東北福祉大×東海大【明治神宮大会(大学の部)】
11/16 明治神宮大会(大学の部)1回戦
東北福祉大×東海大 @神宮球場
試合経過
東北福祉大と東海大という豊富な投手陣を誇る、1回戦屈指の強豪どうしたの戦いは思わぬ展開となった。まず意外であったのは東海大の先発が高杉であったこと。この秋は質のいいストレートを武器にリリーフとして活躍していた高杉だが、山崎・原田・松山といった選手に比べると実績は少なく、さらに先発となるとなおさらだ。そんな高杉は初回に里見・清水のヒットと四球で2死満塁のピンチを招くと、東北福祉大は6番主将の岩崎がセンター前にはじき返して先制点をあげる。。

先制タイムリーを放った岩崎
波に乗り切れない高杉は2回表にも、先頭の大里にライト線へ2ベースを浴びると、続くピッチャー山野にもレフトオーバーのタイムリー2ベースを浴びてしまう。さらに山野は中継が乱れる間に3塁を陥れると、続く1番柿崎が犠牲フライを放ち3-0と東北福祉大がリードを広げ、高杉はこの回で降板となってしまう。

先発のマウンドに上がるも2回3失点で降板となってしまった高杉
東北福祉大にしていれば、これはもう楽勝な展開かと思われたが、2回裏に安定感抜群のはずのエース山野が乱れる。先頭の長倉に四球を与えると、続く串畑のバントを2塁へ暴投、さらに高杉の代打亀田にも四球を与えてしまい無死満塁。東海大は9番竹内のセカンドゴロの間に1点を返し、さらに千野の打席で山野がワイルドピッチで2点目。2四死球で再び満塁とすると、4番海野はセンターに逆転タイムリーを放ち、東海大が4-3と試合をひっくり返す。

3回に逆転タイムリーを放った4番海野
東海大は3回表に、2番手としてサイド左腕の安里をマウンドにあげる。同じタイプの左腕であれば、実績もある松山がいたので、先発もさることながらこの継投にも驚いた。ただ安里は岩崎のヒットと2四球で満塁のピンチを迎えると、代打増田には押し出しの死球。さらに1番柿崎は2打席連続となる犠牲フライを放ち、東北福祉大が6-5と再逆転に成功する(まだ3回表)。
東北福祉大は3回から2番手として、東北の代表決定戦ではノーヒットノーランを達成した綱脇をマウンドに送る。綱脇は先頭の長倉に四球を与えてしまうと、代走の植村が盗塁を決めて、串畑が送って1死3塁。ここで東海大は安里に代えて代打小玉を送る。2017年の夏の甲子園準決勝の東海大菅生×花咲徳栄戦の再来となるこの2人の対決は、小玉がきっちりと犠牲フライを放って勝利し、東海大が6-6と同点に追いつく。

同点に追いつく犠飛を放った代打小玉
さらに東海大は5回裏、1死から5番藤井が右中間に2ベースを放ち出塁すると、代走からの出場でこれが初打席となる植村は左中間に勝ち越しのタイムリー3ベース。さらに串畑がタイムリーを放つと、串畑は2盗→3盗と決めて、さらに3盗時のキャッチャーからの送球が逸れてホームインとまさにその快足で1人でホームインする活躍を見せ、東海大がこの回3点目。綱脇はゆったりしたフォームで打者のタイミングを外しながら投げていたが、ランナーを背負っているときのクイックが課題のようで、好き放題走られてしまい、それが得点に繋がり、この5回でマウンドを降りることになってしまった。

2番手として登板するも3回4失点を起用に応えることのできなかった綱脇
東海大は4回から3番手としてマウンドに上がった宮路が、4~6回の東北福祉大の攻撃を無得点で凌ぎ、見事に試合を落ちつける働きを見せる。しかし7回に先頭打者に死球を与えてしまうと、1死から8番大里にこの試合2本目の2ベースを右中間に打たれてしまい初失点。さらに6回表を無失点に抑えた1年生左腕の坂根のところで、天理の先輩でもある4年生の冨木が代打で登場すると、この冨木が宮路の変化球をうまく救い上げて、レフトスタンドに同点の2ランホームラン。東北福祉大が8-8と試合を振り出しに戻す。

