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東北福祉大×八戸学院大【東北地区大学野球王座決定戦】

10/31 東北地区大学野球王座決定戦準決勝
東北福祉大×八戸学院大 @東北福祉大野球場

試合経過

神宮大会は中止となってしまったものの、秋の東北の大学No1を決めた戦いが、この日から東北福祉大野球場で始まった。準決勝の1試合目では、それぞれドラフト会議で2名ずつが指名を受けた東北福祉大と八戸学院大が対戦するという注目のカードとなった。

八戸学院大の先発は大方の予想に反して、エース大道(広島3位指名)ではなく、2枚看板のうちのもう1人である左腕の中道(ソフトバンク育成2位)。これには東北福祉大の打線に左バッターが多いことと、やはり意表をつくという意図があったと思われる。中道は独特な腕の出所が見づらいフォームから繰り出す、Max141㌔のストレートに、スライダー・フォークを駆使した投手。初回には東北福祉大の3番元山(ヤクルト4位)に2ベースを浴びるなどして1死2・3塁のピンチを招くも、続く4番小椋を低めのスライダーで三振に仕留め、さらに5番楠本もピッチャーゴロに打ち取りピンチを凌いだ。
20201031八戸学院大 中道
八戸学院大の先発、ソフトバンクから育成2位指名を受けた中道

しかし2回表、東北福祉大は先頭の生沼が死球で出塁。そこから大里・高田は倒れて2死となるものの、9番杉澤の打席で生沼が盗塁を決めてチャンスを作る。すると杉澤の打球は二遊間抜けようかというところを、ショート中川が好捕し送球するも、杉澤の足が勝って内野安打。2塁ランナーの生沼はこの間に一気にホームを狙い、ホームはクロスプレーに…八戸学院大の捕手の大向が審判にもうアピールをしたように、アウトと思われるタイミングであったが、球審の判定はセーフで東北福祉大が1点を先制する。
20201031東北福祉大 杉澤
先制点となるタイムリー内野安打を放った東北福祉大の杉澤

東北福祉大は4回表にも、5番楠本・7番大里とともに死球を食らい、さらに8番高田は四球を選んで1死満塁のチャンスを作り、またもはや打席には杉澤という場面を迎える。杉澤の打球はまたもやショートゴロとなり、中川は併殺を狙うべく2塁へ送球するも、これがまたもや1塁は際どいタイミングとなるもののセーフとなり、併殺崩れの間に東北福祉大が2点目をあげる。中道は結局この5回に4四死球を出すなど、ややコントロールに精彩を欠いていたところもあり、4回2失点で降板となってしまう。

八戸学院大の反撃は4回裏、2死ランナー無しから、6番清水が東北福祉大のエース山野(ヤクルト2位)のカーブをうまく左中間に運ぶ3ベースで出塁。続く7番の小淵が1・2塁間を破り、八戸学院大が初得点をあげて1-2とする。ただそれ以外で見てみると、山野はさすがという投球で、ストレートはMax147㌔をマークしており、スライダー・カットボール・カーブ・チェンジアップといった変化球とのコンビネーションで三振を次々に奪っていく。山野は6回まで被安打4、奪三振12、失点1という投球内容で、しっかりと自分の仕事を果たしてマウンドを降りることとなった。
20201031東北福祉大 山野
6回12奪三振1失点の好投をみせた東北福祉大のエース山野

東北福祉大は7回は2番手の原がピンチを招きながらも何とか抑えると、8回には1年生右腕の後藤を投入。ただ後藤に対して八戸学院大は、先頭の途中出場の池内がライトオーバーの2ベースと放つと、四球と7番小淵のヒットで1死満塁というチャンスを作る。ここで東北福祉大の大塚監督はたまらなく、リリースエースである椋木をマウンドに送り、八戸学院大も代打に1年生の森本を起用する。椋木は変化球で森本を完璧に打ち取ったものの、セカンドゴロとなった打球をセカンド齋藤はキャッチして、目の前の1塁ランナーにタッチ、さらに1塁へ投げて併殺を完成させようとしたものの、タッチした1塁ランナーが邪魔になって送球できなかった。このプレーに対して、東北福祉大からは守備妨害という声も飛んだが、審判団の協議の末に妨害は認められず、併殺崩れの間に八戸学院大が2-2の同点に追いつく。

八戸学院大は5回からエース大道が登板していた。この日はMax148㌔をマークしたストレートの質がいいのは知っていたが、スライダー・SFFといった変化球がこの日は冴えていた。結局5回からの5イニングで被安打1、四死球1、9奪三振という、こちらも広島のドラフト3位に恥じない素晴らしい投球で東北福祉大打線に追加点を与えず、試合は2-2のまま9回を終了し、10回からのタイブレークに突入することとなる。
20201031東北福祉大 大道
9回まで5イニング9奪三振無失点の投球をみせた八戸学院大のエース大道

無死1・2塁からスタートするタイブレーク。2番から始まる先攻の東北福祉大は、まず代打の安里がきっちりと送って1死2・3塁で3番元山を迎える。八戸学院大からすれば申告敬遠もあり得る場面であったが、キャッチ-は座り大道はスライダーを軸に際どいコースに投げ込んでいった。するとカウント3B1Sからのストレートに元山は手を出すも、これはショートフライとなってバッテリーの完全勝利。ただ山場は越えたものの、続く4番小椋は変化球を捉えると、センターフライかと思われた打球はセンター方向に向かって吹く風にも乗って、フェンス際まで飛んでいき、センターオーバーのタイムリー2ベースとなり、東北福祉大が2点を勝ち越す。
20201031東北福祉大 小椋
センターオーバーの2点タイムリー3ベースを放った東北福祉大の4番小椋

