浦和実業×浦和学院 【さいたま市民大会決勝(2018)】
11/18 さいたま市民大会決勝
浦和実業×浦和学院 @市営浦和球場
さいたま市民大会の決勝は今年も浦和実業×浦和学院というお馴染みのカードとなった。
試合経過

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
高野連主催の公式戦ではない試合だが、浦和実業は背番号20だが秋季大会でも2本柱として先発をこなしていた豆田でその他のスタメンもほぼフルメンバー。浦和学院も背番号8だが夏の甲子園でも控え投手としてベンチ入りしていた下薗が先発で、エース永島と正捕手の畑を除いた2年生のフルメンバーで臨んだ(1年生はベンチ入りせず)。
試合は2回裏、浦学は四球と嶋田のヒットで無死1・2塁のチャンスを作るも、7番石谷はショートゴロ併殺。悪いながれでの2死3塁であったが、上田が四球で繋ぐと、9番古谷が粘った上に三球間を破るタイムリーで先制する。しかし古谷はこの打席or走塁で手を痛めたようで、次の回の守備からは代わって蛭田がサードに入った。
この1点を失ったものの豆田は浦学相手に4回1失点と好投。決して背丈のある投手ではないが、珠持ちが良くてボールを話す位置が前なのでストレートには見た目以上威力がある。このストレートを各バッターのインコースにコントロールよく投げることがでいていて、3回には浦学の注目の中前から見事にインコースのストレートで三振を奪った。さすが埼玉大会準決勝では(関東準Vの)春日部共栄を5回無失点に抑えた投手であった。

浦学打線を4回1失点に抑えた浦和実業先発の豆田
浦実は5回に2死2塁というチャンスで豆田に打順が回ってきたこともあり、代打を送り豆田は降板。マウンドにはエース三田があがり、中盤まで豆田が投げて、(例え豆田の内容が良くても)そこから三田が登板するという秋季大会さながらの投手起用をみせた。しかしその三田に対して、浦学は後藤のヒットとバッテリーミスでチャンスを作ると、4番徳弘がセンター前にタイムリーを放ち2-0とリードを広げる。

2点目となるタイムリーヒットを放つ浦和学院の4番徳弘
ただ三田は6回・7回とピンチを招きながらも浦学打線を無得点に抑えて、流れ浦実に呼び込む(下薗のピッチングについては別途…)。すると打線は7回まで下薗の前に散発3安打に無失点と完璧に抑えられていた打線は7回2死ランナー無しから粘りを見せる。まず代打の佐藤新が死球で出塁すると、連続代打の佐藤大がライト前ヒットで続き2死1・2塁。佐藤新もインコースを攻められたボールが膝をかすめたものであり、苦戦していた左腕の下薗に対して、左バッターに右バッターの代打を送ったことが見事に的中して作ったチャンスであった。浦学はここで下薗に代わり、ショートをまもっていた主将の中前をマウンドにあげる。中前は野手らしいコンパクトなフォームから力のあるストレートを繰り出し、2球で松村を追い込む。しかし松村はここから高めのストレートを大根切りのように捉えると、早い打球はファーストの右を抜けてライト線への2点タイムリー3ベースとなり浦実が同点に追いつく。

同点のタイムリー3ベースを放った浦和実業の2番松村
ただこれで浦学は目が覚めたのかその裏…1死から嶋田が四球で出塁すると、石谷はエンドランでしぶとく三遊間を破って1・2塁。8番上田が右中間を抜くタイムリー2ベースを放ち勝ち越すと、9番蛭田はスクイズを決める。下薗の四球を挟んで、2番後藤も鋭い当たりで1・2塁間を破り浦学が3点を勝ち越す。8回にはストレート一辺倒で松村に打たれてしまった中前であったが、9回はスライダーをうまく使った投球で浦実打線を抑えてゲームセット。浦和学院が5-2で勝利してさいたま市民大会優勝を果たした。

