藤代×霞ヶ浦【選手権茨城大会】
7/20 選手権茨城大会4回戦
藤代×霞ヶ浦 @J:COMスタジアム土浦
試合経過

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
秋の準優勝に続き、春は茨城大会を制して夏の第1シードを獲得した藤代。ただ4回戦の相手はなんと霞ヶ浦。今大会はDシードとして臨んでいるが、プロ注目の右腕鈴木寛を擁した実力のあるチームで、この好カードにJ:COMスタジアム土浦はほぼ満員となった。
霞ヶ浦の先発マウンドに上がったのは、今大会エースナンバーを背負ったプロ注目の186㌢右腕の鈴木寛。これまでの2試合はいずれも山本(この試合では4番ライトで出場)が先発だったので、エースが満を持して今大会初登板となった。鈴木寛は初回から自己最速タイとなる148㌔をマークし、2安打を浴びたものの、アウト3個は全て三振、しかも2番栃折と3番藤井は3球三振で仕留めるなど、その力を発揮する。2回にはやや制球を乱し四球2個で1・2塁のピンチを招くと、1番青木にライト前ヒットを浴びるも、ここはライト山本のストライク送球でホームタッチアウトでピンチを脱する。

霞ヶ浦の先発はプロ注目の186㎝右腕鈴木寛
一方の藤代のエース中山はMaxは144㌔ながらも、この日は140㌔に満たないスピード。それでも下半身主導のフォームから、スライダー・チェンジアップ(?)も交えて安定した投球を展開。1〜3回はいずれも得点圏にランナーを背負うも、あと1本を許さない。

中盤からこの両投手のピッチングがさらに冴え渡る。鈴木寛はストレートは140㌔前半〜中盤に抑えつつも、スライダーの割合を増やした投球で得点圏にランナーを進めさせない。中山は投球スタイル自体は同じだが、本人の調子が上がってきたのか、こちらも4・6回と霞ヶ浦打線を3者凡退に抑える快調な投球。試合は0ー0のまま終盤を迎えることになる。
投手戦となった試合の中で、当たっていたのが藤代の青木、霞ヶ浦の天野という両チームの1番打者で、ともに3打席まで全てでヒットを放ち猛打賞。7回の攻撃では、この両1番にチャンスで打席が回ってくるととなる。
まず7回表の藤代は、9番田島がセーフティバントでこれが霞ヶ浦守備陣のエラーを誘い、1死2塁で青木を迎える。1塁が空いている状況なので、3ボールとなったときには歩かせるのかな?と思ったが、そこから鈴木寛はストレートを3球投げ込むと見事にファーストゴロに打ち取り、続く栃折もライトフライに仕留めてピンチを凌ぐ。

3安打と好調であった藤代の1番青木
これに対して7回裏の霞ヶ浦の攻撃は黒田・鈴木寛のヒットで2死1・2塁となって天野を迎える。すると藤代はカウント2B0Sとなったところで、藤代のキャッチャー藤井は完全に立ち上がり、1・2塁にも関わらず、天野を敬遠して満塁にするという驚きの作戦に出る。確かに2番飯塚は全く当たっていなかったが、それでも定石では考えられない大胆な作戦である。ただ結果としてこの作戦は功を奏し、中山が続く代打の川島を三振に仕留めてピンチを脱する。そして、そのまま両者決め手に欠けた試合は0ー0のまま延長戦に突入することとなる。

1・2塁で敬遠されるほど当たっていた霞ヶ浦の1番天野
10回表の藤代は、先頭の田島がレフト戦に2ベースを放ち、死球とバントで1死2・3塁で3番藤井と絶好のチャンスを迎える。敬遠も考える場面であったが、鈴木寛はギアを上げて藤代の3・4番に真っ向勝負を選択すると、延長10回にも関わらず初回以来の148㌔(自己最速タイ)をマークし、藤井を三振、4番有村をショートゴロに打ち取る。
この裏の霞ヶ浦が1死から途中出場の吉本がセンター前ヒットで出塁すると、次打者の初球に盗塁を決めてチャンメイク。2死2塁で4番山本を迎え、こちらも敬遠もあり得る場面であったが、山本はこの試合では2回のチャンスに凡退し、併殺と霞ヶ浦打線のブレーキとなっていたこともあり藤代バッテリーは勝負を選択。ただ山本は2球目を捉えると、打球は前進守備のセンター頭上を越えるサヨナラ打。苦しんだ4番が最後には試合を決め、エース鈴木寛は10回12奪三振完封で霞ヶ浦が1ー0と勝利した。