その裏、八戸学院大も同じくバントのために代打大城を送るものの、椋木の威力のあるストレートに押されてしまいキャッチャーフライ。さらに椋木は5番新岡のバットをへし折ってサードゴロに仕留めると、2死2・3塁という同点のピンチで迎えた6番清水に対して、ギアをあげて150㌔超えのストレートを連発。最後は150㌔のインコースのストレートで見逃しの三振に仕留めてゲームセット。東北福祉大がタイブレークにまでもつれた激戦を4-2で制して、東北王者に王手をかけた。
20201031東北福祉大 椋木2
タイブレークを無失点に抑えて勝利を掴んだ椋木―渡辺の東北福祉大バッテリー


20201031東北福祉大×八戸学院大
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

両チームともドラフト会議後の初の公式戦とあって、ドラフト会議で指名された大道VS山野・元山の対決に注目が集まった。大道の登板は5回からであったために、大道と山野の投げ合いは5・6回の2イニングのみで、この間は互いに譲らず無失点で引き分けといったところだろうか。一方大道VS元山は、大道の代わりっぱなである1打席目こそショートライナーであったものの、その後は三振・ショートフライで計3打数ノーヒットと大道の完全勝利。来年から大道は広島、山野・元山はヤクルトでプレーするので、是非ともこの続きはセ・リーグの公式戦という形で見たいものだ。
20201031東北福祉大 元山
東北福祉大の元山(ヤクルトのドラフト4位)

元山とともに東北福祉大打線を牽引する楠本(DeNA楠本の弟)も、花咲徳栄出身とあって、同学年で春日部共栄出身の大道とは縁のある選手。2016年の夏の埼玉大会準決勝で対戦した際には、3打数3安打2四死球2打点と楠本の完全勝利し、そのまま埼玉を制した花咲徳栄は、夏の甲子園も制した。今日の対戦では初打席では楠本が見事にライト線へ2ベースヒットを放つも、2回目の対戦となった8回には大道がインコースのストレートで見逃し三振に仕留めると、2点を勝ち越された直後の10回の対戦でも、大道が今度はSFFで三振を奪ってみせた。春日部共栄→八戸学院大という異色のルートで進学し、1年時からチームのエースとなり、ドラフトで指名されるまでなった大道の成長が感じられる対戦でもあった。
20201031東北福祉大 楠本
大道との埼玉対決に臨んだ東北福祉大の楠本


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椋木蓮 東北福祉大3年 投手
~タイブレークも含めた圧巻のリリーフ~
ドラフト指名投手が3人も登板したこの試合で、「誰が1番凄いピッチャーだった?」と聞かれれば、個人的には「間違いなく椋木」と答えるであろう。

高川学園ではちょうど山野の1個下にあたり、2年夏には甲子園に出場も、エース山野が完投したために登板はなし。2年秋からエースとなると、3年夏には全4試合で完投するも、準々決勝では下関国際の鶴田(東農大)との投げ合いに敗れて8強止まりとなった。山野の後を追う形で東北福祉大に進学すると、体がパワーアップしたこともあり、150㌔をマークするようになり、1年春からリーグ戦で3勝をあげる活躍をみせ、全日本大学野球選手権でも優勝を経験。1年秋にも4勝をあげるものの、2年時は故障もあってか登板は少なかった。3年秋は3試合にリリーフとして登板し、計8イニング無失点とリリーフエースの座を取り戻して、チームの優勝に貢献し、この大会を迎えていた。

この試合で椋木は、1点をリードした8回裏1死満塁という場面でマウンドに上がった。代打の森本は完全にセカンドゴロに打ち取ったものの、打球が弱かったり、ランナーとの野手の接触もあって、これが併殺崩れとなり同点に追いつかれるも、続く大向もセンターフライに打ち取ってピンチを凌いだ。椋木の最大の魅力はサイド気味のフォームから繰り出すストレートで、この試合でもMAX151㌔をマーク。さらにスピードだけでなく、このボールが低めにしっかりと伸びてミットに収まるので打者から見ると本当に嫌な球である。9回裏も3人で抑えた椋木だが、タイブレークに入るとさらにギアが上がったような投球を披露。無死1・2塁という場面からスタートするタイブレークだが、バントのために出てきた代打に、ストレートで完全に押し勝ってキャッチャーフライとバントをさせないと、続く5番新岡はインコースのストレートでバットをへし折ってのサードゴロ。ただこれがボテボテのゴロでランナーに進塁を許して2・3塁と1打同点という場面になるも、ここで迎えた清水に対しては全球ストレート、最後の3球はいずれも150㌔超えという投球で最後はインコースのストレートで見逃しの三振。打者8人に対して、出塁も許さない圧巻のリリーフで、チームの勝利に貢献した。

この試合の椋木の球は本当に素晴らしく、(イニングが短いということもあるが)登板したドラフト指名の3投手よりも、素晴らしいものであった。この試合の翌日に行われた決勝でも、またもやタイブレークにもつれる決戦で好リリーフをみせた椋木は、今大会の最優秀投手賞を受賞している。今のままでもリリーフとしては十分にプロでもやっていけるレベルであろう。ただまだ1年大学でのプレーがある椋木…おそらく来年は高川学園時代と同じく山野からエースを受け継ぐことが予想される。チームの柱として先発に転向するのか、はたまた津森(ソフトバンク)のようにリリーフエースとして引き続きやっていくのかも注目である。

20201031東北福祉大 椋木1
圧巻のリリーフをみせてチームに勝利をもたらせた東北福祉大の椋木



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