九州三菱自動車×トヨタ自動車【都市対抗】 ~トヨタがタイブレークの末藤岡のサヨナラ満塁弾で開幕戦を制する~
7/14 都市対抗野球(開幕戦)
九州三菱自動車×トヨタ自動車 @東京ドーム
都市対抗の開幕戦に行ってきました。昨年の覇者トヨタ自動車に、九州第3代表の九州三菱自動車が挑みます。
試合スコア
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

トヨタは1回裏に四球とバントのフィルダースチョイスで無死1・2塁のチャンス。続く3番河原もバントをキャッチャー林がサードへ暴投し、万事休すかと思ったが、一気にホームを狙ったセカンドランナーの藤岡はカバーに入ったレフトからの好返球で憤死。そして九州三菱自動車の先発谷川が樺澤・河合を連続三振に斬ってとる。すると直後の2回表に6番八坂がソロホームランを放ち、九州三菱自動車が先制する。
早く追いつきたいトヨタであるが、谷川の前に4回までノーヒットに抑えられてしまう。しかし5回裏先頭の西潟がライトスタンドギリギリにホームランを放ち同点。試合はその後、川尻・谷川の力投で1-1のまま9回を迎える。
9回表、九州三菱自動車は先頭の隈本がヒットで出塁→バントで1死2塁と勝ち越しのチャンスを作る。トヨタはここで川尻→藤田にスイッチ。藤田が代打安藤を三振に仕留めると、続く4番松尾のところでは竹内を投入し、竹内が期待に応えて松尾を三振に仕留めてピンチを脱する。
延長10回に入るとトヨタはエース佐竹を投入、一方谷川も力投を続け試合は1-1のまま11回を終えて、12回からはタイブレーク(1死満塁からスタート)となる。先攻の九州三菱自動車は1番隈本からの攻撃を選択するも、隈本・矢野が連続三振で無得点。対するトヨタも1番藤岡からの攻撃を選択すると、藤岡がライトスタンドにサヨナラ満塁ホームランを放って勝負を決めた。

先制ホームランを放つ八坂

同点ホームランを放った西潟

9回途中まで1失点の好投をみせた川尻
Topic
◆佐竹は使わずに…
トヨタの初戦の先発はエース兼主将で、昨年橋戸賞も獲得した佐竹ではなく川尻であった。都市対抗も勝ち進んでいけば、連戦となるのでピッチャーは佐竹ばかりとはいかなくなるが、この試合の次は中5日空いているために、戦力だけで見れば佐竹を先発させない理由はないという状況であった。
まぁトヨタとしは常勝軍団を目指すべく、ある程度リスクを負っても他の投手を育てるということなのだろう。それが顕著に表れたのは9回表、1死2塁というピンチで桒原監督はピッチャー交代を告げる。このとき佐竹もベンチ前でキャッチボールをしていたが、マウンドに上がったのは藤田(まぁ藤田もベンチ前でキャッチボールはしていた)であった。この藤田が代打安藤を三振に仕留めると、桑原監督はまた交代を告げた。今度こそ佐竹かと思ったが、マウンドへはベンチから出てきた左腕竹内が向かった。あえての藤田・竹内に試練を与えた采配といってもよかったであろう。
ただこの日登板した3投手は
・川尻 8回1/3 1失点
・藤田 打者1人のみだが三振に仕留める
・竹内 打者1人のみだが三振に仕留める
ということでこの3人は最高の仕事をしたといっても過言でない素晴らしい内容で、桑原監督の期待に応えた。

9回のピンチで相手4番を三振に仕留めた竹内
◆それでも最後は佐竹様
ただこうして9回のピンチを佐竹を使わずに凌いだトヨタであったが、延長10回になると佐竹をマウンドにあげた。正直この日の佐竹は高めに浮く球が見られ、いつものストライク先行のピッチングができておらず、調子はよくないのかな?と思った。
ただボール先行になってもなんとか持ち直して打者を打ち取っていき。10回・11回を3人ずつで抑える。そしてタイブレークの12回は圧巻の連続三振。最後は藤岡であったが、もうこれで試合が決まったと思える場面であった。結局佐竹はタイブレークも含めて、2回2/3を無安打無失点4奪三振という内容。最後は佐竹様降臨でトヨタが勝利をもぎ取ったといえる。

