日立製作所×日本製紙石巻【JABA東京スポニチ大会】
3/12 JABA東京スポニチ大会
日立製作所×日本製紙石巻 @神宮球場
スポニチ大会の予選リーグ2日目。初日にJR東日本を破って勢いに乗る日本製紙石巻と、一方予選突破が有力視されていながらも初戦でHonda熊本に敗れた日立製作所の対戦です。
試合スコア
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

日立製作所は2回表に濱元のヒットとエラーで1死1・2塁のチャンスを作るも、8番三倉の強烈な打球はピッチャーライナーとなってしまい、2塁ランナーが戻れずに併殺。その裏に日本製紙石巻もヒット→四球→バントで1死2・3塁のチャンスを作るも、佐山・水野が連続三振で無得点となる。その後は西澤ー米谷の投手戦で両チームチャンスらしいチャンスも作れないまま試合は5回を終了する。
試合が動いたのは6回裏、日本製紙石巻は2死ランナー無しから3連続四球で満塁とすると5番長谷川が押し出しの四球を選んで先制。しかし日立製作所も直後の7回表に、先頭の濱元が内野安打で出塁すると盗塁→進塁打で1死3塁のチャンスを作ると三倉のセカンドゴロの間に同点に追いつく。
追いつかれた日本製紙石巻は7回裏に、日立製作所2番手の石黒から連続四球でチャンスを作ると2番笹川が勝ち越しのタイムリー。それでも日立製作所は8回裏に先頭の岩崎がヒットで出塁すると3番高田のタイムリーでまたもや同点に追いつく。
そんな2-2となった試合は9回終わっても決着がつかず、延長10回タイブレーク(無死1・2塁でスタート)に突入。日本製紙石巻は塚本をマウンドに送るも、バントの後で日立製作所の岩崎・野中の1・2番コンビに連続タイムリーを浴びてしまう。その裏を8回から登板している日立製作所3番手の邑楽が無失点で凌いで日立製作所が勝利した。

7回表に勝ち越しタイムリーを放った日本製紙石巻の篠川

8回表の同点タイムリーを含む2安打の活躍の日立製作所3番の高田

8回からタイブレークを含めて3回無失点好リリーフをみせた日立製作所の邑楽
TOPIC
◆首都大学野球連盟リレー
この日の日立製作所の投手陣は西澤(日体大卒)→石黒(筑波大卒)→邑楽(桜美林大卒)ということで首都大学野球連盟でしのぎを削った社会人1・2年目の投手たちのリレーであった(さらに邑楽の後には猿川(東海大卒)もブルペンで投げていた)。この3投手で9イニングで四死球が10個というのは改善点であるが、計13個の三振を奪い、さらに日本製紙石巻打線を合計2安打に抑えたというは評価できるところだ。
今年から山本が兼任コーチとなり、他にも梅野らベテランに頼っていた日立製作所投手陣。石黒に関してはイマイチであったが、西澤・邑楽は素晴らしい内容で、若いエース不在のチームにとっては非常に大きかった。

7回から日立製作所の2番手として登板した筑波大出身の石黒
◆日立製作所は自慢の足を使った攻撃で
日立製作所打線には岩崎・野中・高田・濱元と俊足の選手が多く、足を使った攻撃もできるところである。この試合でもこの4選手がそれぞれ盗塁を決めていて失敗は0。途中からは厳しく警戒される中も、走りたいところで走ることができていてタイブレーク以外でとった2点はいずれも盗塁で2塁に進んだランナーが生還したものだ。
特に7回表にあげた1点目は濱元がまさに「足」を使ってもぎ取った1点であった。まず濱元は俊足を飛ばして内野安打で出塁すると、続く森下の2球目に盗塁。森下のキャッチャーゴロで3塁まで進むと、続く三倉の打球は前進守備のセカンド正面のゴロであったが、躊躇することなくホームへスタート。結果的にはこれに焦ったかセカンドがボールをファンブルして1塁へ送って、濱元は悠々とホームを駆け抜けたのだが、前進守備の正面なのにホームに送球していてもどうだったかな?というレベルの走塁であった。
この試合を見る限り4番であった菅野(ロッテD4位)の代役は見つかっておらず、大ベテランの田中がスポニチ大会からフル出場しなければならないなど中軸には不安を抱える日立製作所。このように足を使った攻撃などでそれを補っていくしかなさそうだ。

