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エイジェック✕NTT西日本【都市対抗野球大会】

11/28 都市対抗野球大会1回戦
エイジェック✕NTT西日本 @東京ドーム

試合経過

都市対抗の開幕2試合目は、都市対抗初出場となったエイジェックと、7年連続だが今年は近畿第5代表とギリギリでの出場となったNTT西日本の試合となった。

エイジェックは初回、1番日置が四球で出塁すると。2・3番は連続三振に倒れるものの、その間に日置が盗塁を決めると、4番生田目のフラフラと上がった打球はライトの前にポテンと落ちて、日置がホームイン。日置(SUBARU)・生田目(日本製鉄鹿島)と完全に補強選手の力とはなってしまったが、エイジェックが都市対抗初得点をあげる。
20211128エイジェック 日置
先制点の起点となったエイジェックの1番日置

NTT西日本は1回裏、1死から都市対抗初打席となる2番ルーキー平良が豪快に引っ張ってレフト線への2ベースで出塁。さらに3番酒井も1・2塁間を破り、1死1・3塁とチャンスを広げて、4番野村を迎える。エイジェックの先発の林は、野村に対してスライダー2球連続空振りで追い込むも、そこから野村は5球連続ファールを打つなどして粘るも、最後はフルカウントから低めのスライダーで空振り三振。続く5番濱田からも三振を奪い、林が初回のピンチを切り抜けた。

林はテイクバックを大きくとったフォームから、Max148㌔の力のストレートと、打者の手元で鋭く曲がる130㌔前後のスライダーというピッチング。横浜隼人→関東学院大とその球の力は評価されながらも、コントロールを乱しがちなところがあったが、この試合では別人のように安定した投球をみせた。正直エイジェックはどらいかというと安定感のあるエース金城が先発かと思ったが、この林の予想外の投球の前に、NTT西日本打線は得点を奪えずに試合が進んでいった。
20211128エイジェック 林
崩れることなく好投をみせたエイジェック先発の林

初回に不運な形で先制点を奪われてしまったNTT西日本のエース濱崎だが、持ち前のコントロールは抜群であり、Max143㌔のストレートにスライダー・カットボール・フォークなどを投じて、2回以降はエイジェック打線を無得点に抑えていく。ただ4回・5回と連続してピンチを招くと、6回にも楢原に2ベースを浴びて2・3塁とされてしまうが、最後はこの試合2安打と当たっていた岡島をセカンドフライに打ち取る。ただエイジェック打線があってきた感もあり、濱崎は6回で降板となる。
20211128NTT西日本 濱崎
6回1失点の好投をみせたNTT西日本のエース濱崎

終盤両チームとも継投に入り、NTT西日本は7回から補強の西川(日本新薬)がマウンドに上がり、2回をパーフェクトピッチング。対するエイジェックも8回からは金城が登板し、三振を2個奪うなどしてこのイニングを抑え、試合はエイジェックが1-0とリードしたまま最終回に突入すると、NTT西日本は1点ビハインドではあったものの、抑えのベテラン吉元が登板し、エイジェック打線を2奪三振の3者凡退に抑えて、最後の攻撃に移ることとなった。
20211128NTT西日本 西川
2回パーフェクトリリーフをみせた補強の西川

9回裏エイジェックは金城がそのままマウンドに上がるも、NTT西日本は先頭の辻本がセンター前に弾き返して出塁。9番石山のバントは上がってしまい、金城はダイビングキャッチを試みるも、これがわずかに及ばずオールセーフとなってしまい、無死1・2塁とNTT西日本が同点はおろか逆転のチャンスを作る。当然1番酒井もバントの構えをするも、空振りをし、ランナーが飛び出してしまうと、途中からエイジェックのマスクを被っていた大川が刺して、都市対抗初勝利に向けて流れを呼び戻す。

それでも仕切り直しとなった酒井がライト前ヒットを放ち再び1・2塁となったところで、エイジェックは金城からリリーフエースの竹内に投手をスイッチする。ただ竹内がこの場面でまさかのボークをとられてしまい2・3塁となると、NTT西日本は2番平良がレフト前にタイムリーを放ち土壇場で同点に追いつく。

なおも1死1・3塁という場面でエイジェックはプロ注目の3番藤井を申告敬遠。ただ4番に控えるのは既にプロ入りを決めた4番野村(ソフトバンクD4位)であり、この敬遠に燃えないはずはない。野村は初球のスライダーを捉えると、打球は三遊間を抜けるサヨナラタイムリー。NTT西日本が2-1と逆転サヨナラ勝ちを収め、2回戦進出を果たした。
20211128NTT西日本 野村1
サヨナラタイムリーを放った野村


20211128エイジェック✕NTT西日本
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

都市対抗初出場初勝利まであと1歩のところまで迫ったエイジェックの戦いぶりも見事であった。その最大の立役者は先発した林であり、結果的には7回無失点の好投。この試合の安定した投球が続けば、来年はエイジェック初のプロ野球選手輩出も現実味を帯びてくる。金城・竹内と本来信頼のおいている2人の右腕が、最終回にバタバタしてしまったのは、やはり初の都市対抗といったどころであろうか?それでもトータルで2失点というのは投手陣としては上出来であり、今後は補強選手を3人もスタメンで起用したのに1得点(それもポテンヒットのタイムリー)に抑えられてしまった打線の強化が課題となってくるだろう。

NTT西日本は、試合を通してみれば、さすがという安定した戦いぶりであり、これがエイジェックとの経験の差であろう。投手陣は10年目のエース濱崎に、13年目の抑えの吉元と経験は豊富であり、これに補強で西川が加わって2回パーフェクトリリーフと心強さが増した。打線もルーキー平良から、ベテランの中村・長田といったところまで年代的にも幅広く構成されており、安定したベテランの力に、昨年は藤井が若獅子賞を受賞して、今年も平良が同点タイムリーを含む2安打の活躍と若い力が毎年加わってチームを構成しているのでバランスがよく安定しているといえる。

Pickup Player
野村勇 NTT西日本 ショート
~敬遠に燃えた4番のサヨナラタイムリー~
ソフトバンクからドラフト4位指名を受けたNTT西日本の4番野村が、最後は試合を決めた。