代打で出て同点2ランをはなった冨木
東北福祉大は7回裏から、ドラフト会議ではソフトバンクに3位指名を受けたリリーフエースの津森が登板。津森は7回には藤井・串畑から三振を奪い3人で攻撃を終わらせると、8回には宮路・千野・宮地と3者連三振を奪う圧倒的なピッチング。かたや宮路も同点2ランを浴びた後は立ち直り、8回表・9回表と東北福祉大打線の攻撃を無得点に抑える。

7回・8回と圧巻のピッチングをみせた津森
8-8のまま迎えた9回裏、1死から東海大の杉崎の放った高く上がった打球をサード大里が落球し出塁。打席には4番海野が入り、津森とのソフトバンクドラフト2位VS3位の対決が実現すると、津森が海野をサードゴロに打ち取るも、サード大里の送球が逸れてしまい1死1・2塁。それでも5番藤井はセカンドゴロに打ち取り併殺と思いきや、この打球がセカンド永濱の手につかず3連続エラーで東海大が満塁のチャンスを作る。さらに6番植村のファールフライを、キャッチャーとサードが見合って落球という事態もあり、完全にバックに足を引っ張られた津森であったが、気迫の投球で植村を3球三振に仕留め2死。続く串畑もボテボテのピッチャーゴロに打ち取るも、わずかに逸れた津森の送球に対して、ファースト岩崎の足はベースから離れたと判定されてセーフ。東海大は最終回に、結局ノーヒットながら4個のエラーで1点を奪いサヨナラ勝ちをおさめた。

サヨナラ勝ちに喜ぶ東海大ナイン

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
津森の大学ラストゲームはまさに悲劇となってしまった。1年時から大学日本代表候補合宿に参加するなど活躍していたサイド右腕は、3年春には全日本大学野球選手権で優勝し、最優秀投手賞を受賞。そのまま大学日本代表にも選ばれ、今日対戦して、来年からはチームメイトとなる海野ともバッテリーを組んだ。しかしケガの影響などもあり、今年は大学日本代表からも漏れる(選考合宿までは参加)など本来の姿とは言い難い投球が続いていて、ドラフトの指名順位も3位まで落ちてしまった。それでも大学最後となるこの大会に登板した津森は、サイドスローから繰り出すストレートはMax146㌔でこれが見事にバッターの膝の高さに決まっていて、スライダー・シンカーもさえていて、東海大打線でも打てる気配がないというほど素晴らしい投球であった。最終回の1死2塁(=1塁が空いている場面)でも、東海大の4番海野に勝負を挑んで打ち取るなど気迫も十分で、結果的に最後まで東海大打線にヒットも四死球を許すことはなかったものの、味方の3連続エラーで満塁とされると、最後は自らのエラー(記録上は)でサヨナラ負けというまさに悲劇の主人公となってしまった。