7回表にほぼ足だけ1点をもぎ取った日立製作所の濱元
◆プロに捕られたところはプロから補充
日立製作所の新チームの1番の課題はやはりプロ入りした菅野と田中俊太(巨人D6位)の穴埋めであろう。菅野については高田が外野に回ったり新人の三倉が入ったりしてはいるものの上述の通り打力的にはまだまだ…。その一方で田中の穴埋めに関しては、そこそこメドが立ってきたとも言える。
その田中の代わりにセカンドに入っているのが、中日→オリックスで活躍し、田中の東海大相模の先輩でもある岩崎である。この試合にも1番セカンドで出場した岩崎は最初の3打席では凡退するも、第4打席ではショートの横を抜くセンター前ヒットを放ち、盗塁を決めて2塁へ進むと高田のタイムリーで同点のホームを踏んだ。そして1死2・3塁で回ってきた延長10回のタイブレークでは前進守備のセカンドの横を抜くタイムリーを放ち、結果的にこれがこの試合の決勝打となった。
セカンドには河野、矢後といった新人も加わりレギュラー争いは激化しているが、実力でいえば元プロである岩崎がやはり抜けている。まさにプロに捕られたものは、プロから取り返す形で日立製作所のセカンドは埋まろうとしている。

タイブレークで決勝タイムリーを放つなど活躍した日立製作所の岩崎
強豪相手にナイスピッチングの元子役
この日の日本製紙石巻の先発はサイド右腕の米谷。米谷といえば4年春(2015年)にエースとして6勝無敗という大車輪の活躍でリーグ優勝に貢献(MVPも受賞)し、城西国際大を初の全日本大学野球選手権に導いたことと同時に、元子役で映画「バッテリー」に出演するなどしていたことでも有名だ。
この日の米谷はストレートのMax138㌔であったが、ストレートの大半は130㌔前後のツーシームというピッチング。これにシンカーやスライダーなどの変化球交えて低めに丁寧にボールを投げ込み、強豪の日立製作所打線から凡打の山を築いていった。日立製作所の西澤とは対照的なピッチングで投手戦を繰り広げ6回まで無失点。8回表にこの日2度目の同点打を浴びたところで降板してしまったが、8回途中まで2失点という見事なピッチングであった。結果的には敗れてしまったものの塚本、齊藤、小原と先発候補に左腕が多いチーム(宝利は抑えに回すとして…)にとって、この右腕米谷が先発として計算できそうになったのは大きいであろう。

8回途中まで2失点の好投をみせた日本製紙石巻の先発米谷
Pickup Player
西澤大 日立製作所 ピッチャー
左腕不足のチームにとって大きな新人の活躍
この試合で1番のインパクトを残したのはやはり日立製作所の先発を務めた新人の西澤であろう。
西澤は春日部共栄では3年時に左腕トリオ(他は金子・倉井)の中心的存在として活躍し、3年夏には3試合全てに登板し、うち先発を2試合務めた。日体大では1年春よりリーグ戦に登板し、先発にリリーフに活躍。昨秋は松本・東妻の影に隠れてしまったが、明治神宮大会での優勝を経験し、この春から日立製作所に入社する。
この日の先発マウンドを託された西澤は、腕の出処が見づらい躍動感のあるフォームから最速142㌔のストレートに加え、スライダー・カットボール(?)、カーブなどのボールをテンポよく投げ込んだ。それぞれ右打者、左打者共にインコースを突くこもできていて、最初にインコースを意識させておいて、最後はスライダーで片づけるという形も目立った。最大の見せ場であったが2回、先頭打者の小野にこの日唯一となるヒットを浴びて、1死2・3塁のピンチを招くも、ギアを入れ替えて佐山・水野を連続三振と最高の形で斬ってとった。特に水野に関してはストレート3球で三振というまさに圧倒的なピッチングであった。
その後3~5回は3人ずつパーフェクトに抑えるも、6回になると風向きが変わった。1死から迎えた代打の井上にこの試合初めてとなる四球を与えてしまう。井上は盗塁死で2死なったにも関わらず、その波に乗れずにそこから3連続四球。さらには長谷川に押田いを与えるなど、5回までは0個だった四球を6回の1イニングだけで5個与えてしまい先制を許した。結局西澤はこの回(6回)で降板してしまうが、結果から言えば6回1安打1失点10奪三振という見事なものであった。
日立製作所の投手陣で左腕は西澤と徳永という新人の2人しかいない。まだスタミナという課題は残ったものの、今日の西澤の好投はそんな左腕不足のチームにとっては非常に勝ちのあるものであった。