藤井学園寒川では1年秋から、3年夏には1番サードとして活躍。拓殖大に進学すると、1年秋からサードのレギュラーを掴み、東洋大の原(ヤクルト)からホームランを放つなど活躍。その後は外野も守り、3番を務めた4年春には打率.351、3本塁打という好成績を残すなど拓殖大の主力として活躍した。ちなみに拓殖大では弟の野村工とも揃ってスタメン出場を果たしており、今年鷺宮製作所に入社した野村工は東京ガスの補強選手にも選ばれ、都市対抗でも兄弟揃っての出場となる。

拓殖大卒業後に、NTT西日本に入社した野村はいきなりスポニチ大会で4番を務めるなど、1年目からレギュラーを獲得。1年目の都市対抗では不調や補強選手の影響もあって出場機会はなかったものの、秋には日本選手権でデビュー。昨年の都市対抗には7番セカンドとして3試合に出場し、今年は主に4番ショートを務めた。都市対抗予選では不調もあり一時は打球が落ちたものの、ドラフト会議でソフトバンクに4位指名されて臨んだ今大会では4番に復帰しスタメンに名を連ねた。

第1打席はいきなり1死1・3塁というチャンスで回ってきて、粘りを見せたものの、最後は林の低めのスライダーに空振り三振を喫してしまい、NTT西日本としては最大のチャンスを逃すこととなった。第2打席ではレフト前ヒットを放つも、これも捉えたという打球ではなく、3・4打席もショートゴロ→ライトフライと打ち取られてしまい、正直この試合の野村は当たっていないと思った。そんな経緯もあってか9回裏に同点に追いついた後の1・3塁のチャンスでは、エイジェックは(守りやすさも考慮して)3番の藤井を敬遠し、4番野村との勝負を選択した。4番ならここで燃えないはずはなく、竹内の初球のチェンジアップを打ちにいくと打球は三遊間を抜けるサヨナラタイムリーとなって、NTT西日本に勝利をもたらせた。

今年から挑戦しているショートの守備も無難にこなした野村。野村の最大の売りは遠投120㍍・50㍍5.8秒といった身体能力の高さで、プレーもどこか野性味がある。ソフトバンクからも守備と走力はすぐに通用すると評価され、内外野守れるユーティリティープレーヤーであるが、まずは二遊間で使うとのことだ。ソフトバンクの二遊間は今宮のケガなどもあり、固定できずにいて、今宮以外の候補はみんな俊足巧打の左バッター。右の強打者の野村はポジション・タイプとしても補強ポイントであり、2012年以来の山中以来という大卒→社会人野球経由の選手の指名に踏み切った理由も十分に分かる。高校・大学・社会人と全てのカテゴリーで1年目からレギュラーを奪取してきた野村の、プロの世界でも1年目からのレギュラー奪取に期待したい。

20211128NTT西日本 野村2

20211128NTT西日本 野村3
サヨナラタイムリ―を放ち、来年からはソフトバンクでの活躍が期待される野村



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2021年の神宮大会(高校の部)のベストナインを選んでみた



ピッチャー
前田悠伍 大阪桐蔭1年

敦賀気比戦では4回からリリーフ登板して、6回2安打10奪三振と完璧な投球でチームの逆転勝利を呼び込むと、九州国際大付戦では7回2失点完投、決勝の広陵戦でも最後に試合を締めた。1年生ながら本当に頼りになる投手で、大阪桐蔭のディフェンス面に安定感をもたらせた功績は大きい。
20211123大阪桐蔭 前田


キャッチャー
松尾汐恩 大阪桐蔭2年

大阪桐蔭で唯一の前チームからのレギュラーとして、攻守に渡ってチームを牽引。特に3番打者を務めた打撃では、3試合全てでマルチ安打をマークし、広陵との決勝戦では2本のホームランを含む4安打4打点の大活躍。捕手としての強肩と素早いフィールディングも含めて来年のドラフト上位候補との評価を得た。
20211125大阪桐蔭 松尾


ファースト
佐々木麟太郎 花巻東1年

今大会最注目であった体重117㎏を誇る大型スラッガーは、全国の舞台となった国学院久我山戦のファーストスイングでホームランを放つと、準決勝では高校通算49号となる同点3ランを含む3安打5打点。打率.600、2本塁打、9打点と評判通りの活躍をみせた。
20211123花巻東 佐々木


セカンド
星子天真 大阪桐蔭2年

初戦となった敦賀気比戦でタイムリーを放つと、九州国際大付では同点タイムリーに決勝タイムリーと3打点の活躍。決勝戦でもマルチ安打を放ち、今大会の打率は.500。抜群の守備力とキャプテンシーでもチームを牽引して、大阪桐蔭を初の神宮大会制覇に導いた。
20211121大阪桐蔭 星子


サード
伊藤櫂人 大阪桐蔭2年

敦賀気比戦では決勝タイムリー、続く九州国際大付ではとどめのソロホームランをレフトスタンドに叩きこみ、決勝戦でも2安打をマーク。大阪桐蔭の強打が売りの1番打者として、チャンスメイクだけでなく、自ら試合を決める働きをみせた。
20211125大阪桐蔭 伊藤


ショート
宮澤圭汰 花巻東2年

花巻東の核弾頭は、ヒットこそ2本のみに終わったものの、四死球を4個も選ぶなど出塁率が高く、またバントなども含めて打撃面での貢献度は高かった。守備でも華麗なグラブ裁きと、その強肩で難しい打球を処理する姿が目立った。
20211123花巻東 宮澤


外野
内海優太 広陵2年
初戦の明秀日立戦では、ライトスタンドに大会通算300号となるメモリアルアーチを放つと、花巻東戦でも2ベース2本を放ち、決勝の大阪桐蔭戦でもタイムリーと全試合で打点をあげる活躍。明秀日立のエース猪俣が「どこに投げても当てられる感覚があった。オーラがあった」と評したほどであった。
20211123広陵 内海


海老根優大 大阪桐蔭2年
U15日本代表でも4番を打つなど中学時代に怪物と言われたスラッガーは、高校初の全国の舞台の初打席(敦賀気比戦)では、打った瞬間にそれと分かる豪快な逆転の3ランホームラン。広陵との決勝戦でもタイムリーを含む3安打を放ち、大阪桐蔭の中軸としての役割をしっかり果たした。
20211121大阪桐蔭 海老根


