東北福祉大×富士大【東北地区大学野球選手権】 ~東北福祉大がコールド寸前から逆転勝利をおさめ優勝~
7/2 東北地区大学野球選手権 決勝
東北福祉大×富士大 @仙台市民球場
東北地区大学野球選手権も最終日。それぞれ同日の準決勝で仙台大(仙台六大学2位)を破った富士大(北東北1位)と、八戸学院大(北東北2位)を破った東北福祉大(仙台六大学1位)の対決です。
試合スコア
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

富士大は3回裏に1死2塁から佐藤龍がレフトフェンス直撃のタイムリー2ベースを放ち先制。ただそれ以外は上島・山野の両先発がランナーを出しながらも踏ん張り、試合は富士大が1-0とリードしたまま5回を終える。
6回裏、山野に疲れが見え始めてきたか、3四死球で満塁のピンチを迎える。ここで富士大の代打:冨永に押し出しの四球を与えてしまい、山野は降板。代わった成田が1番楠に1・2塁間を破られる2点タイムリー、3番佐藤龍の右中間への走者一掃のタイムリー3ベースを浴びてリードを7点に広げられる。
後がない東北福祉大は7回表に2死2塁からクリーンアップの3連続タイムリーで3点を返すと、8回表には冨木・深江・岩崎・吉田と4連続レフト前ヒットで富士大2番手佐々木をKO。代わった渡辺は連続三振を奪うも、そこから楠本に同点タイムリー2ベースを浴び、さらに清水に逆転となるタイムリー2ベースも浴び、東北福祉大が7点差を逆転する。
東北福祉大は数時間前の試合でも3イニングを投げたリリーフエースの津森を投入して逃げ切りを図るも、ショートの暴投で2塁まで進まれると、4番三浦に同点タイムリーを浴びてしまい、試合は延長戦タイブレークに突入する。
1死満塁から始まるタイブレークでは10回表に1番吉田からの攻撃を選択した東北福祉大はワイルドピッチで1点を勝ち越すも、続く西山がショートライナーゲッツーで1点止まり。対する富士大も1番楠から攻撃を選択し、楠の犠飛ですぐさま同点に追いつくも、その間に3塁を狙った片野がタッチアウトになり、1点ずつを取り合って試合は延長11回へ。
11回表に東北福祉大は菊名のショートゴロの間に1点を勝ち越し。その裏の富士大は2番小林がピッチャーゴロホームゲッツーで試合終了。東北福祉大が7点差を追いつき、タイブレークの末に富士大を下して優勝を果たした。

ホームランが出ればサイクル安打という3安打4打点の活躍をみせた佐藤龍

コールド回避の1打を含む4安打を放った菊名

9回から登板し、大会の最優秀投手賞にも輝いた津森
Topic
◆若いチームがコールド寸前から起こした奇跡
後で知ったことなのだが、この大会は決勝戦でも7回7点差以上でコールドというルールがあったらしい。つまり東北福祉大にとって7回表は「この回に点をとらなければ負け」という状態であった。結果的にはあとアウト1つでコールド負けという2死から主将の菊名がタイムリーを放ちコールド回避。次の回の大逆転へとつないだ。
そんな大逆転の立役者は上記の菊名であり、8回に同点打を放った楠本であるが、実はこの日の東北福祉大の野手でベンチ入りをしていた4年生はこの2人だけ。寺田、笠井といったリーグ戦で活躍した4年生はベンチ外で、下級生中心の布陣であった。その中でもリーグ戦での活躍がなかった清水・冨木・岩崎といった選手がこの準決勝・決勝では大活躍。
勝ったチームの所属連盟が秋の明治神宮大会の出場をかけた決定戦に2チームを出せる(ほかの連盟は1チームのみ)というこの大会。東北福祉大が下級生の育成をしつつ、7点差の大逆転といういい経験も積ませて、優勝という結果を勝ち取った。

