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近江✕長崎日大【選抜高校野球大会】

3/20 選抜高校野球大会1回戦
近江✕長崎日大 @阪神甲子園球場

試合経過

センバツ2日目には、京都国際のコロナによる出場辞退で、3日前に補欠からの出場が決まった近江が登場。昨夏は甲子園4強の原動力となった投打における今年のドラフト候補の山田を擁する強豪は、意外にも12年ぶりの甲子園出場となった長崎日大と対戦した。

いきなりの出場で若干の調整不足は懸念されたものの、それでも近江が有利に進めると思った試合だが、これに待ったをかけたのが長崎日大のエース種村であった。ストレートはMax131㌔とスピードはないものの、持ち前のコントロールの良さで、丁寧なピッチングを展開。変化球もスライダーを多めに、カーブ、チェンジアップ、さらには120㌔台の2シーム(?)も左打者だけでなく、右打者のインコースに投げることができており有効であった。5回まで招いたピンチは1度のみで、無四球3安打無失点という素晴らしい投球。近江のエース山田も5回まで4安打無失点とさすがの投球をみせたものの、内容であれば種村の方が上回っており、試合の流れもどちらかというと長崎日大にあった。
20220320長崎日大 種村
5回まで近江打線を完璧に抑えた長崎日大の種村

6回裏、長崎日大は2番立川がセンター前ヒットで出塁すると、1死であるが3番平尾が送って、4番の主将河村に託すと、河村は初球のスライダーを捉えると打球はレフトの頭上を越えるタイムリー2ベースとなり長崎日大が先制。さらに5番白川も浮いたフォークを捉えると、こちらはライトの頭上を越えるタイムリー2ベースとなり、長崎日大がこの回2点をあげる。
20220320長崎日大 河村
先制タイムリーを放つ河村

援護を受けた種村は7・8回も近江打線を抑え、完封をかけて9回表のマウンドに上がる。ただ近江はこの回先頭の3番津田が巧みなバットコントロールで低めのボールになろうかという変化球を捉えて右中間への2ベース。1発出れば同点という場面で4番山田を迎えるが、種村は山田に対して強気にインコースを攻める2球連続見逃しで追い込むも、そこから外の球を経てから再び攻めたインコースのボールが山田に当たってしまい無死1・2塁。通常であればバントという場面であったが、強打の5番岡崎ということで強硬策に出ると、岡崎は積極的に初球のスライダーを捉え、打球は1・2塁間を抜けるタイムリーヒット。なおも無死1・3塁と一気に逆転のチャンスを作りだす。
20220320近江 岡崎
タイムリーを放ってガッツポーズの岡崎

長崎日大はここで本来の形である種村→左腕の川副という継投にでる。近江の6番川元はレフトフライを放ち、やや浅めの打球であったが、これで3塁ランナーの山田は思い切ってタッチアップ。しかしホームはタッチアウトでダブルプレーとなり2死2塁。長崎日大から見れば、逆転サヨナラのピンチが一転して、あと1人で勝利という形に変わった。川副は続く7番西川には四球を与えるも、8番大橋には果敢にインコースを攻めて、場内はあと1球という雰囲気に包まれるも、そこから大橋が外のスライダーにうまく合わせると、打球はファーストの後方にポトリと落ちるタイムリーヒット。近江が土壇場の9回2死から追いつく。
20220320近江 大橋
土壇場で同点タイムリーを放った大橋

それでも逆転のピンチを凌いだ長崎日大は後攻であり、延長線に突入しても戦いやすい形ではあった。山田からは7回以降ヒットは出ていなかったものの、10回裏には4番河村がエラーで出塁して盗塁を決めると、近江は1塁が空いたところで5番白川を申告敬遠。さらに山田は6番百武に痛恨の死球を与えてしまい、長崎日大は1死満塁とサヨナラのチャンスを作る。ただ山田は7番松尾をサードフライに打ち取ると、8番勝野からも三振を奪い、この絶対絶命のピンチを凌ぐ。結局延長戦に入ってからも3イニング、長崎日大の川副、近江の山田の両投手が凌いで、試合は延長13回からタイブレーク(無死1・2塁スタート)に突入する。