大島諄士 九州国際大付2年
クラーク国際記念戦ではライトへタイムリーヒットを放つなど2安打を放ち、続く日大三島戦ではレフトスタンドへ決勝ホームラン。準決勝の大阪桐蔭戦ではノーヒットに終わったものの、九州国際大付の3番打者として高い打撃技術を見せつけた。
20211120九州国際大付 大島




以上です。異論は認めます。


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二松学舎大付×国学院久我山【秋季東京大会】

試合経過

勝てばセンバツ出場が確定する秋季東京大会決勝は、二松学舎大付×国学院久我山というカード。二松学舎大付はエースで主将の布施、国学院久我山は背番号19の渡邊と、ともに前日の準決勝と同じ先発ピッチャーで試合が始まった。

二松学舎は3回表、この回先頭の8番菊池がセンター前ヒットで出塁すると、9番布施は送れずに三振となるも菊池が盗塁を決めると、1番藤岡もヒットで続いてチャンス拡大。ここで2番柴田壮が1・2塁間を破るタイムリーを放ち二松学舎が先制する。続く4回表にも、この回から登板した国学院久我山の2番手松本慎から、先頭の瀬谷が四球で出塁すると、6番小林が右中間を破るタイムリー3ベースを放ち、リードを2点に広げる。
20211107二松学舎大付 柴田壮
先制タイムリーを放った柴田壮

二松学舎のエースで主将の布施は、ストレートは自己最速にあと1㌔と迫る136㌔をマークし、非常にコントロールよくボールを投げこんでくる。変化球はスライダー・カーブ・チェンジアップを投じていたが、中でも大きく落ちるように曲がるカーブ、決め球として空振りのとれていたチェンジアップはかなりレベルの高いボールであった。前日には日大三相手に5回で14得点をあげた好調国学院久我山打線に対して、毎回のようにランナーは許すものの、要所を締めて無失点で切り抜けていった。
20211107二松学舎大付 布施
国学院久我山を中盤まで無得点に抑えた二松学舎大付のエース布施

一方国学院久我山の2番手松本慎も登板直後の4回こそ失点してしまったものの、スライダー・カーブといった変化球も駆使して、二松学舎打線のタイミングをうまく外しながら抑えていき、試合は2-0と二松学舎がリードしたまま進み、次の1点がどちらに入るかが重要という展開で終盤に突入した。
20211107国学院久我山 松本慎
好投をみせた国学院久我山の2番手松本慎

8回表、二松学舎は1死から4番瀬谷が1塁線を破るヒットを放つと、快足を飛ばして3ベースとする。すると6番小林がこの試合3安打目となるレフト前タイムリーヒットを放ち、二松学舎が欲しかった追加点をあげ、完全に流れを引き寄せた。
20211107二松学舎大付 小林
この試合3安打目となるタイムリーを放つ小林

ただ国学院久我山も8回裏、先頭の4番成田がレフトフェンス直撃の2ベースを放つと、タッチアップで3塁へ進む。リードが3点に広がった二松学舎は当然前進守備を引かず、国学院久我山は6番吉川のサードゴロの間に初得点をあげる。東京準優勝でもセンバツ出場の可能性はあるが、決勝のスコアが完封負けだと印象が悪いので、そういう意味でもこれは貴重な1点だとこの時は思った。

そのまま二松学舎が3-1とリードしたまま、試合は9回裏の国学院久我山の攻撃を迎える。当然のことながら8回まで1失点のエース布施は続投し、国学院久我山は1死から松本慎のところで代打鈴木勇を送ると、この鈴木勇が左対左をものともせずに、レフトへヒットを放つ。すると1番齋藤は四球を選び、布施に対して3打数3安打と当たっていた2番木津は4安打目となるヒットを放ち、1死満塁というビックチャンスを作る。3番上田は初球から打っていき、いい打球ではあったものの、センター前方のライナーとなってランナー動けず。2死満塁となり、試合の行方は4番成田に託されることとなった。
20211107国学院久我山 鈴木勇
代打で登場して最終回のチャンスの起点となった鈴木勇

成田は布施の初球のカーブを捉えると、打球はライト後方に上がり、ライト親富祖が背走。フェンス際の打球を親富祖がキャッチしたかのようにも見えたが、実はダイレクトで1度親富祖のグラブに入った打球はファンブルして、それがフェンスに当たったものの、再び親富祖がダイレクトキャッチ。打球はインプレーとなり、2死なのでスタートを切っていた全ランナーが生還して、国学院久我山が4-3でサヨナラ勝ちを収めた。
20211107国学院久我山 優勝決定
サヨナラ勝ちでホーム付近に集める国学院久我山ナイン


20211107二松学舎大付×国学院久我山
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


まさに劇的な結末となった東京大会の決勝戦。最後の成田の打球は本当に紙一重であった。東京大会は準決勝から外審を含めた審判6人制となっており、最後の判定も外審判が行った。TVの映像や横からみれば確かにフェンスにボールが当たってことは分かるが、二松学舎の選手たちがアピールしたように、前から見ればキャッチしたようにも見える打球であり、6人制でなければ大惨事が起きていた可能性もあり、まさに審判冥利につきる。

国学院久我山はプロ注といえるような選手もおらず、今大会も優勝候補という見方は少なかったものの、夏に西東京準Vを経験したチームからのレギュラーである齋藤・上田・下川邊を中心に打線をよく繋がっており、準決勝で日大三から14得点、決勝での最終回の大逆転劇などは見事であった。あとは神宮大会、センバツで勝ちがっていくためにはやはり投手力が課題であろう。今大会は「結局国学院久我山のエースって誰だったの?」という状態で、よく言えば複数投手でよく繋いだが、裏を返せばエースと呼べるほどの力をもった投手がいないということだ。全国の強豪を破るためには投手のレベルアップが必要であり、右腕でいえばストレートには1番力があり、準々決勝までは投手陣の中心であった成田、左腕であれば180㎝80㎏という体格を誇る渡邊(この試合の先発)にポテンシャルが感じられるので、冬場にそれを開花させて欲しいものだ。
20211107国学院久我山 渡邊
左のエースとして期待したい渡邊