サヨナラ負けを喫してマウンドでしゃがみ込み津森
このエラーには東北福祉大からしてみれば慣れない神宮、それもナイターという環境要因もあったと思う。ただそれより影響として大きかったと思われるのが、その前の守備のシフト変更であった。東北福祉大は津森登板時にはキャッチャーは笹谷が務めることとなっていて、この試合でも7回から笹谷がマスクをかぶった。リーグ戦では岩崎の代わりにそのまま笹谷が入るケースが多かったが、この試合では岩崎が先制タイムリーを放つなど打撃好調だったこともあり、岩崎がファースト、ファーストだった大里は2ベース2本と当たっていたのでサードに回り、この試合打撃がさっぱりであった楠本がベンチに下げた。だが結果的に最終回のエラーのうち、2個は大里のエラーであり、また(送球がやや逸れて)ファースト岩崎の足がわずかにベースから離れてしまったものも2個あったために、この守備シフトの変更がもろに影響してしまった。
勝利した東海大だが投手陣が気がかりだ。結果的に山崎・原田・松山の3本柱は登板せずに、3回からリリーフした宮路が最後まで投げ切った。山崎は肘に不安を抱えているとのことで登板なしで納得だが、原田と松山もコンディションに問題を抱えているかもしれないが、ブルペンには入っていたので不可解であった。高杉や宮路もボールは素晴らしいが、今後のことを考えるとやはり経験不足感は否めず、上記の3人が投げれないとなるとこの先の勝ち上がりは不安である。
そんな状況なので今日のように投手陣のカバーが必須となる、東海大の打線で注目なのはやはり、2015年の夏の甲子園を制した東海大相模勢である。東海大の主将を務める長倉は、東海大相模では2年時から正捕手を務めた逸材であったが、東海大では同期に海野という大学No1捕手がいた。長倉の主戦場はDHor代打であったが、DHのない今大会ではファーストに挑戦し、見事にスタメンの座を射止めた。これで2015年の夏の甲子園決勝の東海大相模のスタメンと同じ1番千野・2番宮地・3番杉崎・6番長倉という構成がこの試合でも見られた。見事に初戦を突破し、東海大相模勢の高校に次ぐ大学での全国制覇への挑戦は続く。

この試合では打力を生かしてファーストでスタメン出場を果たした長倉
Pickup Player
宮路悠良 東海大2年 投手
~投手陣崩壊を食い止める好投~
3本柱が投げれず、高杉・安里までも撃ち込まれた東海大投手陣を救ったのは、3番手で登板した宮路であった。
宮路は東海大高輪台時代から本格派右腕として注目されていて、1年秋には背番号8ながら控え投手として東京4強入り。2年秋からはエースとなり、1次予選から日大豊山、拓大一という強豪と対戦する不運なブロックに入るも、その両チームに勝利して本大会出場。3回戦では早大学院に敗れるも、その試合ではライトスタンドにホームランを放つなど打力も魅力であった。3年夏には主に抑えとして活躍し、帝京・東亜学園といった強豪を撃破し、東海大系列で唯一甲子園未出場のチームを、東東京決勝に導いた。決勝では市川(日大)、永井(広島)ら率いる二松学舎大付に完敗していまうも、147㌔右腕としての評判は高く、秋にはプロ志望届を提出するも、指名はなく東海大へ進学した。
東海大では最速を151㌔までに伸ばし、この秋にリーグ戦デビューしリリーフで3試合し、計2回2/3を投げた。警官からいえば、また少ないと言わざるを得ない右腕であるが、この神宮大会の初戦では、5-5で迎えた4回表に3番手としてマウンドに上がることとなった。マウンドにあがった宮路は、第4試合ということもありナイターで寒い中にも関わらず、いきなり148㌔をマーク。ただストレートの力はある一方、コントロールにバラツキがあり、いきなり2四死球でピンチを招くも、最後は楠本をストレートで三振に切って取る。5回以降は勝負どころ以外ではストレートの力をやや抑え、コントロールを安定させたことで、四死球は1個のみ。縦のスライダーやカーブといった変化球もうまく使いながら、東北福祉大打線を抑えていった。3回までで5失点であった東海大にとって、4~6回を宮路が無得点に凌いでくれたのは、試合を落ち着かせる意味でも非常に大きかった。
7回には冨木に同点2ランを浴びるなど3失点してしまうが、安藤監督のこの日の宮路に対する信頼は厚く、その後も続投。8回・9回も東北福祉大打線を無得点に抑え、最後の味方のサヨナラ勝ちにつなげた。その能力は高く、まだまだ粗さの残る右腕であるが、その中でも十分な働きをみせ、見事に公式戦初勝利をあげた。

