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近江✕長崎日大【選抜高校野球大会】

3/20 選抜高校野球大会1回戦
近江✕長崎日大 @阪神甲子園球場

試合経過

センバツ2日目には、京都国際のコロナによる出場辞退で、3日前に補欠からの出場が決まった近江が登場。昨夏は甲子園4強の原動力となった投打における今年のドラフト候補の山田を擁する強豪は、意外にも12年ぶりの甲子園出場となった長崎日大と対戦した。

いきなりの出場で若干の調整不足は懸念されたものの、それでも近江が有利に進めると思った試合だが、これに待ったをかけたのが長崎日大のエース種村であった。ストレートはMax131㌔とスピードはないものの、持ち前のコントロールの良さで、丁寧なピッチングを展開。変化球もスライダーを多めに、カーブ、チェンジアップ、さらには120㌔台の2シーム(?)も左打者だけでなく、右打者のインコースに投げることができており有効であった。5回まで招いたピンチは1度のみで、無四球3安打無失点という素晴らしい投球。近江のエース山田も5回まで4安打無失点とさすがの投球をみせたものの、内容であれば種村の方が上回っており、試合の流れもどちらかというと長崎日大にあった。
20220320長崎日大 種村
5回まで近江打線を完璧に抑えた長崎日大の種村

6回裏、長崎日大は2番立川がセンター前ヒットで出塁すると、1死であるが3番平尾が送って、4番の主将河村に託すと、河村は初球のスライダーを捉えると打球はレフトの頭上を越えるタイムリー2ベースとなり長崎日大が先制。さらに5番白川も浮いたフォークを捉えると、こちらはライトの頭上を越えるタイムリー2ベースとなり、長崎日大がこの回2点をあげる。
20220320長崎日大 河村
先制タイムリーを放つ河村

援護を受けた種村は7・8回も近江打線を抑え、完封をかけて9回表のマウンドに上がる。ただ近江はこの回先頭の3番津田が巧みなバットコントロールで低めのボールになろうかという変化球を捉えて右中間への2ベース。1発出れば同点という場面で4番山田を迎えるが、種村は山田に対して強気にインコースを攻める2球連続見逃しで追い込むも、そこから外の球を経てから再び攻めたインコースのボールが山田に当たってしまい無死1・2塁。通常であればバントという場面であったが、強打の5番岡崎ということで強硬策に出ると、岡崎は積極的に初球のスライダーを捉え、打球は1・2塁間を抜けるタイムリーヒット。なおも無死1・3塁と一気に逆転のチャンスを作りだす。
20220320近江 岡崎
タイムリーを放ってガッツポーズの岡崎

長崎日大はここで本来の形である種村→左腕の川副という継投にでる。近江の6番川元はレフトフライを放ち、やや浅めの打球であったが、これで3塁ランナーの山田は思い切ってタッチアップ。しかしホームはタッチアウトでダブルプレーとなり2死2塁。長崎日大から見れば、逆転サヨナラのピンチが一転して、あと1人で勝利という形に変わった。川副は続く7番西川には四球を与えるも、8番大橋には果敢にインコースを攻めて、場内はあと1球という雰囲気に包まれるも、そこから大橋が外のスライダーにうまく合わせると、打球はファーストの後方にポトリと落ちるタイムリーヒット。近江が土壇場の9回2死から追いつく。
20220320近江 大橋
土壇場で同点タイムリーを放った大橋

それでも逆転のピンチを凌いだ長崎日大は後攻であり、延長線に突入しても戦いやすい形ではあった。山田からは7回以降ヒットは出ていなかったものの、10回裏には4番河村がエラーで出塁して盗塁を決めると、近江は1塁が空いたところで5番白川を申告敬遠。さらに山田は6番百武に痛恨の死球を与えてしまい、長崎日大は1死満塁とサヨナラのチャンスを作る。ただ山田は7番松尾をサードフライに打ち取ると、8番勝野からも三振を奪い、この絶対絶命のピンチを凌ぐ。結局延長戦に入ってからも3イニング、長崎日大の川副、近江の山田の両投手が凌いで、試合は延長13回からタイブレーク(無死1・2塁スタート)に突入する。

継続打順で始める高校野球のタイブレーク、近江は4番山田からと打順に恵まれると、山田は初球を捉えると強烈な打球は三遊間を抜けるタイムリーヒット。さらに続く5番石浦のバントをピッチャー川副が1塁へ悪送球してしまい、この回2点目。これでバッテリーも集中が切れてしまったのか、2個のバッテリーミスでさらに2者の生還を許し、近江がこの回4点をリードする。タイブレークとはいえさすがに4点は長崎日大にとっては重く、その裏の攻撃は山田の前に3人で抑えれてしまいゲームセット。延長13回までに及ぶ大激戦は近江が6-2で制して2回戦進出を決めた。
20220320近江 山田2
タイブレークでタイムリーを放つ山田