センバツ出場をあと1死のところで逃してしまった二松学舎大付であるが、そこまで悲観する必要はない。決勝戦はこれだけの接戦であったので、国学院久我山との力の差はほぼないと評価されるだろうし、エース布施を中心として守りがしっかりしており、実際の実力も申し分ない。東京2校目として、関東5校目(おそらく東海大相模)と比較されることになるが、ここのところは東京2校がずっと選ばれてしなかった事情や、昨年も最後の1枠が東海大相模であったという事情も考慮すれば、二松学舎大付が優勢である。


Pickup Player
成田陸 国学院久我山2年 ファースト
~波に乗れなかった4番が最後に大仕事~
ここまで波に乗れていなかった国学院久我山の4番が最後に走者一掃の逆転サヨナラタイムリー2ベースと大仕事をやってのけた。

成田は今大会背番号11としてベンチ入りをしており、投手としてもチーム最多の20イニングを投げている。また打力もあり、今大会では全試合に4番打者として出場しており、登板時以外はファーストを守っていた。ただチームとしては打線が好調な中で、成田は打率.200にとどまっており、5回までに14得点をあげた前日の準決勝でも2三振を含むノーヒットと当たりが出ていなかった。

それでも尾崎監督はこの決勝戦でも成田を引き続き4番ファーストで起用した。成田の魅力は、体格的にはそれほど大きくないものの、スイングスピードが非常に速いことで、この試合でも第1打席・第2打席ではレフト線に特大のファールをはなっており、1発が期待できる選手だと思ってみていた。ただ1打席目は1塁が空いていたこともあり最終的には歩かされてしまうと、2・3打席目は最後は布施の前に完全に凡退してしまい、ついに今大会の打率は1割台に突入していた。ただ8回の先頭打者として迎えた大4打席ではストレートを捉えると、打球はフェンス際でジャンプしたレフトのグラブのわずか上、もう少しでスタンドインというレフトオーバーの2ベースとなり、国学院久我山の初得点のホームを踏んだ。

そして最大の見せ場となったのは、2点ビハインドの9回裏2死満塁というこれ以上ないという場面で回っきた最終打席。初球から布施の甘くはいったカーブを打ちに行くと、打球は逆方向に大きく弧を描き、ライトがバックするも上述のようにグラブからこぼれたボールがフェンスに当たって、結果的にはライトオーバーの走者一掃のサヨナラ逆転タイムリー2ベース。4番が最後の最後で大仕事を果たし、チームを東京大会制覇、さらにはセンバツ出場に導いた。

どちらかというと巧打者の多い国学院久我山打線においては、成田のように1発が期待できる存在がいるのは貴重である。あとはパンチ力はあるので、どこまで確率をあげていけるかということだろうか?また別途上述したように、準決勝・決勝では登板はなかったものの、エースとしても期待したい選手であり、春には投打の中心として甲子園のグランドで躍動して欲しいものだ。

20211107国学院久我山 成田
逆転サヨナラタイムリーを放つ国学院久我山の4番成田


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社会人野球のエース級が独立リーグへ

ルートインBCリーグのドラフト会議での指名選手が発表された。
ルートインBCリーグ 指名選手一覧


その中で1番の驚きであったのが、そこに群馬ダイヤモンドペガサスの選手として平川裕太(鷺宮製作所)の名前があったことだ。

平川はMax151㌔のストレートをはじめとして、スライダー・カーブ・SFFといった多彩な変化球を投じ、投げっぷり・マウンド度胸もいい投手で、鷺宮製作所でもすでにプロからも注目される投手である。経歴をみても東海大浦安では3年春に千葉大会準Vを果たし、関東大会では東海大相模から完投勝利。国際武道大では3年春には抑えとして、4年春にはエースとして、2年連続でチームを全日本選手権準優勝に導いている。特に4年時は伊藤(阪神)を抑えてエースの座を掴み、千葉学生野球連盟でも春秋連続でMVPを受賞するなど圧倒的な成績を残した。大学の段階でプロ志望届を提出していたら、どこかの球団に指名されていただろう選手である。ただ鷺宮製作所では1年目より先発にリリーフにエース級の活躍をみせているものの、3年目を迎えた今年のドラフト会議でも指名はなかった。

20180612国際武道大 平川3
4年春に全日本選手権に国際武道大のエースとして臨んだ平川

20201128鷺宮製作所 平川
昨年の都市対抗で登板した平川(鷺宮製作所)


アマチュア野球においてはプロ入りする選手を除けば、甲子園に出るような強豪校→名門大学野球→社会人野球(企業チーム)という流れが王道である。一方(例外はいるものの)独立リーグでプレーする選手は、高校や大学で思うような成績が残せずに、名門大学や企業チームから声がかからなかったという選手が多い。待遇としても練習環境や給与面、さらには引退後のことなどを考慮すると、鷺宮製作所のような企業チームの方がはるかに恵まれている。また企業チームは大卒で入社する選手が多く、数年プレーすれば年齢的にも20中盤に差し掛かるという事情もあって、企業チーム→独立リーグという選手は極めてすくない。


ただ独立リーグが社会人野球(企業チーム)に比べて優れているところとしては、ドラフト会議で指名されやすいということだ。これまでに育成選手として、企業チームの選手が指名されたことはないし、その他にも1チームあたりの人数制限があったり、指名順位に縛りがあったりと暗黙のルールがあるようで、企業チームの選手は指名がしづらい。それに対して独立リーグは、もともとプロ野球の養成機関的な位置づけも大きいので、育成契約も含めて指名はしやすい。ただトータルで考えれば上記の待遇面に加えて、都市対抗などのトップレベルの大会でいえば社会人野球の方がレベルは高く、そこで活躍することの方がスカウトの評価は上がると思われる。


それでも企業チーム→独立リーグと進路を選択した選手はいる。
坂本一将(セガサミー→石川ミリオンスターズ→オリックス)
喜多亮太(セガサミー→石川ミリオンスターズ)
川端晃希(JFE東日本→徳島インディコソックス→エイジェック)
宝楽健吾(セガサミー→香川オリーブガイナーズ)
アドゥワ大(バイタルネット→石川ミリオンスターズ)
望月涼太(東芝→香川オリーブガイナーズ)
長南有航(かずさマジック→栃木ゴールデンブレーブス)
石井照 (エイジェック→神奈川フューチャードリームス)


