嵐がライト線に2ベースを放つと、続く2番杣木のバントは、星稜の1塁ベースカバーがいないというミスで内野安打となる。杣木は普段からバスター打法でバントの構えをしていることから、本当にバントだと思って前進したファーストと、1死2塁という場面なのでいつも通りバスターだと思っていたセカンドの間に齟齬が発生したようだ。この1死1・3塁というチャンスで3番田中は初球を叩くと、強烈な打球は1・2塁間を抜けていき、日本文理が初得点。さらに4番竹野が四球を選んで満塁となり、日本文理にとっては一気に逆転のチャンスであったが、マーガードは5番高橋をショートゴロ併殺に仕留めて、星稜がリードを守った。
20211017日本文理 田中2
日本文理の初得点となるタイムリーを放った田中

そこから田中は再び序盤のようなピッチャーを展開し、星稜打線を6・7回と無得点に抑える。一方のマーガードも併殺や牽制アウトといった日本文理の拙攻もあって、7・8回と無得点に抑え、試合は星稜が2-1とリードしたまま進んでいった。

星稜は8回裏、この回先頭の9番佐々木が3塁線を破る2B3エースを放ち出塁すると、1番永井が1球で送りバントを決めて1死3塁とする。2番垣淵の打撃でカウントが2B0Sとなって、バッテリーとしてもウェストができないという状況になったところでスクイズを決行し、これを垣淵が見事に決めて、星稜が待望の追加点をあげる。

点差を広げられ、9回も2死ランナー無しと追い詰められた日本文理であったが、そこから6番井口が四球を選び、1発が出れば同点という場面で迎えるはこの試合では7番を打っているものの、夏の甲子園ではホームランを放っている186㎝90㎏の大型スラッガーの玉木聖。玉木聖に1発こそ生まれなかったもののセンターヒットで繋いで、2死1・3塁とチャンスを広げたものの、最後は齋藤がセンターフライに打ち取られてゲームセット。マーガードは1失点完投で、星稜が3-1で勝利し北信越大会4強入りで、センバツ出場に王手をかけた。
20211017星稜バッテリー
1失点完投勝利をあげた星稜バッテリー


20211017日本文理✕星稜
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


星稜の緻密な野球が光った試合であった。実はこの試合の星稜のチャンスは3回しかなかったのだが、5回には満塁でフルカウントからスクイズを決め、8回にも無死2塁から連続バントで追加点をあげるなどして着実に得点に結びつけた。今年の星稜の新チームは、いわゆる大物というような選手はいない。マーガードに関しても、中学時代の評判・ハーフ・184㎝93㎏という体格で、投げているところをみるとスチュアートJr(ソフトバンク)のようであり、本格派右腕として期待していたが、ストレートは130㌔台止まりという点では期待外れであった。それでもカットボールなど駆使して丁寧な投球で、日本文理打線を打ち取っていき、キャッチャー佐々木をはじめとしたバックの守りも堅く、守備でも緻密な野球で1失点に抑えた。来年の3月で退任を表明している林監督だが、今年も攻守にきっちりとしたチームを作ってきていると感じた。

一方対照的に日本文理は、ヒット数・チャンスの数でいえば星稜を上回っていただけに、もったいない試合であった。特にバッターがバントを見逃して、飛び出したランナーがキャッチャーからの牽制に刺されるというケースが2回、また重要な場面で併殺が2回もあり、この2つが攻撃でいえば非常に痛かった。エース田中は8回5安打6奪三振3失点と悪い内容ではなかっただけに、この世代No1との呼び声も高い投手を是非とも、甲子園のマウンドで見てみたかったが、それも叶わず残念である。


Pickup Player
佐々木優太 星稜2年 捕手
~ガッツ溢れるプレーでチームを牽引する主将~
主将で正捕手でもある佐々木がガッツあるプレーで、攻守に渡る活躍をみせ、勝利に大きく貢献した。

佐々木は星稜中の出身で、正捕手として全国大会も経験。そのまま星稜高に進学すると、1年秋から控え捕手としてベンチ入りを果たし、この秋の新チームからは主将・正捕手として活躍している。

まず攻撃面で佐々木はこの試合では9番打者としてスタメン出場を果たし、1打席目は田中の前に三振に倒れるも、2打席目は1点を先制した後に1死満塁という場面で回ってきた。バントの構えもみせるなどしして、四死球で満塁のピンチを招いてしまった田中に揺さぶりをかけていたが、フルカウントになってからスクイズを決行すると、そんなプレッシャーのかかるサインを見事に決めてみせた。さらに8回の先頭打者として迎えた第3打席では、3塁線を破る2ベースを放って出塁し、貴重な追加点となる3点目のホームを踏むなど、攻撃面では得点に直結する貴重な働きをみせた。

守備では5回にキャッチャーフライを追っていき、フェンスに頭から激突してしまい、立ち上がった後にフラついて、1度はベンチに下がったものの、再びグランドに戻るなどガッツあるプレーをみせた。キャッチャーからの牽制で2人のランナーも刺したし、変化球が多くてワンバンの多かったマーガードのボールも後ろに逸らすことなくしっかりと止めていた。何よりも三振はあまりとれなかったもののマーガードを1失点完投に導いたリードも素晴らしかった。

佐々木はどちらかというと小柄な選手であるが、キャッチャーとしての肩も申し分なく、野球IQの高い選手である。主将としても星稜の緻密な野球を体現しており、まさに今年の星稜を象徴するような選手であると感じた。

20211017星稜 佐々木
攻守でチームの勝利に貢献した星稜の正捕手佐々木


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関東一×早稲田実業【秋季東京大会2回戦】

10/10 秋季東京大会2回戦
関東一×早稲田実業 @江戸川スタジアム

試合経過

秋季東京大会は2回戦で関東一×早稲田実業という東京の東西校の強豪校どうしの対決が実現。関東一は成井、早稲田実業は石島と両エースが先発のマウンドにあがり、試合が始まった。