継続打順で始める高校野球のタイブレーク、近江は4番山田からと打順に恵まれると、山田は初球を捉えると強烈な打球は三遊間を抜けるタイムリーヒット。さらに続く5番石浦のバントをピッチャー川副が1塁へ悪送球してしまい、この回2点目。これでバッテリーも集中が切れてしまったのか、2個のバッテリーミスでさらに2者の生還を許し、近江がこの回4点をリードする。タイブレークとはいえさすがに4点は長崎日大にとっては重く、その裏の攻撃は山田の前に3人で抑えれてしまいゲームセット。延長13回までに及ぶ大激戦は近江が6-2で制して2回戦進出を決めた。
20220320近江 山田2
タイブレークでタイムリーを放つ山田


20220320近江✕長崎日大
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


急遽出場が決まった近江は、先日も智弁学園と練習試合も行っており、全体的には調整不足ではなさそうだった。1番の懸念点であったケガ明けの山田も、結果的には13回を完投したので、これは問題ないといえるだろう。ただ1つだけ気になったのは内野手の守備だ。背番号でいえば4中瀬、5横田、6津田であったが、実際の守備入りはセカンド津田、サード中瀬、ショート横田という布陣で、これは秋と同じである(津田は背番号4でセンターも守っていたが…)。つまりは秋→春に向けてコンバートとしたものの、直前で慌てて戻してこの試合に臨んだのだろう。結果的には昨夏の甲子園でも1年生ながらショートを務めた横田は、ピッチャー強襲の当たりで素晴らしいリカバリーを見せたり、微妙なバウンドの送球をうまくキャッチしてアウトにするなど、やはり横田はショートだなという動きをみせた。その一方津田・中瀬の2人は、試合の終盤でそれぞれエラーを犯しており、内野守備に関してはバタバタ感のあった試合であった。
20220320近江 横田
ショートに復帰して素晴らしい守備をみせた横田

あと1球というところで勝利を逃してしまった長崎日大。その1つの要因は普段とは違った投手起用の展開であろう。長崎日大は基本的には、種村→川副という継投が基本線であり、昨秋の九州大会では全試合このパターンであった。種村はタイプ的には相手を完璧に抑えるというよりは、しっかりと試合を作るという投手に見えるが、この試合では種村の投球が良すぎて近江打線を0で抑えていった。これが嬉しい誤算であり、それにより代えるタイミングが非常に難しくなり、最終的には9回のピンチという難しい場面で川副への継投となってしまった。かといっていつも通りに種村をもっと早いタイミングで降ろすという決断をするのは容易ではないし、やはり高校野球の継投は難しいと感じた試合であった。
20220320長崎日大 川副
非常に難しい場面での登板となってしまった川副


Pickup Player
山田陽翔 近江3年 投手
~結局主役は山田~
近江のエース山田は投げては13回2失点完投、打っては決勝打を放ち、投打において前評判通りの活躍をみせた。

山田はボーイズ日本代表に名を連ね、近江では1年夏からベンチ入り。滋賀の独自大会の初戦であった光泉線では、7回からリリーフ登板すると3回無失点の好投をみせ、打っても決勝打を放つ鮮烈なデビューを果たした。1年秋からはエースを務めるも、近畿大会初戦で神戸国際大付に敗れてセンバツ出場はならず。しかし2年夏にはエース格として滋賀大会を制すると、甲子園でも全5試合に先発し、山田→岩佐の継投で勝ち進み、大阪桐蔭を破るなどして4強入り。打者としても4番を務め、秋に敗れた神戸国際大付との試合では2ランを放っている。

ただ2年秋には右肘痛を発症し、投手としての登板はなく、4番ライトとして出場。山田の投げられないチームは投手陣に苦労し、近畿大会8強までか違ったものの、点を取っては取り返すという大味な試合が多く、それが要因となってか近畿大会8強で唯一センバツ出場を逃すこととなった。しかし補欠1位に選ばれると、京都国際の出場辞退により、山田もこの甲子園に帰還するこが可能となった。

右肘痛も癒えて、この試合には4番ピッチャーとして出場した山田。投手としてはストレートはMax146㌔をマークし、ともに130㌔を超えるスライダーとフォーク、時よりカーブなども交えた投球を展開。変化球の割合は多く、このスライダーとフォークでカウントをとって、決ま球にはストレートというパターンが目立った。長崎日大の種村との投手戦となったものの、6回には連続タイムリーを浴びてしまい、先制点を許す形となった。ただこれにより気合が入ったのか、7回以降は、長崎日大打線をノーヒットに抑えていく。

