7/2 侍ジャパン大学代表合宿 練習試合
侍ジャパン大学代表×東芝 @バッティングパレス相石スタジアムひらつか
試合経過日米大学野球選手権に出場する侍ジャパン大学代表は、4日間の直前合宿を開催。3日目となるこの日は、前日のENEOS戦に続いて、東芝との練習試合が実施された。
東芝の先発のサイドバンド粂は、初回簡単に2死を取るも、大学代表はそこから3番宗山がチーム初ヒットを放つと、4番西川もしぶとく繋いで1・3塁。5番上田希のセカンド横を強く破るタイムリーで先制すると、6番廣瀬は1・2塁間を破り、7番佐々木はレフト線へ2ペースと、2死ぬからの5連打、3連続タイムリーで初回に大学代表が3点をあげる。
先制タイムリーを放った上田希大学代表の先発は、全日本大学野球選手権の優勝投手の常廣。短いイニングでの登板ということで、150㌔連発が期待されたが、まだ滑る国際球に対応できていないということで、ストレートは140㌔前半が多く、MAXは148㌔止まり。カーブを多めに緩急をつけた投球で、初回は無事に無失点で切り抜けた。
侍ジャパン大学代表の先発を務めた常廣ただ東芝は2回裏に、松本のヒットと四球で無死1・2塁のチャンス。続く中村は併殺に倒れて、2死3塁となってしまったものの、8番太田がセンター前にタイムリー。さらに3回には、ライト守備で2度もファインプレーを見せていた1番光本が左中間スタンドへソロホームラン。大学時代の主戦場である平塚で、帝京大戦士が躍動して、東芝が2点目をあげ、1点差に迫る。常廣は3回2失点で、結果以上に不安の残る内容であった。
ファインプレーにホームランと攻守にわたる活躍をみせた光本東芝の粂は、サイドからのMAX148㌔のストレートと得意のスライダーを軸とした投球で、2〜4回は大学代表打線をパーフェクトに抑えていた。ただ5回に大学代表は、1番宮崎一がチームとしては初回以来となるヒットを放つと、宗山が続いて2死1・3塁。ここで4番西川がセンター前に弾き返し追加点をあげ、リードを4ー2と広げる。
大学代表は4回からは今年のドラフトの目玉で、エース候補の左腕細野が登板。先週の入替戦で185球も投じて完投した影響か、この試合でも登板は1イニングのみであったが、Max151㌔のストレートに大きく曲がるスライダーを武器に、四球でランナーを1人出したものの無安打無失点。5回からは草加が登板し、東都2部の最優秀投手→東都1部の最優秀投手へのリレーが実現。草加はMax152㌔のストレートに、スライダー・カーブ・フォークなどの変化球を駆使し、ピンチは背負ったものの3回無失点で、本番での先発投手入りへ大きくアピールした。
3回無失点の好投を見せた草加東芝も6回からは継投に入り、6回は後輩が相手チームに多い青山学院大出身のルーキー左腕の北村、7回は今年から本格的に投手に転向した谷川と新戦力の2人が無安打無失点の好投。8回は松山がピンチを招いたものの、辻本を併殺に打ち取り無失点。9回には高卒2年目のルーキー西村が登板して、年上にあたる大学代表から2三振を奪い無失点と、東芝は1イニングずつのリレーで相手打線を後半は無失点に抑えた。
6回に登板した東芝のルーキー北村ただ大学代表も8回には古謝が登板してMax151㌔のストレートを武器に、1回2奪三振パーフェクト。最終回には木村が登板し、こちらはスライダー・フォークといった変化球を中心に、最終回を締めてゲームセット。大学代表が前半で奪ったリードを守り切り、4-2で勝利した。
最終回を締めた木村
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選考合宿はあったものの、このメンバーでのチームスタートは2日前だが、日米大学野球選手権まではもう1週間を切っているという侍ジャパン大学代表。チームの布陣として、決まっているところ、そして競いながら調子のいい選手を起用するところが見えてきていた。野手でいえばキャッチャー進藤、ショート宗山の昨年の代表からのレギュラー2人に加えて、レフト西川、DHも含めてポジションは流動的だが上田希・廣瀬・佐々木の3人も含めた6人はレギュラーとして決まりのようで、この試合でもほぼフル出場していた。その一方でセカンドは宮下・辻本・熊田の争い、センター・ライトは中島・宮崎一・渡部・天井の争いと、この3ポジションは激戦区となっている。投手陣も各チームのエースがいるだけあって先発争いはし烈で、村田を抑えに回して、3枠ほどの先発の座を下村・常廣・草加・武内・細野ら東都の投手陣で争う構図となっている。最有力の常廣が今日は不安な内容だっただけに、本番どうなるのかこちらは、大久保監督のみぞ知る(というかひょっとしたらまだ悩んでいる)という状況であろうか。
