帝京×国士館【秋季東京大会】
11/10 秋季東京大会決勝
帝京×国士館 @神宮球場
試合経過

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
勝てば事実上のセンバツ出場が確定する秋季東京大会の決勝は、関東一・日大三などを破り激戦ブロックを勝ち上がってきた帝京と、2連覇を狙う国士館の戦いとなった。国士館の中西、帝京の田代はともに前日の準決勝に続いての先発マウンド。ただ前日は中西が完封したのに対して、田代は4回途中で降板と、その投球数と投球内容は対照的であった。
ただ帝京の田代は前日と違ってコントロールが安定していて、特に左バッターのアウトコースへのスライダーがきっちりと決まっていた。ストレートは130㌔前半であり、188㎝90㎏という体格もあるので、まるで軽く投げているようにも見える。それでもタイミングを外して国士舘打線を打ち取っていく姿はまるで下柳を見ているようであった。

帝京の先発田代
しかし3回裏、国士舘は9番中泉の高く跳ねたピッチャーゴロを太陽が被ったか田代が見失って内野安打となると、2番伊藤の四球で2死1・2塁のチャンスを作る。すると3番清水が初球のスライダーを捉え、左中間への2点タイムリー2ベース。帝京は早くもここで田代から、リリーフエース柳沼へ投手をスイッチする。しかし国士館は柳沼から四球とエラーで満塁とすると、6番吉田はしぶとくセカンドの横を抜き2者が生還して、国士館がこの回4点を先制する。

柳沼は前日に5回を投げた影響やこの試合でも序盤からブルペンで投げていてこともあり、疲れがあったのか、準々決勝・準決勝と素晴らしい投球をみせていた柳沼とは少し違った。国士館は4回裏には先頭の中西にヒットで出塁すると、中泉が送って、1番林は左中間にタイムリーを放ち5点目をあげる。

5点目となるタイムリーを放った林
国士館のエース中西もやはり疲れがあったのかストレートのスピードは前日より明らかに遅い。それでもサイド気味のスリークウォーターからスライダーやシンカーも繰り出して、帝京打線を淡々と打ち取っていく。前日の城東戦の圧倒的な内容とはほど遠いが、それでも5回まで2安打無失点と前日と同じレベルの素晴らしい成績であった。
国士館は6回裏、またもや先頭の中西が自らのバットでヒットを放ち出塁すると、中泉が送るという4回と同じ展開。1番林の内野安打で1死1・3塁とすると、2番伊藤はセーフティスクイズ。これはホーム近辺のキャッチャーがそのまま捕球するバントとなってしまい、3塁ランナーの中西はホームへの突入はできなかったが、1塁へ送球された瞬間に中西がスタート。ファースト武者からの送球がワンバンになってしまったこともあり、ホームのベースカバー柳沼はキャッチできずに、中西の積極的な走塁で国士館が6点目をあげる。

6点目のきっかけとなるバントをする伊藤
後半も中西の前に沈黙してしまった帝京打線は、ランナーを出すのは死球のみ。夏から鍛え上げられた打線で、この秋は関東一に打ち勝って、この決勝の舞台までコマを進めたものの、中西の前には完全沈黙で見せ場すらなかった。後半戦は中西の前になんとノーヒットに終わってしまい、まさかの2安打完封負け。6-0と勝利した国士館が秋の東京大会を制し、明治神宮大会出場を決めた。

優勝を決めた国士舘ナイン
見事2連覇を達成した国士館であるが、実は前評判はそれほど高くはなく、個人的にもこの試合は帝京が有利とみていた。この秋の東京大会は日大三・東海大菅生・関東一・帝京と優勝候補四天王が同じブロックでベスト4までに潰しあうという組み合わせ。帝京は前チームからの経験者が多く残り黄金世代と言われていて、関東一→日大三→創価とそうそうたる強豪との激闘を制しての決勝進出。一方反対のブロックに入った国士館は組み合わせ的には恵まれていて、最大のライバルといわれた二松学舎大付が初戦で敗れると、国士舘の決勝進出を大きく妨げるような対戦相手はいなかった。国士舘はセンバツに出場したときの主力である黒澤や鎌田と野手は残っているものの、4投手全員が3年生であった投手陣に関しては未知数。そんな中で中西がエースとして降臨したが、ストレートは130㌔ほどの投手であるために、勝ちはしたものの明大中野八王子は6失点完投、修徳戦は4失点完投という内容であった。そんな中西が準決勝・決勝と連続完封、特に帝京相手の完封劇は永田監督も驚きの結果だった。やはり秋は選手の成長も含めて、何があるかわからないと思わせる試合であった。
ただ具体的に試合の勝敗を分けたと思われるのは、連投となった両投手のピッチングであろう。秋季大会は連戦は少なく、両チームともに投手が連投するのは初めてのこと。前日の疲れが残っているのは当たり前だが、その中でスピードを落としながらも今日も自分のピッチングができたのが中西。一方帝京のリリーフエース柳沼はそれができなかったために、追加点を許してしまい、差がついたことで帝京打線にも焦りが生まれて、さらに中西の術中にはまるという展開を呼んでしまったように思える。