3回からマウンドにあがり、最後まで投げ切った宮路
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東北福祉大×東海大 @神宮球場
試合経過
東北福祉大と東海大という豊富な投手陣を誇る、1回戦屈指の強豪どうしたの戦いは思わぬ展開となった。まず意外であったのは東海大の先発が高杉であったこと。この秋は質のいいストレートを武器にリリーフとして活躍していた高杉だが、山崎・原田・松山といった選手に比べると実績は少なく、さらに先発となるとなおさらだ。そんな高杉は初回に里見・清水のヒットと四球で2死満塁のピンチを招くと、東北福祉大は6番主将の岩崎がセンター前にはじき返して先制点をあげる。。

先制タイムリーを放った岩崎
波に乗り切れない高杉は2回表にも、先頭の大里にライト線へ2ベースを浴びると、続くピッチャー山野にもレフトオーバーのタイムリー2ベースを浴びてしまう。さらに山野は中継が乱れる間に3塁を陥れると、続く1番柿崎が犠牲フライを放ち3-0と東北福祉大がリードを広げ、高杉はこの回で降板となってしまう。

先発のマウンドに上がるも2回3失点で降板となってしまった高杉
東北福祉大にしていれば、これはもう楽勝な展開かと思われたが、2回裏に安定感抜群のはずのエース山野が乱れる。先頭の長倉に四球を与えると、続く串畑のバントを2塁へ暴投、さらに高杉の代打亀田にも四球を与えてしまい無死満塁。東海大は9番竹内のセカンドゴロの間に1点を返し、さらに千野の打席で山野がワイルドピッチで2点目。2四死球で再び満塁とすると、4番海野はセンターに逆転タイムリーを放ち、東海大が4-3と試合をひっくり返す。

3回に逆転タイムリーを放った4番海野
東海大は3回表に、2番手としてサイド左腕の安里をマウンドにあげる。同じタイプの左腕であれば、実績もある松山がいたので、先発もさることながらこの継投にも驚いた。ただ安里は岩崎のヒットと2四球で満塁のピンチを迎えると、代打増田には押し出しの死球。さらに1番柿崎は2打席連続となる犠牲フライを放ち、東北福祉大が6-5と再逆転に成功する(まだ3回表)。
東北福祉大は3回から2番手として、東北の代表決定戦ではノーヒットノーランを達成した綱脇をマウンドに送る。綱脇は先頭の長倉に四球を与えてしまうと、代走の植村が盗塁を決めて、串畑が送って1死3塁。ここで東海大は安里に代えて代打小玉を送る。2017年の夏の甲子園準決勝の東海大菅生×花咲徳栄戦の再来となるこの2人の対決は、小玉がきっちりと犠牲フライを放って勝利し、東海大が6-6と同点に追いつく。

同点に追いつく犠飛を放った代打小玉
さらに東海大は5回裏、1死から5番藤井が右中間に2ベースを放ち出塁すると、代走からの出場でこれが初打席となる植村は左中間に勝ち越しのタイムリー3ベース。さらに串畑がタイムリーを放つと、串畑は2盗→3盗と決めて、さらに3盗時のキャッチャーからの送球が逸れてホームインとまさにその快足で1人でホームインする活躍を見せ、東海大がこの回3点目。綱脇はゆったりしたフォームで打者のタイミングを外しながら投げていたが、ランナーを背負っているときのクイックが課題のようで、好き放題走られてしまい、それが得点に繋がり、この5回でマウンドを降りることになってしまった。

2番手として登板するも3回4失点を起用に応えることのできなかった綱脇
東海大は4回から3番手としてマウンドに上がった宮路が、4~6回の東北福祉大の攻撃を無得点で凌ぎ、見事に試合を落ちつける働きを見せる。しかし7回に先頭打者に死球を与えてしまうと、1死から8番大里にこの試合2本目の2ベースを右中間に打たれてしまい初失点。さらに6回表を無失点に抑えた1年生左腕の坂根のところで、天理の先輩でもある4年生の冨木が代打で登場すると、この冨木が宮路の変化球をうまく救い上げて、レフトスタンドに同点の2ランホームラン。東北福祉大が8-8と試合を振り出しに戻す。