8回の勝ち越し打を含む3安打の活躍の清水
◆起用が難しかったダブルヘッダー
決勝を戦った両チームは同日に行われた準決勝を勝ち抜いた2チームであり、両チームにとってはこの日2試合目であった。仙台といえども、この時期はもう立派な夏の気温であり、その中でもダブルヘッダーというは大変なものがあった。特に第2試合が準決勝で、第3試合が決勝と連続での試合となった東北福祉大は大変で、準決勝か大幅にスタメンを入替、準決勝と決勝でポジションも同じだったのは冨木のみであった。
両チームともに準決勝は接戦で、それぞれリリーフで頼りになる2投手ずつを起用してしまっていたので、投手起用はもっと大変である。東北福祉大は山野が乱れた後に、大園・鈴木・津森でなく実績では少し劣る成田を起用し6失点。その次の回からはやむを得ず、前日に先発した鈴木を投入し、逆転した後の最終回は第2試合でも3イニング投げた津森を投入した。
対する富士大も2番手佐々木が7回に捕まるも、8回にも続投。継投を主とする富士大にしては引っ張るなという感じであったが、頼りになる右のエース加藤は準決勝で先発してしまい、左のエース鈴木は準々決勝で先発、準決勝でリリーフ登板していた。結局佐々木を引っ張ったが打ち込まれ、経験の少ない1年生の渡辺を投入するも勢いを止められなかった。
ただ結局無理をして主力投手を投入した東北福祉大は息を吹き返し、主力投手を投げさせなかった富士大は追いつかれてしまったという結果だ。公式戦のダブルヘッダーというのは大学生ではやはり珍しいもので、選手起用の非常に難しい試合であった。
◆無念の小林
富士大の主将でキャッチャーの小林は仙台育英出身。仙台育英では今季ソフトバンクでブレークしている上林らとともに秋の明治神宮大会優勝。そのときの投手陣は鈴木(東北福祉大)、馬場(仙台大)の2枚看板であった。準決勝では馬場が先発した仙台大と対戦。馬場からヒットを放つなどして仙台大を破って勝ち上がってきたこの決勝戦。東北福祉大は7回から鈴木がリリーフ登板した。鈴木は7・8回をパーフェクトに抑え、迎えた9回の先頭打者は小林というところであったが、ピッチャーは津森に代わってしまった。残念ながらこの大舞台で、高校時代にバッテリーを組んだ2人のピッチャーとの対戦とはならなかった。
その後小林はタイブレークの延長11回の先頭打者として打席に立つも、そこでピッチャーゴロホームゲッツーを打ってしまいゲームセット。準優勝杯を受け取る主将小林は手で涙をぬぐっているようにも見えた。
ただ小林に休む暇はなく、この後は大学日本代表として日米大学野球選手権、ユニバーシアードが待っている。是非ともこの悔しさをバネに日本代表として活躍してもらい、秋のシーズン、そしてドラフトでは笑顔を見せてほしいものだ。

この試合はノーヒットで最後はタイブレークで併殺打と無念の小林
Pickup Player
楠本泰史 東北福祉大4年 外野手
値千金の同点打でMVP
東北福祉大の打線を牽引するのは、大学日本代表でもあり、1年春からレギュラーで経験豊富な4番の楠本。どっしりとした構えからどんな球でも弾き返すことのできるミート力の高さが自慢で、またライナーの性の打球が多く長打も打てる。中学時代は青葉緑東シニアで松井裕樹(楽天)とチームメイトであった楠本は、花咲徳栄では1年秋からサードのレギュラー。2年夏から3番ショートとなると、2年秋には関東大会準Vを成し遂げ、翌春にセンバツ出場。このときのチームメイトが若月(オリックス)であり、3番楠本・4番若月であった。
東北福祉大では1年春からサードのレギュラーを務め新人王を獲得。その間にも持ち前の打撃で、ホームラン王2回、打点王2回を獲得し、ベストナイン2回獲得。ポジションはショート・ファーストなどを経て、今年の春からは強肩を買われてセンターに挑戦。この春は4番としてチームを優勝に導き、首位打者・ベストナインを獲得し、2回目のMVPも受賞。大学日本代表にも昨年から選出と素晴らしい成績を納めている。
この試合は疲労も考慮されてか、4番DHでスタメン出場した楠本は2打席目までは併殺打を含むセカンドゴロ2個とさえない内容であったが、3打席目にライト前ヒットを放つと、4打席目には右中間にタイムリー2ベース。そして迎えた第5打席目はこの試合のキーとなる場面であった。
4連続レフト前ヒットでイケイケムードの東北福祉大であったが、代わった渡辺の間に西山・菊名が連続三振で反撃ムードも収まりかけて迎えたバッター楠本。ストレートを見事に左中間に弾き返す同点2点タイムリー2ベースを放った。続く清水のタイムリーで逆転に成功したわけだが、流れが富士大に戻りかけたところで、再び東北福祉大に流れをもってきた一打はまさに値千金であった。
タイブレークの第6打席でもピッチャー直撃の強襲ヒットを放ち、結局この試合は6打数4安打3打点の活躍。この大会を通じても16打数9安打7打点という活躍で見事大会の最優秀選手にも選ばれた。是非この調子で、この後の日米大学野球選手権、ユニバーシアードでも大学日本代表の主力として期待したい。