前日に続く快投とはならなかった柳沼
国士舘は昨年も決勝では、実力的には圧倒的有利と思われていた東海大菅生を破っての優勝。ただ神宮大会では札幌大谷にコールド負け、センバツでも初戦で明石商に敗れた。まずは1週間後の神宮大会、相手はくしくも同じ北海道代表の白樺学園(今日の試合を観戦しに来ていた)だけに、昨年の借りを返して、センバツに向けていいスタートを切りたいところだ。
敗れた帝京にしてみれば、これは痛すぎる敗戦であった。2011年以来甲子園から遠ざかっている帝京にとっては、1年夏から8人がベンチ入りを果たしたメンバーが最終学年となり今年は勝負の年。前評判は上と言われながらも、試合をしてみれば6点差、さらには2安打完封負けという結果。関東の最後のセンバツ枠は、帝京と関東5チーム目(おそらく花咲徳栄)との比較になるが、1番の判断材料となる決勝戦のスコアがこれだと、センバツ出場はかなり厳しい。百戦錬磨の前田監督が試合後に今後について聞かれたときの「チームの中でピークは来ていたのに、こういう敗戦。今現在では、どうすべきか思い当たらない」と答えたことが、その厳しさを物語ってる。
Pickup Player
中西健登 国士舘2年 投手
~2連続の完封劇でチームを優勝に~
国士舘の優勝は、このエース中西のおかげといっても過言でないほどの2日連続での完封劇であった。
中西は投手を始めたのは国士館入学後であったが、1年夏に腕の位置をさげて、サイド気味のフォームとなると、1年秋よりベンチ入り。ただ2年春のセンバツではケガもあり登板なく終えると、2年夏には背番号17でベンチ入りを果たすも、投手陣は実質上白須・山崎・山田・石橋の3年生4人で回っていて、登板機会はなかった。ただ2年秋の新チームではエースとなると、初戦では世田谷学園を完封、3回戦の明大中野八王子戦では6失点完投勝利、準々決勝の共栄学園戦では4失点完投と、2回戦の富士森戦以外はすべて1人で投げ切っていた。そして圧巻だったのが準決勝の城東戦で、無四球2安打完封でこの日の決勝にコマを進めていた。
連戦となったこの日の決勝戦でも先発のマウンドに上がった中西。やはり疲れはあるのだろうかストレートは130㌔に満たないものがほとんど。それでも186㎝の長い腕をうまく使って、サイド気味のスリークウォーターから放たれる球にはノビがあり、コントロールもよい。120㌔前後のスライダーはストレートの球速差が少なく、またこの日はシンカーを多く使っていて、これが帝京打線にとっては予想外であっただろう。初回にいきなり1番武者にヒットを打たれてピンチを招くも、3番の強打者加田を三振に仕留めると、続く4番新垣もセンターフライに打ち取った。結果的にはこれがこの試合で1番のピンチであり、そのあとは2・3回を3人ずつで片づけるなど淡々と帝京打線を打ち取っていく。4回に加田に2本目のヒットを打たれるも、試合の後半戦は死球こそ3個と多かったものの、ヒットを浴びることはなく、結果3塁を踏ませることなく2安打完封。永田監督も驚きの完封劇で、優勝投手となった。
まだ中西は打撃面でも活躍。4回・6回と追加点をあげた攻撃はいずれも中西のヒットから始まった攻撃。特に6回の場面では3塁まで進むと、バントを処理した捕手が1塁へ送球した間にホームに突入するなど投手とは思えないアグレッシブな走塁も見せて、チームを牽引した。
中西に関してはいい投手ではあったが、これまでの勝ち上がりではいわゆる強力打線といえるチームとの対戦はなく、またスピード自体がある投手でないので、どこまで通用するのかは不安もあった。ただふたを開けてみれば帝京の強力打線を2安打完封。この調子で神宮大会、さらにはセンバツでの活躍に期待したい。