打者としての4番山田は、3打席目までは種村の前に完璧に抑えらえてしまう。9回の第4打席では死球を受け、同点のランナーとして出塁。投手ということもあり、ウィンドブレーカーを着ての走塁となると、無死3塁で浅めのレフトフライでタッチアップしてホームを狙うもタッチアウト。これが山田自身の判断なのか、3塁コーチャーの指示なのか分からないが、結果的には暴走といえる内容で、近江は一転窮地に立たされた。それでもチームは何とか追いついて、延長線に突入すると10回表の第5打席では申告敬遠。そしてタイブレークの先頭打者として迎えた第6打席では、初球を捉えると強烈な打球は三遊間を抜けて勝ち越しのタイムリーヒットとなる。

自らのバットで勝ち越した後の13回裏にもマウンドに上がると、先頭の百武からはこの回になっても140㌔をマークしたストレートで三振を奪うと後続の2人も打ちとってゲームセット。結局13回165球を投げて、7回以降はノーヒットの被安打7、9奪三振、2失点完投勝利。ケガ明けという不安を払拭するような見事な投球であった。

昨夏は投打において甲子園4強入りの立役者となり、新チームでは世代を代表する選手として注目されていた。この試合では今大会最速となる146㌔をマークした投球もさることながら、序盤は苦戦していた打撃でも最終的には決勝打を放つなど主役の座に射止めた。投打のどちらでもドラフトにかかる存在であるが、13回を投げ切ったスタミナ、そしてギアを調節できる部分などをみて、個人的にはやはり投手でと思った次第である。今大会、そして夏も含めて、山田がどう活躍して、それをスカウトがどう評価するのか注目である。

20220320近江 山田3

20220320近江 山田1
投打に渡る活躍でこの試合の主役となった近江の4番エース山田


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2022年センバツの組み合わせとベスト8予想

センバツの開幕まで1週間を切ったので、優勝&ベスト8予想をしてみたいと思います。

まずは組み合わせから↓
2022センバツ組み合わせ

そしてベスト8予想

◆浦和学院・大分舞鶴・和歌山東・倉敷工ブロック
⇒近畿大会準Vを果たした和歌山東にも注目だが、夏の甲子園経験した宮城・金田の2枚看板が残り、選手層も厚い浦和学院が実績・実力で上回ると予想

◆クラーク国際・九州国際大付・広陵・敦賀気比ブロック
⇒明治神宮大会出場4チームから成るまさに死のブロック。ただ神宮大会準Vという実績と、投打にポテンシャルの高い選手の揃う広陵が1番勝ち抜く可能性が高いと予想

◆長崎日大・京都国際・聖光学院・二松学舎大付ブロック
京都国際は夏の甲子園ベスト4の森下・平野の2枚看板ら主力が残っており、このブロックでも頭1つ抜けている。2回戦で二松学舎大付と当たれば、夏の甲子園の再戦であり、こちらも注目。

◆山梨学院・木更津総合・日大三島・金光大阪ブロック
⇒山梨学院と木更津総合の関東対決の勝者が勝ち上がるだろう。ともに投打にタレントの揃ったチームであるが、最後は右腕ではNo1との呼び声高い越井を擁する木更津総合が勝利すると予想。

◆高知・東洋大姫路・国学院久我山・有田工ブロック
⇒飛びぬけたチームがおらずに非常に予想の難しいブロックであるが、チームの総合力という意味では東京大会を制した国学院久我山にわずかながら分があると予想。

◆星稜・天理・只見・大垣日大ブロック
⇒星稜と天理の名門対決の勝者が勝ち上がる可能性が高い。この両チームは甲乙つけがたいところが、ポテンシャルでいえば星稜の方があると思っており、冬の間に成長をとげた星稜が勝つと予想。

◆花巻東・市和歌山・大島・明秀日立ブロック
⇒ともに好投手VS強力打線という構図の1回戦は注目だが、この中でも佐々木麟太郎を止めるのは難しいと思われ、花巻東が初戦で市和歌山の米田を打ち崩し、2回戦も勝ち上がると予想。