ただ彼らに共通するのは、所属していたチームではいわゆる主力というような活躍はできていなかったということだ。それに対して、平川はチームのエース級の投手であり、このような選手が独立リーグに行くことは、おそらく初めてでないかと思われる。


それでも平川が独立リーグへ行く意図としては、やはり上述のようにプロ入りする可能性を少しでも高くしたいということだろう。とりわけ社会人野球の選手は大卒なら入社から2年目からドラフトが解禁されるが、平川は3年目の今年も指名がなかった。実力以上の壁として、来年社会人野球の4年目となると年齢的なところもあり、指名がどんどん難しくなっていく。


おそらく来年平川は独立リーグで、無双に近い成績を残すだろう。それをスカウト陣がどう評価して、来年のドラフト会議での指名はあるのか?前代未聞ともいえる社会人野球のエース級投手の、独立リーグ挑戦がどのような結末を迎えるのか非常に楽しみである。



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国学院久我山✕日大三【秋季東京大会】

11/6 秋季東京大会準決勝
国学院久我山✕日大三 @神宮球場

試合経過

優勝すればセンバツ出場が決まる秋季東京大会準決勝は、国学院久我山✕日大三という西東京勢どうしの対決。今年の夏の西東京大会でもこの2チームは対戦しており、そのときは国学院久我山が勝利しております。

1回表、国学院久我山は1番齊藤が1・2塁間を破るヒットで出塁すると、日大三のエース矢後は立ち上がりストレートでストライクが取れず2番木津は四球で、3番上田が送って1死2・3塁のチャンスを作る。矢後はここで変化球中心の投球に切り替え、4番成田からはスライダー3球で三振を奪い、5番下川邊に対しても変化球を4球続けるも三遊間を破られてしまい、齋藤・木津が生還して国学院久我山が2点を先制する。

国学院久我山の先発の背番号19の左腕渡邊も立ち上がりはコントロールが安定せず、先頭の大川にストレートの四球を与えてしまうと、自らのバント処理の送球が暴投となり、さらにワイルドピッチも絡んで無死2・3塁のピンチを招いてしまう。日大三は3番冨塚の犠牲フライで1点をあげるも、4番浅倉の打球はサード正面のライナーになってしまうなどして、初回は1点止まりとなってしまう。

2回表、国学院久我山は先頭の大野が死球で出塁すると、8番橋本の高く跳ねたピッチャーゴロは打球が太陽と被って矢後が捕球できずに内野安打となり、渡邊が送って1死2・3塁のチャンスを作る。すると1番齊藤はセカンド強襲のタイムリー、2番木津はスクイズを決めて、3番上田も二遊間を破るタイムリーを放ち3点を追加。日大三のエース矢後をこの回でKOする。
20211106日大三 矢後
まさかの2回KOとなってしまった日大三のエース矢後

2回途中から登板した日大三の2番手の安田は、2回のピンチを凌ぎ、3回も国学院久我山の攻撃を3人で抑える。ただ4回に先頭打者のピッチャー渡邊に四球を与えてしまったのが痛く、これでリズムを崩してしまったようで、1番齊藤に早くも猛打賞となるヒットを浴びてチャンスを広げられると、2番木津にはライト線に2点タイムリーを浴びてしまい、さらに3番上田の打球もショート強襲のタイムリーとなって、国学院久我山が4回にも3点を追加して8-1とリードを広げる。
20211106国学院久我山 木津
ライト線へ2点タイムリー2ベースを放つ国学院久我山の木津

渡邊は2回以降は、制球を極端に乱すこともなくなり、落ち着いてきた。180㎝80㎏という体格の左腕は、ストレートはMax134㌔をマークしており、110㌔台のスライダーとのコンビネーションで、日大三打線は当たりとしては悪くないものの、外野手の守備位置もよくて正面をついてしまう打球も多く、渡邊からヒットが出ないという状態が続いていた。
20211106国学院久我山 渡邊
好投をみせた国学院久我山の先発渡邊

しかし4回裏、やっと飛び出したチーム初ヒットは、4番浅倉のライトスタンド中段にまで飛ぶホームランを放つ。さらに5番金澤はサードゴロも俊足を飛ばして内野安打として、反撃ムードが高まる。ただその金澤が左腕渡邊に牽制で刺されてしまい、そのムードも下がり、結局反撃は1点のみとなってしまう。
20211106日大三 浅倉
ホームランを放った日大三の4番浅倉

すると5回表、先頭の大野が四球で出塁して、バントと内野安打で1死1・3塁のチャンスを作ると、1番齊藤がこの試合4安打目となる左中間への2点タイムリー3ベースを放つ。齋藤はサードエラーで生還して、さらにランナーを溜めた国学院久我山は5番下川邊がレフト線に2点タイムリー2ベース。日大三は安田→河村に投手をスイッチするも、6番吉川がセンター前にタイムリーを放ち、結局この回打者一巡の猛攻で6点を追加し、スコアを14ー2とする。
20211106国学院久我山 下川邊
レフト線へ2点タイムリー2ベースを放つ国学院久我山の下川邊

3点を取らないとコールドとなってしまう日大三の5回裏の攻撃は、2個の死球と大川のヒットで満塁のチャンスを作り、3番冨塚がこの試合2本目の犠牲フライを放つ。さらに前の打席でホームランを放っている4番浅倉という場面であったが、最後は渡邊が全球スライダーで浅倉から三振を奪ってゲームセット。打線が活発だった国学院久我山が14ー3(5回コールド)で日大三を下し、決勝進出を決めた。


20211106国学院久我山✕日大三
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


夏の西東京大会準決勝の再戦となった試合は、国学院久我山が日大三を見事なまでに返り討ちにした。その西東京大会準Vのチームから、セカンド上田・ショート下川邊・センター齋藤と、センターラインが残って守備は安定しており、またこの3人は打撃面でも(3人合わせて)10安打9打点という活躍でチームを牽引した。前チームではエース高橋がほぼ1人で投げ抜いており、投手陣は不安要素であったが、この試合では背番号19の左腕渡邊が打線の大量援護もあって3失点完投。センバツ出場をかけた翌日の決勝に、今大会エース格としての働きをみせている成田(この試合は4番ファーストで出場)を温存できたのは非常に大きい。
20211106国学院久我山 上田
国学院久我山の前チームからのレギュラーでこの試合でも2本のタイムリーを放った上田