見事2安打完封でチームを優勝に導いた中西
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帝京×国士館 @神宮球場
試合経過

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
勝てば事実上のセンバツ出場が確定する秋季東京大会の決勝は、関東一・日大三などを破り激戦ブロックを勝ち上がってきた帝京と、2連覇を狙う国士館の戦いとなった。国士館の中西、帝京の田代はともに前日の準決勝に続いての先発マウンド。ただ前日は中西が完封したのに対して、田代は4回途中で降板と、その投球数と投球内容は対照的であった。
ただ帝京の田代は前日と違ってコントロールが安定していて、特に左バッターのアウトコースへのスライダーがきっちりと決まっていた。ストレートは130㌔前半であり、188㎝90㎏という体格もあるので、まるで軽く投げているようにも見える。それでもタイミングを外して国士舘打線を打ち取っていく姿はまるで下柳を見ているようであった。

帝京の先発田代
しかし3回裏、国士舘は9番中泉の高く跳ねたピッチャーゴロを太陽が被ったか田代が見失って内野安打となると、2番伊藤の四球で2死1・2塁のチャンスを作る。すると3番清水が初球のスライダーを捉え、左中間への2点タイムリー2ベース。帝京は早くもここで田代から、リリーフエース柳沼へ投手をスイッチする。しかし国士館は柳沼から四球とエラーで満塁とすると、6番吉田はしぶとくセカンドの横を抜き2者が生還して、国士館がこの回4点を先制する。

柳沼は前日に5回を投げた影響やこの試合でも序盤からブルペンで投げていてこともあり、疲れがあったのか、準々決勝・準決勝と素晴らしい投球をみせていた柳沼とは少し違った。国士館は4回裏には先頭の中西にヒットで出塁すると、中泉が送って、1番林は左中間にタイムリーを放ち5点目をあげる。

5点目となるタイムリーを放った林
国士館のエース中西もやはり疲れがあったのかストレートのスピードは前日より明らかに遅い。それでもサイド気味のスリークウォーターからスライダーやシンカーも繰り出して、帝京打線を淡々と打ち取っていく。前日の城東戦の圧倒的な内容とはほど遠いが、それでも5回まで2安打無失点と前日と同じレベルの素晴らしい成績であった。
国士館は6回裏、またもや先頭の中西が自らのバットでヒットを放ち出塁すると、中泉が送るという4回と同じ展開。1番林の内野安打で1死1・3塁とすると、2番伊藤はセーフティスクイズ。これはホーム近辺のキャッチャーがそのまま捕球するバントとなってしまい、3塁ランナーの中西はホームへの突入はできなかったが、1塁へ送球された瞬間に中西がスタート。ファースト武者からの送球がワンバンになってしまったこともあり、ホームのベースカバー柳沼はキャッチできずに、中西の積極的な走塁で国士館が6点目をあげる。

6点目のきっかけとなるバントをする伊藤
後半も中西の前に沈黙してしまった帝京打線は、ランナーを出すのは死球のみ。夏から鍛え上げられた打線で、この秋は関東一に打ち勝って、この決勝の舞台までコマを進めたものの、中西の前には完全沈黙で見せ場すらなかった。後半戦は中西の前になんとノーヒットに終わってしまい、まさかの2安打完封負け。6-0と勝利した国士館が秋の東京大会を制し、明治神宮大会出場を決めた。

優勝を決めた国士舘ナイン
見事2連覇を達成した国士館であるが、実は前評判はそれほど高くはなく、個人的にもこの試合は帝京が有利とみていた。この秋の東京大会は日大三・東海大菅生・関東一・帝京と優勝候補四天王が同じブロックでベスト4までに潰しあうという組み合わせ。帝京は前チームからの経験者が多く残り黄金世代と言われていて、関東一→日大三→創価とそうそうたる強豪との激闘を制しての決勝進出。一方反対のブロックに入った国士館は組み合わせ的には恵まれていて、最大のライバルといわれた二松学舎大付が初戦で敗れると、国士舘の決勝進出を大きく妨げるような対戦相手はいなかった。国士舘はセンバツに出場したときの主力である黒澤や鎌田と野手は残っているものの、4投手全員が3年生であった投手陣に関しては未知数。そんな中で中西がエースとして降臨したが、ストレートは130㌔ほどの投手であるために、勝ちはしたものの明大中野八王子は6失点完投、修徳戦は4失点完投という内容であった。そんな中西が準決勝・決勝と連続完封、特に帝京相手の完封劇は永田監督も驚きの結果だった。やはり秋は選手の成長も含めて、何があるかわからないと思わせる試合であった。
ただ具体的に試合の勝敗を分けたと思われるのは、連投となった両投手のピッチングであろう。秋季大会は連戦は少なく、両チームともに投手が連投するのは初めてのこと。前日の疲れが残っているのは当たり前だが、その中でスピードを落としながらも今日も自分のピッチングができたのが中西。一方帝京のリリーフエース柳沼はそれができなかったために、追加点を許してしまい、差がついたことで帝京打線にも焦りが生まれて、さらに中西の術中にはまるという展開を呼んでしまったように思える。

