ENEOS×Honda【都市対抗】
11/28 都市対抗野球大会2回戦
ENEOS × Honda @東京ドーム
試合経過
5年ぶりに都市対抗出場を果たし、1回戦では東邦ガスを破って都市対抗通算100勝をあげたENEOS。対するHondaは1回戦でちょうど1年前の日本選手権覇者の大阪ガスに大勝している。ともに勢いに乗った完関東の強豪どうしの2回戦となった。
ENEOSは1回表、2番川口の三遊間深いところへの当たりは内野安打となり、さらにショートのショーバンとなった送球をファーストがそらす間に川口は2塁に到達。3番小豆澤のレフト前ヒットで、川口は一気にホームを狙うも、Hondaのレフト井上の好返球の前にタッチアウト。ただ4番の久木田(三菱パワーからの補強)が三遊間を破って2死1・2塁と再びチャンスを作ると、5番山崎が二遊間を破り、今度は2塁ランナー小豆澤がホームインを果たしENEOSが先制する。

先制タイムリーを放ったENEOSの山崎
ENEOSの先発は楽天からドラフト3位指名を受けた左腕の藤井。藤井は序盤はコントロールがイマイチで、1~3回は全て先頭打者を四死球で出す投球。ただスピード以上にキレの感じられるMax145㌔のストレートに加え、カットボール・スライダー・カーブ・チェンジアップといった変化球を駆使した投球で、ピンチでもヒットを許さない。5回までは打たれたヒットは1本のみ、7奪三振という投球でHonda打線を見事に抑えた。

ENEOSの先発の楽天ドラフト3位の藤井
ただ6回裏、Hondaはこの回先頭の1番吉田がヒットで出塁すると、2番津田が送ってチャンスを広げる。3番井上は初球のカーブをレフト前に運んで、1番が出て→2番が送って→3番が返すというお手本のような攻撃で、Hondaが1-1の同点に追いつく。藤井はさらに5番辻野に死球を与えてしまい、2死1・2塁となったところで降板。大久保監督は2番手として大場をマウンドに送ると。大場は代打山本兼をショートゴロに仕留め、ピンチを脱した。
追いつかれて、すぐさま勝ち越したいENEOSは7回表、先頭の8番川端がヒットで出塁すると、9番村上のバントは捕手前に高く跳ね、これを村上が俊足で内野安打として無死1・2塁のチャンスを作る。ここで1番田中に代わって、コーチ兼任の渡邉を代打送ってバントをするものの、3塁側に転がったバントは東野の好フィールディングもあって、3塁フォースアウト。東野はさらに川口・小豆澤の2・3番を打ち取ってピンチを脱する。Hondaの先発の東野は、Max138㌔のストレートに、球速差の少ないカットボールを中心に、こちらもスライダー・カーブ・チェンジアップを駆使して打ち取る投球。5回以外は毎回のようにランナーを背負ったものの粘り強い投球で7回を1失点に抑えて、この回でマウンドを降りた。

7回1失点の好投をみせたHondaの東野
ENEOSは7回裏から3番手として、巨人からドラフト4位指名を受けた伊藤(三菱パワーからの補強)が登板。伊藤は9番千野の打席で、今大会最速となる156㌔をマーク。変化球も140㌔前後のカットボール、Max144㌔をマークしたSFFとスピードがあり、インパクトは絶大であった。7回には2個の四球でピンチを招くも、最後は2番津田をセカンドゴロに仕留めるも、8回には2死2塁から山本兼にライト前ヒットを打たれるも、川端→山崎→柏木と見事な中継プレーでホームタッチアウトと、何とかHonda打線を無得点に抑える。

今大会最速の156㌔をマークしたENEOSの伊藤
一方のHondaも8回から、チームの主将であり、今年はクローザーを務める福島が登板。Max146㌔のストレートに、いずれも130㌔を超えるカットボールやフォークといったスピード差の少ない変化球を駆使して、8回・9回とともにヒットは浴びたものの、後続を落ち着いて打ち取っていった。試合は福島・伊藤の踏ん張りで両チームともに勝ち越し点が奪えず、1-1のまま9回を終える。

今大会ではクローザーを務めているHondaの主将福島
10回からは1死満塁で、選択打順から始まるタイブレーク。2番川口からの打順を選択したENEOSだったが、福島が追い込んでからアウトローに渾身のストレートを投げ込み見逃し三振。ただ3番小豆澤は、追い込まれてから低めのフォークをうまく見極め、最終的には四球を選び、ENEOSが押し出しで1点を勝ち越す。Hondaは10回裏に、3番井上からの打順を選択。すると井上は0B1Sからの変化球をうまくレフト線に運び、これで2者が生還して。3-2でHondaがサヨナラ勝ちを収めた。