関東一は初回は井坪のヒットとバントのフィルダーズチョイスで無死1・2塁、2回には先頭の秋葉の2ベースで無死2塁といずれもチャンスを作るも後続が続かず無得点で、序盤の攻撃は非常に嫌な流れとなっていた。ただそんな流れを吹き飛ばしたのが、昨秋はチームの4番を担っていた実力者で、この秋は1番を務める井坪。3回2死で迎えた第2打席では初球を振り抜くと、打球はレフト後方のネットに直撃する特大ホームランとなり、関東一が先制する。
20211010関東一 井坪2
先制弾を放った関東一の井坪

関東一は5回表にも、1死から井坪がこの試合早くも3本目のヒットで出塁すると、2盗を決めてチャンス拡大。2番柳瀬は、フルカウントから6球ファールで粘った末に、石島が投じた12球目をうまくライト線に弾き返すタイムリーを放ち、2点目をあげる。
20211010関東一 柳瀬
5回に追加点となるタイムリーを放った関東一の柳瀬

早実のエース石島は、左手を高くかかげて、腕を真上から降り出すフォームで、ストレートには角度があり、キレのあるスライダーとのコンビネーションを武器とする本格派右腕。夏の西東京大会でも先発を務めることも多く、新チームではエースとして、さらには打っても4番とチームの中心的存在であった。ただこの日の投球は毎回得点圏にランナーを背負う苦しいものとなってしまい、5回2失点という内容でマウンドを降りることとなる。
20211010早稲田実業 石島
5回2失点で降板となってしまった早稲田実業のエース石島

早実は6回から2番手として1年生右腕の齋藤が登板。早実のピッチャー齋藤という響きに高校野球ファンはテンションが上がったが、その齋藤に対して関東一打線は先頭の4番増尾にセカンド強襲ヒットで出塁すると、富岡が送って1死2塁。増尾はワイルドピッチの間に3塁を陥れると、さらに増尾を刺そうとしたキャッチャーの送球をサードがはじく相手に一気にホームイン。これで終わらず、主将の秋葉のヒットと、バント処理で足を滑らせた齋藤のエラーでチャンスを作ると、代打田野がライトオーバーのタイムリー2ベース。さらに9番成井もレフトオーバーのタイムリー2ベースで続いて齋藤をKO。早実はレフトに回っていた石島をマウンドに戻すも、石島相手に3打数3安打と当たっていた1番井坪が4安打目となるタイムリー2ベースを放ち、この回合計4点を追加する。
20211010早稲田実業 齋藤
早稲田実業の2番手としてマウンドに上がった齋藤であったが1回持たずして降板となってしまった

これで関東一が6-0とリードし、7点差のコールドも見えてきた。ただここから早実のエース石島が意地をみせ、7回には1死1・3塁のピンチを招くものの、秋葉をセカンドゴロ併殺に仕留めると、8・9回はこの試合で初めて関東一打線にヒットを許さないイニングを作り、追加点を許さなかった。

ただ早実打線は関東一のエース成井の投球の前に沈黙。成井はストレートは130㌔台といったところであろうが、非常にコントロールがよく、またスライダーやチェンジアップなども含めた丁寧な投球が光った。4回まではランナー出したものの、早実打線を散発に抑えると、5~8回はノーヒットピッチングを展開して、最終的には9回5安打完封勝利。2回戦屈指の強豪対決は、関東一が6-0と勝利し、ベスト16入りを決めた。
20211010関東一 成井
完封勝利をあげた関東一のエース成井


20211010関東一×早稲田実業
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


関東一はこの秋は成井がエースナンバーを背負っていたが、1回戦では2-0と接戦だったものの、登板はおろかブルペンで投げることもなかった。よって個人的には成井の状態については心配していたが、この早実との大一番では、満を持して先発のマウンドに立つと上述のように見事な完封勝利。1回戦では午前の試合で先に初戦突破を決めた早実が、午後の関東一の試合に偵察に来ることが予想された中で完全に成井を隠したことが、見事に功を奏したといえる。関東一が成井を温存できたのも、選手層の厚さからであろう。初戦では井坪→枡川が完封リレーをみせた投手陣に加えて、この試合では代打の田野と9番ピッチャーの成井が連続タイムリー2ベースを野手面でも層の厚さも見せつけた。

早実は正直言ってまだ力不足である。特に打線に関しては、3番壽田・4番石島・5番細谷という2年生クリーンアップは力があるものの3人とも単打1本に抑えられ、その他の選手に関しては160㎝台と小柄な選手が多く、力強さという点では物足りなかった。ただ山本(近鉄・オリックス・DeNAで活躍し、現在はソフトバンクのスカウトを務める山本省吾の息子)、深谷、箭原といった夏から活躍した1年生たちは高い技術をもっている選手であり、一冬越えて力がついてくれば非常に楽しみである。
20211010早稲田実業 山本
早稲田実業の1番を務めた1年生の山本


Pickup Player
井坪陽生 関東一2年 外野手
~先制弾を含む4安打の活躍~
関東一の1番井坪が、先制ホームランを含む4安打の活躍で打線を牽引した。

井坪は八王子シニアでは主軸兼エースとしてチームをジャイアンツカップ4強に導き、U-15アジアチャレンジマッチ日本代表にも選出。ちなみにこの試合で早実の3番を打った壽田は、この時のチームメイトになる。関東一に入学すると、1年秋は4番レフトを務めたものの、結果が出ずにスタメンを外れることもあった。すると2年春夏は、事情はよく分からないもののベンチソ外。特に2年春の東京大会決勝では、兄の井坪朝陽が3番を務める日大三との対戦だっただけに、兄弟対決が見られなかったのは残念であった。

この秋の新チームでは背番号8をつけ、打順も1番を務める井坪。本来であれば、間違いなくチームの4番を打つべき存在であるが、チームを勢いづけるという意味で1番に置いているのだろう。さらに1回戦の東京成徳大戦では先発のマウンドにあがり6回無失点の好投をみせるなど、投手としてもチームを支えている。

