東農大三×春日部共栄【秋季埼玉大会決勝】
10/8 秋季埼玉大会決勝
東農大三×春日部共栄@県営大宮球場
浦和学院・花咲徳栄という2強が早々に敗退し、埼玉栄・山村学園・聖望学園といった強豪も敗れて波乱に満ちた秋季埼玉大会の決勝は15年ぶりの優勝を目指す春日部共栄と、20年ぶりの優勝を狙う東農大三の対決となった。
試合経過

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
通常秋季大会の決勝といえば、両チームともにセンバツの参考となる関東大会の出場を決めているので、エースが投げないことが多い。しかしこの日は春日部共栄はエース村田、東農大三も準決勝でも先発を務めた背番号5の井口と両チームともにピッチャーは温存することなくこの試合に臨んだ。準決勝から中1日ということもあるが、前日までに関東大会の他県の1・2位は出そろっていて、関東大会の初戦で各県で優勝した横浜・常総学院・前橋育英といったチームとの対戦を回避する意味でも1位が欲しいところだったのであろう。
1回表、東農大三は先頭の主将加納がヒットで出塁すると送って1死2塁のチャンス。すると3番松本春はライト前に弾き返す。当たりが良すぎたこともあり、ランナーの加納は3塁を回ったところでストップするも、ライトからセカンドへの送球が逸れてボールが転々とするのを見ると再スタートを切りホームイン。どちらかというと格上の共栄相手に先制とあって、名物の大根踊りも出るなど全校応援の東農大三スタンドは大盛り上がり。しかし続く4番井口は三振を喫すると、スタートを切ったランナーも盗塁死と三振ゲッツーとなってしまう。

先制点はこの東農大三の3番松本春のバットから生まれた
東農大三の先発井口はサイドからのノビのあるストレートにスライダー・シンカー(?)を交えたピッチング。左打者が多い共栄打線に対しても、左バッターのアウトコースギリギリにボールを出し入れしていて、3回まで共栄打線を1安打無失点に抑える素晴らしい立ち上げりであった。一方共栄の村田も2回以降は復調して。東農大三打線をノーヒットに抑えていく。東農大三が1-0とリードしたまま試合は序盤を終える。

序盤共栄打線を封じこめた東農大三の先発井口
試合が動いたのは4回裏、共栄は先頭の木村が粘った末に四球で出塁すると、平尾のセンター前ヒットと、4番村田は死球で無死
満塁のチャンスを作る。ここで迎えるのは5番で主将の石崎は初球からバットを出すもこれが6-4-3のダブルプレー。その間に3塁ランナーであった木村はホームインするも、共栄としては非常に残念な形での同点であるが、続く6番平岡にもタイムリーが飛び出して、この回共栄が一気に逆転に成功する。

センター前ヒットでチャンスをつないだ春日部共栄3番の平尾はこの試合猛打賞の活躍であった
共栄がやっと実力を発揮した形であったが、東農大三も5・6回は井口が再び共栄打線を無得点に抑えて、1点ビハインドをキープした反撃を待つ。すると7回表、この回先頭の4番井口が今度はバットで魅せてレフト線への2ベースで出塁。続く飯島もライト前ヒットを放ち、無死1・3塁と一気に逆転のチャンスを迎える。しかしこのチャンスで1塁ランナーの飯島は盗塁を試みるもタッチアウト…同点への執念を見せて小島には2ストライクからスクイズを決行するも、強いピッチャー正面のバントとなって村田の好フィールディングもありホームタッチアウト。東農大三は絶好のチャンスで逆転はおろか、同点にすらできなかった。
こうなると流れは共栄に7回裏に先頭の丸田のボテボテの打球はセカンド内野安打となり、2個のショートゴロの間に3塁へ。すると2死3塁で迎えた黒川への初球はワイルドピッチとなってしまい待望の追加点をあげる。さらに8回裏には平尾のフラフラと上がった打球に対してレフトが前進してダイビングキャッチを試みるもわずかに届かず2ベース。ここで東農大三はエースナンバーの飯島をマウンドにあげるが、村田のヒットで1・3塁とされてしまうと平岡の犠飛で共栄が4点目をあげる。どちらも東農大三にとっては不運な当たりからの失点であり、まさに野球の神様が7回表の攻撃で東農大三を見捨てたかのような展開であった。
3点のリードを奪った共栄はエース村田が最後までなげきり1失点完投。4-1で勝利した春日部共栄が秋季埼玉大会を制した
。

