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横浜×花咲徳栄【選手権大会2回戦】

8/14 選手権大会2回戦
横浜×花咲徳栄@阪神甲子園球場

夏の甲子園連覇を狙う花咲徳栄と、大阪桐蔭に次ぐ最強世代と呼び声の高い横浜という2回戦屈指の好カードです。


試合経過

20180814横浜×花咲徳栄
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください


花咲徳栄はエース野村に対し、横浜はエース板川でなくU18日本代表候補にも選ばれた2年生左腕の及川。夏の大会前に行った練習試合(の1試合目)と同じ両先発で試合が始まった。

花咲徳栄は1回裏、先頭の橋本がヒットで出塁とワイルドピッチで2塁へ進むと、3番韮澤がセンター前に弾き返し先制する。1・2回と野村の前に抑えられていた横浜だが3回表、先頭の及川が四球で出塁し、遠藤が送ってチャンスを作ると、2死2塁から河原木がレフト前にタイムリーを放ち同点に追いつく。

そして4回表、横浜は先頭の内海が左中間に2ベースを放つと、続く角田がスライダーを捉えてレフト前にタイムリーを放ちあっさりと勝ち越し。そこから長南の2ベース、さらには及川のピッチャーゴロを野村が1塁に暴投してしまい満塁となると、9番遠藤の2点タイムリー。山崎は死球で再び満塁となると、河原木が2打席連続となる2点タイムリーを放ち、この回ノーアウトのうちに5点をあげて花咲徳栄の野村をKO。
20180814横浜 遠藤
4回に2点タイムリーを放つ横浜9番の遠藤

代わった2番手中田は齊藤に犠牲フライを浴びるも、万波・内海から連続三振を奪い、横浜の長い攻撃を断ち切る。中田はその後、6回にも齊藤にタイムリー2ベースを浴びてしまい1点を失うも、8回まで計5回を投げて1失点の好投。中田は秋・春と花咲徳栄の背番号1を背負った186㎝右腕。しかし特にエースとして期待された春の関東大会では専大松戸・東海大相模と強豪に打ち込まれてしまい、この夏はエースの座を野村に譲る形になっていた。しかしこの試合ではストレートはMax143㌔をマークするなど、そのポテンシャルに似合う球威に成長していて、もともと得意であった縦のスライダーとのコンビネーションで横浜打線から三振6個(5イニングで)など好投。結果論だけでいれば、中田が最初から登板していれば…という試合展開であった。
20180814花咲徳栄 中田
花咲徳栄の2番手として5回1失点の好リリーフをみせた中田

7点差をつけられてしまった花咲徳栄だが中盤以降に反撃に出る。6回裏は先頭の韮澤がストレートの四球で出売りすると、続く4番野村が2球目のストレートを弾丸ライナーでレフトスタンドへ。野村の甲子園で2試合連続、高校通算58号となる2ランで花咲徳栄が2点を返す。続く7回裏にも1死から1番橋本がレフトスタンドにソロホームランを放ち、及川をマウンドから引きずり下ろす。
20180814花咲徳栄 野村
反撃の狼煙となる2ランを放った花咲徳栄4番の野村

降板となってしまった横浜の期待の及川は結局7回途中4失点という内容。Max150㌔を超えるストレートは先発ということもあり145㌔止まりで、打たれたホームラン2本もこのストレートであった。序盤からランナーを背負う苦しいピッチングであったが、それでも序盤は粘り強くピンチを凌いでいたが、点差が空いたこともあり、中盤以降はやや甘く入ったところを捉えられてしまった。ストレートは捉えられた一方、130㌔を超えるスライダーは鋭いものがあり、徳栄打線はこのスライダーに手を焼いていて、ワンバンのスライダーを振ってしまう場面も多く見られた。実際に及川が奪った三振8個のうち、6個はこのスライダーであった。及川のピッチングはほぼほぼこのストレートとスライダーのみであったので、先発でやるにはカーブやチェンジアップなどの緩急をつけられる変化球が欲しいところ。もう1種類があれば、ストレートも狙い打たれずにもっと生きてくることだろう。
20180814横浜 及川
7回途中4失点であった横浜先発の及川