一方の日大三にしてみれば、5回コールドでの敗戦というのはショックだろう。その原因は間違いなく投手陣であり、チームの絶対的エースである矢後はストレートでストライクがとれずに2回で降板というのは大誤算では済まないほどの痛手であった。矢後以外の投手陣は、安田が1回戦で先発したものの、それ以外は全く登板がなく、安田も経験不足を露呈する形で4回には崩れてしまった。それでも小倉監督は安田を引っ張るしかなかったという点に、投手事情の苦しさが感じられた。さらに守備陣も足を引っ張ってしまい、記録上のエラーはサード冨塚のものだけだが、他にもセカンド強襲ヒットになっている当たりなど、日大三ほどのレベルであれば捕って欲しいという打球もあった。今年のチームは冨塚・浅倉・川崎をはじめとして打線の力はあるだけに、春に向けてしっかりとディフェンス面を鍛えていきたいところだ。
20211106日大三 針金
日大三の投手陣再建の切り札として期待した190㎝左腕の針金


Pickup Player
齋藤誠賢 国学院久我山2年 外野手
~巧みなバットコントロールで4安打を放ったリードオフマン~
国学院久我山の1番齋藤が、その巧みなバットコントロールで4安打3打点の活躍で、5回までに14得点をあげた打線を牽引した。

齊藤は東葉ボーイズでは、海老根(現在の大阪桐蔭の4番)らとともに活躍し、リードオフマンとしてボーイズ春季全国大会、ボーイズ選手権大会の優勝に貢献し、鶴岡一人記念大会東日本ブロックの選抜メンバーにも選ばれた。国学院久我山では1年秋からセンターのレギュラーを獲得し、2年夏には2番センターとして西東京大会準Vを達成。2年秋の新チームからは1番打者を務め、今大会でも、日野台戦・帝京戦と2試合連続で猛打賞をマークする活躍をみせていた。

この試合も1番打者としてスタメン出場した齋藤は、まず第1打席ではカウント2B0Sから134㌔のストレートを捉えると、強烈な打球は1・2塁間を抜けていき、初回の2得点の起点となった。2回の第2打席は1死2・3塁という場面で、齋藤が強打した打球は全人守備のセカンドのグラブを弾くタイムリーとなった。第3打席では今度は逆後方向にうまく打って三遊間を破るヒットを放つと。1死1・3塁で迎えた第4打席では変化球を捉え左中間を破る2点タイムリー3ベースを放った。結局この試合で齋藤は4打数4安打3打点と大暴れであった。センターを務める守備でも、その俊足もさることながら、守備位置が秀逸で左中間に抜けたかと思った当たりをいとも簡単に捕球するなどして投手を盛り立てた。

バットコントロールが巧みでヒットを量産し、俊足で、センターの守備範囲も広く、まさに絵に描いたような1番センターである齋藤。これで今大会の打率は.611と絶好調であり、明日の決勝戦での活躍が楽しみである。

20211106国学院久我山 齋藤1
20211106国学院久我山 齋藤2
4打数4安打3打点の活躍をみせた国学院久我山のリードオフマン齋藤


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木更津総合×東海大相模【秋季関東大会】

11/2 秋季関東大会準々決勝
木更津総合×東海大相模 @ノーブルホームスタジアム水戸

試合経過

勝てば事実上のセンバツ出場が確定する秋季関東大会準々決勝は、木更津総合×東海大相模という関東屈指の強豪対決。木更津総合は1回戦で完封したエース越井が中1日で、一方の東海大相模は初戦では登板がなかったものの神奈川大会ではエース格として活躍した背番号10の庄田が先発のマウンドに上がった。

1回表、木更津総合は1死から2番朝庄田倉が四球で出塁すると、3番菊地のショート深くへの内野安打、4番水野の強烈なセンター前ヒットで1死満塁のチャンスを作る。5番大井の打球はバットの根本であったが、それが幸いしてサードゴロの間に朝倉がホームイン。さらに6番芦川がセンターの頭上を越える2点タイムリー2ベースを放ち、木更津総合がいきなり3点を先制する。
20211103木更津総合 芦川
2点タイムリー2ベースを放った芦川

1回裏、東海大相模は1死から2番板垣が死球で出塁すると、3番百崎が前の試合から6打席連続ヒットとなる、1・2塁間を破るヒットを放ち1・3塁とチャンスを拡大。4番求は初球のスライダーをうまくライトへ持っていき、犠牲フライで東海大相模がすかさず1点を返す。
20211103東海大相模 求
初回に犠牲フライを放った東海大相模の4番求

東海大相模は2回裏にも、先頭の武井が内野安打で出塁すると、8番深谷のセカンドフライを朝倉が落球して1死1・3塁と一気に同点のチャンスを作る。ここで迎えるは先発の庄田であったが、2回にも満塁のピンチを招くなどどこかパッとしなかった庄田に対して、早くも代打山内を起用。山内は初球を捉えるも打球はセンター正面のライナーとなってしまうと、続く1番百瀬の打球もレフトライナーでツキにも見放された東海大相模は追いつくことができなかった。

3・4回と東海大相模の2番手庄司からヒットの出ていなかった木更津総合であるが、5回表に3番菊地がライト前にうまく運んで出塁。4番水野は変化球2球で追い込まれてしまうも、3球目の低めの変化球をうまくすくいあげると、打球はライトフェンス直撃の2ベースとなり、菊池が一気に1塁から生還して、木更津総合が貴重な追加点をあげる。
20211103木更津総合 水野
ライトフェンス直撃のタイムリー2ベースを放った水野

東海大相模の庄司は上述の通り5回には1点を失ったものの。ストレートはMax140㌔をマークして、120㌔台のスライダーとのコンビネーション、さらには打者に考える暇を与えない、高速テンポでの投球で、木更津総合打線にヒットを打たれたのは上記の5回と最終回のみ。初戦の花咲徳栄では6回2/3を無失点と素晴らしいロングリリーフをみせた右腕が、この木更津総合戦でも7回1失点と素晴らしいロングリリーフをみせた。
20211103東海大相模 庄司
7回1失点の好リリーフをみせた庄司