この試合でも1番センターとして出場した井坪は、1打席目にはセカンド強襲ヒット(エラー気味ではあったが)で出塁。関東一打線は井坪の出塁により無死1・2塁のチャンスを作っても、あと1本が出ずに無得点と重苦しい空気であったが、3回の第2打席ではそんな空気を払拭するかのように、初球を捉えると打球は江戸川区球場のレフト後方のネットに直撃する特大の先制ホームランとなる。井坪は3打席目にもレフト前ヒットを放って、5回で早くも猛打賞をマークすると、2盗を決めて、続く2番柳瀬のタイムリーで生還という足を使った1番らしい仕事も披露。第4打席ではマウンドに戻ってきた石島の出鼻をくじくべく、レフト線へのタイムリー2ベースを放った。5打数4安打1ホーマー2打点という数字以上に、要所で飛び出したヒットが多く、この試合での井坪のバットの貢献度は計り知れなかった。

関東一では1度はベンチ外という挫折を味わったものの、そこから見事に復活をとげた井坪。フォームといいちょうど正木(慶応大→ソフトバンク2位指名)を彷彿とさせるような力強さをもったバッティングが最大の魅力であるが、この試合でも盗塁を決めた走力、投手も務める肩力も合わせもつ選手であり、この調子で結果を残していけば来年のドラフト候補にノミネートされる逸材であろう。

20211010関東一 井坪1
先制ホームランを放つ関東一の井坪


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大阪桐蔭×大商大堺【秋季大阪大会】

9/26 秋季大阪大会5回戦
大阪桐蔭×大商大堺 @大阪シティ信金スタジアム

試合経過

秋季大阪大会で大阪桐蔭の5回戦の相手は大商大堺。先発には前日の4回戦で好リリーフを見せた、背番号14の1年生左腕の前田を送った。

先攻の大阪桐蔭は初回、1番伊藤がいきなりセンターオーバーの2ベースを放つと、3番松尾のレフト前ヒットでチャンスを1死1•3塁と広げると、4番海老根の犠牲フライで先制点をあげる。2回にも先頭の田井の高く上がったフライは、ライトのまずい守備もあって3ベースとなると、1死から8番の主将星子がレフト線にタイムリー2ベース。星子はワイルドピッチで3塁に進むと、1•3塁から2盗を刺そうとしたキャッチャーの送球が逸れる間にホームインし、大阪桐蔭がリードを3点に広げる。
20210926大阪桐蔭 星子
レフト線にタイムリー2ベースを放った大阪桐蔭の星子

ただ大商大堺は2回裏、1死から6番津田が四球で出塁すると、7番南弘の打球はライト前にポテンと落ちて1・2塁。2死となってから9番永田はインコースのボールをうまくレフト線に運んで津田が生還して、大商大堺が1点を返す。
20210926大商大堺 永田
大商大堺の初得点となるタイムリーを放った永田

大商大堺のエース左腕の武田は、右手を高くあげたフォームから角度のあるストレートと、大きく曲がるカーブを武器とする非常に左腕らしい投手。特にカーブは右バッターから見ると膝元の低めのいいところに投げられていたが、これに大阪桐蔭の右バッターが手を出さなかったのが、武田にとっては苦しいところだった。3・4回は大阪桐蔭打線の攻撃を無得点に抑えたものの、大阪桐蔭は5回には1死から3番松尾がレフトスタンドにソロホームランを放ち4点目。武田はその後4番海老根・5番丸山をともにストレートで連続見逃し三振に仕留める意地を見せるものの、5回4失点という内容でマウンドを降りることとなった。
20210926大商大堺 武田
大商大堺のエース左腕の武田

大商大堺は6回から2番手として中野がマウンドに上がるも、先頭田井の打球をセカンドがエラーしてしまうと、3塁まで進んだランナーがワイルドピッチで生還して、ノーヒットで追加点。8回にも鈴木・前田のヒットで1・2塁のチャンスを作ると、1番伊藤がライト前にタイムリーを放つ。9回には大商大堺の3番手志賀が四死球でピンチを招くと、7番鈴木が右中間に2点タイムリー3ベースを放ちリードを8-1と広げた。
20210926大阪桐蔭 鈴木
右中間へ2点タイムリー3ベースを放った大阪桐蔭の鈴木

大阪桐蔭の先発の前田は、140㌔は出ているだろうストレートに、スライダー・しっかりと曲がる2シーム・チェンジアップといった変化球も交えて、1年生らしからぬ安定した落ち着いた投球を展開。2回にタイムリーを浴びた後は、大商大堺に2塁も踏ませない投球をみせて、9回4安打1失点7奪三振で完投。大阪桐蔭が8-1で大商大堺に勝利し、準々決勝進出を決めた。
20210926大阪桐蔭 前田
見事1失点完投勝利をあげた大阪桐蔭の1年生左腕前田


20210926大阪桐蔭×大商大堺
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

大阪桐蔭にまたニューヒーローが誕生した。背番号14をつけた1年生左腕の前田は、湖北ボーイズの出身ということで大阪桐蔭の同じ左腕の横川(巨人)の後輩にあたる。前日の東大阪大柏原戦では1点差に迫られたところで、好リリーフをみせてチームを勝利に導いていた。すると大商大堺という強豪相手となったこの試合では、西谷監督は別所・川原・川井という甲子園のマウンドも経験した2年生でなく、前田をマウンドに送ると、その期待に応える見事な1失点完投勝利。別所・川原も調子が上がっていないので、今後も前田がエース格として、起用される可能性も高い。大阪桐蔭ほどの逸材が揃うと、下級生がエースの座を射止めるのはより難しくなり、前田がエースとなればおそらく藤浪(阪神)以来の下級生エースであり、1年生ながら早くもドラフト関係者は目を光らせていることだろう。

夏の甲子園ではベンチ入りしていたのはキャッチャーの松尾のみということで、経験値の少なさが懸念されていた野手陣であるが、そこはさすがの精鋭たちである。U15日本代表の4番を務めた海老根、U12代表時代から主将を務めている新チームの主将星子ら中学時代から名を馳せた選手たちで構成されるそつのない打線は、この試合も結局海老以外の全員がヒットを放った。最終的に8得点であったが、ビックイニングを作らなくても、毎回コンスタントに得点を重ねているあたりも、真の強さを感じる打線であった。
20210926大阪桐蔭 海老根
U15日本代表では4番、大阪桐蔭の新チームでも4番に座る海老根


