慶応大×関西大【明治神宮大会(大学の部)】
11/20 明治神宮大会(大学の部)決勝
慶応大×関西大 @神宮球場
試合経過
秋の大学日本一を決める明治神宮大会(大学の部)の決勝は、東京六大学野球連盟代表の慶応大と関西5連盟第1代表の関西大という、ともにグレーのユニフォームの東西の両雄の対決となった、
慶応大は1回表、1死から2番下山がヒットで出塁し、2死1塁でこの秋三冠王を獲得した4番郡司を迎える。その郡司はリーグ戦からの好調、さらには中日にドラフト4位指名された勢いそのままに、カウント2B2Sからのストレートを捉えると、打球はレフトスタンドに飛び込む先制2ランとある。

先制2ランを放った郡司
関西大の先発は、秋のリーグ戦終盤から先発1番手を務めている森翔。成績ではリーグ戦MVPを獲得した高野に劣るが、この神宮大会でも、初戦の金沢学院大戦で8回無失点の好投を見せると、準決勝でもタイブレークからリリーフ登板して勝利に貢献するなどリーグ戦同様に先発にリリーフに奮闘していて、この決勝でも先発のマウンドに上がっていた。森翔はMax145㌔のストレートと130㌔台のカットボールを中心に投球を組みたて、これにチェンジアップでタイミングをはずしていくとう投球。上述の通り郡司に1発こそ浴びたものの、2回以降は慶応打線を翻弄し、2~6回はノーヒットに抑える快投をみせる。

2~6回は慶応打線をノーヒットに抑えた関大先発の森翔
ただそれ以上のピッチングを披露したのが、慶応のエース高橋佑。この寒さの中、半袖のアンダーシャツという気合十分な格好でマウンドにあがった左腕は、こちらも130㌔台のカットボールを中心に、武器の大きく曲がるスライダー、カットボール・チェンジアップなどを駆使した投球でコントロールも抜群。スカウト陣はどのような気持ちで見ているのだろうという快投ぶりで(高橋佑はこの秋のドラフト会議で指名漏れしている)で、なんと7回まで関大打線をパーフェクトに抑える。

7回までパーフェクトピッチングをみせた高橋佑
慶応大が2-0とリードしたまま膠着状態となっていた試合が動いたのは8回、慶応大は下山・柳町の連打で無死1・2塁のチャンスを作ったところで、そこから右打者が3人続くこともあり関大は左腕の森翔→右腕の肥後にピッチャーをスイッチする。しかし肥後はワイルドピッチで2・3塁とピンチを広げてしまうと、4番郡司にはライト前に2点タイムリーを浴びてしまう。さらに四球とバントで2死2・3塁というピンチで迎えた慶応大の8番瀬戸西には、前進していたセンターの頭上を破られる2点タイムリー3ベースを浴びてしまい、この回計4失点を喫する。

2点タイムリー3ベースを放った瀬戸西
ただ関西大は直後の8回裏、この回先頭の4番野口がレフト前にチーム初となるヒットを放つ。さらに代打の原も続いて無死1・2塁とチャンスを広げる。パーフェクトなどが途切れたところで一気に…というのはよくある展開ではあったが、続く6番久保田の打球はショートゴロ併殺となってしまい、続く代打松島も倒れて、関西はせっかくのチャンスをものにできない。

パーフェクトを阻むチーム初ヒットを放った野口
すると9回表、この回からマウンドにあがった関大の3番手高野は順調に2死を取るも、そこから柳町にヒットを浴びてしまうと、この日4打点の郡司は四球で歩かせて2死1・2塁。慶応大のバッターは代走から出場している渡部で、この渡部のセンター前の打球に対して関大のセンター安藤は前進するも、わずかに届かず、さらに後逸してしまい、2者が生還して慶応大がリードを8点に広げる。
高橋佑は9回裏のマウンドにも上がると、代打西川にヒットを浴びるものの、後続を抑えて3安打完封勝利。慶応大が完勝で秋の大学日本一の座を手にした。