4安打3打点の活躍で大会のMVPにも輝いた楠本
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東北福祉大×富士大 @仙台市民球場
東北地区大学野球選手権も最終日。それぞれ同日の準決勝で仙台大(仙台六大学2位)を破った富士大(北東北1位)と、八戸学院大(北東北2位)を破った東北福祉大(仙台六大学1位)の対決です。
試合スコア
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富士大は3回裏に1死2塁から佐藤龍がレフトフェンス直撃のタイムリー2ベースを放ち先制。ただそれ以外は上島・山野の両先発がランナーを出しながらも踏ん張り、試合は富士大が1-0とリードしたまま5回を終える。
6回裏、山野に疲れが見え始めてきたか、3四死球で満塁のピンチを迎える。ここで富士大の代打:冨永に押し出しの四球を与えてしまい、山野は降板。代わった成田が1番楠に1・2塁間を破られる2点タイムリー、3番佐藤龍の右中間への走者一掃のタイムリー3ベースを浴びてリードを7点に広げられる。
後がない東北福祉大は7回表に2死2塁からクリーンアップの3連続タイムリーで3点を返すと、8回表には冨木・深江・岩崎・吉田と4連続レフト前ヒットで富士大2番手佐々木をKO。代わった渡辺は連続三振を奪うも、そこから楠本に同点タイムリー2ベースを浴び、さらに清水に逆転となるタイムリー2ベースも浴び、東北福祉大が7点差を逆転する。
東北福祉大は数時間前の試合でも3イニングを投げたリリーフエースの津森を投入して逃げ切りを図るも、ショートの暴投で2塁まで進まれると、4番三浦に同点タイムリーを浴びてしまい、試合は延長戦タイブレークに突入する。
1死満塁から始まるタイブレークでは10回表に1番吉田からの攻撃を選択した東北福祉大はワイルドピッチで1点を勝ち越すも、続く西山がショートライナーゲッツーで1点止まり。対する富士大も1番楠から攻撃を選択し、楠の犠飛ですぐさま同点に追いつくも、その間に3塁を狙った片野がタッチアウトになり、1点ずつを取り合って試合は延長11回へ。
11回表に東北福祉大は菊名のショートゴロの間に1点を勝ち越し。その裏の富士大は2番小林がピッチャーゴロホームゲッツーで試合終了。東北福祉大が7点差を追いつき、タイブレークの末に富士大を下して優勝を果たした。

ホームランが出ればサイクル安打という3安打4打点の活躍をみせた佐藤龍

コールド回避の1打を含む4安打を放った菊名

9回から登板し、大会の最優秀投手賞にも輝いた津森
Topic
◆若いチームがコールド寸前から起こした奇跡
後で知ったことなのだが、この大会は決勝戦でも7回7点差以上でコールドというルールがあったらしい。つまり東北福祉大にとって7回表は「この回に点をとらなければ負け」という状態であった。結果的にはあとアウト1つでコールド負けという2死から主将の菊名がタイムリーを放ちコールド回避。次の回の大逆転へとつないだ。
そんな大逆転の立役者は上記の菊名であり、8回に同点打を放った楠本であるが、実はこの日の東北福祉大の野手でベンチ入りをしていた4年生はこの2人だけ。寺田、笠井といったリーグ戦で活躍した4年生はベンチ外で、下級生中心の布陣であった。その中でもリーグ戦での活躍がなかった清水・冨木・岩崎といった選手がこの準決勝・決勝では大活躍。
勝ったチームの所属連盟が秋の明治神宮大会の出場をかけた決定戦に2チームを出せる(ほかの連盟は1チームのみ)というこの大会。東北福祉大が下級生の育成をしつつ、7点差の大逆転といういい経験も積ませて、優勝という結果を勝ち取った。