Pickup Player
松尾汐恩 大阪桐蔭2年 キャッチャー
~~
前チームからの唯一のレギュラーであるキャッチャーの松尾は、打ってはホームランを含む2安打、守備でも1年生の前田を好リードして完投勝利をアシストし、チームを牽引した。

松尾は意外なことに中学時代は京田辺ボーイズでショート兼142㌔右腕として活躍し、ボーイズ日本代表にも選ばれている。ただ大阪桐蔭では1年秋に捕手に転向。2年春のセンバツでは代打で登場して途中からマスクを被ると、2年春の大阪大会から事実上正捕手の座を獲得した。1個上の世代には坂や田近と中学時代に名を馳せた捕手がいるなど、有名捕手が集まってくる大阪桐蔭においては、転向してすぐにレギュラーを獲得してしまったあたりは松尾のセンスと、そして西谷監督の先見の明を感じる。2年夏の大阪大会では全試合でスタメンマスクを被り、打率.429の活躍で春夏連続での甲子園出場に貢献。ただ甲子園では2回戦で、近江の山口に対してストレートを続けたところを痛打されてしまい、敗れるなど捕手としての悔しさも味わった。

2年秋の新チームでは、夏の甲子園でベンチ入りしていた選手は投手を除けば松尾のみ。それも捕手ということでまさに新チームの中心的存在であり、この試合でも3番捕手としてスタメンに名を連ねた。まず松尾の素晴らしい動きが目立ったのはシートノックで、キャッチャーゴロの処理がとにかく速い。甲子園でセカンド送球1.87秒をマークした強肩は言わずもがなだが、もともとショートだっただけあり、動きが俊敏で、捕るまでのスピード、そしてとってから送球までのスピードが桁違いに早く、高校野球でこんなスピード感のある捕手は見たことないというレベルであった。

試合が始まると1回表に迎えた第1打席では武田のカーブをうまくレフト前に運び、1死1・3塁とチャンスを広げて、先制点をアシスト。2打席目は今度は武田のカーブの前に見逃し三振に倒れてしまったものの、第3打席ではインコースのストレートを振り抜くと打球はレフトスタンドに飛び込むソロホームラン。1・2回と得点をあげた後に、3・4回は無得点と打線が沈黙していたので、一振りで打線の流れを呼び戻した素晴らしいバッティングであった。第4打席にはショートゴロに倒れたものの強烈な打球を放ち、第5打席では四球を選んで7点目のホームを踏んだ。打撃では結局4打数2安打1打点という活躍。守備面では前田があまりランナーを出さなかったので、大商大堺が盗塁を試みるといった見せ場はなかったものの、1年生の前田を巧みにリードして1失点完投に導いた。

178㎝75㎏という体格は捕手としては細身な分類に入るが、その分スピードという武器もあり、投手としても142㌔をマークしていたその強肩、今日のホームランで高校通算15号とパンチ力もある。2022年世代ではトップクラスの捕手であることは疑いなく、来年のドラフトが楽しみな選手だ。

20210926大阪桐蔭 松尾1

20210926大阪桐蔭 松尾2
打っては5回にソロホームラン、守っては前田を好リードで支えた大阪桐蔭のキャッチャー松尾


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2021年ドラフトで意外すぎた指名

2021年のドラフト会議で、個人的にこれは意外であったという指名を、勝手にランキング方式で紹介していきます。

9位 北山亘基(京都産業大→日本ハム8位指名)
Max153㌔のストレートに、カットボール・スライダー・カーブ・チェンジアップといった多彩な変化球も冴えわたる、関西六大学野球連盟が誇る屈指の本格派右腕は、当初は上位指名も噂されるほどの逸材であった。ただこの秋のリーグ戦では開幕から4連敗と結果を残せずにおり、指名順位が下がることも予想はしていたが、支配下指名で全体の後ろから2番目、日本ハムからのドラフト8位という順位には正直驚いた。本来の実力が発揮できれば、8位で指名できた日本ハムは相当ラッキーであったといえる投手であろう。
20210924京産大 北山1


8位 野村勇(NTT西日本→ソフトバンク4位指名)
パンチ力があり、走力があり、内野ならどこでも、さらには外野も守れるユーティリティ性もあって、非常にいい選手である野村。ただ社会人3年目でドラフト解禁は昨年、二大大会では結果を残せていない、さらに直前の都市対抗予選では当初は4番に座っていたものの当たりがなく、最終的には9番に降格となるなど、ドラフト指名に向けて流れがいいとは言えず、野村の指名を予想していた人は少なかったと思う。さらに指名したのが、ソフトバンクというのも意外で、確かに右打ちの即戦力の内野手は補強ポイントであったものの、高卒選手の指名が多いチームであるために、大卒の社会人野手を指名したのはソフトバンクになってから初めてのようだ。
20201128NTT西日本 野村


7位 上川畑大悟(NTT東日本→日本ハム9位指名)
日本ハムのドラフト9位ということで、支配下選手の指名で最後に名前が呼ばれたのが上川畑。守備力が最大の魅力で、走力、ミート力も高いショートストップは、昨年はドラフト候補として注目されていたものの指名漏れ。そこから目立った上澄みはなく、今年もNTT東日本での打順は7番と下位を打っていたが、直前の都市対抗東京第2代表決定戦ではサヨナラ打を放ち最後にアピールに成功したのか指名を勝ち取った。ただ日本ハムは3位で全く同じタイプの水野(JR四国)も指名しており、9位という順位からいっても決して楽な道のりではないと思われる。
20210920NTT東日本 上川畑