◆丹生・広島商・鳴門・大阪桐蔭ブロック
⇒秋の神宮大会も制した、今大会優勝校筆頭の大阪桐蔭。安定感抜群の1年生左腕前田に、高校No1捕手に成長した松尾のバッテリーに、丸山・海老根ら強力打線を擁しており、勝ち抜くことに疑いの余地はない。

ちなみに優勝予想も大阪桐蔭です。

以上です。

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東芝×JR九州【JABA東京スポニチ大会】

3/9 JABA東京スポニチ大会決勝
東芝×JR九州 @神宮球場

試合経過

今年社会人野球最初の公式戦であるJABA東京スポニチ大会の決勝は、午前の準決勝第1試合でENEOSとの神奈川対決を延長戦の末に制した東芝と、直前に行われた準決勝第2試合で日立製作所に快勝したJR九州の対戦となった。東芝は準決勝で最後に少しだけリリーフしたエース吉村が引き続き、JR九州は今大会初登板となる左のサイドスローの鈴木が先発のマウンドに上がった。

東芝は1回表、準決勝では延長線では決勝タイムリーを放って勢いにのる1番長沢がレフト前ヒットで出塁すると、すかさず2番太田の初球で盗塁を決めて、太田が送って3塁へ進むと、JR九州にバッテリーミスが発生して、東芝があっという間に先制する。東芝は2回表にも、1死から諸橋・中村と下位打線の連打でチャンスを作ると、1番長沢が今度はライト線にタイムリー2ベースを放ち、早くもJR九州の鈴木をKO。JR九州は2番手として吉田をマウンドに送るも、2番太田の打球がサードのフィルダースチョイスとなり1点を追加されると、さらに東芝は3番田中・4番吉田に連続タイムリー2ベースが飛び出して、2回までに6-0とリードを奪う。
20220309東芝 長沢
初回の起点となり、2回にはタイムリー2ベースも放った東芝のリードオフマン長沢

登板したイニングには失点を重ねてしまった吉田であるが、3回・4回は東芝打線を無得点に抑えると、5回からは左腕井上が登板。前日のJFE東日本の試合では初回からリリーフ登板して8回まで1失点の好投をみせた頼りになるベテラン左腕は、ストレートはMax135㌔であったがテイクバックの小さなフォームから繰り出す球には力があり、スライダー・フォークといった変化球も含めて強気に攻める投球で東芝打線を圧倒。5回~8回までの4イニングで、東芝打線にヒットを許さない素晴らしい投球をみせた。
20200309JR九州 井上
4回ノーヒットピッチングをみせたJR九州の井上

JR九州打線は、1番に今大会初スタメンとなるルーキーの山脇を起用すると、初回にいきなり山脇がレフト前にうまく運ぶヒットを放ち、準決勝では2ホーマーを放つなど大当たりであった3番山田もヒットで続くものの、4番岩切が三振に仕留められ無得点。3回には2番牛島が2ベースを放つものの、3番山田・4番岩切が連続三振で無失点。このように東芝のエース吉村は淡々と投げるものの、勝負どころではしっかりと三振を奪うことができており、JR九州打線を寄せ付けなかった。
20200309JR九州 山脇
1番打者として大会初スタメンのJR九州の山脇

東芝は上述のように、JR九州の井上、さらに最終回に登板した足立には3者連続三振を喫するなど追加点を奪えなかったものの、エース吉村が最終回まで無失点で投げ切って完封。6-0で勝利した東芝が、JABA東京スポニチ大会を制して、日本選手権出場を1番乗りで決めた。
20220309東芝 優勝
優勝を果たした東芝ナイン


20220309東芝×JR九州
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

敗れはしたもののJR九州の躍進は見事なものだった。予選リーグの初戦でNTT東日本に逆転勝ちを収めて勢いに乗ると、そこからJFE東日本、日立製作所と関東の強豪から3連勝で、この決勝にコマを進めた。ただこの試合では序盤に大量失点してしまい、なすすべなくということで、課題は3人目の投手であろうか?昨年の日本選手権でも登板した井上、鷲崎の左腕2人がこの大会でも中心となって投げていた一方、JFE東日本戦で先発した川島、この試合で先発した鈴木は序盤で交代となってしまっている。そもそも投手が8人しかいないというチーム事情もあるだろうが、今大会はニチダイの辞退により1試合少なかったこともあり、JABA大会を勝ち抜くにはやはりもう1人先発が欲しい。川島、鈴木以外にもリリーフで好投した足立を先発させることなども含めて、先発投手の台頭に期待したい。
20200309JR九州 足立
今大会好リリーフをみせた足立も先発として期待したい