優勝を決めた慶応ナイン

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
慶応大がまさに集大成となる試合で、快勝して大学日本一の座を射止めた。集大成というのは、まず慶応大を率いていた大久保監督がこの試合を最後に退任することが発表されているからだ。14年春から監督に就任し、この秋を含む3度の優勝も去ることながら、ここ7季は連続して勝ち点4以上をあげるなど安定したチームを作りあげてきていて、この試合の勝利はまさに有終の美といえる結末であろう。また選手の方も、現在の4年生は1年時からレギュラーを張っていた柳町・郡司、2年時からエース格としての働きをみせていた高橋佑といった実力者たちが多い。実際に柳町(ソフトバンク5位)と郡司(中日4位)に加えて、津留崎(楽天3位)・植田(ロッテ育成2位)と4人がドラフト会議では指名を受けていて、そんな慶応としてはここ近年での集大成といえるべき世代であった。

日本一に輝き、有終の美を飾った大久保監督
敗れてしまった関大であるが、正直この決勝まで勝ち上がるとは思わなかった。慶応大とは対照的に、4年生がリーグ戦で結果を出せない中で、(未知数の中)抜擢した下級生の活躍でここまで勝ち上がってきた。実際のこの試合のスタメンでいえば、9人中6人が下級生であり、チームの中心といえる4番ショートの野口はまだ2年生。その前を打つ3番上神に限っては1年生であり、チームの扇の要となった久保田も2年生である。投手陣でも、リーグ戦でMVPを獲得した高野はまだ3年生であり、この決勝の舞台で悔しい経験をした選手たちが、来年もそのままレギュラーを務めることとなるのは心強く、来年のチームにも大いに期待したい。

1年生ながらこの決勝の舞台に3番打者として出場した上神
Pickup Player
郡司裕也 慶応大4年 捕手
~中日入団前に最高の置き土産を~
打っては4番としては4打点、正捕手としては高橋佑の完封をアシストして、郡司が大学最後の試合を最高の形で終えた。
仙台育英時代から強打の捕手として注目を集めていた郡司は、2年秋から正捕手となると、佐藤世こうしえん那とのバッテリーで明治神宮大会を制覇。3年春のセンバツでは初戦の神村学園戦で3安打をマークするも、2回戦では優勝した敦賀気比に1-2で敗れた。3年夏に再び甲子園に帰ってくると、決勝では東海大相模に惜敗するものの、見事に準優勝。大会後にはU18日本代表にも選出された。
慶応大では1年秋から正捕手の座をつかみ、捕手出身である大久保監督の英才教育も受けながら成長していくと、2年春・3年春・4年秋とベストナインを獲得。4年Zからはチームの主将も務め、この秋は打撃で打率・打点・本塁打ですべてトップとなり、三冠王を獲得した。大学代表では、今年の日米大学野球選手権では主に5番DHとして活躍していた。これらの活躍が評価され、ドラフト会議では中日から4位指名をうけていた。
この試合でも4番捕手でスタメン出場した郡司は、まずバットで魅せる。1回表に2死1塁で回ってきた第1打席ではカウント2B2Sからのストレートを捉えると、打球はレフトスタンドに飛距離十分で飛び込む先制2ランホームランとなる。その後試合は郡司のホームランによい2-0のまま膠着状態となっていたが、無死2・3塁という絶好のチャンスで迎えた第4打席では前進守備の1・2塁間を抜く2点タイムリーとなった。5打席目でも四球を選んで、ダメ押しの4得点にも絡んだ。結果として4打数2安打4打点であるが、先制の2点と均衡を破る2点という数字以上に貴重な4打点であり、またこの試合に慶応が得点をあげた全イニングに郡司が絡んでいることからも貢献度の大きさがうかがえる。
守備でも下級生のころからずっとバッテリーを組んでいる高橋佑を巧みにリードして、7回までパーフェクト、最終的にも3安打無四球完封を演出。好守に渡っての素晴らしい活躍で、まさらに大久保監督の愛弟子が、師匠に最高の結果をプレゼントした形になる。これだけの結果を残したのだから、入団する中日からは正捕手を固定できないというチーム事情からも期待は大きく、1年目から打てる捕手としてレギュラーを狙ってほしい。