ただそれ以上に素晴らしい投球をみせたのが木更津総合のエース越井。初回に145㌔をマークしたストレートに加えて、スライダー・カーブ・チェンジアップで緩急をつけて、東海大相模打線に付け入る隙を与えない。3回以降は先頭打者の出塁を許さなかったために、ランナーが出てもそれほど大きなピンチは迎えず、結局9回を1失点で投げ切り完投勝利。木更津総合が4-1で勝利し、センバツ出場に当確ランプを灯した。
20211103木更津総合 越井2
1失点完投勝利でセンバツ当確を決めた木更津総合のエース越井


20211102木更津総合×東海大相模
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


これでセンバツ出場をほぼ確実とした木更津総合であるが、意外なことに甲子園出場は2018年の夏以来となる。特に今の2年生世代は、1年夏には千葉大会を制するも甲子園中止、1年秋は千葉大会を制して関東大会には1回勝てばセンバツ確定というスーパーシードで乗り込むも常総学院に大敗、2年夏も千葉大会決勝で延長13回に専大松戸にサヨナラ負けと、まさに甲子園とはニアミスが続いていた。エース越井も、1年秋の常総学院戦、2年夏の専大松戸戦にも登板しており、その経験があったからかこの試合では気合十分という投球をみせ、チームをセンバツ出場に導いた。

敗れた東海大相模だが、これでセンバツ連覇への道のりは険しくなった。他の準々決勝のスコアからいっても、東海大相模が関東5枠目になる可能性は高いが、これは東京2校目との比較による甲子園出場が決まる。ただ昨年も東海大相模は関東5枠目からセンバツ出場を果たしており、東京がここしばらくずっと1校という事情も考慮すると、選出は容易ではない。望みとしては東京大会決勝で大差がつくことであり、まさに王者が他力本願の窮地へと追い込まれている。

そんな東海大相模の中でも光る存在であったのが、1年生ながら3番ショートを務める百崎だ。初戦の花咲徳栄戦では5打数5安打の活躍をみせると、この試合でも初回の得点において重要な1・2塁間を破るヒット。8回の第4打席でも二遊間を破るヒットを放つなど、マルチヒットをマーク。さらに魅せたのが守備で、5回のピンチでは三遊間のゴロに飛びつき、そのまま3塁へ進んだランナーを刺すというビックプレー。右打ちの大型ショートでありながら、昨年のセンバツでは優勝に貢献したショート深谷をこの秋はサードに追いやっているように、守備もかなりのハイレベルであり、今後スカウトも含めて注目していきたい選手だ。
20211103東海大相模 百崎
2安打に加え守備力の高さが光った東海大相模の1年生ショート百崎


Pickup Player
越井颯一郎 木更津総合2年 投手
~東海大相模相手に1失点完投勝利~
木更津総合をセンバツ確定に導いたのは、何といっても1失点完投勝利をあげたエース越井の投球であろう。

越井は木更津総合では140㌔を越えるストレートを武器に、1年秋より背番号10でベンチ入りを果たし、関東大会の常総学院戦でも2番手として登板。2年夏も背番号11でベンチ入りを果たし、決勝の専大松戸戦でも登板を果たすなど、投手陣の一角として千葉大会準Vに輝いた。最高学年となった2年秋からはエースとなり、千葉大会では東海大市原望洋を6回無失点、準々決勝の市立船橋戦と準決勝の八千代松陰戦でもともに完投勝利をあげて、チームを関東大会に導くと、初戦の帝京第三戦では2安打完封勝利をあげ、中1日でこの準々決勝に臨んでいた。

この試合でも先発のマウンドに上がった越井は、初回から気合十分で、1球1球声を発しながらの投球で、2番板垣の打席ではこの試合最速となる145㌔をマーク。変化球は120㌔前後のスライダーを中心に、100㌔ちょっとのカーブ、さらには80㌔台の超スローカーブ、チェンジアップを投げていた。初回には犠飛で1点を失い、2回も味方のエラーもありピンチを招くも、打球が野手の正面をつく幸運もあって何とか無失点で切り抜ける。すると3回以降は安定した投球を披露し、先頭打者の出塁を1度も許さなかったために、ピンチらしいピンチはなかった。4回には6番武井に対して、初球に83㌔のスローカーブを投じ、2球目には140㌔のストレートと、何と球速差57㌔のコンビネーションで球場を沸かせた右腕は、そのまま最後まで投げ切り、被安打6・4奪三振・1失点の完投勝利をあげた。

ストレートは自己最速では146㌔をマークし、今日の試合のように緩急もつけられるのが魅力な本格派右腕の越井。、鈴木(日本ハム)・早川(楽天)・山下(ヤクルト1位)・篠木(法政大1年)らを輩出している木更津総合に、またドラフト候補右腕が誕生したようだ。

20211103木更津総合 越井1
東海大相模相手に見事1失点完投勝利をあげた木更津総合のエース越井


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拓大紅陵✕山梨学院【秋季関東大会】

10/30 秋季関東大会1回戦
拓大紅陵✕山梨学院 @ノーブルホームスタジアム水戸

試合経過

秋季関東大会のノーブルホームスタジアム水戸での開幕カードは、拓大紅陵(千葉2位)と山梨学院(山梨1位)の対決となった。

拓大紅陵は2回表、5番四十住が四球で出塁すると、1死からでも6番薬師神が送って2死2塁とチャンスを広げると、7番黒田が三遊間を破るヒットを放ち、四十住が生還して先制。続く3回表にも、菰田のヒット→四球→エラーで2死満塁すると四十住が四球を選んで押し出しで2点目。山梨学院は背番号10の山田が先発であったが、この押し出しの直後に早くもエース榎谷をマウンドに送ることとなる。
20211030拓大紅陵 黒田
拓大紅陵の先制タイムリーを放った黒田

拓大紅陵のエース小堺はストレートは速くても130㌔程度であるが、スライダー・フォークなどの変化球を織り交ぜて、持ち前の丁寧なピッチングでコントロールよくボールを投げこみ、与えた四死球は0。3回裏には2死ランナー無しから、進藤→岩田→高橋と3連打を浴びて1点を失うも、続く同点のピンチでは5番相澤をストレートで追い込むと、最後はフォークで空振りの三振仕留める。5回まで山梨学院打線を1得点に抑え、試合は拓大紅陵が2-1とリードして後半戦に突入する。
20211030拓大紅陵 小堺
丁寧な投球が光った拓大紅陵のエース小堺