東芝は2019年に当時2枚看板であった岡野(中日)・宮川(西武)がプロ入りしてしまい、そこからしばらくはエースという存在はおらず、昨年は12年ぶりに都市対抗出場を逃した。ただ都市対抗予選でENEOSから完封勝利をあげた吉村が、補強選手として参加した都市対抗でも素晴らしい投球をみせて実績を積むと、今大会では初戦で好投をみせ、準決勝でまたもやENEOS相手に最後はリリーフ登板して、同日のこの決勝では完封勝利と完全に東芝のエースといえる投手となった。他にも藤村や善の2人も投手陣の中心となり、これまでチームを支えてきた福本・岡村の2人の負担は大幅に減った。さらに今年は金井・西村といった高卒の新人投手も加入し、西村に関しては早くも今大会でベンチ入りして、予選リーグの鷺宮製作所では5回無失点の好投をみせた。東芝の投手王国復活の日は近いといえるだろう。
20220309東芝 西村
東芝投手陣の次世代を担う高卒ルーキーの西村


Pickup Player
吉村貢司郎 東芝 投手
~今大会MVPの東芝のエース~
東芝のエース吉村が完封勝利をあげて、チームを優勝に導き、大会MVPを受賞した。

吉村は日大豊山では1年秋からエースを務め、Max144㌔をマークする本格派右腕として活躍。3年夏の東東京大会では決勝戦まで進むも、オコエ(楽天)らを擁して、甲子園で4強まで進む関東一に敗れた。国学院大では2年春からリーグ戦のマウンドに上がり、2年秋には神宮で150㌔越えをマーク。4年春には先発投手として3勝をあげ、防御率0.93という活躍をみせるものの、4年秋にはケガの影響で1試合の登板に留まり、プロ志望届を提出したものの、指名漏れを経験した。

東芝に入社すると、1年目からリリーフで都市対抗のマウンドに上がり、152㌔をマークするも、3四死球と課題を残した。ただ2年目となった昨年は、日本選手権の東海理化戦で先発を務めると、都市対抗予選の第1代表決定のトーナメントではENEOS戦では153㌔をマークし、10奪三振完封勝利。ただ再びENEOSと対戦した第2代表決定戦では9回に山崎錬にサヨナラ3ランを浴びてしまい、チームは都市対抗出場を逃した。それでもENEOSの補強選手として都市対抗に出場すると、2回戦の日本通運戦では7回1失点の好投をみせた。年が明けて初の公式戦となったこのJABA東京スポニチ大会では、予選リーグ初戦のヤマハ戦では8回途中2失点の好投。この試合の午前中に行われた準決勝のENEOS戦では、1点を勝ち越した後の10回裏1死2塁というピンチでリリーフ登板すると、見事に試合を締めてチームを決勝進出に導いていた。

準決勝の終了から約4時間後に始まったこの決勝では先発のマウンドに上がった吉村。左足を振り子のように使うフォームから繰り出すストレートはMax148㌔をマークし、140㌔台前半~中盤の球が多かった。昨年の都市対抗のほぼ140㌔後半という吉村の投球に比べれば物足りないが、春先のまだ寒い中では十分なスピードともいえる。変化球はなんといっても130㌔後半をマークするSFFは最大の武器であり、130㌔前後のスライダー、110㌔台のカーブを投じていた。この試合の吉村は淡々と打者を打ちとっていくが、ピンチの場面になるとギヤが上がり、初回1死1・2塁の場面では4番岩切を空振り三振。3回1死2塁の場面では3番山田・4番岩切を連続三振と、ピンチさらにはJR九州のキーとなる打者という場面では三振を奪えていたのは素晴らしかった。試合の中盤以降はピンチらしいピンチもなく、そのまま最後まで投げ切り、6安打10奪三振で完封勝利。チームは優勝し、吉村自身は大会のMVPに選出された。

もともと出力は素晴らしいものはあるものの、どこか荒さがあるという印象だった吉村の投球だが、昨年の秋頃から改善されてきており、今年はそれにさらに磨きがかかっていた。この試合も四死球は2個のみであり、全体をみてもボールも低めに集まっており、非常に安定した完成度の大会投球であったといえる。ドラフト解禁であった昨年は指名がなかったものの、都市対抗の投球を見て、指名しなかったことを後悔したスカウトは多いはずであり、さらに完成度の高くなった今年はドラフトの目玉選手といえるだろう。