タイブレークを2者連続三振で勝利を呼び込んだ佐竹
◆王者相手に立派すぎるピッチング
5年ぶりであり、九州の最後の枠である第3代表、チームは15人が1年目or2年目という若返りの途中である九州三菱自動車。さらに豪雨で東京に来る前は思うように試合もできなかったという状態…。誰が王者相手にタイブレークの死闘を見せると思ったであろうか?
その立役者は間違いなくエースの谷川である。谷川は重心を低くしたフォームから、この日はMax143㌔のストレートに130㌔台のカットボールが中心のピッチングで、特に追い込んでからはこのカットボールが低めに決まっていて三振の山を築いた。またスタミナも十分で。延長11回にもこの日最速タイとなる143㌔をマークするなどしていて、まるでこの展開知っていましたと言わんばかりの終始安定したピッチングであった。
ただ延長12回は藤岡相手にカウント3B1Sと悪くしてしまい(押し出しだとサヨナラ負けという場面)、ストライクを取りに行った甘いボールをライトスタンドに運ばれてしまったのは後悔するところかもしれない。それでも王者相手に11回13奪三振1失点というナイスの一言では済まないほどのピッチングであり、156球投げ抜いたエースを責める者はいないはずだ。

トヨタ相手に11回13奪三振1失点のピッチングをみせた谷川
Pickup Player
藤岡裕大 トヨタ自動車 ショート
~最後はド派手に決めてみた~
延長12回にわたる死闘を最後に決めたのは、今年のドラフト候補にもあがるトヨタの1番打者:藤岡であった。
藤岡は岡山理大付で1年秋からサードのレギュラー。その一方投手も兼任し、Max149㌔をマークした。パンチ力のある打撃、俊足、強肩も兼ねそろえた安定したサード守備は一級品で、投手としても打者としてもスカウトから注目された。最後の夏は関西の堅田(ツネイシ)からホームランを放つなど活躍するも、わずかに及ばず1-2で敗北。岡山準Vが最高で甲子園出場はならなかった。
亜細亜大では1年春から1番サードとして活躍し、いきなりベストナインと新人賞を獲得。以降たまに不振で打順を下げることもあったが基本的には1番サードとして活躍し、ベストナイン3度、首位打者1回を獲得。8期中6期東都を制し、明治神宮大会も2度優勝。通算記録では東都歴代9位タイとなる104安打を放った。しかし2年前のドラフトではまさかの指名漏れで、トヨタ自動車に入社した。
トヨタでは内野手が飽和していたこともあって、昨年は1番ライトとして活躍し、都市対抗では打率.381をマークして優勝に貢献、自身も若獅子賞を受賞した。2年目の今季は源田(西武)が抜けたことによりショートに挑戦し、1番ショートとして活躍。社会人の日本代表候補にも選ばれている。このままいけば社会人野手の中でもドラフトの目玉となる逸材である。
この日の藤岡は1打席目に四球で出塁すると、2塁からバントのキャッチャー悪送球で一気にホームを狙うもタッチアウト。今思うとこのアウトが接戦の口火を切ってしまった形になる。2・3打席はどこかあてにいくような感じのショートゴロ。4打席目に1・2塁間を破るヒットを放って少しらしさが出てきたというところであったが、11回の先頭打者ではレフトファールフライであった。
しかし桑原監督は重要なタイブレークの先頭打者に藤岡を指名した。佐竹が表を無失点で切り抜けたので、1死満塁で1点入れればサヨナラという場面の第6打席。カウントが3B1Sとなり、もう1個ボールでもサヨナラという場面であったが、藤岡は次の球を振り抜くと打球はトヨタファンが赤く染めたライトスタンドに飛び込む、サヨナラ満塁ホームランとなった。俊足の1番でありながら、しっかりとバットを振り抜くバッティングが魅力の藤岡らしいホームランであった。
昨年は都市対抗で若獅子賞を受賞した藤岡、今年はもう橋戸賞を狙うしかない。