代打で出て同点2ランをはなった冨木
東北福祉大は7回裏から、ドラフト会議ではソフトバンクに3位指名を受けたリリーフエースの津森が登板。津森は7回には藤井・串畑から三振を奪い3人で攻撃を終わらせると、8回には宮路・千野・宮地と3者連三振を奪う圧倒的なピッチング。かたや宮路も同点2ランを浴びた後は立ち直り、8回表・9回表と東北福祉大打線の攻撃を無得点に抑える。

7回・8回と圧巻のピッチングをみせた津森
8-8のまま迎えた9回裏、1死から東海大の杉崎の放った高く上がった打球をサード大里が落球し出塁。打席には4番海野が入り、津森とのソフトバンクドラフト2位VS3位の対決が実現すると、津森が海野をサードゴロに打ち取るも、サード大里の送球が逸れてしまい1死1・2塁。それでも5番藤井はセカンドゴロに打ち取り併殺と思いきや、この打球がセカンド永濱の手につかず3連続エラーで東海大が満塁のチャンスを作る。さらに6番植村のファールフライを、キャッチャーとサードが見合って落球という事態もあり、完全にバックに足を引っ張られた津森であったが、気迫の投球で植村を3球三振に仕留め2死。続く串畑もボテボテのピッチャーゴロに打ち取るも、わずかに逸れた津森の送球に対して、ファースト岩崎の足はベースから離れたと判定されてセーフ。東海大は最終回に、結局ノーヒットながら4個のエラーで1点を奪いサヨナラ勝ちをおさめた。

サヨナラ勝ちに喜ぶ東海大ナイン

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
津森の大学ラストゲームはまさに悲劇となってしまった。1年時から大学日本代表候補合宿に参加するなど活躍していたサイド右腕は、3年春には全日本大学野球選手権で優勝し、最優秀投手賞を受賞。そのまま大学日本代表にも選ばれ、今日対戦して、来年からはチームメイトとなる海野ともバッテリーを組んだ。しかしケガの影響などもあり、今年は大学日本代表からも漏れる(選考合宿までは参加)など本来の姿とは言い難い投球が続いていて、ドラフトの指名順位も3位まで落ちてしまった。それでも大学最後となるこの大会に登板した津森は、サイドスローから繰り出すストレートはMax146㌔でこれが見事にバッターの膝の高さに決まっていて、スライダー・シンカーもさえていて、東海大打線でも打てる気配がないというほど素晴らしい投球であった。最終回の1死2塁(=1塁が空いている場面)でも、東海大の4番海野に勝負を挑んで打ち取るなど気迫も十分で、結果的に最後まで東海大打線にヒットも四死球を許すことはなかったものの、味方の3連続エラーで満塁とされると、最後は自らのエラー(記録上は)でサヨナラ負けというまさに悲劇の主人公となってしまった。