6回1失点10奪三振という見事なピッチングをみせた日立製作所先発のルーキー西澤
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日立製作所×日本製紙石巻 @神宮球場
スポニチ大会の予選リーグ2日目。初日にJR東日本を破って勢いに乗る日本製紙石巻と、一方予選突破が有力視されていながらも初戦でHonda熊本に敗れた日立製作所の対戦です。
試合スコア
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

日立製作所は2回表に濱元のヒットとエラーで1死1・2塁のチャンスを作るも、8番三倉の強烈な打球はピッチャーライナーとなってしまい、2塁ランナーが戻れずに併殺。その裏に日本製紙石巻もヒット→四球→バントで1死2・3塁のチャンスを作るも、佐山・水野が連続三振で無得点となる。その後は西澤ー米谷の投手戦で両チームチャンスらしいチャンスも作れないまま試合は5回を終了する。
試合が動いたのは6回裏、日本製紙石巻は2死ランナー無しから3連続四球で満塁とすると5番長谷川が押し出しの四球を選んで先制。しかし日立製作所も直後の7回表に、先頭の濱元が内野安打で出塁すると盗塁→進塁打で1死3塁のチャンスを作ると三倉のセカンドゴロの間に同点に追いつく。
追いつかれた日本製紙石巻は7回裏に、日立製作所2番手の石黒から連続四球でチャンスを作ると2番笹川が勝ち越しのタイムリー。それでも日立製作所は8回裏に先頭の岩崎がヒットで出塁すると3番高田のタイムリーでまたもや同点に追いつく。
そんな2-2となった試合は9回終わっても決着がつかず、延長10回タイブレーク(無死1・2塁でスタート)に突入。日本製紙石巻は塚本をマウンドに送るも、バントの後で日立製作所の岩崎・野中の1・2番コンビに連続タイムリーを浴びてしまう。その裏を8回から登板している日立製作所3番手の邑楽が無失点で凌いで日立製作所が勝利した。

7回表に勝ち越しタイムリーを放った日本製紙石巻の篠川

8回表の同点タイムリーを含む2安打の活躍の日立製作所3番の高田

8回からタイブレークを含めて3回無失点好リリーフをみせた日立製作所の邑楽
TOPIC
◆首都大学野球連盟リレー
この日の日立製作所の投手陣は西澤(日体大卒)→石黒(筑波大卒)→邑楽(桜美林大卒)ということで首都大学野球連盟でしのぎを削った社会人1・2年目の投手たちのリレーであった(さらに邑楽の後には猿川(東海大卒)もブルペンで投げていた)。この3投手で9イニングで四死球が10個というのは改善点であるが、計13個の三振を奪い、さらに日本製紙石巻打線を合計2安打に抑えたというは評価できるところだ。
今年から山本が兼任コーチとなり、他にも梅野らベテランに頼っていた日立製作所投手陣。石黒に関してはイマイチであったが、西澤・邑楽は素晴らしい内容で、若いエース不在のチームにとっては非常に大きかった。

7回から日立製作所の2番手として登板した筑波大出身の石黒
◆日立製作所は自慢の足を使った攻撃で
日立製作所打線には岩崎・野中・高田・濱元と俊足の選手が多く、足を使った攻撃もできるところである。この試合でもこの4選手がそれぞれ盗塁を決めていて失敗は0。途中からは厳しく警戒される中も、走りたいところで走ることができていてタイブレーク以外でとった2点はいずれも盗塁で2塁に進んだランナーが生還したものだ。
特に7回表にあげた1点目は濱元がまさに「足」を使ってもぎ取った1点であった。まず濱元は俊足を飛ばして内野安打で出塁すると、続く森下の2球目に盗塁。森下のキャッチャーゴロで3塁まで進むと、続く三倉の打球は前進守備のセカンド正面のゴロであったが、躊躇することなくホームへスタート。結果的にはこれに焦ったかセカンドがボールをファンブルして1塁へ送って、濱元は悠々とホームを駆け抜けたのだが、前進守備の正面なのにホームに送球していてもどうだったかな?というレベルの走塁であった。
この試合を見る限り4番であった菅野(ロッテD4位)の代役は見つかっておらず、大ベテランの田中がスポニチ大会からフル出場しなければならないなど中軸には不安を抱える日立製作所。このように足を使った攻撃などでそれを補っていくしかなさそうだ。

