健大高崎×帝京【春季関東大会】
5/24 春季関東大会準々決勝
健大高崎×帝京 @サーティーフォー保土ヶ谷球場
試合経過
春季関東大会の準々決勝は、初戦サヨナラ勝ちで勢いに乗る健大高崎と、センバツ優勝校の山梨学院に打ち勝った帝京の対戦。エース小玉が大会直前にベンチ外となった健大高崎は1年生の石垣が、帝京は背番号10の3年生左腕安藤が先発のマウンドに上がった。
まず帝京の安藤は、ストレートのスピードはMAX129㌔と数字はそれほどでもなかったが、ボールは走っていたようで、またコントロールも良かった。スライダー・カーブ・チェンジアップといった変化球も良かったが、この試合ではストレート多めの投球で、健大高崎打線を次々と打ち取っていき、5回まで許したヒットはわずか2本で無失点という素晴らしい投球をみせる。

好投をみせる帝京先発の安藤
対する健大高崎の石垣は、ゆったりと足を上げてから、いきなりスピードアップして腕を振り抜くフォームで、MAX140㌔をマークしたストレートに加え、変化球なども含めてコントロールが良く、三振こそ0個だったが、こちらも帝京打線を次々と討ち取っていく。5回まで許したランナーは死球の1人のみのノーヒットピッチングと、この上ない公式戦先発デビューを果たすこととなった。
帝京の6回裏の先頭安藤の打球は、ショート守備範囲だが、強烈な打球でうまくバウンドを合わせられなかったショートは取れず、打球は外野に抜けていった。Hのランプが灯ると、観衆からは溜息が漏れ、帝京は川本が送って1死2塁というチャンスで1番に戻る。しかしここでも1年生らしからず動じなかった石垣は、野村・杉山を討ち取りピンチを脱した。
この日の保土ヶ谷は風が強い上に、両チームの各打者がフライを打ち上げるケースも多く、守備としては難しい対応が迫られたが、そこは鍛えられている両チームでそのフライを見事にキャッチしていた。しかし8回表の健大高崎の攻撃では、先頭の高山の打ち上げたフライを帝京のサード奈良が落球してしまい、バントで送って1死2塁のチャンスとなる。続く森の打球はレフトフェンス際まで飛ぶも、あと1歩及ばずにレフトフライ。ランナーがタッチアップして2死3塁となったところで、青柳監督は好投の石垣のところで、代打に元4番の強打者佐藤志を送る。佐藤志は粘るも、最後は安藤が変化球で三振に仕留め、帝京がこのピンチを脱した。
代打の関係で8回裏の健大高崎のマウンドに多田が上がると、今度は帝京の流れとなる。先頭の大石のヒット、さらに川本の内野安打と、7回まで1安打だった帝京打線がヒット2本を放つも、最後は小玉不在の今大会で健大高崎投手陣の中心として期待される多田が、帝京1番の野村を討ち取り無得点。試合は0ー0のまま9回に突入することとなった。

帝京は大石が投手の代わりっぱなにヒットを放ちチャンスを作ったが無得点
9回表、健大高崎の先頭の團之原が左中間を破る2ベースを放ったところで、帝京はエース高橋をマウンドに送る。ただ健大高崎は1番半田が送ると、2番狩野が左中間へ先制のタイムリーヒット。一気に3塁を狙った狩野はアウトになってしまったものの、続く森田のサードゴロを奈良が暴投してしまい2塁に進むと、箱山の高く上がったフライを、今度はキャッチャーが落球してしまい、帝京の連続エラーで2点目をあげる。

左中間を破る先制タイムリーを放った狩野
最終回の帝京の攻撃は2死となるも、そこからショートエラーと四球で2死1・2塁とホームランが出れば逆転サヨナラというチャンスを作る。しかし6番大石の打球はライトフライとなり、ゲームセット。健大高崎が石垣→多田の完封リレーで帝京を下し、横浜スタジアムで行われる準決勝にコマを進めた。