サヨナラ満塁ホームランとなる打球の行方を見守る藤岡
ランキングに参加しています。
よろしければクリックをお願いします↓

にほんブログ村
九州三菱自動車×トヨタ自動車 @東京ドーム
都市対抗の開幕戦に行ってきました。昨年の覇者トヨタ自動車に、九州第3代表の九州三菱自動車が挑みます。
試合スコア
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

トヨタは1回裏に四球とバントのフィルダースチョイスで無死1・2塁のチャンス。続く3番河原もバントをキャッチャー林がサードへ暴投し、万事休すかと思ったが、一気にホームを狙ったセカンドランナーの藤岡はカバーに入ったレフトからの好返球で憤死。そして九州三菱自動車の先発谷川が樺澤・河合を連続三振に斬ってとる。すると直後の2回表に6番八坂がソロホームランを放ち、九州三菱自動車が先制する。
早く追いつきたいトヨタであるが、谷川の前に4回までノーヒットに抑えられてしまう。しかし5回裏先頭の西潟がライトスタンドギリギリにホームランを放ち同点。試合はその後、川尻・谷川の力投で1-1のまま9回を迎える。
9回表、九州三菱自動車は先頭の隈本がヒットで出塁→バントで1死2塁と勝ち越しのチャンスを作る。トヨタはここで川尻→藤田にスイッチ。藤田が代打安藤を三振に仕留めると、続く4番松尾のところでは竹内を投入し、竹内が期待に応えて松尾を三振に仕留めてピンチを脱する。
延長10回に入るとトヨタはエース佐竹を投入、一方谷川も力投を続け試合は1-1のまま11回を終えて、12回からはタイブレーク(1死満塁からスタート)となる。先攻の九州三菱自動車は1番隈本からの攻撃を選択するも、隈本・矢野が連続三振で無得点。対するトヨタも1番藤岡からの攻撃を選択すると、藤岡がライトスタンドにサヨナラ満塁ホームランを放って勝負を決めた。

先制ホームランを放つ八坂

同点ホームランを放った西潟

9回途中まで1失点の好投をみせた川尻
Topic
◆佐竹は使わずに…
トヨタの初戦の先発はエース兼主将で、昨年橋戸賞も獲得した佐竹ではなく川尻であった。都市対抗も勝ち進んでいけば、連戦となるのでピッチャーは佐竹ばかりとはいかなくなるが、この試合の次は中5日空いているために、戦力だけで見れば佐竹を先発させない理由はないという状況であった。
まぁトヨタとしは常勝軍団を目指すべく、ある程度リスクを負っても他の投手を育てるということなのだろう。それが顕著に表れたのは9回表、1死2塁というピンチで桒原監督はピッチャー交代を告げる。このとき佐竹もベンチ前でキャッチボールをしていたが、マウンドに上がったのは藤田(まぁ藤田もベンチ前でキャッチボールはしていた)であった。この藤田が代打安藤を三振に仕留めると、桑原監督はまた交代を告げた。今度こそ佐竹かと思ったが、マウンドへはベンチから出てきた左腕竹内が向かった。あえての藤田・竹内に試練を与えた采配といってもよかったであろう。
ただこの日登板した3投手は
・川尻 8回1/3 1失点
・藤田 打者1人のみだが三振に仕留める
・竹内 打者1人のみだが三振に仕留める
ということでこの3人は最高の仕事をしたといっても過言でない素晴らしい内容で、桑原監督の期待に応えた。

9回のピンチで相手4番を三振に仕留めた竹内
◆それでも最後は佐竹様
ただこうして9回のピンチを佐竹を使わずに凌いだトヨタであったが、延長10回になると佐竹をマウンドにあげた。正直この日の佐竹は高めに浮く球が見られ、いつものストライク先行のピッチングができておらず、調子はよくないのかな?と思った。
ただボール先行になってもなんとか持ち直して打者を打ち取っていき。10回・11回を3人ずつで抑える。そしてタイブレークの12回は圧巻の連続三振。最後は藤岡であったが、もうこれで試合が決まったと思える場面であった。結局佐竹はタイブレークも含めて、2回2/3を無安打無失点4奪三振という内容。最後は佐竹様降臨でトヨタが勝利をもぎ取ったといえる。