及川の代わりに横浜のマウンドにあがったエース板川は7回は後続を抑えるが、8回に羽佐田・倉持に連打を浴びたところで降板(レフトに回った)。代わった黒須がこのピンチを凌ぐも、個人的には板川はストレート中心で攻めていて、まだまだ本来の持ち味である変化球もそこまで使っていなかったので、わざわざ投球したエースをあっさり代えたところは意外であった。

花咲徳栄は上述の通り反撃に転じていたが、結局得点はホームランのみであり、4-8と4点ビハインドで最終回の攻撃を迎える。
この回の先頭の田谷野が死球で出塁すると、球場全体はいっきに花咲徳栄の応援ムードに…。これに黒須も飲まれてしまったか、その後橋本・韮澤に四球を与えてしまい、1死満塁のホームランで同点という場面で4番野村を迎える。野村に対してはファール2球で簡単に追い込んだ黒須は、インコースのストレートで野村を詰まらせることに成功するが、この打球がサード前のボテボテの当たりとなり、これが内野安打となってしまう。

羽佐田はファーストファールフライで後がなくなった花咲徳栄であるが、倉持は押し出しの死球となる。これで黒須はこの回だけで4四死球となってしまい、球場全体がさらにさらに花咲徳栄ひいきとなる中でとますます空気にのまれてしまっていて、試合後には「足が震えた」と話していた。ただこの展開で緊張するのは、横浜だけでなく打席に立つ花咲徳栄も同じであり、2点差で2死満塁と長打が出れば逆転サヨナラという重大な局面で命運を託された1年生の井上にかかるプレッシャー半端ない。カウント3B2Sから黒須が投じたスライダーは引っかかってしまい、明らかなボール球であったが、井上がこれに手を出してしまい三振。井上は春季大会では東海大相模戦で9回2死から同点打を放った強心臓の持ち主であるが、最後は普段は振らないであろう完全なボール球に手を出してしまった。最後は花咲徳栄の猛反撃に遭いながらも、横浜が何とか逃げ切って3回戦進出を果たした。
20180814横浜 黒須
苦しみながらも最後なんとか徳栄の反撃を振り切った横浜3番手の黒須



やはり4回の横浜の6点で試合が決まることとなってしまった。花咲徳栄としてはエース野村が完全に横浜打線に捕まった。花咲徳栄はここ最近は高橋昂(広島)、昨年は綱脇(東北福祉大)・清水(中日)と強力なエースを擁して勝ち上がっていたが、今年に関してはこのエースに困る形となっていて、これが最後も出てしまったところはある。4番打者であった野村はMax146㌔を誇り、現チームでももともと投手としての能力は随一であった。しかし野村の最大の魅力は打撃であり、将来的なことは負担の大きさも考慮したか岩井監督は野村をエースとはせず、秋は重要な試合でのリリーフのみ、春は登板なしという使い方をした。しかし代わりにエースと目された中田ら投手陣は結果を出すことができず、最後の夏は野村をエースにすることとした。北埼玉大会では31回4失点という大車輪の活躍であった野村も、1回戦では鳴門打線に序盤に打ち込まれるなど苦戦していて、この日の内容を踏まえても決して調子は良くなかった。結果だけから見れば野村の投手としての経験は十分とは言えずに、結局野村をエースにするなら秋・春ともっと野村を投手として使って経験を積ませていれば良かったということだ。野村をエースにした後に、それに奮起してか中田のストレートの威力も増して、今日2番手として好投を見せたのは何とも皮肉な結果となってしまった。

打線では来年のチームを背負うことになるだろう2年生勢の活躍が光った。特に橋本はこの試合3打数3安打2四死球の大当たり。全打席で出塁して、3得点と1番打者としての役割を見事なまでに果たした。先制タイムリーの韮澤も見事なバッティングであり。その後は横浜バッテリーに警戒されて2四球。5番羽佐田、最後に三振を喫してしまった7番井上もある意味非常にいい経験をしたことなり、この4人を中心とする秋からのチームも強力打線は受け継がれることだろう。
20180814花咲徳栄 橋本史
ホームランを含む3打数3安打の活躍をみせた花咲徳栄1番の橋本