サヨナラタイムリーを放ったHondaの井上

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
ともにレベルの高い投手陣を擁する両チームの戦いは、まさに接戦となり、1-1のままタイブレークに突入した。都市対抗のタイブレークは1死満塁から始まるので、普通は3番からの攻撃を選択する。ただこの試合では、ENEOSは8回に4番久木田に代走を出してしまっており、Hondaも8回に無死1塁という場面で4番佐藤に、バントのために代打山崎を送っており、タイブレーク時には両チームともに4番打者が下がって、代わりの選手が入っているという状態であった。こういう事情から3番でなく、1個前の2番川口からの攻撃を選択したのがENEOSであったが、川口は三振に倒れてしまい結果として1点とまり。一方のHondaは4番打者が変わっていても、当初の予定通り3番井上からの攻撃を選択し、それに井上が見事に応えて逆転サヨナラタイムリーを放った。4番不在に、対応したENEOSと、4番不在でもいつも通りに挑んだHondaは結果的に、いつも通りのHondaの勝利となった。
敗れてしまったENEOSであるが、試合の結果はまさに紙一重であり、復活を印象付けるものであった。2012年・2013年には都市対抗を連覇するなど、社会人野球を牽引してきたチームも、都市対抗は昨年まで4年連続で予選敗退。今年は連覇を達成した大久保監督が復帰し、5年ぶりに都市対抗出場を決め、初戦ではチームとして都市対抗通算100勝をあげていた。出身の現役プロ野球選手でいえば、JR東日本とともに最多というだけあり、ここ数年もいい若手選手はそろっていたが、ここにきてやっとチームとして本領を発揮してきており、来年も楽しみなチームである。
Pickup Player
井上彰吾 Honda 外野手
~託された男~
タイブレークにもつれ込んだ激戦に終止符を打ったのは、選択打順で指名された井上であった。
強打に加えて走力・守備力も兼ねそろえた外野手として、筑陽学園から日本大に進学すると、1年春からライトのレギュラーを獲得。1年秋には打率.400で東都2部の首位打者に輝き、3年春にはエース吉田一将(オリックス)を擁して優勝を果たし、3年秋・4年春は東都1部でプレーし、4年間で東都通算108安打をマーク。日本大卒業後はHondaに入社したが、筑陽学園→日本大→Hondaと経歴が同じこと、さらには外野手ということもあって、長野(広島)2世と呼ばれ、Hondaでは長野と同じ背番号10を背負った。1年目からレギュラーとして2大大会にスタメン出場を果たすと、冬には社会人日本代表候補合宿にも参加。2年目の都市対抗では3番打者として、以降Hondaの主力を務めた。
この試合には3番レフトでスタメン出場した井上はまず守備で魅せる。1回表に1死2塁から小豆澤が放ったレフト前ヒットに対して、持ち前の強肩でホームへ見事な送球をみせてランナータッチアウト。ただその一方打撃では藤井の前に1・2打席目と三振を喫してしまう。ただ1死2塁のチャンスで迎えた第3打席では、初球のカーブ(前の打席で三振した球)を見事に狙い打ってレフト前へ同点タイムリーを放つ。8回先頭打者として迎えた第4打席では伊藤の154㌔のストレートに前にバットを折られながらも内野安打とするも、山本兼のヒットで2塁から一気にホームを狙うもタッチアウトになってしまう。そのまま1-1で9回を終えてタイブレークに入ると、ずっと3番井上からの打順でタイブレークをしてきたというHondaは、4番佐藤がベンチに下がっていても、開田監督はそのまま井上に託した。井上はいきなりファール2球で追い込まれてしまうも、3球目のアウトコースのストレートを見事にレフト線に弾き返し、2者が生還するサヨナラ逆転タイムリーとなり、試合を決めた。井上はこの試合、5打数3安打3打点という活躍であった。
入社から今年で8年連続での都市対抗出場となったものの、その間チームは2回戦の壁を超えられず、井上自身もケガもあったり、下位打線を打つこともあったりと、能力は高いが思うような成績は残せずにいた。しかし今年就任した開田監督は、井上を3番で固定するなど、チームの軸を任せ、この試合のタイブレークでも井上からの打順を選択した。今大会勝負強さが光っている井上が、その起用に見事に応えた試合であった。