打っては4打点、守っては完封をアシストと素晴らしい活躍をみせた郡司
ランキングに参加しています。
よろしければクリックをお願いします↓

にほんブログ村
慶応大×関西大 @神宮球場
試合経過
秋の大学日本一を決める明治神宮大会(大学の部)の決勝は、東京六大学野球連盟代表の慶応大と関西5連盟第1代表の関西大という、ともにグレーのユニフォームの東西の両雄の対決となった、
慶応大は1回表、1死から2番下山がヒットで出塁し、2死1塁でこの秋三冠王を獲得した4番郡司を迎える。その郡司はリーグ戦からの好調、さらには中日にドラフト4位指名された勢いそのままに、カウント2B2Sからのストレートを捉えると、打球はレフトスタンドに飛び込む先制2ランとある。

先制2ランを放った郡司
関西大の先発は、秋のリーグ戦終盤から先発1番手を務めている森翔。成績ではリーグ戦MVPを獲得した高野に劣るが、この神宮大会でも、初戦の金沢学院大戦で8回無失点の好投を見せると、準決勝でもタイブレークからリリーフ登板して勝利に貢献するなどリーグ戦同様に先発にリリーフに奮闘していて、この決勝でも先発のマウンドに上がっていた。森翔はMax145㌔のストレートと130㌔台のカットボールを中心に投球を組みたて、これにチェンジアップでタイミングをはずしていくとう投球。上述の通り郡司に1発こそ浴びたものの、2回以降は慶応打線を翻弄し、2~6回はノーヒットに抑える快投をみせる。

2~6回は慶応打線をノーヒットに抑えた関大先発の森翔
ただそれ以上のピッチングを披露したのが、慶応のエース高橋佑。この寒さの中、半袖のアンダーシャツという気合十分な格好でマウンドにあがった左腕は、こちらも130㌔台のカットボールを中心に、武器の大きく曲がるスライダー、カットボール・チェンジアップなどを駆使した投球でコントロールも抜群。スカウト陣はどのような気持ちで見ているのだろうという快投ぶりで(高橋佑はこの秋のドラフト会議で指名漏れしている)で、なんと7回まで関大打線をパーフェクトに抑える。

7回までパーフェクトピッチングをみせた高橋佑
慶応大が2-0とリードしたまま膠着状態となっていた試合が動いたのは8回、慶応大は下山・柳町の連打で無死1・2塁のチャンスを作ったところで、そこから右打者が3人続くこともあり関大は左腕の森翔→右腕の肥後にピッチャーをスイッチする。しかし肥後はワイルドピッチで2・3塁とピンチを広げてしまうと、4番郡司にはライト前に2点タイムリーを浴びてしまう。さらに四球とバントで2死2・3塁というピンチで迎えた慶応大の8番瀬戸西には、前進していたセンターの頭上を破られる2点タイムリー3ベースを浴びてしまい、この回計4失点を喫する。

2点タイムリー3ベースを放った瀬戸西
ただ関西大は直後の8回裏、この回先頭の4番野口がレフト前にチーム初となるヒットを放つ。さらに代打の原も続いて無死1・2塁とチャンスを広げる。パーフェクトなどが途切れたところで一気に…というのはよくある展開ではあったが、続く6番久保田の打球はショートゴロ併殺となってしまい、続く代打松島も倒れて、関西はせっかくのチャンスをものにできない。

パーフェクトを阻むチーム初ヒットを放った野口
すると9回表、この回からマウンドにあがった関大の3番手高野は順調に2死を取るも、そこから柳町にヒットを浴びてしまうと、この日4打点の郡司は四球で歩かせて2死1・2塁。慶応大のバッターは代走から出場している渡部で、この渡部のセンター前の打球に対して関大のセンター安藤は前進するも、わずかに届かず、さらに後逸してしまい、2者が生還して慶応大がリードを8点に広げる。
高橋佑は9回裏のマウンドにも上がると、代打西川にヒットを浴びるものの、後続を抑えて3安打完封勝利。慶応大が完勝で秋の大学日本一の座を手にした。