20220309東芝 吉村
見事完封をあげ大会MVPにも選ばれた東芝のエース吉村


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創価大✕日本通運【オープン戦】

3/1 オープン戦
創価大✕日本通運 @日通ボールパーク

試合経過

創価大✕日本通運のオープン戦。相手が大学生ということで、 日通は新人野手2人をスタメンに起用するなど比較的に若いメンバーで臨んだものの、先発には昨年はリリーフエースとして活躍するなど、主力投手といえる釘宮を送った。しかし創価大はその釘宮への先制攻撃として、1番篠田がいきなりレフトオーバーの3ベースを放つと、2番の木代のタイムリー。さらに四球と4番田中のヒットで無死満塁というチャンスを作る。ただここで釘宮がそうやくエンジンがかかったのか、その後の失点はサードゴロ併殺崩れの間の1点のみに凌ぐ。
20220301創価大 木代
先制タイムリーを放った木代

先制された日通打線は1回裏、1番稲垣がセンター前に弾き返して盗塁を決めると、この試合では2番に入った北川が三遊間を拔くヒット。一気にホームを狙った稲垣はタッチアウトになるものの、3番楠本も技ありのレフト前ヒットを放つと、4番毛利がセンターバックスクリーンに3ランを放ち、日通があっという間に逆転に成功する。さらに勢いの止まらない日通打線は、木下・木村の連打で2・3塁のチャンスを作ると、7番諸見里が1番打者から7人連続ヒットとなる2点タイムリーを放ち、初回に5得点をあげる。
20220301日本通運 毛利
4番に座り逆転3ランを放った毛利

初回から大荒れとなった試合だが、日通はエンジンのかかった釘宮が2・3回と創価大打線をノーヒットに抑える。創価大も2回から早くもリリーフ登板した菊地が、タメを作った独特のテイクバックからMax146㌔の力のあるストレートに、カットボール・スライダー・フォークといった変化球を駆使して日通打線を3イニングノーヒットに抑える。高校時代から大型右腕として期待されていたものの、昨年の秋季リーグでは悔しい思いをしていた右腕だけに、この好投は創価大にとってはこの試合1番の収穫であっただろう。試合は両チームとも2回以降無得点で、5-2と日通がリードしたまま前半戦を終える。
20220301創価大 菊地
3回無失点の好リリーフで試合を立て直した菊地

反撃に出たい創価大は6回表、日通の3番手西村(今年からサイドスローに転向)から簡単に2死を取られるも、そこから宮原がエラーで出塁してバッテリーミスで2塁へ進むと、8番石﨑のセンター前タイムリーで初回以来の得点。さらに7回表には、4番手庄司から1番篠田がヒットで出塁すると、1死2塁で迎えたプロ注目の3番門脇はスライダーを完璧に捉えて、ライトへの同点2ランホームランを放ち、創価大が5-5の同点に追いつく。
20220301創価大 門脇2
同点2ランを放った門脇

創価大は3番手の左腕内田が、5~7回はランナーを出しながらも、何とかピンチを凌ぎ無失点に抑える好投。ただ8回裏から登板した松下はやや制球が安定せず、2四死球と木村のヒットでいきなり無死満塁のピンチを迎えてしまう。ここで堀内監督がマウンドに行くと、松下は得意のフォーク中心の投球に切り替えて、4球連続フォークで8番大友を空振り三振。しかし9番高橋にはライトに犠牲フライを浴びてしまい、日通が6-5と勝ち越し。このリードを8回からリリーフしたアンダーハンドの和田が守り切り、日本通運が6-5で勝利した。
20220301日本通運 和田
8・9回と無失点リリーフをみせた和田


20220301創価大✕日本通運
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


大学生相手ということで、木南・森松・添田・浦部・大谷・手銭といったレギュラー陣がスタメンから外れる中で、北川は相手が母校ということもあってかスタメン出場。そして本来は4番を打つ北川の打順は、何と2番であった。強打の2番らしく、初回に無死1塁で回ってきた第1打席ではバントの構えすら見せずに、三遊間を破るヒット。無死1塁で迎えた第3打席、無死1・2塁で迎えた第4打席でもバントの構えを見せなかった。最近では2番に最強打者を置くチームも出てきているので、日本通運もそれに向けてのテストであったのだろうか?
20220301日本通運 北川
この試合は2番打者として出場した北川