8回裏に決勝打となるタイムリー2ベースを放った浦和学院の上田

さいたま市民大会という名が旧浦和市民大会という名前も残っているように浦和勢の戦いとなるこの大会は、今年は浦和麗明が加わって分、浦和学院はシードとなるなどやはり浦和学院が中心であり、頭1つ抜けた存在であった。しかし今年の秋に関して言えば、浦和学院は優勝候補と期待されながらも白岡相手にまさかの初戦負け…。その分浦和勢で活躍を見せたのがベスト4にまで上り詰めた浦和実業であった。浦和実業は準々決勝で埼玉栄を破ると、準決勝ではのちに横浜をコールドで破るなどしいて関東準Vまで春日部共栄相手に延長13回0-1という大接戦を繰り広げた。そんな浦和実業が豆田→三田と春日部共栄戦と同じ投手起用で臨んできたわけだから、浦和学院としても8回には同点に追いつかれたように一筋縄では行かなかった。
それでも1年生に加えて、永島ー畑という主力バッテリーを外した状態で勝ったあたりはさすがの浦和学院の自力というところであった。永島・畑がいないとなると、浦和学院は前チームからリードオフマンを務めていて新チームでは主将、この試合でも3番ショートを出場した中前が中心となる。しかしその中前がこの試合ではブレーキになってしまった。姿勢のよい構えから軸のしっかりしたスイングは鋭く2打席目にあわやホームランという大ファール(浦和学院ベンチからはポールをまいたという声もあがったが審判は認めず…)を放ったが。3打席目以降はいずれもチャンスで打順が回ってきたが凡退で4打数ノーヒットという結果。中前にあと1本出ていれば試合がもっと楽になったことであろう。投げても8回のピンチにはショートからマウンドに上がるも、同点タイムリーを打たれてしまった。野手らしいコンパクトなフォームからのストレートには力があったが、浦和学院の投手層を考えると投手として活躍するにはもう少し経験が必要だ。ただ秋の初戦敗退からの雪辱を晴らすには主将であり、夏の甲子園も経験した中前がチームを牽引していくことが必須であろう。

この日は投打で活躍できなかったが浦和学院の中心は新主将の中前である
Pickup Player
下薗咲也 浦和学院2年 投手兼外野手
~8回途中まで浦実を寄せ付けないピッチング~
この試合浦和学院で1番の活躍を見せたのは、8回途中まで浦和実業に得点を許さないピッチングをみせた下薗であろう。
下薗は2年春から控え投手としてベンチ入り。2年夏には背番号17を背負い、甲子園でもベンチ入りを果たすも、南埼玉大会・甲子園ともに出場なく終わった。この秋は背番号8を背負い、として埼玉大会の白岡線では1番センターとして出場していた。このさいたま市民大会でもこれまで2戦では同様に1番センターで出場していた下薗だが、この決勝では1番ピッチャーとしてスタメンに名を連ねた。浦和学院の1番ピッチャーという佐藤拓也(浦和学院→立教大→JR東日本)を思い出す。
下薗は決して開くことのないフォームで腕がいきなり出てくるように見えるタイプの左腕。浦和学院でいえば、この秋ロッテにドラフト3位指名を受けた小島や、新チームのエース永島に似たタイプである。そこからテンポよくボールを投げ込み、ストレートは右バッターのインコースに決めることができ、変化球はスライダーを中心にカーブ、スクリュー(orチェンジアップ?)を交えて淡々と浦実打線を打ち取っていった。三振も8回途中までで9個も奪っていて、追い込んでから低めに決めるスライダーに浦実打線のバットは止まらなかった。7回までは散発の3安打で1イニングに2人以上のランナーを出さない安定したピッチング。8回に2死から2人ランナーを出したところで降板となってセンターに回ると、リリーフした中前が2点タイムリーを浴びて自責点こそ2がついてしまったが、8回途中まで浦実打線を完璧に抑えたといえる内容であった。
打撃面では1番ピッチャーというのは不慣れなところもあったか、3打席目までは全然であったが、4打席目には1塁線を破る2ベース。最終回にも四球を選んで後藤のタイムリーに繋げるなどチームの勝利に貢献した。決して体格に秀でている選手ではないが、守備でも外野の中心であるセンターをこなすなど何でもそつなくこなすセンスのある二刀流プレイヤーであった。
今後に関しては、まずピッチングでは同じタイプの左腕であるエース永島というのは何とも不運な状況であるが、これも浦和学院ほどの選手層だと宿命なのだろう。ただ安定感はあるので、冬を越えて球に力がついてくれば、永島もうかうかしていられないだろう。1番打者センターとしてはもともと十分なレベルにあるが、この試合で決勝打を放った上田など外野の一角を狙う選手も多いために、こちらは下薗がうかうかしていられないという立場になる。