サヨナラ打を放った霞ヶ浦の4番山本
試合は霞ヶ浦が勝利したものの、どっちに転んでもおかしくない見事な投手戦であった。ただこの試合をモノにしたこともは霞ヶ浦にとっては非常に大きい。まず現世代の霞ヶ浦のチームは決して力がないわけではないが、秋には藤代に準々決勝で敗れ、春には2回戦で明秀日立に破れるなど結果を出せていなかった。それはエース鈴木寛にもいえることで、186㎝の長身からのMaX148㌔の球を投げるということでプロからも注目されていたが、公式戦で目立った成績を残せているわけではなかった。そんなチームや鈴木寛にとっても、秋に敗れた藤代にリベンジしたのは大きな自信になることだろうし、トーナメントを戦っていく上で勢いもついたことであろう。実際に霞ヶ浦はこのあと勢いにのり、また本命であった常総学院が敗れたこともあり、一気に茨城の頂点に上り詰めて甲子園出場を決めている。今振り返ってみても、この試合が間違いなく霞ヶ浦にとってのターニングポイントであっただろう。
Pickup Player
鈴木寛人 霞ヶ浦3年 投手
~プロ注目の右腕の実力がついに開花~
この試合の勝利は何といっても、エース鈴木寛がその実力を発揮して、藤代を完封したことによるものだ。
鈴木寛は霞ヶ浦では1年秋の関東大会で2試合に先発すると、いずれも早々に降板するなど結果を出すことができなかったが、そのポテンシャルは大いに注目を集めた。ただなかなかそのポテンシャルを発揮するには至らず、またケガをしたこともあり、2年夏の茨城大会は背番号20で迎えることとなる。2年秋の新チームでも背番号1は福浦であり、鈴木寛は控え投手。ただ冬場のトレーニングなどにより148㌔をマークするまでに成長すると、いよいよスカウトが本格的に注目するようになった。そしてこの夏に鈴木寛は背番号1を背負うこととなった。
1・2回戦と温存されて満を持して、この試合の先発マウンドに立った鈴木寛は初回から自己最速タイとなる148㌔をマーク。それでも3回までは四球などもあり、毎回2人ずつランナーを背負いながらのピッチングであった。しかし中盤からは130㌔前後のスライダーの割合を増やしたピッチングに変えていくと、どこか鈴木寛にも余裕ができたようにも見えて、藤代打線を3者凡退に抑えるイニングも増えてきた。スライダーの他にはチェンジアップのように沈む130㌔ちょっとの変化球も持っていて、高校生にしてみれば130㌔が曲がるというのは、、簡単に攻略できる球ではないだろう。
9回の先制のピンチには牽制球で2塁ランナーを刺すなど冷静なピッチングをしていた鈴木寛であるが、10回に1死2・3塁でバッタークリーンアップという絶体絶命の場面を迎えるとギアを入れ替えて、初回以来となる148㌔をマークして、3番藤井から三振を奪い、4番有村もショートゴロに打ち取った。その裏にチームがサヨナラ打を放ったため、鈴木は10回9安打無失点12奪三振完封勝利となった。
ちなみにこの試合の鈴木寛のスピードは球場の表示では148㌔であったが、スカウトの持っていたガンでは150㌔をマークしたようで、鈴木寛は150㌔右腕の仲間入りとなった。もとから高く評価されていたポテンシャルをついに開花されたことで、ちょうど作新学院の今井のように甲子園で一気に成長する可能性もある。そうなればドラフト上位指名もあり得るくらいの可能性をもったピッチャーである。