8・9回を抑えて完封リレーを完成させた多田

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
ともにエースが先発でなく、帝京はどちらかと言うと軟投派の左腕、健大高崎は1年生投手ということで、両チームともこの試合は、投手を繋いでいくものと予想された。しかしフタを空けてみると、両投手が素晴らしい投球で、得点が入らない、予想外の投手戦。特に帝京打線は、センバツ優勝投手であり、初戦では5回参考ながら横浜隼人相手にノーヒットノーランを達成していた山梨学院のエース林を打って、9得点もあげて勝利したチームだ。風が打者には不利な方向に吹いていたという要素はあるものの、それが1年生投手にノーヒットに抑えられてしまうのだから、「打線は水物」という言葉に尽きるだろう。両チーム共に、エースに次ぐ投手という点では、大きな収穫のあった試合だろう。
大阪桐蔭などがずば抜けている近畿大会に対して、群雄割拠となっている関東大会だが、その中でも近年の優勝回数でいえばトップに位置するのが健大高崎。エース小玉はベンチ外ながら、この試合の後も準決勝・決勝と勝利して、関東大会を制している。強さをキープしていく上で、1番必要なのは、まず安定した守備力であるが、この試合では1年生の石垣が7回無失点の好投。世代最強左腕といわれた佐藤と共に、早くもベンチ入りをしており、順調にいけばあと2年半は投手は安泰だ。それどころかドラフト候補投手を2人抱えることになり、育成指名を除けば、健大高崎から初の高卒投手プロ入りも見えてくる。正捕手の箱山も現2年生世代ではNo1捕手との呼び声も高く、今年だけでなく来年以降もディフェンス面に目途が立っている健大高崎は、関東大会で常勝軍団として君臨する日がくるかもしれない。

来年以降も健大高崎の柱として期待される箱山
Pickup Player
石垣元気 健大高崎1年 投手
~1年生右腕が7回1安打無失点の好投~
エース小玉不在の中で、先発を任された1年生右腕の石垣が7回1安打無失点と見事すぎる投球をみせた。
洞爺湖リトルシニア時代から北海道選抜にも選ばれるなど名をはせていた右腕は、数ある誘いの中から健大高崎へ進学すると、群馬大会決勝ではリリーフとして公式戦デビューし、1回無失点で145㌔をマークした。その後は桐光学園との練習試合で完封するなど結果を残し、この関東大会ではエース小玉が直前にケガでメンバーを外れたこともあり、メンバー変更でベンチ入りを決めた。すると初戦の土浦日大戦ではリリーフで3回無失点の好投をみせ、この試合では先発のマウンドを任された。
石垣はゆっくりと足をあげて、そこからスピードを上げて勢いよく腕を振るフォームで、非常に安定感がある。この試合ではストレートはMax140㌔で、ほとんどが130㌔台とリリーフの時ほどのスピードは出ていなかったものの、コントロールもよく、スライダー・カーブ・チェンジアップといった変化球もうまく使えていた。三振こそ取れなかったものの、少ない球数で帝京打線を次々と打ち取っていった。5回までは許したランナーは、インコースのボールがかすった死球の1人のみであり、わずか48球で準パーフェクト投球をみせた。6回に打たれたヒットも、エラー?とも思われるような当たりであり、ピンチの場面でも1年生らしからぬ落ち着いた投球でしのいだ。7回裏の先制のチャンスの場面で打席が回ってきたので、代打を送られてしまったが、山梨学院のエース林を攻略した帝京打線相手に、7回1安打無失点と素晴らしい投球をみせた。
やはり145㌔というスピードの話が先行していたが、この日の石垣はスピードよりも、総合力が高く、打たせてとるクレバーな投球が目立った。同じくスーパー1年生としてベンチ入りしている佐藤龍月よりも、現段階での完成度は上であろう。あとはもっと力がついてきて、先発でも140中盤などを安定して出せるようになると心強いが、まだ高校野球が2年生以上もあることを考えると、それは石垣にとっては低い目標かもしれない。現在の1年生の中ではトップクラスの投手で、再来年のドラフト候補となることは間違いないだろう。