前日に続く快投とはならなかった柳沼
国士舘は昨年も決勝では、実力的には圧倒的有利と思われていた東海大菅生を破っての優勝。ただ神宮大会では札幌大谷にコールド負け、センバツでも初戦で明石商に敗れた。まずは1週間後の神宮大会、相手はくしくも同じ北海道代表の白樺学園(今日の試合を観戦しに来ていた)だけに、昨年の借りを返して、センバツに向けていいスタートを切りたいところだ。
敗れた帝京にしてみれば、これは痛すぎる敗戦であった。2011年以来甲子園から遠ざかっている帝京にとっては、1年夏から8人がベンチ入りを果たしたメンバーが最終学年となり今年は勝負の年。前評判は上と言われながらも、試合をしてみれば6点差、さらには2安打完封負けという結果。関東の最後のセンバツ枠は、帝京と関東5チーム目(おそらく花咲徳栄)との比較になるが、1番の判断材料となる決勝戦のスコアがこれだと、センバツ出場はかなり厳しい。百戦錬磨の前田監督が試合後に今後について聞かれたときの「チームの中でピークは来ていたのに、こういう敗戦。今現在では、どうすべきか思い当たらない」と答えたことが、その厳しさを物語ってる。
Pickup Player
中西健登 国士舘2年 投手
~2連続の完封劇でチームを優勝に~
国士舘の優勝は、このエース中西のおかげといっても過言でないほどの2日連続での完封劇であった。
中西は投手を始めたのは国士館入学後であったが、1年夏に腕の位置をさげて、サイド気味のフォームとなると、1年秋よりベンチ入り。ただ2年春のセンバツではケガもあり登板なく終えると、2年夏には背番号17でベンチ入りを果たすも、投手陣は実質上白須・山崎・山田・石橋の3年生4人で回っていて、登板機会はなかった。ただ2年秋の新チームではエースとなると、初戦では世田谷学園を完封、3回戦の明大中野八王子戦では6失点完投勝利、準々決勝の共栄学園戦では4失点完投と、2回戦の富士森戦以外はすべて1人で投げ切っていた。そして圧巻だったのが準決勝の城東戦で、無四球2安打完封でこの日の決勝にコマを進めていた。
連戦となったこの日の決勝戦でも先発のマウンドに上がった中西。やはり疲れはあるのだろうかストレートは130㌔に満たないものがほとんど。それでも186㎝の長い腕をうまく使って、サイド気味のスリークウォーターから放たれる球にはノビがあり、コントロールもよい。120㌔前後のスライダーはストレートの球速差が少なく、またこの日はシンカーを多く使っていて、これが帝京打線にとっては予想外であっただろう。初回にいきなり1番武者にヒットを打たれてピンチを招くも、3番の強打者加田を三振に仕留めると、続く4番新垣もセンターフライに打ち取った。結果的にはこれがこの試合で1番のピンチであり、そのあとは2・3回を3人ずつで片づけるなど淡々と帝京打線を打ち取っていく。4回に加田に2本目のヒットを打たれるも、試合の後半戦は死球こそ3個と多かったものの、ヒットを浴びることはなく、結果3塁を踏ませることなく2安打完封。永田監督も驚きの完封劇で、優勝投手となった。
まだ中西は打撃面でも活躍。4回・6回と追加点をあげた攻撃はいずれも中西のヒットから始まった攻撃。特に6回の場面では3塁まで進むと、バントを処理した捕手が1塁へ送球した間にホームに突入するなど投手とは思えないアグレッシブな走塁も見せて、チームを牽引した。
中西に関してはいい投手ではあったが、これまでの勝ち上がりではいわゆる強力打線といえるチームとの対戦はなく、またスピード自体がある投手でないので、どこまで通用するのかは不安もあった。ただふたを開けてみれば帝京の強力打線を2安打完封。この調子で神宮大会、さらにはセンバツでの活躍に期待したい。

見事2安打完封でチームを優勝に導いた中西
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