10回12奪三振完封勝利を挙げた霞ヶ浦のエース鈴木寛
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藤代×霞ヶ浦 @J:COMスタジアム土浦
試合経過

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
秋の準優勝に続き、春は茨城大会を制して夏の第1シードを獲得した藤代。ただ4回戦の相手はなんと霞ヶ浦。今大会はDシードとして臨んでいるが、プロ注目の右腕鈴木寛を擁した実力のあるチームで、この好カードにJ:COMスタジアム土浦はほぼ満員となった。
霞ヶ浦の先発マウンドに上がったのは、今大会エースナンバーを背負ったプロ注目の186㌢右腕の鈴木寛。これまでの2試合はいずれも山本(この試合では4番ライトで出場)が先発だったので、エースが満を持して今大会初登板となった。鈴木寛は初回から自己最速タイとなる148㌔をマークし、2安打を浴びたものの、アウト3個は全て三振、しかも2番栃折と3番藤井は3球三振で仕留めるなど、その力を発揮する。2回にはやや制球を乱し四球2個で1・2塁のピンチを招くと、1番青木にライト前ヒットを浴びるも、ここはライト山本のストライク送球でホームタッチアウトでピンチを脱する。

霞ヶ浦の先発はプロ注目の186㎝右腕鈴木寛
一方の藤代のエース中山はMaxは144㌔ながらも、この日は140㌔に満たないスピード。それでも下半身主導のフォームから、スライダー・チェンジアップ(?)も交えて安定した投球を展開。1〜3回はいずれも得点圏にランナーを背負うも、あと1本を許さない。

中盤からこの両投手のピッチングがさらに冴え渡る。鈴木寛はストレートは140㌔前半〜中盤に抑えつつも、スライダーの割合を増やした投球で得点圏にランナーを進めさせない。中山は投球スタイル自体は同じだが、本人の調子が上がってきたのか、こちらも4・6回と霞ヶ浦打線を3者凡退に抑える快調な投球。試合は0ー0のまま終盤を迎えることになる。
投手戦となった試合の中で、当たっていたのが藤代の青木、霞ヶ浦の天野という両チームの1番打者で、ともに3打席まで全てでヒットを放ち猛打賞。7回の攻撃では、この両1番にチャンスで打席が回ってくるととなる。
まず7回表の藤代は、9番田島がセーフティバントでこれが霞ヶ浦守備陣のエラーを誘い、1死2塁で青木を迎える。1塁が空いている状況なので、3ボールとなったときには歩かせるのかな?と思ったが、そこから鈴木寛はストレートを3球投げ込むと見事にファーストゴロに打ち取り、続く栃折もライトフライに仕留めてピンチを凌ぐ。

3安打と好調であった藤代の1番青木
これに対して7回裏の霞ヶ浦の攻撃は黒田・鈴木寛のヒットで2死1・2塁となって天野を迎える。すると藤代はカウント2B0Sとなったところで、藤代のキャッチャー藤井は完全に立ち上がり、1・2塁にも関わらず、天野を敬遠して満塁にするという驚きの作戦に出る。確かに2番飯塚は全く当たっていなかったが、それでも定石では考えられない大胆な作戦である。ただ結果としてこの作戦は功を奏し、中山が続く代打の川島を三振に仕留めてピンチを脱する。そして、そのまま両者決め手に欠けた試合は0ー0のまま延長戦に突入することとなる。

1・2塁で敬遠されるほど当たっていた霞ヶ浦の1番天野
10回表の藤代は、先頭の田島がレフト戦に2ベースを放ち、死球とバントで1死2・3塁で3番藤井と絶好のチャンスを迎える。敬遠も考える場面であったが、鈴木寛はギアを上げて藤代の3・4番に真っ向勝負を選択すると、延長10回にも関わらず初回以来の148㌔(自己最速タイ)をマークし、藤井を三振、4番有村をショートゴロに打ち取る。
この裏の霞ヶ浦が1死から途中出場の吉本がセンター前ヒットで出塁すると、次打者の初球に盗塁を決めてチャンメイク。2死2塁で4番山本を迎え、こちらも敬遠もあり得る場面であったが、山本はこの試合では2回のチャンスに凡退し、併殺と霞ヶ浦打線のブレーキとなっていたこともあり藤代バッテリーは勝負を選択。ただ山本は2球目を捉えると、打球は前進守備のセンター頭上を越えるサヨナラ打。苦しんだ4番が最後には試合を決め、エース鈴木寛は10回12奪三振完封で霞ヶ浦が1ー0と勝利した。