逆転サヨナラタイムリーを放つHondaの井上
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ENEOS × Honda @東京ドーム
試合経過
5年ぶりに都市対抗出場を果たし、1回戦では東邦ガスを破って都市対抗通算100勝をあげたENEOS。対するHondaは1回戦でちょうど1年前の日本選手権覇者の大阪ガスに大勝している。ともに勢いに乗った完関東の強豪どうしの2回戦となった。
ENEOSは1回表、2番川口の三遊間深いところへの当たりは内野安打となり、さらにショートのショーバンとなった送球をファーストがそらす間に川口は2塁に到達。3番小豆澤のレフト前ヒットで、川口は一気にホームを狙うも、Hondaのレフト井上の好返球の前にタッチアウト。ただ4番の久木田(三菱パワーからの補強)が三遊間を破って2死1・2塁と再びチャンスを作ると、5番山崎が二遊間を破り、今度は2塁ランナー小豆澤がホームインを果たしENEOSが先制する。

先制タイムリーを放ったENEOSの山崎
ENEOSの先発は楽天からドラフト3位指名を受けた左腕の藤井。藤井は序盤はコントロールがイマイチで、1~3回は全て先頭打者を四死球で出す投球。ただスピード以上にキレの感じられるMax145㌔のストレートに加え、カットボール・スライダー・カーブ・チェンジアップといった変化球を駆使した投球で、ピンチでもヒットを許さない。5回までは打たれたヒットは1本のみ、7奪三振という投球でHonda打線を見事に抑えた。

ENEOSの先発の楽天ドラフト3位の藤井
ただ6回裏、Hondaはこの回先頭の1番吉田がヒットで出塁すると、2番津田が送ってチャンスを広げる。3番井上は初球のカーブをレフト前に運んで、1番が出て→2番が送って→3番が返すというお手本のような攻撃で、Hondaが1-1の同点に追いつく。藤井はさらに5番辻野に死球を与えてしまい、2死1・2塁となったところで降板。大久保監督は2番手として大場をマウンドに送ると。大場は代打山本兼をショートゴロに仕留め、ピンチを脱した。
追いつかれて、すぐさま勝ち越したいENEOSは7回表、先頭の8番川端がヒットで出塁すると、9番村上のバントは捕手前に高く跳ね、これを村上が俊足で内野安打として無死1・2塁のチャンスを作る。ここで1番田中に代わって、コーチ兼任の渡邉を代打送ってバントをするものの、3塁側に転がったバントは東野の好フィールディングもあって、3塁フォースアウト。東野はさらに川口・小豆澤の2・3番を打ち取ってピンチを脱する。Hondaの先発の東野は、Max138㌔のストレートに、球速差の少ないカットボールを中心に、こちらもスライダー・カーブ・チェンジアップを駆使して打ち取る投球。5回以外は毎回のようにランナーを背負ったものの粘り強い投球で7回を1失点に抑えて、この回でマウンドを降りた。

7回1失点の好投をみせたHondaの東野
ENEOSは7回裏から3番手として、巨人からドラフト4位指名を受けた伊藤(三菱パワーからの補強)が登板。伊藤は9番千野の打席で、今大会最速となる156㌔をマーク。変化球も140㌔前後のカットボール、Max144㌔をマークしたSFFとスピードがあり、インパクトは絶大であった。7回には2個の四球でピンチを招くも、最後は2番津田をセカンドゴロに仕留めるも、8回には2死2塁から山本兼にライト前ヒットを打たれるも、川端→山崎→柏木と見事な中継プレーでホームタッチアウトと、何とかHonda打線を無得点に抑える。

今大会最速の156㌔をマークしたENEOSの伊藤
一方のHondaも8回から、チームの主将であり、今年はクローザーを務める福島が登板。Max146㌔のストレートに、いずれも130㌔を超えるカットボールやフォークといったスピード差の少ない変化球を駆使して、8回・9回とともにヒットは浴びたものの、後続を落ち着いて打ち取っていった。試合は福島・伊藤の踏ん張りで両チームともに勝ち越し点が奪えず、1-1のまま9回を終える。

今大会ではクローザーを務めているHondaの主将福島
10回からは1死満塁で、選択打順から始まるタイブレーク。2番川口からの打順を選択したENEOSだったが、福島が追い込んでからアウトローに渾身のストレートを投げ込み見逃し三振。ただ3番小豆澤は、追い込まれてから低めのフォークをうまく見極め、最終的には四球を選び、ENEOSが押し出しで1点を勝ち越す。Hondaは10回裏に、3番井上からの打順を選択。すると井上は0B1Sからの変化球をうまくレフト線に運び、これで2者が生還して。3-2でHondaがサヨナラ勝ちを収めた。

