大商大高×履正社【春季大阪大会】
5/5 春季大阪大会4回戦
大商大高×履正社
試合経過
春季大阪大会は、4回戦からようやく有観客となり、大阪シティ信金スタジアムでは大商大高と、センバツにも出場した履正社という強豪同士が激突した。
履正社の先発は、センバツに続いて背番号1を背負う福田。球威のある左腕ではあるが、立ち上がりは制球に苦しみ、1番藤原・3番高岡と2人を歩かせてしまいピンチを背負う。4番安田は低めのワンバンするスライダーで三振に仕留めるも、キャッチャーが弾く間にランナーが進塁すると、5番久保の打席でも同じようにワンバンしたスライダーをキャッチャーが後逸し、藤原が生還して大商大が先制する。

先制のホームを踏んだ大商大のリードオフマン藤原
2回表には、福田は1死からのセカンドゴロを只石が暴投してしまいランナーを許すと、続く打者には右打者の足元のスライダーが当たってしまい死球で1・2塁。続く9番板倉のバントを、福田は3塁へ送球するも、(タイミングはアウトだったが)これが暴投となりランナー1人が生還。さらに続く藤原のショートゴロは難しいバウンドであったものの、これをショート森澤が取れずに、2者が生還。この回履正社は3個のエラーで3失点を喫し、大商大高は2回までにノーヒットながら4得点をあげる。
早く追いつきたい履正社であるが、大商大の先発板倉の前に、4回まで1安打無得点と完全に抑えられていた。しかし5回裏、四球と福田のライト線への2ベースで1死2・3塁のチャンスを作ると、1番近澤がレフトへタイムリーを放ち、レフトのエラーもあって2人が還って2ー4。さらに森澤・西と連続四球を選んで、1死満塁と一気に逆転までみえるチャンスを作り、4番坂根を迎える。ただ板倉がここでギアを入れ直したのか、なんと4番坂根を3球三振に仕留めると、続く5番森田も三振に仕留めて、履正社の反撃を断ち切った。

履正社反撃のタイムリーを放つ近澤
履正社の福田は、3回以降は持ち味の力のあるストレートと、鋭く曲がるスライダーを武器に好投。スライダーに関して言えば、序盤にはバッテリーミスや死球で得点に繋がってしまったものの、右バッターの足下にワンバンするように曲がるボールに、大商大打線のバットは空を切っており有効であった。結局福田は7回まで投げて、打たれたヒットは、5回には藤原に浴びた単打1本のみだが、4失点(自責点1)という内容であった。

7回まで大商大打線を1安打に抑えた福田
6・7回は再び板倉の前に沈黙していた履正社打線だが、8回には坂根のヒットと四球で作った2死1・2塁のチャンスで、7番西田が痛烈な打球で1・2塁間を抜くタイムリーヒットで1点差。ただ続く同点のチャンスでは、板倉がまたもや踏ん張り、代打太鼓地をセカンドゴロに仕留める。
履正社は8・9回と2番手の高木が力強いストレートを武器にパーフェクト投球をみせ、試合は大商大が1点リードのまま最終回を向ける。9回裏に履正社は1死から1番近澤がこの試合3本目となるヒットで出塁。2死となるも、プロ注目の3番西もセンター前ヒットを放ち、1打同点、長打が出れば逆転サヨナラというチャンスを作り4番坂根を迎える。しかし板倉はここでもピンチでの強さを発揮し、坂根を2球で追い込むと、最後は外に逃げるスライダーで空振り三振。大商大は1安打ながらも、4ー3で追いすがる履正社を下した。

完投勝利をあげてガッツポーズの大商大バッテリー

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
履正社としては、序盤の自滅が響いて、まさかのノーシードとなってしまった。これはこれで改善しなければいけない一方、選手個々の実力は全国でもトップクラスであり、ノーシートというのは大阪桐蔭も含めて、他の強豪チームから見ても嫌であろう。特に福田→高木の投手陣は共に力強いストレートを誇り、大商大打線を1安打に抑えた。この2人は昨秋は登板機会が少なかったが、この春にかけては台頭してきており、それにより秋は背番号1を背負っていた左腕の増田は、近畿大会で2試合連続ホームランを放った打力を生かして、この春は背番号7でレフトを守っている。途中ベンチ前でキャッチボールをするなど、投手としての登板もうかがっていたが、投手陣の厚みが増したことには変わりない。福田に関しては序盤の制球難や自らのエラーなど課題は出たものの、力のあるストレートに、右バッターの膝元に鋭く曲がるスライダーは強烈で、素材としてはドラフト候補といえる投手になった。野手組では、森澤・西・坂根・森田とこの試合で2~5番を務めた4人もドラフト候補といえる逸材であり、5人のドラフト候補を抱える強力チームであるといえる。