20220320近江✕長崎日大
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


急遽出場が決まった近江は、先日も智弁学園と練習試合も行っており、全体的には調整不足ではなさそうだった。1番の懸念点であったケガ明けの山田も、結果的には13回を完投したので、これは問題ないといえるだろう。ただ1つだけ気になったのは内野手の守備だ。背番号でいえば4中瀬、5横田、6津田であったが、実際の守備入りはセカンド津田、サード中瀬、ショート横田という布陣で、これは秋と同じである(津田は背番号4でセンターも守っていたが…)。つまりは秋→春に向けてコンバートとしたものの、直前で慌てて戻してこの試合に臨んだのだろう。結果的には昨夏の甲子園でも1年生ながらショートを務めた横田は、ピッチャー強襲の当たりで素晴らしいリカバリーを見せたり、微妙なバウンドの送球をうまくキャッチしてアウトにするなど、やはり横田はショートだなという動きをみせた。その一方津田・中瀬の2人は、試合の終盤でそれぞれエラーを犯しており、内野守備に関してはバタバタ感のあった試合であった。
20220320近江 横田
ショートに復帰して素晴らしい守備をみせた横田

あと1球というところで勝利を逃してしまった長崎日大。その1つの要因は普段とは違った投手起用の展開であろう。長崎日大は基本的には、種村→川副という継投が基本線であり、昨秋の九州大会では全試合このパターンであった。種村はタイプ的には相手を完璧に抑えるというよりは、しっかりと試合を作るという投手に見えるが、この試合では種村の投球が良すぎて近江打線を0で抑えていった。これが嬉しい誤算であり、それにより代えるタイミングが非常に難しくなり、最終的には9回のピンチという難しい場面で川副への継投となってしまった。かといっていつも通りに種村をもっと早いタイミングで降ろすという決断をするのは容易ではないし、やはり高校野球の継投は難しいと感じた試合であった。
20220320長崎日大 川副
非常に難しい場面での登板となってしまった川副


Pickup Player
山田陽翔 近江3年 投手
~結局主役は山田~
近江のエース山田は投げては13回2失点完投、打っては決勝打を放ち、投打において前評判通りの活躍をみせた。

山田はボーイズ日本代表に名を連ね、近江では1年夏からベンチ入り。滋賀の独自大会の初戦であった光泉線では、7回からリリーフ登板すると3回無失点の好投をみせ、打っても決勝打を放つ鮮烈なデビューを果たした。1年秋からはエースを務めるも、近畿大会初戦で神戸国際大付に敗れてセンバツ出場はならず。しかし2年夏にはエース格として滋賀大会を制すると、甲子園でも全5試合に先発し、山田→岩佐の継投で勝ち進み、大阪桐蔭を破るなどして4強入り。打者としても4番を務め、秋に敗れた神戸国際大付との試合では2ランを放っている。

ただ2年秋には右肘痛を発症し、投手としての登板はなく、4番ライトとして出場。山田の投げられないチームは投手陣に苦労し、近畿大会8強までか違ったものの、点を取っては取り返すという大味な試合が多く、それが要因となってか近畿大会8強で唯一センバツ出場を逃すこととなった。しかし補欠1位に選ばれると、京都国際の出場辞退により、山田もこの甲子園に帰還するこが可能となった。

右肘痛も癒えて、この試合には4番ピッチャーとして出場した山田。投手としてはストレートはMax146㌔をマークし、ともに130㌔を超えるスライダーとフォーク、時よりカーブなども交えた投球を展開。変化球の割合は多く、このスライダーとフォークでカウントをとって、決ま球にはストレートというパターンが目立った。長崎日大の種村との投手戦となったものの、6回には連続タイムリーを浴びてしまい、先制点を許す形となった。ただこれにより気合が入ったのか、7回以降は、長崎日大打線をノーヒットに抑えていく。

打者としての4番山田は、3打席目までは種村の前に完璧に抑えらえてしまう。9回の第4打席では死球を受け、同点のランナーとして出塁。投手ということもあり、ウィンドブレーカーを着ての走塁となると、無死3塁で浅めのレフトフライでタッチアップしてホームを狙うもタッチアウト。これが山田自身の判断なのか、3塁コーチャーの指示なのか分からないが、結果的には暴走といえる内容で、近江は一転窮地に立たされた。それでもチームは何とか追いついて、延長線に突入すると10回表の第5打席では申告敬遠。そしてタイブレークの先頭打者として迎えた第6打席では、初球を捉えると強烈な打球は三遊間を抜けて勝ち越しのタイムリーヒットとなる。

自らのバットで勝ち越した後の13回裏にもマウンドに上がると、先頭の百武からはこの回になっても140㌔をマークしたストレートで三振を奪うと後続の2人も打ちとってゲームセット。結局13回165球を投げて、7回以降はノーヒットの被安打7、9奪三振、2失点完投勝利。ケガ明けという不安を払拭するような見事な投球であった。

昨夏は投打において甲子園4強入りの立役者となり、新チームでは世代を代表する選手として注目されていた。この試合では今大会最速となる146㌔をマークした投球もさることながら、序盤は苦戦していた打撃でも最終的には決勝打を放つなど主役の座に射止めた。投打のどちらでもドラフトにかかる存在であるが、13回を投げ切ったスタミナ、そしてギアを調節できる部分などをみて、個人的にはやはり投手でと思った次第である。今大会、そして夏も含めて、山田がどう活躍して、それをスカウトがどう評価するのか注目である。

20220320近江 山田3

20220320近江 山田1
投打に渡る活躍でこの試合の主役となった近江の4番エース山田


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