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東芝×JR九州【JABA東京スポニチ大会】

3/9 JABA東京スポニチ大会決勝
東芝×JR九州 @神宮球場

試合経過

今年社会人野球最初の公式戦であるJABA東京スポニチ大会の決勝は、午前の準決勝第1試合でENEOSとの神奈川対決を延長戦の末に制した東芝と、直前に行われた準決勝第2試合で日立製作所に快勝したJR九州の対戦となった。東芝は準決勝で最後に少しだけリリーフしたエース吉村が引き続き、JR九州は今大会初登板となる左のサイドスローの鈴木が先発のマウンドに上がった。

東芝は1回表、準決勝では延長線では決勝タイムリーを放って勢いにのる1番長沢がレフト前ヒットで出塁すると、すかさず2番太田の初球で盗塁を決めて、太田が送って3塁へ進むと、JR九州にバッテリーミスが発生して、東芝があっという間に先制する。東芝は2回表にも、1死から諸橋・中村と下位打線の連打でチャンスを作ると、1番長沢が今度はライト線にタイムリー2ベースを放ち、早くもJR九州の鈴木をKO。JR九州は2番手として吉田をマウンドに送るも、2番太田の打球がサードのフィルダースチョイスとなり1点を追加されると、さらに東芝は3番田中・4番吉田に連続タイムリー2ベースが飛び出して、2回までに6-0とリードを奪う。
20220309東芝 長沢
初回の起点となり、2回にはタイムリー2ベースも放った東芝のリードオフマン長沢

登板したイニングには失点を重ねてしまった吉田であるが、3回・4回は東芝打線を無得点に抑えると、5回からは左腕井上が登板。前日のJFE東日本の試合では初回からリリーフ登板して8回まで1失点の好投をみせた頼りになるベテラン左腕は、ストレートはMax135㌔であったがテイクバックの小さなフォームから繰り出す球には力があり、スライダー・フォークといった変化球も含めて強気に攻める投球で東芝打線を圧倒。5回~8回までの4イニングで、東芝打線にヒットを許さない素晴らしい投球をみせた。
20200309JR九州 井上
4回ノーヒットピッチングをみせたJR九州の井上

JR九州打線は、1番に今大会初スタメンとなるルーキーの山脇を起用すると、初回にいきなり山脇がレフト前にうまく運ぶヒットを放ち、準決勝では2ホーマーを放つなど大当たりであった3番山田もヒットで続くものの、4番岩切が三振に仕留められ無得点。3回には2番牛島が2ベースを放つものの、3番山田・4番岩切が連続三振で無失点。このように東芝のエース吉村は淡々と投げるものの、勝負どころではしっかりと三振を奪うことができており、JR九州打線を寄せ付けなかった。
20200309JR九州 山脇
1番打者として大会初スタメンのJR九州の山脇

東芝は上述のように、JR九州の井上、さらに最終回に登板した足立には3者連続三振を喫するなど追加点を奪えなかったものの、エース吉村が最終回まで無失点で投げ切って完封。6-0で勝利した東芝が、JABA東京スポニチ大会を制して、日本選手権出場を1番乗りで決めた。
20220309東芝 優勝
優勝を果たした東芝ナイン


20220309東芝×JR九州
※お手数ですが、もしスコアが見づらい場合には画面を拡大してみてください

敗れはしたもののJR九州の躍進は見事なものだった。予選リーグの初戦でNTT東日本に逆転勝ちを収めて勢いに乗ると、そこからJFE東日本、日立製作所と関東の強豪から3連勝で、この決勝にコマを進めた。ただこの試合では序盤に大量失点してしまい、なすすべなくということで、課題は3人目の投手であろうか?昨年の日本選手権でも登板した井上、鷲崎の左腕2人がこの大会でも中心となって投げていた一方、JFE東日本戦で先発した川島、この試合で先発した鈴木は序盤で交代となってしまっている。そもそも投手が8人しかいないというチーム事情もあるだろうが、今大会はニチダイの辞退により1試合少なかったこともあり、JABA大会を勝ち抜くにはやはりもう1人先発が欲しい。川島、鈴木以外にもリリーフで好投した足立を先発させることなども含めて、先発投手の台頭に期待したい。
20200309JR九州 足立
今大会好リリーフをみせた足立も先発として期待したい