優勝を決めてマウンドに集まる春日部共栄ナイン
敗れたとはいえ準Vを果たした東農大三はまさに快進撃といえる戦いぶりで久しぶりに関東大会の切符を手にした。決して戦力的には大物といえるような選手がいるわけではないが、打撃面では加納・松本春・井口・飯島といったあたりで的確にヒットを放ち繋ぐ打線で、準々決勝では山村学園の好左腕の和田を攻略した。投手陣では準決勝に続いてみせた井口→飯島という継投は、サイドスローでコーナーをつく井口が試合を作り、終盤は真上から投げる正真正銘のオーバースローの飯島が威力のある球を投げ込むという絵に描いたような継投であり、この日はタイミングなども含めてうまくいっていなかったが、効果的であると感じた。

東農大三の主将で1番の加納はこの試合でも2安打を放つ活躍
春日部共栄は何といっても4番でエース村田が今大会まさに大車輪の活躍。Max145㌔のストレートとスライダーで抑えていく本格派右腕であるが、2日前に浦和実業相手に12回完封した疲れもまだあったのか、この日は三振は4個のみでもテンポよく打たせてとるピッチングでこの日の東農大三打線はなんと内野ゴロが16個。初回に先制を許すも、2回以降は東農大三打線を抑え込んで1失点完投。スピードもさることながら、決して大崩れしそうにない安定したピッチングは評価できるものであり、春日部共栄が今大会相次ぐ波乱に巻き込まれなったのも、安定したピッチングを続ける村田が全試合投げ抜いたことが1番の要因であろう。前チームでは期待されながらもケガで思うように投げられないことも多かっただけにその成長ぶりにも目を見張るものがあった。

9回1失点完投勝利をあげた春日部共栄のエース村田
また共栄はこの村田を盛り上げたバックも素晴らしかった。主将でキャッチャーの石崎は好リードに加えて、東農大三が試みた盗塁を2個とも阻止。初回の場面ではアウトコースのボール球となるスライダーで三振をとり、かなり体勢の悪いところからクロスステップ気味に踏み込んで見事な送球。7回の無死1・3塁の場面では3塁ランナーも気にしながら、見事な送球で逆転のランナーの芽を摘んだ。内野ゴロが16個もあったのにノーエラーであった内野も見事であり、中でもサード片平はバウンドが合わない打球でも巧みにさばくことができていて、5回表の守備では3連続でやや難しい打球を裁き、続く6回にもセーフティバントを阻止してみせるなど、実に1人で7個もの打球をさばいてみせてた。関東大会でも是非とも村田を支えてセンバツの切符を勝ち取って欲しいものだ。

再三にわたる攻守で村田を盛り上げた春日部共栄サードの片平
Pickup Player
平岡大典 春日部共栄2年 セカンド
~値千金であった4回の勝ち越しタイムリー~
この試合を左右する意味でも、4回裏に平岡が放った勝ち越しのタイムリーは非常に大きかった。
平岡は1年秋に背番号14でベンチ入りを果たすと1番セカンドとして活躍。しかし2年夏はベンチ外となってしまい、チームは昌平相手にまさかの初戦敗退となってしまった。迎えた新チームでは平岡は6番セカンドとしてレギュラーに復帰した。
この日は第1打席ではしぶとくセンター前に弾き返してチーム初安打をマーク。そして迎えた第2打席は無死満塁から前の打者の石崎が併殺となってしまい、同点に追いついたものの逆転の大チャンスが2死3塁と縮小してしまった場面であった。平岡はここで3球目のストレートをライト前に運ぶ勝ち越しのタイムリー。ここで打ち取られていたら流れが一気に東農大三に戻るという場面だったので、ここで平岡の1打で勝ち越せたことは共栄にとっては非常に大きな価値のあることだった。
平岡は8回裏の第4打席でもライトにライナー性の犠牲フライを放って2打点目。結局この試合では3打数2安打2打点という活躍。平岡は小柄ではあるが下半身がしっかりして、コンパクトにスイングができているので的確にボールを捉えることができていた。また例え会心の当たりでなくてもしぶとくヒットにする技術の高さも目立った。打つのに加えて盗塁も決めるなど走力もあり。守備も1・2塁間の深いゴロをさばく好プレーを見せるなど安定していて、走攻守に渡ってチームの埼玉制覇に大きく貢献。このような活躍を関東大会でも是非期待したい。