8回途中まで見事なピッチングをみせた浦和学院の先発下薗
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浦和実業×浦和学院 @市営浦和球場
さいたま市民大会の決勝は今年も浦和実業×浦和学院というお馴染みのカードとなった。
試合経過

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
高野連主催の公式戦ではない試合だが、浦和実業は背番号20だが秋季大会でも2本柱として先発をこなしていた豆田でその他のスタメンもほぼフルメンバー。浦和学院も背番号8だが夏の甲子園でも控え投手としてベンチ入りしていた下薗が先発で、エース永島と正捕手の畑を除いた2年生のフルメンバーで臨んだ(1年生はベンチ入りせず)。
試合は2回裏、浦学は四球と嶋田のヒットで無死1・2塁のチャンスを作るも、7番石谷はショートゴロ併殺。悪いながれでの2死3塁であったが、上田が四球で繋ぐと、9番古谷が粘った上に三球間を破るタイムリーで先制する。しかし古谷はこの打席or走塁で手を痛めたようで、次の回の守備からは代わって蛭田がサードに入った。
この1点を失ったものの豆田は浦学相手に4回1失点と好投。決して背丈のある投手ではないが、珠持ちが良くてボールを話す位置が前なのでストレートには見た目以上威力がある。このストレートを各バッターのインコースにコントロールよく投げることがでいていて、3回には浦学の注目の中前から見事にインコースのストレートで三振を奪った。さすが埼玉大会準決勝では(関東準Vの)春日部共栄を5回無失点に抑えた投手であった。

浦学打線を4回1失点に抑えた浦和実業先発の豆田
浦実は5回に2死2塁というチャンスで豆田に打順が回ってきたこともあり、代打を送り豆田は降板。マウンドにはエース三田があがり、中盤まで豆田が投げて、(例え豆田の内容が良くても)そこから三田が登板するという秋季大会さながらの投手起用をみせた。しかしその三田に対して、浦学は後藤のヒットとバッテリーミスでチャンスを作ると、4番徳弘がセンター前にタイムリーを放ち2-0とリードを広げる。

2点目となるタイムリーヒットを放つ浦和学院の4番徳弘
ただ三田は6回・7回とピンチを招きながらも浦学打線を無得点に抑えて、流れ浦実に呼び込む(下薗のピッチングについては別途…)。すると打線は7回まで下薗の前に散発3安打に無失点と完璧に抑えられていた打線は7回2死ランナー無しから粘りを見せる。まず代打の佐藤新が死球で出塁すると、連続代打の佐藤大がライト前ヒットで続き2死1・2塁。佐藤新もインコースを攻められたボールが膝をかすめたものであり、苦戦していた左腕の下薗に対して、左バッターに右バッターの代打を送ったことが見事に的中して作ったチャンスであった。浦学はここで下薗に代わり、ショートをまもっていた主将の中前をマウンドにあげる。中前は野手らしいコンパクトなフォームから力のあるストレートを繰り出し、2球で松村を追い込む。しかし松村はここから高めのストレートを大根切りのように捉えると、早い打球はファーストの右を抜けてライト線への2点タイムリー3ベースとなり浦実が同点に追いつく。

同点のタイムリー3ベースを放った浦和実業の2番松村
ただこれで浦学は目が覚めたのかその裏…1死から嶋田が四球で出塁すると、石谷はエンドランでしぶとく三遊間を破って1・2塁。8番上田が右中間を抜くタイムリー2ベースを放ち勝ち越すと、9番蛭田はスクイズを決める。下薗の四球を挟んで、2番後藤も鋭い当たりで1・2塁間を破り浦学が3点を勝ち越す。8回にはストレート一辺倒で松村に打たれてしまった中前であったが、9回はスライダーをうまく使った投球で浦実打線を抑えてゲームセット。浦和学院が5-2で勝利してさいたま市民大会優勝を果たした。