投手としても実力者ながら今大会ではレフトを守る増田
大商大は実は、2019年の春季大阪大会でも履正社を破り、そのまま大阪大会で優勝を果たしている。ちなみにこの時破った履正社は、井上(阪神)らがおり、夏に甲子園で優勝したチームだ。この時の大商大高のエースは、現在の大商大のエースで今年のドラフト候補である上田である。この試合で履正社打線を見事に抑えて完投勝利をあげたエース板倉も、大学野球を経てプロを目指したいと、早くも大商大進学を宣言しており、上田と同様のケースに期待したい。さらにさかのぼると、上田の4年前は大西(大商大高→大商大→ヤクルト)、さらにその4年前は岡田(大商大高→大商大→広島)と4年周期で、大商大高は好投手をプロに輩出している。大商大にとっては、2つの意味で吉兆ともいえる勝利であったといえる。

大阪商業大のエースで今年のドラフト候補の上田
Pickup Player
板倉大輔 大商大高3年 投手
~強力打線相手にここ一番での強さを発揮し完投勝利~
大商大はエース板倉が強力履正社打線にも臆せず、ここ一番での素晴らしい投球をみせ3失点完投で勝利した。
184㎝のスラっとした体格の大商大の板倉は、2年秋からチームのエースとなるも、秋は大阪桐蔭の前にコールド負け。今日の相手の履正社にも練習試合では、6回8失点でKOされ、さらに冬場には右肘を痛めてしまう。ただ今年3月の練習試合では144㌔をマークするまでに成長し、この試合でも先発のマウンドに上がった。
この試合の板倉の魅力はスピードというよりも、コントロールと変化球、そしてここ一番での強さであった。いきなり初回に先頭打者の近澤を得意のスライダーで3球三振に仕留めると、3番西・4番坂根とプロ注目の2人からも三振を奪うなど上々のスタートを切った。板倉のスライダーは曲がりが大きく、そして右バッターの外のボールゾーンにかけていいところに決まっており、他にカーブやフォークも投じていたが、変化球ではスライダーが割合としても格段に多かった。スライダーだけでなく、ストレートも低めに丁寧に投げることができており、コントロールも良かった。
4回まで履正社打線を1安打に抑えていた板倉であるが、5回にはついに捕まってしまい、近澤にタイムリーを浴びて2失点。そこから森澤・西に連続四球を与え、誰もがここで履正社打線の怖さを知り、本来の投球ができなくなったと思った。しかしここでギアを入れ替えたのか、4番坂根を2球で追い込むと、最後はアウトコースいっぱいのストレートで見逃し三振。続く森田も得意のスライダーで空振り三振に仕留めるなど、このピンチで最高の投球をみせた。6・7回は再び履正社打線を3人ずつで抑える序盤と同じ投球をみせると、8回には1点差に迫られ、最終回にも2死1・2塁のピンチを迎える。ただここでもギアを入れ替えたのか、4番坂根に対してまたもや2球で追い込むと、最後はボールゾーンに曲がる得意のスライダーで3球三振。ここ一番での投球が光り、履正社から7安打9奪三振3失点完投勝利をあげた。
板倉は現段階では大学進学(おそらく大商大)を表明している。タイプ的にも144㌔は出るとのことだが、現段階では圧倒的な投球をするというよりは、変化球・コントロールなども含めた総合力の高い投手だと思っている。ただここ一番で最高の投球ができるメンタルはプロ向きだ。上述の通り、大商大高は4年周期で好投手を輩出しており、今年の板倉もその周期にあたる。まずは夏の大阪大会で、履正社や大阪桐蔭を食うことが目標であろうが、早くも大学球界での活躍が楽しみな投手である。