またスタメンに起用された若い選手たちもアピールを繰り広げた。中でも6番ショートでスタメン出場を果たした木村は、1打席目に右中間に2ベースを放つと、その後もショート強襲ヒット、三遊間を強烈な打球で破るヒットと3安打をマーク。プロも注目していた強打の大型内野手が結果を残し、稲垣・添田・諸見里・浦部に、この試合で3番を打った楠本ら、日本通運の内野(ファースト以外)の争いがさらに激化してきそうだ。
20220301日本通運 木村
猛打賞の活躍をみせたルーキー木村

敗れた創価大で光ったのは、やはりプロも注目で、今年はチームの主将も務める3番ショートの門脇だ。その打撃技術の高さが光ったのが第3打席で、140㌔後半のストレート中心で攻めていた日通の清水が投じた98㌔という、約50㌔差のスピードがあるボールをほぼ片手でセンター前に持っていき、この試合初安打をマーク。続く第4打席では、左キラーである庄司のスライダーを完璧に捉えて同点2ランを放ち、もともとの巧さに加えてパワーもついてきていることを証明した。この試合で魅せ場はなかったものの、守備・走塁についてもハイレベルな選手であり、ドラフトに向けての活躍が楽しみだ。
20220301創価大 門脇
片手でセンター前ヒットを放つ門脇


Pickup Player
清水力斗 日本通運 投手
~「柴田2世」がオープン戦で早くも好投~
日通の2番手としてマウンドに上がったルーキーの清水が、2回無失点の好投をみせた。

清水は星稜高校時代から本格派右腕として注目されており、1年秋には背番号1を背負うも、2年春には肘をケガしてしまい、2年夏に出場した甲子園でも背番号11で、リリーフで1イニングのみの登板に終わってしまった(ただストレートは甲子園で146㌔をマーク)。2年秋からは再びエースナンバーを背おい、3年春には149㌔をマークするも、本来の実力は発揮できずに、3年夏も準決勝で日本航空石川に敗れ甲子園出場はならなかった。

亜細亜大に進学すると、1年春にはリリーフとして2試合に登板。その後もオープン戦などでは力のある球を投げ込む姿は見られた、ケガなどもあったのか1年秋以降は公式戦での登板はなく、公式戦通算0勝で大学野球を終えた。実績からいえば、名門の社会人企業チーム入りは難しいところであったが、そのポテンシャルを見込まれてか、今年から日本通運に入社した。

この試合では4回に2番手としてマウンドに上がると、ストレートはいきなり140㌔後半をマークし、2人目の打者の石崎の打席では
(おそらく)自己最速を更新する150㌔をマーク。コントロールにかなりのバラツキがあり、石崎には四球を与えてしまったものの、後続をライトライナーゲッツーに仕留めた。変化球はスライダーと実にストレートと球速差が50㌔もある100㌔に満たないスローカーブを投げていたが、ストレートが中心の投球で、数としてはかなり少なかった。5回には2死からその数少ないカーブを門脇に打たれるも、4番田中を最後は147㌔のストレートでショートゴロに仕留めて、2回無失点リリーフでマウンドを降りた。

この試合の清水の投球は、まさに昨年のドラフト会議でヤクルトから3位指名を受けた柴田に重なるものがあった。柴田も日体大ではトミージョン手術などを経験して公式戦での登板のない投手であったが、そのポテンシャルを見込まれて日本通運に入社すると、その実力を開花させ、2年でヤクルト3位指名を勝ち取った。この試合の清水のストレートには目を見張るものがあるものの、バラツキがあるという投球も、柴田そっくりで、まさに「柴田2世」といえる。ただ唯一異なる点は、柴田はこんなに早い時期にオープン戦でも登板できていなかったということだ。コントロールに加えて、変化球などまだまだ課題はあるものの、そのポテンシャルはピカイチであり、このままケガなく成長を続ければ、来年のドラフトで名前が呼ばれる投手になれるだろう。
20220301日本通運 清水
早くも「柴田2世」との呼び声高い清水


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