8回裏に決勝打となるタイムリー2ベースを放った浦和学院の上田

さいたま市民大会という名が旧浦和市民大会という名前も残っているように浦和勢の戦いとなるこの大会は、今年は浦和麗明が加わって分、浦和学院はシードとなるなどやはり浦和学院が中心であり、頭1つ抜けた存在であった。しかし今年の秋に関して言えば、浦和学院は優勝候補と期待されながらも白岡相手にまさかの初戦負け…。その分浦和勢で活躍を見せたのがベスト4にまで上り詰めた浦和実業であった。浦和実業は準々決勝で埼玉栄を破ると、準決勝ではのちに横浜をコールドで破るなどしいて関東準Vまで春日部共栄相手に延長13回0-1という大接戦を繰り広げた。そんな浦和実業が豆田→三田と春日部共栄戦と同じ投手起用で臨んできたわけだから、浦和学院としても8回には同点に追いつかれたように一筋縄では行かなかった。
それでも1年生に加えて、永島ー畑という主力バッテリーを外した状態で勝ったあたりはさすがの浦和学院の自力というところであった。永島・畑がいないとなると、浦和学院は前チームからリードオフマンを務めていて新チームでは主将、この試合でも3番ショートを出場した中前が中心となる。しかしその中前がこの試合ではブレーキになってしまった。姿勢のよい構えから軸のしっかりしたスイングは鋭く2打席目にあわやホームランという大ファール(浦和学院ベンチからはポールをまいたという声もあがったが審判は認めず…)を放ったが。3打席目以降はいずれもチャンスで打順が回ってきたが凡退で4打数ノーヒットという結果。中前にあと1本出ていれば試合がもっと楽になったことであろう。投げても8回のピンチにはショートからマウンドに上がるも、同点タイムリーを打たれてしまった。野手らしいコンパクトなフォームからのストレートには力があったが、浦和学院の投手層を考えると投手として活躍するにはもう少し経験が必要だ。ただ秋の初戦敗退からの雪辱を晴らすには主将であり、夏の甲子園も経験した中前がチームを牽引していくことが必須であろう。


この日は投打で活躍できなかったが浦和学院の中心は新主将の中前である
Pickup Player
下薗咲也 浦和学院2年 投手兼外野手
~8回途中まで浦実を寄せ付けないピッチング~
この試合浦和学院で1番の活躍を見せたのは、8回途中まで浦和実業に得点を許さないピッチングをみせた下薗であろう。
下薗は2年春から控え投手としてベンチ入り。2年夏には背番号17を背負い、甲子園でもベンチ入りを果たすも、南埼玉大会・甲子園ともに出場なく終わった。この秋は背番号8を背負い、として埼玉大会の白岡線では1番センターとして出場していた。このさいたま市民大会でもこれまで2戦では同様に1番センターで出場していた下薗だが、この決勝では1番ピッチャーとしてスタメンに名を連ねた。浦和学院の1番ピッチャーという佐藤拓也(浦和学院→立教大→JR東日本)を思い出す。
下薗は決して開くことのないフォームで腕がいきなり出てくるように見えるタイプの左腕。浦和学院でいえば、この秋ロッテにドラフト3位指名を受けた小島や、新チームのエース永島に似たタイプである。そこからテンポよくボールを投げ込み、ストレートは右バッターのインコースに決めることができ、変化球はスライダーを中心にカーブ、スクリュー(orチェンジアップ?)を交えて淡々と浦実打線を打ち取っていった。三振も8回途中までで9個も奪っていて、追い込んでから低めに決めるスライダーに浦実打線のバットは止まらなかった。7回までは散発の3安打で1イニングに2人以上のランナーを出さない安定したピッチング。8回に2死から2人ランナーを出したところで降板となってセンターに回ると、リリーフした中前が2点タイムリーを浴びて自責点こそ2がついてしまったが、8回途中まで浦実打線を完璧に抑えたといえる内容であった。
打撃面では1番ピッチャーというのは不慣れなところもあったか、3打席目までは全然であったが、4打席目には1塁線を破る2ベース。最終回にも四球を選んで後藤のタイムリーに繋げるなどチームの勝利に貢献した。決して体格に秀でている選手ではないが、守備でも外野の中心であるセンターをこなすなど何でもそつなくこなすセンスのある二刀流プレイヤーであった。
今後に関しては、まずピッチングでは同じタイプの左腕であるエース永島というのは何とも不運な状況であるが、これも浦和学院ほどの選手層だと宿命なのだろう。ただ安定感はあるので、冬を越えて球に力がついてくれば、永島もうかうかしていられないだろう。1番打者センターとしてはもともと十分なレベルにあるが、この試合で決勝打を放った上田など外野の一角を狙う選手も多いために、こちらは下薗がうかうかしていられないという立場になる。

8回途中まで見事なピッチングをみせた浦和学院の先発下薗
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