サヨナラ打を放った霞ヶ浦の4番山本
試合は霞ヶ浦が勝利したものの、どっちに転んでもおかしくない見事な投手戦であった。ただこの試合をモノにしたこともは霞ヶ浦にとっては非常に大きい。まず現世代の霞ヶ浦のチームは決して力がないわけではないが、秋には藤代に準々決勝で敗れ、春には2回戦で明秀日立に破れるなど結果を出せていなかった。それはエース鈴木寛にもいえることで、186㎝の長身からのMaX148㌔の球を投げるということでプロからも注目されていたが、公式戦で目立った成績を残せているわけではなかった。そんなチームや鈴木寛にとっても、秋に敗れた藤代にリベンジしたのは大きな自信になることだろうし、トーナメントを戦っていく上で勢いもついたことであろう。実際に霞ヶ浦はこのあと勢いにのり、また本命であった常総学院が敗れたこともあり、一気に茨城の頂点に上り詰めて甲子園出場を決めている。今振り返ってみても、この試合が間違いなく霞ヶ浦にとってのターニングポイントであっただろう。
Pickup Player
鈴木寛人 霞ヶ浦3年 投手
~プロ注目の右腕の実力がついに開花~
この試合の勝利は何といっても、エース鈴木寛がその実力を発揮して、藤代を完封したことによるものだ。
鈴木寛は霞ヶ浦では1年秋の関東大会で2試合に先発すると、いずれも早々に降板するなど結果を出すことができなかったが、そのポテンシャルは大いに注目を集めた。ただなかなかそのポテンシャルを発揮するには至らず、またケガをしたこともあり、2年夏の茨城大会は背番号20で迎えることとなる。2年秋の新チームでも背番号1は福浦であり、鈴木寛は控え投手。ただ冬場のトレーニングなどにより148㌔をマークするまでに成長すると、いよいよスカウトが本格的に注目するようになった。そしてこの夏に鈴木寛は背番号1を背負うこととなった。
1・2回戦と温存されて満を持して、この試合の先発マウンドに立った鈴木寛は初回から自己最速タイとなる148㌔をマーク。それでも3回までは四球などもあり、毎回2人ずつランナーを背負いながらのピッチングであった。しかし中盤からは130㌔前後のスライダーの割合を増やしたピッチングに変えていくと、どこか鈴木寛にも余裕ができたようにも見えて、藤代打線を3者凡退に抑えるイニングも増えてきた。スライダーの他にはチェンジアップのように沈む130㌔ちょっとの変化球も持っていて、高校生にしてみれば130㌔が曲がるというのは、、簡単に攻略できる球ではないだろう。
9回の先制のピンチには牽制球で2塁ランナーを刺すなど冷静なピッチングをしていた鈴木寛であるが、10回に1死2・3塁でバッタークリーンアップという絶体絶命の場面を迎えるとギアを入れ替えて、初回以来となる148㌔をマークして、3番藤井から三振を奪い、4番有村もショートゴロに打ち取った。その裏にチームがサヨナラ打を放ったため、鈴木は10回9安打無失点12奪三振完封勝利となった。
ちなみにこの試合の鈴木寛のスピードは球場の表示では148㌔であったが、スカウトの持っていたガンでは150㌔をマークしたようで、鈴木寛は150㌔右腕の仲間入りとなった。もとから高く評価されていたポテンシャルをついに開花されたことで、ちょうど作新学院の今井のように甲子園で一気に成長する可能性もある。そうなればドラフト上位指名もあり得るくらいの可能性をもったピッチャーである。

10回12奪三振完封勝利を挙げた霞ヶ浦のエース鈴木寛
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