対する横浜は勝ったけど何とも危なっかしい試合であった。特に最後の投手起用には個人的に疑問が残った。まず7回途中から投入したエース板川をあっさりと降板させてしまい、わざわざレフトに残しておいたのに、黒須が完全に空気にのまれる中でマウンドに戻すことはしなかった。右打者の多い徳栄打線には右の黒須の方が適している、実際に黒須が打たれたのは野村のボテボテの内野安打のみという話もあるが、1イニング4四死球は多すぎであり、最後もボール球を振ってくれなけば…という展開であった。やはり最後の場面はバッター杉本のあたりで経験豊富なエース板川もマウンドに戻すべきであったと思う。

打線は4回の猛攻は見事であり、好投手の野村を見事に攻略した。結局この試合ではピッチャーと万波以外は全員がヒットを放ち、どこからでも点のとれる強力打線を見せつけた。まだ甲子園に来てから万波にヒットが出ていないのはやや不安であるが、この日も第4打席に特大のレフトフライ、第5打席に強烈なセンター後方のライナーと内容は悪くない。もともとは大阪桐蔭に匹敵するほどの最強世代との声もあった横浜の現チームだけに打線がこのままの勢いを保持できれば上位進出は確実であるといえる。
20180814横浜 万波
早く甲子園での1本が欲しい横浜4番の万波


Pickup Player
河原木皇太 横浜3年 外野手
~堅実な活躍で見事に3打点~
この試合横浜打線で最多の3打点をあげたのは万波でも長南でも齊藤でもなく、2番に入った河原木であった。

河原木は2年夏の神奈川大会で背番号20の控えキャッチャーとしてベンチ入りも、ベンチ入り人数が20→18となる甲子園ではベンチ外となってしまい、甲子園ではボールボーイを務めめた。2年秋は吉原との正捕手争いを繰り広げ、公式戦初スタメンとなった秋季大会の初戦となった三浦学苑戦では3ランを放つ活躍を見せていた。しかし3年春には角田が捕手に復帰したこともあり、打力を生かすためにも外野へコンバート。万波・長南・小泉とドラフト候補ともいえる3人相手にレギュラー争いを繰り広げ、3年春の関東大会では背番号9を手にした。3年夏の南神奈川大会では大会直前に投球を顔面に受けて骨折するも、執念で出場して打率.300をマーク。ただ試合ごとにスタメンが代わってはいたが、打席数でいえば万波・長南・小泉に次ぐ4番目であった。

それでも甲子園では南神奈川大会で不調だった小泉をベンチに追いやり、初戦の愛産大三河戦に2番ライトで出場すると、7回にはソロホームランを放つなど2安打の活躍。重要な1戦となったこの試合でも動揺に2番ライトでスタメン出場を果たした。すると1点ビハインドの2死2塁で迎えた第2打席で追い込まれながらも野村のストレートをレフト前に弾き返す同点タイムリー。さらにビックイニングとなった4回の第3打席でも満塁から、今度は初球のスライダーをレフト前に運ぶ2点タイムリーを放った。結局この試合も5打数2安打3打点という見事な活躍であった。

決して万波・長南のようなパワーがあるわけではなく、また小泉ほどの身体能力があるかわけでもなく169㎝と横浜にしては小柄な選手で、他の3人のように期待されて1年春からベンチ入りを果たしていたわけではない。それでも重心を低くした安定したフォームからボールを的確に捉えることができいて、春からコンバートしたばかりの外野守備でも、この日は7回に田谷野のライト前方のライナーをダイビングキャッチするというファインプレーを見せ、キャッチャーだっただけあって肩もいい。万波・長南・小泉が爆発力はある一方、調子を崩すことも多い一方、河原木は春以降安定した活躍を見せていた。そんな河原木の堅実な活躍が、この後もトーナメントを勝ち上がっていくうえで横浜には必要なはずである。

20180814横浜 河原木
2本のタイムリーで計3打点を叩き出した横浜2番の河原木



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