6位 福永奨(国学院大→オリックス3位指名)
インサイドワークに優れ、セカンド送球1.8秒という東都トップの強肩も誇る捕手だが、3位という指名順位の高さには驚いた。捕手としての守備力は高く、また横浜高→国学院大で主将を務めたキャプテンシーもあるものの、打撃に関しては4年春までで通算打率.171という成績であった。同じ東都でいうと古賀(中央大)の方が打力も含めて、評価は高いというのが大方の予想であったが、その古賀よりも早く指名され、即戦力の捕手としてはNo1の評価とも受け取れる。この秋は4番に座るなど打力の向上も見られるものの、複数捕手制が主流となる現在では、即戦力の捕手として求められるのはもはや打撃より守備力という印象を受けた指名であった。
20210913国学院大 福永


5位 廣畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ→ロッテ3位指名)
社会人投手としてはNo1の実力者である廣畑に関しては、正直1位指名は固いと思っていたので、指名順位が3位というのは意外であった。帝京大ではいわゆるドラフト候補というレベルではなかったものの、昨年三菱自動車倉敷オーシャンズに入社するとストレートがMax154㌔をマークするなど力強さが増し、都市対抗では前年度王者のJFE東日本から完投勝利をあげるなどして若獅子賞を受賞。今年はチームの抑えも務めるなど、先発・リリーフどちらでもいけることも証明していたが、直前の都市対抗予選では打ち込まれたり、また今年は各チームがこぞって即戦力投手は左腕を取りに行ったあたりが順位を下げてしまった原因であろうか?
20201114三菱自動車倉敷オーシャンズ 廣畑2


4位 安田悠馬(愛知大→楽天2位指名)
愛知大学野球の2部に凄い選手がいると評判になっていたのが安田。直前の試合でも130㍍弾を放つなど、185㎝105㎏という体格からのパワフルな打球は規格外であり、また強肩が売りの捕手としても需要はある。ただ戦っている舞台が愛知の2部リーグなので、その実績には疑問点がついてしまうこともあり、2位という指名順位の高さは驚きであった。今年の楽天は1位の吉野に始まり、まるでヤクルトのように(まぁGMがヤクルト出身だし)、独自路線を貫いた、傍から見れば意外という指名のオンパレードであったが、その象徴となるのが、この安田であった。


3位 畔柳享丞(中京大中京→日本ハム5位指名)
センバツでみせたMax152㌔のストレートを武器とした、馬力のある投球はスカウトをうならせ、当初はドラフト1位候補と言われていた畔柳。ただそのセンバツで負傷し、復帰が遅れたことは懸念されたものの、夏には春夏連続の甲子園出場こそ逃したものの元気な姿を見せていたのでドラフト上位候補と思われていた。個人的にも高校生投手ではトップ3が小園・風間・森木、その次に来るのが達・畔柳と思っていたが、畔柳が指名されたのは5位というのは意外であった。やはり春に負ったケガの内容が、スカウトから見れば懸念されるようなものであったのだろうか?


2位 大竹風雅(東北福祉大→ソフトバンク5位指名)
失礼ながらこの選手については全く知らなかった。東北福祉大では公式戦では登板は2試合のみであり、昨年の冬には右肘を手術までしているという。185cm90kgという体格でMax150㌔、投手としての経験もまだ少ないということで、ソフトバンクが指名したからにはポテンシャルが高いのだろう。昨年も履正社では外野手だった田上を、ソフトバンクはドラフト5位で投手として指名しており、それに非常に被るところもある。それでも他チームなら指名していたか…という選手だ。東北福祉大では同期に右のエース椋木(オリックス1位)と左のエース三浦がいるが、ソフトバンクはこの三浦を育成4位で指名しており、まさに東北福祉大での実績と指名順位が逆転したような複雑な状況にもなっている。


1位 吉川 雄大(JFE西日本→楽天7位)
吉川は広陵ではエースとして、楽天ではチームメイトとなる太田とバッテリーを組んで甲子園に出場したものの、東海大では投手層の厚いチームにおいて登板は少なく、JFE西日本でも今年は日本選手権で登板なし、都市対抗予選でも登板無しということで決して主力といえる選手でもなかった。タイプとしても小柄だが非常に勢いのあるボールをコントロールよく投げる投手で、ポテンシャルを評価されてというような形でもなく、また解禁年は去年であって、タイミング的にもしっくりこない。ドラフト候補を紹介する媒体でも、残念ながら吉川を候補にいれたものはなかったであろう。ただ楽天の指名ということで、ちょうど高梨と被るものがある。高梨も当時はENEOSで全く公式戦での登板がなく、クビ寸前だったところを楽天が指名し、正直理由がさっぱり分からなかったが、そこから球界を代表する左のリリーフ投手に成長した。今回の吉川指名の理由も正直よく分からないが、楽天のスカウト陣は高梨と同じ何かを吉川に見たのかもしれない。
20210629JFE西日本 吉川



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ドラフト1位・2位の24名を予想してみる

ということで、明日行われるドラフト会議の上位24人を予想してみたいと思います。

【ドラフト1位12人】
廣畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)投手
山田龍聖(JR東日本)投手
隅田知一郎(西日本工業大)投手
佐藤隼輔(筑波大)投手
椋木蓮(東北福祉大)投手
山下輝(法政大)投手
古賀悠斗(中央大)捕手
正木智也(慶応大)外野手
風間球打(明桜)投手
小園健太(市和歌山)投手
達孝太(天理)投手
森木大智(高知)投手


20201114三菱自動車倉敷オーシャンズ 廣畑2
社会人No1右腕との呼び声が高い廣畑(三菱自動車倉敷オーシャンズ)

20210411筑波大 佐藤隼
ストレートの質は一級品の本格派左腕佐藤(筑波大)

20210323市和歌山 小園
高校生の中でも完成度はNo1の右腕小園(市和歌山)



【ドラフト2位12人】
森翔平(三菱重工WEST)投手
中川智裕(セガサミー)内野手
赤星優志(日本大)投手
鈴木勇斗(創価大)投手
黒原拓未(関西学院大)投手
野口智哉(関西大)内野手
丸山和郁(明治大)外野手
ブライト健太(上武大)外野手
木村大成(北海)投手
畔柳亨丞(中京大中京)投手
有菌直輝(千葉学芸)内野手
坂口樂(岐阜第一)内野手


20210913日本大 赤星2
直前のリーグ戦でのアピールに成功している赤星(日本大)