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大商大高×履正社
試合経過
春季大阪大会は、4回戦からようやく有観客となり、大阪シティ信金スタジアムでは大商大高と、センバツにも出場した履正社という強豪同士が激突した。
履正社の先発は、センバツに続いて背番号1を背負う福田。球威のある左腕ではあるが、立ち上がりは制球に苦しみ、1番藤原・3番高岡と2人を歩かせてしまいピンチを背負う。4番安田は低めのワンバンするスライダーで三振に仕留めるも、キャッチャーが弾く間にランナーが進塁すると、5番久保の打席でも同じようにワンバンしたスライダーをキャッチャーが後逸し、藤原が生還して大商大が先制する。

先制のホームを踏んだ大商大のリードオフマン藤原
2回表には、福田は1死からのセカンドゴロを只石が暴投してしまいランナーを許すと、続く打者には右打者の足元のスライダーが当たってしまい死球で1・2塁。続く9番板倉のバントを、福田は3塁へ送球するも、(タイミングはアウトだったが)これが暴投となりランナー1人が生還。さらに続く藤原のショートゴロは難しいバウンドであったものの、これをショート森澤が取れずに、2者が生還。この回履正社は3個のエラーで3失点を喫し、大商大高は2回までにノーヒットながら4得点をあげる。
早く追いつきたい履正社であるが、大商大の先発板倉の前に、4回まで1安打無得点と完全に抑えられていた。しかし5回裏、四球と福田のライト線への2ベースで1死2・3塁のチャンスを作ると、1番近澤がレフトへタイムリーを放ち、レフトのエラーもあって2人が還って2ー4。さらに森澤・西と連続四球を選んで、1死満塁と一気に逆転までみえるチャンスを作り、4番坂根を迎える。ただ板倉がここでギアを入れ直したのか、なんと4番坂根を3球三振に仕留めると、続く5番森田も三振に仕留めて、履正社の反撃を断ち切った。

履正社反撃のタイムリーを放つ近澤
履正社の福田は、3回以降は持ち味の力のあるストレートと、鋭く曲がるスライダーを武器に好投。スライダーに関して言えば、序盤にはバッテリーミスや死球で得点に繋がってしまったものの、右バッターの足下にワンバンするように曲がるボールに、大商大打線のバットは空を切っており有効であった。結局福田は7回まで投げて、打たれたヒットは、5回には藤原に浴びた単打1本のみだが、4失点(自責点1)という内容であった。

7回まで大商大打線を1安打に抑えた福田
6・7回は再び板倉の前に沈黙していた履正社打線だが、8回には坂根のヒットと四球で作った2死1・2塁のチャンスで、7番西田が痛烈な打球で1・2塁間を抜くタイムリーヒットで1点差。ただ続く同点のチャンスでは、板倉がまたもや踏ん張り、代打太鼓地をセカンドゴロに仕留める。
履正社は8・9回と2番手の高木が力強いストレートを武器にパーフェクト投球をみせ、試合は大商大が1点リードのまま最終回を向ける。9回裏に履正社は1死から1番近澤がこの試合3本目となるヒットで出塁。2死となるも、プロ注目の3番西もセンター前ヒットを放ち、1打同点、長打が出れば逆転サヨナラというチャンスを作り4番坂根を迎える。しかし板倉はここでもピンチでの強さを発揮し、坂根を2球で追い込むと、最後は外に逃げるスライダーで空振り三振。大商大は1安打ながらも、4ー3で追いすがる履正社を下した。

完投勝利をあげてガッツポーズの大商大バッテリー

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
履正社としては、序盤の自滅が響いて、まさかのノーシードとなってしまった。これはこれで改善しなければいけない一方、選手個々の実力は全国でもトップクラスであり、ノーシートというのは大阪桐蔭も含めて、他の強豪チームから見ても嫌であろう。特に福田→高木の投手陣は共に力強いストレートを誇り、大商大打線を1安打に抑えた。この2人は昨秋は登板機会が少なかったが、この春にかけては台頭してきており、それにより秋は背番号1を背負っていた左腕の増田は、近畿大会で2試合連続ホームランを放った打力を生かして、この春は背番号7でレフトを守っている。途中ベンチ前でキャッチボールをするなど、投手としての登板もうかがっていたが、投手陣の厚みが増したことには変わりない。福田に関しては序盤の制球難や自らのエラーなど課題は出たものの、力のあるストレートに、右バッターの膝元に鋭く曲がるスライダーは強烈で、素材としてはドラフト候補といえる投手になった。野手組では、森澤・西・坂根・森田とこの試合で2~5番を務めた4人もドラフト候補といえる逸材であり、5人のドラフト候補を抱える強力チームであるといえる。