東芝は2019年に当時2枚看板であった岡野(中日)・宮川(西武)がプロ入りしてしまい、そこからしばらくはエースという存在はおらず、昨年は12年ぶりに都市対抗出場を逃した。ただ都市対抗予選でENEOSから完封勝利をあげた吉村が、補強選手として参加した都市対抗でも素晴らしい投球をみせて実績を積むと、今大会では初戦で好投をみせ、準決勝でまたもやENEOS相手に最後はリリーフ登板して、同日のこの決勝では完封勝利と完全に東芝のエースといえる投手となった。他にも藤村や善の2人も投手陣の中心となり、これまでチームを支えてきた福本・岡村の2人の負担は大幅に減った。さらに今年は金井・西村といった高卒の新人投手も加入し、西村に関しては早くも今大会でベンチ入りして、予選リーグの鷺宮製作所では5回無失点の好投をみせた。東芝の投手王国復活の日は近いといえるだろう。
20220309東芝 西村
東芝投手陣の次世代を担う高卒ルーキーの西村


Pickup Player
吉村貢司郎 東芝 投手
~今大会MVPの東芝のエース~
東芝のエース吉村が完封勝利をあげて、チームを優勝に導き、大会MVPを受賞した。

吉村は日大豊山では1年秋からエースを務め、Max144㌔をマークする本格派右腕として活躍。3年夏の東東京大会では決勝戦まで進むも、オコエ(楽天)らを擁して、甲子園で4強まで進む関東一に敗れた。国学院大では2年春からリーグ戦のマウンドに上がり、2年秋には神宮で150㌔越えをマーク。4年春には先発投手として3勝をあげ、防御率0.93という活躍をみせるものの、4年秋にはケガの影響で1試合の登板に留まり、プロ志望届を提出したものの、指名漏れを経験した。

東芝に入社すると、1年目からリリーフで都市対抗のマウンドに上がり、152㌔をマークするも、3四死球と課題を残した。ただ2年目となった昨年は、日本選手権の東海理化戦で先発を務めると、都市対抗予選の第1代表決定のトーナメントではENEOS戦では153㌔をマークし、10奪三振完封勝利。ただ再びENEOSと対戦した第2代表決定戦では9回に山崎錬にサヨナラ3ランを浴びてしまい、チームは都市対抗出場を逃した。それでもENEOSの補強選手として都市対抗に出場すると、2回戦の日本通運戦では7回1失点の好投をみせた。年が明けて初の公式戦となったこのJABA東京スポニチ大会では、予選リーグ初戦のヤマハ戦では8回途中2失点の好投。この試合の午前中に行われた準決勝のENEOS戦では、1点を勝ち越した後の10回裏1死2塁というピンチでリリーフ登板すると、見事に試合を締めてチームを決勝進出に導いていた。

準決勝の終了から約4時間後に始まったこの決勝では先発のマウンドに上がった吉村。左足を振り子のように使うフォームから繰り出すストレートはMax148㌔をマークし、140㌔台前半~中盤の球が多かった。昨年の都市対抗のほぼ140㌔後半という吉村の投球に比べれば物足りないが、春先のまだ寒い中では十分なスピードともいえる。変化球はなんといっても130㌔後半をマークするSFFは最大の武器であり、130㌔前後のスライダー、110㌔台のカーブを投じていた。この試合の吉村は淡々と打者を打ちとっていくが、ピンチの場面になるとギヤが上がり、初回1死1・2塁の場面では4番岩切を空振り三振。3回1死2塁の場面では3番山田・4番岩切を連続三振と、ピンチさらにはJR九州のキーとなる打者という場面では三振を奪えていたのは素晴らしかった。試合の中盤以降はピンチらしいピンチもなく、そのまま最後まで投げ切り、6安打10奪三振で完封勝利。チームは優勝し、吉村自身は大会のMVPに選出された。

もともと出力は素晴らしいものはあるものの、どこか荒さがあるという印象だった吉村の投球だが、昨年の秋頃から改善されてきており、今年はそれにさらに磨きがかかっていた。この試合も四死球は2個のみであり、全体をみてもボールも低めに集まっており、非常に安定した完成度の大会投球であったといえる。ドラフト解禁であった昨年は指名がなかったものの、都市対抗の投球を見て、指名しなかったことを後悔したスカウトは多いはずであり、さらに完成度の高くなった今年はドラフトの目玉選手といえるだろう。

20220309東芝 吉村
見事完封をあげ大会MVPにも選ばれた東芝のエース吉村


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