20201011明治大 丸山
上位候補の中ではNo1のスピードをもつ丸山(明治大)

20210319北海 木村
150㌔を誇る高校生No1サウスポー木村(北海)



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東京成徳大✕関東一【秋季東京大会】

10/3 秋季東京大会1回戦
東京成徳大✕関東一 @スリーポンドスタジアム八王子

試合経過

関東一の秋季東京大会の初戦。先発のマウンドに上がったのはエースナンバーの成井ではなく、背番号8を付けた井坪。井坪は1年秋に4番レフトを務めていたものの、(事情は分からないが)2年春・2年夏はベンチ外であったが、この2年秋はなんと1番ピッチャーでスタメン出場。関東一に入ってからは投手としての話は聞いていなかったものの、八王子シニアではエースとしてジャイアンツカップ4強という実績もある選手だ。

井坪は左肩を高く上げて角度をつけたフォームで、また強靭な下半身でしっかりとタメをつくることができており、これによりストレートも角度があり力強い球となっていた。スライダーにもキレがあり、さらには初回四球で出してしまったランナーを素早い牽制で刺すなどマウンド裁きも見事な投手であった。東京成徳大打線に対して、1巡目で出したランナーはこの四球の1人のみであり、5番須藤から3者連続三振を奪うなどして、3回までノーヒットピッチングをみせる。
20211003関東一 井坪
関東一の先発マウンドに上がった井坪

対する東京成徳大の先発はエースの須藤。180㎝80㎏というがっちりした体格と、テイクバックがコンパクトで隠れるようなフォームはまるで竹田(現在の明治大のエース)を彷彿とされるものがあり、ストレートは力があり、また打者の手元で鋭く落ちるスライダー(?)も一級品であり、こちらも関東一打線を3回までノーヒットに抑える素晴らしい立ち上がりをみせる。
20211003東京成徳大 須藤2
3回まで関東一打線を無安打に抑えた東京成徳大の先発須藤

4回表、東京成徳大は1番西が四球で出塁すると、続く2番羽吹は送らずに強硬策に出ると、これが的中して三遊間を破るチーム初安打となり、無死1・2塁というチャンスを作る。ただここで立ちはだかったのが関東一のキャッチャー富岡であり、まず3番芦川がバントを引いて見逃すと、素早い2塁牽制で西を刺すと、続いて1塁ランナーの羽吹の2盗も刺して、一気に2死ランナー無しと東京成徳大のチャンスを、その強肩であっという間に紡いで見せた。

関東一も4回裏には2番柳瀬がセンター前ヒットを放ち、盗塁を決めて無死2塁というチャンスを作るも、3番須藤の当たりはピッチャーライナーで柳瀬が戻れず、こちらもチャンスがあっという間に2死ランナー無し。5回裏にも富岡の四球と三浦のヒットで1死1・2塁のチャンスを作るも、衛藤・西川の1年生コンビに1本が出ずに無得点。試合は両投手の好投により0-0のまま前半戦を終了する。

関東一は6回裏、1死から2番柳瀬が四球で3打席連続となる出塁を果たすと、3番須藤の初球にこの試合3個目の盗塁を決める。すると須藤はカウント2B2Sから、1塁線を破るタイムリーを放ち、関東一がついに先制。須藤は盗塁を決めて、関東一はまた1死2塁というチャンスを作るも、ここは東京成徳大の須藤が、4番増尾・5番秋葉という関東一の中軸を打ち取り、この回を最少失点で切り抜ける。
20211003関東一 須藤
先制タイムリーを放った関東一の3番須藤

関東一は7回から継投に入り、背番号10を付けた左腕の桝川がマウンドに上がる。桝川はキレのあるボールをコントロールよく投げこむことのできる左腕で、テンポよく7・8回の東京成徳大の攻撃を3人ずつで片づける好リリーフをみせる。
20211003関東一 桝川
7回から関東一の2番手として登板し好リリーフをみせた桝川

すると関東一は8回裏、マウンドを降りて打撃に専念できたのか1番井坪が強烈な打球で左中間を破る2ベースを放ち出塁すると、2番柳瀬がレフト前にタイムリーヒットを放ち貴重な追加点をあげる。桝川は9回表も東京成徳大の攻撃を無得点に抑えて、関東一が井坪→桝川の完封リレーで勝利し、初戦突破を決めた。


20211003東京成徳大✕関東一
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


東京成徳大はそこまで高校野球で名の知れたチームではないが、実は今年は春は東海大菅生に0-2、夏は二松学舎大付に0-3と、甲子園出場校に対して、大善戦していた。ただその立役者は前チームのエース左腕の岩井であり、岩井が抜けた新チームはどうなるのかと思っていたが、これはまた須藤という素晴らしいエースが誕生した。須藤は中学野球の名門である修徳中出身ということで少しは期待していたが、関東一相手に8回途中2失点という好投であり、その期待以上の投球をみせてくれたといえる。
20211003東京成徳大 須藤1
関東一相手に接戦を演じた東京成徳大の最大の立役者の須藤

結果的には点差は2のみでの勝利となってしまった関東一だが、そのディフェンス面は非常に安定しており、点を取られる気配もなく、点差以上の実力差は見せつけた試合であった。前チームは3年生中心であり、ずっとベンチしたのは主将の秋葉のみで、昨秋はレギュラー格であった三浦・井坪は春・夏とベンチを外れ、投手としても成井はベンチ入りしていたものの、絶対的エース市川がいたために重要な試合での登板はないなど、経験の少ないチームであるが、毎年のことながら秋に完成度の高いチームを作ってくる米澤監督はさすがである。1つ気になるとすればエース成井の状態だ。この試合は上述のように接戦になったものの、成井がブルペンに行くことなかった。井坪→桝川が良かったので登板はなくても、準備すらしないというのはいささか疑問であり、ケガなどしていないかが心配だ。なにせ2回戦の相手は早稲田実業ということで、関東一は翌週にもフルスロットで戦う必要があるからだ。
20211003関東一 秋葉
前チームからずっとベンチ入りを果たしている関東一の主将秋葉