優勝を決めた慶応ナイン

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
慶応大がまさに集大成となる試合で、快勝して大学日本一の座を射止めた。集大成というのは、まず慶応大を率いていた大久保監督がこの試合を最後に退任することが発表されているからだ。14年春から監督に就任し、この秋を含む3度の優勝も去ることながら、ここ7季は連続して勝ち点4以上をあげるなど安定したチームを作りあげてきていて、この試合の勝利はまさに有終の美といえる結末であろう。また選手の方も、現在の4年生は1年時からレギュラーを張っていた柳町・郡司、2年時からエース格としての働きをみせていた高橋佑といった実力者たちが多い。実際に柳町(ソフトバンク5位)と郡司(中日4位)に加えて、津留崎(楽天3位)・植田(ロッテ育成2位)と4人がドラフト会議では指名を受けていて、そんな慶応としてはここ近年での集大成といえるべき世代であった。

日本一に輝き、有終の美を飾った大久保監督
敗れてしまった関大であるが、正直この決勝まで勝ち上がるとは思わなかった。慶応大とは対照的に、4年生がリーグ戦で結果を出せない中で、(未知数の中)抜擢した下級生の活躍でここまで勝ち上がってきた。実際のこの試合のスタメンでいえば、9人中6人が下級生であり、チームの中心といえる4番ショートの野口はまだ2年生。その前を打つ3番上神に限っては1年生であり、チームの扇の要となった久保田も2年生である。投手陣でも、リーグ戦でMVPを獲得した高野はまだ3年生であり、この決勝の舞台で悔しい経験をした選手たちが、来年もそのままレギュラーを務めることとなるのは心強く、来年のチームにも大いに期待したい。

1年生ながらこの決勝の舞台に3番打者として出場した上神
Pickup Player
郡司裕也 慶応大4年 捕手
~中日入団前に最高の置き土産を~
打っては4番としては4打点、正捕手としては高橋佑の完封をアシストして、郡司が大学最後の試合を最高の形で終えた。
仙台育英時代から強打の捕手として注目を集めていた郡司は、2年秋から正捕手となると、佐藤世こうしえん那とのバッテリーで明治神宮大会を制覇。3年春のセンバツでは初戦の神村学園戦で3安打をマークするも、2回戦では優勝した敦賀気比に1-2で敗れた。3年夏に再び甲子園に帰ってくると、決勝では東海大相模に惜敗するものの、見事に準優勝。大会後にはU18日本代表にも選出された。
慶応大では1年秋から正捕手の座をつかみ、捕手出身である大久保監督の英才教育も受けながら成長していくと、2年春・3年春・4年秋とベストナインを獲得。4年Zからはチームの主将も務め、この秋は打撃で打率・打点・本塁打ですべてトップとなり、三冠王を獲得した。大学代表では、今年の日米大学野球選手権では主に5番DHとして活躍していた。これらの活躍が評価され、ドラフト会議では中日から4位指名をうけていた。
この試合でも4番捕手でスタメン出場した郡司は、まずバットで魅せる。1回表に2死1塁で回ってきた第1打席ではカウント2B2Sからのストレートを捉えると、打球はレフトスタンドに飛距離十分で飛び込む先制2ランホームランとなる。その後試合は郡司のホームランによい2-0のまま膠着状態となっていたが、無死2・3塁という絶好のチャンスで迎えた第4打席では前進守備の1・2塁間を抜く2点タイムリーとなった。5打席目でも四球を選んで、ダメ押しの4得点にも絡んだ。結果として4打数2安打4打点であるが、先制の2点と均衡を破る2点という数字以上に貴重な4打点であり、またこの試合に慶応が得点をあげた全イニングに郡司が絡んでいることからも貢献度の大きさがうかがえる。
守備でも下級生のころからずっとバッテリーを組んでいる高橋佑を巧みにリードして、7回までパーフェクト、最終的にも3安打無四球完封を演出。好守に渡っての素晴らしい活躍で、まさらに大久保監督の愛弟子が、師匠に最高の結果をプレゼントした形になる。これだけの結果を残したのだから、入団する中日からは正捕手を固定できないというチーム事情からも期待は大きく、1年目から打てる捕手としてレギュラーを狙ってほしい。


打っては4打点、守っては完封をアシストと素晴らしい活躍をみせた郡司
ランキングに参加しています。
よろしければクリックをお願いします↓



にほんブログ村
スポンサーサイト