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健大高崎×帝京 @サーティーフォー保土ヶ谷球場
試合経過
春季関東大会の準々決勝は、初戦サヨナラ勝ちで勢いに乗る健大高崎と、センバツ優勝校の山梨学院に打ち勝った帝京の対戦。エース小玉が大会直前にベンチ外となった健大高崎は1年生の石垣が、帝京は背番号10の3年生左腕安藤が先発のマウンドに上がった。
まず帝京の安藤は、ストレートのスピードはMAX129㌔と数字はそれほどでもなかったが、ボールは走っていたようで、またコントロールも良かった。スライダー・カーブ・チェンジアップといった変化球も良かったが、この試合ではストレート多めの投球で、健大高崎打線を次々と打ち取っていき、5回まで許したヒットはわずか2本で無失点という素晴らしい投球をみせる。

好投をみせる帝京先発の安藤
対する健大高崎の石垣は、ゆったりと足を上げてから、いきなりスピードアップして腕を振り抜くフォームで、MAX140㌔をマークしたストレートに加え、変化球なども含めてコントロールが良く、三振こそ0個だったが、こちらも帝京打線を次々と討ち取っていく。5回まで許したランナーは死球の1人のみのノーヒットピッチングと、この上ない公式戦先発デビューを果たすこととなった。
帝京の6回裏の先頭安藤の打球は、ショート守備範囲だが、強烈な打球でうまくバウンドを合わせられなかったショートは取れず、打球は外野に抜けていった。Hのランプが灯ると、観衆からは溜息が漏れ、帝京は川本が送って1死2塁というチャンスで1番に戻る。しかしここでも1年生らしからず動じなかった石垣は、野村・杉山を討ち取りピンチを脱した。
この日の保土ヶ谷は風が強い上に、両チームの各打者がフライを打ち上げるケースも多く、守備としては難しい対応が迫られたが、そこは鍛えられている両チームでそのフライを見事にキャッチしていた。しかし8回表の健大高崎の攻撃では、先頭の高山の打ち上げたフライを帝京のサード奈良が落球してしまい、バントで送って1死2塁のチャンスとなる。続く森の打球はレフトフェンス際まで飛ぶも、あと1歩及ばずにレフトフライ。ランナーがタッチアップして2死3塁となったところで、青柳監督は好投の石垣のところで、代打に元4番の強打者佐藤志を送る。佐藤志は粘るも、最後は安藤が変化球で三振に仕留め、帝京がこのピンチを脱した。
代打の関係で8回裏の健大高崎のマウンドに多田が上がると、今度は帝京の流れとなる。先頭の大石のヒット、さらに川本の内野安打と、7回まで1安打だった帝京打線がヒット2本を放つも、最後は小玉不在の今大会で健大高崎投手陣の中心として期待される多田が、帝京1番の野村を討ち取り無得点。試合は0ー0のまま9回に突入することとなった。

帝京は大石が投手の代わりっぱなにヒットを放ちチャンスを作ったが無得点
9回表、健大高崎の先頭の團之原が左中間を破る2ベースを放ったところで、帝京はエース高橋をマウンドに送る。ただ健大高崎は1番半田が送ると、2番狩野が左中間へ先制のタイムリーヒット。一気に3塁を狙った狩野はアウトになってしまったものの、続く森田のサードゴロを奈良が暴投してしまい2塁に進むと、箱山の高く上がったフライを、今度はキャッチャーが落球してしまい、帝京の連続エラーで2点目をあげる。

左中間を破る先制タイムリーを放った狩野
最終回の帝京の攻撃は2死となるも、そこからショートエラーと四球で2死1・2塁とホームランが出れば逆転サヨナラというチャンスを作る。しかし6番大石の打球はライトフライとなり、ゲームセット。健大高崎が石垣→多田の完封リレーで帝京を下し、横浜スタジアムで行われる準決勝にコマを進めた。