サヨナラ負けを喫してマウンドでしゃがみ込み津森
このエラーには東北福祉大からしてみれば慣れない神宮、それもナイターという環境要因もあったと思う。ただそれより影響として大きかったと思われるのが、その前の守備のシフト変更であった。東北福祉大は津森登板時にはキャッチャーは笹谷が務めることとなっていて、この試合でも7回から笹谷がマスクをかぶった。リーグ戦では岩崎の代わりにそのまま笹谷が入るケースが多かったが、この試合では岩崎が先制タイムリーを放つなど打撃好調だったこともあり、岩崎がファースト、ファーストだった大里は2ベース2本と当たっていたのでサードに回り、この試合打撃がさっぱりであった楠本がベンチに下げた。だが結果的に最終回のエラーのうち、2個は大里のエラーであり、また(送球がやや逸れて)ファースト岩崎の足がわずかにベースから離れてしまったものも2個あったために、この守備シフトの変更がもろに影響してしまった。
勝利した東海大だが投手陣が気がかりだ。結果的に山崎・原田・松山の3本柱は登板せずに、3回からリリーフした宮路が最後まで投げ切った。山崎は肘に不安を抱えているとのことで登板なしで納得だが、原田と松山もコンディションに問題を抱えているかもしれないが、ブルペンには入っていたので不可解であった。高杉や宮路もボールは素晴らしいが、今後のことを考えるとやはり経験不足感は否めず、上記の3人が投げれないとなるとこの先の勝ち上がりは不安である。
そんな状況なので今日のように投手陣のカバーが必須となる、東海大の打線で注目なのはやはり、2015年の夏の甲子園を制した東海大相模勢である。東海大の主将を務める長倉は、東海大相模では2年時から正捕手を務めた逸材であったが、東海大では同期に海野という大学No1捕手がいた。長倉の主戦場はDHor代打であったが、DHのない今大会ではファーストに挑戦し、見事にスタメンの座を射止めた。これで2015年の夏の甲子園決勝の東海大相模のスタメンと同じ1番千野・2番宮地・3番杉崎・6番長倉という構成がこの試合でも見られた。見事に初戦を突破し、東海大相模勢の高校に次ぐ大学での全国制覇への挑戦は続く。

この試合では打力を生かしてファーストでスタメン出場を果たした長倉
Pickup Player
宮路悠良 東海大2年 投手
~投手陣崩壊を食い止める好投~
3本柱が投げれず、高杉・安里までも撃ち込まれた東海大投手陣を救ったのは、3番手で登板した宮路であった。
宮路は東海大高輪台時代から本格派右腕として注目されていて、1年秋には背番号8ながら控え投手として東京4強入り。2年秋からはエースとなり、1次予選から日大豊山、拓大一という強豪と対戦する不運なブロックに入るも、その両チームに勝利して本大会出場。3回戦では早大学院に敗れるも、その試合ではライトスタンドにホームランを放つなど打力も魅力であった。3年夏には主に抑えとして活躍し、帝京・東亜学園といった強豪を撃破し、東海大系列で唯一甲子園未出場のチームを、東東京決勝に導いた。決勝では市川(日大)、永井(広島)ら率いる二松学舎大付に完敗していまうも、147㌔右腕としての評判は高く、秋にはプロ志望届を提出するも、指名はなく東海大へ進学した。
東海大では最速を151㌔までに伸ばし、この秋にリーグ戦デビューしリリーフで3試合し、計2回2/3を投げた。警官からいえば、また少ないと言わざるを得ない右腕であるが、この神宮大会の初戦では、5-5で迎えた4回表に3番手としてマウンドに上がることとなった。マウンドにあがった宮路は、第4試合ということもありナイターで寒い中にも関わらず、いきなり148㌔をマーク。ただストレートの力はある一方、コントロールにバラツキがあり、いきなり2四死球でピンチを招くも、最後は楠本をストレートで三振に切って取る。5回以降は勝負どころ以外ではストレートの力をやや抑え、コントロールを安定させたことで、四死球は1個のみ。縦のスライダーやカーブといった変化球もうまく使いながら、東北福祉大打線を抑えていった。3回までで5失点であった東海大にとって、4~6回を宮路が無得点に凌いでくれたのは、試合を落ち着かせる意味でも非常に大きかった。
7回には冨木に同点2ランを浴びるなど3失点してしまうが、安藤監督のこの日の宮路に対する信頼は厚く、その後も続投。8回・9回も東北福祉大打線を無得点に抑え、最後の味方のサヨナラ勝ちにつなげた。その能力は高く、まだまだ粗さの残る右腕であるが、その中でも十分な働きをみせ、見事に公式戦初勝利をあげた。

3回からマウンドにあがり、最後まで投げ切った宮路
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