4回の貴重な勝ち越しのタイムリーを含む2安打2打点の活躍の春日部共栄の平岡
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東農大三×春日部共栄@県営大宮球場
浦和学院・花咲徳栄という2強が早々に敗退し、埼玉栄・山村学園・聖望学園といった強豪も敗れて波乱に満ちた秋季埼玉大会の決勝は15年ぶりの優勝を目指す春日部共栄と、20年ぶりの優勝を狙う東農大三の対決となった。
試合経過

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
通常秋季大会の決勝といえば、両チームともにセンバツの参考となる関東大会の出場を決めているので、エースが投げないことが多い。しかしこの日は春日部共栄はエース村田、東農大三も準決勝でも先発を務めた背番号5の井口と両チームともにピッチャーは温存することなくこの試合に臨んだ。準決勝から中1日ということもあるが、前日までに関東大会の他県の1・2位は出そろっていて、関東大会の初戦で各県で優勝した横浜・常総学院・前橋育英といったチームとの対戦を回避する意味でも1位が欲しいところだったのであろう。
1回表、東農大三は先頭の主将加納がヒットで出塁すると送って1死2塁のチャンス。すると3番松本春はライト前に弾き返す。当たりが良すぎたこともあり、ランナーの加納は3塁を回ったところでストップするも、ライトからセカンドへの送球が逸れてボールが転々とするのを見ると再スタートを切りホームイン。どちらかというと格上の共栄相手に先制とあって、名物の大根踊りも出るなど全校応援の東農大三スタンドは大盛り上がり。しかし続く4番井口は三振を喫すると、スタートを切ったランナーも盗塁死と三振ゲッツーとなってしまう。

先制点はこの東農大三の3番松本春のバットから生まれた
東農大三の先発井口はサイドからのノビのあるストレートにスライダー・シンカー(?)を交えたピッチング。左打者が多い共栄打線に対しても、左バッターのアウトコースギリギリにボールを出し入れしていて、3回まで共栄打線を1安打無失点に抑える素晴らしい立ち上げりであった。一方共栄の村田も2回以降は復調して。東農大三打線をノーヒットに抑えていく。東農大三が1-0とリードしたまま試合は序盤を終える。

序盤共栄打線を封じこめた東農大三の先発井口
試合が動いたのは4回裏、共栄は先頭の木村が粘った末に四球で出塁すると、平尾のセンター前ヒットと、4番村田は死球で無死
満塁のチャンスを作る。ここで迎えるのは5番で主将の石崎は初球からバットを出すもこれが6-4-3のダブルプレー。その間に3塁ランナーであった木村はホームインするも、共栄としては非常に残念な形での同点であるが、続く6番平岡にもタイムリーが飛び出して、この回共栄が一気に逆転に成功する。

センター前ヒットでチャンスをつないだ春日部共栄3番の平尾はこの試合猛打賞の活躍であった
共栄がやっと実力を発揮した形であったが、東農大三も5・6回は井口が再び共栄打線を無得点に抑えて、1点ビハインドをキープした反撃を待つ。すると7回表、この回先頭の4番井口が今度はバットで魅せてレフト線への2ベースで出塁。続く飯島もライト前ヒットを放ち、無死1・3塁と一気に逆転のチャンスを迎える。しかしこのチャンスで1塁ランナーの飯島は盗塁を試みるもタッチアウト…同点への執念を見せて小島には2ストライクからスクイズを決行するも、強いピッチャー正面のバントとなって村田の好フィールディングもありホームタッチアウト。東農大三は絶好のチャンスで逆転はおろか、同点にすらできなかった。
こうなると流れは共栄に7回裏に先頭の丸田のボテボテの打球はセカンド内野安打となり、2個のショートゴロの間に3塁へ。すると2死3塁で迎えた黒川への初球はワイルドピッチとなってしまい待望の追加点をあげる。さらに8回裏には平尾のフラフラと上がった打球に対してレフトが前進してダイビングキャッチを試みるもわずかに届かず2ベース。ここで東農大三はエースナンバーの飯島をマウンドにあげるが、村田のヒットで1・3塁とされてしまうと平岡の犠飛で共栄が4点目をあげる。どちらも東農大三にとっては不運な当たりからの失点であり、まさに野球の神様が7回表の攻撃で東農大三を見捨てたかのような展開であった。
3点のリードを奪った共栄はエース村田が最後までなげきり1失点完投。4-1で勝利した春日部共栄が秋季埼玉大会を制した
。