Pickup Player
柳瀬冬和 関東一2年 外野手
~今年も出てきた関東一の超俊足外野手~
関東一の2番打者の柳瀬は、全打席で出塁して、その俊足で3盗塁を決めるなど大活躍であった。

柳瀬は関東一では、この秋に背番号17で初のベンチ入り。背番号2桁であるが、この試合では本職はセンターの井坪が先発のマウンドに上がったこともあり、2番センターでスタメン出場を果たした。

まず柳瀬に関して驚いたのは、名簿では右投右打となっているものの、左打席に立ったことだ。関東一ではこのようなケースはよく見られるものの、割と直前に左打者に転向(orスイッチに転向)して、この大会に臨んでいるということになる。この転向直後ということに加えて、166㎝60㎏と体格としては小柄な選手なので、東京成徳大の内野陣はあらかじめかなり前に守り、柳瀬がセーフティバントの構えをした際には、ファースト・サードがほぼ打者の目の前までダッシュしてきていた。

柳瀬の1打席目はいきなりカウント3Bとなるものの、そこから2球連続でストライクが来てフルカウントとなるものの、ファールで粘ると最後は四球を選らんで出塁。続く3番須藤の2球目に盗塁を決めて、さらに須藤のファーストファールフライでタッチアップをして3塁へ進む好走塁をみせるも、あと1本が出ずに先制のホームインとはならなかった。2打席目にはセーフティを警戒する東京成徳大の守備陣をあざ笑うかのように、初球を見事センター前に弾き返して出塁。3番須藤の初球には盗塁を決めてみせた。

そんな柳瀬の存在を、東京成徳大の須藤も意識してか第3打席には1球もストライクが入らずに出塁すると、続く打者の初球に盗塁成功。もう完全なまでにマークされている中で初球に成功させるだから、走力が圧倒的としか言いようがない。そして3度目の正直とばかりに、須藤のタイムリーで先制のホームを踏んだ。1死2塁で迎えた第4打席では、レフトにうまく流し打って貴重な追加点となるタイムリー。ここで出塁した柳瀬に対して、東京成徳大は2球連続でウェストするなどさらなる警戒をしたために、4個目の盗塁とはならなかったものの、結局この試合では4打席全てで出塁して、2打数2安打3盗塁1打点という活躍で、攻撃面ではチーム勝利の最大の立役者となった。

関東一には、オコエ(楽天)・齋藤(中央大)・大久保(新潟医療福祉大)と、超がつくほどの俊足のセンターが誕生して、その時のチームで活躍してきた。今年は三浦もいるものの、今日の圧倒的な盗塁能力をみると、柳瀬にこれを託したいところである。左打席も始めたばかりのようで、今度の実戦経験や冬場の振り込みなどを経れば、まだまだ向上の余地もあり、非常に楽しみな選手である。

20211003関東一 柳瀬2

20211003関東一 柳瀬1
全打席で出塁し、その俊足で3盗塁の活躍をみせた関東一の柳瀬


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日本通運×JFE東日本【都市対抗南関東予選】

10/2 都市対抗南関東予選 第1代表決定戦
日本通運×JFE東日本 @ZOZOマリンスタジアム

試合経過

都市対抗南関東予選の第1代表決定戦は、Hondaが予選免除ということもあり埼玉予選1位から順当に勝ち上がってきた日本通運と、千葉予選でハナマウイに敗れてまさか3位からテイエステック・かずさマジックを破って這い上がってきたJFE東日本の対戦。日本通運はエース相馬でなく期待の2年目右腕の前田、JFE東日本はルーキーながらエース格としての役割と果たしている左腕の山田啓の先発で試合が始まった。
20211002JFE東日本 山田啓
JFE東日本の先発のルーキー山田啓

JFE東日本の先発の山田啓は1・2回と日通の攻撃を3人ずつで抑える素晴らしい立ち上がりをみせた。しかし3回表に日通は8番手銭・9番浦部と下位打線の連打でチャンスを作ると、1番添田がストレートを引っ張りライト線へタイムリー2ベースを放ち先制。さらに2番大谷の放ったフライは、前進守備のセカンドが下がるも取れず、タイムリーヒットとなって2点目。3番稲垣のファーストゴロは、ファースト岡田がホームへ送球も添田がうまくタッチをかいくぐって生還して3点目をあげる。さらに4番北川にもヒットが生まれて満塁となったところで、JFE東日本はここで山田啓→在原に投手を交代すると、この在原が森松をサードフライ、楠本を三振に仕留める素晴らしい火消しをみせた。
20211002JFE東日本 在原
見事1死満塁のピンチの火消しに成功したJFE東日本の2番手在原

そのまま4回も続投した在原であったが、日通は先頭の木南に四球を与えてしまうと、手銭はバント失敗で追い込まれたからうまくレフト前に運び、浦部が送って1死2・3塁というチャンスを作ると、JFE東日本は3番手として本田をマウンドに送る。しかし止まらない日通打線は1番添田がセンターへ犠牲フライを放つと、2番大谷は左中間にタイムリー3ベース。さらに稲垣の四球で2死1・3塁とすると、4番北川は右中間に2点タイムリー2ベースを放ち、この回4点を追加して、リードを7-0と広げる。
20211002日本通運 大谷
左中間にタイムリー3ベースを放った日本通運の大谷

後半になっても試合は日通のペースで、6回には浦部のヒットと四球で2死1・2塁のチャンスを作ると4番北川が今度は左中間にタイムリー2ベースを放ち追加点。9回にも北川のこの試合4本目のヒットから満塁のチャンスを作ると、浦部が押し出しの四球を選び、9得点目をあげる。
20211002日本通運 北川
タイムリー2ベース2本を含む4安打の活躍をみせた日本通運の4番北川

日本通運の先発の前田は恵まれた体格から投げ下ろすMax147㌔のストレートに加えて、カットボールやSFFといった130㌔後半のストレートと球速差の少ない変化球を軸にした投球を展開。初回から毎回のようにランナーを背負うものの、落ち着いたでJFE東日本打線に得点を許さない。さらに中盤以降は味方の大量援護もあって投げやすくなったのか、JFE東日本打線にヒットは1本しか許さず、奪三振も増えてきて、結局8回まで投げて無失点と、先発起用に応えてみせた。
20211002日本通運 前田
先発起用に応えて8回無失点の好投をみせた日本通運の前田