タイブレークを2者連続三振で勝利を呼び込んだ佐竹
◆王者相手に立派すぎるピッチング
5年ぶりであり、九州の最後の枠である第3代表、チームは15人が1年目or2年目という若返りの途中である九州三菱自動車。さらに豪雨で東京に来る前は思うように試合もできなかったという状態…。誰が王者相手にタイブレークの死闘を見せると思ったであろうか?
その立役者は間違いなくエースの谷川である。谷川は重心を低くしたフォームから、この日はMax143㌔のストレートに130㌔台のカットボールが中心のピッチングで、特に追い込んでからはこのカットボールが低めに決まっていて三振の山を築いた。またスタミナも十分で。延長11回にもこの日最速タイとなる143㌔をマークするなどしていて、まるでこの展開知っていましたと言わんばかりの終始安定したピッチングであった。
ただ延長12回は藤岡相手にカウント3B1Sと悪くしてしまい(押し出しだとサヨナラ負けという場面)、ストライクを取りに行った甘いボールをライトスタンドに運ばれてしまったのは後悔するところかもしれない。それでも王者相手に11回13奪三振1失点というナイスの一言では済まないほどのピッチングであり、156球投げ抜いたエースを責める者はいないはずだ。

トヨタ相手に11回13奪三振1失点のピッチングをみせた谷川
Pickup Player
藤岡裕大 トヨタ自動車 ショート
~最後はド派手に決めてみた~
延長12回にわたる死闘を最後に決めたのは、今年のドラフト候補にもあがるトヨタの1番打者:藤岡であった。
藤岡は岡山理大付で1年秋からサードのレギュラー。その一方投手も兼任し、Max149㌔をマークした。パンチ力のある打撃、俊足、強肩も兼ねそろえた安定したサード守備は一級品で、投手としても打者としてもスカウトから注目された。最後の夏は関西の堅田(ツネイシ)からホームランを放つなど活躍するも、わずかに及ばず1-2で敗北。岡山準Vが最高で甲子園出場はならなかった。
亜細亜大では1年春から1番サードとして活躍し、いきなりベストナインと新人賞を獲得。以降たまに不振で打順を下げることもあったが基本的には1番サードとして活躍し、ベストナイン3度、首位打者1回を獲得。8期中6期東都を制し、明治神宮大会も2度優勝。通算記録では東都歴代9位タイとなる104安打を放った。しかし2年前のドラフトではまさかの指名漏れで、トヨタ自動車に入社した。
トヨタでは内野手が飽和していたこともあって、昨年は1番ライトとして活躍し、都市対抗では打率.381をマークして優勝に貢献、自身も若獅子賞を受賞した。2年目の今季は源田(西武)が抜けたことによりショートに挑戦し、1番ショートとして活躍。社会人の日本代表候補にも選ばれている。このままいけば社会人野手の中でもドラフトの目玉となる逸材である。
この日の藤岡は1打席目に四球で出塁すると、2塁からバントのキャッチャー悪送球で一気にホームを狙うもタッチアウト。今思うとこのアウトが接戦の口火を切ってしまった形になる。2・3打席はどこかあてにいくような感じのショートゴロ。4打席目に1・2塁間を破るヒットを放って少しらしさが出てきたというところであったが、11回の先頭打者ではレフトファールフライであった。
しかし桑原監督は重要なタイブレークの先頭打者に藤岡を指名した。佐竹が表を無失点で切り抜けたので、1死満塁で1点入れればサヨナラという場面の第6打席。カウントが3B1Sとなり、もう1個ボールでもサヨナラという場面であったが、藤岡は次の球を振り抜くと打球はトヨタファンが赤く染めたライトスタンドに飛び込む、サヨナラ満塁ホームランとなった。俊足の1番でありながら、しっかりとバットを振り抜くバッティングが魅力の藤岡らしいホームランであった。
昨年は都市対抗で若獅子賞を受賞した藤岡、今年はもう橋戸賞を狙うしかない。

サヨナラ満塁ホームランとなる打球の行方を見守る藤岡
ランキングに参加しています。
よろしければクリックをお願いします↓

にほんブログ村
スポンサーサイト