8・9回を抑えて完封リレーを完成させた多田

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
ともにエースが先発でなく、帝京はどちらかと言うと軟投派の左腕、健大高崎は1年生投手ということで、両チームともこの試合は、投手を繋いでいくものと予想された。しかしフタを空けてみると、両投手が素晴らしい投球で、得点が入らない、予想外の投手戦。特に帝京打線は、センバツ優勝投手であり、初戦では5回参考ながら横浜隼人相手にノーヒットノーランを達成していた山梨学院のエース林を打って、9得点もあげて勝利したチームだ。風が打者には不利な方向に吹いていたという要素はあるものの、それが1年生投手にノーヒットに抑えられてしまうのだから、「打線は水物」という言葉に尽きるだろう。両チーム共に、エースに次ぐ投手という点では、大きな収穫のあった試合だろう。
大阪桐蔭などがずば抜けている近畿大会に対して、群雄割拠となっている関東大会だが、その中でも近年の優勝回数でいえばトップに位置するのが健大高崎。エース小玉はベンチ外ながら、この試合の後も準決勝・決勝と勝利して、関東大会を制している。強さをキープしていく上で、1番必要なのは、まず安定した守備力であるが、この試合では1年生の石垣が7回無失点の好投。世代最強左腕といわれた佐藤と共に、早くもベンチ入りをしており、順調にいけばあと2年半は投手は安泰だ。それどころかドラフト候補投手を2人抱えることになり、育成指名を除けば、健大高崎から初の高卒投手プロ入りも見えてくる。正捕手の箱山も現2年生世代ではNo1捕手との呼び声も高く、今年だけでなく来年以降もディフェンス面に目途が立っている健大高崎は、関東大会で常勝軍団として君臨する日がくるかもしれない。

来年以降も健大高崎の柱として期待される箱山
Pickup Player
石垣元気 健大高崎1年 投手
~1年生右腕が7回1安打無失点の好投~
エース小玉不在の中で、先発を任された1年生右腕の石垣が7回1安打無失点と見事すぎる投球をみせた。
洞爺湖リトルシニア時代から北海道選抜にも選ばれるなど名をはせていた右腕は、数ある誘いの中から健大高崎へ進学すると、群馬大会決勝ではリリーフとして公式戦デビューし、1回無失点で145㌔をマークした。その後は桐光学園との練習試合で完封するなど結果を残し、この関東大会ではエース小玉が直前にケガでメンバーを外れたこともあり、メンバー変更でベンチ入りを決めた。すると初戦の土浦日大戦ではリリーフで3回無失点の好投をみせ、この試合では先発のマウンドを任された。
石垣はゆっくりと足をあげて、そこからスピードを上げて勢いよく腕を振るフォームで、非常に安定感がある。この試合ではストレートはMax140㌔で、ほとんどが130㌔台とリリーフの時ほどのスピードは出ていなかったものの、コントロールもよく、スライダー・カーブ・チェンジアップといった変化球もうまく使えていた。三振こそ取れなかったものの、少ない球数で帝京打線を次々と打ち取っていった。5回までは許したランナーは、インコースのボールがかすった死球の1人のみであり、わずか48球で準パーフェクト投球をみせた。6回に打たれたヒットも、エラー?とも思われるような当たりであり、ピンチの場面でも1年生らしからぬ落ち着いた投球でしのいだ。7回裏の先制のチャンスの場面で打席が回ってきたので、代打を送られてしまったが、山梨学院のエース林を攻略した帝京打線相手に、7回1安打無失点と素晴らしい投球をみせた。
やはり145㌔というスピードの話が先行していたが、この日の石垣はスピードよりも、総合力が高く、打たせてとるクレバーな投球が目立った。同じくスーパー1年生としてベンチ入りしている佐藤龍月よりも、現段階での完成度は上であろう。あとはもっと力がついてきて、先発でも140中盤などを安定して出せるようになると心強いが、まだ高校野球が2年生以上もあることを考えると、それは石垣にとっては低い目標かもしれない。現在の1年生の中ではトップクラスの投手で、再来年のドラフト候補となることは間違いないだろう。

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