最終回のマウンドにはこちらも期待の2年目右腕である柴田があがり、Max152㌔のストレートを軸に、2番から始まるというJFE東日本の好打順の攻撃を3人で抑えてゲームセット。投打に渡ってJFE東日本を圧倒した日本通運が9-0で勝利して、南関東第1代表として都市対抗出場を決めた。
20211002日本通運ナイン
都市対抗本戦出場を決めマウンド付近に集まる日本通運ナイン


20211002日本通運×JFE東日本
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

この試合の日通打線の得点パターンは、3回・4回の大量得点もそうであったように、下位打線でチャンスを作って、上位に回して得点というものであった。その立役者となったのが、8番手銭・9浦部のコンビで2人とも2安打3出塁でバントも決めて2得点をマークしている。そもそも手銭は1・2番、浦部は中軸を打つようなバッターであり、この2人が下位打線を打っている時点でに日通打線の層の厚さを感じた。
20211002日本通運 手銭
下位打線でのチャンスメイクの立役者となった日本通運の8番手銭

またこの試合で活躍が目立ったのは、この秋ドラフト解禁を迎える日本通運の2年目トリオである。投手陣でいえば、先発の前田、最終回を締めた柴田はともに2年目であり、強力JFE東日本打線相手を見事に完封。2人ともそのポテンシャルは高いものの、実績がまだ…という選手だったが、ここで活躍したことで指名の可能性は高くなったといえるだろう。上位リードオフマンを務める2年目の添田も打っては先制タイムリーを含む2打点、ショートとしても三遊間のゴロを体制を崩しながらも流れるように処理して2塁封殺するなど守備力の高さも際立っていた。今年の小深田(楽天)・中野(阪神)枠の社会人内野手として筆頭であるともいえる。その反面社会人野球の名門の日本通運だけに、指名順位やタイミングなどによって3人ともプロに行く実力はありがなら残留という可能性も十分にあるだろう。
20211002日本通運 添田
今年がドラフト解禁となる日本通運のショート添田

JFE東日本にとっては、投打において完敗であり、ショックな敗戦であったことだろう。特に持ち前の打線は、1番峯本こそ2安打+センター手銭がフェンスに激突しながらファインプレーのセンターフライと当たっていたものの、その他は単打4本のみと当たりがなく、日本通運のエース相馬でなく、若手投手2人に完封されてしまったのは痛い。ただ都市対抗出場に向けては、この後に第2代表決定戦→第3代表決定戦と続く。この2戦のうちどちらかに勝利すれば、都市対抗本戦出場も可能なわけで、焦らずにやって欲しいところだ。


Pickup Player
柴田大地 日本通運 投手
~期待の右腕は本物のクローザーに~
最終回を柴田が3人できっちり締めて、都市対抗本戦でもクローザーの座へ大きく前進した。

柴田は日体荏原高のときから、140㌔を越えるストレートを投げる本格派右腕として注目されていたが、ケガもあって伸び悩んだ。3年夏(背番号10)に初戦で紅葉川を完封するも、4回戦では吉村(東芝)擁する日大豊山に敗れてしまい、チームとしても大きな実績もなかった。日体大に進学するも、今度は肘を痛めてしまい、また1学年上には松本(西武)と東妻(ロッテ)、同期には吉田(ヤクルト)、1個下には森(中日)という強力投手陣が形成されていたこともあり、リーグ戦での登板はなかった。ただ日本通運はそのポテンシャルにほれ込み、4年春に肘を完治させるためにトミージョン手術を受けたにも関わらず、柴田を採用した。

よって日本通運でも1年目はリハビリに当てることとなったが、今年の春先からオープン戦でも登板するようになり、日通ボールパークでは凄い速い投手がいると話題になっていた。実際に8月には自己最速の156㌔をマークし、公式戦での実績はほぼ皆無なのに、社会人2年目となる今年はドラフト候補として話題になっていた。

この試合では9回のマウンドに上がった柴田は、まずいきなり初球149㌔で中澤から空振りを取る。この試合で柴田が投じたのはストレートとSFFのみであり、中澤はストレートで追い込むと、最後は142㌔のSFF(ちなみにこれがこの試合で柴田の投じた1番遅い球)でセカンドゴロに仕留めた。3番内藤に対しては初球に、この試合最速となる152㌔をマーク。柴田のこの試合のストレートは147㌔~152㌔であり、平均も150㌔をオーバーするなど、スピードボールを安定して投げられるのも魅力だ。JFE東日本の中軸にも関わらず、内藤もストレートには振り遅れていて、結果はサードフライ。最後4番平山も151㌔のストレートで押してライトフライに打ち取り、この回を3人で締めて、チームに勝利をもたらせた。

春先のオープン戦で見ていた柴田はとにかく速いのだが、コントロールにバラツキがあり、四球などを与えてスムーズに試合を締めるというケースは(自分は)見られなかった。ただこの試合では内藤に対して、3ボールとなってからも四球を与えずに打ち取り、140㌔中盤をマークしたSFFも安定してストライクが取れていたのは良かった。この試合は9点差がついていた場面であったが、この調子でいけば、本戦の緊迫した場面でもクローザー柴田が見られそうな予感だ。

またこれだけ成長が見られると、来月のドラフトを前に放っておけないのがプロのスカウト陣だ。もう十分に指名する価値のある選手であり、あとは柴田自身が今年プロに行くという選択をするか次第。トミージョン手術をしても獲ってくれた日本通運に対してもう少し恩を返してから…という思いもあるだろうし、来年もプロに行かずに残留という可能性も大いにあるだろう。いずれにせよ来月のドラフト会議での動向が楽しみな選手の1人であることは間違いない。

20211002日本通運 柴田
Max152㌔のストレートを武器に最終回を3人で締めた日本通運のクローザー柴田


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