サヨナラタイムリーを放ったHondaの井上

※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください
ともにレベルの高い投手陣を擁する両チームの戦いは、まさに接戦となり、1-1のままタイブレークに突入した。都市対抗のタイブレークは1死満塁から始まるので、普通は3番からの攻撃を選択する。ただこの試合では、ENEOSは8回に4番久木田に代走を出してしまっており、Hondaも8回に無死1塁という場面で4番佐藤に、バントのために代打山崎を送っており、タイブレーク時には両チームともに4番打者が下がって、代わりの選手が入っているという状態であった。こういう事情から3番でなく、1個前の2番川口からの攻撃を選択したのがENEOSであったが、川口は三振に倒れてしまい結果として1点とまり。一方のHondaは4番打者が変わっていても、当初の予定通り3番井上からの攻撃を選択し、それに井上が見事に応えて逆転サヨナラタイムリーを放った。4番不在に、対応したENEOSと、4番不在でもいつも通りに挑んだHondaは結果的に、いつも通りのHondaの勝利となった。
敗れてしまったENEOSであるが、試合の結果はまさに紙一重であり、復活を印象付けるものであった。2012年・2013年には都市対抗を連覇するなど、社会人野球を牽引してきたチームも、都市対抗は昨年まで4年連続で予選敗退。今年は連覇を達成した大久保監督が復帰し、5年ぶりに都市対抗出場を決め、初戦ではチームとして都市対抗通算100勝をあげていた。出身の現役プロ野球選手でいえば、JR東日本とともに最多というだけあり、ここ数年もいい若手選手はそろっていたが、ここにきてやっとチームとして本領を発揮してきており、来年も楽しみなチームである。
Pickup Player
井上彰吾 Honda 外野手
~託された男~
タイブレークにもつれ込んだ激戦に終止符を打ったのは、選択打順で指名された井上であった。
強打に加えて走力・守備力も兼ねそろえた外野手として、筑陽学園から日本大に進学すると、1年春からライトのレギュラーを獲得。1年秋には打率.400で東都2部の首位打者に輝き、3年春にはエース吉田一将(オリックス)を擁して優勝を果たし、3年秋・4年春は東都1部でプレーし、4年間で東都通算108安打をマーク。日本大卒業後はHondaに入社したが、筑陽学園→日本大→Hondaと経歴が同じこと、さらには外野手ということもあって、長野(広島)2世と呼ばれ、Hondaでは長野と同じ背番号10を背負った。1年目からレギュラーとして2大大会にスタメン出場を果たすと、冬には社会人日本代表候補合宿にも参加。2年目の都市対抗では3番打者として、以降Hondaの主力を務めた。
この試合には3番レフトでスタメン出場した井上はまず守備で魅せる。1回表に1死2塁から小豆澤が放ったレフト前ヒットに対して、持ち前の強肩でホームへ見事な送球をみせてランナータッチアウト。ただその一方打撃では藤井の前に1・2打席目と三振を喫してしまう。ただ1死2塁のチャンスで迎えた第3打席では、初球のカーブ(前の打席で三振した球)を見事に狙い打ってレフト前へ同点タイムリーを放つ。8回先頭打者として迎えた第4打席では伊藤の154㌔のストレートに前にバットを折られながらも内野安打とするも、山本兼のヒットで2塁から一気にホームを狙うもタッチアウトになってしまう。そのまま1-1で9回を終えてタイブレークに入ると、ずっと3番井上からの打順でタイブレークをしてきたというHondaは、4番佐藤がベンチに下がっていても、開田監督はそのまま井上に託した。井上はいきなりファール2球で追い込まれてしまうも、3球目のアウトコースのストレートを見事にレフト線に弾き返し、2者が生還するサヨナラ逆転タイムリーとなり、試合を決めた。井上はこの試合、5打数3安打3打点という活躍であった。
入社から今年で8年連続での都市対抗出場となったものの、その間チームは2回戦の壁を超えられず、井上自身もケガもあったり、下位打線を打つこともあったりと、能力は高いが思うような成績は残せずにいた。しかし今年就任した開田監督は、井上を3番で固定するなど、チームの軸を任せ、この試合のタイブレークでも井上からの打順を選択した。今大会勝負強さが光っている井上が、その起用に見事に応えた試合であった。

逆転サヨナラタイムリーを放つHondaの井上
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