6回についに強力山梨学院打線が目を覚ます。5番相澤のヒットを皮切りに、6番澁谷がファール6球を打つなど粘った末に1・2塁間を抜いて1・2塁のチャンスを作ると、この試合ここまで2安打と当たっていた7番佐仲が左中間を破る逆転のタイムリー2ベース。さらに8番星野がヒットで繋ぐと、9番榎谷・1番鈴木に連続タイムリーが飛び出すなど6者連続ヒットをマーク。最後は2番進藤の犠牲フライでこの回計5得点をあげ、拓大紅陵のエース小堺をKOした。さらに7回裏にも4番高橋のヒットからチャンスを作ると、佐仲の犠牲フライで追加点をあげリードを7-2と広げる。
20211030山梨学院 佐仲3
逆転タイムリーを放ちガッツポーズの山梨学院の佐仲

3回のピンチでマウンドに上がった山梨学院のエース榎谷は、Max143㌔のストレートに加えて、落ちるカットボール・スライダー・カーブといった変化球も投じる本格派右腕。榎谷に対して拓大紅陵打線は、毎回ランナーは出すものの、あと1本が出ずに無得点で、なかなか反撃の狼煙をあげられずにいた。ただ8回表には、5番四十住が一振りで打球をレフトスタンドに運ぶホームランを放ち、3回以来の得点をあげる。
20211030山梨学院 榎谷
3回途中からリリーフして好投をみせた山梨学院のエース榎谷

しかし山梨学院は8回裏に、まずはお返しとばかりに1番鈴木がライトスタンドへソロホームラン。さらに2番進藤がセンターオーバーの2ベースを放つと、3番岩田の打球をファーストが後逸する間にホームイン。4番高橋もサードを強襲する打球で1・2塁とチャンスを広げると、最後は5番主将の相澤が、代わった坂牧からライトスタンドへコールドを決めるサヨナラ3ランホームラン。山梨学院の持ち前の強力打線が力を発揮して、12-3で勝利して初戦突破を決めた。
20211030山梨学院 相澤
コールドを決めるサヨナラ3ランを放った山梨学院の相澤


20211030拓大紅陵✕山梨学院
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


山梨学院は前チームが下級生中心のチームであり、この試合のスタメンも9人中7人が夏の大会のレギュラーという布陣で臨んだ。前チームからのエース榎谷がいる投手陣もさることながら、この試合では序盤こそ小堺の投球の前に苦しんだものの、最終的には12点を奪ってコールド勝ちを収めた強力打線が目を引いた。そ野中でもリードオフマンの鈴木、1年夏から3番を打つ岩田、兄と同じく山梨学院の主将を務める5番相澤の3人は、バットコントロールに秀でた左の巧打者であり、この試合でも3人ともマルチ安打、鈴木と相澤においては最終回にホームランもマークする活躍をみせた。スラッガータイプが多いような打線であれば、波は激しそうだが、対応力のある3人のヒットメーカーがいる打線となると、本当に抑えるのが難しそうだと感じた。
20211030山梨学院 鈴木
ホームランも放った山梨学院のリードオフマン鈴木

拓大紅陵で目立ったのは、187㎝の大型捕手である四十住(あいずみ)である。打撃では最初の2打席は四球だったものの、第3打席では特大のレフトフライを放つと、第4打席ではそのリベンジとばかりに今度はレフトのフェンスを越えるホームランを放った。まだ粗削りなところはあるものの、多少詰まっても打球をもっていけるパワーをもった選手であった。守備面ではセカンド送球は低くていい球を投げていたし、試合の前半は小堺を巧みにリードして山梨学院打線を抑えていた。後半やられてしまったり、連打を止められなかったところは捕手としては悔しいところだろうが、今後も楽しみな選手であった。
20211030拓大紅陵 四十住
拓大紅陵の187㎝の大型捕手四十住


Pickup Player
佐仲大輝 山梨学院1年 捕手
~貴重な逆転タイムリーを含む3安打3打点の活躍~
山梨学院のキャッチャー佐仲が、6回の逆転タイムリーを含む3安打3打点と大当たりであった。

長崎出身の佐仲だが、山梨学院の吉田監督が元清峰の監督(で今村を擁してセンバツ制覇)という関係もあってか、山梨学院に進学すると、1年夏の山梨大会では背番号は12ながら正捕手格として活躍した。この1年秋の新チームでは背番号2を獲得したものの、吉田監督はこの試合での佐仲のスタメン起用を迷っていたそうだ。

ただ7番捕手としてスタメン出場した佐仲は、1回表に拓大紅陵の先頭打者の菰田が出塁して、2番打者の初球にすかさず盗塁を試みるも、これを見事に刺してみせた。その後山田をりーそしては2点を失ってしまったものの、3回途中から登板したエース榎谷とは夏もバッテリーを組んでいたこともあり、好リードで好投を支えた。

バッティングではあまりバットや体を動かすことなく、どっしりとした構えから力つよスイングをみせていた。1打席目には小堺のスライダーを捉えてセンター前、2打席目にはストレートを打って三遊間を破るヒットを放ち、いずれも得点に絡まなかったものの2安打と気を吐いていた。そして1点ビハインドの6回1死1・2塁という場面でめぐっていた第3打席では2球目のストレートを捉えると、打球は左中間を抜ける逆転タイムリー2ベースヒット。これで山梨学院打線は完全に勢いに乗ったことも踏まえると、この試合における最高の一打であったといえる。第4打席でも犠牲フライを放った佐仲は、結局3打数3安打3打点と大当たりであった。

この試合ではそんなものは感じさせないくらいの活躍をみせたが、吉田監督が起用を迷ったあたりは、リードなのか何か分からないが、課題があるのだろう。ただ1年生ながら180㎝80㎏という立派な体格で、夏から山梨学院の正捕手を射止めた逸材だけに、その課題を克服していけば、再来年にはドラフト候補と呼ばれる選手になれるころだろう。

20211030山梨学院 佐仲1

20211030山梨学院 佐仲2
逆転タイムリーを含む3安打3打点の活躍をみせた山梨学院のキャッチャー佐仲


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