8回の勝ち越し打を含む3安打の活躍の清水
◆起用が難しかったダブルヘッダー
決勝を戦った両チームは同日に行われた準決勝を勝ち抜いた2チームであり、両チームにとってはこの日2試合目であった。仙台といえども、この時期はもう立派な夏の気温であり、その中でもダブルヘッダーというは大変なものがあった。特に第2試合が準決勝で、第3試合が決勝と連続での試合となった東北福祉大は大変で、準決勝か大幅にスタメンを入替、準決勝と決勝でポジションも同じだったのは冨木のみであった。
両チームともに準決勝は接戦で、それぞれリリーフで頼りになる2投手ずつを起用してしまっていたので、投手起用はもっと大変である。東北福祉大は山野が乱れた後に、大園・鈴木・津森でなく実績では少し劣る成田を起用し6失点。その次の回からはやむを得ず、前日に先発した鈴木を投入し、逆転した後の最終回は第2試合でも3イニング投げた津森を投入した。
対する富士大も2番手佐々木が7回に捕まるも、8回にも続投。継投を主とする富士大にしては引っ張るなという感じであったが、頼りになる右のエース加藤は準決勝で先発してしまい、左のエース鈴木は準々決勝で先発、準決勝でリリーフ登板していた。結局佐々木を引っ張ったが打ち込まれ、経験の少ない1年生の渡辺を投入するも勢いを止められなかった。
ただ結局無理をして主力投手を投入した東北福祉大は息を吹き返し、主力投手を投げさせなかった富士大は追いつかれてしまったという結果だ。公式戦のダブルヘッダーというのは大学生ではやはり珍しいもので、選手起用の非常に難しい試合であった。
◆無念の小林
富士大の主将でキャッチャーの小林は仙台育英出身。仙台育英では今季ソフトバンクでブレークしている上林らとともに秋の明治神宮大会優勝。そのときの投手陣は鈴木(東北福祉大)、馬場(仙台大)の2枚看板であった。準決勝では馬場が先発した仙台大と対戦。馬場からヒットを放つなどして仙台大を破って勝ち上がってきたこの決勝戦。東北福祉大は7回から鈴木がリリーフ登板した。鈴木は7・8回をパーフェクトに抑え、迎えた9回の先頭打者は小林というところであったが、ピッチャーは津森に代わってしまった。残念ながらこの大舞台で、高校時代にバッテリーを組んだ2人のピッチャーとの対戦とはならなかった。
その後小林はタイブレークの延長11回の先頭打者として打席に立つも、そこでピッチャーゴロホームゲッツーを打ってしまいゲームセット。準優勝杯を受け取る主将小林は手で涙をぬぐっているようにも見えた。
ただ小林に休む暇はなく、この後は大学日本代表として日米大学野球選手権、ユニバーシアードが待っている。是非ともこの悔しさをバネに日本代表として活躍してもらい、秋のシーズン、そしてドラフトでは笑顔を見せてほしいものだ。

この試合はノーヒットで最後はタイブレークで併殺打と無念の小林
Pickup Player
楠本泰史 東北福祉大4年 外野手
値千金の同点打でMVP
東北福祉大の打線を牽引するのは、大学日本代表でもあり、1年春からレギュラーで経験豊富な4番の楠本。どっしりとした構えからどんな球でも弾き返すことのできるミート力の高さが自慢で、またライナーの性の打球が多く長打も打てる。中学時代は青葉緑東シニアで松井裕樹(楽天)とチームメイトであった楠本は、花咲徳栄では1年秋からサードのレギュラー。2年夏から3番ショートとなると、2年秋には関東大会準Vを成し遂げ、翌春にセンバツ出場。このときのチームメイトが若月(オリックス)であり、3番楠本・4番若月であった。
東北福祉大では1年春からサードのレギュラーを務め新人王を獲得。その間にも持ち前の打撃で、ホームラン王2回、打点王2回を獲得し、ベストナイン2回獲得。ポジションはショート・ファーストなどを経て、今年の春からは強肩を買われてセンターに挑戦。この春は4番としてチームを優勝に導き、首位打者・ベストナインを獲得し、2回目のMVPも受賞。大学日本代表にも昨年から選出と素晴らしい成績を納めている。
この試合は疲労も考慮されてか、4番DHでスタメン出場した楠本は2打席目までは併殺打を含むセカンドゴロ2個とさえない内容であったが、3打席目にライト前ヒットを放つと、4打席目には右中間にタイムリー2ベース。そして迎えた第5打席目はこの試合のキーとなる場面であった。
4連続レフト前ヒットでイケイケムードの東北福祉大であったが、代わった渡辺の間に西山・菊名が連続三振で反撃ムードも収まりかけて迎えたバッター楠本。ストレートを見事に左中間に弾き返す同点2点タイムリー2ベースを放った。続く清水のタイムリーで逆転に成功したわけだが、流れが富士大に戻りかけたところで、再び東北福祉大に流れをもってきた一打はまさに値千金であった。
タイブレークの第6打席でもピッチャー直撃の強襲ヒットを放ち、結局この試合は6打数4安打3打点の活躍。この大会を通じても16打数9安打7打点という活躍で見事大会の最優秀選手にも選ばれた。是非この調子で、この後の日米大学野球選手権、ユニバーシアードでも大学日本代表の主力として期待したい。

4安打3打点の活躍で大会のMVPにも輝いた楠本
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