7回表にほぼ足だけ1点をもぎ取った日立製作所の濱元
◆プロに捕られたところはプロから補充
日立製作所の新チームの1番の課題はやはりプロ入りした菅野と田中俊太(巨人D6位)の穴埋めであろう。菅野については高田が外野に回ったり新人の三倉が入ったりしてはいるものの上述の通り打力的にはまだまだ…。その一方で田中の穴埋めに関しては、そこそこメドが立ってきたとも言える。
その田中の代わりにセカンドに入っているのが、中日→オリックスで活躍し、田中の東海大相模の先輩でもある岩崎である。この試合にも1番セカンドで出場した岩崎は最初の3打席では凡退するも、第4打席ではショートの横を抜くセンター前ヒットを放ち、盗塁を決めて2塁へ進むと高田のタイムリーで同点のホームを踏んだ。そして1死2・3塁で回ってきた延長10回のタイブレークでは前進守備のセカンドの横を抜くタイムリーを放ち、結果的にこれがこの試合の決勝打となった。
セカンドには河野、矢後といった新人も加わりレギュラー争いは激化しているが、実力でいえば元プロである岩崎がやはり抜けている。まさにプロに捕られたものは、プロから取り返す形で日立製作所のセカンドは埋まろうとしている。

タイブレークで決勝タイムリーを放つなど活躍した日立製作所の岩崎
強豪相手にナイスピッチングの元子役
この日の日本製紙石巻の先発はサイド右腕の米谷。米谷といえば4年春(2015年)にエースとして6勝無敗という大車輪の活躍でリーグ優勝に貢献(MVPも受賞)し、城西国際大を初の全日本大学野球選手権に導いたことと同時に、元子役で映画「バッテリー」に出演するなどしていたことでも有名だ。
この日の米谷はストレートのMax138㌔であったが、ストレートの大半は130㌔前後のツーシームというピッチング。これにシンカーやスライダーなどの変化球交えて低めに丁寧にボールを投げ込み、強豪の日立製作所打線から凡打の山を築いていった。日立製作所の西澤とは対照的なピッチングで投手戦を繰り広げ6回まで無失点。8回表にこの日2度目の同点打を浴びたところで降板してしまったが、8回途中まで2失点という見事なピッチングであった。結果的には敗れてしまったものの塚本、齊藤、小原と先発候補に左腕が多いチーム(宝利は抑えに回すとして…)にとって、この右腕米谷が先発として計算できそうになったのは大きいであろう。

8回途中まで2失点の好投をみせた日本製紙石巻の先発米谷
Pickup Player
西澤大 日立製作所 ピッチャー
左腕不足のチームにとって大きな新人の活躍
この試合で1番のインパクトを残したのはやはり日立製作所の先発を務めた新人の西澤であろう。
西澤は春日部共栄では3年時に左腕トリオ(他は金子・倉井)の中心的存在として活躍し、3年夏には3試合全てに登板し、うち先発を2試合務めた。日体大では1年春よりリーグ戦に登板し、先発にリリーフに活躍。昨秋は松本・東妻の影に隠れてしまったが、明治神宮大会での優勝を経験し、この春から日立製作所に入社する。
この日の先発マウンドを託された西澤は、腕の出処が見づらい躍動感のあるフォームから最速142㌔のストレートに加え、スライダー・カットボール(?)、カーブなどのボールをテンポよく投げ込んだ。それぞれ右打者、左打者共にインコースを突くこもできていて、最初にインコースを意識させておいて、最後はスライダーで片づけるという形も目立った。最大の見せ場であったが2回、先頭打者の小野にこの日唯一となるヒットを浴びて、1死2・3塁のピンチを招くも、ギアを入れ替えて佐山・水野を連続三振と最高の形で斬ってとった。特に水野に関してはストレート3球で三振というまさに圧倒的なピッチングであった。
その後3~5回は3人ずつパーフェクトに抑えるも、6回になると風向きが変わった。1死から迎えた代打の井上にこの試合初めてとなる四球を与えてしまう。井上は盗塁死で2死なったにも関わらず、その波に乗れずにそこから3連続四球。さらには長谷川に押田いを与えるなど、5回までは0個だった四球を6回の1イニングだけで5個与えてしまい先制を許した。結局西澤はこの回(6回)で降板してしまうが、結果から言えば6回1安打1失点10奪三振という見事なものであった。
日立製作所の投手陣で左腕は西澤と徳永という新人の2人しかいない。まだスタミナという課題は残ったものの、今日の西澤の好投はそんな左腕不足のチームにとっては非常に勝ちのあるものであった。

6回1失点10奪三振という見事なピッチングをみせた日立製作所先発のルーキー西澤
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