投手としても実力者ながら今大会ではレフトを守る増田
大商大は実は、2019年の春季大阪大会でも履正社を破り、そのまま大阪大会で優勝を果たしている。ちなみにこの時破った履正社は、井上(阪神)らがおり、夏に甲子園で優勝したチームだ。この時の大商大高のエースは、現在の大商大のエースで今年のドラフト候補である上田である。この試合で履正社打線を見事に抑えて完投勝利をあげたエース板倉も、大学野球を経てプロを目指したいと、早くも大商大進学を宣言しており、上田と同様のケースに期待したい。さらにさかのぼると、上田の4年前は大西(大商大高→大商大→ヤクルト)、さらにその4年前は岡田(大商大高→大商大→広島)と4年周期で、大商大高は好投手をプロに輩出している。大商大にとっては、2つの意味で吉兆ともいえる勝利であったといえる。

大阪商業大のエースで今年のドラフト候補の上田
Pickup Player
板倉大輔 大商大高3年 投手
~強力打線相手にここ一番での強さを発揮し完投勝利~
大商大はエース板倉が強力履正社打線にも臆せず、ここ一番での素晴らしい投球をみせ3失点完投で勝利した。
184㎝のスラっとした体格の大商大の板倉は、2年秋からチームのエースとなるも、秋は大阪桐蔭の前にコールド負け。今日の相手の履正社にも練習試合では、6回8失点でKOされ、さらに冬場には右肘を痛めてしまう。ただ今年3月の練習試合では144㌔をマークするまでに成長し、この試合でも先発のマウンドに上がった。
この試合の板倉の魅力はスピードというよりも、コントロールと変化球、そしてここ一番での強さであった。いきなり初回に先頭打者の近澤を得意のスライダーで3球三振に仕留めると、3番西・4番坂根とプロ注目の2人からも三振を奪うなど上々のスタートを切った。板倉のスライダーは曲がりが大きく、そして右バッターの外のボールゾーンにかけていいところに決まっており、他にカーブやフォークも投じていたが、変化球ではスライダーが割合としても格段に多かった。スライダーだけでなく、ストレートも低めに丁寧に投げることができており、コントロールも良かった。
4回まで履正社打線を1安打に抑えていた板倉であるが、5回にはついに捕まってしまい、近澤にタイムリーを浴びて2失点。そこから森澤・西に連続四球を与え、誰もがここで履正社打線の怖さを知り、本来の投球ができなくなったと思った。しかしここでギアを入れ替えたのか、4番坂根を2球で追い込むと、最後はアウトコースいっぱいのストレートで見逃し三振。続く森田も得意のスライダーで空振り三振に仕留めるなど、このピンチで最高の投球をみせた。6・7回は再び履正社打線を3人ずつで抑える序盤と同じ投球をみせると、8回には1点差に迫られ、最終回にも2死1・2塁のピンチを迎える。ただここでもギアを入れ替えたのか、4番坂根に対してまたもや2球で追い込むと、最後はボールゾーンに曲がる得意のスライダーで3球三振。ここ一番での投球が光り、履正社から7安打9奪三振3失点完投勝利をあげた。
板倉は現段階では大学進学(おそらく大商大)を表明している。タイプ的にも144㌔は出るとのことだが、現段階では圧倒的な投球をするというよりは、変化球・コントロールなども含めた総合力の高い投手だと思っている。ただここ一番で最高の投球ができるメンタルはプロ向きだ。上述の通り、大商大高は4年周期で好投手を輩出しており、今年の板倉もその周期にあたる。まずは夏の大阪大会で、履正社や大阪桐蔭を食うことが目標であろうが、早くも大学球界での活躍が楽しみな投手である。

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