優勝を決めてマウンドに集まる春日部共栄ナイン
敗れたとはいえ準Vを果たした東農大三はまさに快進撃といえる戦いぶりで久しぶりに関東大会の切符を手にした。決して戦力的には大物といえるような選手がいるわけではないが、打撃面では加納・松本春・井口・飯島といったあたりで的確にヒットを放ち繋ぐ打線で、準々決勝では山村学園の好左腕の和田を攻略した。投手陣では準決勝に続いてみせた井口→飯島という継投は、サイドスローでコーナーをつく井口が試合を作り、終盤は真上から投げる正真正銘のオーバースローの飯島が威力のある球を投げ込むという絵に描いたような継投であり、この日はタイミングなども含めてうまくいっていなかったが、効果的であると感じた。

東農大三の主将で1番の加納はこの試合でも2安打を放つ活躍
春日部共栄は何といっても4番でエース村田が今大会まさに大車輪の活躍。Max145㌔のストレートとスライダーで抑えていく本格派右腕であるが、2日前に浦和実業相手に12回完封した疲れもまだあったのか、この日は三振は4個のみでもテンポよく打たせてとるピッチングでこの日の東農大三打線はなんと内野ゴロが16個。初回に先制を許すも、2回以降は東農大三打線を抑え込んで1失点完投。スピードもさることながら、決して大崩れしそうにない安定したピッチングは評価できるものであり、春日部共栄が今大会相次ぐ波乱に巻き込まれなったのも、安定したピッチングを続ける村田が全試合投げ抜いたことが1番の要因であろう。前チームでは期待されながらもケガで思うように投げられないことも多かっただけにその成長ぶりにも目を見張るものがあった。

9回1失点完投勝利をあげた春日部共栄のエース村田
また共栄はこの村田を盛り上げたバックも素晴らしかった。主将でキャッチャーの石崎は好リードに加えて、東農大三が試みた盗塁を2個とも阻止。初回の場面ではアウトコースのボール球となるスライダーで三振をとり、かなり体勢の悪いところからクロスステップ気味に踏み込んで見事な送球。7回の無死1・3塁の場面では3塁ランナーも気にしながら、見事な送球で逆転のランナーの芽を摘んだ。内野ゴロが16個もあったのにノーエラーであった内野も見事であり、中でもサード片平はバウンドが合わない打球でも巧みにさばくことができていて、5回表の守備では3連続でやや難しい打球を裁き、続く6回にもセーフティバントを阻止してみせるなど、実に1人で7個もの打球をさばいてみせてた。関東大会でも是非とも村田を支えてセンバツの切符を勝ち取って欲しいものだ。

再三にわたる攻守で村田を盛り上げた春日部共栄サードの片平
Pickup Player
平岡大典 春日部共栄2年 セカンド
~値千金であった4回の勝ち越しタイムリー~
この試合を左右する意味でも、4回裏に平岡が放った勝ち越しのタイムリーは非常に大きかった。
平岡は1年秋に背番号14でベンチ入りを果たすと1番セカンドとして活躍。しかし2年夏はベンチ外となってしまい、チームは昌平相手にまさかの初戦敗退となってしまった。迎えた新チームでは平岡は6番セカンドとしてレギュラーに復帰した。
この日は第1打席ではしぶとくセンター前に弾き返してチーム初安打をマーク。そして迎えた第2打席は無死満塁から前の打者の石崎が併殺となってしまい、同点に追いついたものの逆転の大チャンスが2死3塁と縮小してしまった場面であった。平岡はここで3球目のストレートをライト前に運ぶ勝ち越しのタイムリー。ここで打ち取られていたら流れが一気に東農大三に戻るという場面だったので、ここで平岡の1打で勝ち越せたことは共栄にとっては非常に大きな価値のあることだった。
平岡は8回裏の第4打席でもライトにライナー性の犠牲フライを放って2打点目。結局この試合では3打数2安打2打点という活躍。平岡は小柄ではあるが下半身がしっかりして、コンパクトにスイングができているので的確にボールを捉えることができていた。また例え会心の当たりでなくてもしぶとくヒットにする技術の高さも目立った。打つのに加えて盗塁も決めるなど走力もあり。守備も1・2塁間の深いゴロをさばく好プレーを見せるなど安定していて、走攻守に渡ってチームの埼玉制覇に大きく貢献。このような活躍を関東大会でも是非期待したい。

4回の貴重な勝ち越しのタイムリーを含む2安打2打点の活躍の春日部共栄の平岡
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