都市対抗開幕を2週間後に控える東芝にとっても、これは重要な練習試合で、メンバーはほぼガチであったと思われる。エース藤村こそ登板しなかったものの、先発2番手として期待される粂が投げ、6回以降も本番さながらのリリーフ陣であった。今年は補強選手もいないために、特に投手陣は自前の選手たちでやりくりする必要があり、例年より1~2枚は多く用意しなければならないだろう。その中で期待のもてる投球をしたのが、9回に登板した高卒2年目の左腕西村。智弁学園では2020年に夏の甲子園準優勝を果たした左腕は、Max143㌔のストレートと、鋭く曲がるスライダーを武器に、年上となる大学代表の選手たち相手に1イニング2奪三振無失点に抑えると、その後に行われた無死1・2塁スタートのタイブレーク練習でも、満塁のピンチで上田希から三振を奪うなどして無失点に抑えるなど、都市対抗デビューに向けて大きくアピールに成功したといえる。
都市対抗での登板に向けてアピールに成功した西村Pickup Player西川史礁 青山学院大3年 レフト~ジャパンの4番が3安打の活躍~侍ジャパン大学代表の4番に座った西川が、タイムリーを含む3安打の活躍で、起用に応えた。
西川は龍谷大平安では2年春のセンバツで背番号16ながら3試合ともショートとして出場。初戦では津田学園の前(オリックス)からヒットを放つと、続く盛岡大付戦では2安打3打点の活躍をみせた。2年秋からは3番ショートを務め、大型ショートとして注目はされたいたものの、卒業後は兄の西川藍畝が主将を務めていた青山学院大に進学。1年秋から代打などで出場機会を得たものの、結果は残せずにレギュラー獲得とはならなかった。
しかし今年は持ち前の打撃が開花し、リーグ戦では4番レフトとしてスタメンに定着すると、打率.364(リーグ2位)・10打点(リーグ2位)・3本塁打(トップタイ)という活躍で打線を牽引し、チームを優勝に導き、MVP・ベストナインを獲得。全日本大学野球選手権でも中部学院大戦でホームランを含む3安打、決勝の明治大戦でも先制タイムリーを放つなど打率.467の活躍をみせて、春の日本一を達成。レギュラー獲得からあっという間に大学球界トップクラスの打者に昇りつめ、大学日本代表候補合宿でも紅白戦で古謝(桐蔭横浜大)から2ランを放つなどしてメンバーに選出された。
前日の練習試合でも4番レフトでスタメン出場した西川であったが、死球を受けて早々に交代。状態が心配であったが、打撲ということでこの試合も引き続き4番レフトとしてスタメンに名を連ねた。まず2死1塁で迎えた第1打席では、追い込まれながらも低めの変化球にうまく合わせてセンター前ヒットで1・3塁とチャンスを広げると、そこからチームは3連続タイムリーに繋がった。第2打席ではライト光本のファインプレーでライトフライに倒れたものの、2死1・3塁で迎えた第3打席では粂の143㌔のストレートをセンター前に弾き返し、貴重な追加点となるタイムリー。第5打席でも、左腕松山のボールをうまく逆らわずに、1・2塁間に運ぶヒットを放ち、4打数3安打1打点という活躍であった。
西川のいいところは、何といってもスイングに思い切りの良さがあるところだ。182㎝81㎏という体格は、侍ジャパンの4番としてはまだ細身だが、そのスイングはまさに4番打者である。豪快な一方、1打席目のように追い込まれてもしぶとくヒットを放つなど対応力もあり、アベレージもしっかり残せる打者だ。守備でも、もともとはショートをやっていただけあり、肩力や走力も申し分はない。
昨年の代表で4番を務めた廣瀬や上田希を押しのけての4番起用、そしてこの試合では起用に見事に応えて見せた。大学日本代表の4番は、侍ジャパンのサイトに記録のある2014年以降、中村(ロッテ)・吉田(レッドソックス)・大山(阪神)・牧(DeNA)ら全員がプロ入りを果たしている。西川もこの打撃を続けることができれば、来年は貴重な右の強打者としてドラフト戦線に名を連ねることだろう。

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テーマ : 大学野球
ジャンル : スポーツ